説明

接地極設置工事のデータ管理装置及び方法

【課題】接地工事の工事内容及び接地抵抗測定の条件などについて記録し、その情報を改修工事や接地抵抗測定時に利用できる接地工事管理装置を提供する。
【解決手段】携帯端末内の閲覧要求受付部413において指定された接地対象設備の情報に基づき、サーバー330内の設備データベース423より設備位置情報を読み出し、さらに、接地工事情報データベース426より接地極の施工日、当該接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗測定値、及び接地抵抗測定方法を表す接地工事情報を読み出し、前記読み出した設備位置情報及び接地工事情報を携帯端末310の表示部411に接地極の施工状況を平面図及び断面図で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は接地極設置工事のデータ管理装置及び方法に係り、特に過去の接地工事の内容を記録し、より効率のよい改修工事を行うためのデータの管理装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気設備の感電漏電等の事故を防止するために、電気設備に生じた故障電流が人体側に流れないように、電気設備と地面を電気的に接続し、接地抵抗値を所定の規定値以下にすることが義務付けられている(例えば非特許文献1を参照)。このため、電力会社等では、定期的に接地抵抗測定器を用いて接地抵抗値を計測し、接地抵抗が規定値を超えている場合には、接地抵抗値が規定値以下になるように接地極の追加などの接地改修工事等を行っている。
【非特許文献1】“電気設備に関する技術基準を定める省令”、[online]、平成9年3月27日、経済産業省、[平成16年11月18日検索]、インターネット<http://law.e-gov.go.jp/cgi-bin/idxselect.cgi?IDX_OPT=1&H_NAME=%93%64%8b%43%90%dd%94%f5%82%c9%8a%d6%82%b7%82%e9%8b%5a%8f%70%8a%ee%8f%80%82%f0%92%e8%82%df%82%e9%8f%c8%97%df&H_NAME_YOMI=%82%a0&H_NO_GENGO=H&H_NO_YEAR=&H_NO_TYPE=2&H_NO_NO=&H_FILE_NAME=H09F03801000052&H_RYAKU=1&H_CTG=1&H_YOMI_GUN=1&H_CTG_GUN=1>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このように接地改修工事を適切に行うには、その接地改修工事の対象である設備に既にどのような接地が行われているかを知る必要がある。例えば、電気設備に対してある方向に接地極が設けられているとすると、その接地と同じ方向に接地極を追加してもあまり効果はなく、別の方向に接地極を追加するほうが効果的である。しかしながら、従来、電気設備等に接地工事を行ったあと接地極の位置情報など工事に関する情報を記録することは行われていなかった。このため、接地極の設置後は、地中に埋設された接地極の位置を確認することができず、有効な接地改修工事を行うことが難しかった。また、過去の接地抵抗の測定に関する情報がないために、補助極の設置位置が測定ごとに異なり、測定結果にばらつきが生じてしまうことがあった。
【0004】
そこで、本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、過去の接地工事情報及び接地抵抗測定情報について記録し、接地改修工事や接地抵抗測定の時に、これらの情報や工事対象設備付近の埋設物の情報などを現場で入手することができる接地工事のデータ管理装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための請求項1記載の接地工事管理装置は、接地対象となる各種設備について、所在位置を表す設備位置情報が記憶された設備データベースと、接地対象設備の識別情報と、当該接地対象設備に施工された接地極の識別情報と、当該接地極の施工日、当該接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗測定値、及び接地抵抗測定方法を表す情報とを含んだ接地工事情報の入力を受け付ける接地工事情報入力部と、前記入力を受け付けた接地工事情報を格納するための接地工事データベースと、接地対象設備の指定を含んだ接地工事情報の閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付部と、前記受け付けた閲覧要求によって指定された接地対象設備について、前記設備データベースから設備位置情報を読み出すと共に、当該接地対象設備についての接地工事情報を前記接地工事データベースから読み出し、前記読み出した設備位置情報と、前記読み出した接地工事情報に含まれる各接地極の位置及び工法に基づいて、接地極の施工状況を平面図及び断面図で表示する接地工事情報表示部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、接地改修工事を行う際に、現場にて前記接地対象設備に係る過去の接地工事に関する情報及び過去の接地抵抗測定に関する情報を取得し、視覚的に把握することができる。このため、既存の接地極に応じて適切な位置に新たな接地極を埋設することができ、効率の良い接地効果を得ることができる。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の接地工事管理装置において、地図情報が記憶された地図情報データベースを参照する地図情報参照部を備え、前記閲覧要求受付部は、地域を指定するための地域指定条件を受け付ける地域受付部と、前記地域指定条件で指定された地域について、前記地図情報参照部により前記地図情報データベースから地図情報を取得する地図情報取得部と、前記地域指定条件で指定された地域内に存在する設備の設備位置情報を前記設備データベースから取得する設備位置情報取得部と、前記取得した地図情報に基づいて画面上に地図を表示すると共に、前記取得した設備位置情報に基づいて、該表示した地図に重ね合わせて設備を表示する表示部と、該表示部による表示画面上での操作に基づいて、前記接地対象設備の指定を受け付ける指定受付部と、を備える。
【0008】
これにより、接地対象設備周辺の地図情報と設備位置を、現場で接地対象設備を入力する際、地図と実際の建物等の周辺状況を対応させることができる。このため、設置対象設備を確実に入力できる。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の接地工事管理装置において、地中に埋設された埋設物について、識別情報、位置情報、深さ情報、及び、大きさ情報が格納された埋設物データベースを更に備え、前記接地工事情報表示部は、表示範囲に埋設物が存在する場合に、その埋設物を前記接地極の施工状況に重畳させて表示する機能を有することを特徴とする。
【0010】
これにより、接地改修工事対象設備周辺の埋設物状況を地図に重ね合わせて表示できるため、地下の埋設物の状況を周辺状況と比較しながら視覚的に把握できる。このため、既存の埋設物を避けて新たな接地極を設置できるため、より効率のよい接地効果が得られる。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3記載の接地工事管理装置において、過去の天候が記録された天候データベースを参照する天候情報参照部を備え、前記接地工事情報受付部により入力された施工日に該当する天候情報を、前記接地工事情報に含めて記憶することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載された発明は、各種の接地対象設備について、所在位置を表す設備位置情報が記憶された設備データベースへアクセス可能なコンピュータにより接地工事を管理する方法であって、前記コンピュータが、
接地対象設備の識別情報と、当該接地対象設備に施工された接地極の識別情報と、当該接地極の施工日、当該接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗測定値、及び接地抵抗測定方法を表す情報とを含んだ接地工事情報の入力を受け付けるステップと、
前記入力を受け付けた接地工事情報を接地工事データベースに格納するステップと、
接地対象設備の指定を含んだ接地工事情報の閲覧要求を受け付けるステップと、
前記受け付けた閲覧要求によって指定された接地対象設備について、前記設備データベースから設備位置情報を読み出すと共に、当該接地対象設備についての接地工事情報を前記接地工事データベースから読み出し、前記読み出した設備位置情報と、前記読み出した接地工事情報に含まれる各接地極の位置及び工法に基づいて、接地極の施工状況を平面図及び断面図で表示するステップと、を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
上記の発明により、過去の接地工事及び接地抵抗の測定の状況を現場で視覚的に把握することができる。これにより、例えば、新たに接地極を埋設する際には、既存の接地極の近傍を避けて新たな接地極を埋設することができるため、より効率の良い接地工事を行うことができる。また、接地抵抗測定を行う際には、補助極の位置を過去の測定時と同じ状況にして測定を行うことができ、測定結果のばらつきを抑えることができる。
【0014】
また、接地工事対象設備付近の埋設物に関する情報を取得し重ねて表示することができるため、追加の接地極を埋設する際に、障害となる埋設物を予め避けて工事を計画することができ、接地効果の高い工事を行うことができる。さらに、測定時の天候情報を取得することで、接地抵抗の測定値に大きく影響を及ぼす雨天のような条件についても考慮し、正確な抵抗値の管理を行うことが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る接地工事管理装置について図面に基づき説明する。
【0016】
始めに、図1及び図2を参照して、接地改修工事及び接地抵抗の測定方法について説明する。
【0017】
図1は、接地極140が設置された電柱110を示す模式図である。図1に示すように、電柱110には変圧器120が設置されている。変圧器120には接地線130が接続されており、この接地線130は電柱110に沿って下方に伸びている。接地線130の先端には、地中に埋設された接地極140が接続されている。接地極140はその抵抗値が所定の規定値以下になるように、1本もしくは複数本埋設されている。この接地極140は経年劣化によって接地抵抗値が変化するため、接地極140の抵抗値を定期的に測定し接地抵抗の値が上記の規定値を超える場合には新たに接地極140を接続し埋設する接地改修工事を行う。
【0018】
図2は接地抵抗の測定状況を示す模式図である。同図に示すように、接地抵抗計270に導線で接続された複数の補助極280を所定の間隔をあけて、電柱110から一定方向に延びる直線上に設置し、この状態で接地抵抗計270により接地抵抗を測定する。こうして測定される接地抵抗値は補助極280の周囲に例えば金属製の柵などがある場合は、その影響を受け、計測される接地抵抗の値が変化する。したがって、補助極280の設置方向が異なると接地抵抗の値にばらつきが生じてしまうことがある。このような理由から、接地抵抗の経年変化を正確に把握するためには、補助極280の設置方向を常に一定とすることが望ましい。
【0019】
また、上記のように、定期点検において接地抵抗値が規定値を満たしていない場合には、接地極140を増設する等の接地改修工事を行う。しかし、新たに埋設する接地極140が既存の接地極140の近傍に埋設されると、十分な接地抵抗の低減効果を得ることができない。また、図1に示すように、電柱110の近傍に、例えば、地下ケーブルなどの埋設物160があると、この埋設物160が障害となりその部分には新たな接地極140を埋設することができない。したがって、埋設された接地極140の位置及び接地対象設備周辺の埋設物160の位置についての情報をあらかじめ得ることができることが望ましい。
【0020】
これに対して、本実施形態の接地工事管理装置10は、過去の接地工事における接地極の識別情報と、接地極の施工日、接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗の測定値、及び接地抵抗の測定方法を表す情報を記録し、接地改修工事時や接地抵抗測定時にこれらの情報や接地対象設備付近の埋設物等の情報などを、現場で地図情報に重ね合わせて表示するという機能を有し、これにより、埋設されている接地極の情報や過去の接地工事に関する情報や接地抵抗測定に関する情報を現場にて視覚的に把握することができるようにしている。以下、接地工事管理装置10について詳細に説明する。
【0021】
図3は本実施形態の接地工事管理装置10の構成を示す図である。本実施形態の接地工事管理装置10は、接地工事現場で作業員により操作される利用者用携帯端末310と、通信回線320を通じてデータの送受信をすることができるサーバー330とから構成される。この利用者用携帯端末310は例えば携帯電話やPDA、ノートパソコンなどである。
【0022】
図4は、接地工事管理装置10の機能ブロック図である。同図に示すように、サーバー330は、通信部421と、設備情報データベース423と、接地工事情報データベース426と、地図情報データベース424と、埋設物データベース427と、天候情報データベース425と、設備情報取得部428と、接地工事情報取得部429と、地図情報取得部430と、埋設物情報取得部431と、天気情報取得部432とを備えている。
【0023】
設備情報データベース423には、接地対象設備の識別情報と設備の所在地を表す位置情報が記憶されている。設備情報取得部428は設備情報データベース423から、携帯端末310の地域指定受付部414で指定された地域の中に存在する設備に関する情報を取得する。
【0024】
図5は、接地工事データベース426に記憶されたデータの構成例を示す。同図に示すように、接地工事データベース426には、接地対象設備の識別情報426A、この接地極の識別情報426B、接地極の施工日426C、接地対象設備に対する施工位置426D、接地の工法426E、接地抵抗測定値426F、及び、接地抵抗測定方法を表す情報426Gが記憶されている。
【0025】
接地工事情報取得部429は、指定された接地対象設備情報に基づき、接地工事データベース426から、該当する接地対象設備についての過去の接地工事に関する情報426B〜426Gを取得する。
【0026】
地図情報データベース424には、各接地対象設備周辺の地図情報が記憶されており、地図情報取得部430は指定された設備の地域情報に基づきその設備周辺の地図情報を取得する。
【0027】
図6は、埋設物データベース427に記憶されたデータの構成例を示す。同図に示すように、埋設物データベース427には、各接地対象設備周辺の地中に埋設された埋設物160について、識別情報427A、位置情報427B、深さ情報427C、及び寸法情報427Dが記憶されている。埋設物情報取得部431は、埋設データベース427から、接地対象設備周辺の埋設物160についての情報427A〜427Dを取得する。このように、接地工事対象設備周辺の埋設物160の情報を取得することにより、埋設物160が障害とならない位置に接地極140を地中に埋設することが可能になる。
【0028】
天候情報データベース425には、天気情報が記憶されており、天候情報取得部432は、天候情報データベース425から接地工事施工日の天候情報を取得する。このように天候情報を取得することで、例えば雨天等により、地面が水分を含んで地盤の導電性が変化して接地抵抗の測定結果に影響を及ぼすなど、天候が接地抵抗値に及ぼす影響を考慮することが可能になる。
【0029】
次に、携帯端末310の構成について説明する。図4に示すように、携帯端末310は、接地工事入力部410と、通信部412と、接地工事条件設定部413と、表示部411とを備えている。通信部412は通信回線320を介したサーバー330との通信を制御する。また、閲覧要求受付部413は地域指定受付部414と設備指定受付部415を備えている。接地工事入力部410は、接地改修工事の施工時もしくは施工終了後に接地対象設備の識別情報426Aと、その接地対象設備に施工された接地極の識別情報と426B、その接地極の施工日426C、その接地対象設備に対する施工位置426D、接地工法426E、接地抵抗測定値426F、及び接地抵抗の測定方法を表す情報426Gとを含んだ接地工事情報の入力を受け付ける。接地工事情報入力部410で受け付けられた接地工事情報は通信部412によりサーバー330へ送信され、接地工事情報データベース426に記憶される。
【0030】
閲覧要求受付部413の地域指定受付部414は閲覧対象となる地域の指定を受付ける。指定された地域を示す情報は通信部412を介してサーバー330へ送信される。、サーバー330の地図情報取得部430は、指定された地域の地図情報を地図情報データベース424から取得し、また、設備情報取得部428は、指定された地域内に存在する設備位置情報428を取得する。これらの情報は通信部421を介して携帯端末310に送られる。携帯端末310の表示部411は、前記地図情報に基づいて画面上に地図を表示するとともに、設備位置情報に基づいて、地図に重ねて設備を表示する。
【0031】
設備指定受付部415は前記表示部411による表示画面上での操作に基づいて、接地対象設備の指定を受け付け、その結果を通信部412を介してサーバー330へ送信する。
【0032】
次に図7のフローチャートに基づき本実施形態の処理の流れについて説明する。
【0033】
接地工事や接地抵抗測定を行った場合には、担当者は携帯端末310の閲覧要求受付部413の地域指定受付部414を通して、例えば町名や郵便番号、送電線の線路名などの地域指定条件を入力する(ステップ701)。この地域指定条件は通信部412を介してサーバー330に送信される(ステップ702)。サーバー330では、この地域指定条件で指定された地域について、地図情報取得部430が地図情報データベース424より地図情報を取得し(ステップ703)、また、設備位置情報取得部428が、この地域内に存在する設備の設備位置情報を設備データベース423から取得する(ステップ704)。これらの情報は通信部421を介して携帯端末310に送信される(ステップ705)。携帯端末310では表示部411が上記地図情報に基づいて画面上に地図を表示するとともに、上記設備位置情報に基づいてこの地図に重ねあわせて設備位置を表示する(ステップ706,707)。図8はその表示画面の一例である。担当者はこの表示画面上で該当する設備をクリック操作することにより対象設備を指定する。このクリック操作に応じて、設備指定受付部415は担当者が指定した接地対象設備を取得する(ステップ708)。
【0034】
以上のようにして指定された接地対象設備の識別情報(設置対象設備指定情報)は、通信部412を介してサーバー330に送信される(ステップ709)。サーバー330の設備位置情報取得部428は、設備位置データベース423から設置対象設備指定情報で指定された設備の位置に関する情報を設備位置情報として取得する(ステップ710)。また、接地工事情報取得部429は、指定された設備に関する接地工事や接地抵抗測定の際に登録された接地対象設備識別情報426A、接地極識別情報426B、施工日426C、施工位置426D、接地工法426E、接地抵抗測定値426F、及び接地抵抗測定方法426Gを接地工事情報データベース426から取得する(ステップ711)。
【0035】
次に、地図情報取得部430は、指定された設備付近の地図情報を地図情報データベース424から取得する(ステップ712)。また、埋設物情報取得部431は、指定された設備付近の埋設物160の位置情報、深さ情報、及び大きさ情報を埋設物データベース427から取得する(ステップ713)。さらに、天候情報取得部432は、接地工事情報取得部429が取得した情報に含まれる施工日の天候情報を天候情報データベース425から取得する(ステップ714)。
【0036】
以上の設備位置情報、接地工事情報、地図情報、埋設物情報及び天候情報は通信部421を介して携帯端末310へ送信され、携帯端末310の表示部411により、これら設備位置情報及び接地工事情報に基づく画面表示が行われる(ステップ715,716)。図9は、この表示画面の一例である。同図に示すように、上記の設備位置情報、接地工事情報に含まれる各接地極140の位置及び深さ情報に基づいて、地中に埋設された接地極140やその接地極140に関する工事情報が平面図及び断面図上に表示される。かかる画面表示により、担当者は過去の接地工事の工事内容や測定方向などを現場にて視覚的に把握することができる。
【0037】
また、埋設物160は接地極140を埋設する際に障害となってしまうのであるが、本実施形態では、上述のように平面図及び断面図上に埋設物を表示するので、工事担当者は、予め施工前に地下の埋設物160の状況が把握できる。このため、新たな接地極140を設置すべき位置を埋設物160を避けて決定することができる。
【0038】
このように、本実施形態によれば、接地極140の効果的な接地極追加位置を適切に判断することができ、また、接地抵抗測定をする際に、過去の測定条件と同一の条件で測定することが可能になる。
【0039】
また、接地工事や接地抵抗測定を行った時の天候が表示されるので、接地抵抗値がばらつきを持ってしまった場合に、その原因が接地極140の経年劣化であるかどうかの判断するための参考情報として用いることができる。
【0040】
接地改修工事もしくは接地抵抗の測定が終了した際は、携帯端末310の接地工事情報入力部410より、この接地対象設備の識別情報426A、接地極識別情報426B、施工日426C、接地対象設備に対する施工位置426D、接地の工法426E、接地抵抗測定値426F、接地抵抗測定方法を表す情報426G等を入力する(ステップ717,718)。この情報は通信部412を介しサーバー330の接地工事情報データベース426に記録される(ステップ719)。
【0041】
上記の作業を接地改修工事及び接地抵抗測定のたびに行うことで、接地工事の状態を接地改修工事に反映できると共に、接地抵抗の経年変化を正確に把握できるので、効果的な接地改修工事と精度の高い接地抵抗測定を行うことが可能となる。
【0042】
なお、新規に接地極140の設置を行う場合は、この接地工事情報の入力作業(ステップ717,718)及び接地工事情報データベースへの記録(ステップ719)を行うものとする。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】接地工事の施される電柱及び接地設備の模式図である。
【図2】接地抵抗の測定装置の模式図である。
【図3】本発明の接地工事管理装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の接地工事管理装置の機能を示す図である。
【図5】接地工事データベースの構成を示す図である。
【図6】埋設物データベースの構成を示す図である。
【図7】処理の流れを示す図である。
【図8】設備位置指定の表示画面の一実施例である。
【図9】接地工事情報の表示画面の一実施例である。
【符号の説明】
【0044】
110 電柱 120 変圧器
130 接地線 140 接地極
160 埋設物
270 接地抵抗測定器 280 補助極
310 携帯端末 320 通信回線
330 サーバー 410 接地工事情報入力部
411 表示部 412 通信部
413 閲覧要求受付部 414 地域指定受付部
415 設備指定受付部 421 通信部
422 地域受付部 423 設備情報データベース
424 地図情報データベース 425 天候情報データベース
426 接地工事情報データベース 427 埋設物データベース
428 設備情報取得部 429 接地工事情報取得部
430 地図情報取得部 431 埋設物情報取得部
432 天候情報取得部 426A 接地対象設備識別情報
426B 接地極識別情報 426C 施工日
426D 施工位置 426E 接地工法
426F 接地抵抗測定値 426G 接地抵抗測定方法
427A 識別情報 427B 位置情報
427C 深さ情報 427D 大きさ情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種の接地対象設備について、所在位置を表す設備位置情報が記憶された設備データベースと、
接地対象設備の識別情報と、当該接地対象設備に施工された接地極の識別情報と、当該接地極の施工日、当該接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗測定値、及び接地抵抗測定方法を表す情報とを含んだ接地工事情報の入力を受け付ける接地工事情報入力部と、
前記入力を受け付けた接地工事情報を格納するための接地工事データベースと、
接地対象設備の指定を含んだ接地工事情報の閲覧要求を受け付ける閲覧要求受付部と、
前記受け付けた閲覧要求によって指定された接地対象設備について、前記設備データベースから設備位置情報を読み出すと共に、当該接地対象設備についての接地工事情報を前記接地工事データベースから読み出し、前記読み出した設備位置情報と、前記読み出した接地工事情報に含まれる各接地極の位置及び工法に基づいて、接地極の施工状況を平面図及び断面図で表示する接地工事情報表示部と、を備えることを特徴とする接地工事管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の接地工事管理装置において、
地図情報が記憶された地図情報データベースを参照する地図情報参照部を備え、
前記閲覧要求受付部は、
地域を指定するための地域指定条件を受け付ける地域受付部と、
前記地域指定条件で指定された地域について、前記地図情報参照部により前記地図情報データベースから地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記地域指定条件で指定された地域内に存在する設備の設備位置情報を前記設備データベースから取得する設備位置情報取得部と、
前記取得した地図情報に基づいて画面上に地図を表示すると共に、前記取得した設備位置情報に基づいて、該表示した地図に重ね合わせて設備を表示する表示部と、
該表示部による表示画面上での操作に基づいて、前記接地対象設備の指定を受け付ける指定受付部と、を備える接地工事管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の接地工事管理装置において、
地中に埋設された埋設物について、識別情報、位置情報、深さ情報、及び、大きさ情報が格納された埋設物データベースを更に備え、
前記接地工事情報表示部は、前記埋設物データベースを参照して表示範囲に埋設物が存在するか否かを判定し、埋設物が存在する場合に、その埋設物を前記接地極の施工状況に重畳させて表示する機能を有することを特徴とする接地工事管理装置。
【請求項4】
請求項1〜3記載の接地工事管理装置において、過去の天候が記録された天候データベースを参照する天候情報参照部を備え、
前記接地工事情報受付部により入力された施工日に該当する天候情報を前記天候情報参照部により取得し、その天候情報を前記接地工事情報に含めて記憶することを特徴とする接地工事管理装置。
【請求項5】
各種の接地対象設備について、所在位置を表す設備位置情報が記憶された設備データベースへアクセス可能なコンピュータにより接地工事を管理する方法であって、
前記コンピュータが、
接地対象設備の識別情報と、当該接地対象設備に施工された接地極の識別情報と、当該接地極の施工日、当該接地対象設備に対する施工位置、接地工法、接地抵抗測定値、及び接地抵抗測定方法を表す情報とを含んだ接地工事情報の入力を受け付けるステップと、
前記入力を受け付けた接地工事情報を接地工事データベースに格納するステップと、
接地対象設備の指定を含んだ接地工事情報の閲覧要求を受け付けるステップと、
前記受け付けた閲覧要求によって指定された接地対象設備について、前記設備データベースから設備位置情報を読み出すと共に、当該接地対象設備についての接地工事情報を前記接地工事データベースから読み出し、前記読み出した設備位置情報と、前記読み出した接地工事情報に含まれる各接地極の位置及び工法に基づいて、接地極の施工状況を平面図及び断面図で表示するステップと、を実行することを特徴とする接地工事管理方法。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−216278(P2006−216278A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−25604(P2005−25604)
【出願日】平成17年2月1日(2005.2.1)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】