説明

接着剤塗装層を有する通気性シート素材およびその製法

本発明は開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層、から成る通気性接着シート素材に関し、前述の接着剤塗装層における前述の開口は、保護シート層の除去の際に、保護シート層に接着されて残存することによりそれから離される、実質的に連続した接着剤塗装層の部分を構成する。本発明はまた、接着シート素材から保護シートを分離する際に、連続した接着層からの一部分を分離するために設けられた、除去可能な保護シート層を伴う接着シート素材から成る、複合シート素材に関する。本発明は更に、開口のあるシート層および保護シート素材の層に未硬化接着剤の層を適用し、そして開口のあるシート層、保護シート素材の層および未硬化接着剤の層を硬化作業に供し、その結果、接着剤の層を、開口のあるシート層の開口の外側に優先的に接着させ、そして保護シート層に前述の開口において接着させる工程、から成る、接着シート素材を製造する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば特に皮膚への応用を目的とする接着性保護シート素材のような接着層のある保護シート素材の一般分野に関するものである。これらの保護シート素材は例えば、瘢痕組織、火傷等の処置および/または再生などの治療用途のための物として知られている。
【背景技術】
【0002】
これに関しては、例えば、特許文献1、2(3)、4、5、6(7)および8、並びに9および10を参照することができる(特許文献1〜10参照)。代表的な市販品は、MOELNLYCKE社のsafetac(R)製品、TRICOLAST社のScarBan(R)製品およびJohnson & Johnson社のCOMPEED(R)製品等から成る。
【0003】
特許文献1によると、素材は片面上の接着性のシリコーン・ゲルおよび反対側の面の非接着性のシリコーン・エラストマーの包帯を伴うことができる(特許文献1参照)。特許文献2(3)は、一枚もしくは複数枚のシートを有効に封入するために十分量の、しかし開口を塞ぐには不十分量の接着性シリコーン・ゲルで塗装された、1枚もしくは複数の開口素材のシートから成る透水シート素材を開示している(特許文献2、3参照)。特許文献6(7)は、ゲルが両面に連続した層を形成するように、シリコーン・ゲル内に埋封された、柔軟性を持つキャリヤーシートから成る、瘢痕用包帯素材に関する(特許文献6、7参照)。特許文献9は、皮膚に接触する面の上に、布地に浸透しない、従って外側表面上は塗装されていない接着性シリコーン・ゲル・エラストマーを担持する伸縮性布地から成るシリコーン・ゲル・シートを開示している(特許文献9参照)。特許文献10はシリコーン層を施されていない表面上に通気性PU層を伴う類似の製品を開示している(特許文献10参照)。特許文献8は、粘着性接着剤を塗装されたフィルムから成る、皮膚の摩擦による疱疹の予防/処置のための薄い接着性包帯を開示しており、前述のフィルムは特定の厚さ、特定の透湿性、特定の織物特性および特定の摩擦特性をもつエラストマー・フィルム素材から成る(特許文献8参照)。
【0004】
皮膚への適用を目的とした接着性保護シート素材の多くの応用では、接着シート素材が十分な「通気性」を有することがより不可欠であり、または言い換えれば、前述の接着シート素材が皮膚の適切な呼吸を可能とするために接着層に十分な開口を伴うことが不可欠である。しかし、開口のあるシート層および、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある、前述のシート層の片面上の接着剤塗装層、から成る保護素材を製造する工程は、当該技術分野における根本的な問題である。
【0005】
接着剤塗装層にこうした開口を作る既存の手法は、開口のある布地素材の上へそれを塗装する間、接着剤塗装層を通して空気流を吹き込む技術を伴う。従って、特許文献11は、サスペンダー不要ソックスおよびストッキングに対するような、布地素材の開放構造に「適合する」摩擦発生層から成る、帯状の「開口」布地素材を開示している(特許文献11参照)。特許文献12は、布地素材の開口構造に「適合する」硬化接着性シリコーン層から成る、皮膚に接着可能な、類似の「開口」布地素材を開示しており、布地とシリコーン層の間のバリヤー層は布地中へのシリコーンの吸収を妨げる(特許文献12参照)。その他の手法は、特許文献13に開示されているように、支持体中の大部分の開口を塞がれずに残存させるための、特定の(「網状」の)支持体上への適用のための特定の(親水性の)接着性樹脂の使用、または特許文献14に開示されているように、液体プレゲル混合物よりも表面エネルギーの少ない塗膜を与えた、特定のウェブ支持体上への適用のための
、接着剤塗膜に対する特定の液体プレゲル混合物の使用、を伴う(特許文献13、14参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,838,253号
【特許文献2】欧州特許第0 261 167号
【特許文献3】米国特許第5,340,363号
【特許文献4】欧州特許第0 633 757号
【特許文献5】欧州特許第0 633 758号
【特許文献6】欧州特許第0 782 457号
【特許文献7】米国特許第5,891,076号
【特許文献8】欧州特許第0 409 587号
【特許文献9】国際公開第02/45698号パンフレット
【特許文献10】国際公開第2005/048911号パンフレット
【特許文献11】欧州特許第0 922 130号
【特許文献12】国際公開第2004/082935号パンフレット
【特許文献13】欧州特許第0 497 607号
【特許文献14】欧州特許第1 175 527号
【発明の概要】
【0007】
ここで、この発明は、開口のあるシート層および、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある、前述のシート層の片面に設けられた接着剤塗装層、から成るシート素材を製造する工程の問題に対する真に画期的手法を提案する。
【0008】
この発明のこの目的は、開口のあるシート層(言い換えると、「通気性」シート層)、前述の開口のあるシート層の上の接着剤塗装層、および前述の接着剤塗装層に少なくとも一部が接着している除去可能な保護シート層、から成る複合シート素材を提供することにより達成され、前述の接着剤塗装層は、前述の開口のあるシート層に接着されて残存する前述の接着剤塗装層の残りの部分を伴って前述の開口のあるシート層から前述の保護シート層を分離する際に、前述の連続した層から分離して前述の保護シート層に接着するために設けられた、前述の実質的に連続した層の、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する部分をもつ、実質的に連続した層から成る。
【0009】
この発明の第一の態様によると、この複合シート素材はより具体的には、前述の開口のあるシート層の片面に設けられた実質的に連続した接着剤塗装層および、前述の接着剤塗装層の前述の開口のあるシート層から遠い面上に接着している除去可能な保護シート層、から成ることができ、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する前述の部分は、前述の開口のあるシート層から前述の保護シート層を分離する際に、前述の連続した接着剤塗装層から離れて、前述の保護シート層に接着するために設けられている。この発明における第二の態様によると、本複合シート素材はより具体的には、前述の開口のあるシート層の片面に設けられた実質的に連続した接着剤塗装層および、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、前述の保護シート層に接触している前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する部分を通じて、前述の接着剤塗膜に部分的に接着している、前述の開口のあるシート層の反対側の面における除去可能な保護シート層、から成ることができ、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、少なくとも前述のシート層の開口の部分と対応する前述の部分は、前述の開口のあるシート層から前述の保護シートを分離する際に、前述の連続層から離れて、前述の保護シート層に接着するために設けられている。
【0010】
本発明の文脈において、「接着剤塗装層」の表現は非常に広範には、任意の種類の表面、特に皮膚の表面(更に特には、人間もしくは動物の皮膚)に対し接着性/粘着性であるあらゆる種類の塗装層を言及するものであり、接着性の治療的ゲル素材(シリコーン・ゲル/シリコーン・ゲル・エラストマー素材、天然もしくは合成のゴム基材の接着剤、アクリルポリマー、ゴム/アクリレート接着剤など)の層を含む。同様に、「開口のあるシート層」の表現は、開口(apertures)、穴(holes)、開口部(openings)から成るあらゆる種類の布地、フィルムもしくはシート素材を広く言及するものであり、前述のシート層[伸縮性布素材(編物、織物もしくは不織物)、いわゆる「プラスチック・ネット」素材、「穴のある」、「ミシン目のある」もしくは「開口のある」プラスチック・フィルム、開口気泡を伴うポリマー・フォームのシート、一般用の不織素材、一般用の通気性伸縮性素材、ミシン目の入ったもしくは入っていない通気性のポリウレタン・シート素材、押出成形「ネット」素材、押出成形フィルムなどを含む]の良好な通気性を可能としている。
【0011】
この発明による素材の接着層(シート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある)は、その特定の最終用途により、前述の素材(シート層/シート層の一部)の全表面、あるいは、このような素材の一部/特定の部分のみを覆うことができる。
【0012】
接着層は極めて適切には、10〜500g/mの比率、もっとも適切には10〜300g/mの比率[これもまた保護シート層の素材(もしくは「キャリヤー」素材/「移転紙」または「移転フィルム」素材)の性状による]、で用いられ/存在することができ、もっとも適切には50μ〜1000μ、最も好ましくは100μ〜500μの最終厚さを伴う。
【0013】
用いられる開口のあるシート層は好ましくはやや薄く、好ましい厚さ(接着剤塗膜を含まず)は約0.01mm〜約2mm、もっとも好ましくは0.02〜0.6mmの範囲である。
【0014】
保護シート素材(または、紙、ポリエステルもしくはその他のキャリヤー素材から成る「キャリヤー」素材/「移転紙」または「移転フィルム」素材)は、0.05mm〜約1mm、もっとも好ましくは0.1〜0.6mmの範囲の「厚さ」、または(シート素材技術においてより広く表現されるように)5〜100g/mの次元の面積当たり重量を持つ。完成された複合シート製品の可能な最も低い全体的重量を実現するためには、薄い厚さの保護シートを選択することが好ましい。
【0015】
この発明はまた、特に、開口のあるシート層(言い換えれば、「通気性」シート層)および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている(従って、除去可能な保護シート層を伴わない)、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層から成る接着シート素材に関連し、前述の接着剤塗装層における前述の開口は、前述の開口のあるシート層の上に設けられ、前述の保護シート層を除去する際に、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の少なくとも前述の部分に一時的に設けられている保護シート層に接着されて残存することにより、前述の連続した接着剤塗装層から離される、実質的に連続した接着剤塗装層の部分を構成する。この発明に従うこの接着シート素材の第一の態様によると、前述の接着剤塗装層における前述の開口はより具体的には、前述の実質的に連続した接着剤塗装層に一時的に設けられた前述の保護シート層を除去する際に、前述の実質的に連続した接着剤塗装層から離される部分を構成する。この発明による本接着シート素材の第二の態様によると、前述の接着剤塗装層における前述の開口は、前述のシート層の、前述の実質的に連続した接着剤塗装層から遠い側に、しかし前述の連続した接着剤塗装層の前述の部分とは接触して一時的に設けられた前述の保護シート層を除去する際に、前述のシート層の前述の開口を通じてそれから離される、前述の実質的に連続した
接着剤塗装層の部分を構成する。
【0016】
この発明は、また、具体的には、複合シート素材、並びに上記に定義されたとおりのこの発明による接着シート素材の製造方法に関連し、それは以下の工程から成る:
− 開口のあるシート層および保護シート素材の層に未硬化接着剤の層を適用する工程、硬化される時の前述の接着剤および前述のシート素材は相互に第一の接着能力Aを示し、そして前述の開口のあるシート層および硬化される時の前述の接着剤は相互に第二の接着能力Aを示し、前述の第二の接着能力Aは前述の第一の接着能力Aよりも大きい、並びに
− 前述の開口のあるシート層、前述の保護シート素材の層および前述の未硬化接着剤の層を前述の接着剤のための硬化作業に供する工程、その結果、前述の接着剤の層を、前述の開口のあるシートの前述の開口の外側に優先的に接着させ、そして前述の保護シート層に前述の開口の少なくとも一部において接着させ、こうして前述の複合材に、除去される際に、開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層、から成るシート素材を残す、除去可能な保護シート層を構成させる工程。
【0017】
未硬化接着層の硬化は好ましくは60〜200℃の範囲の空気によりオーブン内で行われる。この発明のこの方法の第一の態様によると、この方法はより具体的には以下から成る:
− 保護シート素材の層に未硬化接着剤の層を適用する工程、
− 前述の未硬化接着剤の層上に開口のあるシート層を適用する工程、
− 前述の保護シート素材の層、前述の未硬化接着剤の層および前述の開口のあるシート層から得た複合材を前述の接着剤のための硬化作業に供する工程。本発明の方法の第二の態様によると、その方法はさらに具体的には、下記から成る:
− 未硬化接着剤が前述の開口のあるシート素材における前述の開口を通じて前述の保護シート素材の層に到達するような方法で、未硬化の接着剤の層を、開口のあるシート層および保護シート剤の層から成る複合シートの、前述の開口のあるシート素材の側に適用する工程、並びに
− 前述の保護シート素材の層、前述の未硬化接着剤の層および前述の開口のあるシート層から得た複合材を、前述の接着剤のための硬化作業に供する工程。
【0018】
前述のように、この発明による接着シート素材は、少なくとも50 l/分.dm2(〜85 l/m2.s)、好ましくは少なくとも250 l/分.dm2(〜420 l/m2.s)の通気率(ISO9237−2による)により表される、そして/もしくは、少なくとも一日200g/m2、好ましくは少なくとも一日1000g/m2の水蒸気透過率(ASTM E96による)、または24時間につき少なくとも30%(相対湿度50%、温度32℃)の素材を通る蒸発率に相当する、「高い」透湿性により表される、十分な通気性をもたなければならない。
【0019】
この発明による接着シート素材の通気性はまた、例えば、KATO TECH CO.LTD.により販売されるKES−F8通気度試験機によって測定されるように、透過抵抗パラメーター“R”により表すことができる。
【0020】
この発明による好ましいシート素材は典型的には、1KPa.s/m未満の範囲の、好ましくは0.01KPa.s/mまでの低い透過性抵抗パラメーター“R”をもつ。
【0021】
開口/穴/開口部のあるシート層は好ましくは、シート層面積の少なくとも2%の開口面積があり、接着剤塗装層はその層面積の少なくとも2%の対応する開口がある。開口のあるシート層(または「通気性」シート層)の素材は、シート層自体の加工[開口(アイ
レット)を「織り込むこと」または「編み込むこと」により、あるいは布地/フィルム/「網」素材に開口を「製造する」ための他の如何なる技術により)期間中に、あるいは、シート層に接着剤塗装層を施す工程の前の、布地/フィルム/「網素材」の製造に続く目打ち/穴あけ工程期間のいずれかに得た開口部または穴/開口を有する。
【0022】
開口のあるシート層のオプション態様は、シート層の二方向弾性特性(縦方向と横方向における同じまたは異なった弾力性)から成ることができ、これによってこの発明による接着シート素材の一部は、それが適用/接着された身体部分に最適に適合することができる(150%以上の弾力性をもつ)。
【0023】
この発明の追加の好ましい特性によると、接着シート素材は非常に適切には20〜500個の開口/dm2から成り、シート素材面積の少なくとも2〜20%の開口面積を伴う。
【0024】
この発明の追加的特性によると、接着剤塗装層は、例えば、適切な割合で適当に調合され、適当な皮膚粘着性を得るために硬化された、皮膚に接着するための2成分シリコーン系に由来する、シリコーンゲル・エラストマー塗膜から成ることができる。このような好ましいシリコーン系は当業界でよく知られ(この点については前述の米国特許第5,891,076号を参照される)、皮膚への直接の接着(特に人工乳房適用およびやけど/火傷の処置のためなど)を伴う多様な用途で市販されており、例えば、特許文書の英国特許第2 192 142号、欧州特許第0 399 520号、欧州特許第0 251 810号および米国特許第5,919,476号に参照されている。
【0025】
本発明に関連する特質は、最適な皮膚適合性、最適な皮膚接着/皮膚剥離特性並びに、硬化される際の接着剤の、保護シート素材に対する接着能力A、硬化される際の接着剤の、開口のあるシート層に対する接着能力Aおよび、接着剤塗装層の固有の内部接着性の間の適正なバランスである。この発明によると、硬化される際の接着剤の、保護シート素材に対する接着能力Aと、硬化される際の接着剤の、開口のあるシート層に対する接着能力Aの間のこの特定のバランスは、接着剤塗膜組成物の調合、シート層素材およびその結果の可能な完成製品の選択、適用した未硬化接着剤塗装層の厚さ、保護シート層の素材の選択、並びに、その接着特性に影響する、前述の保護シート素材(もしくは、更に後述の製造法の開示でより詳細を記述される、キャリヤー素材/移転層/移転「紙」)のあらゆる特別な調製工程、を平衡させることによって達成することができる。
【0026】
適切なシリコーン接着系は、例えばWACKER Silicones社(特に“ELASTOSYL(R) P7010”として参照の)およびDOW CORNING社(特に“DOW CORNING(R) 3631”として参照の)から入手可能である。
【0027】
シリコーン系の2成分の割合は、適用される硬化時間、硬化温度、などと関連して、塗膜に要する粘着性および柔軟性、並びに相対的接着能力AおよびAによる。
【0028】
従って、0.01mm〜2mmの間の、好ましくは0.02mm〜0.6mmの間の厚さを有する、開口のある(未塗装)シート層(例えば約0.5mmの厚さで重さ約185g/m2のシート層、もしくは36g/m2の面積当たりの重量をもつシート層)、並びに〜200g/m2のシリコーンゲル層のような、50μ〜1000μの間の、好ましくは100μ〜500μの間の厚さがある(そして/または約50〜500g/m2の塗装層に相当する)接着剤塗装層、を伴う、この発明による接着シート素材は、特に約0.8mm(800μ)の厚さおよび約385g/m2の重量をもつ接着シート素材(シート層+接着剤塗装層)のような、0.15〜2mmの間(150μ〜2000μの間)の全体の厚さ(シート層+接着剤塗装層)および/または約70〜850g/m2の全体の比重を
伴う。
【0029】
この発明による接着シート素材に使用される布地の弾性特性は、シート素材が提供できる筋肉の圧縮を考慮したスポーツおよび/または医学的な適用における前述の素材の特定の使用において興味深い利点を提供する。
【0030】
この発明による接着シート素材およびこの発明による保護シート層を伴う複合シート素材の、この発明による製法は、いわゆる「移転法」、もしくはいわゆる「ダイレクト」法として行うことができる。
【0031】
これら各技術は添付する図を参照にして以下の開示にて更に詳細を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、“移転法”を使った、この発明による接着シート素材の製造の第一の態様の略図である。
【図2】図2は、“移転法”を使った、この発明による接着シート素材の製造の他の態様の略図である。
【図3−4】図3と図4は、移転法において、開口の部分での接着剤のキャリヤーへの選択的接着によって得た連続した接着剤塗装層における開口の形成の概念を図解している。
【図5】図5は、「ダイレクト法」を使ったこの発明による接着シート素材の製造の略図である。
【図6−7】図6と図7は、ダイレクト法において、開口の部分でのキャリヤーへの接着剤の選択的接着によって得た連続した接着剤塗装層における開口の形成の概念を図解している。
【0033】
これら全ての図において、対応する要素/特徴は同じまたは似た参照符合で示されている。
【0034】
開口(参照符号2で示す)のあるシート層(参照符号1で示す)および、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層(参照符号3で示す)から成る接着シート素材、並びに、開口(2)のあるシート層(1)、前述の開口のあるシート層の上の接着剤塗装層(3)、および前述の接着剤塗装層(3)に少なくとも一部が接着している除去可能な保護シート層(4)から成る複合シート素材、を製造するための、この発明による方法のバリエーション− 図1に図解されているとおりの −の「移転法」の第一の態様は、液体もしくはペースト状の未硬化接着組成物/混合物/化合物(5)、例えば治療用シリコーンゲル(特にElastosil P7010として流通されているシリコーンゲル組成物)を、例えば特別に準備された、キャリヤーとして働く、約74g/mの「厚さ」を有する移転「紙」(紙もしくは「プラスチック」素材から成る)のような保護シート層の上に、液体硬化系(5)を塗装するための、当業界においてそれ自体周知の何等かの技術または機器(6)を使用して、連続層(3)として適用することを含んでいる。本明細書に開示される具体例において、接着剤塗膜は更に特に、約100〜240g/m2の好ましい「厚さ」を伴って適用される。これに次いで、(編んだ、織ったまたは不織の)弾性布素材、「プラスチックの網」素材、「穴を開けた」、「ミシン目を入れた」または「開口した」プラスチックフィルム、開口セルのあるポリマー発泡体のシート、ミシン目を入れた、もしくはいれていない通気性ポリウレタンシート素材、等のようなあらゆる通気性シート層であるシート層(1)を、未だ「湿った」(未硬化の)接着剤塗装層(3)の上に、カレンダリングロール(7)を使用し、制御された圧力(8)で適用し、プレスする。その直後に、複合材/ラミネートを、60〜200℃の範囲の乾いた空気によりオーブン(図1に示す態様には示していない)を通される。硬化の工程
に低めの温度を使用すると、さらに長い硬化時間/より長い硬化オーブンを要し、このことによって、未硬化接着組成物をシート層(1)の反対側に“通過させる”リスクを伴う可能性があり、それは望ましくないものである。硬化オーブンを通過する前後いずれかに、保護シート(4)から離れたシート層(1)の裏側に、更なる保護シート層(10)を分配ロール(11)からオプションとして適用することができる。この複合材/ラミネートは最終的に、加熱された金属ロール(表示されていない)を通過することにより、あと硬化され、冷やされ、そしてロール上(ロール(13)は、図1に表示されていない)に巻き取られる。
【0035】
接着シート素材、並びに複合シート素材の製造のためのこの発明による方法の「移転法」バリエーションの第二の態様 −図2に図解しているとおりに− は、さらに具体的には、特に薄い通気性シート層(通気性ポリウレタンフィルムのようなもの)から成る、開口(2)のあるシート層(1)が支持シート10a(図2に示していないロール(12)から)と一緒に塗装装置に供給され、それが、一旦保護シート(4)が接着剤塗装層(3)とともに適用され、そして前述の特に薄いシート層(1)に適切な支持を与えた後に、外され、回収ロール11aに巻き上げられる点で、図1に示された第一の態様と異なる。
【0036】
上記に開示された移転法によって得られる連続した接着剤塗装層(3)に開口を形成する構想は図3と図4に図解されている。開口の部分での接着層の保護シート(4)への接着に関する、接着層(3)のシート層素材(1)への優先的な接着、並びに、硬化した連続塗装層の固有の内部粘着性に関する、保護シート(4)への接着層の優先的接着により、接着層の一部(24)は、保護シート(4)を除去する際に、連続した接着層から外れ、そして保護シート(4)に接着されて残存し、塗装層に、シート層(1)内の開口(2)と対応する開口(21)を残存させる。
【0037】
接着シート、並びに複合シート素材を製造するためのこの発明による方法の「ダイレクト法」−図5で図解する通り−は、開口(2)のあるシート層(1)が保護シート層(4)とともに供給ロール(12)から塗装装置中に供給される点、および、液体もしくはペースト状未硬化接着組成物/混合物/化合物(5)が、保護シート層(4)から離れた側のシート層(1)上に連続層(3)として直接適用される点において、図1と図2で図解した方法とは異なる。この具体例では、接着剤塗膜の層は更に特に、10〜200g/m2の間の好ましい「厚さ」を伴って適用される。その直後に、複合材/ラミネートをオーブン(9)に通される。次に、更なる保護シート層(10)が、分配ロール(11)から接着剤塗装層(3)へ適用される。複合材/ラミネートは最後に、加熱された金属ロール(表示されていない)上を通過させることにより、あと硬化され、冷やされ、そしてロール(13)上に巻き取られる。
【0038】
ダイレクト方法により得た連続した接着剤塗装層(3)における開口形成の構想を図6と図7に図解する。硬化した連続塗装層の固有の内部粘着に関する保護シート(4)への接着層(3)の優先的接着により、接着層の一部分(24)は、保護シート(4)を除去する際に、連続した接着層から離されて、保護シート(4)に接着されて残存し、接着シート素材上の塗装層(31)にシート層(1)の開口(2)と対応する開口(21)を残す。
【0039】
前記のこの発明はここに、熟練技術者がこの発明を実用に付することができるために要求されるその本質的特徴に関して開示された。この開示に説明される特定の特徴および詳細以外の、この発明に対する多数のバリエーションは、発明の基本構想から離れずに、熟練技術者に容易に明らかに分かるものである。従って、開口のあるシート層の上に接着剤塗装層を適用する方法は特に、場合により支持体の多層系を適用する周知の方法を使用して、1種または複数の工程で実施することができる。
【0040】
更に、この発明による接着シート素材に対し、使用されるシート層素材および/もしくは接着層素材(構成部分)の適当な処理および/またはその中への適当な成分の取り込みにより、適宜な追加的特性を加えることも可能である。これは例えば、ナノテクノロジー技術を適用することにより実現できる可能性がある。
【0041】
布を処理して、それに抗菌特性を施すか、もしくはナノカプセルを添加することも可能である。また、接着剤塗装層にナノカプセルを添加して、保護付属品にスキンケア特性を与えることも可能である(医療、ホメオパシー、製薬、化粧品調製物を使用して)。
【0042】
以下の実施例は、(制限なく)この発明を更に具体的に示す役割をもつ。
【実施例1】
【0043】
0.5mmの厚さと185g/m2の比重量をもち、
300開口/dm2を示す、
23%のエラスタン(elasthane)繊維(Lycra(R))および
77%のポリエステル繊維
から成る、二方向弾性ワープニットアイレット布
を、“ネットレイイング”(ドイツ語で“Filet−Legung”)を使用して、2本のアイレットビームをもつジャージタイプの編機(オランダ語で“tricotmachine met 2 ogenbalken”)上で製造した。
【0044】
適用パターンの割合は、
アイレットビーム1上:
6列のクローズドステッチのジャージ(オランダ語で“gesloten steek
tricot”)
+ 4列 右にアトラスオープンステッチ
+ 6列 クローズドステッチのジャージ
+ 4列 左にアトラスオープンステッチ、および
アイレットビーム2上:
6列 クローズドステッチのジャージ
+ 4列 左にアトラスオープンステッチ
+ 6列 クローズドステッチのジャージ
+ 4列 右にアトラスオープンステッチ
を使用して、20列であった。
【0045】
従って、言い換えると、2本のアイレットビームは同じパターンを、しかし10列の移転を伴って作製し、
適用された“プルスルー”はフル3個、エンプティ1個であり、
弾性のワープニットアイレット布は、シート布面積の約10%(実際は〜9.75%)のアイレット開口面積を伴って、約300〜350アイレット/dm2(実際は〜325アイレット/dm2)を示す。
【0046】
この布層上に厚さ300μおよび重さ200g/m2のシリコーンゲルの硬化された塗装層を実現するために、(一旦硬化したら)布層の開口と対応するシリコーン系素材が移転シート(非常に滑らかな紙様の裏材シート)の裏に残留し、その後者はまた、複合シート素材の粘着性ゲル層のための(除去可能で、再利用可能な)保護シートとして働くように、この布地に、移転技術を使って2成分シリコーン系(WACKER社からのELASTOSYL(R) P7010)の塗装層が施された。得られた接着シート素材(つまり、保護シートの無い、すなわち、その保護シートが除去された複合シート素材)は、
厚さ0.8mmおよび比重量385g/m2
水蒸気透過率(ASTM E96による)一日2440g/m2
通気度(ISO9237.2による)825 l/(m2.s)、
を示す。
【実施例2】
【0047】
約75g/m2の「厚さ」を有する保護紙シート層を施された、約35g/m2の通気性ポリウレタンフィルム(約150μの厚さで、約1000g/m2/24時間の水蒸気透過率をもつ市販の医療等級フィルム)に、保護紙層から遠いPUフィルム側に、120g/m2の塗膜厚さで適用された未硬化シリコーンゲル混合物を使用して、上記に言及される「ダイレクト法」を使ってELASTOSYL(R) P7010の塗装層を施された(実験室規模で)。接着塗膜/PUフィルム/プラスチック保護箔から成る複合シートをオーブンで約150℃で5分間硬化した後、硬化した接着剤塗装層の上に約40g/m2のプラスチック保護箔が施された。その製品は優れた皮膚への接着/皮膚からの剥離特性および優れた再利用可能性(接着フィルムを中間の洗浄の後でも数回の接着/剥離周期が可能)を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口のあるシート層、前述の開口のあるシート層の上の接着剤塗装層、および前述の接着剤塗装層に少なくとも一部が接着している除去可能な保護シート層から成る複合シート素材であって、前述の接着剤塗装層は実質的に連続した層から成り、前述の実質的に連続した層の、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する部分は、前述の保護シート層を前述の開口のあるシート層から分離する際に、前述の連続した層から離れて前述の保護シート層に接着するために設けられ、前述の接着剤塗装層の残りの部分は前述の開口のあるシート層に接着されて残存する、ことを特徴とする複合シート素材。
【請求項2】
素材が、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている実質的に連続した接着剤塗装層、および前述の接着剤塗装層の前述の開口のあるシート層から遠い面上に接着している除去可能な保護シート層から成り、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する前述の部分は、前述の保護シート層を前述の開口のあるシート層から分離する際に、前述の連続した接着剤塗装層から離れて、前述の保護シート層に接着するために設けられている、ことを特徴とする請求項1による複合シート素材。
【請求項3】
素材が、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている実質的に連続した接着剤塗装層および、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、前述の保護シート層と接触している前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する部分を通って前述の接着剤塗膜に部分的に接着している、前述の開口があるシート層の反対側の、除去可能な保護シート層から成り、前述の実質的に連続した接着剤塗装層の、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する前述の部分は、前述の開口のあるシート層から前述の保護シート層を分離する際に、前述の連続した層から離れて、前述の保護シート層に接着するために設けられている、ことを特徴とする請求項1による複合シート素材。
【請求項4】
開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層、から成る接着シート素材であって、前述の接着剤塗装層における前述の開口が、前述の保護シート層を除去する際に前述の実質的に連続した接着剤塗装層の少なくとも前述の部分に一時的に設けられた保護シート層に接着されて残存することにより前述の連続した接着剤塗装層から離される、前述の開口のあるシート層の上に設けられた実質的に連続した接着剤塗装層の部分を構成する、ことを特徴とする接着シート素材。
【請求項5】
前述の接着剤塗装層における開口が、前述の実質的に連続した接着剤塗装層に一時的に設けられた前述の保護シート層を除去する際に、前述の実質的に連続した接着剤塗装層から離される部分を構成する、ことを特徴とする請求項4による接着シート素材。
【請求項6】
前述の接着剤塗装層における開口が、前述のシート層の、前述の実質的に連続した接着剤塗装層から遠い側に、しかし前述の連続した接着剤塗装層の前述の部分とは接して一時的に設けられた前述の保護シート層を除去する際に、前述のシート層の前述の開口を通じて前述の保護シートから離される前述の実質的に連続した接着剤塗装層の部分を構成する、ことを特徴とする請求項4による接着シート素材。
【請求項7】
開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層、から成るシート素材を製造する方法であって、
開口のあるシート層および保護シート素材の層に未硬化接着剤の層を適用する工程、硬化される際の前述の接着剤および前述の保護シート素材は相互に第一の接着能力Aを示
し、そして前述の開口のあるシート層および硬化される際の前述の接着剤は相互に第二の接着能力Aを示し、前述の第二の接着能力Aは前述の第一の接着能力Aより大きい、
前述の開口のあるシート層、前述の保護シート素材の層および前述の未硬化接着剤の層を前述の接着剤のための硬化作業に供し、その結果、前述の接着剤の層を、前述の開口のあるシート層の前述の開口の外側に優先的に接着させ、そして前述の保護シート層に前述の開口の少なくとも一部において接着させ、それにより、前述の複合材に、除去の際に、開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている、前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層、から成るシート素材を残す、除去可能な保護シート層を含ませる工程、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項8】
開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤塗装層から成る、シート素材を製造するための請求項7による方法で、
保護シート素材の層に未硬化接着剤の層を適用し、
前述の未硬化接着剤の層の上に開口のあるシート層を適用し、
前述の保護シート素材の層、前述の未硬化接着剤の層および前述の開口のあるシート層から得た複合材を前述の接着剤のための硬化作業に供する工程、
から成ることを特徴とする方法。
【請求項9】
開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート層の片面に設けられている前述のシート層の開口の少なくとも一部と対応する開口のある接着剤ゲル塗装層、から成る、シート素材を製造するための請求項7による方法で、
未硬化接着剤が、前述の開口のあるシート素材における前述の開口を通じて、前述の保護シート素材の層に到達するように、開口のあるシート層および、前述の開口のあるシート素材の面上の保護シート素材の層から成る複合シートの上に、未硬化接着剤の層を適用し、
前述の保護シート素材の層、前述の未硬化接着剤の層および前述の開口のあるシート層から得た複合材を、前述の接着剤のための硬化作業に供する工程、
から成ることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−536823(P2010−536823A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−521412(P2010−521412)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【国際出願番号】PCT/EP2008/060840
【国際公開番号】WO2009/024570
【国際公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【出願人】(510047029)レスキン・エヌブイ (1)
【Fターム(参考)】