説明

接着剤組成物

【課題】容器にラベルを貼ることで得られる包装容器について、何ら特別な処理を施す事無く、一般の消費者によって、包装容器から、該ラベルを簡単に剥離して、該ラベルと該容器を分別することを可能とする接着剤組成物、そのような接着剤組成物が塗布されて得られるラベル、そのようなラベルを、容器に貼ることによって得られる包装容器及びそのような包装容器の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマーと、(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉とを、含有する接着剤組成物を提供する。本発明の接着剤組成物を塗布することで得られるラベルは易剥離性に優れ、該ラベルを容器に貼り付けることで得られる包装容器は、容易にラベルと容器に分別することができ、リサイクル性に優れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般消費者に流通する、例えば、アルコール飲料、清涼飲料水及び調味料等を入れるために用いられる包装容器であって、例えば、主に瓶及び缶等の容器に、紙又は樹脂製のラベルを貼付けて得られる包装容器に関する。より具体的には、本発明は、近年、市場から要求される、容器にラベルを貼ることで得られる包装容器及びその容器のリサイクル性に鑑み、何ら特別な処理を施す事無く、一般の消費者によって、包装容器から、該ラベルを簡単に剥離して、該ラベルと該容器を分別することを可能とする接着剤組成物、そのような接着剤組成物を塗布することで得られる易剥離性ラベル、そのような易剥離性ラベルを、瓶及び缶等の容器に貼ることで得られる包装容器及びそのような包装容器の製造方法等に関する。
【背景技術】
【0002】
一般消費者に流通するアルコール飲料用の包装容器として、例えば、ビール瓶を例示できる。ビール瓶に関しては、ビール瓶が一般消費者のもとを流通したとしても、また、ビール瓶が飲食店等を流通したとしても、使用後のビール瓶の回収システムが既に確立されており、リサイクルされている。従って、ビール瓶からラベルが剥離されて、ビール瓶は再利用されている。
【0003】
ところで、ビール瓶は、一般消費者や飲食店等で流通する際に、種々の環境にさらされる。ビール瓶は、例えば、冷却するために水に浸漬され、また、冷蔵庫で保管後、室温中に取り出されて、結露を生じる。そのような場合でも、ビール瓶に貼り付けられたラベルは、ビール瓶から剥離してはならない。従って、ビール瓶に貼り付けるラベルに用いられる接着剤は、一般的に耐水性を有する。
【0004】
また、ビール瓶は、ビール工場から販売店等へ流通する過程で、例えば、運送する時にビール瓶のラベルに衝撃や摩擦が加わり、また、人がそのビール瓶を取扱う際にラベルに同様に衝撃や摩擦が加わることがある。従って、ラベルに生じ得るこのような物理的剥離力に十分に耐える接着力を有する接着剤を用いて、ビール瓶にラベルを接着することも必要である。
従って、通常、ラベルはビール瓶に強固に接着されており、一般にこのようなラベルをビール瓶から剥離することは容易ではない。
【0005】
この強固に接着されたラベルを剥離してビール瓶を再利用するために、通常、以下のような一連の工程による処理が、ビール瓶に施される:
(i)ビール瓶は、加温された強アルカリ水中に浸漬される;
(ii)このアルカリ加温処理によって膨潤して軟化した接着剤に対し、高圧で水を噴射して、ビール瓶からラベルを除去する;及び
(iii)ビール瓶に付着して残った接着剤を、ブラシ等で擦り取る。
【0006】
ビール瓶のリサイクルのために、上述のような一連の工程を行うことは、例えば、下記の点等でコストや生産性等の点で課題がある:
(i)多大な設備を要する、
(ii)加温された強アルカリ水を用いるので労働安全衛生上の危険性がある、
(iii)腐蝕に対する設備への配慮が必要である、及び
(iv)時間がかかる。
従って、現在のところ、ビール瓶のリサイクルは、ビール会社等の極めて大きな負担となっている。
【0007】
一般に流通するビール瓶以外の他の飲料の包装容器についても、包装容器のラベルは、水への浸漬によっても、結露が生じたとしても、ビール瓶と同様に包装容器から剥離してはならない。また、包装容器の流通の過程で加わり得る衝撃や摩擦等によっても、ラベルは剥離してはならない。従って、一般消費者が取り扱うその他の包装容器についても、ビール瓶と同様に、一般にラベルは強固に接着されている。
【0008】
ビール瓶は、上述したような一連の工程による処理によって、再利用されている。しかし、他の包装容器については、そうではない。他の包装容器についても、ビール瓶と同様の処理を行うことが考えられるが、それは、下記の理由から、通常困難である:
(i)一般消費者に流通する他の包装容器は、多様な形状を有する。上述の一連の工程は、通常、機械設備を用いて行われるので、形状に対する自由度(対応性)に乏しい。種々の形状の容器に対応するための機械設備の修正及び変更等は、コストの増加や生産性の低下を生じ、現実的でない。従って、上述の一連の工程は、限られた形状の包装容器(例えば、ビール瓶及び日本酒の一升瓶等)にしか、適用できない;及び
(ii)上述の一連の工程には、強アルカリ水に浸漬することによって接着剤を膨潤、軟化させる工程がある。従って、このアルカリ加温処理に耐え得る材料を用いた容器でなければ、上述の工程を用いることができない。即ち、容器の材質に関する制限もある。従って、上述の工程は、現実的には、ガラス製容器以外の容器のリサイクルについて使用し得るものではない。
【0009】
しかし、近年、家庭ゴミの分別回収の進展や、各容器をその材料毎に回収しリサイクルするシステムが確立されつつあること等から、一般消費者が取り扱うビール瓶等以外の他の一般的な包装容器も、リサイクル可能とするべきとの要求が次第に大きくなりつつある。従って、一般家庭においても、容易にラベルと容器を分別することができる包装容器を提供する必要性が増している。
【0010】
一方、これら包装容器を用いて商品を提供する飲料メーカーや調味料メーカー等の食料品メーカーは、流通の過程で、ラベルが包装容器から剥離することを危惧する。それは、包装材料に入れられる内容物の表示や食品においては賞味期限等の明示等、ラベルに、法律上不可欠な極めて重要な情報が記載され得るからである。
【0011】
そこで、例えば、特許文献1は、所定温度以上に加熱されること又は所定強度以上の光照射を受けることで、接着剤の接着力が低下してラベルが包装容器から剥離可能となる包装容器を開示する。
【0012】
特許文献1は、所定温度以上に加熱することによって接着力が低下する接着剤として、水溶性接着剤をベースとして、これにワックス、アミド化合物及びビスフェノール類等の融点が40〜100℃の粉状の化合物を練り込んだ接着剤、及び酢酸ビニル、ポリアミド、ポリエステル及びウレタン等の軟化温度が40〜100℃のホットメルト接着剤を混合した接着剤を開示する。また、特許文献1は、所定強度以上の光照射を受けると接着力が低下する接着剤として、水溶性接着剤をベースとして、これにクレゾールノボラックとナフトキノンジアジド混合物等のポジ型フォトレジスト系接着剤を含む接着剤を開示する。
【0013】
例えば、特許文献2は、吸水後に接着力が低下する剥離型接着剤組成物(水剥離型接着剤組成物及び熱併用剥離型接着剤組成物)及びその製造方法を開示する。
【0014】
特許文献2は、そのような剥離型接着剤組成物として、ホットメルト接着剤、溶剤系接着剤、光硬化性接着剤、1液タイプの熱硬化性接着剤、2液タイプの熱硬化性接着剤及び感圧接着剤(粘着剤)等のベース接着剤100重量部に対して、澱粉系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂及びポリオキシメチレン系樹脂等の吸水性架橋高分子を1〜200重量部の範囲で含む剥離型接着剤接着剤組成物を開示する。
特許文献2は、更に、界面活性剤や加熱発泡性の気体や液体を内包した熱膨張性粒子を含む接着剤を開示する。
【0015】
例えば、特許文献3は、15℃より狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を持つポリマーと、感圧接着剤とを含有する接着剤から形成され、該ポリマーがドコシルアクリレート40〜70重量部とステアリルアクリレート30〜50重量部とアクリル酸1〜5重量部とドデシルメルカプタン5〜15重量部の共重合体であり、該ポリマーが該接着剤組成物中に1〜50重量%含有されていることを特徴とする包装容器用の易剥離性ラベルを開示する。
【0016】
また、そのような接着剤として、特定の融点または一次転移温度(第1次溶融転移)を有するポリマーを、接着剤中で部分的混和性を有し、相分離結晶化が可能なように感圧接着剤中に含有させて用いる。
【0017】
しかし、特許文献1が開示する光照射や熱でラベルの接着力を低下させる方法は、剥離する際に常に光照射装置や加熱装置が必要である。従って、一般消費者が家庭で実施するためには、そのような加熱装置や光照射装置が必要であり、これらの装置のコストがかかり、実用性、汎用性に欠け、非現実的である。また、特に光照射においては光が接着層に到達することが必要であり、適用できる包装容器は、ラベルや容器自体が光を透過できるものに限られる。また、加熱により接着力を低下させる方法は、加熱の程度により接着力の程度が影響を受け易く、ラベル自体の強度によってはラベル自体が破壊する場合もあり、種々のラベルに対する適用性が低い。
【0018】
また、特許文献2が開示する水への浸漬により接着力を低下させる方法は、一般家庭で用いることができるが、水への浸漬時間や水温によって接着力が影響されるという問題がある。更に、ラベルが紙製である場合等のように、ラベル自体が水を吸収する場合、ラベル自体の強度が低下するので、ラベルを容器から剥離することが困難となり易い。また、水に浸漬する時間が長時間を要する場合、簡便さに欠ける。更に、ビール瓶の場合に説明したように、包装容器を水に漬けたり、包装容器に結露を生ずる場合、接着力が変化し、ラベルの剥離等を生じ得、包装容器が流通する際の信頼性に問題がある。
【0019】
更に、光照射や加熱、水浸漬などの処理を施して接着力を低下させる方法では、いずれも各処理によって接着層を軟化させて接着力を低下させるので、ラベルを剥離する際に、接着剤が凝集破壊を生じる場合が多い。従って、接着剤は、容器に残りやすく、容器をリサイクルする際に接着剤が不純物として混入し得るので、残留接着剤をブラシ等でかき取る処理を要するという問題がある。
【0020】
尚、従来、澱粉、ポリビニルアルコール、カゼイン系等の水溶性高分子を含む接着剤の多くは、易剥離性を必要としない用途で好適に用いられてきた。これらの接着剤は、冬場に低温(例えば、約5℃)で保管した際に、接着剤の粘度が極めて不安定になり易く、ラベルへの接着剤の塗布作業や安定な包装容器の連続生産に支障をきたすという問題がある。特許文献1〜3が開示する易剥離性を有する接着剤組成物が、これらの水溶性の高分子を含有する場合、同様に、低温で保管した際に、接着剤の粘度が不安定に成りやすく、同様の問題を生じ得る。更に、熱や光で接着力が低下する接着剤の多くは、接着剤の保管中にも、熱や光に対する管理や注意を必要とする。
【0021】
従って、これらの接着剤を用いて、一年中通して、安定した包装容器を製造するためには、温度、熱及び光等に関する多大な管理や注意等を必要とするという問題がある。
【0022】
【特許文献1】特開平4−35083号公報
【特許文献2】国際公開第WO2002/055626号パンフレット
【特許文献3】特許第3717584号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、その目的は、容器にラベルを貼ることで得られる包装容器について、何ら特別な処理を施す事無く、一般の消費者によって、包装容器から、該ラベルを簡単に剥離して、該ラベルと該容器を分別することを可能とする接着剤組成物、そのような接着剤組成物が塗布されて得られる易剥離性ラベル、そのような易剥離性ラベルを、瓶及び缶等の容器に貼ることによって得られる包装容器及びそのような包装容器の製造方法を提供することである。
【0024】
そのような包装容器は、汎用性の高いものであり、且つ、包装容器が流通する過程で、たとえ、結露等が発生することがあったとしても、接着剤組成物は、安定した接着力を保つことができることが好ましい。更に、ラベルを包装容器から剥離した際に、接着剤は、ラベル側に留まり、容器側に多くは残存しないので、その後の容器の洗浄性に優れる等、容器のリサイクル性に優れることが好ましい。また、低温時など保管時の保存安定性にも優れるため、包装容器を安定に製造して提供できることが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、硬さが制御された水分散性ポリマーと特定の澱粉を混合することによって、機械適性(又は塗布作業性)が良く、適度の接着力を有しながら、易剥離性にも優れ、更に保存安定性に優れる接着剤組成物を得られることを見いだし、本発明を完成させるに至った。
【0026】
即ち、本発明の接着剤組成物は、
(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマーと、
(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉とを、
含んで成る。
この接着剤組成物は、ラベルに塗布して容器に貼ることで、好適に包装容器を製造することができる。従って、包装容器は、ラベルと容器の間に、本発明に係る接着剤組成物を用いて形成される接着剤層を有する。
【0027】
尚、本明細書では、ガラス転移温度(Tg)とは、水分散性ポリマーを20℃で1週間乾燥して得られた厚さ約0.5mmの樹脂のフィルムについて、熱流速示差走査熱量計(島津製作所製のDSC−50型(商品名))を使用して、5℃/分の速度で昇温してDSC曲線を得、そのDSC曲線の変曲点の温度を測定値とする。
また、糊化開始温度は、固形状の澱粉が糊状に変わりはじめる温度とする。この糊化開始温度は、プラストグラム又は顕微鏡で測定する。
水膨潤状態とは、澱粉が水に均質に溶解せず、水を吸っている状態のこととする。
【0028】
(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉(以下、「(B)水膨潤状態の架橋澱粉」ともいう)は、リン酸処理、エポキシ処理又はアジピン酸処理によって架橋された架橋澱粉であることが好ましい。
【0029】
また、(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、水膨潤状態前の吸水倍率が5以下であることが好ましい。
【0030】
また、上記接着剤組成物は、更に糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉を含有することが好ましい。
【0031】
また、上述の(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマー(以下、「(A)水分散性ポリマー」という)は、ゴムラテックスであることが好ましい。
【0032】
また、上述の(A)水分散性ポリマーは、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスであることが更に好ましい。
【0033】
また、上述の(A)水分散性ポリマーは、アクリル樹脂系エマルジョンであっても差し支えない。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る接着剤組成物は、
(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマーと、
(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉とを、
含んで成るので、機械適性が良く、適度の接着力を有しながら、易剥離性にも優れ、更に保存安定性に優れる。
そして、そのような接着剤組成物を用いてラベルが貼られた包装容器は、リサイクル性に優れる。
【0035】
上記接着剤組成物は、(B)水膨潤状態の架橋澱粉が、リン酸処理又はエポキシ処理によって架橋された架橋澱粉である場合、更に、pH安定性に優れる。
上記接着剤組成物は、(A)水分散性ポリマーが、ゴムラテックスである場合、よりフレキシブルで、タックが低くなる。
上記接着剤組成物は、ゴムラテックスのガラス転移温度(Tg)が、−70℃〜+40℃である場合、よりフレキシブルになり、タックも低くなる。
【0036】
上記接着剤組成物は、ゴムラテックスが、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスである場合、極性が低く、ガラス等の容器からの剥離性により優れる。
上記接着剤組成物が、(A)水分散性ポリマーが、アクリル樹脂系エマルジョンである場合、より皮膜を硬質化し易く、硬度による剥離性に優れる。
上記接着剤組成物は、アクリル樹脂系エマルジョンのTgが、−40℃〜+30℃である場合、より適度な皮膜硬度となり、剥離性により優れる。
【0037】
本発明は上述のように優れた効果を奏するものであり、その理由は、以下のように考えられるが、本発明は、これらの理由によって、何ら制限を受けるものではない。
【0038】
本発明の包装容器は、ラベルと容器の間に接着剤層を有し、該接着剤層は、(A)水分散性ポリマーと(B)水膨潤状態の架橋澱粉とを含有することを特徴とする接着剤組成物を用いて製造される。接着剤層中に水が存在している間は、極性の高い材料であるラベル又は容器の表面に対して、該接着剤層中で極性の高い成分である(B)水膨潤状態の架橋澱粉が、効果的に作用し、ラベル又は容器に対して良好な密着性を与えることにより、接着剤層に優れた接着性を付与すると考えられる。
【0039】
また、同時に、(B)水膨潤状態の架橋澱粉が、本発明に係る接着剤組成物の流動性を支配するため、本発明に係る包装容器を製造する際に、該架橋澱粉は、該接着剤組成物が用いられる機械に適する特有の塗布適性を、該接着剤組成物に付与することができる。
【0040】
また、該接着剤組成物中の、(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、通常は、水の共存下、該架橋澱粉の糊化開始温度以上の温度に、該架橋澱粉を加熱することによって得られる。尚、このような熱処理をする前は、該架橋澱粉は、粉状の形態を有する。この熱処理によって、該架橋澱粉は、水中に分子レベルで均一に溶解することはないが、水分を吸収して膨潤する形態となる。一般に、水中に溶解した澱粉を含む水系接着剤や水溶性高分子を含む多くの水系接着剤では、低温時に水素結合の形成によって生ずると考えられる接着剤全体の粘度増加を生じ、また、ゲル化と呼ばれる流動性のない状態になり易いことが知られている。これに対し、本発明に係る接着剤組成物では、該架橋澱粉は、上述のような水分を吸収した膨潤形態を有し、水に均一に溶解することがないため、接着剤全体の粘度増加を生じにくく、流動性のない状態に成りにくい。また、本発明に係る接着剤組成物は、実質的に光や熱により反応し又は変質するものではないので、長期の保存時や保管温度に対して粘度安定性に優れる。
【0041】
その後、本発明に係る接着剤組成物を用いて形成された接着剤層をラベルと容器の間に有する包装容器を養生すると、該接着剤層から徐々に水分が拡散又は揮散して、最終的には散逸する。水分が散逸する過程で、接着剤組成物中に含まれている(A)水分散性ポリマーが連続相を形成する。これに対し、接着初期の段階でラベル又は包装容器に対して良好な密着性を有することで、接着剤層に優れた接着性を付与した(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、水が散逸する過程で、水膨潤状態ではなくなり、極めて硬質のポリマー粒子に変化する。そのため、該架橋澱粉は、接着剤層中で、上述の(A)水分散性ポリマーで形成される連続相中に、粒子状の分散相、即ち、ドメイン状の非連続相を形成する。
【0042】
この水分が散逸する過程で、ラベル又は容器と接着剤層との界面では、水分の散逸に伴って接着剤層の体積が収縮することによって、接着剤層の内部に応力(即ち、ひずみ)が発生すると同時に、上述したように、本発明に係る接着剤組成物に含まれる極性の低い成分である(A)水分散性ポリマーが連続相を形成するので、特に、上述した接着剤組成物の成分の浸透や物理的な投錨効果が少ない容器と接着剤層との界面においては、化学的な親和性が損なわれる。このように、接着剤層内の内部に発生する内部応力による歪と、化学的な親和性の損失が、接着剤層の密着性を低くする効果を与える。更に、水の散逸によって該接着剤層内で、極めて硬質のポリマー粒子となった(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、最終的にはフィラー(又は充填剤)成分と同様に、接着層中で異物となり、接着剤層に物理的に剥離性を与える。よって、本発明に係る接着剤組成物を用いる事により、ラベル又は容器の内、特に容器との最終的な密着性を接着剤組成物の組成により比較的自由にコントロールすることが可能となる。
【0043】
更に、本発明に係る接着剤組成物を用いることで、最終的には(A)水分散性ポリマーが、水分の散逸後、極性の低い連続相を形成し、接着剤層は全体として極性が低くなる。そのため本発明に係る接着剤組成物によって形成される接着剤層は、極めて極性の高い水を大量に吸収し難く、また、接着剤層は水分によって軟化し難いので、耐水性や耐湿性に優れる。従って、本発明に係る包装容器は、冷蔵保管後の処理の後に包装容器に生じる結露によっても、接着剤層の接着力が変化しにくいという耐水性も併せ持つことができる。更に、これら(A)水分散性ポリマーは、ポリマー粒子の融着と同時に造膜するため、通常の水溶性ポリマーを主成分とする接着剤と比較して、ラベル接着工程における初期接着力に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明に係る接着剤組成物は、(A)ガラス転移温度(Tg)が+40℃以下の水分散性ポリマー((A)水分散性ポリマー)と、(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉((B)水膨潤状態の架橋澱粉)とを含有する。
【0045】
(A)水分散性ポリマーは、室温下で粒子が融着することによって成膜するものであって、本発明に係る接着剤組成物を得ることができるものであれば特に制限されることはない。
(A)水分散性ポリマーとして、一般的には、例えば、接着剤組成物から形成される接着剤層に、フレキシビリティーを付与することができるものであって、(A)水分散性ポリマー自体の凝集力が高いゴムラテックスが好ましい。
【0046】
そのようなゴムラテックスとして、例えば、天然ゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム(SBR)及びこれらの(メタ)アクリル変性物の水分散体等を例示することができる。これらの中でも極性の低いSBRラテックスを用いることが特に好ましい。
ゴムラテックスのTgは、−70℃〜40℃であることが好ましく、−50℃〜30℃であることがより好ましく、−40℃〜20℃であることが特に好ましい。
【0047】
また、(A)水分散性ポリマーとして、極性と凝集力の観点ではスチレンブタジエン共重合体ラテックスほどではないが、各種モノマーの組み合わせにより比較的自由に極性と凝集力をコントロールすることができるアクリル樹脂系エマルジョンを用いることができる。
これらアクリル樹脂系エマルジョンとしては、一般のアクリル酸エステル系モノマー、メタアクリル酸エステル系モノマー、スチレンモノマー等の重合性の2重結合を有する各種モノマーを組み合わせて重合させることによって得られるものであれば特に制限はない。
【0048】
そのような重合性の2重結合を有するモノマーとして、例えば、
一般式(I)CH=CR1COOR2
(式中、R1は水素又はメチル基、R2は炭素数1〜18のアルキル基である)で表され、R2がメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、イソアミル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、イソオクチル基、イソノニル基、イソデシル基等である(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類、酢酸ビニル、バーサチック酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル等のビニルエステル類、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等の水酸基含有単量体、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等のアミド基含有単量体、スチレン、スチレン誘導体、エチレン、アクリルニトリル、ブタジエン、ヘキサジエン等のジエン類、更に、内部架橋剤として、メチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の多官能性アクリル系単量体及びジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート等の不飽和二重結合を1分子に2個以上有する単量体を例示することができる。
これらの単量体は、単独又は組み合わせて使用することができる。
【0049】
ただし、生成したポリマーのTgが極端に低い場合は、このポリマー成分によって本発明で用いられる接着剤組成物の粘着性が強くなり過ぎて易剥離性が低下する傾向があるため、これらアクリル樹脂系エマルジョンのポリマーのTgは、−50℃〜40℃であることが好ましく、特に望ましくは−40℃〜20℃、最も望ましくは−30℃〜10℃であることが更に好ましい。
【0050】
本発明に係る(A)水分散性ポリマーとして、アクリル樹脂系エマルジョンを用いることができる。これらアクリル樹脂系エマルジョンとしては、一般のアクリル酸エステル系モノマー、メタアクリル酸エステル系モノマー、スチレンモノマー、酢酸ビニルをはじめとする各種ビニルエステル系モノマー、アリル基含有モノマー、エチレンモノマー等の重合性の2重結合を有する各種モノマーを組み合わせて、公知の重合方法によって水媒体中にポリマーを水分散状態で存在させることによって得ることができる。
【0051】
また、(A)水分散性ポリマーとして、ゴムラテックスを用いることができる。これらゴムラテックスとしては、天然ゴム、二トリルゴム、クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴムやこれらの(メタ)アクリル変性物の水分散体等を例示することができる。
そのような(A)水分散性ポリマーとして、例えば、市販品では、日本エヌエスシー株式会社製のヨドゾールAD199及びAD205(商品名)、日本ゼオン株式会社製の二ポール1571C(商品名)を例示することができる。
【0052】
これらの中でも極性の低いSBRラテックスを用いることが特に好ましい。SBRラテックスの市販品として、例えば、旭化成株式会社製のL7430及びDL620(商品名)、日本ゼオン株式会社製のLX426(商品名)を例示することができる。
【0053】
(B)水膨潤状態の架橋澱粉とは、架橋澱粉を、水の存在下、その架橋澱粉の糊化開始温度以上の温度で加熱することによって得られるものであって、本発明に係る接着剤組成物を得られるものであれば、特に制限されるものではない。架橋澱粉は、上述の熱処理をすることによって、(B)水膨潤状態の架橋澱粉となり、得られた(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、水中に分子レベルで均一に溶解することがなく、水を大量に吸収した膨潤形態になる。また、(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、接着後の水分の散逸と共に極めて硬質のポリマー粒子となり得るものが、より好ましい。
【0054】
(B)水膨潤状態の架橋澱粉を得るために施される熱処理によって、(B)水膨潤状態の架橋澱粉が、水中に分子レベルで均一に溶解することを防止するために、(B)水膨潤状態の架橋澱粉には、架橋処理が施されている。架橋処理は、(B)水膨潤状態の架橋澱粉が、水で膨潤するが、水に溶解することがないものであれば特に限定されるものではないが、例えば、リン酸処理、エポキシ処理又はアジピン酸処理であることが好ましく、リン酸処理又はエポキシ処理であることがより好ましく、特にリン酸処理であることが最も好ましい。
【0055】
本発明に用いられる架橋澱粉の原料澱粉は、可能な限り、粒子径分布が狭く、適度な平均粒子径を有するものが好ましい。
本発明に用いられる架橋澱粉は、上記原料澱粉を、エピクロルヒドリン、オキシ塩化リン、メタリン酸塩及び無水アジピン酸等のいずれかの架橋剤で架橋された架橋澱粉であることが好ましく、エピクロルヒドリン又はメタリン酸塩(例えば、トリメタリン酸ナトリウム等)で架橋された架橋澱粉であることがより好ましい。
(B)水膨潤状態の架橋澱粉を得るための架橋澱粉の市販品として、例えば、日澱化学社製のPB5000及びPB2000(商品名)等を例示できる。
【0056】
本発明に係る接着剤組成物は、(A)水分散性ポリマーと(B)水膨潤状態の架橋澱粉を、(A)水分散性ポリマー/(B)水膨潤状態の架橋澱粉(重量比)=95/5〜30/70で含むことが好ましく、90/10〜40/60で含むことがより好ましく、80/20〜60/40で含むことが特に好ましい。ここで、重量比は、各々の固形分の比をいう。
【0057】
本発明に係る接着剤組成物は、更に、(C)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉(以下、「(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉」という)を含むことができる。
(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉とは、疎水化澱粉を、水の存在下、その疎水化澱粉の糊化開始温度以上の温度で加熱することによって得られるものであって、本発明に係る接着剤組成物を得られるものであれば、特に制限されるものではない。
【0058】
(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉として、疎水基変性量の高いものが好ましく、金属架橋構造を有するものが特に好ましい。
【0059】
そのような(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉として、例えば、オクテニルコハク酸エステル化澱粉を例示することができる。(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉を得るための疎水化澱粉の市販品として、例えば、日本エヌエスシー株式会社製のDry FLO PC(商品名)、日澱化学社製のフラッシュゲン、乳華及び乳華W(商品名)を例示できる。
【0060】
本発明に係る接着剤組成物は、(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉は、(A)水分散性ポリマー、(B)水膨潤状態の架橋澱粉及び(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉の合計を基準(100重量部)として、1〜80重量部含んでよく、5〜30重量部含んでよい。本発明に係る接着組成物は、(C)水膨潤又は水溶液状態の疎水化澱粉を含むことで、系の極性を極端に高めて、ガラス瓶等の容器への密着性を高めてしまうことなく、適度に粘性をコントロールすることができるので、機械適性がより向上し得る。ここで、重量部は、各々の固形分をいう。
【0061】
本発明の接着剤組成物は、更に他に添加剤を含むことができる。そのような添加剤は、一般的に接着剤組成物に関して使用され、本発明の接着剤組成物に使用できるものであれば、特に制限されるものではない。そのような添加剤として、カゼイン;メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等の各種セルロース誘導体;ポリビニルアルコール、イソブチレン無水マレイン酸共重合樹脂、スチレン無水マレイン酸共重合樹脂、ポリオキシエチレン及びポリエチレングリコール等の各種水溶性ポリマー;ロジン系、テルペンフェノール系及び石油樹脂系等の各種粘着付与樹脂;ジルコニウム化合物及び酸化亜鉛の金属架橋剤;消泡剤、防腐剤、pH調整剤及び金属キレート剤等を例示することができる。
【0062】
上記のような本発明で用いられる接着剤組成物の成分は、包装容器を構成するラベル及び容器等の各材料の種類等によって適宜選択され、変更することができる。
【0063】
本発明に係る接着剤組成物は、上述したように(A)水分散性ポリマー及び(B)水膨潤状態の架橋澱粉を含む。(A)水分散性ポリマー及び(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、共に、通常水性媒体を含むので、本発明に係る接着剤組成物も、通常、水性媒体を含む、水性(又は水系)の接着剤組成物である。
尚、本明細書において「水性」とは、ポリマー粒子が水媒体中に存在する状態、好ましくは分散する状態を意味し(一部に、水に均一に溶解する水溶性ポリマーを含んでいてもよい)、従って、ポリマー粒子と水媒体の両方を含む。「水性媒体」とは、主に蒸留水、イオン交換水、及び純水等のいわゆる水をいうが、水溶性の有機溶剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、アセトン及び低級アルコール等を適宜含むことができる
また、本明細書において「接着剤組成物の固形分」とは、後述する実施例に記載するように、接着剤組成物から水性媒体を105℃で3時間蒸発させた「蒸発残分」を意味し、従って、水性媒体を含まない。
【0064】
本発明に係る接着剤組成物の固形分濃度は、本願発明が目的とする性質を有する接着剤組成物及び接着剤層を得ることができるものであれば、特に限定されるものではないが、80〜5重量%であることが好ましく、60〜10重量%であることがより好ましく、50〜30重量%であることが特に好ましい。
【0065】
本発明の包装容器に用いられる「ラベル」は、一般に「ラベル」とされるものであって、本発明に係る接着剤組成物が塗工されて、ラベルから水分が散逸することができるものであれば、特に制限されるものではない。そのようなラベルとして、例えば、紙、合成樹脂フィルム、アルミニウム、及びこれらが積層されて得られる複合フィルム等の材質からなるものであり、容器に接着して水分が散逸することができるものを例示することができる。これらのラベルの片面又は両面に、通常、何らかの情報が表示されている。
【0066】
また、本発明の包装容器を製造するために用いられる容器は、本発明に係る包装容器を得られるものであれば、特に制限されるものではない。そのような容器として、例えば、ガラス製、PET及びポリプロピレン等の合成樹脂製及び金属製等の瓶、ボトル、缶、袋等であってよく、更に、それらの表面に、種々の樹脂コーティングを施したもの、PET製のシュリンクフィルムを付帯させたもの、及び印刷処理等を施したもの等を例示することができる。
これらの容器は、一般に流通しているものであって、本発明に係る包装容器を得ることができるものであれば特に制限されるものではない。容器の表面の粗さが大きいものは、ラベルと容器の接着後に、接着剤層の投錨効果によって、接着剤層の容器表面への接着性が増加して、ラベルの易剥離性を損うこともあるので、容器の表面は平滑であることが好ましい。
【0067】
上述した接着剤組成物をラベルに塗布して、ラベルに接着剤層を形成する。ラベルに該接着剤組成物を塗布(又は塗工)する方法及び装置は、例えば、スプレー塗布、ノズル塗布、浸漬塗布、ロール塗布、グラビア塗布、圧延塗布、刷毛塗り等の一般的に、接着剤組成物をラベルに塗布するために使用される塗布方法及び塗布装置を使用することができる。そのような塗布方法及び塗布装置は、本発明に係る接着剤組成物の粘度や粘性を考慮して適宜選択することができ、本発明に係る接着剤組成物をラベルに塗布することができる塗布方法及び塗布装置である限り、特に制限されることなく用いることができる。
飲料用及び調味料用の包装容器製造分野では、一般にラベラーと呼ばれる縦型又は横型のロール塗布装置を備える包装容器製造ラインが用いられる。本願発明に係る接着剤組成物は、これらの縦型又は横型のロール塗布装置に対する塗布適性が特に高いので、これらの塗布装置を用いることが特に好ましい。
【0068】
ラベルへの上記の接着剤組成物の塗布量は、一般的には、3〜40g/mであることが好ましく、5〜20g/mであることがより好ましく、7〜15g/mであることが特に好ましい。この接着剤組成物のラベルに塗布する量は、上述の塗布装置を用いて、適宜変更することができる。
ここで、接着剤組成物の塗布量とは、水分を含んだ状態の接着剤組成物そのものの量を意味する。
【0069】
本発明に係る接着剤組成物をラベルに塗布し、水分が散逸して形成される接着剤層の厚さは、1〜35μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることが特に好ましい。
本発明に係る接着剤層は、上述の接着剤層の厚みを有することが好ましく、その場合、本発明に係る(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、接着後に水分が散逸すると共に極めて硬質のポリマー粒子となり、接着剤層中で粒子状の分散相となってドメイン状に非連続相を形成し得ると考えられる。(B)水膨潤状態の架橋澱粉から形成される粒子状の分散相の粒子径が接着層全体の厚みに近い場合、又は接着剤層全体の厚みより適度に大きい場合、より有効に接着層中の異物となって物理的な剥離効果を発揮すると考えられる。従って、(B)水膨潤状態の架橋澱粉から形成される粒子の直径は、1〜30μmであることが好ましく、3〜20μmであることがより好ましく、5〜15μmであることが特に好ましい。
【0070】
ラベルに塗布される該接着剤組成物の塗布量が40g/mより多い場合、(B)水膨潤状態の架橋澱粉から形成される粒子の直径より、接着剤組成物から形成される接着剤層の厚さが大きくなり、該粒子による剥離効果は弱くなり得ると考えられる。逆に、該接着剤組成物の塗布量が3g/mより少ない場合、(B)水膨潤状態の架橋澱粉から形成される粒子の直径より、接着剤層全体の厚みが小さくなるので、該粒子による剥離効果は強くなり得ると考えられる。また、水分の乾燥や浸透による乾燥が早すぎ、実用上、接着工程に支障をきたし得る。
【0071】
本発明に係る接着剤組成物では、このような接着剤組成物の塗布量を制御することとあわせて、(i)(B)水膨潤状態の架橋澱粉から形成される粒子の直径を制御すること、(ii)(A)水分散性ポリマーと(B)水膨潤状態の架橋澱粉との存在比(重量比)を制御すること、(iii)接着剤層の相構造を制御すること、及び(iv)接着剤層の極性を制御すること等によって、接着剤層の接着力が制御される。
【0072】
上述したようにラベルの片面に接着剤組成物が塗布されて、接着剤層が形成され、該接着剤層の水分が散逸するまでに、ラベルは容器に貼付され、その後、接着剤層から水分が散逸して本発明に係る包装容器が得られる。
【0073】
このようにして製造される本発明に係る包装容器のラベルと容器の間の接着力は、上述したように、接着剤組成物の組成によって制御することができるので、包装容器の目的とする用途及び種類に応じて、包装容器を製造することができる。
【0074】
従って、該包装容器の保管や運送中等の包装容器の内容物が消費されるまでの流通過程において、該包装容器のラベルは、包装容器から脱落し、部分的に剥離することがないにも拘わらず、包装容器の内容物が消費された後は、該包装容器に何ら特別な処理を施すことなく、ブラシやヘラなど一般の家庭でも簡単に入手可能な器具類を用い又は手で容易に包装用容器からラベルを剥離して容器を分別することができる。
【0075】
尚、本発明に係る包装容器も、ビール瓶等をリサイクルする上述の既存の設備を用いて、ラベルを容器から剥離する処理を行うことができる。その場合、ラベルを剥離するために前処理を何ら必要としないために洗浄剤が不要であり、従来より容易にラベルを剥離できるために短時間で処理することが可能である。
【0076】
以下に、本発明の主な態様を記載する。
1.
(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマーと、
(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉とを、
含有する接着剤組成物。
2.
(B)水膨潤状態の架橋澱粉は、リン酸処理又はエポキシ処理によって架橋された架橋澱粉である上記1に記載の接着剤組成物。
3.
(A)水分散性ポリマーは、ゴムラテックスである上記1又は2に記載の接着剤組成物。
4.
ゴムラテックスは、ガラス転移温度(Tg)が−70℃〜+40℃である上記3に記載の接着剤組成物。
5.
ゴムラテックスは、スチレンブタジエンゴム(SBR)ラテックスである上記3に記載の接着剤組成物。
6.
(A)水分散性ポリマーは、アクリル樹脂系エマルジョンである上記1又は2に記載の接着剤組成物。
7.
アクリル樹脂系エマルジョンは、Tgが−40℃〜+30℃である上記6に記載の接着剤組成物。
8.
包装容器を製造するために用いられる上記1〜7のいずれかに記載の接着剤組成物。
9.
上記1〜8のいずれかに記載の接着剤組成物を塗布することで得られるラベル。
10.
接着剤組成物の塗布量が3〜40g/mである上記9に記載のラベル。
11.
上記9〜10に記載のラベルが貼り付けられている包装容器。
【0077】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明する。但し、本発明はその要旨を逸脱しない限り以下の実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0078】
実施例1
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一に混合した。これを更に室温まで冷却して粘度35000mPa・s/30℃、pH 8.5、蒸発残分 39.8%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0079】
実施例2
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、日本ゼオン株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名Lx426:ガラス転移温度Tg=−39℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度43000mPa・s/30℃、pH 8.6、蒸発残分 35.7%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0080】
実施例3
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水215gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名DL620:ガラス転移温度Tg=+11℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度11000mPa・s/30℃、pH 6.2、蒸発残分39.4%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0081】
実施例4
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、日本エヌエスシー株式会社製のアクリル樹脂系エマルジョン(製品名ヨドゾールAD199:ガラス転移温度Tg=−14℃)550gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度39,000mPa・s/30℃、pH 8.6、蒸発残分 42.0%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0082】
実施例5
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、日本エヌエスシー株式会社製のアクリル樹脂系エマルジョン(製品名ヨドゾールAD205:ガラス転移温度Tg=−39℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度20,000mPa・s/30℃、pH 7.8、蒸発残分 38.0%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0083】
実施例6
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水200gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が75℃になった時に、日本ゼオン株式会社製のアクリロニトリル・ブタジエン系ラテックス(製品名ニポール1571C:ガラス転移温度Tg=−10℃)650gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度11500mPa・s/30℃、pH 8.2、蒸発残分 39.4%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0084】
実施例7
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB2000:糊化開始温度63℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度79000mPa・s/30℃、pH 8.4、蒸発残分 38.9%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0085】
実施例8
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名レオタック:糊化開始温度64℃、グリシジルエーテル架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度86000mPa・s/30℃、pH 8.5、蒸発残分 38.5%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0086】
実施例9
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水240gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)60gおよび日澱化学株式会社製の疎水化澱粉(製品名乳華W)20gを混合して分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度24000mPa・s/30℃、pH 8.2、蒸発残分 41.1%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0087】
比較例1
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7708:ガラス転移温度Tg=+49℃)600gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度13000mPa・s/30℃、pH 8.7、蒸発残分 38.7%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0088】
比較例2
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。攪拌を継続しながらウォーターバスを用いて内温が85℃になるまで昇温し、そのまま3時間攪拌を継続して水膨潤状態の糊状澱粉を得た。これを更に攪拌を継続しながらそのまま冷却し、内温が50℃になった時に、日本エヌエスシー株式会社製のアクリル樹脂系エマルジョン(製品名ヨドゾールAD184:ガラス転移温度Tg=+57℃)650gを徐々に添加して均一混合した。これを更に室温まで冷却して粘度14,000mPa・s/30℃、pH 8.0、蒸発残分 35.9%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0089】
比較例3
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながら日澱化学株式会社製の架橋澱粉(製品名PB5000:糊化開始温度61℃、リン酸架橋)85gを分散させた。これに更に旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一混合し、粘度180mPa・s/30℃、pH 8.3、蒸発残分 38.4%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0090】
比較例4
1リットルのフラスコに20℃の蒸留水315gを仕込んだ後、攪拌しながらオホーツク網走農業協同組合製の未架橋澱粉(製品名ポテトスターチ:糊化開始温度60℃、未架橋)85gを分散させた。これに更に旭化成株式会社製のスチレン・ブタジエン系ラテックス(製品名L7430:ガラス転移温度Tg=−9℃)600gを徐々に添加して均一混合し、粘度29000mPa・s/30℃、pH 8.1、蒸発残分 37.6%の乳白色の接着剤組成物を調整した。
【0091】
実施例1〜9及び比較例1〜4の接着剤組成物について、種々の性能について試験をした。その試験の操作及び評価を、以下に示す。
粘度
各接着剤組成物を30℃の温浴中に浸し、内容物が30℃になった事を確認した後、BH型粘度計を用いて20rpmでの接着剤組成物の粘度を測定した。
pH
pHメーターを用いて、各接着剤組成物のpHを測定した。
蒸発残分
各接着剤組成物をアルミ皿上に約1g取り、精秤後に105℃の恒温器中に入れて3時間乾燥した。乾燥後の接着剤組成物の重量を精秤した後、次式に従って、蒸発残分N.V.を算出した。

蒸発残分N.V.(%)
={乾燥後の接着剤組成物重量(g)/乾燥前の接着剤重量(g)}×100
【0092】
機械適性
小型簡易ロール塗工試験機(株式会社メック製)を用いて、上質紙に各接着剤組成物を塗工した。この際、ロールから接着剤組成物の垂れがなく、接着剤組成物の塗工量を10〜30g/mに制御できたものを○、垂れが生じたり、塗工量を10〜30g/mに制御できなかったものを×と評価した。○は、合格であり、×は、不合格である。
【0093】
易剥離性
幅25mm、長さ15cmに切断した上質紙表面に、各接着剤組成物をバーコーターで塗工量10〜20g/mになるように塗工し、この上質紙を直ぐに市販のガラスびんボトル(東洋ガラス製FTB600HC)に手で圧着した。これらを23℃、60%RHの高温室中で7日間養生した。これらの試験片について引張り試験機を用いて引張り速度50mm/minで約90°方向に剥離した時の引張り強度を測定し、以下の判定基準に基づき判定した。

判定基準:◎は、剥離強度は1〜5N/25mmであり、紙の破壊がない
○は、剥離強度は1〜5N/25mmであり、
紙の破壊が接着面積に対して30%以下のもの
△は、剥離強度は、5N/25mmより大きく、
紙の破壊が接着面積に対して30%以下のもの
×は、紙の破壊が接着面積に対して30%より大きいもの
××は、剥離強度は、<1N/25mmより小さいもの
◎、○、△が合格であり、×、××は、不合格である。
尚、この判定基準に記載した1〜5N/25mmである剥離強度とは、何ら特別な処理を施す事無く、包装容器から、該ラベルを簡単に剥離して、該ラベルと該容器を分別することを可能とする、適度な剥離強度である。
【0094】
低温貯蔵安定性
各接着剤をガラスビンに密閉し、5℃の恒温室中に3か月間放置した。3か月後に各接着剤組成物の粘度を30℃で上記の粘度測定の記述と同様の方法で測定した。調製直後に同様に測定した粘度との比(以下これを「増粘率%」という)について、次式を用いて算出した。この増粘率が150%以下のものを○、150%以上のものを×として判定した。また、増粘率が150%以下であり、接着剤に外観上2層以上の分離が認められるものを××とした。

増粘率(%)
={3ヶ月後の粘度(mPa・s)/調製直後の粘度(mPa・s)}×100
○が、合格であり、×及び××は、不合格である。
【0095】
【表1】

【0096】
表1に示すように、本発明に係る接着剤組成物は、機械適性、易剥離性及び低温貯蔵安定性のバランスに優れており、ガラス瓶に貼り付けるラベルに塗布する接着剤組成物として好適である。
比較例1及び2の接着剤組成物は、易剥離性が著しく低い。これは、接着剤組成物に含まれる水分散ポリマーのガラス転移温度が40℃より高いことに起因すると考えられる。
比較例3の接着剤組成物は、機械適性、易剥離性及び低温貯蔵安定性等の評価項目の全てが不合格になっている。比較例3は、実施例1〜6の接着剤に含有されている架橋澱粉(PB5000:糊化開始温度61℃)を用いているが、この架橋澱粉を熱処理せずに配合したため、性能が低い接着剤組成物が得られたと考えられる。
比較例4の接着剤組成物は、架橋澱粉ではなく、未架橋の澱粉を含むので、易剥離性及び低温貯蔵安定性に乏しいと考えられる。
【0097】
このように、(A)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉、及び(B)ガラス転移温度が40℃以下の水分散ポリマーの両方を含む接着剤組成物は、機械適性、易剥離性及び低温貯蔵安定性が向上し、容器にラベルを貼り付けるために使用する接着剤組成物として好適であることが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ガラス転移温度が40℃以下の水分散性ポリマーと、
(B)糊化開始温度以上の温度で水と共に熱処理された水膨潤状態の架橋澱粉とを、
含有する接着剤組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の接着剤組成物を塗布することで得られるラベル。
【請求項3】
請求項2に記載のラベルが貼り付けられている包装容器。