説明

接続装置および画像形成システム

【課題】本発明の目的は、簡単な構成で、ガタつきがなく確実にロック可能な接続装置を提供することである。
【解決手段】画像形成装置本体11に設けた位置決めピン17に係合するロッキングユニット18を画像形成装置本体11に対して切り離し可能に接続するシート処理装置13に設け、画像形成装置本体11とシート処理装置13とを接続する接続装置であって、ロッキングユニット18は、位置決めピン17と異なる2つの接点P1,P2で支持する固定面21a,21bを有するベース板21と、2つの接点P1,P2に対して位置決めピン17を固定するカム面23bを有し、ベース板21に設けた回転支点S1を中心に、カム面23bが位置決めピン17に対して接する第1の方向または離れる第2の方向に、回転可能に支持されたロックカム23と、を有し、回転支点S1からカム面23bまでのカム径Rは、第1の方向上流側ほど大きくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1のユニットに対して第2のユニットを切り離し可能に接続する接続装置に関するものである。特に複写機、プリンタなどの画像形成装置本体とこの画像形成装置本体に接続して用いるシート処理装置などのオプション装置との接続装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成システムとしては、例えば図11に示すように、シートに画像を形成する画像形成装置本体1と、この画像形成装置本体1に対して切り離し可能に接続して用いるシート処理装置3と、を有する画像形成システムが知られている。
【0003】
この画像形成システムでは、図11に示すように、画像形成装置本体1より延出して設けられた案内レール2に沿って案内されるシート処理装置3が、後述する接続装置によって、画像形成装置本体1と切り離し可能に接続される。
【0004】
シート処理装置3は、画像形成装置本体1より出力される画像形成されたシートを受け取った後、整合、折り、穿孔、ステイプル等の処理を選択的に行い、処理トレイ3a上に処理済みシートを積載する装置である。
【0005】
画像形成装置本体1のメンテナンス時は、開閉扉4を開閉することより画像形成装置本体1の内部にアクセスする。その際、キャスター3bによりシート処理装置3を画像形成装置本体1から引き離すようにスライドさせる。
【0006】
画像形成装置本体1とシート処理装置3のいずれか一方に、図12(a)に示すような回転自在の軸6aの両端に固定したフック6bを備えたロック部材6を有する接続装置が設けられている。他方には、このロック部材6と係り止め合う軸状の被ロック部材5が設けられている。この接続装置によって画像形成装置本体1とシート処理装置3は位置決めおよび接続されている。
【0007】
接続装置が有するロック部材6と被ロック部材5との接続状態を図12(b)に示す。被ロック部材5はフック6bに設けられた溝6cに嵌り込むことで接続される。一般的にロック部材6が確実にロック位置にセットされるように、溝6cの溝幅dは被ロック部材5の外径cよりも大きく(d>c)設定されている。
【0008】
ロック部材6を、ロック部材6と接続されたハンドル(不図示)により図中の矢印a方向へ回転させると、ロック部材6が被ロック部材5にロックされて、前述したように画像形成装置本体1とシート処理装置3とが位置決めされ、接続される。一方、ロック部材6を、図中の矢印b方向へ回転させるとロックが解除されて、画像形成装置本体1とシート処理装置3は離間可能な状態となる。
【0009】
シート処理装置3が離間可能な状態になった後、案内レール2に沿ってシート処理装置3をキャスター3bにより移動させることで、画像形成装置本体1との間に空間が設けられる。この空間を利用して開閉扉4を開放することにより、不図示のシート搬送装置や画像形成にかかわる定着装置などのメンテナンスおよび紙詰まりの処理を行う。
【0010】
また切り離し可能なシート処理装置の構成としては、特許文献1に開示されているような溝付きの位置決めピンの溝に鍵穴状のロックプレートを係合する方法も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2006−313252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述した接続装置では、ロック部材6の溝6cの溝幅dと被ロック部材5の外径cがd>cの関係であるため、ある程度のガタがある。そのため、例えば、軸方向一方側と他方側のロック部材6と被ロック部材5との間でガタに差が生ずると、画像形成装置本体1に対するシート処理装置3の接続が軸方向において斜めになる可能性がある。この場合、シート搬送にズレを生じたり、紙詰まりの原因等になるおそれがある。
【0013】
前述のガタつきを防止するための対応策として、シート処理装置3を画像形成装置本体1に対して引き込むもしくは押し出すような付勢手段を設けることが考えられる。しかしながら、この場合、付勢力を付加したことにより、接続時もしくは離間時のいずれかにおいて操作力が増大し、ユーザビリティの低化を招くおそれがある。
【0014】
そこで、本発明の目的は、ガタつきがなく確実にロック可能な接続装置を提供することである。また、簡単な構成で接続装置のガタに起因する問題を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するため、本発明は、第1のユニットに設けられた被ロック部材に係合するロック手段を前記第1のユニットに対して切り離し可能に接続する第2のユニットに設け、前記第1のユニットと前記第2のユニットとを接続する接続装置であって、前記ロック手段は、前記被ロック部材と異なる2つの接点で支持する支持面を有するベース部材と、前記2つの接点とは異なる接点で前記被ロック部材と接し、前記2つの接点に対して前記被ロック部材を固定するカム面を有し、前記ベース部材に設けられた回転支点を中心に、前記カム面が前記被ロック部材に接する第1の方向または前記カム面が前記被ロック部材から離れる第2の方向に、回転可能に支持されたロックカム部材と、を有し、前記回転支点から前記カム面までのカム径は、前記第1の方向上流側ほど大きくなるように形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ガタつきがなく確実にロック可能な接続装置を提供することができる。また、簡単な構成で接続装置のガタに起因する問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る画像形成装置の断面図
【図2】第1実施形態に係る画像形成装置およびシート処理装置の正面図
【図3】第1実施形態に係る画像形成装置およびシート処理装置の上面図
【図4】第1実施形態に係るロッキングユニットの斜視図
【図5】第1実施形態に係るロッキングユニットの詳細図
【図6】(a)〜(e)第1実施形態に係るロッキングユニットの動作図
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置およびシート処理装置33の正面図
【図8】第2実施形態に係るロッキングユニットの斜視図
【図9】(a)、(b)第2実施形態に係るロッキングユニットの動作図
【図10】(a)、(b)第2実施形態に係る画像形成装置およびシート処理装置の設置状態を表した正面図
【図11】従来の画像形成装置およびシート処理装置の斜視図
【図12】(a)従来のシート処理装置のロック手段の斜視図、(b)従来のシート処理装置のロック部材の詳細図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、以下の説明で一度説明した部材についての材質、形状などは、特に改めて記載しない限り初めの説明と同様のものである。
【0019】
〔第1実施形態〕
第1実施形態に係る画像形成装置本体とオプション装置とを有する画像形成装置(画像形成システム)について説明する。ここでは、オプション装置として、画像形成装置本体から排出されたシートに処理を施すシート処理装置を例示している。図1は本発明に係る画像形成装置の断面図、図2は第1実施形態に係る画像形成装置本体11とシート処理装置13が切離した状態の正面図を示している。
【0020】
本発明に係る画像形成装置10を図1に用いて説明する。画像形成装置10は、電子写真方式の複写機である画像形成装置本体11と、オプション装置としてのシート処理装置13とを備えている。シート処理装置13は、画像形成装置本体11に接続されて、シート処理手段としての平綴じ用のステイプラ1300を備えている。画像形成装置本体11から排出されたシートは、そのままシート処理装置13内に取り込まれ、いわゆるオンラインで処理することができるようになっている。本実施の形態においてシート処理装置13は着脱可能なオプションとして設定されており、画像形成装置本体11単独でも使用可能になっているが、シート処理装置13を標準装備として画像形成装置本体11内に組み込んだ一体型であってもよい。
【0021】
画像形成装置本体11内の供給手段としてのカセット1010a,1010bから給送されたシートは、それぞれ画像形成手段としてのイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの感光体ドラム1020a乃至1020dに向けて供給される。そして、各色現像部によって現像された4色のトナー像がシート上に転写された後、転写されたシートが定着器1030に搬送され、シート上のトナー画像が熱と圧によって定着されて機外に排出される。
【0022】
図2に示すように、画像形成装置本体11は、キャスター16と不図示のアジャスターによって床面に対して固定されている。画像形成装置本体11から排出されたシートは、シート処理装置13に送られる。シート処理装置13は、画像形成装置本体11から排出されたシートを順に取り込む。そして、取り込んだ複数のシートを整合して1つのシート束に束ねる処理(整合処理)、束ねたシート束の後端(シート搬送方向の上流端)をステイプラ1300で綴じるステイプル処理など、各種処理を行い、積載トレイ14上に処理済シートを載置する。そして、画像形成装置本体11に固定されたラフガイドとしての案内レール12により、シート処理装置13はその移動が規制され、良好に画像形成装置本体11に対して再接続が可能となる。
【0023】
シート処理装置13はキャスター15により案内レール12の延伸方向に移動が可能である。図中の矢印A方向が画像形成装置本体11からの切り離し方向であり、矢印B方向が画像形成装置本体11に対する接続方向となる。
【0024】
次に図3に画像形成装置本体11とシート処理装置13の上面図(C矢視図)を示す。ここでは、第1のユニットとして画像形成装置本体11を例示し、第1のユニットに対して切り離し可能に接続する第2のユニットとしてシート処理装置13を例示している。
【0025】
図3に示すように、第1のユニットである画像形成装置本体11のシート処理装置13との接続面に被ロック部材としての2つ位置決めピン17が案内レール12の延伸方向と直交する方向に各々間隔をおいて固定されている。第2のユニットであるシート処理装置13には、前記位置決めピン17と対向する位置に接続装置を構成する2つのロッキングユニット18が配置されている。2つのロッキングユニット18は、それぞれ、2つの位置決めピン17に係合解除可能に係合するロック手段である。
【0026】
前記2つの位置決めピン17に前記2つのロッキングユニット18が係合することによって、画像形成装置本体11とシート処理装置13とが接続される。なお、ロッキングユニット18の接続解除を行うための解除ボタン(ロック解除部材)19がシート処理装置13の正面上部に設けられている。
【0027】
続いて図4及び図5を用いてロッキングユニット18の構成について詳細な説明を行う。図4はロッキングユニット18および接続解除を行う解除ボタン19の斜視図を示している。また図5は図4に示すロッキングユニット18の一部を拡大した要部上面図である。説明を簡単にするため当該箇所以外の図は省略する。
【0028】
シート処理装置13の構造体の一部を構成する支持部材25および支持部材26によりロッド24はスライド自在に支持されている。またロッド24の一方の端部には前述したロック解除部材としての解除ボタン19が固定されている。
【0029】
解除ボタン19と支持部材25の間には圧縮バネ22がセットされている。そして図中の矢印D方向、つまり解除ボタン19を装置外に向けて押し出す方向に圧縮バネ22は力を発生している。さらに図5に示すように、解除ボタン19は前記圧縮バネ22の付勢力を受けてシート処理装置13のカバー20と係合することで図5に示す初期位置に位置決めされる。
【0030】
またロッド24には、ロッキングユニット18と係合してロッキングユニット18を接続解除状態に維持するための解除レバー24aが設けられている。
【0031】
これにより、図5中の矢印E方向に解除ボタン19を押すことで、ロッド24とともに各解除レバー24aが同方向に移動して、ロッキングユニット18を接続解除状態にすることができる。また解除ボタン19の押下を中断すると、圧縮バネ22の作用によりロッキングユニット18は自動的にロック状態(接続状態)へ戻る。
【0032】
ロッキングユニット18は、シート処理装置13に固定されるベース板21と、ベース板21に固定されている回転軸27を回転中心として揺動可能に支持されるロックカム23と、ロックカム23を図中の矢印F方向に付勢する引っ張りバネ29により構成される。
【0033】
ベース部材としてのベース板21は、画像形成装置本体11が有する位置決めピン17を案内して支持するための固定面21aおよび固定面21bを有している。固定面21aおよび固定面21bは、位置決めピン17と異なる2つの接点で支持する支持面である。
【0034】
ロックカム部材としてのロックカム23は、位置決めピン17を前記ベース板21の固定面21a,21bに向けて案内するための案内面23aと、位置決めピン17を前記固定面21a,21bとともに所定の位置にロックするためのカム面23bを有している。なお、後述するが、カム面23bは、前記固定面21a,21bが位置決めピン17と接する2つの接点とは異なる接点で位置決めピン17と接し、前記2つの接点に対して前記位置決めピン17を固定する。また、案内面23aは、画像形成装置本体11とシート処理装置13とを接続する際に位置決めピン17を前記カム面23bに案内する。
【0035】
ロックカム23は、ベース板21に設けられた回転軸27を中心に、カム面23bが位置決めピン17に接する第1の方向(図5の矢印F方向)またはカム面23bが位置決めピン17から離れる第2の方向(図5の矢印G方向)に、回転可能に支持されている。また、後述するが、ロックカム23は、前記回転軸27の中心からカム面23bまでのカム径が、前記第1の方向上流側ほど大きくなるように形成している。
【0036】
同時にロックカム23には、解除レバー24aと係合するための解除バー23cが一体に形成されている。またロックカム23は、引っ張りバネ29によりベース板21に形成されたストッパ21cに当接する矢印F方向に付勢されており、これにより初期待機位置(図5に示すストッパ21cに当接した位置)に固定される。
【0037】
次に図6を用いてロッキングユニット18の動作を説明する。図6は位置決めピン17とロッキングユニット18の脱着の様子を模式的に表した図である。
【0038】
図6(a)はロッキングユニット18の待機状態を表した図である。シート処理装置13が画像形成装置本体11から引き離された状態では、ロックカム23は引っ張りバネ29の作用によりストッパ21cに当接された初期待機位置に支持されている。この待機位置では、シート処理装置13が画像形成装置本体11から引き離されているため、位置決めピン17はロッキングユニット18と接触していない。
【0039】
図6(b)は画像形成装置本体11に近づく方向(図中の矢印Y方向)へシート処理装置13を移動させている状態、つまりロッキングユニット18を位置決めピン17に近づく方向へ移動させている状態を表している。ロックカム23は、ロックカム23に位置決めピン17が当接すると、位置決めピン17の侵入に合せて案内面23aが位置決めピン17にならって、引っ張りバネ29に抗しながら回転軸27を支点にして図中の矢印G方向に回転する。
【0040】
図6(c)は位置決めピン17とロッキングユニット18がロック完了した状態を示す。すなわち、画像形成装置本体11とシート処理装置13の接続完了状態を示す。また、図6(d)は位置決めピン17近傍(図6(c)中の丸で囲んだ部分)の詳細図を示す。
【0041】
位置決めピン17はロッキングユニット18のベース板21の各固定面21a,21bの2点(P1,P2)と、ロックカム23の案内面23aの1点(P3)の計3点と接触して所定の位置に固定(ロック)されている。すなわち、ロックカム23の案内面23aが、位置決めピン17をベース板21の各固定面21a,21bの2点(P1,P2)に対して固定している。
【0042】
なお、ロックカム23が位置決めピン17を2つの接点P1,P2に対して固定した際の、カム面23bの位置決めピン17との接点P3を、以下のように設定している。すなわち、カム面23bの位置決めピン17との接点P3を、位置決めピン17との2つの接点P1,P2におけるそれぞれの垂線と位置決めピン17との交点で形成される円弧Q1の範囲内に設定している。これにより、位置決めピン17はすり抜けなくベース板21とロックカム23が破壊されない限り永続的に固定されている。
【0043】
カム面23bは、接点P3と回転支点S1とを結ぶカム径R1と、接点P3より第1の方向上流側のカム面23bの任意の点と回転支点S1とを結ぶカム径R2との関係が、R1≧R2となるように、形成されている。すなわち、ロックカム23は、回転軸27の中心からカム面23bまでのカム径Rが、図5の矢印F方向上流側ほど大きくなるように形成されている。
【0044】
ここでは、ロックカム23のカム面23bは、回転支点S1とは異なる位置(支点S2)に中心をもつ偏心円弧によって形成されている。以下、具体的に説明する。
【0045】
図6(d)において、回転支点S1を中心に接点P3を通過するカム径R1の円弧Q2を破線で示した。カム面23bは、回転支点S1から軸の外に向けて外れた位置の支点S2を中心にしたカムR3の円弧で表現されている。図6(d)に示したとおり、接点P3よりもロックカム23の第1の方向上流側(カム面23bがロックカム23に接する方向上流側)の任意の接点になるほど、すなわち角度θが大きくなるほど、カム面23bのカム径R2が大きくなることがわかる。すなわち、ロックカム23は、回転軸27の中心からカム面23bまでのカム径Rが、図5の矢印F方向上流側ほど大きくなることがわかる。
【0046】
なお、ここで角度θは、回転支点S1と接点P3とを結ぶ線と、この接点P3よりも矢印F方向上流側(第1の方向上流側)の任意の点と回転支点S1を結ぶ線とがなす角度である。
【0047】
図6(c)(d)に示すロック完了状態で、位置決めピン17とロッキングユニット18に切り離し方向(図2の矢印A方向)の力がかかる場合、位置決めピン17とロックカム23の接点P3から接線方向へ接触摩擦力Nが発生する。しかし接触摩擦力Nが発生しても前述のとおりロックカム23の矢印F方向への回転ではカム径R1は増大する、つまり位置決めピン17に対してロックカム23が食い込む。したがって、位置決めピン17とロッキングユニット18に対して切り離し方向に力を加えれば加えるほど拘束力は増大する。そのため、位置決めピン17とロックカム23のどちらかが破壊しない限り外力によりロック状態が解除されることはない。
【0048】
図6(e)に解除ボタン19を押下した時の状態を示す。解除ボタン19を圧縮バネ22の付勢力に抗して矢印E方向に押下すると、ロッド24上に形成された解除レバー24aがロックカム23に形成された解除バー23cと係合し、ロックカム23を矢印G方向へ回転させる。図中の破線Q2は図6(d)で説明したものと同様である。したがって、ロックカム23が矢印G方向(第2の方向)へ回転すると、ロックカム23のカム面23bは転がりなく位置決めピン17より離れる。すなわち、解除ボタン19を押すことで、固定面21a,21bとともに位置決めピン17に接して位置決めピン17を所定の位置にロックしていたロックカム23が矢印G方向に回転されてロックが解除される。
【0049】
本実施形態において、解除ボタン19は常に作業者の押下状態に追従する構成になっているが、この構成に限定されるものではない。例えば、解除ボタン19を一定以上押下するとその状態を維持するラッチ装置を、解除ボタン19もしくはロッド24に対して付加した構成としてもよい。
【0050】
本実施形態においては、画像形成装置本体11に被ロック部材である位置決めピン17を、シート処理装置13にロック手段であるロッキングユニット18を配置した構成を例示したが、それぞれ入れ替えて配置しても何ら問題はない。つまり、シート処理装置13を第1のユニット、画像形成装置本体11を第2のユニットとして、シート処理装置13に位置決めピン17を、画像形成装置本体11にロッキングユニット18を配置した構成でも本発明は有効である。
【0051】
また、画像形成装置本体11とシート処理装置13との重量差が大きく、シート処理装置13の接続状態で接地面が絨毯、カーペット等の軟弱な床面の場合それぞれの装置が不動沈下を起こすことがある。これに対してロックカム23の厚みよりも位置決めピン17の軸方向の長さを長くすることで、画像形成装置本体11とシート処理装置13の高さズレを容易に吸収することができる。
【0052】
また本実施形態においては、説明を簡単にするために、位置決めピン17を独立した部品として説明したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置本体11の外装を構成する形状の一部として被ロック部材である位置決めピン17を一体に形成してもよいことは言うまでもない。
【0053】
さらに、2つのロッキングユニット18と2つの位置決めピン17のうちの少なくとも一方は、案内レール12の延伸方向と直交する方向の間隔が調整可能である。これにより、位置決めピン17とロッキングユニット18のベース板21の各固定面21a,21bが確実に接するようにできる。
【0054】
本実施形態によれば、他方に設けた位置決めピン17に、一方に設けたロッキングユニット18を有する接続装置をガタつきなく確実に接続することができる。すなわち、ガタつきがなく確実にロック可能な接続装置を提供することができる。これにより、簡単な構成で、前述のガタつきに起因するシート搬送不良などの問題を改善することができる。またロックカム23は位置決めピン17と転がりなく接離可能なことから解除動作は少ない仕事量で実施することができる。
【0055】
また、カム面を円弧上に形成することで部品管理が容易となるため、低コスト、高品質な接続装置を提供することができる。さらに、このカム面の円弧を偏心形状とすることによりロック動作をスムースなものとし解除動作も低負荷で作業することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
図7に第2実施形態に係る画像形成装置本体11、シート処理装置13の正面図を示す。シート処理装置13はスライドレールを内蔵したレール台32にスライド自在に締結されている。レール台32は画像形成装置本体11に連結されており、シート処理装置13のスライドによって画像形成装置本体11との連結が解除されることはない。
【0057】
図8は説明を簡単にするために第2実施形態に係るロッキングユニット18と位置決めピン17のみを表している。
【0058】
ロッキングユニット18は第1実施形態で説明したロッキングユニットを横型とするならば、90°回転させた縦型のものであり、第2実施形態に係るロッキングユニット18は、ロック動作自体は第1実施形態の図6で示した動作図と同じである。
【0059】
ロッド24は、シート処理装置13のフレームを構成する前側板45、後側板46を貫通して回転可能に支持されている。このロッド24に対してロッキングユニット18が回転可能に支持されている。またロッキングユニット18の配置の変更に伴って、図7に示すように位置決めピン17も同様に90°回転した位置に配置されている。さらにロッド24の前側板45側の端面にはロック解除部材としての解除ボタン19が固定されている。
【0060】
なお、ロッキングユニット18及び位置決めピン17の構成は、配置(90度回転させた位置)以外は、前述した第1実施形態におけるロッキングユニット18と同様であるため、同等の機能を有する部材には同一符号を付し、説明は省略する。以降は、第1実施形態との構成の差異部分を説明するものとする。
【0061】
図9においてロッキングユニット18の解除動作について説明をする。
【0062】
図9(a)はロッキングユニット18のロック状態を示している。ロッキングユニット18のロックカム23の動作等は、第1実施形態(図6参照)と同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0063】
図9(b)は解除ボタン19を矢印J方向に回転させ、ロッキングユニット18のロック解除状態を示している。解除ボタン19を矢印J方向に回転させると、解除ボタン19と一体に形成された解除レバー19aがロックカム23と一体に形成された解除バー23cと係合し、位置決めピン17が係合解除可能となる位置まで矢印K方向にロックカム23を退避させる。
【0064】
また、キャスターにより支持されたシート処理装置13は、ある程度の重量(例えば80kgを超えるものもある)があるため、シート処理装置13を設置する際の設置高さは設置される接地面の状態により大きく左右される。すなわち、接地面が絨毯やカーペット等の素材である場合、シート処理装置13の沈み込みが大きくなり、位置決めピン17に対してロッキングユニット18の接続する際、高さ方向のズレが生ずる可能性が増大する。
【0065】
画像形成装置本体11とシート処理装置13の設置高さがズレてしまった時の接続状態、すなわち、シート処理装置13が上方向にズレた場合の部分断面図を図10(a)に、下方向にズレた場合の部分断面図を図10(b)に示している。
【0066】
図10(a)では、シート処理装置13が画像形成装置本体11に対して上方向にズレてしまっている。この場合、解除ボタン19と一体に固定されているロッド24を回転支点として、ロッキングユニット18が位置決めピン17の位置に合わせて図中下方に揺動する。これにより、ロッキングユニット18に負荷をかけることなく確実なロックを行うことができる。
【0067】
一方、図10(b)では、シート処理装置13が画像形成装置本体11に対して下方向にズレてしまっている。この場合、図10(a)とは逆にロッキングユニット18が位置決めピン17の位置に合わせて図中上方に揺動する。これにより、図10(a)に示したものと同様、確実なロックを行うことができる。
【0068】
このように、本実施形態では、シート処理装置13が有するロッキングユニット18が、回転支点を中心にして上下方向に揺動可能に設けられている。このロッキングユニット18は、図中の規制ピン50,51により揺動範囲が規制されている。
【0069】
なお、本実施形態では、一方のロッキングユニット18を上下方向に揺動可能を設けたが、他方の位置決めピン17を揺動可能に設けてもよい。また、本実施形態においてはロッキングユニット18、位置決めピン17のいずれかを揺動可能に設けて画像形成装置本体11に対するシート処理装置13の高さズレを吸収したが、別途シート処理装置の高さ調整装置を設けて、揺動機構を廃止してもよい。
【0070】
このように、ロッキングユニット18もしくは位置決めピン17のいずれか一方を揺動可能にすることで、接続高さのズレた装置同士での接続においてもズレの少ない状態で接続することができる。
【0071】
また、ロッキングユニット18の揺動支点(ロッド24)を、ロッキングユニット18と位置決めピン17の係合点(ここでは位置決めピン17の位置)と、画像形成装置本体11に対するシート処理装置13の接離方向に沿って配置している。これにより、接離方向の位置ズレを極小限に抑えることができる。
【0072】
本実施形態においても、前述した実施形態と同様の効果が得られる。加えて、ロッキングユニット18を第1実施形態に対して90°回転させたことで、第1実施形態に対して奥行き方向の設置寸法を小さく抑えることができる。これにより、小型の画像形成装置およびシート処理装置においても適用することができる。また、解除ボタン19を回転式にすることで、レバー比を自在に設定することでロック解除の操作力を軽くすることができる。
【0073】
なお、上述したように接続高さのズレを吸収可能なロック機構を用いる場合には、画像形成装置本体11からシート処理装置13へのシートの受け渡し部分においても高さのズレを吸収可能な構成が必要となる。
【0074】
〔他の実施形態〕
前述した実施形態では、ロックカムのカム面がロックカムの回転支点とは異なる位置に中心をもつ偏心円弧によって形成されている構成を例示したが、これに限定されるものではない。カム径は、第1の方向上流側ほど大きくなるように形成されていれば良く、例えば、カム面が直線的なテーパ面によって形成されている構成であっても良い。
【0075】
また前述した実施形態では、画像形成装置本体に対して切り離し可能に接続して用いるオプション装置として、画像形成装置本体から排出されたシートの処理を施すシート処理装置を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、画像形成装置本体にシートを供給するシート供給装置など、画像形成装置本体に対して切り離し可能に接続して用いる、その他のオプション装置であっても良い。
【0076】
また、画像形成装置としては、例えばプリンタ、複写機、ファクシミリ装置等の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の画像形成装置であってもよい。これらの画像形成装置本体と、これに接続するオプション装置のいずれかに用いられる接続装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0077】
P1,P2,P3 …接点
10 …画像形成装置
11 …画像形成装置本体
12 …案内レール
13 …シート処理装置
17 …位置決めピン
18 …ロッキングユニット
19 …解除ボタン
21 …ベース板
21a,21b …固定面
21c …ストッパ
22 …圧縮バネ
23 …ロックカム
23a …案内面
23b …カム面
23c …解除バー
24 …ロッド
24a …解除レバー
27 …回転軸
29 …引っ張りバネ
32 …レール台
39 …解除ボタン
39a …解除レバー
50,51 …規制ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のユニットに設けられた被ロック部材に係合するロック手段を前記第1のユニットに対して切り離し可能に接続する第2のユニットに設け、前記第1のユニットと前記第2のユニットとを接続する接続装置であって、
前記ロック手段は、
前記被ロック部材と異なる2つの接点で支持する支持面を有するベース部材と、
前記2つの接点とは異なる接点で前記被ロック部材と接し、前記2つの接点に対して前記被ロック部材を固定するカム面を有し、前記ベース部材に設けられた回転支点を中心に、前記カム面が前記被ロック部材に接する第1の方向または前記カム面が前記被ロック部材から離れる第2の方向に、回転可能に支持されたロックカム部材と、を有し、
前記回転支点から前記カム面までのカム径は、前記第1の方向上流側ほど大きくなるように形成したことを特徴とする接続装置。
【請求項2】
前記ロックカム部材が前記被ロック部材を前記2つの接点に対して固定した際の、前記カム面の前記被ロック部材との接点を、前記被ロック部材との2つの接点におけるそれぞれの垂線と前記被ロック部材との交点で形成される範囲内に設定することを特徴とする請求項1に記載の接続装置。
【請求項3】
前記カム面が前記回転支点とは異なる位置に中心をもつ偏心円弧によって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の接続装置。
【請求項4】
前記ロック手段もしくは前記被ロック部材のいずれか一方を他方に対して上下方向に揺動可能に設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項5】
前記ロック手段もしくは前記被ロック部材の揺動支点を、前記ロック手段と前記被ロック部材の係合点と、前記第1のユニットに対して前記第2のユニットを接続する方向に沿って配置したことを特徴とする請求項4に記載の接続装置。
【請求項6】
ロックカム部材は、前記第1のユニットと前記第2のユニットとを接続する際に前記被ロック部材を前記カム面に案内する案内面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項7】
前記支持面とともに前記被ロック部材に接して前記被ロック部材を所定の位置にロックする前記ロックカム部材を前記第2の方向に回転させて前記ロックを解除するロック解除部材を備えたことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の接続装置。
【請求項8】
シートに画像を形成する画像形成装置本体と、前記画像形成装置本体に対して切り離し可能に接続して用いるオプション装置と、を有する画像形成システムにおいて、
前記画像形成装置本体と前記オプション装置とを接続または接続装置として、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の接続装置を有することを特徴とする画像形成システム。
【請求項9】
前記オプション装置は、前記画像形成装置本体から排出されたシートの処理を施すシート処理装置もしくは前記画像形成装置本体にシートを供給するシート供給装置であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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