説明

接触式磁気記録装置

【課題】 磁気ヘッドの磨耗量が少ない、接触式磁気記録装置を提供することである。
【解決手段】 磁気ヘッドの磨耗量と相関があり且つ測定可能な物理量である摩擦力(磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力)を摩擦力測定装置32で測定し、その測定値に基づいて磨耗量制御装置28が、摩擦力調整装置(アクチュエータ)38によって、例えばサスペンション2が磁気ヘッド4を押す力を調整して、磁気ヘッドの磨耗量が小さくなるように制御する接触式磁気記録装置26である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転する磁気記録媒体に磁気ヘッドを接触させて情報の記録及び再生を行う接触式磁気記録装置に関し、特に、磁気ヘッドの磨耗量を少なくした接触式磁気記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転している状態で、情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体(ハードディスク)からなる磁気記録装置(ハードディスクドライブ)は、情報化社会を支える大容量の記録装置の中心として広く使われている。
【0003】
このようなハードディスクは、毎分1万5千回転程度の高速で回転している。従って、磁気ヘッドがハードディスクに接触すると磨耗してしまう。そこで、ハードディスク表面と磁気ヘッドの間に、ハードディスクの高速回転で空気の流れを作り、磁気ヘッドを浮上させている。
【0004】
しかしながら、磁気ヘッドがハードディスクから遠ざかると、磁気ヘッドに設けられた記録再生素子が発生する磁界が広がってしまい、ハードディスク上に記録される情報の密度(記録密度)が減少してしまう。
【0005】
このため高記録密度化の観点から、ハードディスクへの情報の書込み及び読出しを磁気ヘッドがハードディスクに接触した状態で行う接触式のハードディスクドライブが検討されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2000-149478号
【特許文献2】特開平5-20635号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
(1)課題
接触式の磁気記録装置(ハードディスクドライバ)では、磁気ヘッドの磨耗が再度問題になる。
【0007】
磁気ヘッドの磨耗量は、磁気ヘッドが磁気記録媒体に押し付けられる垂直荷重によって決まる。従って、この垂直荷重を一定値以下に制御することができれば、接触式磁気記録装置に於いても磁気ヘッドの磨耗量を実質的に無くすことが可能である。
【0008】
図12に示すように、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18は、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8と、空気の流れ10による浮上力12と、潤滑剤14の表面張力によるメニスカス力16の釣り合いによって決まる。
ここで、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8とメニスカス力16は、磁気記録装置の動作中は略一定である。しかし、浮上力12は、磁気記録装置の動作中、後述するように時々刻々と変化する。その結果、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18も時々刻々と変化する。
【0009】
従って、磁気ヘッド4の磨耗量を少なくするためには、磁気ヘッド4の垂直荷重18を時々刻々測定しその値が一定値以下になるように、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8を制御する必要がある。
【0010】
しかし、残念ながら、磁気ヘッド4の垂直荷重18を測定する有効な手段は存在しない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18以外の物理量によって、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8を制御して磁気ヘッド4の磨耗量を少なくすることのできる接触式磁気記録装置を提供することである。
【0012】
(2)浮上力
磁気ヘッド4に発生する浮上力12は、磁気ヘッド4に対する空気の流れ10の速度と方向に影響される。
【0013】
図13に示すように、例えば2.5インチの磁気記録媒体6では、内周と外周で周速20が約2倍異なる。このため、空気の流れも、内周と外周では速度(周速)が約2倍異なる。尚、図13は、回転中の磁気記録媒体6と磁気ヘッド4を上から見た状態を表している(図13には説明のため磁気ヘッド4が2つ示してあるが、実際は1つである。)。
【0014】
更に、磁気ヘッド4に発生する浮上力12は、磁気記録媒体6の半径方向に於ける磁気ヘッド4の移動(シーク動作)の影響を受ける。シーク動作による磁気ヘッド4の半径方向の移動速度は、磁気記録媒体6の周速の数分の1程度である。しかし、図14のようにシーク動作の方向22が磁気記録媒体6の周回方向20に垂直なので、磁気ヘッド4の長手方向(周回方向20と略同じ)と空気の流れのなす角度24がシーク動作によって変わり、浮上力が大きく変動する。
【0015】
通常磁気記録装置では、磁気記録媒体6の回転速度は一定値になるように制御されている。しかし、磁気情報を記録再生する位置を変更するため磁気ヘッド4が磁気記録媒体6上を移動すると、上述したように浮上力12が時々刻々変化する。
【0016】
その結果、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18も時々刻々と変化してしまう。
【0017】
(3)磁気ヘッドの垂直荷重
サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8は、例えばこの力8に対する反作用によって生じる力がサスペンション2を変形させる量(歪)を測定することによって計測可能である。
【0018】
しかし、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18を測定するためには、磁気ヘッド4の先端部46直下に於いて磁気記録媒体6が変形する量(歪)を測定しなければならない。従って、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18を計測することは事実上困難である。
【0019】
(4)まとめ
従って、本発明の目的は、磁気ヘッド4の磨耗量と相関のある測定可能な物理量を提示し、その物理量に基づいて、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8等を調整して、磁気ヘッド4の磨耗量を少なくする接触式磁気記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(第1の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、回転している状態で、情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体への前記情報の書込み及び読出しを前記磁気記録媒体に接触した状態で行う記録再生素子と前記記録再生素子が形成されたヘッドスライダからなる磁気ヘッドとを有する磁気記録装置において、前記磁気記録媒体と前記磁気ヘッドの間に働く摩擦力を測定するための摩擦力測定装置と、前記摩擦力を調整する摩擦力調整装置と、前記摩擦力測定装置によって得られる摩擦力の測定値に基づいて、前記磁気ヘッドの磨耗量が非制御時より少なくなるように前記摩擦力調整装置を制御する磨耗量制御装置とを具備することを特徴とする。
【0021】
第1の側面によれば、磁気ヘッドの磨耗量と相関があり且つ測定可能な物理量である摩擦力(磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力)を測定し、更にその摩擦力を制御することが可能になるので、磁気ヘッドの磨耗量を少なくした接触式磁気記録装置を提供することができる。
【0022】
(第2の側面)
本発明の第2の側面は、第1の側面において、前記摩擦力測定装置が、前記磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションに、前記磁気ヘッドを介して回転中の前記磁気記録媒体が及ぼす張力を、前記摩擦力として計測するための装置であることを特徴とする。
【0023】
本発明の第2の側面によれば、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を測定することができる。
【0024】
(第3の側面)
本発明の第3の側面は、第2の側面において、前記摩擦力測定装置が、前記サスペンションと、前記サスペンションに貼付された歪ゲージからなることを特徴とする。
【0025】
本発明の第3の側面によれば、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を容易に測定することができる。
【0026】
(第4の側面)
本発明の第4の側面は、第1の側面において、前記摩擦力調整装置が、前記磁気ヘッドが前記磁気記録媒体に接触する状態を調整する装置であることを特徴とする装置。
【0027】
本発明の第4の側面によれば、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を調整することができる。
【0028】
(第5の側面)
本発明の第5の側面は、第4の側面において、前記摩擦力調整装置が、前記磁気ヘッドの姿勢を調整する磁気ヘッド姿勢調整装置からなることを特徴とする。
【0029】
本発明の第5の側面によれば、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を容易に調整することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、磁気ヘッドの磨耗量と相関があり且つ測定可能な物理量である摩擦力(磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く力)を測定し、更にその摩擦力を制御することが可能になるので、磁気ヘッドの磨耗量が少なくした接触式磁気記録装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。なお、図面が異なっても対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
【0032】
(1)実施の形態例1
(i)構成
本実施の形態例に係る磁気記録装置は、磁気記録媒体と磁気ヘッドの間の摩擦力を測定し、この摩擦力を制御することによって、磁気ヘッドの磨耗量を少なくする装置である。
【0033】
図1は、本実施の形態例に係る磁気記録装置26の構成を説明する平面図である。また、図2は、磁気記録装置26の磁気ヘッド近傍の構成を説明する側面図である。
【0034】
本実施の形態例に係る磁気記録装置26は、回転している状態で、情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体6を備えている。
【0035】
また、磁気記録装置26は、磁気記録媒体6への情報の書込み及び読出しを磁気記録媒体6に接触した状態で行う記録再生素子と記録再生素子が形成されたヘッドスライダからなる磁気ヘッド4を備えている。
【0036】
また、磁気記録装置26は、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を測定するための摩擦力測定装置32を備えている。図1には、サスペンション2とサスペンション2に貼り付けられた歪ゲージ36からなる摩擦力測定装置32が示されている。
【0037】
また、磁気記録装置26は、摩擦力を調整する摩擦力調整装置38を備えている(図2参照)。図2の摩擦力調整装置38は、磁気ヘッド4の背面とサスペンション2の間に設けられた複数の圧電素子68からなる。
【0038】
そして、磁気記録装置26は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値に基づいて、磁気ヘッド4の磨耗量が非制御時より少なくなるように摩擦力調整装置38を制御する磨耗量制御装置28を備えている。
【0039】
本実施の形態例に係る磁気記録装置26では、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力40を摩擦力測定装置32で測定し、磨耗量制御装置28と摩擦力調整装置32によって摩擦力40を調整して磁気ヘッド4の磨耗量を少なくする。
【0040】
(ii)原理
本発明者は、鋭意検討した結果、測定可能な物理量である上記摩擦力40と磁気ヘッド4の磨耗量の間に相関関係があることを見出した。図3は、摩擦力40と磁気ヘッド4先端部の磨耗量の関係を示す一例である。横軸は、摩擦力である。縦軸は、アルミナ・チタン・カーバイトからなり、ダイヤモンドライクカーボン保護膜がコートされたヘッドスライダ42と記録再生素子44によって構成された磁気ヘッド4の先端部46の磨耗量である。
【0041】
摩擦力40は、CSSテスタ(Contact Start Stop tester)によって測定した。磁気ヘッド先端部46が摩擦された時間は、30分である。図3から明らかように、磁気ヘッド先端部46の磨耗量は摩擦力40の関数であり、摩擦力40が0.5gf以下では殆ど磁気ヘッドは磨耗しない。また、摩擦力40は、重厚なCSSテスタによらなくても、磁気記録装置26に組み込み可能な摩擦力測定装置32によって容易に測定することができる物理量である。
【0042】
そこで、本実施の形態例に係る磁気記録装置6では、摩擦力測定装置32によって時々刻々変化する摩擦力40を測定し、その測定値に基づいて磁気ヘッド4の摩耗量が少なくなるように摩擦力40を調整する。
【0043】
従って、本実施の形態例に係る磁気記録装置26によれば、磁気ヘッド4の磨耗量を少なくすることが可能になる。
【0044】
(2)実施の形態例2
本実施の形態例は、磁気記録装置26に於ける摩擦力測定装置32の一例を説明するものである。
【0045】
本実施の形態例に係る磁気記録装置26は、磁気ヘッド4が取り付けられたサスペンション2に、磁気ヘッド4を介して回転中の磁気記録媒体6が及ぼす張力を、摩擦力として計測するための摩擦力測定装置32によって構成されている。
【0046】
図12に示すように、磁気ヘッド4に作用する鉛直方向の力には種々の力がある。従って、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8を測定しても、磁気ヘッド4の先端部46が磁気記録媒体6に押し付けられる垂直荷重18を検出したことにはならない。
【0047】
一方、磁気ヘッド4に働く水平方向の力は、図2に示すように、摩擦力40と、サスペンション2が磁気ヘッド4によって引っ張られることによって発生する張力48の反作用力だけである。そして、この反作用力は摩擦力40と釣り合っている。従って、この張力48を測定すれば摩擦力40を測定したことになる。摩擦力測定装置32は、この張力の計測を可能にする装置である。
【0048】
このような摩擦力測定装置を備えた、本実施の形態例に係る磁気記録装置26によれば、摩擦力を測定することができるので、磁気ヘッド4の磨耗量を容易に少なくすることができる。尚、摩擦力測定装置32の具体的構成は、下記実施例に示す。
【0049】
(3)実施の形態例3
本実施の形態例は、磁気記録装置26に於ける摩擦力調整装置38の一例を説明するものである。
【0050】
本実施の形態例に係る磁気記録装置26は、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触する状態を調整する摩擦力調整装置38によって構成されている。
【0051】
ここで磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触する状態とは、例えば磁気ヘッド4のピッチ角やロール角等のことである。図4は、ピッチ角50とロール角52を説明するための図である。
【0052】
図4(a)は磁気ヘッド4を横から見た図であり、ピッチ角50を説明するための図である。図4(b)は磁気ヘッド4を正面から見た図であり、ロール角52を説明するための図である。
【0053】
磁気ヘッド4を保持するサスペンション2は、ステンレス製の薄い板バネによって構成されている。従って、磁気記録媒体6に押し付けられた状態の磁気ヘッド4に於けるピッチ角50やロール角52を変化させると、サスペンション2の変形(歪)程度が変更さえる。このため、サスペンションの歪みによって発生する、サスペンションが磁気ヘッド4を押す力8が、変化する。すなわち、磁気ヘッド4のピッチ角50やロール角52を変化させるとことによって、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8の調整が可能になる。
【0054】
従って、摩擦力調整装置38によって、磁気ヘッド4と磁気記録媒体6の接触状態(ピッチ角及びロール角)を調整すれば、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6を垂直に押す力(すなわち、垂直荷重)18の制御が可能になる。尚、摩擦力40(図2参照)は、この垂直荷重18に比例する水平方向の力である。また、ロール角を変化させると磁気ヘッド4と磁気記録媒体6の接触位置及び面積が変化するので、垂直荷重18が同じでも磁気ヘッド4の磨耗量を調整することができる。
【0055】
すなわち、本実施の形態例の摩擦力調整装置38によれば、摩擦力40を制御することができるので、磁気ヘッド4の磨耗量を容易に少なくすることができる。
【実施例1】
【0056】
本実施例に係る磁気記録装置は、磁気記録媒体と磁気ヘッドの間の摩擦力を測定し、この摩擦力を調整することによって、磁気ヘッドの磨耗量を少なくする装置である。
【0057】
(1)構成
本実施例に係る磁気記録装置26は、上記実施の形態に於ける磁気記録装置26の備える全ての構成を備えている。
【0058】
そこで、本実施例では、摩擦力測定装置32、摩擦力調整装置38、及び磨耗量制御装置28夫々の具体的構成の一例について説明する。更に、これらによって構成される磁気記録装置26の動作についても説明する。
【0059】
(i)全体的構成
本実施例に係る磁気記録装置26の全体的構成は、上記実施の形態例1で説明したとおりのものである。
【0060】
すなわち、本実施例に係る磁気記録装置26は、図1及び2に示すように、回転している状態で情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体6と、磁気記録媒体6への情報の書込み及び読出しを磁気記録媒体6に接触した状態で行う記録再生素子44と記録再生素子44が形成されたヘッドスライダ42からなる磁気ヘッド4とを有する磁気記録装置26である。
【0061】
そして、本実施例に係る磁気記録装置26は、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力を測定するための摩擦力測定装置32と、摩擦力を調整する摩擦力調整装置38と、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値に基づいて、磁気ヘッド4の磨耗量が非制御時より少なくなるように摩擦力調整装置38を制御する磨耗量制御装置28を備えている。
(ii)摩擦力測定装置
本実施例に係る摩擦力測定装置32の基本的構成は、上記実施の形態2で説明した摩擦力測定装置と同じである。
【0062】
すなわち、本実施例に係る摩擦力測定装置32は、磁気ヘッド4が取り付けられたサスペンション2に、磁気ヘッド4を介して回転中の磁気記録媒体6が及ぼす張力48を、摩擦力40として計測するための装置である(図2参照)。
【0063】
そして、本実施例に係る摩擦力測定装置32は、図5のように、サスペンション2と、サスペンションに貼付された歪ゲージ36によって構成されている。
【0064】
ここで図5(a)は、磁気ヘッド4と、磁気ヘッド4を保持するサスペンション2と、サスペンション2が固定されたガイドアーム56からなるヘッド・ジンバル・アッセンブリ(Head Gimbal Assembly)を下側から見た図である。図5(b)は、その側面図である。尚、図5では、磁気ヘッド4が固定されるジンバル周辺の構造は簡略化して描かれている。
【0065】
サスペンションの一部58は、図6(下側から見た図)のように、長手方向に伸びた2本の平板60とこの2本の平板の間に設けられた補強板62によって構成されている。そして、平板60には、歪ゲージ36が貼付されている。
【0066】
回転中の磁気記録媒体6が磁気ヘッド4を介してスペンション2の長手方向に及ぼす張力48によって、2本の平板60は引っ張られて伸びる。平板60は幅が狭いので、サスペンション2の他の部分より伸びが大きい。
【0067】
この時、平板60に貼付された歪ゲージ36も同時に伸びて、その抵抗値が増加する。この抵抗値の変化は、後述するストレインアンプによって容易に測定することができる。従って、歪ゲージ36の抵抗値の変化から平板60の伸びを導出し、更に平板60の伸びを張力48に変換することが可能になる。
【0068】
ところで上述したように、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に発生する摩擦力40と張力48は大きさが略一致している。
【0069】
従って、サスペンション2とサスペンションに貼付された歪ゲージ36からなる摩擦力測定装置32によって、磁気ヘッド4を介して回転中の磁気記録媒体6がサスペンション2に及ぼす張力を、摩擦力40として測定することが可能になる。
【0070】
尚、図6では、歪ゲージ36は2本の平板60の一方側にだけ設けられているが、双方の平板に歪ゲージを設けてもよい。
【0071】
(iii)
本実施例に係る摩擦力調整装置38の基本的構成は、上記実施の形態3で説明した摩擦力調整装置と同じである。
【0072】
すなわち、本実施例に係る摩擦力調整装置38は、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触する状態を調整する装置である(図2参照)。
【0073】
そして、本実施例に係る摩擦力調整装置38は、磁気ヘッド4の姿勢を調整する磁気ヘッド姿勢調整装置64によって構成されている(図7参照)。
【0074】
図7は、磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64の構成を説明する図である。図7(a)は平面図であり、図7(a)はその側面図である。
【0075】
磁気ヘッド姿勢調整装置64は、第1の平板66と、第1の平板の四隅に配置された4つの圧電素子68と、第1の平板66と共に4つの圧電素子68を挟み込む第2の平板70によって構成されている。これら4つの圧電素子68に夫々独立に電圧を印加することによって、第1の平板と第2の平板の距離及び夫々がなす角度を所望の大きさにすることができる。
【0076】
図8は、磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64が、磁気ヘッド4とサスペンション2の間に取り付けられた状態を説明する図である。図8(a)は、ロードビーム72とジンバル74からなるサスペンション2と磁気ヘッド4の間に、取り付けられた磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64を横から見た図である。
【0077】
磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64の第1の平板66は、ジンバル74に貼り付けられている。一方、磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64の第2の平板70は、磁気ヘッド4のABS面(Air Bearing Surface)とは反対側の面に貼り付けられている。
【0078】
図8(b)は、磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64の取り付けられたサスペンション2を下側から見た図である。
【0079】
磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64を構成する圧電素子68には、夫々磨耗量制御装置28からの配線77が接続されている。この配線77を通して各圧電素子68に電圧が印加され、第1の平板66と第2の平板70の間隔及び角度が調整される。その結果、磁気ヘッド4のピッチ角50及びロール角60が調整される(図4参照)。
【0080】
すなわち、図7に示す磁気ヘッド姿勢調整装置(アクチュエータ)64は、磁気ヘッド4の姿勢を調整することによって、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触する状態(ピッチ角及びロール角)を調整する。
【0081】
このような構成によって、磁気ヘッド4の姿勢を調整する磁気ヘッド姿勢調整装置64からなる摩擦力調整装置38は、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触する状態を調整して、磁気記録媒体6と磁気ヘッド4の間に働く摩擦力40を調整する。
(iv)
本実施例に係る磨耗量制御装置28は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値が、所定の範囲内に収まるように摩擦力調整装置38を、摩擦力の測定後直ちに制御する装置である。
【0082】
図9は、磨耗量制御装置28の構成を示すブロック図である。
【0083】
本実施例に係る磨耗量制御装置28は、摩擦力測定装置32を構成する歪ゲージ36の出力に接続されたストレインアンプ78と、ストレインアンプ78の出力に接続された制御回路80によって構成されている。
【0084】
ストレインアンプ78は、歪ゲージ36に於ける抵抗の微小変化を検出するブリッジ回路82と、このブリッジ回路82に接続された電流増幅器84によって構成されている。
【0085】
電流増幅器84の出力は、制御回路80に接続されている。そして、この制御回路80の出力は、磨耗力調整装置38に接続されている。
【0086】
制御回路80は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値が、所定の範囲内(例えば、0.1gf以上0.5gf以下)に収まるように、摩擦力の測定後直ちに(すなわち、摩擦力の変化に追随して)摩擦力調整装置38を制御する。図3から明らかなように、このような範囲内に摩擦力40がある限り磁気ヘッド4は殆ど磨耗しない。
【0087】
このような構成によって、磨耗量制御装置28は、摩擦力測定装置32によって得られる(摩擦力の)測定値が所定の範囲内に収まるように、摩擦力の測定後直ちに(すなわち、摩擦力の変化に追随して)摩擦力調整装置38を制御し、磁気ヘッド40の磨耗量が非制御時より少なくなるように摩擦力調整装置38を制御する。
【0088】
尚、磨耗量制御装置28は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値を所定の時間(例えば、1〜2ms;磁気記録媒体が一回転する時間の1/4〜1/2程度)平均化した値が、所定の範囲内(例えば、0.1gf以上0.5gf以下)に収まるように制御する装置であってもよい。
【0089】
(2)動作
以上のような構成に基づいて、本実施例に係る磁気記録装置26は次のように動作する。
【0090】
まず、回転している磁気記録媒体6に接触している磁気ヘッド4は、摩擦力40を受ける(図1及び2参照)。この摩擦力40は、磁気ヘッド4を介して、磁気ヘッド4が取り付けられたサスペンション2に及び、張力48となる。
【0091】
張力48によって、サスペンション2を構成する平板60が伸張し、同時に平板60に貼付された歪ゲージ36も伸張する(図5及び6参照)。
【0092】
その結果、歪ゲージ36の抵抗値は変化し、サスペンション2とこのサスペンション2に貼付された歪ゲージ36からなる摩擦力測定装置32が摩擦力40に対応する抵抗値を呈する。
【0093】
この抵抗値は、磨耗量制御装置28を構成するブリッジ回路82によって電流に変換され、更に電流増幅器84で増幅された後、制御回路80に入力される。
【0094】
制御回路80は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値(電流増幅器84の出力)に基づいて、摩擦力調整装置38を構成する各々の圧電素子68に配線77を介して電圧を印加して、磁気ヘッド4の姿勢を調整する。その結果、磁気ヘッド4が磁気記録媒体6に接触状態が調整される。
【0095】
すなわち、磁気記録媒体6に押し付けられている磁気ヘッド4のピッチ角又はロール角(或いは、双方)が調整される。その結果、記録媒体6に押し付けられ変形したサスペンション2の歪が変更され、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8が調整される。その結果、サスペンション2が磁気ヘッド4を押す力8と浮上力12等との釣り合いで決まる摩擦力40も調整される。
【0096】
すなわち、ブリッジ回路78と電流増幅器84と制御回路80からなる磨耗量制御装置28が、圧電素子68等からなる摩擦力調整装置38を制御する。
【0097】
ここで、磨耗量制御装置28は、摩擦力測定装置32によって得られる摩擦力の測定値が、所定の範囲内(例えば、0.1gf以上0.5gf以下)に収まるように摩擦力調整装置38を、測定された摩擦力に基づいて、摩擦力の測定後直ちに(すなわち、摩擦力40の変化に追随して)制御する。その結果、常に摩擦力が上記所定の範囲内に収まるので、磁気ヘッド4の磨耗量が非制御時より少なくなる。
【0098】
但し、磨耗量制御装置28は、上記摩擦力の測定値を所定の時間(例えば、1〜2ms;磁気記録媒体が一回転する時間の1/4〜1/2程度)平均化してから、摩擦力が所定の範囲内に収まるように摩擦力調整装置38を制御してもよい。摩擦力を平均化することによって、急激な摩擦力の変化への過剰な応答を抑制することができる。
【0099】
尚、非制御時の摩擦力は、磁気記録媒体6の外周部で、例えば1.0gfになるように設定されている。
【0100】
このような動作の結果、磁気ヘッド4の磨耗量が少なくなる。
【実施例2】
【0101】
本実施例に係る磁気記録装置26は、摩擦力測定装置32がガイドアーム56とサスペンション2の間に配置された磁気記録装置26に係るものである。
【0102】
(1)構成
本実施例に係る磁気記録装置26の構成は、摩擦力測定装置32を除き、実施例1に係る磁気記録装置26の構成と略同じである。従って、以下、摩擦力測定装置32の構成について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0103】
図10は、本実施例に係る摩擦力測定装置32がガイドアーム56とサスペンション2の間に設けられた状態を説明する図である。図10(a)は、この摩擦力測定装置32を横から見た図である。一方、図10(b)は、この摩擦力測定装置32をサスペンションの下側から見た図である。尚、図10では、図面が複雑にならないように、磁気ヘッド4が固定されるサスペンション2先端部の構造は簡略化して描かれている。
【0104】
本実施例に係る摩擦力測定装置32は、サスペンション2が取り付けられるガイドアーム56とサスペンション2の間に設けられ、サスペンション2の長手方向86に発生する荷重を測定するための荷重変換器(ロードセル)によって構成されている。
【0105】
荷重変換器(ロードセル)は、例えば超歪体と呼ばれるアルミ合金からなる弾性体に、歪ゲージが貼り付けられたものである。この歪ゲージの抵抗の変化によって、サスペンション2の長手方向86に発生する荷重すなわち回転する磁気記録媒体6がサスペンション2に及ぼす張力48を測定することができる。
【0106】
歪ゲージの抵抗値の変化は、実施例1と同様に磨耗量制御装置28のストレインアンプ78によって検出される。
【0107】
以上説明した点を除き、本実施例に係る磁気記録装置の構成は、実施例1の磁気記録装置の構成と略同じである。
【0108】
(2)動作
本実施例に係る磁気記録装置26の動作は、実施例1の磁気記録装置の動作と略同じである。従って説明は省略するが、実施例1と同様の動作によって磁気ヘッド4の磨耗量が少なくなる。
【実施例3】
【0109】
本実施例に係る磁気記録装置26は、摩擦力調整装置38がサーマルアクチェータ(特許文献2)からなる装置に係るものである。
【0110】
(1)構成
本実施例に係る磁気記録装置26の構成は、摩擦力調整装置38を除き、実施例1に係る磁気記録装置26の構成と略同じである。従って、以下、摩擦力調整装置38の構成について説明し、その他の構成については説明を省略する。
【0111】
図11は、本実施例に係る摩擦力調整装置38の構成と動作を説明する図である。図11(a)は、(摩擦力調整装置の機能が)非動作状態にある摩擦力調整装置38を横から見た図である。一方、図11(b)は、動作中の摩擦力調整装置38を横から見た図である。
【0112】
本実施例に係る摩擦力調整装置38は、磁気ヘッド4の先端部46の突き出し量を調整することによって、摩擦力40を調整する磁気ヘッド4によって構成されている。このような磁気ヘッド4の例としては、サーマルアクチュエータがある(特許文献2)。但し、従来のサーマルアクチュエータは、磁気記録媒体6に接触しない状態で使用される。一方、本実施例のサーマルアクチュエータが、磁気記録媒体6に接触した状態で使用される。
【0113】
図11に示された摩擦力調整装置38は、このサーマルアクチュエータ94によって構成されたものである。サーマルアクチュエータ94は、磁気ヘッド4先端部46に加熱部材88(例えば、ヒータ)が設けられた部材である。
【0114】
図11に示された例では、再生ヘッド及び記録ヘッド92が設けられる記録生成素子44の内部に加熱部材88(例えば、ヒータ)が設けられている。サーマルアクチュエータ94は、このような記録生成素子44とヘッドスライダ42によって構成される。そして、加熱部材88には、図11には図示さない配線77によって磨耗量制御装置28の出力に接続されている。
【0115】
すなわち、サーマルアクチュエータ94は、摩擦力調整装置38としての機能と磁気ヘッド4としての機能の双方を兼ね備えている。
【0116】
尚、このようなサーマルアクチュエータからなる摩擦力調整装置38は、図11のようにジンバル74に直接取り付けられる。
【0117】
(2)動作
本実施例に係る磁気記録装置26の動作は、摩擦力調整装置38を除き、実施例1に係る磁気記録装置26の動作と略同じである。従って、以下、摩擦力調整装置38の動作について説明し、その他の動作については説明を省略する。
【0118】
加熱部材88に電流が流れていない状態では、図11(a)のように、動作中の磁気ヘッド4は回転中の磁気記録媒体6から数nm程度浮上している。この状態で、加熱部材88に摩擦力調整装置38から(図示されていない)配線77を通して電流が供給されると、そのジュール熱により磁気ヘッド4の先端部46が突き出し磁気記録媒体6に接触する。その結果、摩擦力40が発生する(図11(b))。
【0119】
この摩擦力40は摩擦力測定装置32によって測定され、その測定値に基づいて磨耗量制御装置28が加熱部材88に流す電流を調整する。その結果、磁気ヘッド4の先端部46の突き出し量が調整され、摩擦力40が調整される。
【0120】
以上説明した点を除き、本実施例に係る磁気記録装置の動作は、実施例1の磁気記録装置の動作と略同じである。
【0121】
そして、以上のような動作の結果、磁気ヘッド4の磨耗量が少なくなる。
【0122】
以上の実施の形態をまとめると,次の付記のとおりである。
【0123】
(付記1)
回転している状態で、情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体と、前記磁気記録媒体への前記情報の書込み及び読出しを前記磁気記録媒体に接触した状態で行う記録再生素子と前記記録再生素子が形成されたヘッドスライダからなる磁気ヘッドとを有する磁気記録装置において、前記磁気記録媒体と前記磁気ヘッドの間に働く摩擦力を測定するための摩擦力測定装置と、前記摩擦力を調整する摩擦力調整装置と、前記摩擦力測定装置によって得られる摩擦力の測定値に基づいて、前記磁気ヘッドの磨耗量が非制御時より少なくなるように前記摩擦力調整装置を制御する磨耗量制御装置とを具備することを特徴とする磁気記録装置。
【0124】
(付記2)
付記1に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力測定装置が、 前記磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションに、前記磁気ヘッドを介して回転中の前記磁気記録媒体が及ぼす張力を、前記摩擦力として計測するための装置であることを特徴とする磁気記録装置。
【0125】
(付記3)
付記2に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力測定装置が、前記サスペンションと、前記サスペンションに貼付された歪ゲージからなることを特徴とする磁気記録装置。
【0126】
(付記4)
付記2に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力測定装置が、前記サスペンションが取り付けられるガイドアームと前記サスペンションの間に設けられ、前記サスペンションの長手方向に発生する荷重を測定するための荷重変換器からなることを特徴とする磁気記録装置。
【0127】
(付記5)
付記1に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力調整装置が、前記磁気ヘッドが前記磁気記録媒体に接触する状態を調整する装置であることを特徴とする磁気記録装置。
【0128】
(付記6)
付記5に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力調整装置が、前記磁気ヘッドの姿勢を調整する磁気ヘッド姿勢調整装置からなることを特徴とする磁気記録装置。
【0129】
(付記7)
付記4に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力調整装置が、前記磁気ヘッドの先端部の突き出し量を調整可能な磁気ヘッドからなることを特徴とする磁気記録装置。
【0130】
(付記8)
付記7に記載の磁気記録装置において、前記摩擦力調整装置が、先端部に加熱部材の設けられた前記磁気ヘッドからなることを特徴とする磁気記録装置。
【0131】
(付記9)
付記1に記載の磁気記録装置において、前記磨耗量制御装置が、前記摩擦力測定装置によって得られる前記測定値が、所定の範囲内に収まるように前記摩擦力調整装置を、前記摩擦力の測定後直ちに制御することを特徴とする磁気記録装置。
【0132】
(付記10)
付記1に記載の磁気記録装置において、前記磨耗量制御装置が、前記摩擦力測定装置によって得られる前記測定値を所定の時間平均化した値が、所定の範囲内に収まるように前記摩擦力調整装置を制御することを特徴とする磁気記録装置。
【産業上の利用可能性】
【0133】
本発明は、電子機器の製造業、特に磁気記録媒体の製造業において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】実施の形態例1に係る磁気記録装置の構成を説明する平面図である。
【図2】実施の形態例1に係る磁気記録装置の磁気ヘッド近傍の構成を説明する側面図である。
【図3】摩擦力と磁気ヘッド先端部の磨耗量の関係を説明する図である。
【図4】磁気ヘッドのピッチ角及びロール角を説明する図である。
【図5】実施例1に於ける磁気記録装置のヘッド・ジンバル・アッセンブリを説明する図である。
【図6】実施例1に於けるサスペンションの一部(歪ゲージの設けられる部分)を説明する平面図である。
【図7】実施例1に於ける磁気ヘッド姿勢調整装置の構成を説明する図である。
【図8】実施例1に於ける磁気ヘッド姿勢調整装置が、磁気ヘッドとサスペンションに取り付けられた状態を説明する図である。
【図9】実施例1に於ける磨耗量制御装置の構成を示すブロック図である。
【図10】実施例2に於ける磁気ヘッド姿勢調整装置が、ガイドアームとサスペンションの間に設けられた状態を説明する図である。
【図11】実施例3に係る摩擦力調整装置(サーマルアクチュエータ)の構成と動作を説明する図である。
【図12】接触式磁気記録装置に於いて、磁気ヘッドに作用する力を説明する図である。
【図13】磁気記録媒体の内周と外周に於ける速度(周速)の違いを説明する図である。
【図14】シーク動作による磁気ヘッドの浮上力の変化を説明する図である。
【符号の説明】
【0135】
2・・・サスペンション 4・・・磁気ヘッド 6・・・磁気記録媒体
8・・・サスペンションが磁気ヘッドを押す力 10・・・空気の流れ
12・・・浮上力 14・・・潤滑剤 16・・・メニスカス力
18・・・磁気ヘッドが磁気記録媒体に及ぼす垂直荷重
20・・・磁気記録媒体の速度(周速) 22・・・シーク動作の方向
24・・・磁気ヘッドの長手方向(周回方向と略同じ)と空気の流れのなす角度
26・・・磁気記録装置 28・・・磨耗量制御装置 32・・・摩擦力測定装置
36・・・歪ゲージ 38・・・摩擦力調整装置 40・・・摩擦力
42・・・ヘッドスライダ 44・・・記録再生素子
46・・・磁気ヘッドが磁気記録媒体に接触する先端部 48・・・張力
50・・・ピッチ角 52・・・ロール角
56・・・ガイドアーム 58・・・サスペンションの一部
60・・・長手方向に伸びた平板 62・・・補強板
64・・・磁気ヘッド姿勢調整装置 66・・・第1の平板
68・・・圧電素子 70・・・第2の平板 72・・・ロードビーム
74・・・ジンバル 76,77・・・配線 78・・・ストレインアンプ
80・・・制御回路 82・・・ブリッジ回路 84・・・電流増幅器
86・・・サスペンションの長手方向 88・・・加熱部材(ヒータ)
92・・・再生ヘッド及び記録ヘッド 94・・・サーマルアクチュエータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転している状態で、情報の書込み及び読出しが行われる磁気記録媒体と、
前記磁気記録媒体への前記情報の書込み及び読出しを前記磁気記録媒体に接触した状態で行う記録再生素子と前記記録再生素子が形成されたヘッドスライダからなる磁気ヘッドとを有する磁気記録装置において、
前記磁気記録媒体と前記磁気ヘッドの間に働く摩擦力を測定するための摩擦力測定装置と、
前記摩擦力を調整する摩擦力調整装置と、
前記摩擦力測定装置によって得られる摩擦力の測定値に基づいて、前記磁気ヘッドの磨耗量が非制御時より少なくなるように前記摩擦力調整装置を制御する磨耗量制御装置と、
を具備することを特徴とする磁気記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気記録装置において、
前記摩擦力測定装置が、
前記磁気ヘッドが取り付けられたサスペンションに、前記磁気ヘッドを介して回転中の前記磁気記録媒体が及ぼす張力を、前記摩擦力として計測するための装置であることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項3】
請求項2に記載の磁気記録装置において、
前記摩擦力測定装置が、
前記サスペンションと、
前記サスペンションに貼付された歪ゲージからなることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項4】
請求項1に記載の磁気記録装置において、
前記摩擦力調整装置が、
前記磁気ヘッドが前記磁気記録媒体に接触する状態を調整する装置であることを特徴とする磁気記録装置。
【請求項5】
請求項4に記載の磁気記録装置において、
前記摩擦力調整装置が、
前記磁気ヘッドの姿勢を調整する磁気ヘッド姿勢調整装置からなることを特徴とする磁気記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−293561(P2008−293561A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136089(P2007−136089)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)