説明

揚送研磨装置

【課題】球使用数量の削減が可能で、揚送研磨装置の小型化が可能な遊技機に対して、同遊技機に好適な揚送研磨装置を提供する。
【解決手段】1台の遊技機又は隣接する数台の遊技機により小規模な島を構成し、下部タンクをいずれの遊技機から落下する球も収容できるように設け、揚送研磨装置を、下部タンクから球流入口に流入する球がスクリューコンベアにより揚送される間に研磨ブラシに接触して研磨され、球排出口から排出される球を上部タンクまで揚送する揚送手段を付加した構成とした。揚送研磨装置を、前記下部タンクよりも下側に取付けて、その下部タンクから流下する球を前記球流入口から流入させ、前記球排出口から排出される球を前記揚送手段により揚送して、前記上部タンクに収容するように設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機から排出される遊技球を集めて揚送しながら研磨し、その研磨した遊技球をリサイクル補給用に排出する揚送研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技者が遊技球貸し機(以下、球貸し機という。)から遊技球(以下、球という。)を借り受け、その借り受けた球を遊技機の球発射装置により遊技盤に発射して入賞口に的中した場合に賞球を上皿に排出させて獲得できるようにした伝統的な遊技機においては、遊技者が手で球に触れることから手の油成分や汗あるいは球通路構成部材から発生する塵埃などが球に付着して汚れるので、その汚れを除去し、併せて球の光沢を回復するために、遊技盤の非入賞口又は入賞口から落下する球(以下、落下球という。)を遊技機の下側に設けた下部タンクに収集した後、その下部タンクから遊技機の上側に設けた上部タンクまで揚送する間に球を研磨する揚送研磨装置が用いられている。
【0003】
この伝統的な遊技機は、十数台からなる一群の遊技機で一つの遊技島(以下、単に島という。)を構成し、その島の遊技機から排出される落下球を下部タンクに収集して1台の揚送研磨装置により揚送研磨し、その揚送研磨した球を一つの上部タンクに貯留し、その上部タンクから各遊技機に供給するように構成してある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−262255号公報
【特許文献1】特開2010−035731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術においては、揚送研磨装置で揚送研磨され、その上端部から排出される球を、島を構成する全ての遊技機に共通な一つの上部タンクに貯留し、その上部タンクから球を各遊技機の受け皿と球貸し機に分配し、各遊技機から排出される落下球を一つの下部タンクに収集して、前記揚送研磨装置の下端部に流入させるように構成されている。また、上記従来技術においては、遊技者が一つの島から他の島に球を移動することを阻止できないため、移動元の島において球不足が生じない程度に保有球数を多めに設定している。このため、島全体の球使用数量が非常に多く、従って、揚送研磨装置も大型のものが必要になり、揚送研磨装置の負荷が大きく、各遊技機に対する球供給制御が複雑になり、研磨材の交換に多くの手間とコストがかかるので、メンテナンスも容易でないという問題があった。そのため、島の規模を1台のみまたは数台程度と小さくし、その範囲内にて限られた数の球を上手くリユースするような遊技機が開発されている。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その課題を解決する遊技機において用いるのに好適な揚送研磨装置を提供することにある。また、他の目的は、揚送研磨装置の研磨材の交換が容易にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、(a)揚送研磨装置を、球流入口と球排出口とを有して、遊技機内に取付けられる球揚送ユニットと、その球揚送ユニットに着脱可能に装着される研磨材カセットとから構成し、(b)前記球揚送ユニットは、前記研磨材カセットを収容する空間を有する箱状のユニット本体と、そのユニット本体内に設けられた球揚送手段とからなり、(c)前記球揚送手段は、前記ユニット本体内に軸芯を垂直にして回転自在に備えられたスクリューコンベアと、背面側全長に縦長の開口を有する筒状に形成され、前記スクリューコンベアを同心円状に包囲して、前記スクリューコンベアと協働して前記開口に沿って延びる球揚送路を形成するとともに、その球揚送路の下端に連通される前記球流入口と前記球揚送路の上端に連通される前記球排出口とを有する球揚送ガイドと、前記スクリューコンベアを所定方向に回転させる第1駆動手段とからなるものであり、(d)前記研磨材カセットは、研磨材として球の揚送方向に対して直角方向に回転されるローラ状の研磨ブラシを用いるものであって、前記球揚送ユニットの研磨材カセット収容空間に着脱自在に嵌合され、前記スクリューコンベア側に開口する箱状のカセット本体と、そのカセット本体の中に垂直軸回りに回転自在に保持され、前記カセット本体を前記ユニット本体の研磨材カセット収容空間に嵌合した場合に前記球揚送路を揚送される球に接触する前記ローラ状の研磨ブラシと、前記研磨ブラシを回転させる第2駆動手段とからなることを特徴としている(請求項1)。
【0008】
前記第1駆動手段は、球揚送ユニットに取付けられたモータと、そのモータの回転軸に固着された歯車と、スクリューコンベアの軸に固着され、前記モータの歯車に噛合された歯車とから構成され、第2駆動手段は、研磨ブラシの軸に固着され、前記スクリューコンベアの歯車に噛合された歯車で構成されていることが望ましい(請求項2)。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの外周面の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記カセット本体又は前記ケースの前記開口の両縁のうち、回転する前記研磨ブラシの先端が前記開口の中央側に離間する側の縁に、その回転する研磨ブラシの先端を押圧湾曲させ、かつ、跳ねさせて汚れを前記ケース内に剥離させる接触部を備えたことを特徴としている(請求項3)。
【0010】
本発明の他の好ましい実施の形態においては、上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの円周方向の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記ケース内に前記研磨ブラシの先端に接触して汚れを剥離する固定ブラシを備えたことを特徴としている(請求項4)。
【0011】
本発明のさらに他の好ましい実施の形態においては、上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの円周方向の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記ケース内に前記研磨ブラシの前記開口に露出されている研磨ブラシの外周面の一部に接触してその研磨ブラシに付着している汚れを転写する粘着剤付きローラを回転自在に備えたことを特徴としている(請求項5)。
【0012】
前記ケースは、いずれも、上記カセット本体に対して着脱自在に装着されるものであることが望ましい(請求項6)。
【0013】
上記の課題を解決する揚送研磨装置は、所定方向に回転されて下側に設けられた球流入口から流入する球を上側に設けられた球排出口まで揚送するスクリューコンベアと、所定方向に回転されて前記スクリューコンベアにより揚送される球に接触してその球を研磨するローラ状の研磨ブラシとからなり、前記遊技機の遊技盤よりも下側に取付けられて、前記遊技盤から落下する球を前記球流入口から前記スクリューコンベアに流入させ、回転するスクリューコンベアと研磨ブラシによる揚送研磨を終了した球を前記球排出口から前記上皿など球供給側貯留部に移行させるように設置されていることを特徴としている(請求項7)。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明によれば、1台又は隣接や背中合せなどで設置される数台の遊技機により小規模な島を構成した際に、揚送研磨装置を、球流入口と球排出口とを有して遊技機内に取付けられる球揚送ユニットと、その球揚送ユニットに着脱可能に装着される研磨材カセットとから構成し、球揚送ユニットは研磨材カセットを収容する空間を有する箱状のユニット本体と、そのユニット本体内に設けられた球揚送手段とからなるので、研磨材カセットの交換が容易にできる。また、球揚送手段は、ユニット本体内に軸芯を垂直にして回転自在に備えられたスクリューコンベアと、背面側全長に縦長の開口を有する筒状に形成され、前記スクリューコンベアを同心円状に包囲して、前記スクリューコンベアと協働して前記開口に沿って延びる球揚送路を形成するとともに、その球揚送路の下端に連通される前記球流入口と前記球揚送路の上端に連通される前記球排出口とを有する球揚送ガイドと、前記スクリューコンベアを所定方向に回転させる第1駆動手段とからなるものであるので、構成が比較的簡単な小型の揚送研磨装置を提供することができる。
【0015】
従来からある遊技機は遊技者が直接球に触れること(開放型)が前提となっているが、1台又は数台からなる小規模な遊技機島を想定した場合には、球貸し機から上皿など球貯留部への貸し球の供給から、球発射装置による球の発射、落下球の下部タンクへの収容、揚送研磨装置における揚送研磨、上部タンクから遊技機の受け皿及び球貸し機への供給までの球通路が閉じられて、遊技者が球に触れられないように構成されるもの(非開放型)も考案されている。上記球研磨装置は開放型と非開放型のいずれにも設置が可能である。
【0016】
また、請求項1の発明によれば、研磨材カセットは、研磨材として球の揚送方向に対して直角方向に回転されるローラ状の研磨ブラシを用いるものであり、球揚送ユニットの研磨材カセット収容空間に着脱自在に嵌合され、スクリューコンベア側に開口する箱状のカセット本体と、そのカセット本体の中に垂直軸線回りに回転自在に保持され、カセット本体をユニット本体の研磨材カセット収容空間に嵌合した場合に前記球揚送路を揚送される球に接触する前記ローラ状の研磨ブラシと、前記研磨ブラシを回転させる第2駆動手段とからなるので、構造が簡単な研磨材の使用が可能であり、かつ、研磨材の交換が容易にできる。
【0017】
請求項2の発明によれば、スクリューコンベアと研磨ブラシの回転駆動系統の構造を簡単にすることができる。また、研磨ブラシがスクリューコンベアの回転方向と反対方向に回転されるので、高い球研磨性能が得られる。
【0018】
請求項3の発明によれば、カセット本体は研磨ブラシの一部を露出させる開口を有し、その開口の外側に樋状のケースを備え、カセット本体又はケースの前記開口の両縁のうち、回転する研磨ブラシの先端が前記開口の中央側に離間する側の縁に、その研磨ブラシの先端から汚れを前記ケース内に掻き取る接触部を備えたので、研磨ブラシの先端から汚れが常時排除されるため、研磨ブラシの研磨性能が伸長される。
【0019】
請求項4の発明によれば、カセット本体は研磨ブラシの一部を露出させる開口を有し、その開口の外側に樋状のケースを備え、そのケース内に研磨ブラシの先端に接触して汚れを剥離する固定ブラシを備えたので、接触部よりも広い面積で研磨ブラシから汚れを除去することができ、同接触部よりも大きい剥離効果が得られる。
【0020】
請求項5の発明によれば、カセット本体は研磨ブラシの円周方向の一部を露出させる開口を有し、その開口の外側に樋状のケースを備え、そのケース内に研磨ブラシの前記開口に露出されている研磨ブラシの円周面の一部に接触してその研磨ブラシに付着している汚れを転写する粘着剤付きローラを回転自在に備えたので、前記接触部又は前記固定ブラシで汚れを掻き取る場合のような汚れの飛散又は騒音発生が生じない利点がある。
【0021】
請求項6の発明によれば、ケースがカセット本体に対して着脱自在に装着されるので、接触部、固定ブラシ又は粘着剤付きローラを容易に交換することができる。
【0022】
請求項7の発明によれば、揚送研磨を終了した球を球排出口から上皿などの球発射装置に連なる球供給側貯留部に移行できる位置であれば自由に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の正面図である。
【図2】同遊技機の揚送研磨装置を抽出して示す正面図である。
【図3A】揚送研磨装置のみの正面図である。
【図3B】揚送研磨装置の正面側の斜視図である。
【図3C】揚送研磨装置の背面側の斜視図である。
【図3D】揚送研磨装置の球揚送ユニットから研磨材カセットを引き出した状態の斜視図である。
【図3E】同じく背面図である。
【図3F】球揚送ユニットの球揚送通路における球の揚送中の動作を説明する拡大図である。
【図4A】研磨材カセットにケースを装着した例を示す斜視図である。
【図4B】研磨材カセットのケースを開けた状態を示す斜視図である。
【図4C】そのケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4D】揚送通路の水平断面図及び部分拡大図である。
【図5A】ケースに固定ブラシを取付けた例を示す斜視図である。
【図5B】ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5C】揚送通路の水平断面図及び部分拡大図である。
【図6A】ケースに粘着剤付きローラを取付けた例を示す斜視図である。
【図6B】ケースを取り外した状態を示す斜視図である。
【図6C】揚送通路の水平断面図及び部分拡大図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る遊技機の制御系統図である。
【図8】同遊技機の演算制御部の作用を説明するフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態に係る遊技機の一例の正面図である。
【図10】同じく背面図である。
【図11】揚送研磨装置の正面側の斜視図である。
【図12】同じく背面側の斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態に係る遊技機の制御系統図である。
【図14】同遊技機の演算制御部の作用を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
1.0 [実施の形態に係る遊技機]
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、小規模な遊技島は1台のみまたは複数台が隣接又は背中合せなど様々なケースが考えられるが、ここでは2台の遊技機が横並びに設置されている構成で説明する。
図1に遊技機Aを示すが、隣接する2台の遊技機1A,1Bから構成されている場合の例である。なお、小規模島を形成する2台の遊技機1A,1Bは、構成が同じであり、遊技機からの落下球の収集機能、揚送研磨能及び遊技機への球供給機能がこの2台の遊技機において完結している。
【0025】
1.1 [遊技機]
遊技機1A,1Bは、例えば、パチンコ機であり、従来と同様に、一側において本体に開閉可能に軸支されたガラス扉2と前面板3とを有し、ガラス扉2の背面側に遊技盤4が設けられている。前面板3には、既知の発射装置(図示省略)への球発射指令入力と球発射速度調節を行なう操作ハンドル6設けられている。
【0026】
図1において、16は上皿、17は下皿、18はロート、19は受け皿である。20は、遊技盤11に設けられた残存球数と賞球獲得数を表示するための表示部である。上皿16と下皿17は、その中に収容されている球を外側から透視できる。
【0027】
1.2 [球貸し機]
遊技機1A,1Bの左側に結合されている球貸し機8は、表示ランプ8a、紙幣投入口8b、硬貨投入口8c、硬貨返却口8d、中にカードリーダライタが設けられている遊技カード挿入口8e、球貸し要求スイッチ8f、ゲーム終了スイッチ8hのほか、球貸し機8の中に上端部に開口する球貯留部と、その球貯留部から貸し球を上皿16に供給する第1の供給管15が設けられている。球貯留部の底部には貸し球供給指令信号により球貯留部から所定数の貸し球を貸し球供給管15に放出する貸し球供給手段(図7の8i)が設けられている。貸し球供給手段8iは、例えば、電動シャッターとカウンタと制御回路の組合せなどで構成することができる。
【0028】
操作ハンドル6の操作により発射装置により遊技盤面4に向けて発射され、非入賞口h1に入った外れ球はロート18に落下する。また、遊技盤面4に向けて発射され、入賞口h2に入った賞球もロート18に落下する。入賞口h2の中には、入賞検知センサ(図7のS1参照)が設けてあり、入賞を検知したときは、その入賞検知信号が遊技機1A,1Bの後述される演算制御部300に入力されるようになっている。
【0029】
受け皿19から球を上皿16に供給するための第2の供給管(図示せず)が設けられ、受け皿19の底部には、演算制御部300が前記入賞検知信号の入力に基づいて出力する賞球放出指令信号を入力するたびに受け皿19から第2の供給管に所定数の賞球を放出する、例えば、電動シャッターとカウンタと制御回路の組合せなどからなる賞球供給手段(図7の19a)が設けられている。
【0030】
上皿16には、その底部に形成されている孔を開閉する手動シャッター(図示せず)が設けられており、上皿16が満杯に近づいたことを遊技者が見たときは、その手動シャッターを開けて、上皿16の球を下皿17に落下させることができる。また、下皿17には、その底部に形成されている孔を開閉する手動シャッター(図示せず)が設けられており、下皿17が満杯に近づいたことを遊技者が見た時は、その手動シャッターを開けて、下皿17の球をロート18に落下させることができる。そして、下皿17の孔の下側にロート18に落下する球を計数するカウンタS2が設けてあり、そのカウント値は演算制御部300に賞球獲得数として入力されるようになっている。
【0031】
以上は、各遊技機に固有の構成である。次に、小規模島を構成する2台の遊技機1A,1Bに共通の構成要素として、図1に示すように、一つの下部タンク31と、一つの上部タンク32と、一つの揚送研磨装置BEとがある。
【0032】
下部タンク31は、遊技機1A,1Bの下側に設けられている。この場合、遊技機1A,1Bのいずれか一方の下側又は双方の下側のいずれでもよい。そして、各遊技機のロート18から落下する球を収容する。また、上部タンク32は、小規模島の上側に、すなわち、遊技機1A,1Bの頂部中央に設けられ、その上部タンク32から球を各遊技機1A,1Bのそれぞれの受け皿19及び球貸し機8の球貯留部に流下させる球通路33,34が設けられている。
【0033】
1.3 [揚送研磨装置]
揚送研磨装置BEは、図1、2に示すように、下部タンク31から導入管35を介して流入する球を揚送研磨する揚送研磨装置Bと、その揚送研磨装置Bから排出される研磨済みの球を上部タンク32まで揚送する揚送手段Eとからなっている。
【0034】
揚送手段Eは、図2に示すように、前記導出管36と、その導出管36の中に設けられたコイルバネなどのスクリューコンベア37と、そのスクリューコンベア37を所定方向に回転駆動するモータ38とからなっている。
【0035】
導出管36は、遊技機1Bの上方まで伸び、揚送研磨装置Bの球排出口114から排出される揚送研磨後の球を回転されるスクリューコンベア37により導出管36の上端部まで揚送し、上部タンク32内に放出するように構成されている。
【0036】
上記揚送研磨装置BEは、上部タンク32内に設けられた空検知器(図示せず)が空状態又は二ア空状態を検知して出力した時にモータ38の回転を始動して、下部タンク内の球を揚送研磨し、上部タンク32内に設けられた満杯検知器(図示せず)が満杯又はニア満杯を検知して出力した時にモータ38の回転を停止するようになっている。
【0037】
1.4 [揚送研磨装置]
小規模島の遊技機Aにおいては、前面板3の内側の遊技盤4よりも下側付近に揚送研磨装置Bが設置されている。揚送研磨装置Bは、図3C及び図3Dに示すように、球揚送ユニット100と研磨材カセット200とから成っている。
【0038】
1.4.1 [球揚送ユニット]
球揚送ユニット100は、図3Eに示すように、背面側のみに開口する箱状に形成されたユニット本体101の中に、ほぼ中央において揚送部が設けられ、その揚送部の背面側に、後述される研磨材カセット200を嵌合することができる研磨材カセット収容空間101R設けられている。前記揚送部は、背面側に垂直方向に連続する、球Cの直径よりもわずかに大きな幅の開口を有する水平断面形状がコ字形又は円弧状の縦長の揚送ガイド102と、ユニット本体101の内面に固着された上下の支持部材103(図3E参照)により揚送ガイド102の中心に回転軸104aを合致させて回転可能に取付けられたスクリューコンベア(以下、単にコンベアという。)104と、そのコンベアを回転駆動するためのモータ105と、コンベア104の回転を検知することにより揚送研磨装置Bから排出される球を計数するための回転検知センサ106とからなっている。揚送ガイド102は、開口を背面に向けて取付けられている。
【0039】
コンベア104は、その外周面が揚送ガイド102の内面に近接する外径を有し、コンベア104の回転軸104aの外周面と揚送ガイド102の内面との間は球Cの直径よりも僅かに大きく離間され、スクリューのピッチは球の径より僅かに大きく設定されている。
【0040】
揚送ガイド102の下側部分には、図3Eに示すように、下側の球通路形成部材が取り付けられている。球通路形成部材の一例を説明すると、横断面形状が遊技球Cの半径よりも大きい曲率半径を有する円弧状の下側カバー108が固着されて、その下側カバー108はコンベア104の下部の揚送ガイド102によって遮蔽されていない外周面を遮蔽している。そして、コンベア104と下側カバー108との間に上下方向に連続する球揚送路p1(図示省略)が形成されている。下側カバー108の下端部の図3Eにおいては左側の側面に、湾曲された球導入路110の一端が接続され、球導入路110は球揚送路p1の下端部に連通されている。また、球導入路110の他端は、球揚送ユニット100のユニット本体101の正面下部に形成されている球流入口111(図3A参照)に接続されている。
【0041】
揚送ガイド102の開口面の上側部分にも、図3Eに示すように、球通路形成部材として下側カバー108と同様な上側カバー112が固着されて、その上側カバー112はコンベア104の上部の揚送ガイド102によって遮蔽されていない外周面を遮蔽している。そして、コンベア104と上側カバー112との間に球揚送路p1と同様の球揚送路p3(図示省略)が形成されている。上側カバー112の上端部の図3Eにおいては右側の側面に、湾曲された球導出路113の一端が接続され、その球導出路113の他端は、球揚送ユニット100のユニット本体101の正面上側に形成されている球排出口114(図3A参照)に接続されている。球導出路113は球揚送路p3の上端から球排出口114まで、遊技球が転動しやすいように、僅かに下り傾斜されている。
【0042】
揚送ガイド102の開口の、下側カバー108と上側カバー112の間に残された部分、すなわち、開口により、上下の球揚送路p1,p3に連通する中間の球揚送路p2(図示省略)が形成されている。
【0043】
図3C、3D及び3Eに示すように、コンベア104の回転軸104aの下端部には上下2段のギア115a,115bが固着され、下側のギア115aとモータ105の回転軸に固着されたギア116とが噛み合わされている。これらのモータ105と、ギア115a、116とで、揚送部を駆動する第1駆動手段が構成されている。
【0044】
第1駆動手段105,115a,116によりコンベア104が所定方向、図3Eにおいては上から見て反時計方向に回転されると、球流入口111から入る球は、揚送部の球揚送路p1, p2,p3を揚送されるが、好ましい実施の態様においては、図3Fに示すように、揚送ガイド102の球揚送路 p2の開口の左右両側の辺が規則的に蛇行するように形成され、かつ、左右の蛇行辺が1ピッチ分上下方向にずらされている。従って、球揚送路p2を揚送される球が蛇行しながら揚送されるようになっている。これにより、球の球面全体が満遍なく研磨される効果が得られる。
【0045】
回転検知センサ106は、一例として、ユニット本体101に取付けられた既知の光電センサ106aと、コンベア104の回転軸104aの上方延長部に固着されたエンコーダ106bとで構成されている。この回転検知センサ106は、コンベア104の回転角度に基づいて球排出口114から排出される球を計数するために用いられる。球を計数するためのセンサは、他の構成のものでよいし、別の位置に設けても良い。
【0046】
そして、上記球揚送ユニット100は、ユニット本体101の開放面を図3Dに示すように遊技機1の背後方向に向けた状態で遊技機1内に収容され、ユニット本体101に一体に設けた取付片101a〜101eにおいてねじ止め等の固着手段により着脱可能に取付けられる。従って、本発明に係る揚送研磨装置Bは、遊技機Aに対して容易に取付けることができる。
【0047】
1.4.2 [研磨材カセット]
一方、研磨材カセット200は、図3C,3Dに示すように、カセット本体210と、そのカセット本体210に垂直軸を中心に回転自在に保持された研磨ブラシ220とから構成されている。カセット本体210は、球揚送ユニット100の揚送部に対して着脱可能に形成されている。その着脱機構の一例を説明すると、図3Cに示すように、カセット本体の一側面の上下に上下対向して突出するピン211を設けるとともに、カセット本体の他側面に弾性を有する被係止片212を設けてある。そして、球揚送ユニット100の球揚送路p2の左右両側、例えば揚送ガイド102又はその付近に形成したホルダ102eに前記ピン211を受け入れる開口及び被係止片212を係止する係止片を設けて、図3C及び3Dに示すように、球揚送ユニット100の揚送部にカセット本体210を接近させ、着脱機構により固定することができる。
【0048】
研磨ブラシ220は、ローラ状(又は縦長の筒状。本明細書において同じ。)に形成してあり、その中心に上下方向に突出する軸221を有しており、カセット本体210の上下の軸受213,214の間に研磨ブラシ220を収容し、研磨ブラシ220の上下端部の軸221を軸受213,214により回転自在に支持してある。研磨ブラシ220は、少なくとも外周面の一部が全長に渡ってカセット本体210の、球揚送ユニット100の揚送部側の面から突出されている。また、研磨ブラシ220の長さは、球揚送ユニット100の揚送部の球揚送路p2の長さと等しく設計されている。
【0049】
従って、カセット本体210を球揚送ユニット100の揚送部に装着して固定した時は、その研磨ブラシ220の外周面の一部が球揚送路p2に臨み、揚送部により揚送される球に接触することができる。
【0050】
研磨ブラシ220の外周面が揚送部により揚送される球に対する研磨作用(汚れ除去及び光沢回復)の効果を高めるため、研磨ブラシをコンベア104の回転方向逆方向に回転させる第2の駆動手段が設けられている。その一例を説明すると、図3B,3C,3Dに示すように、研磨ブラシ220の軸221の下端部にギヤ115cを設けるとともに、カセット本体210を球揚送ユニット100に固定したときにギヤ115cがコンベア104の上段のギヤ115bと噛み合うにしてある。
【0051】
第2の駆動手段は、第1の駆動手段の回転力を分与する構造でなく、別のモータを用いるものとしても良い。
【0052】
こうして、上記揚送研磨装置Bを遊技機1の中に設置すると、図10に示すように、球流入口111が遊技機1の非入賞口h1及び入賞口h2に連なるアウト球通路11及び賞球通路12に結合されている合流路13の終端に設けられた受け皿14に連結され、補給通路10が遊技機1の発射装置に連結される。
【0053】
1.4.3 [研磨ブラシの清掃機構]
研磨材として上記のように研磨ブラシを用いる場合は、球に付着していた汚れがその研磨ブラシに掻き取られる。掻き取られた汚れがブラシに蓄積するままにする場合は、研磨ブラシの洗浄又は交換が必要になる。カセット本体200は、着脱可能であるので、これを取り外して、ブラシの洗浄又は交換を行うことは容易にできる。しかし、球の汚れ程度によっては、ブラシの洗浄又は交換の頻度が高く、メンテナンス性に問題が生じ、研磨ブラシの寿命の低減を招く虞がないとは限らない。
【0054】
以下に、研磨ブラシの洗浄又は交換の代わりになり得る、研磨ブラシの清掃機構について説明する。
図4Aないし図4Dは、カセット本体200の背面側に片面のみに開口する箱状のケース230を着脱可能に取付けた例である。ケース230のカセット本体200に対する着脱機構には、カセット本体200の球揚送ユニット100に対する上記の着脱機構と同じものを用いることができる。
【0055】
この実施の態様における研磨ブラシ220は、カセット本体200から球揚送ユニット100の揚送部側とその反対側の双方に外周面の一部が突出されている。そして、ケース230の中にブラケット240が固定されている。ブラケット240には、ケース230の開口の両側辺のうち、回転する研磨ブラシ220の外周面が開口の中央に向かって移動する側の辺、図4Dにおいては、開口の右側の辺に、研磨ブラシ220の外周面に押圧して接触する接触部241が全長に亘って備えられている。接触部241がブラシの外周面に押圧して接触するので、回転する研磨ブラシ220の繊維の先端が接触部241に押されて撓んだ直後に、その接触部241から解放されて跳ねるため、繊維に付着している汚れが剥離され,ケース230の内壁面に付着し、堆積される。従って、汚れがケース230内に一定量堆積するまで、そのケースを使用し続けることができる。一定量堆積したときは、そのケースは交換され、洗浄または破棄される。ブラケット240は、これを着脱可能としても良い。こうして、接触部241により研磨ブラシの先端から汚れを掻き落として、研磨ブラシの研磨能力を再生することができる。
【0056】
図5Aないし図5Cは、カセット本体200の背面側に着脱可能に取付けられる、図4Aないし図4Dにおけるケースと同様のケース230の中に、研磨ブラシ220の外周面の一部に押圧接触する固定ブラシ250を備えた例である。
【0057】
固定ブラシ250を用いる場合は、固定ブラシと研磨ブラシ220の繊維同士が押圧接触するので、研磨ブラシ220からの汚れ剥離効果に優れている。こうして、固定ブラシ250により研磨ブラシ220の先端から汚れを掻き落として、研磨ブラシの研磨能力を再生することができる。また、固定ブラシには安価なものを使用することができ、汚れが堆積した場合は、ケース300と一緒に廃棄できるので、汚れ処理コストの低減が可能である。
【0058】
図6A及び図6Bは、研磨ブラシ220の清掃部材として、粘着剤付きローラ260を用いる例である。すなわち、同様のケース230Eの中に、粘着剤付きローラ260を回転自在に設け、ケース230Eをカセット本体200の背面側に着脱機構を介して固定した時は、図6Cに示すように、粘着剤付きローラ260の外周面の一部が研磨ブラシ220の外周面の一部に押圧接触して、その研磨ブラシ220の外周面に付着している汚れを、同期回転している粘着剤付きローラ260に転写させるようにしたものである。こうして、粘着剤付きローラ260により研磨ブラシの先端から汚れを転写して研磨ブラシの研磨能力を再生することができる。また、粘着剤付きローラ260には、粘着剤付きテープを年輪状に積層されたものを使用すると、転写した汚れの堆積により転写能力が低下した場合は、最上面の粘着剤付きテープを除去して、転写能力を再生できるので、好ましい。
【0059】
1.5 [演算制御部]
遊技機Aの演算制御部300には、図7に示すように、球貸し機の紙幣投入口の中に設けられた金種判別器(図示省略)、硬貨投入口の中に設けられた硬貨鑑別器(図示省略)、カードリーダライタR/W又はプリンタ(図示省略)、球貸し要求スイッチ8f、貸し球供給手段8i、ゲーム終了スイッチ8h、入賞検知センサs1、賞球供給手段19a、賞球獲得数カウンタs2、賞球獲得数を一時記憶する記憶部400及び表示部20が接続されている。また、演算制御部300は、ゲーム実行条件又はゲーム続行条件の成否を判断する条件成否判定部301と、球貸し要求スイッチ8fから球貸し要求信号を入力するたびに、条件成立の場合は貸し球供給手段8iに所定数の貸し球を供給させるための貸し球供給指令信号を与える球貸し制御部305と、賞球獲得数積算部306と、賞球獲得数を表示部20に表示させる表示制御部303と、ゲーム終了スイッチ8hからゲーム終了信号を入力した時、賞球獲得数が記憶部400に記憶されている場合は、カードリーダライタ又はプリンタにその賞球獲得数を記録し又は印字させる記録制御部307が設けられている。
【0060】
1.6 [遊技機の作用]
上記構成による遊技機Aの作用は、図8のフローチャートで示すとおりである。
すなわち、演算制御部300は、遊技カードから読み取ったデータが又は投入された貨幣の金額がゲーム実行条件を満たす場合に、もしくは、演算制御部に記憶されている残存球数がゲーム続行条件を満たすと判定した場合(S1においてYの場合)に、球貸し要求信号が入力された時(S2においてYの場合)は、球貸し機8の球貯留部の球供給手段に動作指令信号を与えて、所定数の球を球発射装置の発射位置に連なる上皿5に排出させる(S3)。
【0061】
その後、直ちに上部タンク32から所定数の球を球貸し機8の球貯留部に補給する(S4)。上部タンク32には、ニアエンプティ検知器とニアフル検知器とが設けてあり、いずれの検知器の検知信号も演算制御部300に与えられるようになっている。そして、S4に続いてニアエンプティ検知器が検知信号を出力したか否かを調べる(S5)。ニアエンプティ検知器が出力するたびに、ニアフル検知器が検知信号を出力するまで揚送研磨装置Bを駆動させて、下部タンク31内の球を揚送研磨して、上部タンク32に収容する(S6)。
【0062】
上部タンク32から球を球貸し機に補給した後は、球発射装置により遊技盤に向けて発射された球が入賞した場合、すなわち、入賞検知センサから入賞検知信号が演算制御部300に入力した場合(S7においてYの場合)は、受け皿19に設けてある球供給手段に動作指令信号を与えて所定量の球を上皿16に供給させる(S8)。
【0063】
S8の後も、ニアエンプティ検知器が検知信号を出力したか否かを調べ(S9)、検知信号を出力したときは、S6に移行する。
【0064】
入賞後、遊技者が下皿17に設けてあるシャッターを操作して、下皿内の賞球を下部タンク31に落下させた場合、すなわち、賞球獲得を行った場合(S10)は、そのシャッター出口に設けてある獲得数カウンタが賞球獲得数を計数してその計数値を演算制御部300に与えるので、演算制御部300はその計数値を積算し、その積算値を記憶部400に記憶させるとともに、表示部20に表示させる(S11)。
【0065】
続いて、ゲーム終了スイッチ8hからゲーム終了指令信号が入力したか否かを監視し(S12)、入力しない場合は、S7に戻り、ゲームの進行状況を監視する。
【0066】
ゲーム終了指令信号が入力した場合は、その時点において記憶部に記憶されている賞球獲得数をカードリーダライタR/Wに遊技カードに記録させ、又はプリンタに記録票を発行させ(S13)、ゲーム処理を終了する。
【0067】
また、発射装置により発射された球がS7において入賞しないときは、打球検知器により打球がまだ所定値以上あるか否かを監視し(S14)、ある場合は、S7に戻るが、打球が所定値未満になった時(S14においてNの場合)は、記憶されている残存球数が所定値以上か否かを調べ(S15)、所定値以上であるときは、球貸し機8から所定量の球を上皿16に供給させる(S16)とともに、残存球数からその所定量を減算して、減算結果を新たな残存球数として記憶部400に記憶させ、かつ、表示部20に表示させる(S17)。S17の次は、S7に戻る。
【0068】
そして、S1においてゲーム実行条件が満たされないとき又は条件が満たされていてもS2において球貸し要求がされないときに、所定時間がまだ経過していないとき(S18においてNの場合)は、S1に戻るが、所定時間が経過した場合(S18においてYの場合)は、挿入されていた遊技カード又は貨幣を返却して(S19)、ゲーム処理を終了する。
【0069】
2.0 [第二の形態の遊技機]
本発明は、次の第二の実施の形態においても実現可能である。
図9に例示するように、この場合の遊技機Aは、1台の遊技機1と、その遊技機の片側に設けられた球貸し機8とからなっている。
【0070】
2.1 [遊技機]
遊技機1は、一側において開閉可能に軸支されたガラス扉2と前面板3とを有し、ガラス扉2の背面側に遊技盤4が設けられている。遊技盤4の下端部には非入賞口h1が、その上側の任意の位置には入賞口h2が設けられ、前面板3には、既知の発射装置(図示省略)により発射される前の球の有無を遊技者が透視できるように設けた透視窓5と、発射装置への球発射指令入力と球発射速度調節を行なう操作ハンドル6と、賞球獲得数又は残存球数を表示する表示部7とが設けられている。
【0071】
2.2 [球貸し機]
球貸し機8は、表示ランプ8a、紙幣投入口8b、硬貨投入口8c、硬貨返却口8d、及びカード挿入口8eを有している。カード挿入口8eの内側には、挿入されたプリペイドカード等の遊技カードの読取、書き込みを行うカードリーダライタ(図示省略)が設けられている。紙幣投入口8b、硬貨投入口8c、硬貨返却口8dを備えずに、カード挿入口8eのみを備える場合もある。また、球貸し機8には、遊技者が球貸しを要求するための球貸し要求スイッチ8fと、獲得した賞球の中から所定数の球の補給を要求するための球補給要求スイッチ8gと、ゲーム終了を指示するためのゲーム終了スイッチ8hとが設けられている。
【0072】
2.3 [揚送研磨装置]
図10、11に示すように、この遊技機Aにおいて用いる揚送研磨装置Bは、図2の揚送研磨装置BEから揚送手段Eを取り除き、図3Bの球流入口111に結合されている導入管35に代えて受け皿14を連結し、図3Bの球排出口114に結合されている導出管36に代えて補給通路10を結合したものである。
【0073】
そして、図10に示すように、遊技機1の遊技盤4の非入賞口h1及び入賞口h2から連なるアウト球通路11及び賞球通路12に連結されている合流通路13の終端は受け皿14に開口され、揚送研磨装置Bを遊技機1の中に設置して、球流入口111が受け皿14に連結される。また、球排出口114に一端が結合されている補給通路10の他端が遊技機1の発射装置(図示省略)に連結される。
【0074】
2.4 [演算制御部]
遊技機1の中には、揚送研磨装置Bを制御するためのCPUで構成された演算制御部300が設けられている。図13の制御系統図に示すように、演算制御部300には、球貸し機8のカードリーダライタR/W、球貸し要求スイッチ8f、球補給要求スイッチ8g、ゲーム終了スイッチ8h、遊技盤4の入賞口h2の中に設けられた入賞検知スイッチs及び揚送研磨装置Bの回転検知センサ106が接続されて、これらから遊技カードに記録されているデータ、球貸し要求信号、球補給要求信号、ゲーム終了信号、入賞検知信号、球計数信号がそれぞれ入力されるようになっている。また、演算制御部300には、ゲーム実行条件又はゲーム続行条件が満たされているか否かを判断する条件正否判定手段301と、残存球数算出手段302と、残存球数表示制御手段303と、精算手段304とが含まれている。さらに、演算制御部300には、システムプログラム、ワーキングデータなどを記憶するための記憶部400と、モータドライバ105d揚送を介して研磨装置Bの第1駆動手段のモータ105とが接続されている。第2駆動手段のモータ107も接続されているが、図13では省略されている。
【0075】
演算制御部300は、カード挿入口8bに挿入された遊技カードから読み取ったデータが、又は投入された貨幣の金額がゲーム実行条件を満たす場合に、もしくは、演算制御部300の記憶部400に記憶されている残存球数がゲーム続行条件を満たすと判定した場合に、球貸し要求信号が入力された時は揚送研磨装置Bのモータ105に駆動制御信号を出力し、回転検知センサ106からの球計数信号により所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5に放出させる。
【0076】
上皿5に放出され、発射装置により発射された球が非入賞口h1に入った場合は、その球は受け皿14に収容される。
【0077】
また、演算制御部300は、遊技中に入賞検知信号が入力された時は、所定数の球数を賞球獲得数として記憶部に記憶させ、その賞球獲得数を表示部7に表示させる。入賞検知信号が入力されるたびに、所定数の球数を先の賞球獲得数に加算して、新たな賞球獲得数を表示部7に表示させる。
【0078】
また、上皿5の発射されるべき球の数が少なくなり、見えなくなったとき、遊技者が球貸し要求スイッチ8fを操作した時は、記憶部に賞球獲得数が記憶されている場合、すなわち、表示部7に表示されている場合は、揚送研磨装置Bのモータ105を駆動させ、所定数の球を揚送研磨して上皿5に放出させる。これとともに、記憶部に記憶されている賞球獲得数から前記所定数を減算して、その結果である残存球数を表示部7に表示させる。
【0079】
さらに、球貸し要求スイッチ8fを操作した時に、表示部7に賞球獲得数が表示されていない場合は、挿入されている遊技カード又は投入された貨幣がゲーム続行条件を満たすときに、揚送研磨装置Bのモータ105を駆動させ、所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5に放出させる。
【0080】
そして、ゲーム終了信号を入力したときは、そのゲーム終了時において記憶部に残存球数が記憶されている場合は、その残存球数データをカードリーダライタに与え、遊技カードに書き換える。遊技カードが挿入されていない場合は、プリンタにより残存球数を印字した残存球数記録票を発行させる。
【0081】
以上のように、揚送研磨装置Bで必要とされる球は、受け皿14に収容される球と、上皿5に収容される球と、揚送部内に存在する球のみであるので、使用球数は100個ないし200個程度で良い。使用球数の大幅な削減が可能である。
【0082】
2.5 [遊技機の作用]
続いて、上記構成による演算制御部による遊技機の作用を図14を参照しながら説明する。
演算制御部300は、遊技カードから読み取ったデータが又は投入された貨幣の金額がゲーム実行条件を満たす場合に、もしくは、演算制御部に記憶されている残存球数がゲーム続行条件を満たすと判定した場合(S21においてYの場合)に、球貸し要求信号が入力された時(S22においてYの場合)は、揚送研磨装置Bの第1駆動手段のモータ105及び第2駆動手段のモータ107に駆動制御信号を出力し、回転検知センサ106からの球計数信号により所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5に放出させる(S23)。
【0083】
また、遊技中に入賞検知信号が入力された時(S24においてYの場合)は、揚送研磨装置Bの第1駆動手段のモータ105及び第2駆動手段のモータ107に駆動制御信号を出力し、回転検知センサ106からの球計数信号により所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5に放出させる(S25)。この場合に放出される所定数の球数は、賞球獲得数として一時記憶部に記憶されるとともに、表示部7に表示される(S26)。入賞検知信号が入力されるたびに、揚送研磨装置Bは所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5に放出させ、かつ、その放出した球の数を先の賞球獲得数に加算して、新たな残存球数を表示部7に表示させる(S27,S28でN、S24でY、S25,S26)。
【0084】
1回の球貸し要求により上皿に放出され、発射された球が入賞口h2に的中しなかったとき(S24においてNの場合)は、S21に戻る。
【0085】
窓5から見える上皿の発射されるべき球の数が少なくなったときに遊技者が球補給要求したとき(S28においてYの場合)に、記憶部400に賞球獲得数が記憶されている場合は、揚送研磨装置Bは所定数の球を揚送研磨して球排出口から上皿5などの球発射装置に連なる球供給側貯留部に放出させ(S29)、かつ、その放出した球の数を先の賞球獲得数から減算して、その結果である新たな残存球数で先の賞球獲得数を置換するとともに、新たな残存球数を記憶部21に格納し、かつ、表示部7に表示させる(S210)。
【0086】
そして、その後、S211においてゲーム終了信号を入力しないときは、S24に戻る。S27及びS211においてゲーム終了信号を入力した時は、カードリーダライタR/Wにより、挿入されている遊技カードにその時点で記憶部400に記憶されている賞球獲得数(残存球数)を記録させて、その遊技カードを返却する。カードリーダライタを備えていない遊技機の場合は、球貸し機8に備えてあるプリンタ(図示せず)に残存球数を印字した記録票を発行させる(S214)。
【0087】
S21においてゲーム実行条件が満たされないとき、又は条件が満たされていてもS22において球貸し要求がされないときに、所定時間が経過した場合(S212においてYの場合)は、挿入されていた遊技カード又は貨幣を返却して(S213)、ゲーム処理を終了する。
【0088】
ゲーム終了スイッチ8hは、必ずしも必要ではない。
【0089】
球発射装置に発射前の打球の数が所定値以下になったことを検知する打球検知器(図示せず)を設け、その打球検知器の出力する検知信号を演算制御部300が入力したときは、残存する賞球獲得数(残存球数)が所定値以上である場合には、あるいは、遊技カードの残額が所定値以上である場合は、揚送研磨装置を起動して所定数の球を上皿などに自動的に補給するように構成することもできる。この場合は、球発射装置の打球が少なくなる、あるいは無くなるたびに、遊技者が球補給要求スイッチ8fを操作しなくとも、自動的に球の補給を受けることができる。
【符号の説明】
【0090】
A 遊技機
1 遊技機
4 遊技盤
h1 非入賞口
h2 入賞口
5 透明窓
6 操作ハンドル
7 表示部
8 球貸し機
B 揚送研磨装置
100 球揚送ユニット
104 スクリューコンベア
105 モータ
111 球流入口
114 球排出口
200 研磨材カセット
210 カセット本体
220 研磨ブラシ
230 ケース
240 ブラケット
241 接触部
250 固定ブラシ
260 粘着剤付きローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)球流入口と球排出口とを有して、遊技機内に取付けられる球揚送ユニットと、その球揚送ユニットに着脱可能に装着される研磨材カセットとから構成され、
(b)前記球揚送ユニットは、前記研磨材カセットを収容する空間を有する箱状のユニット本体と、そのユニット本体内に設けられた球揚送手段とからなり、
(c)前記球揚送手段は、前記ユニット本体内に軸芯を垂直にして回転自在に備えられたスクリューコンベアと、背面側全長に縦長の開口を有する筒状に形成され、前記スクリューコンベアを同心円状に包囲して、前記スクリューコンベアと協働して前記開口に沿って延びる球揚送路を形成するとともに、その球揚送路の下端に連通される前記球流入口と前記球揚送路の上端に連通される前記球排出口とを有する球揚送ガイドと、前記スクリューコンベアを所定方向に回転させる第1駆動手段とからなるものであり、
(d)前記研磨材カセットは、研磨材として球の揚送方向に対して直角方向に回転されるローラ状の研磨ブラシを用いるものであって、前記球揚送ユニットの研磨材カセット収容空間に着脱自在に嵌合され、前記スクリューコンベア側に開口する箱状のカセット本体と、そのカセット本体の中に垂直軸回りに回転自在に保持され、前記カセット本体を前記ユニット本体の研磨材カセット収容空間に嵌合した場合に前記スクリューコンベアにより球揚送路を揚送される球に接触する前記ローラ状の研磨ブラシと、前記研磨ブラシを回転させる第2駆動手段とからなる
ことを特徴とする揚送研磨装置。
【請求項2】
前記第1駆動手段は、球揚送ユニットに取付けられたモータと、そのモータの回転軸に固着された歯車と、スクリューコンベアの軸に固着され、前記モータの歯車に噛合された歯車とから構成され、第2駆動手段は、研磨ブラシの軸に固着され、前記スクリューコンベアの歯車に噛合された歯車で構成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項3】
上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの外周面の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記カセット本体又は前記ケースの前記開口の両縁のうち、回転する前記研磨ブラシの先端が前記開口の中央側に離間する側の縁に、その回転する研磨ブラシの先端を押圧湾曲させ、かつ、跳ねさせて汚れを前記ケース内に剥離させる接触部を備えたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機で用いられる揚送研磨装置。
【請求項4】
上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの円周方向の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記ケース内に前記研磨ブラシの先端に接触して汚れを剥離する固定ブラシを備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項5】
上記カセット本体は、球揚送ガイドと反対側の面に研磨ブラシの円周方向の一部を縦方向全長に渡って露出させる開口を有するとともに、その開口の外側に樋状のケースを備え、前記ケース内に前記研磨ブラシの前記開口に露出されている研磨ブラシの外周面の一部に接触してその研磨ブラシに付着している汚れを転写する粘着剤付きローラを回転自在に備えたことを特徴とする請求項1に記載の揚送研磨装置。
【請求項6】
前記ケースは、いずれも、上記カセット本体に対して着脱自在に装着されるものであることを特徴とする請求項3−5のいずれか1項に記載の揚送研磨装置。
【請求項7】
所定方向に回転されて下側に設けられた球流入口から流入する球を上側に設けられた球排出口まで揚送するスクリューコンベアと、所定方向に回転されて前記スクリューコンベアにより揚送される球に接触してその球を研磨するローラ状の研磨ブラシとからなり、遊技機の遊技盤よりも下側に取付けられて、前記遊技盤から落下する球を前記球流入口から前記スクリューコンベアに流入させ、回転するスクリューコンベアと研磨ブラシによる揚送研磨を終了した球を前記球排出口から前記遊技機の球供給側貯留部に移行させるように設置されていることを特徴とする揚送研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−5832(P2013−5832A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138582(P2011−138582)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000146663)株式会社新興製作所 (60)
【Fターム(参考)】