説明

換気扇用フィルターカバー

【課題】フィルターカバーを、壁面や換気扇の周面を傷付けることなく、簡単に、換気扇に取り付けることができる、換気扇用フィルターカバー、を提供すること。
【解決手段】カバー本体2とフィルター3とフィルター保持具4とからなっており、カバー本体2が、上面25の後縁に、換気扇本体92と壁面99との間の隙間100に挿入される引掛部5を有するとともに、下面26の内側に、換気扇本体92の下面921に対してカバー本体2を固定するための固定機構6を有しており、カバー本体2が、引掛部5を隙間100に挿入し、且つ、固定機構6によって、当接部材61の当接面611を下面921に圧接させることにより、換気扇本体92に固定されるようになっていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁面に取り付けられている換気扇に、該換気扇を覆って着脱自在に取り付けられる、換気扇用フィルターカバー、に関するものである。
【背景技術】
【0002】
壁面に取り付けられている換気扇に、該換気扇を覆って着脱自在に取り付けられる、換気扇用フィルターカバーは、例えば、特許文献1に示されている。また、特許文献2〜6にも、そのような換気扇用フィルターカバーが示されている。
【特許文献1】特許第3426725号公報
【特許文献2】特開平1−318832号公報
【特許文献3】特開平1−318833号公報
【特許文献4】特開平1−291033号公報
【特許文献5】特開平6−229601号公報
【特許文献6】特開平6−307686号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1のカバーでは、係止体13の爪部12を、化粧カバーの側面端縁と壁面との間に、付勢して挿入することによって、フィルター部材をカバー本体部に着脱自在に装着するようにしている。そのため、装着する際に、爪部12が化粧カバーの側面や壁面を引っ掻いて傷付けてしまうという問題があった。また、特許文献2〜6のカバーでは、フィルターの取付作業が比較的面倒であった。
【0004】
本発明は、フィルターカバーを、壁面や換気扇の周面を傷付けることなく、簡単に、換気扇に取り付けることができる、換気扇用フィルターカバー、を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の発明は、ファン及びファンを囲む換気扇本体を備え且つ壁面に取り付けられている、換気扇に、該換気扇を覆って着脱自在に取り付けられる、換気扇用フィルターカバーにおいて、前面に開口部を有し、換気扇全体を覆う、カバー本体と、カバー本体の上記開口部を塞ぐ、フィルターと、フィルターをカバー本体に対して保持する、フィルター保持具と、からなっており、カバー本体が、上面の後縁に、換気扇本体の上部と壁面との間の隙間に挿入される引掛部を有するとともに、下面の内側に、換気扇本体の下面に対してカバー本体を固定するための固定機構を有しており、固定機構が、換気扇本体の下面に対する当接面を有する当接部材と、当接部材をカバー本体に支持する支持部材と、当接部材の当接面が換気扇本体の下面に圧接するよう支持部材を付勢する付勢部材と、からなっており、カバー本体が、引掛部を上記隙間に挿入し、且つ、当接面を換気扇本体の下面に圧接させることにより、換気扇本体に固定されるようになっていることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、固定機構において、当接面が磁石を備えているものである。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明において、固定機構において、当接部材が、横方向に並んで複数個設けられているものである。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の発明において、固定機構において、当接部材が、前後方向に揺動可能に設けられているものである。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1記載の発明において、固定機構において、付勢部材が、バネであるものである。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1記載の発明において、カバー本体が、開口部の下方に、横方向に延びた油溜め用の溝を有しており、フィルター保持具が、下端部の内側にフィルター引掛リブを有しており、該リブによってフィルターの下端部を引っ掛けた状態で、カバー本体に対してスライドして、フィルター保持具の下縁部先端の挿入リブと共にフィルターの下端部を上記溝に挿入可能となっているものである。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1記載の発明において、カバー本体が、開口部の下方に、横方向に延びた油溜め用の溝を有しており、フィルター保持具が、上縁面部と下縁面部と右縁面部と左縁面部とからなる前面枠体と、前面枠体で囲まれ且つカバー本体の上記開口部に対向する開口部と、を有しており、フィルター保持具の開口部が、上縁面部の下縁と下縁面部の上縁との間に渡設された複数の縦枠を有しており、縦枠の下端部と下縁面部の上縁との交差部に、上記溝への油逃がし構造が設けられており、該油逃がし構造が、縦枠の前縁を下縁面部の上縁の前縁より後方に位置させ、下縁面部の上縁の後縁部を縦枠の両側面に沿って下方に傾斜させ、縦枠の前縁を横断面丸形に形成して、構成されているものである。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項1記載の発明において、カバー本体の周面が、切欠き可能部分を複数以上の箇所に有しており、切欠き可能部分が、換気扇からの配線を通すための貫通スペースを形成するために切欠かれる、1個以上の切欠き片、を有しているものである。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項1記載の発明において、フィルター保持具が、フィルター保持具を把持するための把持片、を有しているものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、引掛部を換気扇本体と壁面との隙間に挿入するとともに、固定機構によって当接部材の当接面を換気扇本体の下面に圧接させることにより、カバー本体、ひいてはフィルターカバーを、換気扇に取り付けることができる。したがって、フィルターカバーを換気扇に簡単に取り付けることができる。
【0015】
しかも、当接面を換気扇本体の下面に圧接させることによって、カバー本体の下部を換気扇本体に固定できるので、取り付ける際に換気扇本体の下面や壁面が固定するための部材によって傷付けられるのを、防止できる。
【0016】
更に、当接面を換気扇本体の下面から引き離すとともに、カバー本体を上方へ浮かせて引掛部を上記隙間から抜くだけで、カバー本体、ひいてはフィルターカバーを、換気扇から取り外すことができるので、フィルターカバーを換気扇から簡単に取り外すことができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、当接面を、金属製の換気扇本体の下面に、確実に圧接させることができる。しかも、付勢部材の付勢力が弱まったとしても、当接面を、上記下面に、確実に圧接させることができる。したがって、換気扇本体に対するカバー本体の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、カバー本体の下部を、複数箇所で、換気扇本体に対して固定できる。したがって、換気扇本体に対するカバー本体の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、当接面の対面方向を任意に変えることができる。したがって、換気扇本体の下面が水平面である場合に限らず、曲面や傾斜面である場合でも、当接面を安定した状態で上記下面に圧接させることができ、したがって、換気扇本体に対するカバー本体の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、簡単な構成で支持部材を付勢することができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、フィルターの下端部を、引掛リブに引掛けた状態で、油溜め用の溝へ挿入できるので、フィルターの下端部を溝内に確実に配置できる。したがって、フィルターに捕集されてフィルターを垂れ落ちてくる油を、確実に、溝に導くことができる。
【0022】
しかも、フィルター保持具を、フィルターと共に、カバー本体に対してスライドさせることによって、カバー本体に取り付けることができるので、フィルター保持具及びフィルターをカバー本体に簡単に取り付けることができる。
【0023】
請求項7記載の発明によれば、フィルター保持具の縦枠に付着して縦枠を垂れ落ちてきた油は、縦枠の下端部の前縁が下縁面部の上縁の前縁より後方に位置しているので、下縁面部の上縁の前縁を越えることなく、すなわち、下縁面部の前面に流れることなく、縦枠の両側へ流れていく。しかも、そのとき、縦枠の下端部の前縁が横断面丸形であるので、油は円滑に縦枠の両側へ流れていく。そして、縦枠の両側へ流れた油は、下縁面部の上縁の後縁部が縦枠の両側面に沿って下方に傾斜しているので、油溜め用の溝に向かって円滑に流れ込んでいく。したがって、油逃がし構造によれば、縦枠に付着して縦枠を垂れ落ちてくる油を、溝に優先的に導くことができ、下縁面部の前面が油で汚れるのを防止できる。
【0024】
請求項8記載の発明によれば、任意の箇所の切欠き可能部分の任意の切欠き片を切欠くことによって、換気扇の配線を導き出すための貫通スペースを任意の箇所に形成することができる。したがって、換気扇の配線に関わる周囲環境に、適切に対応させることができる。
【0025】
しかも、換気扇の配線に関わる周囲環境に合わせて必要な箇所の切欠き片を切欠いて貫通スペースを形成するので、不使用の貫通スペースが存在することはなく、それ故、外観が見苦しくなるのを防止できる。
【0026】
請求項9記載の発明によれば、フィルター保持具をカバー本体に取り付ける際に、把持片を掴んで、フィルター保持具を扱うことができるので、フィルター保持具をカバー本体に簡単に取付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1は、壁面の換気扇に取り付けられる本発明の換気扇用フィルターカバーの分解斜視図である。フィルターカバー1は、カバー本体2と、フィルター3と、フィルター保持具4と、からなっており、これらから組み立てられるものである。換気扇9は、複数枚(ここでは5枚)の羽根911を有するファン91と、ファン91を囲む換気扇本体92とで、構成されており、壁面に取り付けられている。
【0028】
図2はカバー本体2を前側から見た斜視拡大図、図3はカバー本体2の正面拡大図、図4はカバー本体2を裏側から見た斜視拡大図、図5はフィルター保持具4の正面拡大図、図6はフィルター保持具4を裏側から見た斜視拡大図、図7は組み立てられたフィルターカバー1を前側から見た斜視拡大図、図8は図3のVIII−VIII断面図である。
【0029】
カバー本体2は、前面枠体20Aと、前面枠体20Aで囲まれた開口部20Bと、前面枠体20Aの周縁から後方へ延在している周面枠体20Cと、で構成されている。前面枠体20Aは、上縁面部21と、下縁面部22と、右縁面部23と、左縁面部24と、からなっている。周面枠体20Cは、上面25と、下面26と、右面27と、左面28と、で構成されている。開口部20Bは、5本の縦枠201によって6つに分割されている。縦枠201は、上縁面部21の下縁211と下縁面部22の上縁221との間に渡設されている。
【0030】
前面枠体20Aにおいて、下縁面部22は、上部222と下部223に区画されており、上縁面部21と下縁面部22の上部222と右縁面部23と左縁面部24とが、下縁面部22の下部223より一段後方へ位置している。そして、下縁面部22において、上部222と下部223との境界には、図8に示すように、横方向に延びた油溜め用の溝224が形成されている。また、右縁面部23の右縁及び左縁面部24の左縁には、それぞれ、縦リブ231、241が形成されている。
【0031】
周面枠体20Cにおいては、右縁面部23に連なる右面27の前部271が、後部272より一段内方へ位置しており、左縁面部24に連なる左面28の前部281が、後部282より一段内方へ位置しており、上縁面部21に連なる上面25の前部251が、後部252より一段内方へ位置している。右面27の前部271の下部には、突起2711が形成されており、左面28の前部281の下部にも、突起2811が形成されている。
【0032】
また、周面枠体20Cにおいては、後縁の任意の箇所に、切欠き可能部分が形成されている。ここでは、上面25の3箇所に切欠き可能部分258が形成されており、下面26の2箇所に切欠き可能部分268が形成されており、右面27の2箇所に切欠き可能部分278が形成されており、左面28の2箇所に切欠き可能部分288が形成されている。例えば、切欠き可能部分278は、図9の(a)に拡大して示すように、切欠き線2780に沿って連結部2782にて切断することによって容易に切欠くことができる4個の切欠き片2781が、連なって構成されており、図9の(b)に示すように、任意の切欠き片2781を切欠くことができるようになっている。図9の(b)では、上から2番目の切欠き片2781が切欠かれており、切欠かれた箇所は、換気扇9の配線を通すための貫通スペース2785となる。他の切欠き可能部分も、同様に、切欠き線に沿って容易に切欠くことができる複数の切欠き片が連なって構成されている。
【0033】
そして、本発明においては、更に、図4に示すように、カバー本体2において、上面25の後縁の内側の2箇所に、下向きに突出した引掛部5が設けられており、下面26の内側には、換気扇本体92の下面921に対してカバー本体2を固定するための固定機構6が設けられている。引掛部5は、薄いL字形の金属板でできている。固定機構6の詳細は後述する。
【0034】
フィルター3は、例えば、平板状の不織布である。
【0035】
フィルター保持具4は、前面枠体40Aと、前面枠体40Aで囲まれた開口部40Bと、前面枠体40Aの周縁の一部から後方へ延在している周辺枠部40Cと、で構成されている。前面枠体40Aは、上縁面部41と、下縁面部42と、右縁面部43と、左縁面部44と、からなっている。周面枠部40Cは、前面枠体40Aの、上縁面部41、右縁面部43、及び左縁面部44の、周縁から後方へ延在しており、上面45と、右面47と、左面48と、で構成されており、下面は無い。開口部40Bは、4本の縦枠401によって5つに分割されている。縦枠401は、上縁面部41の下縁411と下縁面部42の上縁421との間に渡設されている。縦枠401は、フィルター保持具4をカバー本体2に取り付けた際に、カバー本体2における隣接する縦枠201(図5において一点鎖線で示す)の間に位置するよう配置されている。
【0036】
前面枠体40Aにおいて、下縁面部42の下縁422の内側には、下向きに突出した挿入リブ423が設けられている。また、下縁面部42の内側には、後方に突出し且つ横方向に延びた引掛リブ424が設けられている。引掛リブ424の先端は、ギザギザ状に形成されている。右面47及び左面48は、フィルター保持具4を保持するための、外方向に突出した、把持片471、481、が設けられている。
【0037】
周面枠部40Cにおいて、右面47の内面の下部には、カバー本体2の右面27の突起2711が嵌合する凹部472が形成されており、左面48の内面の下部にも、同様に、カバー本体2の左面28の突起2811が嵌合する凹部482が形成されている。
【0038】
そして、本発明においては、更に、フィルター保持具4において、全ての縦枠401の下端部4011と下縁面部42の上縁421との交差部に、溝224への油逃がし構造7が形成されている。油逃がし構造7の詳細は後述する。
【0039】
固定機構6は、図4及び図10に示すように、換気扇本体92の下面921に対する当接面611を有する当接部材61と、当接部材61をカバー本体2に支持する支持部材62と、当接部材61の当接面611が換気扇本体92の下面921に圧接するよう支持部材62を付勢する付勢部材63と、からなっている。当接部材61は、横方向に並んで2個設けられている。支持部材62は、カバー本体2の下縁面部22の内面の突起部64に形成された横軸641を支点として、上下方向に回動可能に、設けられている。支持部材62は、当接部材61を前後方向(矢印A方向)に揺動自在に支持する支持アーム621と、支持アーム621を支持するとともに横軸641に回動可能に設けられている支持板622と、支持板622の下面から下方に延びている2本のレバー623と、からなっている。2本のレバー623は、それぞれ、カバー本体2の下面26の貫通孔265を通って下方に延びている。2本のレバー623の先端には、持ち手6231が渡設されている。貫通孔265は、前後方向に延びた長孔であり、レバー623は、貫通孔265内を前後に移動可能となっている。
【0040】
固定機構6において、付勢部材63は、バネであり、横軸641に巻き付けられており、一端がカバー本体2の下縁面部22の内面に当接し、他端が支持板622に当接しており、これにより、支持部材62を矢印B方向に付勢している。当接部材61は、当接面611に磁石(図示せず)を備えている。
【0041】
油逃がし構造7では、図11に示すように、縦枠401の下端部4011の前縁4012が、下縁面42の上縁421の前縁4211より後方に位置しており、上縁421の後縁部4212が縦枠401の両側面4013に沿って下方に傾斜しており、縦枠401の下端部4011の前縁4012が横断面丸形となっている。
【0042】
上記構成のフィルターカバー1は、次のように組み立てる。すなわち、まず、フィルター保持具4の後面に、開口部40Bを塞ぐように、フィルター3を当てる。このとき、フィルター3の下端部31は、引掛リブ424の先端に押し付ける。これにより、フィルター3は、フィルター保持具4の後面に引っ掛かった状態となる。次に、把持片471、481を掴んで、フィルター保持具4を、フィルター3と共に、カバー本体2の開口部20Bを覆うように、カバー本体2の前面に当てる。このとき、フィルター保持具4の右面47及び左面48の内面は、それぞれ、カバー本体2の右面27及び左面28の前部271、281の外面に、当接する。そして、フィルター保持具4をフィルター3と共に、図12に示すように、カバー本体2に対して下方(矢印C方向)へスライドさせる。これにより、フィルター3の下端部31が、挿入リブ423と共に、溝224内に挿入され、また、フィルター保持具4の右面47の凹部472に、カバー本体2の右面27の突起2711が嵌合するとともに、左面48の凹部482に、カバー本体2の左面28の突起2811が嵌合する。こうして、カバー本体2の開口部20Bが、フィルター3によって塞がれて、図7の状態の、すなわち、組み立てられた状態の、フィルターカバー1が、得られる。なお、図7のフィルターカバー1において、フィルター保持具4の、上面45、右面47、及び左面48は、それぞれ、カバー本体2の、上面25の後部252、右面27の後部272、及び左面28の後部282と、同一面となっており、また、フィルター保持具4の下縁面部42は、カバー本体2の下縁面部22の下部223と、同一面となっている。
【0043】
次に、組み立てられたフィルターカバー1は、次のようにして換気扇9に取り付ける。すなわち、まず、図13に示すように、固定機構6のレバー623を前方へ移動させた状態で、カバー本体2の周辺枠体20Cが換気扇本体92を囲むように、フィルターカバー1を換気扇9に被せ、その後に、カバー本体2の上面25の引掛部5を、換気扇本体92の上部と壁面99との間の隙間100に差し込む。そして、カバー本体2の下面26を換気扇本体92の下面921に対向させた後、図14に示すように、レバー623を後方へ戻しながら、当接部材61の当接面611を換気扇本体92の下面921に圧接させる。これにより、フィルターカバー1は、カバー本体2が、上部においては、引掛部5によって換気扇本体92に引っ掛かり、下部においては、固定機構6によって換気扇本体92に固定されるので、換気扇9に安定して取り付けられた状態となる。
【0044】
なお、上記取付方法では、組み立てられたフィルターカバー1を換気扇9に取り付けているが、カバー本体2のみを換気扇9に取り付けた後に、フィルター保持具4及びフィルター3をカバー本体2に取り付けてもよい。
【0045】
上記構成のフィルターカバー1によれば、次のような作用効果を発揮できる。
(1)カバー本体2を次のようにして換気扇本体92に固定できる。すなわち、引掛部5を隙間100に挿入するとともに、固定機構6によって当接部材61の当接面611を換気扇本体92の下面921に圧接させる。これにより、フィルターカバー1は、換気扇9に取り付けられる。したがって、フィルターカバー1を換気扇9に簡単に取り付けることができる。
【0046】
しかも、カバー本体2の下部は、当接面611を換気扇本体92の下面921に圧接させることによって、換気扇本体92に固定できるので、取り付ける際に換気扇本体92の下面921や壁面99が固定するための部材によって傷付けられるのを、防止できる。
【0047】
更に、レバー623を前方へ移動させて、当接面611を換気扇本体92の下面921から引き離すとともに、カバー本体2を上方へ浮かせて引掛部5を隙間100から抜くだけで、カバー本体2を換気扇本体92から取り外すことができるので、フィルターカバー1を換気扇9から簡単に取り外すことができる。
【0048】
(2)当接面611が磁石を備えているので、当接面611を、金属製の換気扇本体92の下面921に、確実に圧接させることができる。しかも、付勢部材63の付勢力が弱まったとしても、当接面611を、下面921に、確実に圧接させることができる。したがって、換気扇本体92に対するカバー本体2の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0049】
(3)当接部材61が横方向に並んで2個設けられているので、カバー本体2を、2箇所で、換気扇本体92に対して固定できる。したがって、換気扇本体92に対するカバー本体2の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0050】
(4)当接部材61が矢印A方向に揺動自在であるので、当接面611の対面方向を前後方向に任意に変えることができる。したがって、換気扇本体92の下面921が水平面である場合に限らず、曲面や傾斜面である場合でも、当接面611を安定した状態で下面921に圧接させることができ、したがって、換気扇本体92に対するカバー本体2の下部の固定状態の安定性を増大できる。
【0051】
(5)付勢部材63がバネであるので、簡単な構成で支持部材62を付勢することができる。
【0052】
(6)図12に示すように、フィルター3の下端部31を、引掛リブ424に引掛けた状態で、溝224へ挿入できるので、フィルター3の下端部31を溝224内に確実に配置できる。したがって、フィルター3に捕集されてフィルター3を垂れ落ちてくる油を、確実に、溝224に導くことができる。
【0053】
しかも、フィルター保持具4を、フィルター3と共に、カバー本体2に対してスライドさせることによって、カバー本体2に取り付けることができるので、フィルター保持具4及びフィルター3をカバー本体2に簡単に取り付けることができる。
【0054】
更に、フィルター保持具4をカバー本体2に取り付けた際に、カバー本体2の右面27の突起2711がフィルター保持具4の右面47の凹部472に嵌合し、左面28の突起2811が左面48の凹部482に嵌合するので、カバー本体2に対するフィルター保持具4の取付状態の安定性を増大できる。
【0055】
(7)油逃がし構造7において、フィルター保持具4の縦枠401に付着して縦枠401を垂れ落ちてきた油は、縦枠401の下端部4011の前縁4012が下縁面部42の上縁421の前縁4211より後方に位置しているので、前縁4211を越えることなく、すなわち、下縁面部42の前面に流れることなく、縦枠401の両側へ流れていく。しかも、そのとき、縦枠401の下端部4011の前縁4012が横断面丸形であるので、油は円滑に縦枠401の両側へ流れていく。そして、縦枠401の両側へ流れた油は、上縁421の後縁部4212が縦枠401の両側面4013に沿って下方に傾斜しているので、溝224に向かって円滑に流れ込んでいく。したがって、油逃がし構造7によれば、縦枠401に付着して縦枠401を垂れ落ちてくる油を、溝224に優先的に導くことができ、下縁面部42の前面が油で汚れるのを防止できる。
【0056】
(8)カバー本体2の周辺枠体20Cの任意の箇所の切欠き可能部分の任意の切欠き片を切欠くことによって、換気扇9の配線を導き出すための貫通スペースを任意の箇所に形成することができる。したがって、換気扇9の配線に関わる周囲環境に、適切に対応させることができる。
【0057】
しかも、カバー本体2の所定箇所に予め配線導出用の貫通孔を形成した場合であって、換気扇9の配線に関わる周囲環境が異なるために、その貫通孔を使用しないという場合においては、不使用の貫通孔があるためにフィルターカバー1の外観が見苦しいものとなる。しかしながら、上記構成のフィルターカバー1によれば、換気扇9の配線に関わる周囲環境に合わせて必要な箇所の切欠き片を切欠いて貫通スペースを形成するので、不使用の貫通スペースが存在することはなく、それ故、外観が見苦しくなるのを防止できる。
【0058】
(9)フィルター保持具4をカバー本体2に取り付ける際に、把持片431、441を掴んで、フィルター保持具4を扱うことができるので、フィルター保持具4をカバー本体2に簡単に取付けることができる。
【0059】
なお、次のような変形構造を採用できる。
(a)引掛部5を、カバー本体2の上面25の3箇所以上に設けてもよい。これによれば、カバー本体2の上部の固定状態の安定性を更に増大できる。
【0060】
(b)当接部材61の当接面611に磁石を設けることは、必ずしも必須ではない。また、当接面611を弾性材料で構成してもよい。これによれば、当接面611と換気扇本体92の下面921との密着性を向上でき、カバー本体2の上部の固定状態の安定性を更に増大できる。
【0061】
(c)上記の当接部材61を3個以上並べて設けてもよい。これによれば、カバー本体2の下部の固定状態の安定性を更に増大できる。
【0062】
(d)当接部材61を横方向に長い1個又は複数個の部材で構成してもよい。これによれば、カバー本体2の下部の固定状態の安定性を更に増大できる。
【0063】
(e)カバー本体2の縦枠201の本数及びフィルター保持具4の縦枠401の本数は、上記実施形態の本数に限らず、任意である。例えば、縦枠201を4本、縦枠401を3本としてもよい。但し、組立後のフィルターカバー1において、縦枠201と縦枠401とが、図5に示すように、交互の配置となる本数が好ましい。これによれば、組立後のフィルターカバー1において、フィルター3が効果的に前後から支持されるので、フィルター3の安定性を増大できる。
【0064】
(f)切欠き可能部分は、上記実施形態で設けた箇所に限るものではなく、また、上記実施形態より多くても少なくてもよい。また、切欠き可能部分を構成する切欠き片は、上記実施形態より多くても少なくてもよく、1個でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の換気扇用フィルターカバーは、壁面や換気扇の周面を傷付けることなく、簡単に、換気扇に取り付けることができるので、産業上の利用価値が大である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】壁面の換気扇に取り付けられる本発明の換気扇用フィルターカバーの分解斜視図である。
【図2】カバー本体を前側から見た斜視拡大図である。
【図3】カバー本体の正面拡大図である。
【図4】カバー本体を裏側から見た斜視拡大図である。
【図5】フィルター保持具の正面拡大図である。
【図6】フィルター保持具を裏側から見た斜視拡大図である。
【図7】組み立てられたフィルターカバーを前側から見た斜視拡大図である。
【図8】図3のVIII−VIII断面図である。
【図9】切欠き可能部分の拡大図であり、(a)は未使用状態、(b)は使用状態を示す。
【図10】固定機構の斜視拡大図である。
【図11】油逃がし構造の斜視拡大断面図である。
【図12】フィルター保持具によりフィルターをカバー本体へ取り付ける作業の一工程を示す断面図であり、図8に相当する図である。
【図13】フィルターカバーを壁面の換気扇に取り付ける作業の一工程を示す断面図である。
【図14】フィルターカバーを壁面の換気扇に取り付けた後の固定機構の状態を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0067】
1 フィルターカバー 2 カバー本体 224 (油溜め用)溝 25 上面 26 下面 258、268、278、288 切欠き可能部分 2781 切欠き片 20B 開口部 3 フィルター 31 下端部 4 フィルター保持具 401 縦枠 4011 下端部 4012 前縁 4013 側面 40A 前面枠体 41 上縁面部 411 下縁 42 下縁面部 421 上縁 4211 前縁 4212 後縁部 423 挿入リブ 424 引掛リブ 43 右縁面部 44 左縁面部 471、481 把持片 40B 開口部 5 引掛部 6 固定機構 61 当接部材 611 当接面 62 支持部材 63 付勢部材 7 油逃がし構造 9 換気扇 91 ファン 92 換気扇本体 921 下面 99 壁面 100 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン及びファンを囲む換気扇本体を備え且つ壁面に取り付けられている、換気扇に、該換気扇を覆って着脱自在に取り付けられる、換気扇用フィルターカバーにおいて、
前面に開口部を有し、換気扇全体を覆う、カバー本体と、
カバー本体の上記開口部を塞ぐ、フィルターと、
フィルターをカバー本体に対して保持する、フィルター保持具と、からなっており、
カバー本体が、上面の後縁に、換気扇本体の上部と壁面との間の隙間に挿入される引掛部を有するとともに、下面の内側に、換気扇本体の下面に対してカバー本体を固定するための固定機構を有しており、
固定機構が、換気扇本体の下面に対する当接面を有する当接部材と、当接部材をカバー本体に支持する支持部材と、当接部材の当接面が換気扇本体の下面に圧接するよう支持部材を付勢する付勢部材と、からなっており、
カバー本体が、引掛部を上記隙間に挿入し、且つ、当接面を換気扇本体の下面に圧接させることにより、換気扇本体に固定されるようになっていることを特徴とする換気扇用フィルターカバー。
【請求項2】
固定機構において、当接面が磁石を備えている、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項3】
固定機構において、当接部材が、横方向に並んで複数個設けられている、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項4】
固定機構において、当接部材が、前後方向に揺動可能に設けられている、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項5】
固定機構において、付勢部材が、バネである、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項6】
カバー本体が、開口部の下方に、横方向に延びた油溜め用の溝を有しており、
フィルター保持具が、下端部の内側にフィルター引掛リブを有しており、該リブによってフィルターの下端部を引っ掛けた状態で、カバー本体に対してスライドして、フィルター保持具の下縁部先端の挿入リブと共にフィルターの下端部を上記溝に挿入可能となっている、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項7】
カバー本体が、開口部の下方に、横方向に延びた油溜め用の溝を有しており、
フィルター保持具が、上縁面部と下縁面部と右縁面部と左縁面部とからなる前面枠体と、前面枠体で囲まれ且つカバー本体の上記開口部に対向する開口部と、を有しており、
フィルター保持具の開口部が、上縁面部の下縁と下縁面部の上縁との間に渡設された複数の縦枠を有しており、
縦枠の下端部と下縁面部の上縁との交差部に、上記溝への油逃がし構造が設けられており、
該油逃がし構造が、縦枠の前縁を下縁面部の上縁の前縁より後方に位置させ、下縁面部の上縁の後縁部を縦枠の両側面に沿って下方に傾斜させ、縦枠の前縁を横断面丸形に形成して、構成されている、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項8】
カバー本体の周面が、切欠き可能部分を複数以上の箇所に有しており、
切欠き可能部分が、換気扇からの配線を通すための貫通スペースを形成するために切欠かれる、1個以上の切欠き片、を有している、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。
【請求項9】
フィルター保持具が、フィルター保持具を把持するための把持片、を有している、請求項1記載の換気扇用フィルターカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−183009(P2007−183009A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−98(P2006−98)
【出願日】平成18年1月4日(2006.1.4)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)