説明

搬送パレット

【課題】搬送中の振動などに影響されることなくパネルを確実に保持できる搬送パレットを提供する。
【解決手段】側板6を有するパネル保持台1と側板6に取り付けるパネル保持具3とを備え、側板6は、パネル保持具3を挿通する長孔9を有しており、パネル保持具3は、パネル保持板2と操作ハンドル22とを有しており、パネル保持板2は、パネル保持板2を貫通する筒状部材7を有しており、筒状部材7の一端側に係合部8を有しており、操作ハンドル22は、筒状部材7に回転自在且つ摺動自在に挿通した引寄部材11と、引寄部材11の一端側に設けたロック部材12と、引寄部材11の他端側に起倒自在に軸支した持手部材13とを有し、持手部材13を倒したときに、ロック部材12が他端側に引き寄せられ、ロック部材12とパネル保持板2とでパネル保持台1の側板6を挟着していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パネルを搬送する搬送パレットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
薄厚のパネルを積層して搬送するときに、図4(a)に示すような、パネル保持台31の上に載せたパネル34の四周端部を垂直に取り付けられたパネル保持板32で保持して運ぶ搬送パレットがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記のようなパレットは、パネル保持台に、図4(b)に示すような、パネル保持板32を貫通する回転可能な治具33を一体成形したものをパネル保持台31の固定孔35に挿入し、その挿通したネジ部33aの先端にナット33bをかけ、治具33を回転させることにより狭着している。この場合、経年変化により、がたつきが発生する可能性がある。そのがたつきが発生した場合、狭着が弱くなり、積載物を保持する力の低下や、最悪移動時等に伴う振動等により外れる場合がある。本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、搬送中の振動などに影響されることなくパネルを確実に保持できる搬送パレットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明のうち請求項1記載の発明は、側板を有するパネル保持台と側板に取り付けるパネル保持具とを備え、側板は、パネル保持具を挿通する長孔を有しており、パネル保持具は、パネル保持板と操作ハンドルとを有しており、パネル保持板は、パネル保持板を貫通する筒状部材を有しており、筒状部材の一端側に係合部を有しており、操作ハンドルは、筒状部材に回転自在且つ摺動自在に挿通した引寄部材と、引寄部材の一端側に設けたロック部材と、引寄部材の他端側に起倒自在に軸支した持手部材とを有し、ロック部材は、側板の長孔を挿通するとともに、筒状部材の係合部と係合する被係合部と長孔の短辺よりも長く張り出して長孔からの抜け出しを不能とする張り出し部を有しており、持手部材を回転して被係合部と係合部とを係合し、持手部材を倒したときに、ロック部材が他端側に引き寄せられ、ロック部材とパネル保持板とでパネル保持台の側板を挟着していることを特徴とする。
【0005】
本発明のうち請求項2記載の発明では、操作ハンドルは、ロック部材が引寄部材に沿って摺動自在に設けてあるとともに、ロック部材を他側に付勢する付勢部材が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明のうち請求項1記載の発明によれば、持手部材を回転して引寄部材の被係合部が筒状部材の係合部に係合し、操作ハンドルの持手部材をパネル保持板側に倒すことにより、持手部材と引寄部材が他端側に引き寄せられる。これにより、操作ハンドルが回転不能に固定されるとともに、ロック部材とパネル保持板とでパネル保持台を挟着してパネル保持板が強固に固定される。したがって、パネルの搬送のときに伝わる揺れや振動によってパネル保持具が緩むことがなく、パネルを確実に保持した状態で搬送できる。また、持手部材を回して倒すだけの簡単な操作により、パネル保持台の側板にパネル保持板を取り付けられる。
【0007】
本発明のうち請求項2記載の発明によれば、操作ハンドルを操作している間は、付勢部材によりロック部材を他側に常時付勢しているので、持手部材を回して被係合部が係合部に係合するまでの間、ロック部材が筒状部材に対して常に押圧されている。これにより、操作ハンドルが回転操作の途中でもフラつかず、また、被係合部が係合部に係合したときには、パネル保持具によるパネル保持板を挟着する前の段階のゆるみが解消されるので、パネル保持板のパネル保持台の側板に対する取り付けが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】(a)は、本実施による搬送パレットのパネル保持具とパネル保持板の一部を拡大して作動状態を示す側面図であり、(b)は、引寄部材と筒状部材を拡大して示す縦断面図である。
【図2】(a)〜(e)は、パネル保持具によりパネル押さえをパネル保持台に取り付けるときの手順を示す斜視図である。
【図3】(a)は、搬送パレットの平面図であり、(b)は、(a)の側面図である。
【図4】従来の搬送パレットのパネル保持具であり、(a)は、側面図であり、(b)は、冶具を拡大して示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面に基づいて本実施による搬送パレットの実施の形態を説明する。
本実施による搬送パレットは、図3(a)(b)のように、略水平に寝かせたパネル20を複数枚重ねて載せるパネル保持台1と、パネル保持台1と係合するパネル保持具3とからなっている。
【0010】
パネル保持具3は、操作ハンドル22と、パネル保持板2とからなり、操作ハンドル22は、パネル保持板2を挿通するロッド(引寄部材)11と、パネル保持板2を挟んだロッド11の一側に設けてあるロック部材12と、ロッド11の他側の端部に起倒自在に取り付けられる持手部材13とからなっている。ロッド11は、略水平方向に伸びており、長手方向の一端側には鍔部14が設けてある。ロック部材12は、ブロック状をなしており、ロッド11の挿通方向とは直交する方向に張り出す張り出し部12bを有しており、また、パネル保持板2側のほぼ中央には先端が半円弧状に突出した被係合部12aが設けてある。また、パネル保持台1の側板6の長孔9に挿通自在であるとともに、張り出し部12bは、長孔9の短辺よりも長く張り出している。これにより、ロッド11を長孔9に挿通したときにロック部材12も一緒に挿通でき、さらに、操作ハンドル22を水平軸回しすることで、ロック部材12の張り出し部12bが側板6における長孔9の周囲に掛かって抜け出さなくなる。また、ロック部材12と鍔部14の間には、皿ばね(付勢部材)15がロッド11を挿通する状態で取り付けてある。持手部材13は、角棒状のものであって手で掴んで操作しやすい形状となっており、また、ロッド11の鍔部14を有する側とは他側の端部に設けてある軸16で回転自在に取り付けてある。また、持手部材13は、図1(a)の上図のように、起こした状態にあるときのパネル保持板2との当接部23aと軸16との距離(L)に対し、倒したときの当接部23bと軸16との距離(L+α)が長く形成してある(図1(a)の下図を参照)。これにより、ロック部材12の被係合部12aは、図1(b)のように、後述するパネル保持板2の筒状部材7の係合部8に係合した後、持手部材13を一端側に倒したときに、軸16からパネル保持板2との当接部23bまでの距離(L+α)は、持手部材13を起こしたときの距離(L)に比べて長くなることにより、軸16がパネル保持板2から離れる方向に移動し、これに伴って、持手部材13を軸支するロッド11が引き寄せられる。
【0011】
パネル保持板2は、パネル20と当接する略垂直なフラット面を有する略矩形状の金属板からなり、パネル保持板2の略中央下側部には、パネル保持板2の板厚方向(水平方向)に貫通する筒状部材7が設けてあり、筒状部材7の一端側の開口部には、溝状に切欠された係合部8と、係合部8よりも浅い溝状をなす初期係合部18が設けてある。また、筒状部材7の筒孔には、筒孔19を軸として回転自在なパネル保持具3が取り付けてある。また、側板6の一側面における長孔9の両側には、受け金具10が取り付けてあり、受け金具10は、凸状に形成してあるとともに、凸状の先端部には凹み10aが設けてある。このようにすることで、持手部材13を回転して被係合部12aを係合部8に係合する位置にし、持手部材13を倒したときに、ロック部材12の被係合部12aが受け金具10の凹み10aに嵌り込んで、ロック部材12とパネル保持板2とで側板6を挟着した後のパネル保持板2の不意な回転を防止している(図1(a)の下図および(b)参照)。
【0012】
図2(a)〜(e)は、パネル保持具3によりパネル保持板2をパネル保持台1に取り付けるときの手順を示すものである。図1(a)(b)もあわせて参照すれば、第一の手順として、筒状部材7の初期係合部18にロック部材12の被係合部12aが係合して軽く保持された状態にあるパネル保持具3の持手部材13を略水平に起こすとともに、筒状部材7の筒孔を軸としてロッド11を水平軸回しに回転し、ロック部材12の張り出し部12bを垂直方向に長くなる向き(縦)に向かせる。第二の手順として、パネル保持具3の持手部材13を掴んでパネル保持板2をパネル保持台1に近づけ、上記の段階で垂直方向に長くなる向きに回転させたロック部材12をパネル保持台1に設けてある長孔9に挿通し、さらに、持手部材13を下げて、長孔9に挿通した筒状部材7が長孔9の下端に当接するまで落とし込む。第三の手順として、パネル保持具3の持手部材13を水平軸回しで回転し、ロック部材12の張り出し部12bを水平方向に長くなるようにして長孔9からの抜け出しを不能にするとともに、ロック部材12の被係合部12aと筒状部材7の係合部8とが係合し、持手部材13を略水平な状態に保持する。第四の手順として、持手部材13をパネル保持板2の側に倒すことで、パネル保持板2を挟んだ持手部材13の側にロッド11が引き寄せられてパネル保持板2がロック部材12とパネル保持台1とで挟着される。以上の手順を経ることにより、パネル保持板2をパネル保持台1の側板6に取り付けることができる。
【0013】
皿ばね(付勢部材)15は、中央の孔にロッド11を摺動自在に取り付けてあるもので、ロッド11の一端側に設けてある鍔部14とロック部材12との間に挟まってロック部材12を緩衝しており、皿ばね(付勢部材)15の付勢力によってパネル保持具3によるパネル保持板2を挟着する前の段階のゆるみが解消されるので、パネル保持具3の操作性の向上を図っている。
【0014】
本発明の搬送パレットは、上記実施形態では引寄部材としてロッド11について説明したが、持手部材13を倒したときにロック部材12をパネル保持板2側に引き寄せられるものであればよく、ワイヤやエアシリンダなどでロック部材12を引き寄せてもよい。また、ロック部材12や持手部材13の形状を限定するものではない。また、筒状部材7の初期係合部18は、パネル保持板2をパネル保持台1に取り付ける前の段階において、パネル保持板2に回転自在に挿通してあるロッド11の回り止めとして機能することから、必ずしも設けなくてもよい。また、付勢部材についても、上記実施形態では皿ばね15を使用しているが、コイルばね他、ロッド11の鍔部14とロック部材12との間に挟まって付勢力を付与できるものであればよい。
【符号の説明】
【0015】
1 パネル保持台
2 パネル保持板
3 パネル保持具
6 側板
7 筒状部材
8 係合部
9 長孔
11 ロッド(引寄部材)
12 ロック部材
12a 被係合部
12b 張り出し部
13 持手部材
15 皿ばね(付勢部材)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
側板を有するパネル保持台と側板に取り付けるパネル保持具とを備え、側板は、パネル保持具を挿通する長孔を有しており、パネル保持具は、パネル保持板と操作ハンドルとを有しており、パネル保持板は、パネル保持板を貫通する筒状部材を有しており、筒状部材の一端側に係合部を有しており、操作ハンドルは、筒状部材に回転自在且つ摺動自在に挿通した引寄部材と、引寄部材の一端側に設けたロック部材と、引寄部材の他端側に起倒自在に軸支した持手部材とを有し、ロック部材は、側板の長孔を挿通するとともに、筒状部材の係合部と係合する被係合部と長孔の短辺よりも長く張り出して長孔からの抜け出しを不能とする張り出し部を有しており、持手部材を回転して被係合部と係合部とを係合し、持手部材を倒したときに、ロック部材が他端側に引き寄せられ、ロック部材とパネル保持板とでパネル保持台の側板を挟着していることを特徴とする搬送パレット。
【請求項2】
操作ハンドルは、ロック部材が引寄部材に沿って摺動自在に設けてあるとともに、ロック部材を他側に付勢する付勢部材が設けてあることを特徴とする請求項1記載の搬送パレット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−14353(P2013−14353A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147489(P2011−147489)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000175560)三協立山株式会社 (529)
【Fターム(参考)】