説明

搬送ロボット

【課題】構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができること。
【解決手段】搬送ロボットは、搬送物を保持する水平アームユニットと、一対の脚部ユニットとを備える。一対の脚部ユニットは、第1関節部が連結された第1リンクと、第2関節部に連結され、第3関節部を介して水平アームユニットが支持される第2リンクとをそれぞれ有する。また、一対の脚部ユニットに設けられる関節部の総数よりも少ない数の駆動源が関節部のいずれかに設けられるよう搬送ロボットを構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、搬送ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶用のガラス基板や半導体ウェハ等の薄板状ワークをストッカ等に出し入れする搬送ロボットが知られている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、一対の脚部ユニットを動作させて上部に配置されたアームユニットを上下動させ、かかるアームユニットによって薄板状ワークを搬送するロボットが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4466785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の搬送ロボットは、アクチュエータやモータ等の駆動部が一対の脚部ユニットに同様の構造となるように設けられており、重量やコストの削減という観点から改善の余地があった。
【0006】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる搬送ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る搬送ロボットは、搬送物を保持する水平アームユニットと、一対の脚部ユニットとを備える。一対の脚部ユニットは、第1関節部の回転軸を中心に基端側が回転可能に連結された第1リンクをそれぞれ有する。さらに、一対の脚部ユニットは、前記第1リンクの先端側に設けられる第2関節部の回転軸を中心に基端側が回転可能に連結される一方、先端側には第3関節部の回転軸を介して前記水平アームユニットが回転可能に支持される第2リンクをそれぞれ有する。また、搬送ロボットは、前記一対の脚部ユニットに設けられる関節部の総数よりも少ない数の駆動源が前記関節部のいずれかに設けられる。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、第1の実施形態に係る搬送ロボットの説明図である。
【図2】図2は、第1の実施形態に係る搬送ロボットの模式斜視図である。
【図3】図3は、第1の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図である。
【図4A】図4Aは、第2の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その1である。
【図4B】図4Bは、第2の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その2である。
【図5A】図5Aは、第3の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その1である。
【図5B】図5Bは、第3の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その2である。
【図6A】図6Aは、第4の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その1である。
【図6B】図6Bは、第4の実施形態に係る搬送ロボットの正面模式図その2である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する搬送ロボットの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係る搬送ロボット10について、図1を用いて説明する。図1は、第1の実施形態に係る搬送ロボット10の説明図である。なお、図1では、説明を容易にするために一部の形状を単純化して示している。また、以下では同図右上に示すような座標軸を適宜用いて説明を行うこととし、鉛直上向き方向をZ軸方向とする。
【0012】
図1に示すように、第1の実施形態に係る搬送ロボット10は、基台11と、基部12と、主脚部ユニット13と、サブ脚部ユニット14と、水平アームユニット15とを備える。
【0013】
主脚部ユニット13は、支柱21と、第1関節部22と、第1リンク23と、第2関節部24と、第2リンク25と、第3関節部26とをさらに備える。また、サブ脚部ユニット14は、支柱31と、第4関節部32と、第3リンク33と、第5関節部34と、第4リンク35と、第6関節部36とをさらに備える。
【0014】
図1に示すように、基部12は、基台11に旋回可能に取り付けられた旋回部12aと、旋回部12aの両端から水平方向に延伸する延伸部12b、12cとから構成され、基台11に対し鉛直な旋回軸P1を中心として旋回する。そして、基部12の旋回にともない、主脚部ユニット13、サブ脚部ユニット14および水平アームユニット15が旋回軸P1を中心として旋回する。
【0015】
さらに、搬送ロボット10は、所定の関節部を駆動させることによって水平アームユニット15を昇降させ、ワークを把持するハンド部を設ける水平アームユニット15を、Y軸の正負方向へ移動させる。また、搬送ロボット10は、ハンド部をX軸の正負方向へ直線的に移動させる。
【0016】
上述したように動作することによって、搬送ロボット10は、ワークの把持や移載を行う。なお、搬送ロボット10や水平アームユニット15の形状の詳細については図2を用いて後述する。
【0017】
ところで、従来の搬送ロボットは、2つの脚部ユニットによって水平アームユニットが支持される場合、2つの脚部ユニットが対称となるようにアクチュエータやモータ等の駆動源が内蔵される構成となっていた。
【0018】
具体的には、従来の搬送ロボットが図1に示すような搬送ロボットの場合には、駆動源は各脚部ユニット13、14へ2つずつ、第1関節部22、第2関節部24、第4関節部32および第5関節部34の合計4箇所設ける構成となっていた。
【0019】
しかし、従来の搬送ロボットは、重量やコストの削減という観点から改善の余地があった。そこで、第1の実施形態に係る搬送ロボット10では、水平アームユニット15の位置決めを行うための最小限の駆動源を備える構成とした。
【0020】
具体的には、搬送ロボット10は、第1関節部22、第2関節部24および第6関節部36の3つの軸端部にそれぞれ駆動源を設け、かかる3つの関節部の回転軸を駆動軸とする。一方、第3関節部26、第4関節部32および第5関節部34の回転軸は、自由軸として回転自在に軸支される。
【0021】
なお、図1では、各関節部のうち、駆動軸とする位置を黒丸で示し、自由軸とする位置を白丸で示している。搬送ロボット10は、3つの駆動軸を駆動させることによって水平アームユニット15のY座標およびZ座標の位置決めを行う。
【0022】
また、主脚部ユニット13は、水平アームユニット15の重量を支えており、サブ脚部ユニット14は、水平アームユニット15の位置決めを行うために水平アームユニット15へ支持される。
【0023】
そこで、第1の実施形態に係る搬送ロボット10では、サブ脚部ユニット14を、主脚部ユニット13より細い構造とした。これによって、搬送ロボット10は、軽量化を図ることができる。
【0024】
また、従来の搬送ロボットは、2つの脚部ユニットに設けられる駆動源や水平アームユニットに接続されるケーブルが、各脚部ユニットの側面に沿って配線されていた。このため、かかるケーブルが各関節部に連結されるリンクや水平アームユニット等と干渉し、搬送ロボットの動作の障害となることがあった。
【0025】
そこで、第1の実施形態に係る搬送ロボット10では、2つの脚部ユニット13、14に設けられる駆動源や水平アームユニット15からのケーブル37をサブ脚部ユニット14へ内包することとした。
【0026】
このようにすることによって、第1の実施形態に係る搬送ロボット10では、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【0027】
つぎに、第1の実施形態に係る搬送ロボット10や水平アームユニット15の形状の詳細について、図2を用いて説明する。図2は、第1の実施形態に係る搬送ロボット10の模式斜視図である。図2に示すように、搬送ロボット10は、基台11と、基部12と、主脚部ユニット13と、サブ脚部ユニット14と、水平アームユニット15とを備える。
【0028】
基部12は、基台11に旋回可能に取り付けられ、基台11に対し垂直な旋回軸P1を中心として旋回する。そして、基部12の旋回にともない、主脚部ユニット13、サブ脚部ユニット14および水平アームユニット15が旋回軸P1を中心として旋回する。
【0029】
主脚部ユニット13は、支柱21と、第1関節部22と、第1リンク23と、第2関節部24と、第2リンク25と、第3関節部26とをさらに備える。また、サブ脚部ユニット14は、支柱31と、第4関節部32と、第3リンク33と、第5関節部34と、第4リンク35と、第6関節部36とをさらに備える。
【0030】
支柱21、31は、基部12の各先端部からそれぞれ鉛直上向きに立設される。主脚部ユニット13を形成する第1リンク23は、支柱21の先端部かつX軸の負方向側に基端部が第1関節部22を介して連結される。これにより、第1リンク23は、X軸と平行な第1関節部22の回転軸を中心に支柱21の先端部に回転可能に支持される。
【0031】
第2リンク25は、第1リンク23の先端部かつX軸の負方向側に基端部が第2関節部24を介して連結される。これにより、第2リンク25は、X軸と平行な第2関節部24の回転軸を中心に第1リンク23の先端部に回転可能に支持される。
【0032】
サブ脚部ユニット14を形成する第3リンク33は、支柱31の先端部かつX軸の負方向側に基端部が第4関節部32を介して連結される。これにより、第3リンク33は、X軸と平行な第4関節部32の回転軸を中心に支柱31の先端部に回転可能に支持される。
【0033】
第4リンク35は、第3リンク33の先端部かつX軸の負方向側に基端部が第5関節部34を介して連結される。これにより、第4リンク35は、X軸と平行な第5関節部34の回転軸を中心に第3リンク33の先端部に回転可能に支持される。
【0034】
水平アームユニット15は、第2リンク25の先端部に第3関節部26を介して連結される。これにより、水平アームユニット15は、X軸と平行な第3関節部26の回転軸を中心に第2リンク25の先端部に回転可能に支持される。
【0035】
また、水平アームユニット15は、第4リンク35の先端部に第6関節部36を介して連結される。これにより、水平アームユニット15は、X軸と平行な第6関節部36の回転軸を中心に第4リンク35の先端部に回転可能に支持される。
【0036】
さらに、搬送ロボット10は、第1関節部22、第2関節部24および第6関節部36の軸端部にアクチュエータやモータ等の駆動源を設け(図示せず)、かかる3つの関節部の回転軸を駆動軸とする。
【0037】
搬送ロボット10は、かかる3つの駆動軸を駆動させて第1リンク23や第2リンク25の姿勢を変化させる。これにより、搬送ロボット10は、水平アームユニット15の位置決めを行うことができる。
【0038】
また、サブ脚部ユニット14には、水平アームユニット15に接続されるケーブルが内包される(図示せず)。これにより、搬送ロボット10は、ケーブルが他の部材へ絡まることなく水平アームユニット15をスムーズに動作させることができる。なお、水平アームユニット15に接続されるケーブルとは、たとえば、ワークを吸着するためのエアー用の配管や、吸着を検知するためのセンサに接続されるセンサ線のことである。
【0039】
水平アームユニット15は、上側アームユニット15aと、下側アームユニット15bとを備える。下側アームユニット15bに備える下側支持部材50は、一方を、第2リンク25の先端部に、第3関節部26の関節軸周りに回転可能に支持され、他方を、第4リンク35の先端部に、第6関節部36の関節軸周りに回転可能に支持される。
【0040】
なお、上側アームユニット15aと下側アームユニット15bとは同様の構成となっているので、ここでは、上側アームユニット15aについてのみ説明する。上側アームユニット15aは、被搬送対象物であるワークを載置するためのハンド部46と、このハンド部46を先端部で支持するアーム部47と、上側支持部材40とを備える。
【0041】
アーム部47は、基端側アーム42と先端側アーム44とを備える。基端側アーム42は、Z軸と平行な基端側関節部41の回転軸を中心に上側支持部材40に回転可能に支持される。
【0042】
先端側アーム44は、Z軸と平行な先端側関節部43の回転軸を中心に基端側アーム42の先端部に回転可能に支持される。ハンド部46は、Z軸と平行なアーム関節部45の回転軸を中心に先端側アーム44の先端部に回転可能に支持される。
【0043】
また、ハンド部46は、これら基端側アーム42と先端側アーム44とが回転動作することによってアーム部47が伸縮し、第3関節部26の回転軸と平行な方向へ直線的に移動する。たとえば、搬送ロボット10の旋回位置が図2に示す状態である場合、X軸の正負方向が、ハンド部46の移動方向およびアーム部47の伸縮方向である。
【0044】
なお、ここでは、上側アームユニット15aと下側アームユニット15bとにより水平アームユニット15を構成することとしたが、上側アームユニット15aまたは下側アームユニット15bのみから構成する水平アームユニット15であってもよい。
【0045】
つぎに、第1の実施形態に係る搬送ロボット10の水平アームユニット15が最下位置にある場合の形状の詳細について、図3を用いて説明する。図3は、第1の実施形態に係る搬送ロボット10の正面模式図である。
【0046】
搬送ロボット10は、第1関節部22、第2関節部24および第6関節部36の回転軸を駆動軸とし、第3関節部26、第4関節部32および第5関節部34の回転軸を自由軸とする。
【0047】
したがって、図3に示すように、搬送ロボット10は、第1関節部22の駆動軸を駆動させることによって第1リンク23の姿勢を変化させ、第2関節部24の駆動軸を駆動させることによって第2リンク25の姿勢を変化させる。
【0048】
さらに、搬送ロボット10は、第6関節部36の駆動軸を駆動させることによって第4リンク35の姿勢を変化させて水平アームユニット15を最下位置まで下降させることができる。
【0049】
また、ここで、搬送ロボット10は、水平アームユニット15に設けるハンド部46の下面が基部12の上面と接触しない程度まで下降させる。これによって、搬送ロボット10は、2つの脚部ユニット13、14に干渉することなく水平アームユニット15を移動させることができる。
【0050】
さらに、サブ脚部ユニット14は、剛性に寄与しないため主脚部ユニット13より細い構成とした。したがって、水平アームユニット15が最下位置にあっても、第3リンク33や第4リンク35は、水平アームユニット15に干渉しないため、水平アームユニット15の動作に支障をきたすことがない。
【0051】
上述したように、第1の実施形態では、搬送ロボットは、水平アームユニットを支持する2つの脚部ユニットを非対称の構成とした。具体的には、第1の実施形態に係る搬送ロボットでは、主脚部ユニットには2つの駆動源を、サブ脚部ユニットには1つの駆動源を設ける。
【0052】
また、第1の実施形態に係る搬送ロボットでは、サブ脚部ユニットを主脚部ユニットより細くし、ケーブル等をサブ脚部ユニットへ内包することとした。これにより、第1の実施形態に係る搬送ロボットは、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【0053】
ところで、上述した第1の実施形態に係る搬送ロボット10では、第1関節部22、第2関節部24および第6関節部36に駆動源を設けることとしたが、これに限定されるものではない。そこで、以下に示す第2の実施形態では、第1の実施形態に係る搬送ロボット10とは異なる構成の搬送ロボットについて説明する。
【0054】
(第2の実施形態)
図4Aおよび図4Bは、第2の実施形態に係る搬送ロボット10Aの正面模式図その1およびその2である。第2の実施形態に係る搬送ロボット10Aは、駆動源を設ける位置が第1の実施形態とは異なる。
【0055】
なお、搬送ロボット10Aの構成については、駆動源を設ける位置が異なる以外は図1および図2と同様であるので、ここでは、構成の説明については省略する。
【0056】
まず、図4Aに示すように、搬送ロボット10Aは、第1関節部22、第2関節部24および第5関節部34の軸端部にそれぞれ駆動源を設け、かかる3つの関節部の回転軸を駆動軸とする。一方、第3関節部26、第4関節部32および第6関節部36の回転軸は、自由軸として回転自在に軸支される。
【0057】
なお、図4Aでは、各関節部のうち、駆動軸とする位置を黒丸で示し、自由軸とする位置を白丸で示している。搬送ロボット10Aは、かかる3つの駆動軸を駆動させることによって水平アームユニット15のY座標およびZ座標の位置決めを行う。
【0058】
第5関節部34の駆動軸の動力は、かかる駆動軸を駆動させることによって第4関節部32と第6関節部36とを結ぶ線に対して垂直方向に働く。その結果、第5関節部34の駆動軸は、Z軸の正負方向へ力を発生させることとなる。
【0059】
ところが、図4Bに示すように、第4関節部32および第6関節部36の高さが同じ場合、かかる2つの関節部32、36の発生力の方向(同図の矢印)は水平方向(Y軸の正負方向)となる。
【0060】
このため、第5関節部34の駆動軸は、Z軸の正負方向へ力を発生することができず、その結果、水平アームユニット15は昇降できない。
【0061】
そこで、搬送ロボット10Aは、第1関節部22および第2関節部24の駆動軸の動力によって第4関節部32および第6関節部36の高さが同じにならないよう制御する。これにより、搬送ロボット10Aは、水平アームユニット15を滑らかに昇降させることができる。
【0062】
上述したように、第2の実施形態では、搬送ロボットは、水平アームユニットを支持する2つの脚部ユニットを非対称の構成とした。具体的には、第2の実施形態に係る搬送ロボットでは、第1の実施形態と同様に、主脚部ユニットには2つの駆動源を、サブ脚部ユニットには1つの駆動源を設けることとした。これにより、第2の実施形態に係る搬送ロボットは、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【0063】
(第3の実施形態)
つぎに、第3の実施形態に係る搬送ロボット10Bについて図5Aおよび図5Bを用いて説明する。図5Aおよび図5Bは、第3の実施形態に係る搬送ロボット10Bの正面模式図その1およびその2である。
【0064】
第3の実施形態に係る搬送ロボット10Bは、駆動源を設ける位置が第1の実施形態および第2の実施形態とは異なる。なお、搬送ロボット10Bの構成については、駆動源を設ける位置が異なる以外は図1および図2と同様であるので、ここでは、構成の説明については省略する。
【0065】
まず、図5Aに示すように、搬送ロボット10Bは、第1関節部22、第2関節部24および第4関節部32の軸端部にそれぞれ駆動源を設け、かかる3つの関節部の回転軸を駆動軸とする。一方、第3関節部26、第5関節部34および第6関節部36の回転軸は、自由軸として回転自在に軸支される。
【0066】
なお、図5Aでは、各関節部のうち、駆動軸とする位置を黒丸で示し、自由軸とする位置を白丸で示している。搬送ロボット10Bは、かかる3つの駆動軸を駆動させることによって水平アームユニット15の位置決めを行う。
【0067】
つづいて、図5Bに示すように、水平アームユニット15が最下位置にある場合、第6関節部36を上昇させるためには、搬送ロボット10Bは、第6関節部36に対してY軸の正方向およびY軸の負方向から力を与える必要がある。
【0068】
その際、水平方向(Y軸の正負方向)と第4リンク35との角度をθとすると、かかる角度θが大きいほど第6関節部36に対してY軸の正方向から与える力は小さくてよい。そこで、搬送ロボット10Bは、斜線で示した基台11と第4リンク35とが干渉しない程度まで第4リンク35を下降させることとした。
【0069】
これによって、搬送ロボット10Bは、駆動軸の負荷を最小限に抑えつつ滑らかに水平アームユニット15を上昇させることができる。
【0070】
上述したように、第3の実施形態では、搬送ロボットは、水平アームユニットを支持する2つの脚部ユニットを非対称の構成とした。具体的には、第3の実施形態に係る搬送ロボットでは、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、主脚部ユニットには2つの駆動源を、サブ脚部ユニットには1つの駆動源を設けることとした。これにより、第3の実施形態に係る搬送ロボットは、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【0071】
(第4の実施形態)
つぎに、第4の実施形態に係る搬送ロボット10Cについて図6Aおよび図6Bを用いて説明する。図6Aおよび図6Bは、第4の実施形態に係る搬送ロボット10Cの正面模式図その1およびその2である。
【0072】
第4の実施形態に係る搬送ロボット10Cは、主脚部ユニット13にのみ駆動源を設ける点が、第1の実施形態、第2の実施形態および第3の実施形態とは異なる。なお、搬送ロボット10Cの構成については、駆動源を設ける位置が異なる以外は図1および図2と同様であるので、ここでは、構成の説明については省略する。
【0073】
まず、図6Aに示すように、搬送ロボット10Cは、主脚部ユニット13に備える関節部のみ、すなわち、第1関節部22、第2関節部24および第3関節部26の軸端部にそれぞれ駆動源を設け、かかる3つの関節部の回転軸を駆動軸とする。一方、サブ脚部ユニット14に備える第4関節部32、第5関節部34および第6関節部36の回転軸は、自由軸として回転自在に軸支される。
【0074】
なお、図6Aでは、各関節部のうち、駆動軸とする位置を黒丸で示し、自由軸とする位置を白丸で示している。搬送ロボット10Cは、かかる3つの駆動軸を駆動させることによって水平アームユニット15の位置決めを行う。
【0075】
ここで、上述したようにサブ脚部ユニット14側の3つの関節部32、34、36の回転軸は自由軸である。このため、搬送ロボット10Cが水平アームユニット15を昇降する際、図6Aに示すように、第5関節部34がサブ脚部ユニット14の外側(Y軸の正方向)へ屈曲する恐れがある。
【0076】
そこで、図6Bに示すように、第3リンク33と第4リンク35との外側(Y軸の正方向)の角度をθとすると、搬送ロボット10Cは、θが180°以上にならないように、所定の部材を備えることとした(図示せず)。
【0077】
たとえば、搬送ロボット10Cは、第3リンク33と第4リンク35との間に伸びきり防止用のスプリングを備えることとしてもよい。これにより、主脚部ユニット13にのみ駆動源を設ける場合であっても、搬送ロボット10Cは、水平アームユニット15を昇降させる際、水平アームユニット15を水平に保つことができる。
【0078】
上述したように、第4の実施形態では、搬送ロボットは、主脚部ユニットにのみ駆動源を設け、水平アームユニットを支持する2つの脚部ユニットを非対称の構成とした。これにより、第4の実施形態に係る搬送ロボットは、構造の簡略化を図るとともに装置にかかる製造コストおよび重量を抑えることができる。
【0079】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
10、10A、10B、10C 搬送ロボット
11 基台
12 基部
12a 旋回部
12b、12c 延伸部
13 主脚部ユニット
14 サブ脚部ユニット
15 水平アームユニット
15a 上側アームユニット
15b 下側アームユニット
21 支柱
22 第1関節部
23 第1リンク
24 第2関節部
25 第2リンク
26 第3関節部
31 支柱
32 第4関節部
33 第3リンク
34 第5関節部
35 第4リンク
36 第6関節部
37 ケーブル
40 上側支持部材
41 基端側関節部
42 基端側アーム
43 先端側関節部
44 先端側アーム
45 アーム関節部
46 ハンド部
47 アーム部
50 下側支持部材
P1 旋回軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送物を保持する水平アームユニットと、
第1関節部の回転軸を中心に基端側が回転可能に連結された第1リンクと、前記第1リンクの先端側に設けられる第2関節部の回転軸を中心に基端側が回転可能に連結される一方、先端側には第3関節部の回転軸を介して前記水平アームユニットが回転可能に支持される第2リンクとをそれぞれ有する一対の脚部ユニットと
を備え、
前記一対の脚部ユニットに設けられる関節部の総数よりも少ない数の駆動源が前記関節部のいずれかに設けられることを特徴とする搬送ロボット。
【請求項2】
主脚部ユニットとサブ脚部ユニットとを前記一対の脚部ユニットとして備え、前記主脚部ユニットに設けられる前記駆動源の数が、前記サブ脚部ユニットに設けられる前記駆動源の数よりも多いことを特徴とする請求項1に記載の搬送ロボット。
【請求項3】
前記主脚部ユニットは、
前記第1関節部および前記第2関節部に前記駆動源が設けられ、
前記サブ脚部ユニットは、
前記第3関節部に前記駆動源が設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項4】
前記水平アームユニットへ接続されるケーブルは、前記サブ脚部ユニットに内包されることを特徴とする請求項2または3に記載の搬送ロボット。
【請求項5】
前記主脚部ユニットは、前記サブ脚部ユニットよりも太く形成されることを特徴とする請求項2、3または4に記載の搬送ロボット。
【請求項6】
前記サブ脚部ユニットが設けられる側の基部の上面が、前記主脚部ユニットが設けられる側の前記基部の上面よりも低い位置に形成されることによって段差が形成され、
前記水平アームユニットは、
前記水平アームユニットにおける下側アームの一部が前記段差の範囲内になるまで下降可能であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか一つに記載の搬送ロボット。
【請求項7】
前記主脚部ユニットは、
前記第1関節部および前記第2関節部に前記駆動源が設けられ、
前記サブ脚部ユニットは、
前記第2関節部に前記駆動源が設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項8】
前記主脚部ユニットは、
前記第1関節部および前記第2関節部に前記駆動源が設けられ、
前記サブ脚部ユニットは、
前記第1関節部に前記駆動源が設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。
【請求項9】
前記主脚部ユニットは、
前記第1関節部、前記第2関節部および前記第3関節部に前記駆動源が設けられることを特徴とする請求項2に記載の搬送ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2013−94896(P2013−94896A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239446(P2011−239446)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】