説明

搬送装置および記録装置

【課題】記録本体から排出される被記録媒体の搬送ベルト上での落下位置のばらつきを抑えることにより集積ユニットでのスタック性を高めることのできる搬送装置および記録装置を提供する。
【解決手段】本発明の搬送装置は、駆動ローラーと、駆動ローラーと間隔をおいて配置された従動ローラーと、駆動ローラーおよび従動ローラーに掛け回された搬送ベルトと、を備えた搬送装置であって、搬送ベルトは、当該搬送ベルトによる被記録媒体の第1搬送方向と交差する第2搬送方向から搬送されてきた被記録媒体を受け止める搬送面と、搬送面に開口するとともに厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有し、複数の貫通孔の搬送面の反対面側の開口が大気開放されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置および記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から液体を用紙(被記録媒体)に対して付着させて記録を施す記録装置として、インクジェット式プリンターが広く知られている。このプリンターは、液体噴射ヘッドに供給されるインク(液体)を液体噴射ヘッドに形成されたノズルから噴射することにより用紙に印刷(画像形成)を施すようになっている。
【0003】
特許文献1には、プリンター本体部と、プリンター本体部の下流側に配置された搬送ユニットと、搬送ユニットの搬送方向の下流側に配置された集積ユニットとを備えるインクジェットプリンターが開示されている。このプリンターにおいては、ロールペーパーを引き出して印刷を行った後、所定のサイズに切断して搬送ユニットへと送り出し、搬送ユニットではプリンター本体部から排出されたプリントペーパーを、プリンター本体部におけるペーパーの搬送方向と直交する方向へ搬送して集積ユニットへ送り出すようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−83103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ロールペーパーから切り出されるプリントペーパーのサイズが異なっていると、プリンター本体部から搬送ユニットの搬送ベルト上に排出されるプリントペーパーの落下位置がばらついてしまい、集積ユニットでのスタック性を低下させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、記録本体から排出される被記録媒体の搬送ベルト上での落下位置のばらつきを抑えることにより集積ユニットでのスタック性を高めることのできる搬送装置および記録装置を提供することを目的の一つとしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送装置は、駆動ローラーと、前記駆動ローラーと間隔をおいて配置された従動ローラーと、前記駆動ローラーおよび前記従動ローラーに掛け回された搬送ベルトと、を備えた搬送装置であって、前記搬送ベルトは、当該搬送ベルトによる被記録媒体の第1搬送方向と交差する第2搬送方向から搬送されてきた前記被記録媒体を受け止める搬送面と、前記搬送面に開口するとともに厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有し、前記複数の貫通孔の前記搬送面の反対面側の開口が大気開放されていることを特徴とする。
【0008】
これによれば、搬送ベルトに多数の貫通孔を設けることによって、搬送面上に搬送されてきた被記録媒体の空気抵抗を低減させることが可能である。これにより、搬送面上に搬送される被記録媒体同士の落下位置にばらつきが生じてしまうのを防止することができる。
【0009】
また、前記複数の貫通孔が前記搬送面における前記第2搬送方向の下流側となる位置に形成されている構成としてもよい。
【0010】
これによれば、第2搬送方向から搬送面上に搬送されてくる被記録媒体の先端側と搬送ベルトとの間の空気を効率よく逃がすことができるので、被記録媒体の先端側の空気抵抗を効率よく低減させることが可能になり、第2搬送方向に長さを有する被記録媒体であっても空気抵抗による滑りが抑制されて、搬送面上に確実に落下させることが可能である。
【0011】
また、前記搬送面上における前記第2搬送方向の下流側に向かって前記複数の貫通孔の配置密度が大きくなっている構成としてもよい。
【0012】
これによれば、第2搬送方向から搬送面上に搬送されてくる被記録媒体の先端側の空気抵抗を効率よく低減させることが可能になる。
【0013】
また、前記駆動ローラーの駆動を制御する制御部を備え、前記搬送面には、前記複数の貫通孔が形成された第1領域と、前記貫通孔が形成されていない第2領域とが設けられており、前記制御部は、前記搬送ベルトの前記搬送面上に搬送されてくる前記被記録媒体の先端が前記第2領域に落下するように前記駆動ローラーを制御する構成としてもよい。
【0014】
これによれば、第2搬送方向から搬送面上に搬送れてくる被記録媒体の先端が貫通孔に引っかかってしまうのを防止することができる。
【0015】
また、前記貫通孔が、前記第2搬送方向に長い長孔である構成としてもよい。
【0016】
これによれば、第2搬送方向から搬送面上に搬送されてくる被記録媒体が貫通孔に引っかかることなく搬送ベルト上に落下することができる。
【0017】
本発明の記録装置は、被記録媒体を搬送させる搬送機構と、前記被記録媒体に対して液体を付着させて記録処理を行う記録手段と、を備える記録部本体と、前記搬送機構とは独立して駆動され、前記搬送機構より受け渡された記録済みの前記被記録媒体を搬送する上記の搬送装置と、前記搬送装置から搬送されてきた前記被記録媒体を集積する集積手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
これによれば、本発明の搬送装置を備えているので、搬送ベルト上に搬送されてくる(落下する)被記録媒体どうしの落下位置にばらつきが生じてしまうのを防止することができる。これにより、搬送機構から排出される被記録媒体の搬送ベルト上での落下位置にばらつきが生じるのを防止することができ、集積手段における被記録媒体のスタック性を高めることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す斜視図。
【図2】仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す上面図。
【図3】図2における2−2線矢視断面図。
【図4】図2における3−3線矢視断面図。
【図5】図2における4−4線矢視断面図。
【図6】案内部の構成を示す斜視図。
【図7】プリンターユニットの排出機構側の要部拡大図。
【図8】搬送ベルトの概略構成を示す斜視図。
【図9】搬送ベルトの変形例を示す平面図。
【図10】カット用紙の落下状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
図1は、仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す斜視図、図2は、仕分装置を備えたプリンターユニットの構成を示す上面図、図3は、図2における2−2線矢視断面図、図4は、図2における3−3線矢視断面図、図5は、図2における4−4線矢視断面図、図6は、案内部の構成を示す斜視図、図7は、プリンターユニットの排出機構側の要部拡大図、図8は、搬送ベルトの概略構成を示す斜視図、図9は、搬送ベルトの変形例を示す平面図、図10は、カット用紙の落下状態を示す説明図である。
【0022】
以下、本発明の記録装置の一種であるインクジェット式プリンターユニットに具体化した実施形態を説明する。
また、以下の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」を言う場合は、各図中に矢印で示す前後方向、左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。
【0023】
図1および図2に示すように、プリンターユニット(記録装置)11は、プリンター(記録部本体)100と、搬送装置110と、仕分装置(集積手段)120とを構成要素として備えている。プリンター100は、長尺状の用紙であるシート(被記録媒体)ST(図3参照)に対して記録(印刷)を施すとともに、シートSTの記録が施された部分を切断することで搬送物の一例としてのカット用紙(被記録媒体)CSとして排紙する。
【0024】
搬送装置110は、プリンター100から排紙された記録済みのカット用紙CSを仕分装置120に向けて搬送するとともに、仕分装置120がカット用紙CSを受容する受け渡し領域DAに向けてカット用紙CSを排出する。また、仕分装置120は、積載部材の一例としての複数のトレイ130を備えている。各トレイ130は、半透明の合成樹脂からなる。そして、仕分装置120は、各トレイ130が受け渡し領域DAに順次移動していくことで、カット用紙(印刷物:被記録媒体)CSを仕分するようになっている。
【0025】
次に、プリンター100の構成について詳述する。
図3に示すように、プリンター100は、後壁の上部に排紙部12aを有する略直方体状の本体ケース12と、本体ケース12内の前側下部においてシートSTをロール状に巻き重ねたロール体RSの様態で保持する保持部13とを備えている。また、プリンター100は、本体ケース12内に、保持部13から排紙部12aに向かって延びる搬送経路に沿ってシートSTを搬送する搬送機構14を備えている。また、本体ケース12内には、ロール体RSから巻き解かれたシートSTに対して記録を施す記録部15と、カッター16とが設けられている。また、本体ケース12内において排紙部12aと隣接する位置には、排紙機構17が設けられている。
【0026】
搬送機構14によって搬送されるシートSTは、記録部15において表面に記録処理が施される。その後、シートSTは、表面に印刷が施された部分がカッター16で切断される。そして、切断されたシートSTの先端側の部分はカット用紙CS(単票)となる。
【0027】
保持部13は、ロール体RSを回転可能に支持する回転軸18と、回転軸18を回転させるための回転モーター(図示略)とを備えている。そして、回転モーターの駆動に伴って回転軸18が図3における反時計回り方向に回転すると、ロール体RSからシートSTが巻き解かれるようになっている。
【0028】
搬送機構14は、シートSTを搬送方向X1の上流側から下流側に搬送する複数の搬送ローラー20〜24と、各搬送ローラー20,21,22,24との間にシートSTを挟持する従動ローラー30,31,32,34とを備えている。各搬送ローラー20〜24と、各従動ローラー30〜34とは、搬送経路をはさんで互いに対向する位置に配置されている。
【0029】
尚、以下の説明において、互いに対をなす搬送ローラー22と従動ローラー32を搬送ローラー対R2と言うことがある。また、搬送機構14は、搬送ローラー20〜24を回転させるための搬送モーター(図示略)と、搬送ローラー対R2と対応する位置に配置された搬送経路形成部材38とを備えている。
【0030】
記録部15は、搬送経路の上側に配置されたガイド軸42と、ガイド軸42に支持されたキャリッジ43と、キャリッジ43に支持された記録ヘッド(記録手段)44とを備えている。また、記録部15は、搬送経路をはさんで記録ヘッド44と対向する位置に配置された支持部材45を備えている。ガイド軸42は、搬送方向X1と交差(本実施形態では直交)するシートSTの幅方向Y1(本実施形態では左右方向)に沿って延びるように本体ケース12に架設されている。また、キャリッジ43は、ガイド軸42に案内されつつ幅方向Y1に沿って往復移動するようになっている。
【0031】
支持部材45の上面には複数の吸引孔(図示略)が開口している。また、支持部材45には吸引孔を通じてシートSTを吸着するための吸着機構46が内蔵されている。また、記録ヘッド44には、液体としてのインクを噴射する複数のノズル47が設けられている。そして、支持部材45に支持されたシートSTの表面(図2では上面となる記録面)に記録ヘッド44のノズル47からインクが噴射されることで、シートSTに記録が施されるようになっている。
【0032】
なお、プリンター100では、1つの印刷ジョブに含まれる印刷データを複数に分割し、分割された各印刷データに基づく印刷処理をキャリッジ43の走査毎に行うとともに、各印刷処理の合間に、シートSTの印刷が施された部分が間欠的に搬送されるようになっている。すなわち、記録部15では、幅方向Y1が長手方向となる帯状の画像の形成と紙送りとが交互に繰り返されることで、1つの印刷ジョブに基づく画像が形成されるようになっている。
【0033】
また、カッター16によるシートSTの切断は、搬送機構14によるシートSTの搬送を停止させ、上流側を支持部材45の吸着機構46で保持する一方、下流側を搬送ローラー対R2で挟持した状態で行われる。なお、本実施形態においては、印刷を行うためにシートSTの搬送を停止したときに、シートSTの切断を行うようになっている。そして、切断されたカット用紙CSは、搬送ローラー22〜24によって停止されることなく連続的に搬送され、排紙機構17により、排紙部12aを通じて搬送装置110側に排紙される。
【0034】
排紙機構17は、駆動ローラー23,24および従動ローラー34を構成要素の一部として有している。駆動ローラー24と従動ローラー34との間にカット用紙CSを挟持して搬送装置110側へと排出させる。
【0035】
次に、搬送装置110の構成について詳述する。
図4に示すように、搬送装置110は、プリンター100の排紙部12aから排紙されたカット用紙CSを搬送方向(第1搬送方向)X2に上流側から下流側に向けて搬送するもので、基台部50上に載置されている。
【0036】
搬送装置110は、駆動ローラー51と、従動ローラー52と、駆動ローラー51および従動ローラー52に巻き掛けられた無端状の搬送ベルト53と、駆動ローラー51を回転させるための駆動モーター(制御部)54(図2参照)とを備えている。そして、駆動モーター54の駆動によって駆動ローラー51が図4における反時計回り方向に回転することで搬送ベルト53が回転(周回移動)するようになっている。
【0037】
このような搬送装置110は、プリンター100の排紙部12aの下方に、搬送ベルト53の搬送方向X2における上流側が位置するとともに、搬送ベルト53の搬送方向X2における下流側が仕分装置120の受け渡し領域DAと隣り合う位置となるように配置されている。したがって、駆動モーター54の駆動時にカット用紙CSが搬送ベルト53の搬送面53a(上面からなる水平面)に載置されると、カット用紙CSは仕分装置120の受け渡し領域DAに向かって搬送方向X2に搬送されるようになっている。
【0038】
このとき、搬送ベルト53は受け渡し領域DAの搬送方向X2における中央付近に向けてカット用紙CSを投げ出すような速度で回転される。そして、カット用紙CSは搬送面53aの搬送方向X2における下端側に至ると、搬送面53aから離間して仕分装置120の受け渡し領域DAに向けて排出される。
【0039】
本実施形態の搬送ベルト53には平面視円形状の複数の貫通孔53c(図2参照)が形成されている。これら複数の貫通孔53cは、搬送面53aに開口するとともに搬送ベルト53の厚さ方向に貫通しており、内側の空間が大気開放されている。複数の貫通孔53cは、搬送ベルト53の幅方向に列をなすとともに搬送ベルト53の長手方向に条列をなすように形成されている。貫通孔53cの孔径や大きさ、配置位置は適宜変更が可能である。
【0040】
図7に示すように、プリンター100における排紙機構17の排紙部12aの直下に搬送ベルト53が位置しており、この搬送面53aと駆動ローラー24と従動ローラー34とのニップ位置との高さHは63.5mmである。また、排紙機構17からカット用紙CSが排紙される際、搬送面53a(水平面)に対して傾斜した姿勢で排紙される。このときのカット用紙CSの排紙角度θは35°である。
【0041】
ここで、図2に示すように、プリンター100の排紙機構17におけるカット用紙CSの搬送方向(第2搬送方向)X1と、搬送装置110によるカット用紙CSの搬送方向X2とが略直交している。つまり、搬送面53a上に排出されてくるカット用紙CSの搬送方向(排紙方向)X1は、搬送ベルト53の幅方向に沿うこととなり、搬送方向X2の下流側となる搬送ベルト53の側部53b側にカット用紙CSの先端が落下し、搬送方向X2の上流側となる搬送ベルト53の側部53d側にカット用紙CSの後端が落下する。
【0042】
次に、仕分装置120の構成について詳述する。
図2に示すように、仕分装置120は、箱型の本体部59を備えている。仕分装置120は、本体部59において後ろ側となる位置に受け渡し領域DAを有しているとともに、本体部59において前側となる位置に反転領域RAを有している。さらに、仕分装置120は、本体部59の前後方向における受け渡し領域DAと反転領域RAとの間に、搬送装置110によって搬送方向X2の上流側から搬送されるカット用紙CSを仕分けするための仕分領域SAを有している。
【0043】
仕分装置120は、搬送装置110から仕分領域SAへのカット用紙CSの受け渡し領域DAにおいて、受け渡し領域DAに向けて搬送方向X2の上流側から順次投げ出される複数のカット用紙CSを受容する。また、仕分装置120は、受容したカット用紙CSを仕分領域SAにおいて仕分する。なお、受け渡し領域DAは、搬送方向X2と直交するカット用紙CSの仕分方向X3において、仕分領域SAの上流側に配置されている。
【0044】
図5に示すように、仕分装置120は本体部59に収容された移動機構60を備えている。移動機構60は、歯車61,62,63,64と、移動体の一例として無端状のチェーン65と、歯車61を回転させるための駆動モーター(図示略)とを備えている。歯車61,63は駆動歯車で、駆動モーター(図示略)によって図4における反時計回り方向に回転させる。また、歯車62は従動歯車であるとともに、歯車64はばね(図示略)によって下側に付勢されるテンション歯車である。そして、各歯車61〜64は、チェーン65に対して内側からそれぞれ噛合している。
【0045】
チェーン65は、歯車61〜64に巻き掛けられるとともに、歯車64によって適度に張設された状態に保持されている。そして、チェーン65は、駆動モーターの駆動に伴って歯車61,63が回転すると、一定の周回移動経路を形成するように図5において反時計回り方向に周回移動するようになっている。
【0046】
チェーン65には、トレイ130を装着するための複数の保持部67が略等間隔に設けられている。トレイ130は、保持部67に装着される装着部70と、平面状の受容部71と、側面視において受容部71と略直交するように設けられた位置決め部72とを有している。そして、チェーン65の各保持部67には、それぞれ1つのトレイ130が周回移動経路に沿って並ぶように取着されている。
【0047】
各トレイ130は、チェーン65の周回移動に伴って移動する過程で、受け渡し領域DAに順次配置される。また、受け渡し領域DAでカット用紙CSを受容した各トレイ130は、チェーン65の周回移動に伴って受け渡し領域DAから仕分領域SAに移動し、さらに仕分領域SAにおいて仕分方向X3に移動することで、カット用紙CSを仕分けする。
【0048】
トレイ130は、受容部71が仕分方向X3の上流側から下流側に向けてやや低くなるように傾斜した受容姿勢で受け渡し領域DAに配置されるとともに、この受け渡し姿勢においてカット用紙CSを寝かせた状態で受け入れる。また、トレイ130の位置決め部72は受容部71の仕分方向X3における下流側の端部に受け入れられている。そのため、トレイ130の受容部71に積載されたカット用紙CSは自重によって仕分方向X3の下流側に移動し、位置決め部72によって仕分方向X3における位置決めおよび下端位置の位置決めが行われる。
【0049】
受け渡し領域DAにおいてカット用紙CSを受容した各トレイ130は、カット用紙CSを積載した状態で、チェーン65の周回移動に伴って受容姿勢から起き上がるように姿勢を変化させながら、受け渡し領域DAから仕分領域SAに向けて順次移動する。これにより、仕分領域SAにおいてチェーン65の上側に位置する複数(本実施形態では9つ)のトレイ130は、受容部71同士が互いに平行をなす仕分姿勢で仕分領域SAに配置される。
【0050】
トレイ130が仕分姿勢になっている場合は、位置決め部72が受容部71の下側に位置するため、カット用紙CSは、図5中の二点差線で示すように下面側が受容部71にもたれかかった状態で下端が位置決め部72に支持される。すなわち、トレイ130は、仕分姿勢にある場合、カット用紙CSを立てた状態で支持する。
【0051】
図6において、トレイ130において受容部71の右端部側には、ユーザーによるカット用紙CSの取り出しを補助するために、2つの切欠部75,76が形成されている。なお、仕分装置120は、図6に二点鎖線で示す最小サイズのカット用紙CSから、図6に一転鎖線で示す最大サイズのカット用紙CSまでの複数サイズのカット用紙CSを仕分する。したがって、切欠部75は主に小さいサイズのカット用紙CSの取り出しを補助し、切欠部76は主に大きいサイズのカット用紙CSの取り出しを補助する。
【0052】
搬送ベルト53は、受け渡し領域DAの搬送方向X2における中央付近に向けてカット用紙CSを投げ出すような速度で回転される。図6に示すように、受け渡し領域DAには、受け渡し領域DAに向けて投げ出されるカット用紙CSを受け止めてトレイ130の方に案内する案内板79および案内板80が設けられている。
【0053】
次に、プリンターユニット11の作用について述べる。
図2に示したように、プリンター100の排紙機構17におけるカット用紙CSの搬送方向X1と、搬送装置110によるカット用紙CSの搬送方向X2とが略直交している。
プリンター100の排紙機構17は、その搬送方向X1に沿ってカット用紙CSを投げ出すようにして搬送ベルト53上に排出する。そして、搬送装置110の搬送ベルト53は、搬送面53aに鉛直上方側の排紙機構17から排出されたカット用紙CSを受け止めることになる。
【0054】
従来では、貫通孔が形成されていない無端帯状の搬送ベルトが用いられていた。この構成の場合、排紙機構17から排出されたカット用紙CSのサイズが異なっていると、ロール体RSからカッター16によって切断されるカット用紙CSのサイズに応じた空気抵抗が生じるために、搬送面53a上に落下する位置がばらついてしまっていた(図10参照)。また、排紙機構17から排出されるカット用紙CSのサイズが同じであっても、排出時の姿勢によって搬送面53a上での落下位置にばらつきが生じてしまうこともあった。搬送ベルト53上に順次排出されるカット用紙CSどうしの落下位置が異なっていると、仕分装置120のトレイ130へのスタック性が低下してしまう。
【0055】
本実施形態では、搬送ベルト53に搬送面53aの反対面側において大気開放された多数の貫通孔53cを設けることによって、カット用紙CSとの間に生じる空気抵抗を低減させることができるようになっている。これにより、搬送面53a上に排紙されるカット用紙CS同士の落下位置にばらつきが生じてしまうのを防止することができる。
【0056】
また、従来においては、搬送ベルト53の側方(搬送方向X1の下流側)にカット用紙CSの脱落を防止するための落下防止壁が設けられていた。このため、カット用紙CSの空気抵抗によって滑りが生じたとしても先端が落下防止壁に当接してそれ以上の移動が規制され、搬送ベルト53から脱落することなく該搬送ベルト53上に落下させることが可能となっていた。
【0057】
これに対して本実施形態では、搬送ベルト53に形成された複数の貫通孔53cを介して、搬送ベルト53とカット用紙CSとの間の空気を効率よく逃がすことができるので、空気抵抗によるカット用紙CSの滑りが抑制されて、確実に搬送面53a上に落下させることが可能である。したがって、従来のような落下防止壁が不要となり、部品削減に伴うコスト低下が図れる。
【0058】
ところで、カット用紙CSが搬送面53a上に落下する際に、カット用紙CSの先端が貫通孔53cに引っかかることがないように、貫通孔53cの大きさや形状、配置位置等を工夫する必要がある。また、排紙機構17からのカット用紙CSの排紙タイミング(落下タイミング)に合わせて搬送ベルト53の周回速度や移動タイミングを調整してもよい。
【0059】
図9に、搬送ベルトの変形例を示す。
例えば、図9(a)に示すように、複数の貫通孔53cを搬送ベルト53における搬送方向X1の下流側となる位置(側部53b側)にだけ形成してもよい。このとき、貫通孔53cが搬送ベルト53の幅長さ方向(搬送方向X1)に長い長孔であることが好ましい。このような形状にすることによって、貫通孔53c上にカット用紙CSの先端が落下したとしても貫通孔53cの搬送ベルト53の長さ方向の幅は小さく設定されているので、貫通孔53cへの引っかかりを防止することができる。
【0060】
また、搬送ベルト53の搬送面53aの搬送方向X1の所定範囲の面積に対する複数の貫通孔53cの開口面積の割合(開口率)が、搬送面53a上に受け止められるカット用紙CSの搬送方向X1の下流側に向かって大きくなるような形状あるいは配置とされていてもよい。例えば、図9(b)に示すように、複数の貫通孔53cの配置状態が搬送ベルト53における搬送方向X1の下流側(搬送ベルト53の幅方向一方の側部53b側)に行くにしたがって、密になっていてもよい。また、搬送ベルト53における搬送方向X1の下流側に行くにしたがって、配列された複数の貫通孔53cの大きさが順次大きくなるような構成としてもよい。
【0061】
このような構成とすることにより、搬送ベルト53上に先に落下するカット用紙CSの先端側の空気抵抗(地面効果)を効果的に低下させることが可能となり、カット用紙CSごとの落下位置のばらつきを抑制することができる。特に、長さを有するカット用紙CSの先端側の空気抵抗を抑制することができるので、空気抵抗(揚力)による移動によって搬送ベルト53からカット用紙CSが脱落してしまうのを防止することができる。
【0062】
また、カット用紙CSのカット長さが一定の場合は、カット用紙CSの先端が落下する位置には貫通孔53cが存在しないような構成にする、あるいは、カット用紙CSの先端が落下する位置に貫通孔53cを存在させないように搬送ベルト53の周回タイミングを制御してもよい。
【0063】
例えば、図9(c)に示すように、搬送面53aに設けられた貫通孔形成領域(第1領域)A1以外の領域(貫通孔非形成領域(第2領域)A2)にカット用紙CSの先端が落下するように、搬送ベルト53の長さ方向における貫通孔形成領域A1の設置間隔や、搬送ベルト53の周回タイミング(駆動ローラー51の駆動)を調整するようにする。
【0064】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0065】
例えば、プリンター100は、長尺状のシートSTを切断してカット用紙CSとするものに限らず、予め単票とされたカット用紙CSに対して印刷を施すものであってもよい。
【0066】
プリンター100は、インク以外の他の液体の微少量の液滴を噴射したり吐出したりする液体噴射ヘッド等を備える液体噴射装置であってもよい。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここで言う液体とは、液体噴射装置が噴射させることができる材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。
【0067】
また、液体の代表的な例としては上記実施形態で用いたようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的は水性インクおよび油性インクならびにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形で含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造などに用いられる生態有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられる試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。
【0068】
さらに、時計や精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信装置等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用しても良い。そして、これらのうちいずれか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0069】
11…プリンターユニット(記録装置)、14…搬送機構、23,24,51…駆動ローラー、30,32,34,52…従動ローラー、44…記録ヘッド(記録手段)、53…搬送ベルト、53a…搬送面、53c…貫通孔、A1…貫通孔形成領域(第1領域)、CS…カット用紙(被記録媒体)、ST…シート(被記録媒体)、X1,X2…搬送方向、X1…搬送方向(第2搬送方向)、X2…搬送方向(第1搬送方向)、100…プリンター(記録部本体)、110…搬送装置、120…仕分装置(集積手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ローラーと、前記駆動ローラーと間隔をおいて配置された従動ローラーと、前記駆動ローラーおよび前記従動ローラーに掛け回された搬送ベルトと、を備えた搬送装置であって、
前記搬送ベルトは、当該搬送ベルトによる被記録媒体の第1搬送方向と交差する第2搬送方向から搬送されてきた前記被記録媒体を受け止める搬送面と、前記搬送面に開口するとともに厚さ方向に貫通する複数の貫通孔と、を有し、
前記複数の貫通孔の前記搬送面の反対面側の開口が大気開放されている
ことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記複数の貫通孔が前記搬送面における前記第2搬送方向の下流側となる位置に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記搬送面上における前記第2搬送方向の下流側に向かって前記複数の貫通孔の配置密度が大きくなっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記駆動ローラーの駆動を制御する制御部を備え、
前記搬送面には、前記複数の貫通孔が形成された第1領域と、前記貫通孔が形成されていない第2領域とが設けられており、
前記制御部は、前記搬送ベルトの前記搬送面上に搬送されてくる前記被記録媒体の先端が前記第2領域に落下するように前記駆動ローラーを制御する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記貫通孔が、前記第2搬送方向に長い長孔である
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
被記録媒体を搬送させる搬送機構と、前記被記録媒体に対して液体を付着させて記録処理を行う記録手段と、を備える記録部本体と、
前記搬送機構とは独立して駆動され、前記搬送機構より受け渡された記録済みの前記被記録媒体を搬送する請求項1から5のいずれか一項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置から搬送されてきた前記被記録媒体を集積する集積手段と、を備える
ことを特徴とする記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−144316(P2012−144316A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−2754(P2011−2754)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】