説明

搬送装置及び画像読取装置

【課題】複数種類の媒体を適正に搬送することができる搬送装置及び画像読取装置を提供する。
【解決手段】シート状の媒体Sを直線搬送可能な直線搬送経路と、媒体Sを直線搬送経路から分岐して屈曲搬送可能な屈曲搬送経路10と、前記分岐する部分に設けられ、媒体Sと当接した際に当該媒体Sから作用する力に応じて、当該媒体Sを屈曲搬送経路10側に案内する屈曲搬送位置と、当該媒体Sを直線搬送経路側に案内する直線搬送位置とに移動可能な切替部材13と、直線搬送位置で切替部材13から媒体Sに作用する力を屈曲搬送位置で切替部材13から媒体Sに作用する力より小さくする可変付圧部14とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置及び画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
用紙などのシート状の媒体を搬送する従来の搬送装置やこの搬送装置によって搬送される媒体の画像を読み取る従来の画像読取装置として、特許文献1には被搬送物の剛性に応じて搬送経路を切り替えて被搬送物の搬送速度を異ならせるシート搬送装置および画像読取装置、特許文献2には原稿の厚みに基づいて搬送ローラと従動ローラとの間隙を変更すると共に原稿の排紙経路を切り替える原稿搬送装置、特許文献3にはドキュメントとカードとで搬送を切り替え可能なスキャナがそれぞれ開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−189434号公報
【特許文献2】特開2009−143696号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2007/0095917号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような特許文献1に記載のシート搬送装置および画像読取装置、特許文献2に記載の原稿搬送装置、特許文献3に記載のスキャナなどでは、例えば、複数種類の媒体を簡易な構成で適正に搬送することが望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、複数種類の媒体を適正に搬送することができる搬送装置及び画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による搬送装置は、シート状の媒体を直線搬送可能な直線搬送経路と、前記媒体を前記直線搬送経路から分岐して屈曲搬送可能な屈曲搬送経路と、前記分岐する部分に設けられ、前記媒体と当接した際に当該媒体から作用する力に応じて、当該媒体を前記屈曲搬送経路側に案内する屈曲搬送位置と当該媒体を前記直線搬送経路側に案内する直線搬送位置とに移動可能な切替部材と、前記直線搬送位置で前記切替部材から前記媒体に作用する力を前記屈曲搬送位置で前記切替部材から前記媒体に作用する力より小さくする可変付圧部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、上記搬送装置では、前記切替部材を前記屈曲搬送位置と前記直線搬送位置とに回動可能に支持する回動軸と、前記切替部材を前記屈曲搬送位置側に付勢する付勢部とを備え、前記可変付圧部は、前記切替部材に前記回動の抵抗を作用させる抵抗部材を有し、当該抵抗部材は、前記切替部材の前記屈曲搬送位置側から前記直線搬送位置側への回動に対する抵抗を前記直線搬送位置側から前記屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗より大きくし、前記直線搬送位置では前記切替部材に前記抵抗を作用させず、前記切替部材の前記直線搬送位置側から前記屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗を前記付勢部による付勢力より小さくするものとすることができる。
【0008】
また、上記搬送装置では、前記媒体から前記切替部材に作用する力にかかわらず当該切替部材を前記屈曲搬送位置又は前記直線搬送位置に固定可能な固定部を備えるものとすることができる。
【0009】
また、上記搬送装置では、前記切替部材から前記媒体に作用する力を調節可能な調節部を備えるものとすることができる。
【0010】
また、上記搬送装置では、前記切替部材の位置を検出可能な検出部と、前記検出部が検出する前記切替部材の位置に応じて制御の態様を変更する制御部とを備えるものとすることができる。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明による画像読取装置は、上記搬送装置と、前記搬送装置により搬送される前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る搬送装置及び画像読取装置によれば、複数種類の媒体を適正に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図3】図3は、図2に示すA―A矢視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図5】図5は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図6】図6は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図7】図7は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図8】図8は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図9】図9は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図10】図10は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図11】図11は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図12】図12は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する線図である。
【図13】図13は、実施形態2に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図14】図14は、実施形態2に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図15】図15は、実施形態2に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図16】図16は、実施形態3に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図17】図17は、実施形態3に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。
【図18】図18は、実施形態4に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図である。
【図19】図19は、比較例に係る搬送装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明に係る搬送装置及び画像読取装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【0015】
[実施形態1]
図1は、実施形態1に係る画像読取装置の概略構成例を示す模式的構成図、図2は、実施形態1に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図、図3は、図2に示すA―A矢視図、図4乃至図11は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する模式図、図12は、実施形態1に係る搬送装置の動作を説明する線図である。
【0016】
本実施形態の搬送装置1は、図1に示すように、画像読取装置2に適用され、用紙などの所定のサイズのシート状の媒体としての原稿Sを搬送するものである。画像読取装置2は、例えば、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などに適用される。画像読取装置2は、搬送装置1と、読取装置としての光学ユニット3とを備え、搬送装置1により搬送される原稿Sの画像を光学ユニット3によって読み取るものである。
【0017】
搬送装置1は、原稿Sを光学ユニット3へ向けて搬送するものであり、搬送路4と、ローラ5と、駆動部6と、制御部としての制御装置7とを備える。搬送路4は、原稿Sが搬送される通路である。ローラ5は、搬送路4に設けられる。駆動部6は、ローラ5を回転駆動するための駆動源であり例えばモータなどにより構成される。制御装置7は、マイクロコンピュータを中心として構成され、駆動部6の駆動を制御する。ここでは、制御装置7は、画像読取装置2の全体を制御する制御装置7が兼用されるがこれに限らない。
【0018】
搬送装置1は、制御装置7の制御により駆動部6が駆動し不図示のギヤや駆動軸などを介してローラ5に動力が伝達されることでこのローラ5が回転駆動する。そして、搬送装置1は、ローラ5の外周面と原稿台8との間に原稿Sを挟持すると共に、ローラ5が回転駆動することで原稿Sを搬送する。
【0019】
光学ユニット3は、原稿Sの搬送路4中に設けられ、搬送装置1により搬送された原稿Sの画像を読み取るものである。光学ユニット3は、光を受光して電荷を発生させる複数の光電変換素子を原稿Sの搬送方向と直交するように一列に配置したリニアイメージセンサ(一次元イメージセンサ)などによって、搬送されてくる原稿S上の画像を光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取り、読み取った画像データを制御装置7に送信する。光学ユニット3は、リニアイメージセンサにおける光電変換素子の配列方向、すなわち、イメージセンサの長手方向が走査方向となる一方、この走査方向と直交する方向、すなわち、原稿Sの搬送方向が副走査方向となる。
【0020】
上記のように構成される画像読取装置2では、搬送装置1によって搬送される原稿Sは、光学ユニット3によって走査方向に沿った1読取ライン毎に画像が読み取られる。そして、画像読取装置2は、原稿Sが光学ユニット3のイメージセンサに対する相対的な移動を継続することで、副走査方向に沿って順次画像を読み取っていき、最終的に原稿S上の二次元画像データを読み取ることができる。
【0021】
ここで、この搬送装置1は、原稿Sを直線搬送可能な直線搬送経路9と、原稿Sを直線搬送経路9から分岐して屈曲搬送可能な屈曲搬送経路10とを備えている。ここでは、搬送路4は、第1搬送路4aと、第2搬送路4bと、第3搬送路4cとを含んで構成され、直線搬送経路9は、第1搬送路4aと第2搬送路4bとを含んで構成され、屈曲搬送経路10は、第1搬送路4aと第3搬送路4cとを含んで構成される。
【0022】
第1搬送路4aは、直線状の通路であり一端側から原稿Sが給紙される。第2搬送路4bは、搬送方向が第1搬送路4aの搬送方向とほぼ平行な直線状の通路であり、第1搬送路4aの他端側でこの第1搬送路4aと連続する。第2搬送路4bは、第1搬送路4a側の一端側から原稿Sが搬送され他端側に排紙する。第3搬送路4cは、搬送方向が第1搬送路4aの搬送方向と交差する直線状の通路であり、第1搬送路4aの他端側でこの第1搬送路4aと連続する。第3搬送路4cは、第1搬送路4a側の一端側から原稿Sが搬送され他端側に排紙する。
【0023】
したがって、直線搬送経路9は、第1搬送路4aと第2搬送路4bとによって直線状に原稿Sを搬送することができ、屈曲搬送経路10は、第1搬送路4aと第3搬送路4cとによって屈曲部11を介して搬送する方向を屈曲させ方向転換して原稿Sを搬送することができる。なお、屈曲部11は、屈曲搬送経路10が直線搬送経路9から分岐する部分をなす。直線搬送経路9は、この屈曲部11を通過するようにして原稿Sを搬送する。
【0024】
この結果、搬送装置1、画像読取装置2は、例えば、比較的剛性が低い原稿Sや薄い原稿Sを搬送する際には屈曲搬送経路10を用いることで設置スペースの省スペース化を図ることができる。このような搬送装置1、画像読取装置2では、原稿Sを真っ直ぐ搬送する場合には、一般的には画像読取装置2の給紙側と排紙側の両方に原稿Sの搬送方向に沿った長さに相当するスペースとして、給紙する原稿Sの設置スペースと原稿Sの排紙スペースとを確保する必要がある。しかしながら、本実施形態の搬送装置1、画像読取装置2は、屈曲搬送経路10を用いて原稿Sを搬送することで、少なくとも原稿Sの排紙スペースの分、設置スペースを省スペース化することができる。一方、搬送装置1、画像読取装置2は、例えば、比較的剛性が高い原稿Sや厚い原稿Sを搬送する際には直線搬送経路9を用いることで原稿Sが屈曲部11にて破損してしまうことを防止することができる。
【0025】
ところで、この搬送装置1は、図1に示すように、搬送する原稿Sに応じて直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを機械的な構成によって自動で切り替える切替機構12を屈曲部11に設けることで、原稿Sを搬送する経路として直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを備えることによる種々の改善すべき点を改善し、複数種類の原稿Sを簡易な構成で適正に搬送することができるようにしている。
【0026】
切替機構12は、図2、図3に示すように、切替部材としてのガイド部材13と、可変付圧部としての付圧機構14とを含んで構成され、原稿Sからガイド部材13に作用する突入力に応じてこのガイド部材13が所定の位置に移動することで直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを切り替えるものである。言い換えれば、切替機構12は、高精度なセンサ類を用いずに、ガイド部材13が原稿Sの突入力を簡易な構造で検知しこれに応じて直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを切り替えるものである。ここで、ガイド部材13に対する原稿Sの突入力は、原稿Sの座屈力に応じた力であり、典型的には、原稿Sの厚みtの3乗に比例する力である。
【0027】
ガイド部材13は、屈曲搬送経路10が直線搬送経路9から分岐する部分である屈曲部11に設けられる。ガイド部材13は、原稿Sと当接した際にこの原稿Sから作用する力である上記突入力に応じて、図2に例示する屈曲搬送位置と、図8に例示する直線搬送位置とに移動可能である。ガイド部材13は、屈曲搬送位置では原稿Sを屈曲搬送経路10側に案内する一方、直線搬送位置では原稿Sを直線搬送経路9側に案内する。すなわち、ガイド部材13は、屈曲搬送位置では第1搬送路4aから搬送される原稿Sを屈曲させて第3搬送路4c側に案内する一方、直線搬送位置では第1搬送路4aから搬送される原稿Sを屈曲させずに第2搬送路4b側に案内する。
【0028】
具体的には、切替機構12は、さらに回動軸15、付勢部としての第1バネ16、ストッパ部17、当接ローラ18などを含んで構成される。
【0029】
回動軸15は、画像読取装置2のケーシング19等にガイド部材13を回動可能に支持する軸である。回動軸15は、ガイド部材13を屈曲搬送位置と直線搬送位置とに回動可能に支持する。
【0030】
ガイド部材13は、例えば矩形板状に形成され、中央部がこの回動軸15により支持される。ガイド部材13は、回動軸15を挟んで一方側が案内部13a、他方側が抵抗付加部13bをなす。案内部13aは、第1搬送路4aから搬送される原稿Sの搬送方向先端部に接触して第2搬送路4b側又は第3搬送路4c側に案内する部分であり、抵抗付加部13bは、後述する付圧機構14からの抵抗が付加される部分である。
【0031】
ガイド部材13は、回動軸15の回動軸線が原稿Sの搬送方向と水平に交差するように、すなわち、第1搬送路4aを搬送されてくる原稿Sの幅方向に沿うように設定される。また、ガイド部材13は、屈曲搬送位置にて案内部13aの先端部が回動軸15より第1搬送路4a側に位置するように設けられる。ガイド部材13は、回動軸15を中心として回動することで、案内部13aが原稿台8から第1搬送路4a側に突出して直線搬送経路9を遮断する屈曲搬送位置と、案内部13aが第1搬送路4a側から隠れて直線搬送経路9を開放する直線搬送位置とに移動することができる。
【0032】
第1バネ16は、ガイド部材13を屈曲搬送位置側に付勢するものであり、ここでは、例えば、ねじりコイルバネにより構成される。第1バネ16は、回動軸15が挿入され、ガイド部材13に対して回動方向に沿った屈曲搬送位置側への付勢力を作用させる。この第1バネ16による付勢力は、屈曲搬送位置から移動したガイド部材13を屈曲搬送位置に復帰させるための復元力に相当する。
【0033】
ストッパ部17は、ガイド部材13と一体で回動可能なものであり、ガイド部材13の中央部分に立設するようにして設けられる。ストッパ部17は、ガイド部材13に原稿Sからの突入力が作用していない状態で、位置決め部例えば原稿台8の裏面に当接することでガイド部材13の回動を規制し、屈曲搬送位置側に付勢されたガイド部材13を所定の屈曲搬送位置側で位置決めすることができる。この結果、ガイド部材13は、少なくとも原稿Sからの突入力が作用していない状態では屈曲搬送位置で待機することとなる。
【0034】
当接ローラ18は、ガイド部材13の抵抗付加部13b側の端部に設けられる転動体である。当接ローラ18は、ガイド部材13が回動する際に、後述する抵抗部材20と接触しながら転動することで摺動抵抗を低減する。
【0035】
付圧機構14は、ガイド部材13から原稿Sに作用する力を機械的な構成により可変とするものである。付圧機構14は、直線搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する力を屈曲搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する力より小さくする。なお、以下の説明では、特に断りのない限りガイド部材13から原稿Sに作用する力を「付圧力」という。
【0036】
具体的には、付圧機構14は、抵抗部材20と、第2バネ21とを含んで構成される。付圧機構14は、抵抗部材20からガイド部材13に作用させる抵抗をガイド部材13の位置に応じて変えることで、ガイド部材13から原稿Sに作用させる付圧力を変える。
【0037】
抵抗部材20は、ガイド部材13に回動の抵抗、すなわち、回動方向負荷を作用させるものである。抵抗部材20は、当接ローラ18に当接しこの当接ローラ18を介して間接的にガイド部材13に回動方向に対する抵抗力を付与する。抵抗部材20は、その外面に第1傾斜面22と第2傾斜面23とが形成されている。
【0038】
第1傾斜面22(図2参照)は、ガイド部材13が屈曲搬送位置側から直線搬送位置側へ回動する際に当接ローラ18が転動する面であり、抵抗部材20においてガイド部材13、当接ローラ18と対向する頂面に窪むようにして形成される。第2傾斜面23(図3参照)は、ガイド部材13が直線搬送位置側から屈曲搬送位置側へ回動する際に当接ローラ18を屈曲搬送位置側に受け流す面であり、抵抗部材20の側面に当接ローラ18の中心線、言い換えれば、ガイド部材13が回動する際の当接ローラ18の軌跡の中心線に対して傾斜するように形成される。
【0039】
第2バネ21は、抵抗部材20を3次元に移動自在にケーシング19に支持するものである。第2バネ21は、抵抗部材20の底面を支持している。第2バネ21は、抵抗部材20、当接ローラ18を介してガイド部材13に付勢力に応じた所定の抵抗(回動負荷)を作用させる。
【0040】
したがって、付圧機構14は、抵抗部材20と第2バネ21との作用によって、直線搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する付圧力を屈曲搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する付圧力より小さくすることができる。すなわちここでは、付圧機構14は、抵抗部材20が第2バネ21の付勢力に応じてガイド部材13に対する回動方向の抵抗を調節する。付圧機構14は、ガイド部材13の屈曲搬送位置側から直線搬送位置側への回動に対する抵抗を直線搬送位置側から屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗より大きくし、直線搬送位置ではガイド部材13に抵抗を作用させず、ガイド部材13の直線搬送位置側から屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗を第1バネ16による付勢力より小さくする。
【0041】
上記のように構成される搬送装置1、画像読取装置2は、図2、図3に示すように、ガイド部材13に原稿Sからの突入力が作用していない状態では屈曲搬送位置でガイド部材13が待機している。
【0042】
そして、搬送装置1は、図4、図5に示すように、第1搬送路4aを搬送されてきた原稿Sがガイド部材13の案内部13aに接触すると、この原稿Sが案内部13aに突入する力である突入力が原稿Sから案内部13aに作用する。このとき、搬送装置1は、付圧機構14の抵抗部材20が当接ローラ18と接触し第2バネ21の付勢力に応じた抵抗をガイド部材13に作用させることから、ガイド部材13には第1バネ16の付勢力に応じた復元力と抵抗部材20から付加される第2バネ21の付勢力に応じた抵抗力とが作用する。よって、搬送装置1は、第1バネ16による復元力と第2バネ21による抵抗力とに応じた所定の負荷として所定の力がガイド部材13から原稿Sに作用する。
【0043】
そして、例えば、案内部13aに接触した原稿Sが比較的剛性が低い原稿Sや薄い原稿Sであり、原稿Sによる突入力が第1バネ16による復元力と第2バネ21による抵抗力とに応じた付圧力以下である場合には、ガイド部材13は、このまま屈曲搬送位置で保持されると共に、原稿Sを座屈、屈曲させて屈曲搬送経路10側である第3搬送路4c側に案内する。つまり、搬送装置1は、原稿Sからガイド部材13に付与される負荷(突入力)が第1バネ16による復元力と第2バネ21による抵抗力とに応じた負荷(付圧力)以下である場合にはガイド部材13が屈曲搬送位置にて原稿Sを屈曲搬送経路10側に案内してこの原稿Sを屈曲搬送する。
【0044】
一方、例えば、案内部13aに接触した原稿Sが比較的剛性が高い原稿Sや厚い原稿Sであり、原稿Sによる突入力が第1バネ16による復元力と第2バネ21による抵抗力とに応じた付圧力より大きい場合には、図6、図7に示すように、ガイド部材13の屈曲搬送位置側から直線搬送位置側への回動(図6中反時計回りの回動)に伴って当接ローラ18が第2バネ21を押し縮めつつ抵抗部材20の第1傾斜面22を転動して抵抗部材20を乗り越えて、図8、図9に示す直線搬送位置まで移動する。これにより、ガイド部材13は、原稿Sを座屈、屈曲させずに直線搬送経路9側である第2搬送路4b側に案内する。つまり、搬送装置1は、原稿Sからガイド部材13に付与される負荷(突入力)が第1バネ16による復元力と第2バネ21による抵抗力とに応じた負荷(付圧力)より大きい場合にはガイド部材13が直線搬送位置にて原稿Sを直線搬送経路9側に案内してこの原稿Sを直線搬送する。
【0045】
そして、この搬送装置1は、ガイド部材13が直線搬送位置にある状態では、抵抗部材20が当接ローラ18から離間した状態となり第2バネ21の付勢力に応じた抵抗力がガイド部材13に作用せず、基本的には、ガイド部材13には第1バネ16の付勢力に応じた復元力が作用する。よって、搬送装置1は、第1バネ16による復元力に応じた付圧力がガイド部材13から原稿Sに作用し、すなわち、直線搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する付圧力が第2バネ21による抵抗力の分だけ屈曲搬送位置で原稿Sに作用する付圧力より小さくなる。つまり、この搬送装置1においてガイド部材13から原稿Sに与える付圧力は、ガイド部材13が屈曲搬送位置にある状態から当接ローラ18が第1傾斜面22を乗り越え終わるまでの間に比べて、当接ローラ18が第1傾斜面22を乗り越えてガイド部材13が直線搬送位置にある状態の方が小さくなる。これにより、搬送装置1は、ガイド部材13が直線搬送位置にある際に、ガイド部材13から原稿Sに与える付圧力を小さくすることができることから、原稿Sを直線搬送経路9に適正に案内しつつ、ガイド部材13が原稿Sを傷つけてしまうことを防止することができる。
【0046】
そして、搬送装置1は、図10、図11に示すように、原稿Sが経路の切り替え部分を通過してしまうと、第1バネ16の復元力(付勢力)によりガイド部材13が直線搬送位置側から屈曲搬送位置側へ回動(図10中時計回りの回動)する。搬送装置1は、このガイド部材13の直線搬送位置側から屈曲搬送位置側への回動に伴って当接ローラ18が抵抗部材20の第2傾斜面23によって受け流されるようにして回動を続け、最終的には図2、図3に示す屈曲搬送位置に復帰する。
【0047】
搬送装置1は、ガイド部材13が回動する際、第2バネ21に支持された抵抗部材20が当接ローラ18の側方に逃げつつ、第2傾斜面23によって当接ローラ18を受け流すことから、第2バネ21の付勢力をガイド部材13に作用させずに、ガイド部材13の直線搬送位置側から屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗を小さくすることができる。このガイド部材13が直線搬送位置側から屈曲搬送位置側へ回動する際に抵抗部材20からガイド部材13に作用する抵抗力は、極めて小さく、少なくとも第1バネ16による復元力(付勢力)より小さい。したがって、搬送装置1は、比較的小さな第1バネ16の復元力でガイド部材13を屈曲搬送位置に復帰させることができる。これにより、搬送装置1は、第1バネ16の付勢力自体も比較的小さくすることができ、直線搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する付圧力をさらに抑制することができる。
【0048】
さらに言えば、ガイド部材13が屈曲搬送位置側から直線搬送位置側へ回動する際に抵抗部材20からガイド部材13に作用する抵抗力は、ガイド部材13が直線搬送位置側から屈曲搬送位置側へ回動する際に抵抗部材20からガイド部材13に作用する抵抗力より大きい。これにより、搬送装置1は、ガイド部材13が屈曲搬送位置側から直線搬送位置側へ回動する際には上記のようにガイド部材13に所定の負荷を作用させることができる。
【0049】
図12は、本実施形態に係る搬送装置1と比較例に係る搬送装置001(図19参照)とを比較する線図であり、横軸を時系列、縦軸をガイド部材13から原稿Sに作用する力(付圧力)としている。本図中、実線L1は本実施形態に係る搬送装置1を示し、一点鎖線L2は比較例に係る搬送装置001を示す。また、図中、時点t1は原稿Sがガイド部材13に突入した時刻、時点t2は当接ローラ18が抵抗部材20を乗り越えた時刻、時点t3はガイド部材13が屈曲搬送位置から直線搬送位置に切り替わっている途中の所定の時刻、時点t4はガイド部材13が直線搬送位置に完全に切り替わった時刻である。
【0050】
比較例に係る搬送装置001が備える切替機構012は、図19に例示するように、付圧機構14を備えず、付圧力として第1バネ16の付勢力のみが原稿Sに作用する構成である。屈曲搬送しても問題のない所定の厚みの原稿Sを屈曲搬送経路10側に案内するために所定の大きさの突入力が作用するまではガイド部材13を屈曲搬送位置で保持する力が必要であるが、この切替機構012では、これを第1バネ16の付勢力のみでまかなわなければならない。この結果、この切替機構012では、図12の一点鎖線L2に示すように、時刻t1以降はガイド部材13から原稿Sにある程度大きな力が常に作用し続けることになる。そして、切替機構012では、屈曲搬送と直線搬送とが切り替わる際、例えば、ガイド部材13が屈曲搬送位置から直線搬送位置に切り替わっている途中の所定の時刻t3において、ガイド部材13が屈曲搬送位置と直線搬送位置との間の中途半端な位置で停止してしまうおそれがあり、このため、屈曲搬送と直線搬送とを確実に切り替えることができないおそれがある。これにより、この切替機構012では、ガイド部材13が屈曲搬送位置と直線搬送位置との間の中途半端な位置で停止した場合に、例えば、原稿Sが第3搬送路4cの壁面などに接触してしまうおそれがある。
【0051】
これに対して、本実施形態の搬送装置1が備える切替機構12は、図12の実線L1に示すように、原稿Sからガイド部材13に作用する突入力(負荷)がある程度大きくなるまでは付圧機構14がガイド部材13を屈曲搬送位置で保持しつつ、突入力が所定より大きくなり時刻t2にて当接ローラ18が抵抗部材20を一旦乗り越えてしまうと、その後にガイド部材13から原稿Sに作用する力は基本的には第1バネ16による復元力のみとなり相対的に小さくなる。この結果、この切替機構12では、屈曲搬送と直線搬送とが切り替わる際、例えば、ガイド部材13が屈曲搬送位置から直線搬送位置に切り替わっている途中の所定の時刻t3においても、ガイド部材13が屈曲搬送位置と直線搬送位置との間の中途半端な位置で停止してしまうことを防止することができ、屈曲搬送と直線搬送とを確実に切り替えることができる。これにより、この切替機構12では、例えば、原稿Sが第3搬送路4cの壁面などに接触してしまうことを防止することができる。
【0052】
以上で説明した本発明の実施形態に係る搬送装置1によれば、シート状の原稿Sを直線搬送可能な直線搬送経路9と、原稿Sを直線搬送経路9から分岐して屈曲搬送可能な屈曲搬送経路10と、分岐する部分に設けられ、原稿Sと当接した際に原稿Sから作用する力に応じて、原稿Sを屈曲搬送経路10側に案内する屈曲搬送位置と原稿Sを直線搬送経路9側に案内する直線搬送位置とに移動可能なガイド部材13と、直線搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する力を屈曲搬送位置でガイド部材13から原稿Sに作用する力より小さくする付圧機構14とを備える。
【0053】
以上で説明した本発明の実施形態に係る画像読取装置2によれば、上記搬送装置1と、搬送装置1により搬送される原稿Sの画像を読み取る光学ユニット3とを備える。
【0054】
したがって、搬送装置1、画像読取装置2は、直線搬送経路9と屈曲搬送経路10との切り替えを簡易な構造で行うことができると共に経路の切り替え部分で原稿Sが損傷することを防止することができることから、複数種類の原稿Sを適正に搬送することができる。
【0055】
また、搬送装置1、画像読取装置2は、例えば、装置の小型化を図る場合には装置サイズや駆動部6のモータサイズ等が制限されることから、発生させることができる原稿Sの搬送力の大きさに限界があり、仮に比較的剛性が高い原稿Sや厚い原稿Sを屈曲搬送させた場合、屈曲負荷が生じ、搬送力が不足し搬送不能や画像伸びが発生するおそれがある。しかしながら、この搬送装置1、画像読取装置2は、屈曲負荷に影響している原稿Sの座屈力に応じた突入力をガイド部材13で機械的に検知し直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを切り替えることから、屈曲搬送経路10を介した屈曲搬送を安定的に行うことができかつ読み取り画像の品質を良好に保つことができる。また、搬送装置1、画像読取装置2は、原稿Sの種類(厚みや剛性)に応じて直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とが自動的に切り替わることからユーザの手を煩わせることが無く、操作性も向上することができる。
【0056】
また、搬送装置1、画像読取装置2は、例えば、原稿Sの厚みなどを検知するための超音波式や光学式や感圧式などの高精度なセンサ類を用いずに、原稿Sの厚みtの3乗に比例する原稿Sの突入力(≒座屈力)をガイド部材13で機械的に検知し直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを切り替えることから、多少の検知のばらつきをカバーしつつガイド部材13、付圧機構14などの構成部材に比較的安価な樹脂やバネなどを用いることにより製造コストも低減することができる。
【0057】
[実施形態2]
図13は、実施形態2に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図、図14、図15は、実施形態2に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。実施形態2に係る搬送装置は、固定部を備える点で実施形態1に係る搬送装置とは異なる。その他、上述した実施形態と共通する構成、作用、効果については、重複した説明はできるだけ省略するとともに、同一の符号を付す(以下の実施形態でも同様である)。
【0058】
本実施形態に係る搬送装置201は、図13に示すように、固定部としての固定部材224を備える。固定部材224は、原稿Sからガイド部材13に作用する力にかかわらずガイド部材13を屈曲搬送位置又は直線搬送位置のいずれか一方に固定可能なものである。本実施形態の固定部材224は、付圧機構14の抵抗部材20を所定の位置で固定することで間接的にガイド部材13を屈曲搬送位置又は直線搬送位置のいずれか一方に固定するものとして説明するがこれに限らず直接的にガイド部材13を固定するようにしてもよい。
【0059】
固定部材224は、直線搬送経路9と屈曲搬送経路10との自動切替を解除するためのものであり、2つの突起部224a、224bを含んで構成される。固定部材224は、図13に示す自動切替位置と、図14に示す屈曲固定位置と、図15に示す直線固定位置とに移動可能である。
【0060】
固定部材224は、図13に示す自動切替位置では突起部224aと突起部224bのいずれも抵抗部材20に接触しない。これにより、搬送装置201は、実施形態1の搬送装置1と同様に、ガイド部材13が屈曲搬送位置と直線搬送位置とに移動可能となり、自動的に直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを切り替えることができる。
【0061】
固定部材224は、図14に示す屈曲固定位置では、ガイド部材13の屈曲搬送位置にて突起部224aが抵抗部材20の底面に当接し、この抵抗部材20の移動を規制する。これにより、搬送装置201は、抵抗部材20がガイド部材13の屈曲搬送位置側から直線搬送位置側への回動を規制する規制部材として機能し、ガイド部材13の直線搬送位置側への回動を規制することができる。したがって、搬送装置201は、原稿Sの搬送経路が屈曲搬送経路10で固定され、全ての原稿Sが屈曲搬送経路10で搬送される。
【0062】
固定部材224は、図15に示す直線固定位置では、突起部224bが抵抗部材20の側面に当接し、第2バネ21(図2等を参照)を押し縮めながら抵抗部材20を当接ローラ18側から退避させる。これにより、搬送装置201は、抵抗部材20が当接ローラ18から離間され、第2バネ21の付勢力による抵抗力がガイド部材13に作用しない状態となる。したがって、搬送装置201は、原稿Sがガイド部材13に当たるとこのガイド部材13が常に直線搬送位置に移動するようになり、全ての原稿Sが直線搬送経路9で搬送される。
【0063】
以上で説明した本発明の実施形態に係る搬送装置201によれば、原稿Sからガイド部材13に作用する力にかかわらずこのガイド部材13を屈曲搬送位置又は直線搬送位置に固定可能な固定部材224を備える。したがって、搬送装置201は、例えば、ユーザが固定部材224を操作することで、直線搬送経路9と屈曲搬送経路10とを自動で切り替えるモードと、直線搬送経路9に固定するモードと、屈曲搬送経路10に固定するモードとを任意に選択することができる。例えば、搬送装置201は、直線搬送経路9に固定するモードが選択された場合、原稿Sを屈曲搬送することによる原稿Sの損傷や原稿Sのカールを確実に防止することができ、また、例えば複数種類の原稿Sを連続して搬送する際に常に同じ排紙位置に原稿Sを搬送することができる。例えば、搬送装置201は、屈曲搬送経路10に固定するモードが選択された場合、直線搬送経路9の排紙位置に障害物がある際などに常に屈曲搬送経路10側の排紙位置に原稿Sを搬送することができる。
【0064】
[実施形態3]
図16は、実施形態3に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図、図17は、実施形態3に係る搬送装置の動作を説明する模式図である。実施形態3に係る搬送装置は、調節部を備える点で実施形態1に係る搬送装置とは異なる。
【0065】
本実施形態に係る搬送装置301は、図16に示すように、調節部としての調節機構325を備える。調節機構325は、ガイド部材13から原稿Sに作用させる力(付圧力)を調節可能なものである。本実施形態の調節機構325は、図17にも示すように、第2バネ21の位置を変更し第2バネ21による付勢力を調節することで、ガイド部材13から原稿Sに作用させる力を調節することができる。
【0066】
以上で説明した本発明の実施形態に係る搬送装置301によれば、ガイド部材13から原稿Sに作用する力を調節可能な調節機構325を備える。したがって、搬送装置301は、屈曲搬送させる原稿Sと直線搬送させる原稿Sとの厚みや剛性の境界を任意に変更することができる。また、搬送装置301は、例えば、第2バネ21の付勢力のばらつきや付圧機構14各部の製造誤差を工場出荷時に調節することができる。
【0067】
[実施形態4]
図18は、実施形態4に係る搬送装置の概略構成例を示す模式的構成図である。実施形態4に係る搬送装置は、検出部を備える点で実施形態1に係る搬送装置とは異なる。
【0068】
本実施形態に係る搬送装置401は、図18に示すように、検出部としての位置センサ426を備える。位置センサ426は、ガイド部材13の位置を検出可能なものであり、検出結果を制御部としての制御装置7に送信する。本実施形態の位置センサ426は、ガイド部材13が屈曲搬送位置にあるときにストッパ部17を検出可能な位置に設けられたON・OFFセンサである。位置センサ426は、ガイド部材13が屈曲搬送位置にあるときにストッパ部17を検出しON信号を制御装置7に送信し、ガイド部材13が直線搬送位置側にあるときにOFF信号を制御装置7に送信する。なお、この位置センサ426は、単にON・OFFを検知するためのものであるので高い精度のセンサは必要ない。
【0069】
そして、制御装置7は、位置センサ426が検出するガイド部材13の位置に応じて制御の態様を変更する。制御装置7は、例えば、位置センサ426が検出するガイド部材13の位置に応じて原稿Sの搬送の態様を変更する制御を実行する。制御装置7は、位置センサ426がストッパ部17を検出し、すなわち、ガイド部材13が屈曲搬送位置にあることを検出した際には第1の態様で原稿Sを搬送する。制御装置7は、位置センサ426がストッパ部17を検出せず、すなわち、ガイド部材13が直線搬送位置側にあることを検出した際には第2の態様で原稿Sを搬送する。
【0070】
制御装置7は、例えば、原稿Sの屈曲搬送時に行う搬送の第1の態様として、原稿Sの直線搬送時に行う搬送の第2の態様の場合と比較して、原稿Sの搬送速度を落とすことにより駆動部6のモータの出力トルクを増加させ搬送力を増加させる。これにより、搬送装置401は、屈曲負荷の許容範囲を拡大することができる。なお、駆動部6のモータは、供給電流値が同じであれば回転速度(≒搬送速度)を低下させることで出力トルクが増加する。
【0071】
また、制御装置7は、例えば、位置センサ426が検出するガイド部材13の位置に応じて原稿Sの画像読取の態様を変更する制御を実行してもよい。制御装置7は、位置センサ426によりガイド部材13が屈曲搬送位置にあることを検出した際には第1の態様で原稿Sの画像を読み取る。制御装置7は、位置センサ426によりガイド部材13が直線搬送位置側にあることを検出した際には第2の態様で原稿Sの画像を読み取る。
【0072】
制御装置7は、例えば、原稿Sの屈曲搬送時に行う画像読取の第1の態様として、原稿Sの直線搬送時に行う画像読取の第2の態様の場合と比較して、屈曲負荷分の搬送負荷が増加することで画像伸び(倍率変動)が生じることから、これに応じて画像補正を行うようにしてもよい。
【0073】
以上で説明した本発明の実施形態に係る搬送装置401によれば、ガイド部材13の位置を検出可能な位置センサ426と、位置センサ426が検出するガイド部材13の位置に応じて制御の態様を変更する制御装置7とを備える。したがって、搬送装置401は、屈曲搬送、直線搬送それぞれに応じた最適な制御を行うことができる。
【0074】
なお、上述した本発明の実施形態に係る搬送装置及び画像読取装置は、上述した実施形態に限定されず、請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。本発明の実施形態に係る搬送装置及び画像読取装置は、以上で説明した実施形態を複数組み合わせることで構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上のように、本発明に係る搬送装置及び画像読取装置は、複数種類の媒体を適正に搬送することができるものであり、種々の搬送装置及び画像読取装置に用いて好適である。
【符号の説明】
【0076】
1、201、301、401 搬送装置
2 画像読取装置
3 光学ユニット(読取装置)
7 制御装置(制御部)
9 直線搬送経路
10 屈曲搬送経路
11 屈曲部
12 切替機構
13 ガイド部材(切替部材)
14 付圧機構(可変付圧部)
15 回動軸
16 第1バネ(付勢部)
20 抵抗部材
21 第2バネ
22 第1傾斜面
23 第2傾斜面
224 固定部材(固定部)
325 調節機構(調節部)
426 位置センサ(検出部)
S 原稿(媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の媒体を直線搬送可能な直線搬送経路と、
前記媒体を前記直線搬送経路から分岐して屈曲搬送可能な屈曲搬送経路と、
前記分岐する部分に設けられ、前記媒体と当接した際に当該媒体から作用する力に応じて、当該媒体を前記屈曲搬送経路側に案内する屈曲搬送位置と、当該媒体を前記直線搬送経路側に案内する直線搬送位置とに移動可能な切替部材と、
前記直線搬送位置で前記切替部材から前記媒体に作用する力を前記屈曲搬送位置で前記切替部材から前記媒体に作用する力より小さくする可変付圧部とを備えることを特徴とする、
搬送装置。
【請求項2】
前記切替部材を前記屈曲搬送位置と前記直線搬送位置とに回動可能に支持する回動軸と、
前記切替部材を前記屈曲搬送位置側に付勢する付勢部とを備え、
前記可変付圧部は、前記切替部材に前記回動の抵抗を作用させる抵抗部材を有し、当該抵抗部材は、前記切替部材の前記屈曲搬送位置側から前記直線搬送位置側への回動に対する抵抗を前記直線搬送位置側から前記屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗より大きくし、前記直線搬送位置では前記切替部材に前記抵抗を作用させず、前記切替部材の前記直線搬送位置側から前記屈曲搬送位置側への回動に対する抵抗を前記付勢部による付勢力より小さくする、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記媒体から前記切替部材に作用する力にかかわらず当該切替部材を前記屈曲搬送位置又は前記直線搬送位置に固定可能な固定部を備える、
請求項1又は請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記切替部材から前記媒体に作用する力を調節可能な調節部を備える、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記切替部材の位置を検出可能な検出部と、
前記検出部が検出する前記切替部材の位置に応じて制御の態様を変更する制御部とを備える、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の搬送装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の搬送装置と、
前記搬送装置により搬送される前記媒体の画像を読み取る読取装置とを備えることを特徴とする、
画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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