説明

携帯型スクリーン及び携帯型スクリーン装置

【課題】付属品を必要とせず持ち運び可能な不使用状態から使用状態に簡単に変形可能で、しかも、極めて簡易な構造でコスト安に製造可能な携帯型スクリーン及び携帯型スクリーン装置の提供。
【解決手段】起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能なスクリーン部1と、この起立使用状態のスクリーン部1を支承する支承体2とで構成される携帯型スクリーンであって、支承体2には、前記スクリーン部1の裏面に向かって突設される突設部9を設け、前記スクリーン部1を前記起立使用状態として、前記突設部9を前記スクリーン部1の裏面に当接させることで該突設部9により前記左側スクリーン体3及び前記右側スクリーン体4が自然に閉動することを阻止するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯型スクリーン及び携帯型スクリーン装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタなどからの映像光が投射されるスクリーンとして、例えば特許文献1に開示されるように、ロール状に巻き取り収納可能な小型の携帯型スクリーンがある。
【0003】
【特許文献1】特開2005−70313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、巻き取り収納タイプのスクリーンを使用する際には、スクリーン吊り下げ用の金具や、スクリーン収納部内への巻き取り力に抗してスクリーンを引き出し、この状態で該スクリーンを固定するスタンド等が別途必要であり、携帯型スクリーンとして販売されてはいるものの、未だ携帯には不便であるのは勿論、取り扱い性が悪く、普及には至っていないのが現状である。
【0005】
本発明は、上述のような現状に鑑みなされたもので、付属品を必要とせず持ち運び可能な不使用状態から使用状態に簡単に変形可能で、しかも、極めて簡易な構造でコスト安に製造可能な携帯型スクリーン及び携帯型スクリーン装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0007】
起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能なスクリーン部1と、この起立使用状態のスクリーン部1を支承する支承体2とで構成される携帯型スクリーンであって、前記スクリーン部1は、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とを二つ折り自在に連結して成り、前記支承体2は、前記スクリーン部1を設置する設置面に当接する当接部8を有するシート状素材から成り、この支承体2の左右部5・6は、前記スクリーン部1の左側スクリーン体3の裏面と右側スクリーン体4の裏面に夫々連結され、また、この支承体2は、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを閉動して前記スクリーン部1を折り畳み状態とした際には、該左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4と共に折り畳まれ、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを開動して前記スクリーン部1を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部1の裏面から離反するように構成され、更に、この支承体2には、前記スクリーン部1の裏面に向かって突設される突設部9が設けられ、前記スクリーン部1を前記起立使用状態として、前記突設部9を前記スクリーン部1の裏面に当接させることで該突設部9により前記左側スクリーン体3及び前記右側スクリーン体4が自然に閉動することを阻止するように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0008】
また、請求項1記載の携帯型スクリーンにおいて、前記突設部9は、前記支承体2に対して屈曲させることで形成されるものであり、また、この突設部9は、左片部9aと右片部9bとで構成され、更に、この左片部9aと右片部9bとを係止する係止機構が設けられていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0009】
また、請求項2記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部1を折り畳み状態とする際、該スクリーン部1の折り畳み動作に伴い前記係止機構の係止状態が解除されるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0010】
また、請求項1〜3いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記突設部9は屈曲させることで前記左側スクリーン体3及び前記右側スクリーン体4の境界部を挟持可能に構成されていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0011】
また、請求項1〜4いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記支承体2は、所定剛性を有するシート状素材により形成されて成るものであることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0012】
また、請求項1〜5いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部1の表面には、該表面側への傾倒を阻止する傾倒阻止体12が設けられていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0013】
また、請求項6記載の携帯型スクリーンにおいて、前記傾倒阻止体12は、前記スクリーン部1を設置する設置面と当接する当接部16を有するシート状素材から成り、この傾倒阻止体12の左右部13・14は、前記スクリーン部1の左側スクリーン体3の表面及び右側スクリーン体4の表面に夫々連結され、また、この傾倒阻止体12は、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを開動して前記スクリーン部1を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部1の表面から突出し、更に、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを閉動して前記スクリーン部1を折り畳み状態とした際には該左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4と共に折り畳まれるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0014】
また、請求項7記載の携帯型スクリーンにおいて、前記傾倒阻止体12は、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを閉動して折り畳み状態とした際には該左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4の表面に添設されて該左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4と共に折り畳まれるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0015】
また、請求項1〜8いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部1の有効画面領域の対角線長は30インチ以下であることを特徴とする携帯型スクリーンに係るものである。
【0016】
また、請求項1〜9いずれか1項に記載の携帯型スクリーンと、前記スクリーン部1に映像光を投射するプロジェクタを具備したことを特徴とする携帯型スクリーン装置に係るものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は上述のように構成したから、付属品を必要とせず持ち運び可能な不使用状態から使用状態に簡単に変形可能で、しかも、極めて簡易な構造でコスト安に製造可能な携帯型スクリーン及び携帯型スクリーン装置となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とから成るスクリーン部1を二つ折りした折り畳み状態から開動して起立せしめ起立使用状態とすると、スクリーン部1に連結される支承体2がスクリーン部1の裏面から所定距離離反し、この状態で支承体2の当接部8が設置面に当接するから、スクリーン部1は安定的に支持される。
【0020】
この際、支承体2に設けられている突設部9をスクリーン部1の裏面に突設させると、該突出部9がスクリーン部1の裏面と支承体2との間で突っ張り(所謂つっかえ棒作用を発揮し)、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とが自然に閉動することが阻止され、また、スクリーン部1と当接部8との離反状態が維持され、スクリーン部1の起立使用状態が良好に維持される。
【0021】
また、スクリーン部1を起立使用状態から二つ折りして折り畳み状態とすると、支承体2は該スクリーン部1と共に折り畳まれ(折り畳まれた左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4の裏面上に支承体2が添設された状態となり)、持ち運びが容易となる。
【0022】
従って、本発明は、スクリーン部の裏面にシート状素材から成る支承体を設けるだけで、他の付属品の準備や取付作業が不要で簡単に起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能な極めて携帯性に秀れたものとなる。
【実施例】
【0023】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0024】
本実施例は、起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能なスクリーン部1と、この起立使用状態のスクリーン部1を支承する支承体2とで構成される携帯型スクリーンであって、前記スクリーン部1は、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とを二つ折り自在に連結して成り、前記支承体2は、前記スクリーン部1を設置する設置面に当接する当接部8を有するシート状素材から成り、この支承体2の左右部5・6は、前記スクリーン部1の左側スクリーン体3の裏面と右側スクリーン体4の裏面に夫々連結され、また、この支承体2は、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを閉動して前記スクリーン部1を折り畳み状態とした際には、該左側スクリーン体3及び前記右側スクリーン体4と共に折り畳まれ、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを開動して前記スクリーン部1を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部1の裏面から離反するように構成され、更に、この支承体2には、前記スクリーン部1の裏面に向かって突設される突設部9が設けられ、前記スクリーン部1を前記起立使用状態として、前記突設部9を前記スクリーン部1の裏面に当接させることで該突設部9により前記左側スクリーン体3及び前記右側スクリーン体4が自然に閉動することを阻止するように構成されているものである。
【0025】
具体的には、本実施例は、スクリーン部1の有効画面領域の対角線長が30インチ以下の小型の携帯型スクリーンであり、スクリーン部1に映像光を投射するプロジェクタと共に携帯型スクリーン装置として用いられるものである。
【0026】
各部を具体的に説明する。
【0027】
スクリーン部1は、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とで構成されている。具体的には、図1に図示したように、左側スクリーン体3は、左側スクリーン板3aと、該左側スクリーン板3aの表面外周部に設けられる左側枠体3bとで構成される。この左側枠体3bは、右側スクリーン板4a側を除いた正面視略コ字状に設けられる。また、右側スクリーン体4は、右側スクリーン板4aと、該右側スクリーン板4aの表面外周部に設けられる右側枠体4bとで構成される。この右側枠体4bは、左側スクリーン板3a側を除いた正面視略逆コ字状に設けられる。
【0028】
尚、本実施例においてはスクリーン部1を裏面側(表面側となる映像表示面と反対側)から見た状態を基準として左右を規定している。
【0029】
また、左側スクリーン板3a及び右側スクリーン板4aは夫々、前面材,中間材及び後面材を接着剤を介して積層して構成されている。この前面材,中間材及び後面材並びに接着剤の材料としては、公知の材料を使用することができる。本実施例では、前面材としては特許第3103802号に記載のスクリーン、中間材としてはポリエチレンテレフタレートフィルム、後面材としてはアルミ板、そして接着剤としてはウレタン系接着剤を使用している。尚、左側枠体3b及び右側枠体4bとしては、ポリプロピレン等から成る合成樹脂製のものが採用されている。
【0030】
この左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とは、閉動した状態から約180°開いた開動した状態に開閉自在な合成樹脂製の板状ヒンジ部材17を介して連結されている。この板状ヒンジ部材17は、スクリーン部1の表面側にして映像表示に寄与しない上下端部、即ち、左側枠体3bと右側枠体4bとに連結されている。
【0031】
従って、左側スクリーン体3の表面と右側スクリーン体4の表面とが合わさるようにスクリーン部1を二つ折り状態とした際、該左側枠体3b及び右側枠体4bによりスクリーン面材同士が接触せず、該スクリーン面材が傷つきにくい。尚、上述のヒンジ部材17を使用した枠体の変わりに、左側枠体3bと右側枠体4bとが一体であり、且つ該枠体の中央部には折り縁を有した枠体を使用することができる。これにより部品数を抑えることができ、スクリーンの構造を簡素化することが可能となる。
【0032】
また、スクリーン部1の裏面には、図2に図示したように適宜な剛性を有するポリプロピレン等から成る合成樹脂製のシート状素材で構成された支承体2が設けられている。
【0033】
具体的には、支承体2の左側端部5はスクリーン部1の左側スクリーン板3aの裏面に固定され、右側端部6は右側スクリーン板4aの裏面に固定されている。この左側端部5と右側端部6との間には基部7が設けられている。この基部7と左右両端部5・6との間には、開閉動作を容易にするため設置面に対して垂直方向(上下方向)に延設される折り縁23が夫々設けられている。
【0034】
支承体2の基部7には、前記スクリーン部1を前記折り畳み状態とした際に、該スクリーン部1と共に折り畳み重合可能な折り縁18が形成されている。
【0035】
具体的には、この折り縁18は、図4に図示したように、スクリーン部1の左側スクリーン板3a及び右側スクリーン板4aの裏面側にして、前記ヒンジ部材17によって連結される連結側(開閉基端側)の対向縁26と略一致するように基部7に所定間隔を置いて2本、垂直方向に延設状態に設けられている。
【0036】
また、支承体2の基部7には、スクリーン部1が設置される設置面と当接する当接部8が設けられている。
【0037】
具体的には、基部7は、その下端縁が設置面と略同一平面上に位置する構成とし、この下端縁を当接部8に設定している。即ち、当接部8の端部側(支承体2の左側端部5及び右側端部6に近い側)程スクリーン部1の裏面からの離反距離が短く、中央側程スクリーン部1の裏面からの離反距離が長くなるように構成している。
【0038】
従って、スクリーン部1の平面視直線状の下端縁と、支承体2の基部7の平面視略V字状の下端縁とが、平面視において略三角形状を成すように設置面と当接することで、スクリーン部1は安定的に起立し得ることになる。
【0039】
また、支承体2の基部7の上端部には、折り込み部9(突設部9)が連設されている。具体的には、折り込み部9と基部7とは、中央の開口部21と、該開口部21に向かって上り傾斜する左右の折り縁19を介して連設されている。従って、折り込み部9は、折り縁19からスクリーン部1の裏面側に向かって折り込み可能となる。
【0040】
更に、折り込み部9は、左片部9a,右片部9b及び中間部9cから成り、この左片部9a,右片部9b及び中間部9cの間には折り縁が設けられている。
【0041】
具体的には、この折り縁は、中央から左右端部に向かって下り傾斜する前記左片部9a及び右片部9bの上縁部の略中央部寄り位置から前記開口部21に向かう折り縁10と、左片部9a及び右片部9bと中間部9cとの境界に設けられた垂直方向に延設された折り縁20とで構成されている。
【0042】
尚、折り縁20は、折り縁18と同様、スクリーン部1の左側スクリーン板3a及び右側スクリーン板4aの裏面側にして、前記ヒンジ部材17によって連結される連結側(開閉基端側)の対向縁26と略一致するように垂直方向に延設状態に設けられている。従って、スクリーン部1を折り畳み状態とすると、図4に図示したように支承体2は該スクリーン部1と共に折り畳まれ、該スクリーン部1の裏面に添設状態で重合することになる。
【0043】
また、折り込み部9には、左片部9aと右片部9bとを係止する係止機構が設けられている。
【0044】
具体的には、図7に図示したように、折り込み部9の左片部9a若しくは右片部9bのいずれか一方側の内面には、他方側の内面に設けた被係止部11bと着脱自在に係止する係止部11aが設けられている。本実施例においては、左片部9aに係止部11aが設けられ、右片部9bに被係止部11bが設けられている。尚、係止機構としては面ファスナー構造等の係脱が容易な構造を採用するのが望ましい。
【0045】
従って、本実施例は、図3に図示したようにスクリーン部1を起立使用状態とし、折り縁10近傍を摘むようにして折り縁19から折り込み部9をスクリーン部1の裏面側に向かって折り込むと共に、折り縁20及び折り縁10により左片部9aと右片部9bとが一部重合するように折り畳むことで、左片部9aと右片部9bとが係止機構により係止し、折り込み部9を図3に図示したような折り込み状態で固定することが可能となる。
【0046】
よって、極めて簡単な操作で左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とが自然に閉動することが阻止され、また、スクリーン部1の裏面から離反する当接部8の離反状態を良好に維持することが可能で、スクリーン部1の起立状態を安定的に維持することが可能となる。
【0047】
また、本実施例は、起立使用状態のスクリーン部1を二つ折りして折り畳み状態とする際、該スクリーン部1の折り畳み動作に伴い前記折り込み部9の係止機構による左片部9a及び右片部9bの係止が解除されるように構成されている。
【0048】
具体的には、上記のように折り込み部9の折り縁20を、スクリーン部1の左側スクリーン板3a及び右側スクリーン板4aの裏面側にして、前記ヒンジ部材17によって連結される連結側(開閉基端側)の対向縁26と略一致するように垂直方向に延設状態に設けているから、スクリーン部1を二つ折りしようとすると、前記対向縁26が折り畳み重合した折り込み部9の左片部9a及び右片部9bを押し広げようとする。
【0049】
従って、左片部9a及び右片部9bを係止する係止機構による係止力を上回る力で押し広げることで、該係止機構による係止を解除することができ、一々係止機構による係止を解除した後、折り畳む必要がなく、極めて簡単に折り畳むことができる。よって、上記のように係止機構としては面ファスナー構造等の係脱が容易な構造を採用するのが望ましい。
【0050】
また、本実施例においては、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4との間にして裏面側に、スクリーン部1を起立状態とした際に立ち上がり部22aが現出するようにテープ22を貼着した構成としている。従って、この立ち上がり部22aを挟むように折り込み部9の左片部9aと右片部9bとを折り畳み重合することにより、スクリーン部1を180°開いた状態に維持することが可能となる。また、閉動する際には立ち上がり部22aが、上記対向縁26による係止機構係止部11aと被係止部11bとの係脱を正常に作動させるガイドの役割を果たす。よって、簡単に且つ良好にスクリーン部1の起立状態を維持することができ、しかも、折り畳み状態への移行もスムーズに行えることになる。
【0051】
また、スクリーン部1の表面側下端には、該表面側への傾倒を阻止する傾倒阻止体12が設けられている。この傾倒阻止体12は、前記スクリーン部1を設置する設置面と当接する当接部16を有するシート状素材から成り、この傾倒阻止体12の左右部13・14は、前記スクリーン部1の左側スクリーン体3の表面及び右側スクリーン体4の表面に夫々連結され、また、この傾倒阻止体12は、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを開動して前記スクリーン部1を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部1の表面から突出し、更に、前記左側スクリーン体3と前記右側スクリーン体4とを閉動して前記スクリーン部1を折り畳み状態とした際には該左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4と共に折り畳まれるように構成されている。
【0052】
傾倒阻止体12の左側枠体3bと右側枠体4bとに夫々設けられる左右両端部13・14は、設置面に対して垂直方向に延設される折り縁24を介して基部15に連設されている。また、基部15の中央部には、垂直方向に延設される折り縁25が設けられている。
【0053】
具体的には、傾倒阻止体12は、スクリーン部1を起立使用状態とした際には、図1に図示したように折り縁24・25が折曲して平面視略V字状となり、スクリーン部1を折り畳み状態とした際には、図5,6に図示したように、折り縁24が伸びると共に折り縁25を介して基部15の左右部が添設重合してスクリーン部1内で該スクリーン部1と共に折り畳まれるように構成されている。また、本実施例の傾倒阻止体12は、支承体2と同様のシート状素材で構成されている。尚、支承体2と異なるシート状素材で構成しても良い。
【0054】
従って、本実施例は、折り畳み状態から、起立使用状態とすると、前記支承体2だけでなく傾倒阻止体12の当接部16もスクリーン部1から離反して該スクリーン部1の起立状態をより安定的に維持できることになる。
【0055】
尚、本実施例においては、折り込み部9として上述のような構成を採用しているが、他の構成、例えば図8,9に図示したような折り込み部30を採用しても良い。
【0056】
具体的には、折り込み部30は、左片部32と右片部33とを切り離して夫々基部7の上端部と中央側から左右端部側に向かって下り傾斜する折り縁31を介して連設し、該折り縁31からスクリーン部1の裏面側に折り込むことで、左片部32及び右片部33がスクリーン部1の裏面側に突出すると共に、左片部32及び右片部33の上端部が接近するように構成されている。
【0057】
更に、左片部32及び右片部33の上端寄り位置に折り縁34を設けて、該折り縁34より上端側を折り畳むことで、左片部32及び右片部33の上端部同士を重合し得るように構成されている。
【0058】
また、左片部32の上端部の外面側には係止部11aが設けられ、右片部33の上端部の内面側には被係止部11bが設けられている。
【0059】
従って、本実施例と同様に、折り畳み重合した左片部32及び右片部33を係止して、折り込み部30によりスクリーン部1の裏面と当接部8との離反状態を保持することが可能となる。
【0060】
本実施例は、上述のように構成したから、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とから成るスクリーン部1を二つ折りした折り畳み状態から開動して起立せしめ起立使用状態とすると、スクリーン部1に連結される支承体2がスクリーン部1の裏面から所定距離離反し、この状態で支承体2の当接部8が設置面に当接するから、スクリーン部1は安定的に支持される。
【0061】
この際、支承体2に設けられている突設部9をスクリーン部1の裏面に突設させると、該突出部9がスクリーン部1の裏面と支承体2との間で突っ張り(所謂つっかえ棒作用を発揮し)、左側スクリーン体3と右側スクリーン体4とが自然に閉動することが阻止され、また、スクリーン部1と当接部8との離反状態が維持され、スクリーン部1の起立使用状態が良好に維持される。
【0062】
また、スクリーン部1を起立使用状態から二つ折りして折り畳み状態とすると、支承体2は該スクリーン部1と共に折り畳まれ(折り畳まれた左側スクリーン体3及び右側スクリーン体4の裏面上に支承体2が添設された状態となり)、持ち運びが容易となる。
【0063】
従って、本実施例は、スクリーン部の裏面にシート状素材から成る支承体を設けるだけで、他の付属品の準備や取付作業が不要で簡単に起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能な極めて携帯性に秀れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本実施例の起立使用状態における表面側の概略説明斜視図である。
【図2】本実施例の折り込み部を折り込む前の裏面側の概略説明斜視図である。
【図3】本実施例の折り込み部を折り込んだ後の裏面側の概略説明斜視図である。
【図4】本実施例の折り畳み状態における裏面側の概略説明斜視図である。
【図5】本実施例の起立使用状態から折り畳み状態への移行状態を示す一部を切り欠いた概略説明斜視図である。
【図6】本実施例の折り畳み状態における拡大概略説明斜視図である。
【図7】本実施例の支承体の概略説明図である。
【図8】別例の折り込み部を折り込む前の裏面側の概略説明斜視図である。
【図9】別例の折り込み部を折り込んだ後の裏面側の概略説明斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1 スクリーン部
2 支承体
3 左側スクリーン体
4 右側スクリーン体
5 左側部(左側端部)
6 右側部(右側端部)
8 当接部
9 突設部
9a 左片部
9b 右片部
12 傾倒阻止体
13 左側部(左側端部)
14 右側部(右側端部)
16 当接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
起立使用状態と折り畳み状態とに変形可能なスクリーン部と、この起立使用状態のスクリーン部を支承する支承体とで構成される携帯型スクリーンであって、前記スクリーン部は、左側スクリーン体と右側スクリーン体とを二つ折り自在に連結して成り、前記支承体は、前記スクリーン部を設置する設置面に当接する当接部を有するシート状素材から成り、この支承体の左右部は、前記スクリーン部の左側スクリーン体の裏面と右側スクリーン体の裏面に夫々連結され、また、この支承体は、前記左側スクリーン体と前記右側スクリーン体とを閉動して前記スクリーン部を折り畳み状態とした際には、該左側スクリーン体及び右側スクリーン体と共に折り畳まれ、前記左側スクリーン体と前記右側スクリーン体とを開動して前記スクリーン部を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部の裏面から離反するように構成され、更に、この支承体には、前記スクリーン部の裏面に向かって突設される突設部が設けられ、前記スクリーン部を前記起立使用状態として、前記突設部を前記スクリーン部の裏面に当接させることで該突設部により前記左側スクリーン体及び前記右側スクリーン体が自然に閉動することを阻止するように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項2】
請求項1記載の携帯型スクリーンにおいて、前記突設部は、前記支承体に対して屈曲させることで形成されるものであり、また、この突設部は、左片部と右片部とで構成され、更に、この左片部と右片部とを係止する係止機構が設けられていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項3】
請求項2記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部を折り畳み状態とする際、該スクリーン部の折り畳み動作に伴い前記係止機構の係止状態が解除されるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記突設部は屈曲させることで前記左側スクリーン体及び前記右側スクリーン体の境界部を挟持可能に構成されていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記支承体は、所定剛性を有するシート状素材により形成されて成るものであることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部の表面には、該表面側への傾倒を阻止する傾倒阻止体が設けられていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項7】
請求項6記載の携帯型スクリーンにおいて、前記傾倒阻止体は、前記スクリーン部を設置する設置面と当接する当接部を有するシート状素材から成り、この傾倒阻止体の左右部は、前記スクリーン部の左側スクリーン体の表面及び右側スクリーン体の表面に夫々連結され、また、この傾倒阻止体は、前記左側スクリーン体と前記右側スクリーン体とを開動して前記スクリーン部を起立使用状態とした際には少なくとも一部が該スクリーン部の表面から突出し、更に、前記左側スクリーン体と前記右側スクリーン体とを閉動して前記スクリーン部を折り畳み状態とした際には該左側スクリーン体及び右側スクリーン体と共に折り畳まれるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項8】
請求項7記載の携帯型スクリーンにおいて、前記傾倒阻止体は、前記左側スクリーン体と前記右側スクリーン体とを閉動して折り畳み状態とした際には該左側スクリーン体及び右側スクリーン体の表面に添設されて該左側スクリーン体及び右側スクリーン体と共に折り畳まれるように構成されていることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか1項に記載の携帯型スクリーンにおいて、前記スクリーン部の有効画面領域の対角線長は30インチ以下であることを特徴とする携帯型スクリーン。
【請求項10】
請求項1〜9いずれか1項に記載の携帯型スクリーンと、前記スクリーン部に映像光を投射するプロジェクタを具備したことを特徴とする携帯型スクリーン装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−33187(P2008−33187A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−209221(P2006−209221)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000155698)株式会社有沢製作所 (117)
【Fターム(参考)】