説明

携帯型情報発信装置およびそれを備える物質情報管理システム

【課題】収容部を備え、収容部に収容された物質を使用する際の情報を記憶可能な携帯型情報発信装置を提供する。
【解決手段】リアルタイムクロックと、質問文18と、質問文18の回答を入力するために押下される回答ボタン19A〜19Cと、回答情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された回答情報を無線通信波にて送信する送信手段とを備える。さらに、収容部30と、収容部30からサプリメント15が取り出されたことを検知する検知部24とを備え、記憶手段が、さらに、取出情報を記憶するとともに、送信手段が、さらに、回答情報と取出情報を無線通信波にて送信する。そして、記憶手段と検知手段が電気回路ECに連結され、電気回路ECに電池35を連結して、電池35を電気回路ECの電源とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイムスタンプを付与するためのリアルタイムクロックと、質問文の回答を入力するために押下される回答ボタンと、回答ボタンによる回答情報を記憶する記憶手段と、回答情報を無線通信波にて送信する送信手段とを備える携帯型情報発信装置、およびそれを備える物質情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯型情報発信装置は、例えば、特許文献1にあるように、医療検査測定用に用いられる。この携帯型情報発信装置には、タイムスタンプを付与するためのリアルタイムクロックと、使用者に対して問い合わせる質問文と、質問文の回答を入力するために押下される回答ボタンと、回答ボタンで入力された回答および、回答ボタンが押下されたときのタイムスタンプとで構成される回答情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された回答情報を無線通信波にて送信する送信手段と、測定試料のセンサーなどを備える。
【0003】
まず、試料の測定を開始する前に、使用者は、予め設定された質問文に対して回答ボタンを押下して回答する。この回答は、タイムスタンプとともに記憶手段に記憶される。次に、センサーに測定すべき試料(特許文献1の例では、血液)を載置する。そして、センサーが測定した測定情報は、タイムスタンプとともに、記憶手段に記憶される。この状態で、携帯型情報発信装置をデータ処理施設へ郵送し、そこで、データスキャナーにかざすと記憶手段に格納された使用者の回答と測定情報が送信手段を介してデータスキャナーに伝送され、データ解析される。このように、特許文献1に開示された携帯型情報発信装置では、(1)予め設定された質問に対する使用者の回答、および、使用者がセンサーで測定した測定データを記憶手段に記憶すること、また、(2)記憶された使用者の情報を送信手段を介して伝送することが可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−516248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、化粧品業界などでは、例えば、店頭で販売したサプリメントや乳液などの使用データを解析し、この解析結果をもとにして、次回、サプリメントや乳液などを購入する際のアドバイスをしようという動きがある。詳しくは、サプリメントや乳液などを1回使用分ごとに収容部に収容し、サプリメントや乳液などを1回使用するごとに、そのときの使用者の体調などの情報を入力ボタンを用いて入力して記憶する。そして、この情報に基づいて、使用したサプリメントや乳液が使用者に合っているか否かを分析し、次回、サプリメントや乳液を購入する際に販売員がアドバイスするために用いる。
【0006】
しかし、特許文献1の携帯型情報発信装置では、収容部を備えることに対する示唆や開示はなく、このような要請に適用することは困難であった。
【0007】
そこでこの発明の目的は、収容部を備え、収容部に収容された物質を使用する際の情報を記憶可能な携帯型情報発信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため請求項1に記載の発明は、タイムスタンプを付与するためのリアルタイムクロックと、
使用者に対して問い合わせる質問文と、
該質問文の回答を入力するために押下される回答ボタンと、
前記回答ボタンで入力された回答および、前記回答ボタンが押下されたときのタイムスタンプとで構成される回答情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された前記回答情報を無線通信波にて送信する送信手段とを備える携帯型情報発信装置において、
物質を収容可能な複数の収容部と、
該複数の収容部のそれぞれに設けられ、該収容部から前記物質が取り出されたことを検知する複数の検知手段とを備え、
前記記憶手段が、さらに、前記物質が取り出された前記収容部および、前記物質が取り出されたときのタイムスタンプとで構成される取出情報を記憶するとともに、
前記送信手段が、さらに、前記取出情報を無線通信波にて送信する携帯型情報発信装置であって、
前記検知手段が電気回路を用いて構成され、
該電気回路に電池を連結して、該電池を前記電気回路の電源とすることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型情報発信装置において、
前記電気回路の電源を入れるスタートスイッチと、
前記回答ボタンが押下されてから一定時間、無操作状態が継続すると電流を微弱にするスリープ手段とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型情報発信装置において、前記電気回路を載置する基板が紙またはプラスチック製であり、
該基板上に印刷により前記電気回路を形成することを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の携帯型情報発信装置において、前記検知手段が前記電気回路の一部として形成され、
前記検知手段は、断線されることによって前記収容部から前記物質が取り出されたことを検知することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、物質情報管理システムにおいて、請求項1から4のいずれかに記載の携帯型情報発信装置と、
前記送信手段が発信する前記回答情報および前記取出情報を受信する受信手段と、
該受信手段にて受信した前記回答情報および前記取出情報を格納する格納手段と、
該格納手段に格納された前記回答情報および前記取出情報を表示する複数の表示手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の発明によれば、タイムスタンプを付与するためのリアルタイムクロックと、使用者に対して問い合わせる質問文と、質問文の回答を入力するために押下される回答ボタンと、回答ボタンで入力された回答および、回答ボタンが押下されたときのタイムスタンプとで構成される回答情報を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶された回答情報を無線通信波にて送信する送信手段とを備える携帯型情報発信装置において、物質を収容可能な複数の収容部と、複数の収容部のそれぞれに設けられ、収容部から物質が取り出されたことを検知する複数の検知手段とを備え、記憶手段が、さらに、物質が取り出された収容部および、物質が取り出されたときのタイムスタンプとで構成される取出情報を記憶するとともに、送信手段が、さらに、取出情報を無線通信波にて送信する携帯型情報発信装置であって、検知手段が電気回路を用いて構成され、電気回路に電池を連結して、電池を電気回路の電源とする。
【0014】
これによって、サプリメントや乳液など(物質)を収容部に収容することができるようになり、これらを携帯型情報発信装置に収容して販売することができる。また、収容部に収容された物質を取り出す際(使用する際)に、物質を取り出した日時、取り出された収容部の箇所などの情報を記憶可能な携帯型情報発信装置を提供することができる。さらに、これらの情報が必要に応じて送信可能であるので、携帯型情報発信装置をデータスキャナーなどの読取装置にかざすことによって、携帯型情報発信装置に記憶された回答情報と取出情報を読取装置に転送することができる。したがって、読取装置がコンピュータなど情報処理・解析装置と連結された場合には、これらの回答情報と取出情報をもとにしてデータ解析することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、電気回路の電源を入れるスタートスイッチと、回答ボタンが押下されてから一定時間、無操作状態が継続すると電流を微弱にするスリープ手段とを備えるので、電池を無駄に消費することがなくなり、電池寿命を長く保つことができる。
【0016】
請求項3に記載の発明によれば、電気回路を載置する基板が紙またはプラスチック製であり、基板上に印刷により前記電気回路を形成するので、比較的簡単に基板上に電気回路を形成することができる。また、電気回路を形成するための装置を小型化することができる。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、検知手段が電気回路の一部として形成され、検知手段は、断線されることによって収容部から物質が取り出されたことを検知するので、別途、検知手段を設ける必要がなく、簡単な構成によって検知手段を構成することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1から4のいずれかに記載の携帯型情報発信装置と、送信手段が送信する回答情報および取出情報を受信する受信手段と、受信手段にて受信した回答情報および取出情報を格納する格納手段と、格納手段に格納された回答情報および取出情報を表示する複数の表示手段とを備えるので、携帯型情報発信装置に記憶された回答情報および取出情報を複数の表示手段で表示することができる。これによって、例えば、サプリメント(物質)を使い切った使用者が、携帯型情報発信装置を店舗に持参すると、携帯型情報発信装置に記憶されたサプリメント(物質)の使用日時やその時の使用者の状況(取出情報および回答情報)をデータスキャナーなどを介してサーバー(格納手段)などに格納し、それを別の店舗のモニター(表示手段)で見ることもできる。したがって、使用者が、最初にサプリメントを購入した店舗と別の店舗で新たにサプリメントを購入する際に、使用したサプリメントの取出情報および回答情報を別の店舗でモニターを通して得ることができ、利便性のよい物質情報管理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の携帯型情報発信装置の一例の斜視図である。
【図2】(a)は図1の携帯型情報発信装置を開いた図、(b)は(a)のX矢視断面図である。
【図3】(a)は図2(a)の携帯型情報発信装置をさらに開いた展開図、(b)は(a)の一部拡大図である。
【図4】この発明の物質情報管理システムの概略を示すブロック図である。
【図5】(a)はサプリメントが収納された収納部の拡大断面図、(b)はサプリメントを取り出したときの状態を示す拡大断面図である。
【図6】この発明の携帯型情報発信装置の一例の使用手順を示すフローチャートである。
【図7】この発明の携帯型情報発信装置の別の例を示す、(a)は上方からの斜視図、(b)は下方からの斜視図である。
【図8】この発明の携帯型情報発信装置のさらに別の例を示す、(a)は一部拡大平面図、(b)は収容部から物質を取り出す方法を示した図、(c)は収容部から取り出した物質を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。図1には、錠剤のサプリメント(物質)を収容した電子パッケージ(携帯型情報発信装置)10の斜視図、図2(a)には、電子パッケージ10を開いた平面図、図2(b)には、その部分断面図、図3には、電子パッケージ10の基板の展開図を示す。電子パッケージ10は、片手で把持できる程度の大きさであり、扉部11、ボタン配列部12、物質保持部13を備える。扉部11とボタン配列部12との間には側部16を、ボタン配列部12と物質保持部13との間には側部17を備える。物質保持部13には、7×4の配列で28個のサプリメント(物質)15を備える。
【0021】
サプリメント15は、プラスチックシート14の内側に収容される。プラスチックシート14には、上に凸に湾曲した略半球殻状の湾曲部14Aを28個備える。プラスチックシート14は、保持部第1パネル13AとアルミシートALとの間に挟むようにして備えられる。そして、湾曲部14AとアルミシートALとの間に形成された収容部30にサプリメント15を1つずつ収容する。アルミシートALの下には保持部第3パネル13Dを設け、保持部第3パネル13Dの下には電気回路ECを介して保持部第2パネル13Bを備える。なお、プラスチックシート14は、湾曲部14Aを7×4の配列で一体に形成したシートである。また、保持部第1パネル13Aには湾曲部14Aに沿った円状の切り欠き13AXを、保持部第2パネル13B、保持部第3パネル13Dにはそれぞれ、湾曲部14Aに沿った円状のミシン目C1,C2を備える(後述)。湾曲部14Aは、保持部第1パネル13Aの切り欠き13AX、保持部第2パネル13Bのミシン目C2、保持部第3パネル13Dのミシン目C1と略同一の間隔で配置される。
【0022】
なお、プラスチックシート14は、透明なプラスティックフィルムないしシートを、熱間真空成形、熱間圧空成形、または熱間真空圧空成形等により、所望の収容空間である湾曲部14Aを形成する。
【0023】
ボタン配列部12には、スタートボタンST、質問文18、回答ボタン19A,19B,19Cを備える。
【0024】
電子パッケージ10は、1枚のブランク紙(ブランクシート)を所望の形状にカットされた板紙(基板)Pを備える。板紙Pには、それぞれ矩形状の、扉部第1パネル11A、配列部第1パネル12A、配列部第2パネル12B、扉部第2パネル11B、扉部第3パネル11C、保持部第1パネル13A、保持部第2パネル13B、保持部第3パネル13D、および、扉部第1パネル11Aと配列部第1パネル12Aとの間に備える側部パネル16A、配列部第2パネル12Bと扉部第2パネル11Bとの間に備える側部パネル16B、配列部第1パネル12Aと保持部第2パネル13Bとの間に備える側部パネル17A、配列部第2パネル12Bと保持部第3パネル13Dとの間に備える側部パネル17Bとで構成される。なお、板紙Pに代えて、紙を主体とした複合シート、プラスチックシートなど一定の厚みを持った折り曲げ性にすぐれた材料(部材)を用いてもよい。
【0025】
保持部第1パネル13Aには、7×4の配列で28個の円状の切り欠き13AXを備える。この切り欠き13AXの大きさは、プラスチックシート14の湾曲部14Aよりもやや大きく形成される。保持部第2パネル13Bには、保持部第1パネル13Aに形成された切り欠き13AXよりやや大きい円状のミシン目C2が7×4の配列で28個形成される。保持部第3パネル13Dには、保持部第1パネル13Aに形成された円状の切り欠き13AXと同程度の大きさの円状のミシン目C1が7×4の配列で28個形成される。ミシン目C2をミシン目C1よりもやや大きく形成することで、サプリメント15が収容部30から押し出される際に、保持部第2パネル13Bと保持部第3パネル13Dの破断を容易にすることができる。なお、ミシン目C1,C2に代えてハーフカットであってもよい。
【0026】
扉部第1パネル11Aには、矩形状の切り欠き11AXを形成する。配列部第1パネル12Aには、導電スポット21A、導電スポット21B1,21B2,21B3が形成される。配列部第2パネル12Bには、不連続部22、不連続部23A,23B,23Cが形成される。なお、配列部第2パネル12Bの、不連続部22に対応する反対側の面(図3では裏面)には円状のスタートボタンSTが印刷される。また、配列部第2パネル12Bの、不連続部23A,23B,23Cに対応する反対側の面(図3では裏面)にはそれぞれ円状の回答ボタン19A,19B,19Cが印刷される。
【0027】
扉部第2パネル11Bには、電子モジュールMが貼着される。また、扉部第2パネル11B、配列部第2パネル12B、側部パネル16B,17B、保持部第3パネル13Dには、電気回路ECを形成する。電気回路ECの陰極端子は、電子モジュールMの一端より出て、扉部第2パネル11B、側部パネル16B,17B、配列部第2パネル12B、保持部第3パネル13Dのそれぞれ縁部を通って、電子モジュールMの他端へ入るように回路構成される。一方、電気回路ECの陽極端子は合計で32個あり、そのうちの1つが不連続部22の一方に達し、不連続部22の他方は、陰極回路に合流する。また、3つの陽極端子はそれぞれ3つの不連続部23の一方に達し、不連続部23の他方は、陰極回路に合流する。
【0028】
残りの28個の陽極端子は、それぞれ、保持部第3パネル13Dの形成された28個のミシン目C1に向かい、ミシン目C1を略直径方向に横切り、陰極回路に合流する。なお、陽極端子から伸びた28本の回路線のそれぞれがミシン目C1で区切られる部分を検知部(検知手段)24と称する。導電スポット21A、導電スポット21B1,21B2,21B3、不連続部22,23A,23B,23C、電気回路ECは、導電物質をインクジェット方式により板紙P上に印刷することによって形成される。なお、印刷方法は、インクジェット方式に限定されるものではなく、シルク印刷、グラビア印刷などどのような印刷方法であってもよい。
【0029】
後述する手順で板紙Pを折り畳む際、切り欠き11AXは、扉部第1パネル11Aを扉部第2パネル11Bに重ねたときに、電子モジュールMの対応する位置に形成される。導電スポット21Aは、配列部第1パネル12Aを配列部第2パネル12Bに重ねたときに、不連続部22の中央部に略一致するように形成される。導電スポット21B1,21B2,21B3は、配列部第1パネル12Aを配列部第2パネル12Bに重ねたときに、それぞれ不連続部23A,23B,23Cの2つの電極にまたがる位置に形成される。円状のミシン目C2はその中心が、保持部第2パネル13Bを保持部第3パネル13Dに重ねたときに、円状のミシン目C1の中心と略一致するように形成される。切り欠き13AXはその中心が、保持部第1パネル13Aを保持部第3パネル13Dに重ねたときに、ミシン目C1の中心と略一致するように形成される。
【0030】
このように電気回路ECの形成された板紙Pは、図3において、まず、罫線K1にて、扉部第1パネル11Aが扉部第2パネル11Bに、配列部第1パネル12Aが配列部第2パネル12Bにそれぞれ重なるように折り畳んで接着する。このとき、上述のように、切り欠き11AXは電子モジュールMに、導電スポット21Aは不連続部22に、導電スポット21Bは不連続部23にそれぞれ重なるように折り畳まれる。
【0031】
次に、扉部第3パネル11Cを扉部第1パネル11Aに重ね合わせるように折り畳んで接着する。そして、保持部第1パネル13Aを保持部第3パネル13Bに重ね合わせるように折り畳んで接着する。このとき、保持部第1パネル13Aと保持部第3パネル13Dとの間には、プラスチックシート14とアルミシートALを挟みこむ。詳しくは、28個の湾曲部14Aがそれぞれ切り欠き13AXから突出するようにプラスチックシート14を挟みこむ。プラスチックシート14を挟み込んだ後、サプリメント15をそれぞれ湾曲部14Aに収容する。次に、湾曲部14Aを塞ぐようにアルミシートALを重ねる。このようにして、28粒のサプリメント15は、湾曲部14AとアルミシートALとで形成された28個の収容部30に1粒ずつ収容される。そして、アルミシートALに保持部第3パネル13Dを重ねる。
【0032】
なお、それぞれのパネルの接着には、弱導電性のヒートシール剤を用いる。このヒートシール剤は、不連続部22、不連続部23A,23B,23Cを避けるようにして塗布される。すなわち、不連続部22、不連続部23A,23B,23Cの形成された配列部第2パネル12Bと、これを重ね合わせる配列部第1パネル12Aでは、不連続部22、不連続部23A,23B,23Cを避けるようにヒートシール剤が塗布される。これによって、不連続部22、不連続部23A,23B,23Cの箇所では、配列部第1パネル12Aと配列部第2パネル12Bとの間に隙間が形成される。また、プラスチックシート14とアルミシートAL、アルミシートALと保持部第3パネル13Dとの間には、アルミシートと紙を容易に接着できる接着剤が適宜用いられる。一例としては、ウレタン樹脂系接着剤、ポリエチレン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤などが挙げられる。
【0033】
そして、スタートボタンSTを押下することで、配列部第2パネル12BのスタートボタンSTと反対側に形成されている不連続部22が押されて導電スポット21Aと接触して回路が導通する。同様に、回答ボタン19Aを押下することで、配列部第2パネル12Bの回答ボタン19Aと反対側に形成されている不連続部23Aが押されて導電スポット21B1と接触して回路が導通する。回答ボタン19Bを押下することで、配列部第2パネル12Bの回答ボタン19Bと反対側に形成されている不連続部23Bが押されて導電スポット21B2と接触して回路が導通する。回答ボタン19Cを押下することで、配列部第2パネル12Bの回答ボタン19Cと反対側に形成されている不連続部23Cが押されて導電スポット21B3と接触して回路が導通する。
【0034】
このようにして、図2(a)に示すように開いた状態の電子パッケージ10が形成される。なお、持ち運び時には、さらに、罫線K8,K7で物質保持部13をボタン配列部12に向けて折り曲げた後、扉部11を罫線K2,K3で物質保持部13に向けて折り曲げる(このようにして、図1のような形体になる)。
【0035】
図4には、使用者情報管理システム(物質情報管理システム)を示す。使用者情報管理システムは、電子パッケージ10、データ読取装置(電子情報読取装置)40、解析装置50、複数のモニター(表示手段)60などで構成される。電子パッケージ10に備える電子モジュールMは、動作磁界により発電する発電回路31、電磁波(RF信号)を送信するアンテナ(送信手段)32、電子データを記憶する記憶手段33、タイムスタンプを付与するリアルタイムクロック34、電気回路ECに連結して電気回路ECを作動させる電池35、電池35の電源供給を所定時間で停止するオートスリープ手段36、制御部37などを備える。
【0036】
データ読取装置40は、動作磁界を発生させる発信手段41、電磁波(RF信号)を受信するアンテナ(受信手段)42などを備え、外部電源Eと接続されている。したがって、発信手段41は常時、動作磁界を発生させている。なお、電子パッケージ10とデータ読取装置40との間は無線通信波によりデータ伝送が行われる。解析装置50は、サーバー(格納手段)51、解析手段52などを備える。サーバー51には、電子パッケージ10より伝送された生データ、および、この生データを解析手段52にて解析した解析データなどが格納されている。
【0037】
モニター60は、サーバー51に格納された生データや解析データを表示することができる。データ読取装置40と解析装置50との間、および、解析装置50とモニター60との間はケーブル線接続または無線通信でデータ伝送が行われる。
【0038】
次に、このように構成された使用者情報管理システムの運用方法について、図1〜4を参照しつつ、図5,6を用いて説明する。まず、販売員のカウンセリングに基づいて使用者は、最適と思われる電子パッケージ10に入った美肌促進のためのサプリメント15を店舗にて購入する。なお、それぞれの電子パッケージ10の記憶手段33には、商品名などの商品の固有情報が製造時点で記憶されている(購入する際に、店舗に据付のデータ書込装置によって、この電子パッケージ10の基礎的な情報、例えば、サプリメント15の種類、使用者の年齢、身長、体重、体脂肪率などを記憶手段33に記憶するようにしてもよい)。
【0039】
そして、一日1錠、サプリメント15を服用する。服用する際、まず、使用者は、電子パッケージ10のスタートボタン(スタートスイッチ)17を押す(S1)。すると不連続部22と導電スポット21Aが接触して不連続部22前後の回路線が導通し、電子モジュールMの制御部37が電池35を電気回路ECに接続して電気回路ECをONにする(S2)。次に、電子パッケージ10に表示されている使用者に対する質問文18、「お肌の調子はいかがですか」に回答するために回答ボタン19A〜19Cのいずれかを押す(S3)。今回は、「悪い」(回答)に相当する回答ボタン19Aを押下する。すると、不連続部23Aと導電スポット21B1が接触して不連続部23A前後の回路線が導通し、電子モジュールMの制御部37がリアルタイムクロック34を作動させて、回答ボタン19Aが押された日時をタイムスタンプし、回答とその回答がなされた日時(回答情報と称す)を記憶手段33に記憶する(S4)。
【0040】
次に、サプリメント15を1つ取り出す。28個のサプリメント15は1つずつ湾曲部14Aと保持部第3パネル13Dとの間に形成された収容部30に収容されている(図5(a))。この湾曲部14Aを上方より親指THで押して、サプリメント15を下方に押し出す(S5)。すると、ミシン目C1に沿って保持部第3パネル13Dが、ミシン目C2に沿って保持部第2パネル13Bが切り取られるとともに、アルミシートALが破断して、サプリメント15が収容部30から押し出される。このとき、電気回路ECの検知部24も同時に切り取られ(断線して)、この電気回路ECの電流が停止する。電子モジュールMの制御部37は、このサプリメント15が取り出された日時のタイムスタンプと、取り出された収容部30の位置(取出情報と称す)とを記憶手段33に記憶させる(S6)。すなわち、検知部24は収容部30からサプリメント15が取り出されたことを検知する。なお、このとき、前記回答情報とこの取出情報とをリンクさせて記憶するようにしてもよい。
【0041】
ここで、オートスリープ手段36は、回答ボタン19Aが押されたときからの時間を計測し(S7)、所定の時間、サプリメント15が取り出されない場合(無操作状態)は、制御部37を介して電池35の電源供給を微弱にし、電気回路ECをスリープ状態にする。加えて、オートスリープ手段36は、サプリメント15が取り出されたときからの時間も計測し、所定の時間、他の操作がなされない(無操作状態)と、制御部37を介して電池35の電源供給を微弱にし、電気回路ECをスリープ状態にする(S8)。
【0042】
このような手順で、28日間、サプリメント15を服用し、そのたびごとに、それぞれのサプリメント15に対応した回答情報と取出情報とが記憶手段33に記憶される。28個のサプリメント15を服用し終えたら、新しいサプリメントを購入するために、販売店舗へ出向く。この際、使い終えた電子パッケージ10を持参する。
【0043】
販売舗には、データ読取装置40、解析装置50、モニター60が備えられている。店頭で、使用者は、使用済みの電子パッケージ10を販売員に渡す。販売員は、電子パッケージ10の扉部11(すなわち、電子モジュールMが収納されている部分)をデータ読取装置40に近づける。データ読取装置40は、外部電源Eによって発信手段41が常時、動作磁界を発生させており、電子パッケージ10の発電回路31がこの動作磁界によって励磁され、誘導電流を発生させる。これによって、電子モジュールMは電源がONとなり、アンテナ32より、記憶手段33に記憶されている全てのサプリメント15に対する回答情報と取出情報、および、商品の固有情報が無線通信波として送信される。
【0044】
送信された回答情報、取出情報および商品の固有情報は、データ読取装置40のアンテナ42を介して取り込まれ、サーバー51に格納される。次に、販売員は、この生データ(回答情報、取出情報、商品の固有情報)に基づいてカウンセリングを行い、新しく提供する商品(サプリメント)を検討する。このとき、販売員は必要に応じて、解析手段52を用いて、生データを解析する。そして、解析データに基づいて使用者に最適な商品を販売する。
【0045】
このように、この例の使用者情報管理システムでは、過去28日間で使用したサプリメントと使用者の最新の肌の状況に基づいて、販売員が新しく提供する商品を選定することができるため、使用者の肌の状況に合った適切なサプリメントを選定することができる。また、販売店を複数有する場合には、店舗ごとにモニター60を備え、それぞれのモニター60が解析装置50と連結されるようにすることで、購入店に限らず、チェーン店の全てで使用者の情報を共有することができる。これによって、使用者はどの店舗に行っても共通のデータに基づいてカウンセリングを受けることができる。
【0046】
また、使用者が使用済みの電子パッケージ10を販売店舗に持参することで、使用済みの電子モジュールMを回収することができ、電子モジュールMに含まれるレアアースなどの回収率を向上させることができる。
【0047】
この例では、7×4の配列で28個のサプリメント(物質)15を備え、1つの質問文18、3つの回答ボタン19A,19B,19Cで構成したが、この発明はこれに限定されるものではなく、物質の数、質問文の数、回答ボタンの数はいくつであってもよい。
【0048】
なお、収容部は、上述の例に限定されるものではなく、さまざまな形態、用途をとりうる。例えば、図7(a),(b)に示すように、美容マスク(物質)115を収容部114に1つずつ収容してもよい。そして、保持部113に形成されたミシン目C12を破断させることによって、美容マスク115を取り出す。この例の電気回路の構成・作用は、前述の例と同様であり、ミシン目C12が破断して美容マスク115が取り出されることで、取り出された日時のタイムスタンプと取り出された箇所が記憶手段に記憶される。
【0049】
図8(a)には、この発明の携帯型情報発信装置のさらに別の例を示す。この電子パッケージ210では、ゼリー状の美容液(物質)215が、収容部214に収容されている。この例では、保持部213の表層につまみ部PLを形成している。また、各収容部214の3方を囲むように(ミシン目に代わる)ジッパーC22を形成する。隣り合う収容部214を区切る箇所のジッパーC22には、その両側にまたがるようにして、電気回路EC´を配置する。この場合、符号224が検知部(検知手段)となる。
【0050】
美容液215を取り出すときは、前述のようにスタートボタンを押下した後、所定の質問に回答する。そして、つまみ部PLをつまんで上に持ち上げるようにして、ジッパーC22に沿って保持部213の表層213Xを引き剥がす(図8(b))。すると、検知部224が破断し、記憶手段にその日時のタイムスタンプが記憶されるとともに、どの箇所の美容液215が取り出されるのかを記憶される。次に、美容液215の入った容器SをジッパーC22に沿って切り離して取り出す(図8(c))。なお、この容器Sには、ノッチNTが形成されており、開封を容易にしている(符号214Aは湾曲部を示す)。
【0051】
なお、この発明の携帯型情報発信装置に収容する物質は、錠剤、ゼリー状液体、美容マスクなどの固体に限定されるものではなく、例えば、洗顔パウダーなど粉体であってもよい。
【0052】
また、上述の例では、サプリメント15を取り出す前に電子パッケージ10に表示されている使用者に対する質問文18、「お肌の調子はいかがですか」に回答するために回答ボタン19A〜19Cのいずれかを押したが(S3)、この発明はこれに限定されるものではなく、サプリメント15を取り出した後に質問文18に回答するような構成にしてもよい。
【0053】
さらに、解析装置50に格納されるデータは、使用者別に管理されるのみならず、例えば、使用している商品ごとに複数の使用者のデータを集計して商品開発などのために用いたり、販売戦略などを検討するために用いてもよい。
【0054】
さらに、検知手段は、検知部24のように電気回路ECの回路線の一部として構成され、この回路線が破断することで収容部から物質が取り出されたことを検知するのに限定されるものではなく、あらゆる部材によって構成されうる。例えば、リミットスイッチなどのように繰り返し使用することができる検知手段を用いてもよい。この場合、開閉可能な扉とプラスチックシートの湾曲部とで収容部を構成し、この扉にリミットスイッチを当接させて扉が開いて収容部から物質が取り出されたことを検知するようにしてもよい。このような構成にすると、電子パッケージを再利用可能なものとすることができる。
【符号の説明】
【0055】
10 電子パッケージ(携帯型情報発信装置)
15 サプリメント(物質)
18 質問文
19A,19B,19C 回答ボタン
24 検知部(検知手段)
30 収容部
32 アンテナ(送信手段)
33 記憶手段
35 電池
36 オートパワーオフ手段
40 データ読取装置(電子情報読取装置)
42 アンテナ(受信手段)
51 サーバー(格納手段)
60 モニター(表示手段)
EC 電気回路
P 板紙(基板)
ST スタートボタン(スタートスイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイムスタンプを付与するためのリアルタイムクロックと、
使用者に対して問い合わせる質問文と、
該質問文の回答を入力するために押下される回答ボタンと、
前記回答ボタンで入力された回答および、前記回答ボタンが押下されたときのタイムスタンプとで構成される回答情報を記憶する記憶手段と、
該記憶手段に記憶された前記回答情報を無線通信波にて送信する送信手段とを備える携帯型情報発信装置において、
物質を収容可能な複数の収容部と、
該複数の収容部のそれぞれに設けられ、該収容部から前記物質が取り出されたことを検知する複数の検知手段とを備え、
前記記憶手段が、さらに、前記物質が取り出された前記収容部および、前記物質が取り出されたときのタイムスタンプとで構成される取出情報を記憶するとともに、
前記送信手段が、さらに、前記取出情報を無線通信波にて送信する携帯型情報発信装置であって、
前記検知手段が電気回路を用いて構成され、
該電気回路に電池を連結して、該電池を前記電気回路の電源とすることを特徴とする、携帯型情報発信装置。
【請求項2】
前記電気回路の電源を入れるスタートスイッチと、
前記回答ボタンが押下されてから一定時間、無操作状態が継続すると電流を微弱にするスリープ手段とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の携帯型情報発信装置。
【請求項3】
前記電気回路を載置する基板が紙またはプラスチック製であり、
該基板上に印刷により前記電気回路を形成することを特徴とする、請求項1に記載の携帯型情報発信装置。
【請求項4】
前記検知手段が前記電気回路の一部として形成され、
前記検知手段は、断線されることによって前記収容部から前記物質が取り出されたことを検知することを特徴とする、請求項1に記載の携帯型情報発信装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の携帯型情報発信装置と、
前記送信手段が送信する前記回答情報および前記取出情報を受信する受信手段と、
該受信手段にて受信した前記回答情報および前記取出情報を格納する格納手段と、
該格納手段に格納された前記回答情報および前記取出情報を表示する複数の表示手段とを備えることを特徴とする、物質情報管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−120619(P2012−120619A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272400(P2010−272400)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】