説明

携帯情報端末および販売システム

【課題】当該携帯情報端末を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供し得る携帯情報端末および販売システムを提供する。
【解決手段】無線通信部24により、販売品目およびその売上数やエリア情報を含めた販売情報がサーバ11に対して送信される。また、販売対象エリア内にて使用される各携帯情報端末20からそれぞれ送信される販売情報がサーバ11により集計されて集計情報として送信されるとき、この集計情報が無線通信部24により受信される。そして、無線通信部24にて受信した集計情報に基づいて、複数の分割エリアごとの売上情報が表示器23により表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売対象エリア内にて商品を販売する際に使用される携帯情報端末およびこの携帯情報端末を複数管理する販売システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、販売対象エリア内にて商品を販売する際に使用される携帯情報端末を複数管理する販売システムとして、下記特許文献1に開示されるデリバリシステムが知られている。このデリバリシステムは、利用客からの注文を受けたサーバにより注文対象商品が売り子商品であると識別されると、利用客の座席位置から一番近くにいる当該商品を扱う売り子が特定される。そして、サーバにより、その売り子がいる位置から利用客の座席位置までをナビゲートするマップが作成されて、このマップと注文情報とが当該売り子の携帯端末に送られる。これにより、売り子は注文客の元に迷わずに到達することができる。また、サーバは、売り子から注文受付けの応答があった際には、販売促進情報を、注文主の近隣、例えば同じブロック内の客に送信することで、売り子が近隣に来ていることを客に知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−174136号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1に開示されるような販売システムは、売り子や売店情報等をふまえ顧客が携帯電話を用いて注文するシステムであるため、顧客自身が注文のために携帯電話を操作するだけでなく、その操作の際の通話料やデータ通信料を負担しなければならないという問題がある。また、売り子に対しては、顧客からの注文情報が送信されるだけで、販売を促進するための情報が積極的に提供されることもない。
【0005】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、当該携帯情報端末を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供し得る携帯情報端末および販売システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の携帯情報端末は、複数の分割エリアに区分けされた販売対象エリア(S)内にて商品を販売する際に使用される携帯情報端末(20)であって、販売された商品を示す販売品目およびその売上数と当該商品が販売された前記分割エリアを特定するエリア情報とを含めた販売情報をサーバ(11)に対して送信可能であって、前記販売対象エリア内にて使用される各携帯情報端末からそれぞれ送信される前記販売情報を前記サーバにより集計して集計情報として送信するときこの集計情報を受信可能な通信手段(24)と、前記通信手段にて受信した前記集計情報に基づいて、前記複数の分割エリアごとの売上情報を表示する表示手段(23)と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯情報端末において、前記表示手段は、前記売上情報を、その売上総額に応じて変更して表示することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の携帯情報端末において、前記表示手段に表示される前記売上情報は、前記販売品目ごとの売上額および売上数の少なくともいずれか1つであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯情報端末において、前記集計情報には、その前記分割エリアについて前記販売情報を送信した携帯情報端末の総数がそれぞれ含まれ、前記表示手段は、前記売上情報とともに、その分割エリアについての前記総数を表示することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯情報端末において、販売された商品の販売数に基づいて前記販売品目ごとの所持数を算出する算出手段(40)と、前記算出手段により算出される前記所持数が、前記販売品目ごとに補充を必要とする所持数として設定される最低基準数以下となる場合に、その販売品目について補充を促す補充情報を報知する報知手段(23)と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の携帯情報端末において、前記最低基準数は、その販売品目について、前記表示手段に前記売上情報が表示された前記分割エリアにおける売上数に応じて設定されることを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の販売システム(10)は、請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数の携帯情報端末と、これら各携帯情報端末からそれぞれ送信される前記販売情報を受信し、これら各販売情報を集計した前記集計情報を前記各携帯情報端末にそれぞれ送信するサーバと、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の販売システムにおいて、前記サーバは、前記集計情報を、送信対象の前記携帯情報端末を使用して販売される販売品目に関連する情報に限定して、前記各携帯情報端末にそれぞれ送信することを特徴とする。
なお、上記各括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の発明では、通信手段により、販売品目およびその売上数と当該商品が販売された分割エリアを特定するエリア情報とを含めた販売情報がサーバに対して送信される。また、販売対象エリア内にて使用される各携帯情報端末からそれぞれ送信される販売情報がサーバにより集計されて集計情報として送信されるとき、この集計情報が通信手段により受信される。そして、通信手段にて受信した集計情報に基づいて、複数の分割エリアごとの売上情報が表示手段により表示される。
【0015】
これにより、携帯情報端末を使用する売り子は、表示手段に表示される各分割エリアごとの売上情報を見ることで、販売対象エリア内のどの分割エリアが売り上げの良いエリアであるか、すなわち、どの分割エリアが購買意欲の高いエリアであるかをリアルタイムに視認することができる。
したがって、当該携帯情報端末を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供することができる。
【0016】
請求項2の発明では、表示手段により、上記売上情報は、その売上総額に応じて変更して表示されるので、販売対象エリア内のどの分割エリアが購買意欲の高いエリアであるかを容易に視認することができる。
【0017】
請求項3の発明では、表示手段に表示される売上情報は、販売品目ごとの売上額および売上数の少なくともいずれか1つであるため、当該携帯情報端末を使用する売り子は、売上額や売上数など詳細な売上情報をリアルタイムに視認することができる。
【0018】
請求項4の発明では、上記集計情報には、その分割エリアについて販売情報を送信した携帯情報端末の総数がそれぞれ含まれており、表示手段には、上記売上情報とともにその分割エリアについての上記総数が表示される。
【0019】
販売情報を送信した携帯情報端末の総数は、その分割エリア内にて商品を販売している売り子の人数に相当するので、上記総数を分割エリアごとに表示手段により表示することで、各分割エリアにて販売している売り子の人数を容易に視認することができる。これにより、当該携帯情報端末を使用する売り子は、売り子が多い分割エリアや少ない分割エリアを把握できるだけでなく、他の多くの売り子が販売している分割エリアでの販売を避けて、売り子の少ない分割エリアに行くことができるので、売り子の過剰な集中を避けることができる。
【0020】
請求項5の発明では、算出手段により、販売された商品の販売数に基づいて販売品目ごとの所持数が算出され、報知手段により、所持数が上記最低基準数以下となる場合に、その販売品目について補充を促す補充情報が報知される。これにより、商品を販売することでその商品の所持数が上記最低基準数以下となると、その販売品目に対して上記補充情報が報知されるので、報知を受けた売り子に対して、販売により所持数が減った商品の補充を促して、その商品を売り切れにくくすることができる。
【0021】
請求項6の発明では、上記最低基準数は、その販売品目について、表示手段に売上情報が表示された分割エリアにおける売上数に応じて設定される。
表示手段に売上情報が表示された分割エリアは、当該携帯情報端末を使用する売り子がその売上情報を求めた分割エリアであり、当該売り子が、これからその分割エリアに向けて移動する可能性が高い。また、この分割エリアでは、売上数が高い商品の購買意欲が高いことが予想され、その商品の所持数が上記最低基準数を僅かに超える程度では、すぐに売り切れてしてしまう可能性がある。そこで、上述した売上数に応じて上記最低基準数を設定することで、購買意欲が高い商品であってもその商品を売り切れにくくすることができる。
【0022】
請求項7の発明では、販売システムは、上述のように構成される各携帯情報端末と、これら各携帯情報端末からそれぞれ送信される販売情報を受信し、これら各販売情報を集計した集計情報を各携帯情報端末にそれぞれ送信するサーバと、を備えている。これにより、当該携帯情報端末を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供し得る等の請求項1〜6に記載の作用効果を奏する販売システムを実現することができる。
【0023】
請求項8の発明では、サーバは、上記集計情報を、送信対象の携帯情報端末を使用して販売される販売品目に関連する情報に限定して、各携帯情報端末にそれぞれ送信するため、各携帯情報端末には、販売されない販売品目に関連する情報が送信されることがない。これにより、不要な情報の送受信が抑制されて、各携帯情報端末における処理負荷を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る販売システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】携帯情報端末の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
【図3】販売促進処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図4】販売促進処理の流れを例示するフローチャートの一部である。
【図5】表示器に表示されるメニュー画面を例示する説明図である。
【図6】表示器に表示されるエリア画面を例示する説明図である。
【図7】表示器に表示される売上状況画面を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係る携帯情報端末および販売システムの一実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る販売システム10の概略構成を示すブロック図である。
図1に示す販売システム10は、野球場などの比較的広範囲における所定の販売対象エリア(以下、販売対象エリアSという)にて商品を販売する複数の売り子がそれぞれ使用する携帯情報端末20を管理するシステムである。販売システム10は、各携帯情報端末20を管理するためのホストサーバ(以下、サーバ11という)を備えている。このサーバ11は、販売対象エリアSから離れたデータセンターに配備されており、販売対象エリアSを複数のブロックに区分しこのブロックをさらに複数のエリアに区分けした分割エリアごとに配置されるアクセスポイントAPを経由して、各携帯情報端末20と無線通信するように構成されている。
【0026】
当該サーバ11は、各携帯情報端末20からそれぞれ個別に送信される販売情報を、各アクセスポイントAPを経由して受信すると、このように受信した各販売情報を集計して集計情報を作成する。そして、サーバ11は、販売情報を受信するごとに集計情報を更新するか、または、一定時間ごとに集計情報を更新し、このように最新の状態に更新される集計情報を、所定の時間ごとに各携帯情報端末20に対して各アクセスポイントAPを経由して送信する。
【0027】
ここで、上記販売情報には、販売された商品を示す販売品目(商品名)およびその売上数や当該商品が販売された分割エリアを特定するエリア情報などが含まれる。また、上記集計情報は、上記販売情報をアクセスポイントごと、すなわち、分割エリアごとに区別して集計した情報であり、この集計情報には、その分割エリアで販売された商品の販売品目やその売上総数などが含まれる。また、上記集計情報には、そのアクセスポイントAPを経由して販売情報を送信した携帯情報端末20の総数、すなわち、その分割エリアで販売している売り子の人数が含まれる。
【0028】
次に、各携帯情報端末20の構成について、図2を用いて説明する。図2は、携帯情報端末20の電気的構成を概略的に示すブロック図である。
図2に示す携帯情報端末20は、販売対象エリアS内の各分割エリアにて商品を販売する売り子により携帯されて、売り子が所持する商品を販売する際に使用する端末である。特に、この携帯情報端末20は、受信した上記集計情報に基づいて後述する販売促進処理を実施することで、使用者である売り子に対して商品の販売を促進するための情報を提供するように構成されている。
【0029】
この携帯情報端末20の筐体内には、携帯情報端末20全体を制御する制御部21が設けられている。この制御部21は、マイコンを主体として構成されるものであり、CPU、システムバス、入出力インターフェース等を有しており、メモリ22とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有している。この制御部21には、主に、タッチパネル付きの表示器23や無線通信部24などが接続されている。
【0030】
表示器23は、液晶表示器の表示側を覆うように公知の情報入力用タッチパネルが外部に露出して配置されており、タッチパネルの所定の位置に触れるタッチ操作に応じた情報が制御部21に入力されるように構成されている。また、上記液晶表示器は、制御部21によって制御される構成をなしており、制御部21から表示処理等に関する指令を受けて動作するようになっている。なお、表示器23は、特許請求の範囲に記載の「表示手段」の一例に相当し得る。
【0031】
無線通信部24は、例えば公知の無線LANインタフェースとして構成されており、予め定められたプロトコルに従ってアンテナ24aを介してアクセスポイントAPと無線通信を行うように構成されている。なお、無線通信部24は、特許請求の範囲に記載の「通信手段」の一例に相当し得る。
【0032】
次に、制御部21にて実行される販売促進処理について、図3〜図7を用いて説明する。図3および図4は、販売促進処理の流れを例示するフローチャートである。図5は、表示器23に表示されるメニュー画面を例示する説明図である。図6は、表示器23に表示されるエリア画面を例示する説明図である。図7は、表示器23に表示される売上状況画面を例示する説明図である。
【0033】
携帯情報端末20が作動状態になり、制御部21により販売促進処理が開始されると、図3のステップS101に示すメニュー画面表示処理がなされる。この処理では、図5に示すように、「販売」モードと、「売上状況」モードと、「販売データ編集」モードとのいずれかのモードを選択するためのメニュー画面が表示器23に表示される。ここで、販売モードは、商品を販売する際に選択されるモードである。また、売上状況モードは、分割エリアごとの売上状況を確認する際に選択されるモードである。また、販売データ編集モードは、販売した商品および売上数などの販売データを編集する際に選択されるモードである。
【0034】
図5に示すメニュー画面が表示器23に表示された状態で、販売モードを選択するためのタッチ操作が売り子により表示器23に対してなされると(S103でYes)、商品を販売するための画面(図示略)が表示される。そして、販売用に所持する商品を販売する際に、その販売品目と売上数がタッチ操作に応じて制御部21に入力されると(S105でYes)、ステップS107に示す所持数算出処理がなされ、その売上数に応じて、販売された商品の所持数が減算される。なお、商品販売により所持数が減った商品を補充する場合には、商品補充後に、所定のタッチ操作を表示器23に対して実行することで、メモリ22に記憶される当該商品の所持数を補充分増加させることができる。なお、所持数算出処理を実行する制御部21は、特許請求の範囲に記載の「算出手段」の一例に相当し得る。
【0035】
続いて、ステップS109に示す記憶処理がなされ、その販売品目および売上数や販売時の時刻、当該商品が販売された分割エリアを特定するエリア情報等がメモリ22に販売情報として記憶されるとともに、上記所持数算出処理にて減算された商品の所持数が更新されて記憶される。
【0036】
そして、ステップS111に示す送信処理がなされ、上記販売品目および売上数や上記エリア情報等が販売情報として無線通信部24により、無線送信される。このように無線送信される販売情報は、最も近くに位置するアクセスポイントAPを経由して、サーバ11に送信されることとなる。そして、この販売モードを終了するためのタッチ操作が売り子によりなされるまでステップS113の判定処理にてNoと判定されてステップS105からの処理がなされる。そして、当該販売モードを終了するためのタッチ操作が売り子によりなされると(S113でYes)、上記メニュー画面表示処理がなされて、図5に示すメニュー画面が表示器23に再び表示される。
【0037】
また、図5に示すメニュー画面が表示器23に表示される状態で、所望の分割エリアの売上状況を確認するために、売上状況モードを選択するためのタッチ操作が売り子により表示器23に対してなされると(S115でYes)、ステップS117に示す集計情報受信処理がなされる。この処理では、サーバ11から送信されている集計情報がアクセスポイントAPを経由して無線通信部24により受信される。なお、集計情報を受信するタイミングは、売上状況モードの選択直後に限らず、例えば、定期時間ごとに受信するための処理を実施してもよいし、サーバ11から集計情報が送信されるごとに受信するための処理を実施してもよい。
【0038】
続いて、ステップS119に示す表示処理がなされる。この処理では、受信した集計情報に基づいて、最も近くにあるアクセスポイントAPが配置される分割エリアを含むブロックでの売上状態が、エリア画面として表示器23に表示される。売り子は身近の分割エリアの情報を欲する場合が多いため、上記表示処理にて、自分がいるブロックを構成する各分割エリアでの売上状態を表示することで、全てのブロックを構成する各分割エリアでの売上状態を表示する場合と比較して、売り子に対して限られた表示画面の中で有効に情報を伝えることができる。なお、ブロック数が少ない場合や各ブロックを構成する分割エリア数が少ない場合には、上記表示処理にて、全てのブロックを構成する各分割エリアでの売上状態を、エリア画面として表示器23に表示してもよい。
【0039】
例えば、最も近くにあるアクセスポイントがライトスタンド第2ブロックに含まれる分割エリアA−1に配置されている場合には、図6に示すように、ライトスタンド第2ブロックに含まれる全ての分割エリア(A−1〜A−3,B−1〜B−3,C−1〜C−3)が、実際に区分けされる分割エリアを模して表示される。そして、このように区分けして表示される各分割エリアには、売上情報がその売上総額に応じてそれぞれ変更して表示される。
【0040】
具体的は、売上総額が高い分割エリアほど視認性が高い色を用いて表示され、例えば、各分割エリアのうち、最も売上総額が高い分割エリアは赤色に表示が変更され、次に売上総額が高い分割エリアは黄色に表示が変更される。図6に示す場合では、分割エリアC−2が最も売上総額が高いために、より視認性が高い色(図6ではクロスハッチングを付して図示している)を用いて表示され、分割エリアC−3が次に売上総額が高いために、分割エリアC−2に対しては視認性が劣るものの他の分割エリアに対しては視認性が高い色(図6ではハッチングを付して図示している)を用いて表示される。なお、各分割エリアの表示には、それぞれ売上総額などが表記されてもよい。
【0041】
なお、図6に例示する表示状態からライトスタンド第2ブロックの左側に隣接するライトスタンド第1ブロックに含まれる各分割エリアの売上情報を確認する場合には、エリア画面の左下に表示される「ライトスタンド第1ブロック」をタッチ操作する。これにより、ライトスタンド第1ブロックに含まれる全ての分割エリアが表示器23に表示されるとともに、これら各分割エリアに対して売上情報がその売上総額に応じて変更して表示される。また、図6に例示する表示状態からライトスタンド第2ブロックの右側に隣接するライトスタンド第3ブロックに含まれる各分割エリアの売上情報を確認する場合には、エリア画面の右下に表示される「ライトスタンド第3ブロック」をタッチ操作する。これにより、ライトスタンド第3ブロックに含まれる全ての分割エリアが表示器23に表示されるとともに、これら各分割エリアに対して売上情報がその売上総額に応じて変更して表示される。
【0042】
上述のようにライトスタンド第2ブロックに含まれる全ての分割エリアが表示されている状態で、分割エリアC−2の売上総額が他の分割エリアに対して高いことからこの分割エリアC−2を選択するタッチ操作が売り子によりなされると、分割エリアC−2の詳細な売上状況を確認するための売上状況確認画面が表示器23に表示される。
【0043】
この売上状況確認画面では、上述した集計情報受信処理にて受信した集計情報に基づいて、選択された分割エリアで販売された商品を示す販売品目を横軸にその売上数が棒グラフで表示されるとともに、その分割エリアに配置されるアクセスポイントAPにアクセスしている携帯情報端末20のアクセス総数、すなわち、その分割エリアで販売している売り子の人数が表示される。また、売上状況確認画面では、一度に表示する商品数を限定して見やすくするために、商品種別を選択するためのプルダウンP1がタッチ操作可能に表示器23の画面上段左側に表示されている。また、売上状況確認画面では、時間に応じた売上状況を確認するために、選択された商品種別の各商品に対して時刻別に用意される売上数のうち所望の時刻を選択するためのプルダウンP2がタッチ操作可能に表示器23の画面上段中央に表示されている。
【0044】
例えば、図7に例示するように、プルダウンP1のタッチ操作に応じて商品種別としてドリンクが選択されるとともに、プルダウンP2のタッチ操作に応じて5分前の時刻が選択されると、分割エリアC−2において5分前時点で販売されていた商品種別がドリンクである販売品目、「生ビール」、「ノンアルコール」、「ウーロン茶」、「麦茶」、「コーラ」および「ジンジャーエール」を横軸に、その売上数が棒グラフを用いて表示器23の画面中央に表示される。また、分割エリアC−2に配置されるアクセスポイントAPにアクセスしている携帯情報端末20のアクセス総数が3件である場合には、図7に例示するように、表示器23の画面下段にて「C−2エリア アクセス総数 3」と表示される。
【0045】
このように、表示器23に表示される売上情報として、上述した集計情報受信処理にて受信した集計情報に基づいて、販売品目ごとの売上数が棒グラフを用いて表示されるので、売上数など詳細な売上情報をリアルタイムに視認することができる。なお、各売上数は、棒グラフを用いて表示されることに限らず、例えば、折れ線グラフなど、他の販売品目との比較を容易とする表示状態で表示されてもよい。また、売上状況確認画面では、売上数に代えて、他の指標、例えば、売上金額を基準に表示されてもよい。また、アクセスポイントAPにアクセスしている携帯情報端末20のアクセス総数は、図6に例示するエリア画面にて表示されてもよい。
【0046】
また、この売上状況確認画面では、表示される販売品目の所持数が、予め定められた最低基準数以下となる場合に、その販売品目の売上数を示す棒グラフ領域が点滅等して視覚的に強調されるように表示器23に表示されることで、当該販売品目について補充を促す情報(補充情報)が報知される。例えば、「生ビール」の最低基準数が予め10に設定されており、「生ビール」の所持数が8であれば、図7に例示するように、「生ビール」の売上数を示す棒グラフ領域が点滅して視覚的に強調される。なお、図7では、便宜上、点滅する棒グラフ領域をハッチングにより図示している。
【0047】
このように、商品を販売することでその商品の所持数が上記最低基準数以下となると、その販売品目に対して上記補充情報が報知されるので、報知を受けた売り子に対して、販売により所持数が減った商品の補充を促すことができる。このように機能する表示器23は、特許請求の範囲に記載の「報知手段」の一例に相当し得る。なお、上記補充情報は、売上数を示す棒グラフ領域が点滅することで視覚的に強調されて報知されることに限らず、例えば、棒グラフ領域の色等の表示を変えることで視覚的に強調されて報知されてもよいし、ビープ音等を用いて聴覚的に強調されて報知されてもよい。
【0048】
なお、図7に例示する表示状態から分割エリアC−2の左側に隣接する分割エリアC−1の詳細な売上情報を確認する場合には、売上状況確認画面の左下に表示される「C−1エリア」をタッチ操作する。これにより、表示器23に、分割エリアC−1で販売された商品の販売品目を横軸にその売上数が棒グラフで表示されるとともに、当該分割エリアC−1で販売している売り子の人数等が表示される。また、図7に例示する表示状態から分割エリアC−2の右側に隣接する分割エリアC−3の詳細な売上情報を確認する場合には、売上状況確認画面の右下に表示される「C−3エリア」をタッチ操作する。これにより、表示器23に、分割エリアC−3で販売された商品の販売品目を横軸にその売上数が棒グラフで表示されるとともに、当該分割エリアC−3で販売している売り子の人数等が表示される。
【0049】
そして、この売上状況モードを終了するためのタッチ操作が売り子によりなされるまでステップS121の判定処理にてNoと判定されてステップS117からの処理がなされ、サーバ11からの集計情報が更新可能な状態が継続される。このような状態において、当該売上状況モードを終了するためのタッチ操作が売り子によりなされると(S121でYes)、図5に示すメニュー画面が表示器23に再び表示される。
【0050】
また、図5に示すメニュー画面が表示器23に表示された状態で、販売データ編集モードを選択するためのタッチ操作が売り子により表示器23に対してなされると(S123でYes)、ステップS125に示す編集処理がなされる。この処理では、販売データを編集するための画面(図示略)が表示され、所定のタッチ操作をすることで、所望の販売データについて編集することができる状態になる。そして、当該販売データ編集モードを終了するためのタッチ操作がなされると(S127でYes)、図5に示すメニュー画面が表示器23に再び表示される。そして、図5に示すメニュー画面が表示器23に表示される状態で、「終了」がタッチ操作されると(S129でYes)、当該販売促進処理が終了する。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯情報端末20では、無線通信部24により、販売品目およびその売上数やエリア情報を含めた販売情報がサーバ11に対して送信される。また、販売対象エリアS内にて使用される各携帯情報端末20からそれぞれ送信される販売情報がサーバ11により集計されて集計情報として送信されるとき、この集計情報が無線通信部24により受信される。そして、無線通信部24にて受信した集計情報に基づいて、複数の分割エリアごとの売上情報が表示器23により表示される。
【0052】
これにより、携帯情報端末20を使用する売り子は、表示器23に表示される各分割エリアごとの売上情報を見ることで、販売対象エリアS内のどの分割エリアが売り上げの良いエリアであるか、すなわち、どの分割エリアが購買意欲の高いエリアであるかをリアルタイムに視認することができる。
したがって、当該携帯情報端末20を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供することができる。
【0053】
また、表示器23により、上記売上情報は、その売上総額に応じて変更して表示されるので、販売対象エリアS内のどの分割エリアが購買意欲の高いエリアであるかを容易に視認することができる。
【0054】
さらに、表示器23に表示される売上情報として、上述した集計情報受信処理にて受信した集計情報に基づいて、販売品目ごとの売上数が表示されるので、当該携帯情報端末20を使用する売り子は、売上数など詳細な売上情報をリアルタイムに視認することができる。
【0055】
さらにまた、上記集計情報には、その分割エリアについてアクセスポイントAPを経由して販売情報を送信した携帯情報端末20の総数がそれぞれ含まれており、表示器23には、上記売上情報とともにその分割エリアについての上記総数、すなわち、その分割エリアで販売している売り子の人数が表示される。これにより、各分割エリアにて販売している売り子の人数を容易に視認できるため、当該携帯情報端末20を使用する売り子は、売り子が多い分割エリアや少ない分割エリアを把握できるだけでなく、他の多くの売り子が販売している分割エリアでの販売を避けて、売り子の少ない分割エリアに行くことができるので、売り子の過剰な集中を避けることができる。
【0056】
さらに、上記所持数算出処理により、販売された商品の販売数に基づいて販売品目ごとの所持数が算出され、表示器23により、所持数が上記最低基準数以下となる場合に、その販売品目について補充を促す補充情報が報知されるので、報知を受けた売り子に対して、販売により所持数が減った商品の補充を促して、その商品を売り切れにくくすることができる。
【0057】
特に、上記最低基準数は、その販売品目について、ステップS119に示す表示処理にて売上情報が表示された分割エリアにおける売上数に応じて設定してもよい。例えば、「生ビール」の最低基準数が予め10に設定されており、図7に例示するように、「生ビール」の売上数の多い分割エリアの売上状況が表示される場合には、上記最低基準数を、自動的に、例えば20に設定することができる。
【0058】
表示処理にて売上情報が表示された分割エリアは、当該携帯情報端末20を使用する売り子がその売上情報を求めた分割エリアであり、当該売り子が、これからその分割エリアに向けて移動する可能性が高い。また、この分割エリアでは、売上数が高い商品の購買意欲が高いことが予想され、その商品の所持数が上記最低基準数を僅かに超える程度では、すぐに売り切れてしてしまう可能性がある。そこで、上述した売上数に応じて上記最低基準数を自動的に設定することで、購買意欲が高い商品であってもその商品を売り切れにくくすることができる。
【0059】
また、販売システム10は、上述のように構成される各携帯情報端末20と、これら各携帯情報端末20からそれぞれ送信される販売情報を受信し、これら各販売情報を集計した集計情報を各携帯情報端末20にそれぞれ送信するサーバ11と、を備えている。これにより、当該携帯情報端末20を使用する売り子に対して販売を促進させる情報を好適に提供し得る等の作用効果を奏する販売システムを実現することができる。
【0060】
なお、上記実施形態の変形例として、サーバ11は、上述のように集計した集計情報を、送信対象の携帯情報端末20を使用して販売される販売品目に関連する情報に限定して、各携帯情報端末20にそれぞれ送信してもよい。例えば、販売品目として「生ビール」、「ノンアルコール」、「ウーロン茶」のみを販売する売り子が所持する携帯情報端末20には、上記販売品目に関連する情報のみが集計情報として送信される。
【0061】
これにより、各携帯情報端末20には、販売されない販売品目に関連する情報が送信されることがないので、不要な情報の送受信が抑制されて、各携帯情報端末20における処理負荷を低減することができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよい。
(1)ステップS111に示す送信処理では、販売品目および売上数やエリア情報を販売情報として送信することに限らず、例えば、さらに、販売金額を販売情報として送信してもよい。
【0063】
(2)ステップS119に示す表示処理にて表示器23に表示されるエリア画面では、最も近くにあるアクセスポイントAPが配置される分割エリアを含むブロックでの売上状態が表示されることに限らず、販売対象エリアSの全ての分割エリアまたはその一部での売上状態がそれぞれ表示されてもよい。
【0064】
(3)表示手段として、タッチパネル付きの表示器23に代えて、タッチパネルを有しない液晶表示器などの表示器を採用してもよい。この場合、制御部21に情報を入力するタッチパネルに代えて、テンキーや専用キーなどの入力手段を設けて、この入力手段により上記タッチ操作に相当する入力操作を実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
10…販売システム
11…サーバ
20…携帯情報端末
21…制御部
23…表示器(表示手段)
24…無線通信部(無線通信手段)
AP…アクセスポイント
S…販売対象エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の分割エリアに区分けされた販売対象エリア内にて商品を販売する際に使用される携帯情報端末であって、
販売された商品を示す販売品目およびその売上数と当該商品が販売された前記分割エリアを特定するエリア情報とを含めた販売情報をサーバに対して送信可能であって、前記販売対象エリア内にて使用される各携帯情報端末からそれぞれ送信される前記販売情報を前記サーバにより集計して集計情報として送信するときこの集計情報を受信可能な通信手段と、
前記通信手段にて受信した前記集計情報に基づいて、前記複数の分割エリアごとの売上情報を表示する表示手段と、
を備えることを特徴とする携帯情報端末。
【請求項2】
前記表示手段は、前記売上情報を、その売上総額に応じて変更して表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記表示手段に表示される前記売上情報は、前記販売品目ごとの売上額および売上数の少なくともいずれか1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記集計情報には、その前記分割エリアについて前記販売情報を送信した携帯情報端末の総数がそれぞれ含まれ、
前記表示手段は、前記売上情報とともに、その分割エリアについての前記総数を表示することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
販売された商品の販売数に基づいて前記販売品目ごとの所持数を算出する算出手段と、
前記算出手段により算出される前記所持数が、前記販売品目ごとに補充を必要とする所持数として設定される最低基準数以下となる場合に、その販売品目について補充を促す補充情報を報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記最低基準数は、その販売品目について、前記表示手段に前記売上情報が表示された前記分割エリアにおける売上数に応じて設定されることを特徴とする請求項5に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の複数の携帯情報端末と、
これら各携帯情報端末からそれぞれ送信される前記販売情報を受信し、これら各販売情報を集計した前記集計情報を前記各携帯情報端末にそれぞれ送信するサーバと、
を備えることを特徴とする販売システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記集計情報を、送信対象の前記携帯情報端末を使用して販売される販売品目に関連する情報に限定して、前記各携帯情報端末にそれぞれ送信することを特徴とする請求項7に記載の販売システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−47896(P2013−47896A)
【公開日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186142(P2011−186142)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)