説明

携帯用ヘアードライヤ

【課題】 小型で持ち運びが容易な、デザイン性に優れ、また、操作性の容易な携帯用ヘアードライヤを提供すること。
【解決手段】 横断面が楕円形であり、縦断面の基本形体は斜辺が緩やかな膨らみを有する略直角三角形である外ケース10を有し、前記外ケース10内に熱風発生室11とガスボンベ室12とを一端で連結してV字型に配設した携帯用ヘアードライヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コードレスの携帯用ヘアードライヤに係り、詳しくは熱源としてガスを使用する小型でデザイン性に優れ、持運びが容易な携帯用ヘアードライヤに関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアードライヤの熱源として、電気ヒータに代えて、ボンベに充填したブタンガス等の液化石油ガスのガス燃焼を利用したヘアードライヤが開発され、既に市販されている。ガス燃焼を利用したヘアードライヤは、電気ヒータを用いたものに比べて、外部電源への接続が不要となり、したがってコードレスとなることから電源が入手できないところでも使用できるため、使用場所が制限されないことから広く使用されるようになってきている。
【0003】
図8は、特許文献1に記載された携帯用ヘアードライヤの構成を示す断面図である。
【0004】
ヘアードライヤ101の本体102のハウジングは、耐熱性の成型品により構成されたL字型をしている。本体102のハンドル内部には、燃料ガスを収納するガスボンベ103と蓄電池128と回転制御及び充電用電気回路129とガスボンベ103からの燃料ガス供給量を制御する制御部112が収納されている。本体102の温風発生部には、ガスボンベ103からのガス供給路の出口に位置するノズル104と、ノズル104の後方から温風吹き出し口105に向けて空気を供給する送風部106と、この送風部106によって送風される空気と燃料ガスをあらかじめ混合して混合気体を作る予混合部107と、この予混合部107によって混合された混合気体を所定の温度まで加熱する予熱部108と、この予熱部108で混合気体に点火する着火部109と予熱部108によって加熱された混合気体を触媒燃焼させる触媒燃焼部110と、この触媒燃焼部110での温度変化を検知する検知部111とこの検知部111での検知に応じて前記ノズル104の弁部の開閉を制御してガスボンベ103からの燃料ガス供給量を制御する制御部112とが設けられている。
【0005】
また、図示はしないが、特許文献2に記載された携帯用ヘアードライヤにおいては、ガスボンベをL字型本体のハンドル内部ではなく、温風発生部の下に平行に取り付けたものが示されている。
【特許文献1】特開平5−137612号公報(段落[0008]、図1、)
【特許文献2】特開平5−137613号公報(段落[0008]、図1、)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の携帯用ヘアードライヤにおいては、ハウジングがガスボンベからノズルまでの配管のために固定されたL字型の外形をなしているため大型になりかさばって携帯に不便であることや、またかさばるためにバッグに無理に押し込むとバッグが破損するおそれもある。またその操作においては、ハンドルを握って温風発生部の他端を頭部の所定部分に向けようとしても、ハンドルの部分の動きが温風発生部の他端では増幅されてなかなか狙いどおりにならず、取り扱いが簡単でなく、このため使い勝手がよくないという問題があった。
【0007】
なお、特許文献1及び特許文献2の携帯用ヘアードライヤの他に、図示はしないがハンドル部分を折りたたみ可能なL字型のハウジングにしたものもある。しかし、大型でかさばり携帯に不便であること、操作に難点があり使い勝手がよくないことにおいては、特許文献1及び特許文献2のものと同様の問題があった。
【0008】
本願の発明者らは、前記の問題点を解決すべく種々検討を行った結果、携帯用ヘアードライヤのハウジングに着目し、従来のL字型の本体に配置収納する形態から、外ケースを横断面が楕円形であり、縦断面の基本形体は斜辺が緩やかな膨らみを有する略直角三角形とし、前記外ケース内に熱風発生室とガスボンベ室とを一端で連結してV字型に配設することによって、小型で出っ張りがなく、デザイン性と操作性に優れた携帯用ヘアードライヤが提供できることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0009】
すなわち本発明は、小型で持ち運びが容易な、デザイン性にも優れた携帯用ヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【0010】
また、本発明は、操作性の容易な携帯用ヘアードライヤを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明に係る携帯用ヘアードライヤは、横断面が楕円形であり、縦断面の基本形体は斜辺が緩やかな膨らみを有する略直角三角形状の外ケースを有し、前記外ケース内に熱風発生室とガスボンベ室とを一端で連結してV字型に配設したことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記ガスボンベ室と熱風発生室との間に点火機構を配置したことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記熱風発生室には、前記V字型の一方の辺に沿って先端に吐風口、内部に熱源、該熱源の後方にファンを順に設け、前記ガスボンベ室は、V字型の他方の辺に沿って配置し、前記V字の2辺が交差する後部に吸気口を設けたことを特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記熱風発生室及びガスボンベ室は円筒形であり、前記熱風発生室とガスボンベ室に挟まれた空間に電池収納部を設け、該電池収納部を覆う着脱自在な蓋を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項2又は3に記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記点火機構は、第1ボタン及び第2ボタンを有し、前記第2ボタンは前記第1ボタンが復帰状態でなければ動作しないようになされており、前記第1ボタンの操作によりクランクレバーを介してガスバルブを「開」状態とすると共にファンを回転させ、その後、前記第2ボタンの操作により放電着火を行う構成としたことを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、請求項5に記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記点火機構は、さらにスライド式のつまみを備え、前記スライド式のつまみの下部の突起により、前記第1ボタン及び第2ボタンを操作するようにしたことを特徴とする。
【0017】
請求項7の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記外ケースの前記略直角三角形の斜辺を掌の受け部とし、前記V字の一方の辺と他方の辺の間に指の支えとなる窪み又は突起を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項8の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤに係り、前記外ケースの斜辺の後端部近傍にストラップ取り付け手段を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、小型で持ち運びが容易な、デザイン性に優れた携帯用ヘアードライヤが提供できる。すなわち、従来のヘアードライヤはL字型であるため、折りたたんだ際にも持ち手部分と温風の噴出部分との間に無駄なスペースができ、結果大型になりがちであったが、本発明ではL字型ではなく、持ち手部分と温風の噴出部分が一体となっているため、無駄なスペースができることなく、以って全体として小型化が実現できる。また、ハウジングがL字型の場合はハンドルが軸となって熱風の吐き出される先端が大きく振られるため手の動きを伝えにくいが、本発明は従来例のようなハンドルがないので、使用の際には髪の近くにドライヤ本体を保持できるし、手の動きを忠実に伝えやすく操作がしやすくなる。
【0020】
請求項2の発明によれば、点火機構をガスボンベ室と熱風発生室との間に配置することにより、効率的なスペースの利用を行うことができるため小型化を容易に達成できるようになる。
【0021】
請求項3の発明によれば、熱風発生室をはじめとする構成要素の合理的な配置ができることから小型化をより容易に達成できる。
【0022】
請求項4の発明によれば、外ケース内の熱風発生室と円筒形のガスボンベ室に挟まれた空間に電池収納部を設け、電池収納部の前面には着脱自在な蓋を設けたので、前記V字の隙間は電池のスペースとして有効利用され、電池交換の際の出し入れも容易であり、携帯用ヘアードライヤの小型化が容易にできる。
【0023】
請求項5の発明によれば、第2ボタンを第1ボタンの復帰状態時にのみ操作できるようにしたことにより安全な点火操作を行うことができるようになるほか、2つのボタンを操作することにより点火操作を行うことから、より確実にガスへの着火を行うことができるようになる。
【0024】
請求項6の発明によれば、スライド式のつまみにより二重式の点火ボタンを制御することにより、容易に点火操作を行うことができるようになる。
【0025】
請求項7の発明によれば、外ケースの略直角三角形の膨らませた斜辺を掌の受け部とし、前記V字の一方の辺と他方の辺の間に指の支えとなる窪み又は突起を設けたことにより、使用に際して操作性を高めることができるので、使い勝手のよい携帯用ヘアードライヤを提供できる。
【0026】
請求項8の発明によれば、ヘアードライヤにストラップが付けられため、このストラップを手に絡めて持つことができ、携帯が便利になる。また、このストラップを手に絡めて持てばヘアードライヤ自体を落とすことがなくなり、ヘアードライヤの破損を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面を参照して、本発明の最良の実施形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための携帯用ヘアードライヤを例示するものであって、本発明をこの携帯用ヘアードライヤに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0028】
図1は、本発明に係る携帯用ヘアードライヤの一実施例の外観斜視図である。図2は、図1の携帯用ヘアードライヤの正面図である。図3は、同携帯用ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する一部切り欠き断面図である。図4は、同携帯用ヘアードライヤのボンベカバーを外した内部を示す斜視図である。
【0029】
本発明は、図1及び図2に示すように、携帯用ヘアードライヤ1の外ケース10を横断面が楕円形、縦断面の基本形体は斜辺が緩やかな膨らみを有する略直角三角形形状とし、外ケース10の内部に熱風発生室11とガスボンベ室12とを一端で連結してV字型に配置収納することによって、小型で出っ張りがなく、デザイン性と操作性が優れている携帯用ヘアードライヤを提供しようとするものである。
【0030】
携帯用ヘアードライヤ1の外ケース10は、耐熱性の成型品やステンレス・スチールなどにより構成され、図2に示すように横断面の輪郭が略楕円形である。また、外ケース10の縦断面の基本形体は図3に示すように略直角三角形であるが、特にその斜辺10hが緩やかな膨らみを有して大きく変形し、また略直角三角形の頂点付近10sは丸められて滑らかな円形ドーム形状となっている。外ケース10の側面にはスライドつまみ26の一部が僅かに出ているだけで、全体として滑らかな形態をしている。外ケース10は、本体10a、ボンベカバー10b、後部カバー10cから構成されており、楕円形の輪郭を有する外ケース正面の上部には、熱風を吹き出す吐風口14が開口している。また、斜辺10hの後端近くにはストラップ取り付け手段40が設けてあり、本体10aの側面の一部は保持を容易にするための窪み又は突起10fが形成されている。ちなみに、図1の携帯用ヘアードライヤ1は、ボンベカバー10bに比べて吐風口14が若干前面に突出しているが、このようなものも基本形体は略直角三角形であり、他にも例えばボンベカバー10bが背面方向に傾斜しているもの等も考えられる。
【0031】
この外ケース10の内部には、図3に示すように、熱風発生室11をガスボンベ室12と一端で連結してV字型となるように配置している。すなわち、V字の一方の辺には円筒形に形成された熱風発生室11が配置され、熱風発生室11の先端に外部に熱風を吹き出す吐風口14が位置し、その内部には、図示しないが触媒燃焼部などガス燃焼室とバーナーなどの熱源、さらには熱源の後方には送風室15を設け、風を送るファンモータ15aとファン15bを設けている。V字の他方の辺には円筒形のガスボンベ室12を設け、ガスボンベ室12にはプロパン、ブタンなどの燃料ガスを充填したガスボンベ13が着脱自由に装着される。
【0032】
熱風発生室11とガスボンベ室12との間にはガスの点火機構20が収納され、V字の2辺が接触する後部カバー10cには外気を導入するため複数の孔からなる吸気口18を設けている。点火機構20は、電池収納部21に装着された電池とマイクロスイッチ22を含むファンの回転制御用電気回路と、ガスボンベ室12に装着したガスボンベ13からの燃料ガス供給量を制御するバルブ23、火花放電用の圧電セラミック素子24及び点火プラグ25からなり、圧電セラミック素子24に高電圧を発生させるためのスライドつまみ26が外ケースの側壁面に設けてあり、後述するように二重式の押しボタンで作動する。圧電セラミック素子24は点火プラグに接続されて一方の放電電極を形成する。放電電極のもう一方の電極は、熱風発生室11の外周部に設けられており、圧電セラミック素子24と電線により接続されている。なお、図3においては、ガスボンベ13、バルブ23及び熱風発生室11のノズル相互間の配管や電線の接続は図示を省略してある。
【0033】
熱風発生室11の内部には、ガスボンベ13からバルブ23を介したガス供給路の中継パイプの出口に位置するノズルがあり、ノズルの後方から吐風口14に向けて空気を供給する送風ファン15bによって送風される空気と燃料ガスを混合して混合気体を作る混合部と、混合気体を所定の温度まで加熱する予熱部と、予熱部で混合気体に点火する着火部と、予熱部によって加熱された混合気体を燃焼させるバーナーや触媒燃焼部などのガス燃焼室が構成する熱源及び放熱フィンなどが設けられている。触媒燃焼部は担体として多孔質のコーディエライトやアルミナなどのセラミックスや金属板が、触媒としては白金やパラジウムなどが用いられる。
【0034】
バルブ23は、ガスボンベ13のガスが供給される熱風発生室11のノズルにつながる中継パイプの途中に位置している。バルブ23は、その弁の開閉を制御してガスボンベ13からの燃料ガス供給量を制御する。バルブ23の周辺部に設けられたクランクレバー27の掛止片に弁開閉機構を構成するバルブシャフト23aが係止されている。このバルブシャフト23aが矢印の方向に移動することにより、ばねの弾性力に抗してバルブシャフト23aはバルブから引き出される。このときバルブ23の後端部に形成された制御弁の絞り口の開口面積が増大してガスの供給を増加させる。また、中継パイプの先端に設けたノズルは、ガスボンベ13内のガスが気化されたガスを図示しない混合部に噴射させる。予熱部は触媒燃焼を促進するために、混合気体を所定の温度にまで加熱する部分であり、触媒燃焼部の外周を覆うとともに一端が混合部まで延設された余熱フィンと熱源の出口を覆う通気性のある網目状ネットで構成されている。混合され予熱したガスは、圧電セラミック素子24の加圧放電により着火、燃焼される。
【0035】
送風室15はファン15bとファンモータ15aとからなり、ガスと空気を一定の割合に混合するよう混合部に所要の空気量を送る。
【0036】
ボンベカバー10bを外して携帯用ヘアードライヤ1の内部を示した図4を参照すると、ファンモータ15aの駆動用電源である電池収納部21は、外ケース10内の円筒形の熱風発生室11と同じく円筒形のガスボンベ室12に挟まれた空間に設けられている。V字を構成する一方の辺と他方の辺の中間の隙間に電池収納部21を設けると、前記熱風発生室11とガスボンベ12とに挟まれた隙間は電池の収納スペースとして有効利用され、携帯用ヘアードライヤを小型にできる。さらに、電池収納部21の前面には着脱自在な蓋17を設けたので、電池交換の際の電池の出し入れが容易となる。ボンベカバー10bの脱着は、ロックボタン10dを押して引っ張ることにより、溝16をスライドさせて外すことができ、溝16に嵌め込んで、スライドさせながら押し込むことにより装着できるようになっている。なお、10eはボンベカバー10bの他方のロックボタンである。
【実施例2】
【0037】
次に、本発明の携帯用ヘアードライヤの他の実施例の点火機構20を説明する。図5は、他の実施例における内部構造を示す一部切り欠き斜視図である。図6は、図5における点火機構の主要部の構成を説明する斜視図であり、図7は、図6の点火機構の主要部の動作説明図である。
【0038】
このヘアードライヤの点火機構20は図3のものと構成部材と部材の配置等が若干異なるが基本的構成は同じであるので、図3のものと同じ部材には同じ記号を用いて説明する。
【0039】
本実施例による点火は、バルブ23を「開」状態とする第1ボタン28と、この「開」状態において放電着火する第2ボタン29との二重式となっており、確実に着火を行うことができる。
【0040】
まず、点火機構20が点火前のノーマル位置、すなわち両ボタンが共に押し下げられていない状態にあるときは、図6に示すようになっている。
【0041】
押し下げを規制するシャフト30は図面で左側に位置している。この位置ではシャフト30の右端が第2ボタン29の切り欠き29aから離れ、第2ボタンがフリーとなっている。このときマイクロスイッチ22はオフであるためファン15bは静止状態にあり、また、ガスバルブ23は、クランクレバー27が図面で左側位置にあり「閉」状態となっている。
【0042】
第2ボタン29は、第1ボタン28が上昇位置でなければシャフト30が制止することにより押し下げできないので、圧電セラミック素子24を加圧できず、着火できない。また、もし第1ボタン28を操作せずに第2ボタン29を直接押し下げたとしても着火用の火花は出るが、生ガスが出ていないので着火しない。ちなみに第1ボタン28は、内装したスプリング(図示省略)により常時押し上げ保持されている。
【0043】
点火機構の着火時の動作を図7を参照して説明すると、以下のとおりである。
【0044】
第1ボタン28を押し下げると第1ボタン28のアーム31の右端がシャフト30の左端を押さえ、アーム31の上下の動きをシャフト30の図7の右方向への動きに変換し、シャフト30の右端を第2ボタン下部の切り欠き29aに挿入する。第1ボタン28は押し下げの際、同時に作動子28aでマイクロスイッチ22のスイッチレバー22aを押して電源をファンモータ15aに供給し、ファン15bを回転させる。ちなみに第1ボタン28を押し下げている間はシャフト30に規制されて第2ボタン29を押し下げることができない。
【0045】
第1ボタン28の押し下げに伴い、クランクレバー27が回転動作して、その係合片27aがバルブ23のシャフト23aを移動させてガスバルブ23を「開」状態とする。クランクレバー27のホールドバルブ33との係合片33bはホールドバルブ33を駆動し、ガスバルブ23を「開」状態に保持する。第1ボタン28が復帰し、アーム31に押されていたシャフト30がバネの弾力で左側に戻り、第2ボタン29が押し下げ可能になる。この状態で第2ボタン29を操作し圧電セラミック素子24を圧迫し、放電着火を行う。第2ボタン29の操作によって点火プラグ25に火花が発生し、熱風発生室11に噴出する混合ガスに着火されてガスが燃焼する。その後は、回路基板32のマイコン(図示せず)によりホールドバルブ33を「開」状態に維持しガスを連続燃焼させる。
【0046】
上記他の実施例においては、2つのボタンを独立に操作して温風を発生させたが、上記第1実施例で使用されるスライドつまみ26も、以上に述べた第1ボタン28と第2ボタン29に連関した一連の作用を、スライドつまみ26をスライド移動させることによって誤動作することなく温風を発生させることができる。
【0047】
また、本発明の携帯用ヘアードライヤにおいては、外ケース10の略直角三角形の斜辺10hを掌の受け部とし、外ケース側面の中心部付近に指の支えとなる窪み又は突起10fを設ける。このようにすれば、外ケースを確実に把握することができ、使用に際して操作性を高めることができる。また、従来例のようにドライヤの形状がL字型の場合はハンドルが軸となって熱風の吐き出される先端が大きく振られるので手の動きを伝えにくいが、ハンドルがないので、使用の際には本体を髪の近くに保持できるし、水平でも、斜めでも、左右にどのような形でも手の動きを忠実に伝えやすく操作しやすい。
【0048】
さらに、本発明の携帯用ヘアードライヤにおいては、外ケースの斜辺10h後端部の吸気口近傍にストラップ取り付け手段を設ける。すなわち、外ケースの後部近傍にハンドストラップリング40を設けている。図5のように、ストラップ41が付けられると手に絡めて持つことができるので携帯に便利であり、また、吊り下げの紐を手に絡めて持つと、ヘアードライヤ本体を落とすことがなくなり、ヘアードライヤの破損を防ぐことができる。
【0049】
なお、上記実施例においては熱風発生室11を円筒形として説明したが、外ケース10の外形と他の構成要素のケース内における配置に従って他の形態に設計することは容易であり、自由に変形できる。また、ガスボンベ室にはボンベを装着するのでなく、プロパン、ブタン等のLPガスなどの燃料ガスを充填貯蔵できる容器が外ケースに固定されていて、ガスが充填できるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、本発明に係る携帯用ヘアードライヤの一実施例の外観斜視図である。
【図2】図2は、図1の携帯用ヘアードライヤの正面図である。
【図3】図3は、図1の携帯用ヘアードライヤの内部配置の概要を説明する一部切り欠き断面図である。
【図4】図4は、図1の携帯用ヘアードライヤのボンベカバーをはずして内部を示す斜視図である。
【図5】図5は、他の実施例における内部構造を示す一部切り欠き斜視図である。
【図6】図6は、図5における点火機構の主要部の構成を説明する要部拡大斜視図である。
【図7】図7は、図6の点火機構の主要部の動作を説明するための要部拡大斜視図である。
【図8】図8は、特許文献1に記載の携帯用ヘアードライヤの構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 携帯用ヘアードライヤ
10 外ケース
10f 窪み又は突起
11 熱風発生室
12 ガスボンベ室
13 ガスボンベ
14 吐風口
15 送風室
15a ファンモータ
15b ファン
16 溝
17 電池収納部の蓋
18 吸気口
20 点火機構
21 電池収納部
22 マイクロスイッチ
23 バルブ
23a バルブシャフト
24 圧電セラミック素子
25 点火プラグ
26 スライドつまみ
27 クランクレバー
28 第1ボタン
29 第2ボタン
30 シャフト
31 アーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
横断面が楕円形であり、縦断面の基本形体は斜辺が緩やかな膨らみを有する略直角三角形状の外ケースを有し、前記外ケース内に熱風発生室とガスボンベ室とを一端で連結してV字型に配設したことを特徴とする携帯用ヘアードライヤ。
【請求項2】
前記ガスボンベ室と熱風発生室との間に点火機構を配置したことを特徴とする請求項1に記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項3】
前記熱風発生室には、前記V字型の一方の辺に沿って先端に吐風口、内部に熱源、該熱源の後方にファンを順に設け、前記ガスボンベ室は、V字型の他方の辺に沿って配置し、前記V字の2辺が交差する後部に吸気口を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項4】
前記熱風発生室及びガスボンベ室は円筒形であり、前記熱風発生室とガスボンベ室に挟まれた空間に電池収納部を設け、該電池収納部を覆う着脱自在な蓋を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項5】
前記点火機構は、第1ボタン及び第2ボタンを有し、前記第2ボタンは前記第1ボタンが復帰状態でなければ動作しないようになされており、前記第1ボタンの操作によりクランクレバーを介してガスバルブを「開」状態とすると共にファンを回転させ、その後、前記第2ボタンの操作により放電着火を行う構成としたことを特徴とする請求項2又は3に記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項6】
前記点火機構は、さらにスライド式のつまみを備え、前記スライド式のつまみの下部の突起により、前記第1ボタン及び第2ボタンを操作するようにしたことを特徴とする請求項5に記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項7】
前記外ケースの前記略直角三角形の斜辺を掌の受け部とし、前記V字の一方の辺と他方の辺の間に指の支えとなる窪み又は突起を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤ。
【請求項8】
前記外ケースの斜辺の後端部近傍にストラップ取り付け手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の携帯用ヘアードライヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−25906(P2006−25906A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205720(P2004−205720)
【出願日】平成16年7月13日(2004.7.13)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)