説明

携帯用局部洗浄器

【課題】口部のサイズの異なるペットボトルであってもノズル装置を簡単且つ確実に連結可能な携帯用局部洗浄器を提供する。
【解決手段】ペットボトルPの口部P1に、当該ペットボトルP内に貯留された貯留水Wを通水管Q1を介して噴水するノズル装置Qを装着してなる携帯用局部洗浄器において、 前記口部P1に内挿可能であって、該口部P1を封止する拡径縮径可能な弾性体1と、前記弾性体を圧縮して拡径させる拡径手段2と、前記拡径手段2の軸部21を上下方向に移動させる操作部3と、より構成したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用便後の局部を洗浄するための携帯用局部洗浄器に関し、詳しくは、ペットボトルを使用して上記局部を洗浄することを可能にした携帯用局部洗浄器に関する。
【背景技術】
【0002】
用便後に局部の洗浄が可能なウォシュレット式便器は、一般家庭でも多く使用されているが、旅行先や公衆トイレ等には、前記ウォシュレット式便器が設置されていない場合が多く、また、地震等の災害時では、停電や給水の停止によって、ウォシュレット式便器であっても使用できないこともある。
【0003】
そのため、近年では、トイレ内にウォシュレット式便器が無くても、用便後の局部を洗浄可能なものとして、携帯用局部洗浄器が開発されている。
【0004】
このような携帯用局部洗浄器としては、例えば、洗浄水が貯留された持ち運び可能な貯留タンクと、この貯留タンク内の貯留水を外部にまで誘導する噴水管と、この噴水管の先端に設けられ、前記局部に向けて噴水可能なノズル部とを備え、乾電池等の電力によりポンプを駆動させて、前記貯留タンク内の洗浄水をノズル部から噴水させて、局部の洗浄を行う電動式の携帯用局部洗浄器があった(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、前記貯留タンクを外部から手で押圧することで、内部の貯留水をノズル部から噴水させ、局部の洗浄を行う手動式の携帯用局部洗浄器も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0006】
しかしながら、これらの携帯用局部洗浄器では、専用の貯留タンクと、これに付設された噴水管及びノズル部が一体化されたものを予め携帯して用意しておかなければ、これを使用することはできず、不便である。
【0007】
一方、ペットボトルは、その中身が無くなれば、殆どが廃棄処分されるが、その廃棄される量が多いため、ゴミ問題の一つになっている。
【0008】
そのため、本出願人等は、かかる課題を解決すべく、専用の貯留タンクを携帯する必要がなく、廃棄されるペットボトルを貯留タンクとして利用し、このペットボトルに連結可能な携帯用局部洗浄器を開発し、既に出願している(例えば、特許文献3参照。)。
【特許文献1】特開平7−255636号
【特許文献2】特開2002−143032号
【特許文献3】特開2006−305067号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この携帯用局部洗浄器によれば、廃棄されるペットボトルの再利用を図り、ゴミ問題をも軽減できると好評を得ているが、しかしこの携帯用局部洗浄器には、以下の問題があった。
【0010】
すなわち、各メーカーから販売されている飲料物に使用されているペットボトルの口部の口径、高さ等は、同一ではなく、各メーカー毎に微妙にサイズが異なっているため、本出願人等が開発した前記携帯用局部洗浄器では、前記口部のサイズの異なるペットボトルをノズル装置に上手く連結できないという問題があった。
【0011】
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするもので、口部のサイズの異なるペットボトルであってもノズル装置を簡単且つ確実に連結可能な携帯用局部洗浄器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、
本発明に係る携帯用局部洗浄器は、ペットボトルの口部に、当該ペットボトル内に貯留された貯留水を通水管を介して噴水するノズル装置を装着してなる携帯用局部洗浄器において、前記口部に内挿可能であって、該口部を封止する拡径縮径可能な弾性体と、前記弾性体を圧縮して拡径させる拡径手段と、前記拡径手段の軸部を上下方向に移動させる操作部と、より構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作部を操作するだけで、ペットボトルの口部に内挿された弾性体が拡径して、前記口部を封止する構造にしているので、前記口部のサイズが異なるペットボトルであっても各々のペットボトルを前記ノズル装置に簡単且つ確実に連結できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る携帯用局部洗浄器を図面とともに説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明に係る携帯用局部洗浄器Aの一実施例を示した全体斜視図、図2は、図1の点線部分を拡大した要部の分解断面図である。
【0016】
この携帯用局部洗浄器Aは、ペットボトルPの口部P1に、当該ペットボトルP内に貯留された貯留水Wを通水管Q1を介して噴水するノズル装置Qを装着してなるものであって、前記口部P1に内挿可能であって、該口部P1を封止する拡径縮径可能な弾性体1と、この弾性体1を圧縮して拡径させる拡径手段2と、該拡径手段2の軸部21を上下方向に移動させる操作部3と、より構成してなる。
【0017】
以下、各部材について詳説する。
【0018】
弾性体1は、ゴム、コルク、シリコン等の素材を筒状に形成して拡径縮径可能にすると共に、前記筒状の外径が、ペットボトルPの口部P1に内挿可能にしてなり、この内挿された弾性体1が拡径手段2により圧縮されて、口部P1を封止する構造にしている。
【0019】
具体的には、ノズル装置Qに内挿された中空状の軸部21を、弾性体1に貫通させると共に、この軸部21の下端に、弾性体1と略同径な座板部22を固定し、該座板部22とノズル装置Qの下端面Q2によって、弾性体1を挟持している。
【0020】
又、軸部21の上端近傍には、操作部3の基端に貫通する連結軸23を設け、該操作部3に連結している。
【0021】
又、座板部22には、軸部21内に貯留水Wが通る通水管Q1を貫通させると共に、この通水管Q1に併設して、ペットボトルP内にのみ通気可能な逆支弁31を設け、ペットボトルP内の貯留水Wを排水可能にしている。
【0022】
なお、ペットボトルP内の貯留水Wが通水管Q1を通じて噴水可能であれば、逆支弁31に代えて、単なる通気穴を開設したものでも構わない。
【0023】
又、拡径手段2は、本実施例で示したような所謂梃子方式の他、例えば、軸部21を螺軸にしてネジ等を締め込んでいくネジ締め式等のような周知な機構を採用できる。
【0024】
なお、ペットボトルPには、様々な形状、容量のものがあるが、これら形状、容量には限定されず、前述の通り、ペットボトルPの口部P1に弾性体1及び下部材3が内挿可能に形成されていれば良い。
【0025】
以上のように構成された本発明の携帯用局部洗浄器Aは、これを袋等に収納しておけば、コンパクトに携帯でき、以下の要領で使用する。
【0026】
先ず、本発明の携帯用局部洗浄器Aを使用する際には、廃棄される空のペットボトルPを入手し、当該ペットボトルP内に水道水や洗浄液等の貯留水Wを貯留するか、或いは、飲料可能な貯留水Wが貯留して市販されているペットボトルPを販売店で購入し、そのボトルキャップを取り外したうえで、ペットボトルPの口部P1内に縮径状態の弾性体1を座板部22と共に差し込んで内挿し、口部P1の上端P1aをノズル装置Qの下端面Q2に接合する。
【0027】
次に、操作部3を図中矢印で示すように下方に押し込んで操作すると、操作部3のカム機構24により、軸部21が持ち上がり、該軸部21を介して座板部22が上方に引き上げられる。
【0028】
そのため、ノズル装置Qの下端面Q2及び座板部22に挟持された弾性体1は、上下方向から圧縮されるため、拡径方向に膨張しようとするが、この拡径方向はペットボトルPの口部P1内壁面に規制されているため、弾性体1が口部P1の内壁面を押圧して密着し、口部P1を完全に封止して、ペットボトルP内の貯留水Wが口部P1から漏水することを完全に防止できる。
【0029】
そして、使用者が用便後、ノズル装置Qを起動させれば、通水管Q1を通じてノズル装置Qの先端からペットボトルP内の貯留水Wが噴水され、局部を洗浄できるのである。
【0030】
このように、本発明によれば、操作部3を操作するだけで、ペットボトルPの口部P1に内挿された弾性体1が圧縮されて拡径し、前記口部P1を封止する構造にしているので、前記口部P1のサイズが異なるペットボトルPであっても各々のペットボトルPを前記ノズル装置Qに簡単且つ確実に連結でき、しかも、廃棄されるペットボトルPを再利用できるので、ペットボトルPによるゴミ問題をも軽減できるのである。
【実施例2】
【0031】
図3は、拡径手段2の他の実施例を示した要部の分解断面図である。
【0032】
ここで、図1〜図3と共通する部材には、同一の符号を付して重複する説明を省略し、以下では、本実施例の特徴についてのみ説明する。
【0033】
すなわち、この拡径手段2は、ノズル装置Qに内挿された中空状の軸部21が、外周にネジ山23を備えた螺軸であり、この軸部21を弾性体1に貫通させると共に、軸部21の下端に、弾性体1と略同径な座板部22を固定し、該座板部22とノズル装置Qの下端面Q2によって、弾性体1を挟持している。
【0034】
一方、ノズル装置Q内の軸部21には、該軸部21に螺合されるネジ溝31aを備えた円板状の操作部3を軸部21の上方から螺合しており、この操作部3を回転させることにより、軸部21を上下に移動させる構造にしている。
【0035】
又、図中Q3は、円板状の操作部3の一部をノズル装置Qの外方から回転操作するための開口部を示し、この開口部Q3の外側から指で操作部3を回転できるようにしている。
【0036】
なお、操作部3の外周側面には、指で滑らないようにローレット加工を施すのが好ましい。
【0037】
このような拡径手段2を備えた携帯用局部洗浄器Aでも、前述同様、ペットボトルPの口部P1内に縮径状態の弾性体1を座板部22と共に差し込んで内挿し、口部P1の上端P1aをノズル装置Qの下端面Q2に接合させる。
【0038】
次に、円板状の操作部3を、周方向に向けて左右何れかの方向に回転操作すると、この操作部3のネジ溝31aが、軸部21のネジ山23に螺合しているため、座板部22が上方に引き上げられる。
【0039】
そのため、ノズル装置Qの下端面Q2及び座板部22に挟持された弾性体1は、上下方向から圧縮されるため、拡径方向に膨張しようとするが、この拡径方向はペットボトルPの口部P1内壁面に規制されているため、弾性体1が口部P1の内壁面を押圧して密着し、口部P1を完全に封止して、ペットボトルP内の貯留水Wが口部P1から漏水することを完全に防止できる。
【0040】
そして、使用者が用便後、ノズル装置Qを起動させれば、通水管Q1を通じてノズル装置Qの先端からペットボトルP内の貯留水Wが噴水され、局部を洗浄できるのである。
【0041】
このように、本発明によれば、操作部3を操作するだけで、ペットボトルPの口部P1に内挿された弾性体1が圧縮されて拡径し、前記口部P1を封止する構造にしているので、前記口部P1のサイズが異なるペットボトルPであっても各々のペットボトルPを前記ノズル装置Qに簡単且つ確実に連結でき、しかも、廃棄されるペットボトルPを再利用できるので、ペットボトルPによるゴミ問題をも軽減できるのである。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明に係る携帯用局部洗浄器Aの一実施例を示した全体斜視図である。
【図2】図1の点線部分を拡大した要部の分解断面図である。
【図3】拡径手段2の他の実施例を示した要部の分解断面図である。
【符号の説明】
【0043】
A 携帯用局部洗浄器
P ペットボトル
P1 口部
Q ノズル装置
Q1 通水管
W 貯留水
1 弾性体
2 拡径手段
21 軸部
3 操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトルの口部に、当該ペットボトル内に貯留された貯留水を通水管を介して噴水するノズル装置を装着してなる携帯用局部洗浄器において、
前記口部に内挿可能であって、該口部を封止する拡径縮径可能な弾性体と、
前記弾性体を圧縮して拡径させる拡径手段と、
前記拡径手段の軸部を上下方向に移動させる操作部と、より構成したことを特徴とする携帯用局部洗浄器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−295843(P2008−295843A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−146401(P2007−146401)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ウォシュレット
【出願人】(593178409)株式会社オーティス (224)
【Fターム(参考)】