説明

携帯用洗眼装置

本発明は、眼の内部又は周囲に存在する外来物質又は化学物質によって緊急洗眼が必要である場合の応急処置に使用される携帯用洗眼装置及び方法に関する。本発明の装置は、2つのロッカーアーム(2)であって、ロッカーアームのそれぞれが、ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(4)を有するとともに、ヒンジの反対側に、ウイング部(5)を有する。ウイング部の手動押圧及びそれによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転が、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開く。本発明の装置は、圧力弁(14)を有するエアロゾル型液体容器(13)に通じる接続部を備える。ロッカーアームには、ウイング部の押圧により、液体容器の圧力弁(14)を加圧し、それにより液体容器からの液体放出が生じるように構成された加圧機構(9)が連設されており、液体放出の開始は、眼瞼を押し開く顎部の押圧と同時に生じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮出願第61/297,421号(出願日:2010年1月22日)の利益を主張し、当該仮出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、眼の内部又は周囲に存在する外来物質又は化学物質によって緊急洗眼が必要である場合の応急処置に使用される携帯用洗眼装置に関する。
【背景技術】
【0003】
大部分の外来物質(特に酸性又はアルカリ性物質及び液体)が眼に入り、閉眼状態で保持されると、開眼及び洗眼が極めて困難となる。危険物質及び液体を伴う事故は、大きな痛み及びダメージを眼に与え、犠牲者にパニック様反応を引き起こすので、迅速かつ効果的な応急処置が特に必要となる。
【0004】
最も一般的な公知の携帯用使い捨て洗眼液は、主として、1又は複数のノズルを有する(加圧下にある軟質プラスチック製ボトル又はアルミニウム製シリンダーからなる)容器からなる。この容器は、洗眼液を含有し、眼用カップ又は補助具が付属された状態又は付属されていない状態で存在する。
【0005】
眼科用及び洗眼用の液体で眼を処置するための従来の装置は、本発明との関連において、以下の4つのグループに分けることができる:
1.パッシブな(passive)眼科用開瞼器及び装置
2.アクティブな(active)眼科用開瞼器及びディスペンサー
3.洗眼用カップ及び装置
4.アクティブな洗眼用開瞼器及び装置
【0006】
パッシブな眼科用開瞼器及び装置
米国特許第6,336,917号及び米国特許第6,569,131号は、眼の治療及び検査用の開瞼器(speculum)、すなわち定量スプレー噴霧装置及びそのための操作方法に関する。
この眼の治療及び検査用装置は、眼を囲む眼窩に接触する周辺端部を有する調整可能な外側ハウジングと、外側ハウジング内に同心円状に設置された、周辺端部を有する内側ハウジングとを備え、眼瞼に接触してこれを開かせ、検査及び治療のために眼を露出させる。内側ハウジングの一端は、当該眼科用装置によって開いた状態に維持された眼に薬物の定量スプレー又は洗浄液を投与するためのディスペンサーを収容できるように構成されている。
【0007】
眼を検査するための、あるいは薬物又は洗浄液を眼に投与するための当該眼科用装置の使用方法は、内側及び外側ハウジングを調整すること、当該装置を眼に設置し、内側ハウジングを眼瞼の周囲に接触させて眼瞼を開かせるとともに、外側ハウジングを眼窩の周囲に接触させることを含む。
【0008】
米国特許第6,336,917号及び米国特許第6,569,131号は、主として眼科用装置及び方法を開示する。この装置は、パッシブな開眼器と、薬物用バイアルを有する定量スプレーとを備える。この装置は携帯可能であるが、洗眼に適しておらず、患者/負傷者自身の操作にも適していない。
【0009】
アクティブな眼科用開瞼器及びディスペンサー
米国特許第4,543,096号は、一端に分注ノズルを有するプラスチック製スクイーズボトルを備えた点眼薬ディスペンサーに関する。環状部は、ボトルのディスペンサー端部にオーバーフィットするとともに、前方に延び、協働して眼瞼に接触する一対のフィンガー部を有する。フィンガー部の前方端部には、それぞれ、眼瞼接触部が設けられており、一方のフィンガー部は、他方に対して枢動可能であり、点眼薬の分注過程において眼瞼接触部を広げる。可動フィンガー部は、眼瞼接触部同士を離間させてボトルをスクイーズして点眼薬を分注する際にボトル側壁と係合するオペレーター伸長部を有する。
【0010】
米国特許第5,064,420号は、眼科用液体を眼に投与する際にヒトの眼を開くのに有用な開瞼器に関する。
この開瞼器は、内部にローブ部を有する環状部を備え、ローブ部は、環状部を眼科用ボトルのスレッド部にねじ込み可能に配置されている。ショルダー部は、環状部に延び、ボトルのスレッド部に対する環状部の係合を制限する。ボトル先端部は、ショルダー部の穴部を貫通する。
【0011】
環状部に対して、一対の可撓性ウイング部が取り付けられている。2つのウイング部の端部には、それぞれ、ヒトの眼瞼の外径に実質的に適合するようにサイズ及び形状が調整されたフランジ部が設けられている。
【0012】
ウイング部はとも圧搾可能であるとともに眼瞼に設置可能である。ウイング部の解除によってウイング部は元の状態に戻り、これにより眼を開かせる。次いで、ボトル中の液滴が開いた眼に投与される。
【0013】
米国特許第4,543,096号及び米国特許第5,064,420号は、アクティブな開瞼器及び眼科用液体の適用を開示し、その意義は、所定の対象者が自分の眼を自分で開くことができ、液体適用の間、眼を開いた状態に維持することができる点にある。ディスペンサーは、典型的には、軟質ボトルであり、液滴形態の液体の適用は、ボトルを絞るだけで実施可能である。したがって、洗眼に関するディスペンサーの能力及び可能性は制限されており、いずれの文献にも、開眼動作と液体適用動作との同時駆動は明確に記載されていない。
【0014】
米国特許第7,331,944号は、流体受容チャンバーを規定する剛性ハウジングと、流体受容チャンバー内に収容可能な柔軟性のある袋(bladder)と、流体受容チャンバーと流体連結したポンプと、弁を開放するノズルとを備えた眼科用ディスペンサーを開示する。弁は、弁座とポンプとの間で流体連結されている。剛性ハウジングは、カートリッジ内に搭載可能であり、カートリッジは、眼瞼押圧器と眼瞼押圧器及びポンプを同時に駆動させるトリガーとを備えるディスペンサーハウジング内に搭載可能である。このため、ディスペンサーは、片方の眼瞼を押圧することができるが、両方の眼瞼を押圧することはできず、したがって、本発明のようなアクティブな開眼器よりも効率が低い。加圧流体の流れは、加圧容器によってではなく、ポンプの駆動によって得られる。さらに、ディスペンサーは、眼科用定量投与を目的としており、本発明のような洗眼を目的としていない。
【0015】
洗眼用カップ及び装置
米国特許第5,201,726号は、洗浄される眼を受容するように構成された洗眼用カップと、スプレーノズルを通じて洗眼液を洗眼用カップに供給するポンプとを備えた洗眼デバイスに関する。洗眼用カップは、スプレーノズルに沿って設けられた注入口を有する。ポンプは、手動式であり、ポンプに接続した独立の容器から洗眼液を供給するためのレバーによって作動し、洗眼用カップを支持するハウジング内に配置されている。
【0016】
米国特許第5,201,726号は、洗眼デバイスを開示する。このデバイスは、洗眼用カップを備えており、片手で操作可能である。しかしながら、このデバイスの携帯性は、独立の液体容器に依存して制限されている。さらに、洗眼用カップは、洗浄廃液を眼から除去するための手段を有していないので、洗浄の間、眼を開いた状態に維持することができない。
【0017】
アクティブな洗眼用開瞼器及び装置
EP0070128は、洗眼装置を開示し、この洗眼装置は、ヒンジでヒンジ連結された2つのロッカーアーム(「ブレード」)であって、ロッカーアームのそれぞれが、ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(「眼瞼係合手段」)を有するとともに、ヒンジの反対側に、ウイング部(ハンドル)を有し、ウイング部の手動押圧及びそれによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転により、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開くロッカーアームを備えている。管状バルブ本体がロッカーアーム間に配置及び支持されており、バルブ本体は、流体源(例えば、水栓)に接続する手段が設けられた可撓性チューブに接続されている。バルブ本体は、通過する流体の流れを手動調整するための調整可能なバルブ手段を備えている。
【0018】
このように、EP0070128は、アクティブな洗眼用開瞼器及び液体適用を開示し、その意義は、所定の対象者が自分の眼を自分で開くことができ、液体適用の間、眼を開いた状態に維持することができる点にある。しかしながら、バルブの駆動は手動で予め決定されるため、ウイング部の押圧と共役していない。さらに、液体源の唯一の具体例は、水栓だけである。
【0019】
一般的に、従来技術は、以下の異なる適用方法を実現する。
1.洗眼用カップ/補助具を使用しない方法:洗眼液が、片手で、ノズルを有する容器/ノズルを通じて眼に直接注入又はスプレーされる。眼は、もう一方の手の親指及び人差し指で開いた状態に維持される。
2.洗眼用カップ/補助具を使用する方法:洗眼用カップ/補助容器が、後傾姿勢で、眼に対して配置され、その後、液体が、片手で、ノズルを通じて眼に注入される。大部分の場合、眼は、もう一方の手の親指及び人差し指で開いた状態に維持される。
【0020】
上記のように、外来物質が眼に入ると痛み及び緊急状況が生じ、負傷者自身の指で又は場合によっては救助者の指で、眼を開かせることが必要となる。これによって、指由来の外来物質及び/又は化学物質が眼及びその周りに伝播するリスクが有意に増加する。
【0021】
外来物質が片方の眼に入っているため、負傷者による方向付けがもう一方の眼だけで可能である場合、距離を判断して動きを制御するのは非常に困難である。方法1において、洗眼用カップ/補助容器が存在していても、容器の操作性が減少するので、安全かつ効率的な洗眼は極めて困難となり得る。方法2では、補助デバイスが使用され、大部分の場合、それは閉じた形状(カップ形状)であり、カップによって眼が覆い隠されるため、洗眼プロセスが視覚的に把握され得る可能性を阻害する。洗眼用カップは、眼を押し開くことはできず、したがって、容器を支持し、液体を眼に向けるという機能を有するだけである。負傷者は、痛みの結果として、強引に眼を閉じる傾向があり、それによって洗浄プロセスが阻害される。
【0022】
さらに、公知の方法では、一方の手で洗浄ボトルを掴み、他方の手で眼を開いた状態に維持するため、負傷者が1回に1つの眼を自分自身で応急処置することを可能とするだけである。
【0023】
全ての場合に、「軟質」容器が使用され、頭を後ろに傾けた状態を維持して液体を眼に注入する必要がある。軟質プラスチック容器の大部分は、洗浄の間にボトル内が減圧されるという欠点があり、そのため、洗浄プロセスが中断され、圧力が上昇したときに再開しなければならない可能性がある。
【0024】
外来物質、特に危険な液体及び物質を伴う眼の事故の応急処置では、大量の洗眼液が必要である。従来の開眼デバイスについて、ここでは公知の開眼デバイス及び点眼ディスペンサー(米国特許第4,543,096号及び米国特許第5,064,420号)に言及した。
【0025】
米国特許第4,543,096号及び米国特許第5,064,420号のような公知の設計で意図されているのは、ある種又は別の種の少量の薬物を眼に投与する必要性がある場合に、効果的であることである。公知の構成には幾つの制限がある。ボトルを絞り、それによってシリンダー内に圧力を生じさせ、液体を眼に押し出すことが可能となるように、設計上、軟質ボトルの使用のみが適合するようになっている。また、設計上、「広いショルダー部」を有する、より大きなボトル/容器を取り付けるのが困難となっている。溶液は、頭を後ろに反らした状態でのみ使用可能であるので、事故の際の行動の自由度が大幅に制限される。さらに、溶液が機能するために、当該発明に従う洗眼容器に搭載されることが必要である。
【0026】
全ての事故の場面において、被害防止という結果を得るために、洗浄が効果的であること、すなわち、迅速、正確かつ十分であることが重要である。全ての状況において、負傷者が、事故の状況に関連した別の目的のために、もう一方の手を自由に使えるように、片手で洗浄が実施可能であることが非常に適切である。すなわち、片手での操作による洗眼は、負傷者の行動(例えば、ドアを開ける、助けを呼ぶ、効果的な応急処置を確実にするためにその他の重要なことを行う)の自由にとって重要な機動性を保証する。さらに、必要な場合、片手での操作は、負傷者による両眼の同時洗浄の可能性を保証する。
【0027】
また、洗浄プロセスが、事故の場面での負傷者の体勢に関わらずに、迅速に開始可能であることが適切である。したがって、負傷者が頭部を一定の位置に維持しなくても、洗浄が実施可能であることが非常に重要である。加えて、洗浄プロセスの間、眼の内部及び周囲に存在する外来物質又は化学物質が眼に侵入するリスクを最小限化することが重要である。
【0028】
最も近接した従来技術と考えられるEP0070128でさえ、弁の駆動と開瞼とは直接的に連動しておらず、同時に生じない。さらに、液体源は、加圧容器ではない。このため、当該装置は、片手での操作に適しておらず、負傷者の行動の自由度が制限される。
【0029】
以上のように、EP0070128とともに引用した文献のいずれにも、従来の洗眼装置の欠点を改善する解決手段の指針は記載されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
このように、従来技術には、単独でも組み合わせでも、洗眼を同時に開始/作動できるアクティブな開眼器を備えた携帯用洗眼デバイスは開示されていない。したがって、本発明の目的は、片手だけを用いて眼を開かせることができ、それと同時に、頭部及び負傷者の体勢に関わらず、眼を多量の液体で迅速かつ的確に洗浄できる解決手段を提供することにある。
【0031】
具体的には、本発明の目的は、次の通りである。
1.眼の周りの皮膚に「汚れた」指で直接触れることなく、眼を開いて洗浄するプロセスを実行し、これにより外来又は危険物質/化学物質がさらに混入するリスクを排除すること。
2.洗浄プロセス全体にわたって眼(片眼又は両眼)を開いた状態に維持すること。
3.洗浄の間、眼とノズルとの間の距離を安全かつ適切な距離に維持すること。
4.洗浄液の最大効果が発揮されるように、洗浄液を眼に直接導くこと。
5.洗浄後、洗浄廃液を障害なく眼から除去すること。
6.容器/洗眼を交換することなく、15分間以上、洗浄すること。
7.応急処置プロセスを通じて、眼の洗浄/処置を自由に観察すること。
8.負傷者が両眼を同時に洗浄可能であること。
9.負傷者の頭部の方向に関わらず、眼(片眼又は両眼)を洗浄すること。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記課題を解決するために、本発明の装置は、開眼器を、組み合わせ対象である洗眼液含有スプレー容器の駆動と組み合わせた装置として開発され、開眼器が機械的に閉じた眼を押し開き、それと同時にスプレー容器を作動させ、それにより眼(片眼又は両眼)を直ちに洗浄する。
【0033】
したがって、本発明は、第1の態様において、ヒンジ(3)でヒンジ連結された2つのロッカーアーム(2)であって、ロッカーアームのそれぞれが、ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(4)を有するとともに、ヒンジの反対側に、ウイング部(5)を有し、ウイング部の手動押圧及びそれによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転により、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開くロッカーアームと、液体容器(13)に通じる接続部(6)とを備えた洗眼装置(1)に関する。ロッカーアームには、ウイング部の押圧により、圧力弁(14)を有するエアロゾル型加圧容器(13)である液体容器の圧力弁(14)を加圧し、それにより液体容器からの液体放出が生じるように構成された加圧機構(9)が連設されている。
【0034】
本発明の装置は、当該装置の顎部を眼瞼に設置し、ウイング部の手動押圧による操作を片手で行うのに適している。したがって、本発明の装置は、顎部が眼瞼に設置され;そして、ウイング部がそれぞれヒンジの反対側に押圧され、それによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転により、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開き、弁を駆動させて容器から液体を放出させ、眼を洗浄する。この洗眼操作は、全体を通じて片手で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、エアロゾル型液体容器を取り付けた本発明の装置の断面図である。
【図2】図2は、本発明の装置の断面図であり、Aは、ウイング部が未押圧状態にある本発明の装置を示し、Bは、ウイング部が押圧状態にある本発明の装置を示す。
【図3】図3は、本発明の装置の上面図であり、Aは、ウイング部が未押圧状態にある本発明の装置を示し、Bは、ウイング部が押圧状態にある本発明の装置を示す。
【図4】図4Aは、本発明の装置の回転断面図であり、図4Bは、本発明の装置の上面図である。
【図5】図5は、エアロゾル型液体容器を取り付けた本発明の装置の底面斜視図である。
【図6】図6は、エアロゾル型液体容器を取り付けた本発明の装置を用いて洗眼する方法を示す図であり、Aは、本発明の装置を眼瞼に設置してウイング部の押圧を開始する状態を示し、Bは、ウイング部の押圧後に洗眼する状態を示す。
【図7】図7は、エアロゾル型液体容器を取り付けた本発明の装置及び取り付けた状態で保管するためのデバイスの側面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[新規な技術的効果]
洗眼液を含有する加圧容器と、それに取り付けられた開眼機構とを組み合わせることにより、緊急性の高い応急処置を自らの手で又は他者の手で迅速、正確、そして効果的に片手で行うことができることが保証される。この組み合わせにより、洗浄が安全、正確、そして、洗眼に必要な液体量及び時間との関係で最適であることが保証され、状況下における負傷者の機動性が飛躍的に向上する。
【0037】
本発明は、滅菌洗浄液を含有する加圧容器と、それに取り付けられた開眼機構とが組み合わせられ、以下の効果を奏する、装置を包含する:
1.負傷した眼を押し開くことができる。
2.負傷した眼は、追加の外来及び危険物体/化学物質の侵入リスクなしに、洗浄プロセスの間、最適な状態で開いている。
3.制御された方向で、効果的な洗眼が可能である。
4.負傷した眼に対して視野が良好であり、洗浄プロセスの制御が可能である。
5.眼を押し開いた時点で、洗眼液が自動的に眼に適用される。
6.眼に最適用量の液体が適用される。
7.必要な時間(1つの容器あたり最低15分間)、洗浄を実施することができる。
【0038】
[定義]
「液体」は、洗眼目的に適するいかなる液体、溶液又は流体であってもよい。一例として、等張(0.9%)滅菌塩化ナトリウム溶液が挙げられる。
【0039】
[発明の詳細な説明]
本発明は、眼の内部又は周囲の外来物体又は化学物質によって緊急洗眼が必要である場合の応急処置に使用される携帯用洗眼装置に関する。
【0040】
第1の態様において、本発明は、ヒンジ(3)でヒンジ連結された2つのロッカーアーム(2)であって、ロッカーアームのそれぞれが、ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(4)を有するとともに、ヒンジの反対側に、ウイング部(5)を有し、ウイング部の手動押圧及びそれによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転により、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開くロッカーアームと、液体容器(13)に通じる接続部(6)とを備えた洗眼装置(1)に関する。ロッカーアームには、ウイング部の押圧により、圧力弁(14)を有するエアロゾル型加圧容器(13)である液体容器の圧力弁(14)を加圧し、それにより液体容器からの液体放出が生じるように構成された加圧機構(9)が連設されている。
【0041】
別の態様において、圧力弁(14)には、容器から延びる円筒状ノズル管(15)が弾性的に取り付けられており、円筒状ノズル管が容器内に押し込まれることにより、容器から円筒状ノズル管を通じて液体が放出される。弾性的に取り付けられた円筒状ノズルは、ウイング部の手動押圧の終了後、ウイング部が非押圧状態に戻るのに寄与する。
【0042】
別の態様において、ロッカーアーム(2)には、実質的にヒンジ(3)の位置に、ロッカーアーム間の弾性ヒンジ作用を生じるワンピース接続部(23)が形成されており、弾性ヒンジ作用により、ウイング部の手動押圧の終了後、ウイング部が非押圧状態に戻る。
【0043】
別の態様において、各顎部が、凹状の接触部(10)を有し、その湾曲部が眼瞼に設置される。接触部(10)は、眼瞼の外形に適合する弾性プラスチック材料で構成することができる。
【0044】
別の態様において、各顎部が、接触部に加えて、接触部(10)とヒンジ(3)との間の接続部(11)を有し、接続部が接触部よりも剛性が高く、それにより、特に接触部が弾性材料で構成される場合に、眼瞼を押し開き、その状態を維持するのに十分な顎部の剛性が保証される。
【0045】
別の態様において、加圧機構が、ノズル管(15)によって支持された、ノズル管を容器の方向へ加圧する第1の本体部(16)と、ノズル管(15)を囲むシュラウド部を構成する第2の本体部(17)とを備え、シュラウド部に、半径方向外向きに延びており、ウイング部(5)と係合するショルダー部(18)が設けられており、ショルダー部が、ウイング部の押圧の際に第1の本体部(16)と係合し、第1の本体部及びノズル管を容器に向けて加圧する。
【0046】
別の態様において、ショルダー部(18)のそれぞれが、外側に向けて延びる傾斜面(19)を有する。
【0047】
別の態様において、ウイング部(5)が、ノズル管(15)を対して一対の傾斜接触面(20)を有し、ウイング部の押圧の際に、傾斜接触面(20)が、ウイング部の押圧によりショルダー部(18)の傾斜面(19)と滑り係合してショルダー部を加圧し、それによりノズル管を容器の方向へ加圧する。傾斜接触面は、凸状の曲面であることができる。
【0048】
別の態様において、シュラウド部の各ショルダー部(18)が、可撓性ヒンジ(21)でシュラウド部とヒンジ連結されている。
【0049】
別の態様において、第2の本体部(17)に、ヒンジ(3)にヒンジ連結されたワンピース顎部を支持する補強部(22)が設けられている。
【0050】
別の態様において、本発明の装置は、眼瞼に装置の顎部を設置する際に、ウイング部の手動押圧による片手での操作(図6A及びB)に適している。したがって、本発明の装置は、顎部が眼瞼に設置され;ウイング部がそれぞれヒンジ(3)の反対側に押圧され、それにより、ヒンジを中心とするロッカーアームの回転が生じて顎部及びそれに伴って眼瞼が押し開かれ、弁(14)が駆動して容器(13)から液体が放出され、眼が洗浄される。この操作は、洗浄過程を通じて片手で実施することができる。
【0051】
洗眼開始から洗眼(片眼又は両眼)までの間の時間は、様々な具体的な目的に十分な時間である。しかしながら、一般的な時間は、容器を交換することなく、10〜20分間である。1分間あたり10〜20mLの液体をスプレーすることによって十分な洗浄が達成され、したがって、容器の液体収容量は好ましくは100〜500mL、さらに好ましくは200〜300mL、最も好ましくは約250mLである。
【0052】
容器中の液体は、洗眼目的に適するいかなる液体であってもよい。一例として、等張(0.9%)塩化ナトリウム溶液が挙げられる。
【0053】
本発明の装置は、ポリプロピレンで構成することができる。
【0054】
本発明の好ましい実施形態及び最良の実施形態において、洗眼装置(1)は、ヒンジ(3)でヒンジ連結された2つのロッカーアーム(2)であって、ロッカーアームのそれぞれが、ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(4)を有するとともに、ヒンジの反対側に、ウイング部(5)を有し、ウイング部の手動押圧及びそれによって生じるヒンジを中心とするロッカーアームの回転により、顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開くロッカーアームと、液体容器(13)に通じる接続部(6)とを備える。ロッカーアームには、ウイング部の押圧により、圧力弁(14)を有するエアロゾル型加圧容器(13)である液体容器の圧力弁(14)を加圧し、それにより液体容器からの液体放出が生じるように構成された加圧機構(9)が連設されている。圧力弁(14)は、容器から延びる円筒状ノズル管(15)が弾性的に取り付けられており、円筒状ノズル管が容器内に押し込まれることにより、容器から円筒状ノズル管を通じて液体が放出される。弾性的に取り付けられた円筒状ノズルは、ウイング部の手動押圧の終了後、ウイング部が非押圧状態に戻るのに寄与する。ロッカーアーム(2)には、実質的にヒンジ(3)の位置に、ロッカーアーム間の弾性ヒンジ作用を生じるワンピース接続部(23)が形成されており、弾性ヒンジ作用により、ウイング部の手動押圧の終了後、ウイング部が非押圧状態に戻る。各顎部は、凹状の接触部(10)を有し、その湾曲部が眼瞼に設置される。接触部(10)は、眼瞼の外形に適合する弾性プラスチック材料で構成することができる。各顎部は、接触部に加えて、接触部(10)とヒンジ(3)との間の接続部(11)を有し、接続部が接触部よりも剛性が高く、それにより、特に接触部が弾性材料で構成される場合に、眼瞼を押し開き、その状態を維持するのに十分な顎部の剛性が保証される。加圧機構は、ノズル管(15)によって支持された、ノズル管を容器の方向へ加圧する第1の本体部(16)と、ノズル管(15)を囲むシュラウド部を構成する第2の本体部(17)とを備え、シュラウド部に、半径方向外向きに延びており、ウイング部(5)と係合するショルダー部(18)が設けられており、ショルダー部が、ウイング部の押圧の際に第1の本体部(16)と係合し、第1の本体部及びノズル管を容器に向けて加圧する。ショルダー部(18)のそれぞれは、外側に向けて延びる傾斜面(19)を有する。ウイング部(5)は、ノズル管(15)を対して一対の傾斜接触面(20)を有し、ウイング部の押圧の際に、傾斜接触面(20)が、ウイング部の押圧によりショルダー部(18)の傾斜面(19)と滑り係合してショルダー部を加圧し、それによりノズル管を容器の方向へ加圧する。傾斜接触面は、凸状の曲面であることができる。シュラウド部の各ショルダー部(18)は、可撓性ヒンジ(21)でシュラウド部と連結されている。第2の本体部(17)には、ヒンジ(3)にヒンジ連結されたワンピース顎部を支持する補強部(22)が設けられている。
【0055】
本発明の装置は、眼瞼に装置の顎部を設置する際に、ウイング部の手動押圧による片手での操作(図6A及びB)に適している。したがって、本発明の装置は、顎部が眼瞼に設置され;ウイング部がそれぞれヒンジ(3)の反対側に押圧され、それにより、ヒンジを中心とするロッカーアームの回転が生じて顎部及びそれに伴って眼瞼が押し開かれ、弁(14)が駆動して容器(13)から液体が放出され、眼が洗浄される。この操作は、洗浄過程を通じて片手で実施することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ(3)でヒンジ連結された2つのロッカーアーム(2)であって、前記ロッカーアームのそれぞれが、前記ヒンジの片側に、眼瞼に設置する顎部(4)を有するとともに、前記ヒンジの反対側に、ウイング部(5)を有し、前記ウイング部の手動押圧及びそれによって生じる前記ヒンジを中心とする前記ロッカーアームの回転により、前記顎部及びそれに伴って眼瞼を押し開く前記ロッカーアームと、液体容器(13)に通じる接続部(6)とを備えた洗眼装置(1)であって、
前記ウイング部の押圧により、圧力弁(14)を有するエアロゾル型加圧容器(13)である前記液体容器の圧力弁(14)を加圧し、それにより前記液体容器からの液体放出が生じるように構成された加圧機構(9)が、前記ロッカーアームに連設されていることを特徴とする前記装置。
【請求項2】
エアロゾル型液体容器(13)を有する請求項1に記載の装置であって、前記液体容器が、加圧液体と、前記容器から延びる円筒状ノズル管(15)が弾性的に取り付けられた圧力弁(14)とを有する容器であり、前記円筒状ノズル管が前記容器内に押し込まれることにより、前記容器から前記円筒状ノズル管を通じて液体が放出される前記装置。
【請求項3】
前記ロッカーアーム(2)には、実質的にヒンジ(3)の位置に、前記ロッカーアーム間の弾性ヒンジ作用を生じるワンピース接続部(23)が形成されており、前記弾性ヒンジ作用により、前記ウイング部の手動押圧の終了後、前記ウイング部が非押圧状態に戻る、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
各顎部が、凹状の接触部(10)を有し、その湾曲部が眼瞼に設置される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記接触部(10)が、眼瞼の外形に適合する弾性プラスチック材料からなる、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
各顎部が、接触部に加えて、前記接触部(10)と前記ヒンジ(3)との間の接続部(11)を有し、前記接続部が前記接触部よりも剛性が高い、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項7】
前記加圧機構が、前記ノズル管(15)によって支持された、前記ノズル管を前記容器の方向へ加圧する第1の本体部(16)と、前記ノズル管(15)を囲むシュラウド部を構成する第2の本体部(17)とを備え、前記シュラウド部に、半径方向外向きに延びており、前記ウイング部(5)と係合するショルダー部(18)が設けられており、前記ショルダー部が、ウイング部の押圧の際に前記第1の本体部(16)と係合し、前記第1の本体部及び前記ノズル管を前記容器に向けて加圧する、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ショルダー部(18)のそれぞれが、外側に向けて延びる傾斜面(19)を有する、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ウイング部(5)が、前記ノズル管(15)に対して一対の傾斜接触面(20)を有し、前記ウイング部の押圧の際に、前記傾斜接触面(20)が、前記ウイング部の押圧により前記ショルダー部(18)の前記傾斜面(19)と滑り係合して前記ショルダー部を加圧し、それにより前記ノズル管を前記容器の方向へ加圧する、請求項7又は8に記載の装置。
【請求項10】
前記傾斜接触面が凸状の曲面である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記シュラウド部の各ショルダー部(18)が、可撓性ヒンジ(21)で前記シュラウド部とヒンジ連結されている、請求項7〜10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記第2の本体部(17)に、前記ヒンジ(3)にヒンジ連結されたワンピース顎部を支持する補強部(22)が設けられている、請求項7〜11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、眼瞼に前記装置の前記顎部を設置する際に、前記ウイング部の手動押圧によって片手で操作される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517073(P2013−517073A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549248(P2012−549248)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【国際出願番号】PCT/DK2011/050013
【国際公開番号】WO2011/088833
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512190583)ファースト エイド カンパニー アンパーツゼルスカブ (1)
【Fターム(参考)】