説明

携帯用運動強度報知器

【課題】 携帯用運動強度報知器において、安価小型軽量化を図り、運動強度を正確に測定可能とし、また自己の適正運動限界強度を正確に設定して運動強度がそれに達したら報知させることを可能とする。
【解決手段】 呼吸センサ2と、該センサ2からの出力に基づいて単位時間当たりの呼吸数を計測し、所定の呼吸数を設定値として入力可能とし、入力された設定値を記憶し、この記憶した設定値と上記計測された単位時間あたりの計測呼吸数とを比較し、上記計測呼吸数が上記設定値に達したらもしくは上記設定値を超えたらそのことを報知するするようにした報知器本体4とを備えてなる。上記呼吸センサ2は、鼻腔内の呼気および吸気の温度に基づいて呼吸を検出するものであって、鼻中隔を挟持する挟持体6と、該挟持体6に設けた呼気および吸気の温度を検出する温度センサ8とで構成することができる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ウォーキングあるいはジョギング等の運動を行う際に使用し、運動強度が例えば無酸素的作業閾値(無酸素性代謝閾値)と称される適正運動限界強度(以下本明細書で言う適正運動限界強度とはこの無酸素的作業閾値を意味する)に達したことを報知し得るようにした携帯用運動強度報知器に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、健康の維持・増進のため、ウォーキングやジョギングを実践する人、あるいはスポーツクラブやフィットネスクラブを利用する人が増大している。しかしながら、運動を行う場合には個人個人にそれぞれいわゆる無酸素的作業閾値と称される適正運動限界強度があり、その適正運動限界強度を越えて運動を行う、つまり適正運動限界を超える運動強度で運動を行うことは、健康の維持・増進に何ら役立たないばかりか、かえって逆効果となる場合もあり、実際にはその適正運動限界を超えて運動を行っている場合も多々見受けられる。
【0003】
そこで、最近、運動時の脈拍数を測定してこの脈拍数を介して運動強度を求め、予め自分が設定した運動強度(脈拍数)に達したら警報を発するようにした携帯用の運動強度報知器が種々提案されている。
【0004】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上記脈拍数を測定しこれを介して運動強度を求める従来の報知器は、次のような問題を有する。
【0005】
まず一つは、脈拍数を正確に検出することが困難であるという問題である。即ち、携帯用運動強度報知器としては脈拍数測定器も軽量小型で安価なものを使用する必要があり、そのため従来のものでは通常指先にセンサを接触させて脈拍数を検出する軽量小型の簡易型測定器を用いるのが一般的であるが、そのような軽量小型の簡易型測定器ではどうしても測定精度に限界があり、またコストの制限もあって測定精度を向上させることが困難であった。また、そのような指先にセンサを接触させて測定するタイプのものは、静止状態で測定する場合はともかく、運動状態では振動によりセンサのずれが生じて測定誤差が発生し、この面からも正確な測定を行うことが困難であった。
【0006】
また、運動中の脈拍数は必ずしも運動強度に正確に対応せず、いわゆる脈拍数の飛びという現象が生じ、脈拍数からは必ずしも運動強度を正確に知ることはできなかった。
【0007】
さらに、運動強度を徐々に上げていくと脈拍数が大きくなっていくが、上述の適正運動限界強度に達した際の脈拍数の変化には目立った現象が現れず、一般の人にとっては脈拍数の変化のみから自己の適正な運動限界を知ることは容易ではなく、従って自分で適正な運動限界に相当する脈拍数を見つけてその値を警報を発生させる設定値として入力することができず、その結果運動強度が適正運動限界強度に達したことを報知させることが困難であると言う問題もあった。
【0008】
本考案の目的は、上記事情に鑑み、小型軽量安価であって運動強度を正確に測定することができ、また自己の適正運動限界を正確に設定して運動強度がそれに達したら報知させることが容易な携帯用運動強度報知器を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本考案に係る携帯用運動強度報知器は、上記目的を達成するため、 呼吸を検出する呼吸センサと、 上記呼吸センサからの出力に基づいて単位時間あたりの呼吸数を計測する呼吸数計測部、所定の呼吸数を設定値として入力可能な設定値入力部、上記設定値入力部から入力された設定値を記憶し、この記憶した設定値と上記呼吸数計測部によって計測された単位時間あたりの計測呼吸数とを比較する比較部、および該比較部による比較結果を受けて上記計測呼吸数が上記設定値に達したらもしくは上記設定値を超えたらそのことを報知する報知部とを有する、携帯可能な報知器本体とを備えてなることを特徴とする。
【0010】
上記呼吸センサとしては、鼻腔内の呼気および吸気の温度に基づいて呼吸を検出するものであって、鼻中隔を挟持する挟持体と、該挟持体に設けた呼気および吸気の温度を検出する温度センサとを備えてなるものを用いることができる。
【0011】
上記挟持体としては、湾曲部と、該湾曲部の両端から延び互いに対向して鼻中隔を挟持すべく近接すると共に互いの先端が鼻中隔を挿入すべく離間した一対の挟持部とを有し、全体が弾性材で形成されて弾性により上記一対の挟持部で鼻中隔を挟持するものを用いることができる。
【0012】
上記弾性材としてはプラスチックを、上記温度センサとしてはサーミスタを用いることができる。
【0013】
さらに、上記呼吸数計測部としては、上記呼吸センサから出力された温度変化に基づいて呼吸一回当たりの時間を求め、該呼吸一回当たりの時間から単位時間当たりの呼吸数を計測するものを用いることができる。
【0014】
なお、上記「計測呼吸数が設定値に達したらもしくは設定値を超えたらそのことを報知する」の具体的態様は、以下に説明する実施形態のように単位時間当たりの呼吸数を連続して計測していく場合、その計測呼吸数が1回でも設定値に達したらもしくは設定値を超えたら直ちにそのことを報知するものに限らず、例えばその計測呼吸数が複数回連続して設定値に達したらもしくは設定値を超えたら初めて計測呼吸数が設定値に達したもしくは設定値を超えたと判断してそのことを報知するもの等、種々の態様を取り得る。
【0015】
【考案の効果】
本考案に係る携帯用運動強度報知器は、上記のように、呼吸を検出する呼吸センサを備え、この呼吸センサからの出力に基づいて単位時間当たりの、例えば一分間当たりの呼吸数を計測し、この計測呼吸数が予め記憶させた設定値に達したら、あるいは越えたらそのことを報知するようにしたものである。即ち、本考案に係る携帯用運動強度報知器は、運動強度を呼吸数を介して測定するようにしたものである。
【0016】
呼吸数は例えば鼻腔中の温度変化、つまり鼻腔を通る呼気の温度(体温)と吸気の温度(外気温)とが異なることから鼻腔中の温度変化を検出することにより容易に求めることができる。また、その場合の測定器としては単に鼻腔中に温度センサを位置させるだけでよいので、極めて小型軽量であってかつ安価なものとすることができ、しかもその温度変化から容易かつ正確に単位時間当たりの呼吸数を計測することができる。
【0017】
また、その計測は単に鼻腔中の温度を検出するだけで良いので、温度センサが鼻腔中で振動しても測定精度に大きな影響はなく、従って運動中であっても正確に計測することができる。
【0018】
また、呼吸数は上述の無酸素的作業閾値と称される適正運動限界強度に非常に高に相関を有し、運動中に脈拍数のような飛びという現象も生じないので、呼吸数に基づいて運動強度を求めることにより、運動強度が上記適正運動限界強度に達したことを正確に知ることができる。
【0019】
さらに、呼吸数は運動強度を増大させていっても初めの内は余り増加しないが、上記適正運動限界強度に達すると急激に増加する。即ち、呼吸数は適正運動限界強度に達した場合明らかな変化を生じる。従って、一般の人でも、運動強度を徐々に増加させながら呼吸数を計測することにより、呼吸数が急に増加した時点の運動強度が自己の適正運動限界強度であることを容易に知ることができ、その結果、そのようにして知り得た適正運動限界強度に対応する呼吸数を設定値として入力することにより容易に、運動中に自己の運動強度が適正運動限界強度に達したことを報知させるようにすることができる。
【0020】
なお、呼吸数と運動強度との関係については、運動生理学上次のことが判明している。即ち、一般に運動強度を徐々に上げていくと、例えばジョギングの場合走る速度を徐々に上げていくと、体が必要とする酸素量はほぼ直線的に増大する。この場合、呼吸による空気の取り入れ量(肺での換気量)が増大することとなるが、速度が遅い領域では、肺換気量の増大は一回あたりの呼吸量の増大でまかなわれ呼吸数自体はあまり増加せず、ある速度まで上昇すると一回あたりの呼吸量が最大に達してそれ以上増加させることができなくなり、それ以降は呼吸数を増加させることで肺換気量の増大がまかなわれる。
【0021】
そして、一回あたりの呼吸量が最大になって呼吸数が増加し始めると、それまで余り増加しなかった呼吸数がある幅を持って急激に増加し、この呼吸数の急激な増加が生じるとそれ以降血液中の乳酸も増加し始める。つまり、この呼吸数が急激に増加するところが乳酸の増加開始点であり、いわゆる無酸素的作業閾値である。また、一般に、運動強度が上記無酸素的作業閾値よりも低い場合は主として体内の脂肪が燃焼し、それ以上の強度の場合は体内の炭水化物が燃焼する。
【0022】
しかして、一般的に体内脂肪の燃焼あるいは健康の維持・増進を目的とする運動はこの無酸素的作業閾値以下で行うことが好ましく、この無酸素的作業閾値が一つの適正運動限界強度となり、それ以上の強度の運動は体内脂肪の燃焼あるいは健康の維持・増進に役立たないばかりか、場合によっては逆効果となる。
【0023】
【実施の形態】
以下、本考案の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は本考案に係る携帯用運動強度報知器の一実施形態を示す斜視図である。
図示のように、本実施形態に係る携帯用運動強度報知器は、呼吸センサ2と報知器本体4とで構成されている。
【0025】
呼吸センサ2は、鼻に装着して使用され、鼻腔を通過する呼気および吸気の温度に基づいて呼吸を検出するものである。この呼吸センサ2は、鼻中隔を挟持する挟持体6と、該挟持体6に設けた呼気および吸気の温度を検出する温度センサ8と、該温度センサ8による測定結果を報知器本体4に入力するためのケーブル10および差込プラグ12とを備えてなる。
【0026】
上記挟持体6は、湾曲部6aと、該湾曲部6aの両端から延び互いに対向して鼻中隔を挟持すべく近接すると共に互いの先端が鼻中隔を挿入すべく離間した一対の挟持部6bと、挟持体6を鼻に取り付け取り外しするための把持部6cとを有し、全体が弾性材で一体に形成されて弾性により上記一対の挟持部6bで鼻中隔を挟持するように構成されている。上記弾性材および温度センサ8としては種々のものを用いうるが、本実施形態では、上記弾性材としてプラスチックを、上記温度センサ8としてサーミスタを用いている。
【0027】
この呼吸センサ2は、該呼吸センサ2を鼻に装着した状態で鼻部分を縦断面とした図2に示すように、挟持体6で鼻中隔14を挟持することにより鼻16に装着して用いられる。呼吸センサ2を鼻16に装着するときは、挟持体の把持部6cを持って挟持体6を鼻の下方から矢印A方向に進め、一対の挟持部6cの間を鼻中隔の先端で少し押し広げてその間に鼻中隔14を挿入させて該挟持部6cで鼻中隔14を両側から挟持体6の弾性により挟持させれば良く、呼吸センサ2を鼻16から取り外すときは、把持部6cを持って挟持体6を矢印Aと反対の方向に引っ張ればよい。
【0028】
なお、上記呼吸センサ6においては、上記ケーブル10の温度センサ接続側端部10aは、上記挟持体の湾曲部6aの内側を通って湾曲部6aに形成した穴6dから湾曲部6aの外側に出るように配線され、かつ湾曲部6aの内側において湾曲部6aの内面に設けられた保持部6eでその位置に固定保持され、これにより例えケーブル10がプラグ12側から引っ張られてもその力がケーブル10と温度センサ8との接続部に及ばないようにされている。
【0029】
上記報知器本体4は、図1および報知器本体4の構成を示すブロック図である図3に示すように、上記呼吸センサ2からの出力に基づいて単位時間当たりの呼吸数を計測する呼吸数計測部20と、所定の呼吸数を設定値として入力可能な設定値入力部22と、上記設定値入力部22から入力された設定値を記憶し、この記憶した設定値と上記呼吸数計測部20によって計測された単位時間当たりの計測呼吸数とを比較する比較部24と、この比較部24による比較結果を受けて上記計測呼吸数が上記設定値に達したらもしくは上記設定値を超えたらそのことを報知する報知部26とを有すると共に、さらに上記呼吸数計測部20で計測した単位時間あたりの呼吸数を表示する呼吸数表示領域28aと上記設定値入力部22により入力した設定値を表示する設定値表示領域28bとを有する表示部28と、報知器本体4の電源をオンオフするオンオフボタン30と、上記呼吸センサの差込プラグ12を差し込むためのプラグ差込穴32とを有している。
【0030】
上記呼吸数計測部20については後に説明する。上記設定値入力部22は図1に示すようにアップボタン22aとダウンボタン22bとを有し、これらのボタンを用いて設定値を入力する。設定値表示領域28bの数字がアップボタン22aを一回押す毎に1ずつ増え、ダウンボタン22bを一回押す毎に1ずつ減り、この設定値表示領域28bに表示されている数字が設定値として上記比較部24に記憶される。上記報知部26は、要するに本運動強度報知器の使用者に対して、上記計測呼吸数が上記設定値に達したらもしくは上記設定値を超えたらそのことを報知するすることができるものであれば良く、本実施形態では音を発して報知するようにしているが、報知の具体的方法は音に限らず、報知器本体を振動させたり、あるいは表示部を光らすなど種々の方法を採用することができる。
【0031】
次に、上記運動強度報知器の使用方法および作動について説明する。
【0032】
まず、報知器本体4を、図1に示す携帯ケース36に収容し、該ケース36に固定されているベルト38により着ている衣服の適当な部分に固定する。あるいはベルト38としてもう少し長いものを用い、このベルト38で腰部に巻き付けて固定する。40はベルト38に設けた面ファスナである。次に、上記呼吸センサ2を図2に示すように鼻に装着し、ケーブル10を耳殻に掛け、差込プラグ12をプラグ差込穴32に差し込む。次いで、オンオフボタン30を押して報知器本体4の電源を入れ、設定値入力部22により所望の設定値を入力する。
【0033】
この場合設定値としては使用者の運動目的に応じて適宜の値を入力することができるが、例えば上述の脂肪の燃焼あるいは健康の維持・増進を目的とする場合は自己の適正運動限界強度に対応する単位時間あたりの呼吸数を入力すればよい。自己の適正運動限界強度に対応する呼吸数は予め既知であればそれを用いればよいが、既知でなければ専門施設で測定してもらえばよく、あるいは適正運動限界強度は運動していて苦しくなったなと感じる強度と概ね一致するので、そのときの呼吸数を調べておいてその数値を入力することもできる。
【0034】
さらには、上述のように、専門的な研究によりいわゆる無酸素的作業閾値と称される適正運動限界強度と呼吸数との間には明らかに相関があることが判明しており、その相関を用いて自己の適正運動限界強度に対応する呼吸数を知ることもできる。即ち、図4は専門施設である人の適正運動限界強度を測定したときの一分間当たりの呼吸数の変化を示す表である。このときの測定は、被測定者がランニングを行い、かつそのランニングの速度を徐々に速くし(運動強度を徐々に上げ)、各種データを測定してそのデータに基づいて運動限界強度を測定したものであるが、このときの被測定者の運動限界強度は運動を始めて6分経過したときの運動強度であった。そして、その運動を初めて6分経過するまでの呼吸数と6分経過した後の呼吸数とを比較してみると、6分経過するまでは呼吸数は概ね30以下でそれほど増加しないが、6分経過した時点で急に32程度まで増加し、以後はこの32程度をベースにして増加していることが認められる。即ち、運動を初めてから適正運動限界強度に達すると、丁度そのときに呼吸数が大きく上昇することが認められる。従って、何らかの方法で呼吸数を記録しながらランニングを行い、後でその呼吸数の変化を調べて呼吸数が急に増大したところの呼吸数が適正運動限界強度に対応する呼吸数であることを知ることができ、そうすることによって比較的容易に自己の適正運動限界強度に対応する呼吸数を正確に知ることができる。
【0035】
以上のようにして設定値を入力したら、ランニングを開始する。そうすると、ランニング中において呼吸センサ2から鼻腔を通る呼気および吸気の温度が温度センサ8によって測定され、その温度データが報知器本体の呼吸数計測部20に入力される。図5にこの温度データの一例を示す。図示のように、呼気の温度は高く、吸気の温度は低いことから温度データは高低を周期的に繰り返すこととなり、温度の低い吸気期間と温度の高い呼気期間とを組み合わせた一つの区間P1、P2、……がそれぞれ一つの呼吸期間に相当する。そこで、呼吸数計測部20では、呼気温度と吸気温度との電圧レベルを測定し、その2値の移動平均値をしきい値Thとして、入力された温度データがそのしきい値になった時点から次の次にそのしきい値になった時点までの時間T1、T2、……を順次計測する。そして、呼吸期間P1の時間T1を測定したら、この時間T1に基づいて一分間当たりの呼吸数60/T1を計算すると共にそれを次の呼吸期間P2の間表示部28に表示し、一方この呼吸期間P2においても同様に呼吸時間T2を測定し、この時間T2に基づいて一分間当たりの呼吸数60/T2を計算すると共にそれを次の呼吸期間P3の間表示部28に表示し、以後これを繰り返す。
【0036】
なお、図2に示すように温度センサ8を鼻腔15内に位置させておけば、鼻呼吸の場合は勿論のこと、口呼吸の場合でも鼻腔15内において僅かな温度変化があるので、この温度変化を検出することにより、同様に単位時間当たりの呼吸数を計測することができる。
【0037】
以上のようにして単位時間当たりの呼吸数を計測すると、この計測呼吸数が比較部24に入力され、該比較部24で記憶されている設定値と入力された計測呼吸数とが比較され、計測呼吸数が設定数に達したら、あるいは設定数を越えたらその旨の信号を報知部26に出力し、報知部26はその信号を受けると警報ブザーを発して運動強度が予め設定した強度に達したことを使用者に報知する。
【0038】
なお、上記実施形態においては単位時間当たりの呼吸数を、呼吸期間P2では呼吸期間P1での呼吸時間T1に基づいて、呼吸期間P3では呼吸期間P2での呼吸時間T2に基づいてというように、それぞれ前の一回の呼吸期間における呼吸時間のみに基づいて計算しているが、それぞれ前の複数回の呼吸期間での呼吸時間に基づいて、つまりいわゆる移動平均値に基づいて計算することもできる。
例えば、呼吸期間P4では、それより前の複数の呼吸期間例えば3つの呼吸期間P1,P2,P3における呼吸時間T1,T2,T3の平均値を求めてその平均値に基づいて60×3/(T1+T2+T3)で一分間当たりの呼吸数を計算して表示し、呼吸期間P5では、それより前の3つの呼吸期間P2,P3,P4における呼吸時間T2,T3,T4の平均値を求めてその平均値に基づいて60×3/(T2+T3+T4)で一分間当たりの呼吸数を計算して表示し、以後同様に計算して表示することもできる。なお、図5において縦軸は温度の高低を、横軸は時間の経過を示す。
【0039】
上記実施形態に係る携帯用運動強度報知器は、上述のように弾性(柔軟性)のあるプラスチック成形した挟持体にサーミスタを組み込んで呼吸センサを構成したので、該呼吸センサを極めて簡単にかつ軽量にしかも小型で安価に構成することができる。また、この呼吸センサは鼻中隔を両側から挟持して鼻に装着するので、鼻腔内にぴったり収まり、しっかりと装着されるので、運動中もブラブラすることがなく快適に運動を続けることができる。
【0040】
また、呼吸を温度変化で検出するため、運動に伴う振動に影響されることなく、運動中も常にその時点での呼吸数を正確に検出することができる。さらに、報知を行う呼吸数は任意に設定することができるので、例えば体調に応じて、あるいは運動目的に応じて、さらには運動の結果適正運動限界強度が大きくなった場合それに応じて、適宜に設定値を変えることができる。
【0041】
本考案に係る携帯用運動強度報知器は、上記実施形態に限定されるものではなく、本考案の要旨を超えない範囲において種々の変更態様を取り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る携帯用運動強度報知器の一実施形態を示す斜視図
【図2】呼吸センサを鼻に装着した状態を示す図
【図3】報知器本体を示すブロック図
【図4】呼吸数の変化の一例を示す表
【図5】呼吸数計測部による計測方法を示す説明図
【符号の説明】
2 呼吸センサ
4 報知器本体
6 挟持体
6a 湾曲部
6b 挟持部
14 鼻中隔
15 鼻腔
16 鼻
20 呼吸数計測部
22 設定値入力部
24 比較部
26 報知部

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 呼吸を検出する呼吸センサと、上記呼吸センサからの出力に基づいて単位時間あたりの呼吸数を計測する呼吸数計測部、所定の呼吸数を設定値として入力可能な設定値入力部、上記設定値入力部から入力された設定値を記憶し、この記憶した設定値と上記呼吸数計測部によって計測された単位時間あたりの計測呼吸数とを比較する比較部、および該比較部による比較結果を受けて上記計測呼吸数が上記設定値に達したらもしくは上記設定値を超えたらそのことを報知する報知部とを有する、携帯可能な報知器本体とを備えてなることを特徴とする携帯用運動強度報知器。
【請求項2】 上記呼吸センサが、鼻腔内の呼気および吸気の温度に基づいて呼吸を検出するものであり、鼻中隔を挟持する挟持体と、該挟持体に設けた呼気および吸気の温度を検出する温度センサとを備えてなることを特徴とする請求項1記載の携帯用運動強度報知器。
【請求項3】 上記挟持体が、湾曲部と、該湾曲部の両端から延び互いに対向して鼻中隔を挟持すべく近接すると共に互いの先端が鼻中隔を挿入すべく離間した一対の挟持部とを有し、全体が弾性材で形成されて弾性により上記一対の挟持部で鼻中隔を挟持するものであることを特徴とする請求項2記載の携帯用運動強度報知器。
【請求項4】 上記弾性材がプラスチックであり、上記温度センサがサーミスタであることを特徴とする請求項3記載の携帯用運動強度報知器。
【請求項5】 上記呼吸数計測部が、上記呼吸センサから出力された温度変化に基づいて呼吸一回当たりの時間を求め、該呼吸一回当たりの時間から単位時間当たりの呼吸数を計測するものであることを特徴とする請求項2記載の携帯用運動強度報知器。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【登録番号】第3047782号
【登録日】平成10年(1998)2月4日
【発行日】平成10年(1998)4月24日
【考案の名称】携帯用運動強度報知器
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平9−8852
【出願日】平成9年(1997)10月6日
【出願人】(000132563)株式会社セルコ (2)