携帯端末、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システム
【課題】プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができる。
【解決手段】各ユーザが携帯している携帯端末が有するブルートゥース通信の探索機能によってどの携帯端末を検出したのかの履歴が管理サーバ1により管理される。ある携帯端末による探索によって検出された携帯端末のユーザは、探索を行った携帯端末のユーザの近くにいたことになる。ある携帯端末のユーザが新型インフルエンザなどの感染症にかかっていることが判明した場合、そのユーザの携帯端末による探索結果の履歴に基づいて、近くにいたことがある、すなわち、同じ感染症に感染している可能性のあるユーザが特定され、感染している可能性のあることが通知される。本発明は、近距離無線通信の機能を有する携帯電話機に適用することができる。
【解決手段】各ユーザが携帯している携帯端末が有するブルートゥース通信の探索機能によってどの携帯端末を検出したのかの履歴が管理サーバ1により管理される。ある携帯端末による探索によって検出された携帯端末のユーザは、探索を行った携帯端末のユーザの近くにいたことになる。ある携帯端末のユーザが新型インフルエンザなどの感染症にかかっていることが判明した場合、そのユーザの携帯端末による探索結果の履歴に基づいて、近くにいたことがある、すなわち、同じ感染症に感染している可能性のあるユーザが特定され、感染している可能性のあることが通知される。本発明は、近距離無線通信の機能を有する携帯電話機に適用することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関し、特に、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができるようにした携帯端末、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザの流行が懸念されている。新型インフルエンザは飛沫感染によって広まることから、感染者の近くにいた人は感染者からうつされてしまうおそれがある。感染者の近くにいた人が感染してしまった場合、その人の近くにいた人もまた、新たな感染者からうつされてしまうおそれがある。
【0003】
感染者の近くいたことがあるかどうかが分かれば、感染者の近くにいたことがある人は人との接触を避けるなどの対応を取ることができ、これにより、感染者の近くにいたことがある人からの感染、すなわち、二次感染を防ぐことができる。
【0004】
そこで、携帯電話機に搭載されているGPS(Global Positioning System)機能を利用し、感染者が特定されたときに、感染者の近くにいたことがある人に対して、そのことを電子メールによって通知するシステムが提案されている。
【0005】
例えば、非特許文献1に記載されているシステムにおいては、各ユーザの移動履歴をサーバ上のデータベースに蓄積しておき、あるユーザが感染症にかかっていることが判明した場合、感染している可能性があるユーザを移動履歴に基づいて特定し、特定したユーザに、その旨を電子メールによって通知するようになされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“感染者に近づけばメールが届く 携帯電話で秋にも実験”、2009年5月3日[2009年5月20検索]、インターネット,<URL:http://www.asahi.com/business/update/0502/TKY200905020184.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなシステムにおいては、データベース上の移動履歴から、誰が、いつ、どこにいたのかを特定できることになり、移動履歴が収集されることに対して心理的な抵抗を感じるユーザも少なくない。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯端末は、近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段とを備える。
【0010】
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段をさらに設けることができる。
【0011】
前記記憶手段には、さらに、前記他の携帯端末との間で確保された前記第1の無線通信のリンクの数の情報を含む前記探索結果の情報を記憶させることができる。
【0012】
本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する設定手段とを備える。
【0013】
前記記憶手段には、前記第1の携帯端末から送信されてきた、前記第2の携帯端末との間で確保された前記無線通信のリンクの数の情報をさらに含む前記探索結果の情報を記憶させ、前記設定手段には、前記リンクの数が閾値の数より多い場合、前記フラグを設定させることができる。
【0014】
本発明の情報処理方法は、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶し、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定するステップを含む。
【0015】
本発明の情報処理システムは、上記携帯端末と情報処理装置から構成される。
【0016】
本発明の携帯端末においては、近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末が、前記第1の無線通信によって探索され、探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報が記憶され、記憶されている前記探索結果の情報が、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信される。また、前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報が出力される。
【0017】
本発明の情報処理装置および情報処理方法においては、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報が記憶され、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末が特定され、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】ブルートゥース通信の探索可能範囲を示す図である。
【図3】探索情報の例を示す図である。
【図4】接触端末リストの例を示す図である。
【図5】感染リスクフラグの確認について説明する図である。
【図6】携帯端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】携帯端末の機能構成例を示すブロック図である。
【図8】管理サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【図9】携帯端末の通信処理について説明するフローチャートである。
【図10】携帯端末の感染登録処理について説明するフローチャートである。
【図11】管理サーバの処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムの構成と動作]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、この情報処理システムは、管理サーバ1と、携帯電話機などの携帯型の端末である携帯端末A乃至Cがネットワーク2を介して接続されることによって構成される。図1においては、携帯端末A乃至Cの3台の携帯端末を示しているが、さらに多くの携帯端末がネットワーク2には接続される。
【0022】
携帯端末A乃至Cは、それぞれ、在圏しているセルを管理する基地局とW-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)、CDMA2000などの規格に従って無線通信を行うことによってネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して管理サーバ1と通信を行う。また、携帯端末A乃至Cは、それぞれ、ブルートゥース(Bluetooth(商標))通信によって、近くに存在する携帯端末と端末間で通信を行う。
【0023】
すなわち、携帯端末A乃至Cは、基地局とネットワーク2を経由して管理サーバ1などの他の装置と無線通信を行う機能である携帯通信(第2の無線通信)の機能と、ブルートゥース通信(第1の無線通信)の機能との2つの無線通信機能を有している。
【0024】
図1の情報処理システムにおいては、各ユーザが携帯している携帯端末A乃至Cのブルートゥース通信の探索機能によってどの携帯端末を検出したのかの履歴が、管理サーバ1により管理される。ある携帯端末による探索によって検出された携帯端末のユーザは、探索を行った携帯端末のユーザの近くにいたことになる。
【0025】
また、ある携帯端末のユーザが新型インフルエンザなどの感染症にかかっていることが判明した場合、そのユーザの携帯端末による探索結果の履歴に基づいて、近くにいたことがある、すなわち、同じ感染症に感染している可能性のあるユーザが特定され、特定されたユーザの携帯端末が管理サーバ1にアクセスしたタイミングで、感染している可能性のあることが管理サーバ1から通知される。一連の処理の流れについては後述する。
【0026】
ここで、携帯端末A乃至Cが行うブルートゥース通信について説明する。図2は、探索可能範囲を示す図である。
【0027】
ブルートゥース通信は、ワイヤレスフォンやアドレス帳のデータの交換などのために近距離にある端末間で行われる。通信可能範囲は、図2に示すように半径約10mの範囲となる。このような通信可能範囲を対象として、同じくブルートゥース通信の機能を有している他の携帯端末の探索が、例えば、1分毎、5分毎といったような所定の周期で行われる。
【0028】
図2の例においては、携帯端末Aによる探索によって、通信可能範囲内に存在する携帯端末Bは検出されるが、通信可能範囲内に存在しない携帯端末Cは検出されない。
【0029】
ブルートゥース通信の機能を有する機器には、それぞれ、機器固有の識別情報であるブルートゥースデバイスアドレスが設定されている。探索を行った携帯端末Aにおいては、探索により検出された携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレスが取得される。
【0030】
また、携帯端末Bとの間で確保可能なリンク(通信リンク)の数も、探索を行った携帯端末Aにより取得される。リンクの数は電波の強度により決定される。通常、端末間の距離が近ければ電波の受信強度も強くなるから、確保可能なリンクの数が多いということは、お互いの携帯端末がより近くに存在していることを表す。
【0031】
携帯端末Aにおいては、探索により取得されたブルートゥースデバイスアドレスとリンク数の情報が、探索を行った日時の情報とともに内蔵のメモリに記憶される。所定の周期で探索が繰り返し行われることにより、携帯端末Aのユーザの近く(半径約10mの範囲)にいるユーザの携帯端末に関する情報が、携帯端末Aのユーザの移動先で順次取得され、メモリに蓄積される。
【0032】
図3は、携帯端末Aに記憶されている情報の例を示す図である。
【0033】
図3の右側に示すように、探索の年月日、時刻、探索によって検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR)、確保可能なリンク数の情報が、それぞれの携帯端末について記憶される。
【0034】
例えば、図3の最上段に示す探索結果の情報は、2009年3月1日の18時11分に行われた探索により、「00FFXXXXXXXX」のブルートゥースデバイスアドレスが設定された携帯端末が検出され、その携帯端末との間で確保可能なリンク数が1であったことを表す。
【0035】
図3の例においては、上から順に、1番目から9番目までの情報が、2009年3月1日の18時11分に行われた探索の結果の情報とされ、10番目から16番目までの情報が、1分後の18時12分に行われた探索の結果の情報とされている。また、17番目以降の情報が、さらに1分後の18時13分に行われた探索の結果の情報とされている。
【0036】
このように、探索が繰り返し行われることによって、携帯端末Aには探索結果の情報である探索情報が順次記憶される。
【0037】
記憶された探索情報は、1時間毎などの所定の周期で、あるいは、一定のデータ量の情報が蓄積されたタイミングで、図3の太線矢印で示すように管理サーバ1にアップロードされる。探索情報のアップロードは、携帯端末Aが有する携帯通信の機能によって、ネットワーク2を介して行われる。
【0038】
管理サーバ1においては、各携帯端末にそれぞれ記憶領域が割り当てられており、ある携帯端末から送信されてきた探索情報は、その携帯端末に割り当てられている記憶領域に記憶される。それぞれの携帯端末に割り当てられている記憶領域は、それぞれの携帯端末のブルートゥースデバイスアドレスによって特定される。
【0039】
携帯端末Aは、探索情報をアップロードするとき、探索情報とともに自分自身のブルートゥースデバイスアドレスを管理サーバ1に送信し、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に探索情報を記憶させる。携帯端末Aは、探索情報のアップロードが終了したとき、アップロードした探索情報を内蔵のメモリから消去する。
【0040】
アップロードされる探索情報にはユーザの氏名、電話番号、電子メールアドレス、位置情報等の個人情報が含まれないため、心理的な抵抗感は少ないといえる。
【0041】
携帯端末B、携帯端末Cにおいても同様にして探索が行われ、蓄積された探索情報が管理サーバ1にアップロードされる。図3の例においては、携帯端末A乃至Cと、図1には示していない携帯端末Dからアップロードされた探索情報が、それぞれの携帯端末に割り当てられた記憶領域に記憶され、管理サーバ1により管理されている。
【0042】
新型インフルエンザ等の感染症にはウイルスに感染してから発症するまでに潜伏期間があり、ウイルスに感染した疑いがある日から潜伏期間が経過しても発症していない場合にはウイルスに感染していなかったことになる。
【0043】
アップロードされた探索情報は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した場合には、探索によってどの携帯端末が検出されていたのかを判断するのに用いられない、いわば不要なデータとなる。従って、アップロードされた探索情報は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した後に管理サーバ1により消去される。
【0044】
感染が判明した場合の感染登録について説明する。
【0045】
ここでは、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていることが医師の診察により判明したものとする。この場合、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていることを登録する、感染登録の要求が携帯端末Bから管理サーバ1に送信される。感染登録の要求には、ユーザが感染症にかかっていることを表す情報と、携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレスが含まれる。
【0046】
感染登録の要求は、例えば、携帯端末Bのディスプレイに表示されるメニュー画面において、感染登録の操作が医師などの医療関係者により行われたときに送信される。メニュー画面は、機器の探索、探索情報のアップロード、感染している可能性があると管理サーバ1により判断されたか否かの確認などの、一連の動作を管理するアプリケーションプログラムにより表示される。以下、一連の動作を管理するアプリケーションプログラムを単に管理アプリケーションという。
【0047】
いたずら目的での感染登録を防ぐために、医療関係者に対してのみ通知されたパスワードによる認証が、感染登録の要求が送信される前に行われるようにしてもよい。イメージとしては、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていると診断した医師が、ユーザから携帯端末Bを借り、パスワードを入力して認証を成功させた後に、感染登録の操作を携帯端末B上で行うことになる。
【0048】
感染登録の要求が携帯端末Bから送信されてきた場合、管理サーバ1は、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、携帯端末Bによりアップロードされていた探索情報を読み出し、携帯端末Bによる探索によって検出されたことのある携帯端末の情報が記述されたリストである接触端末リストを作成する。
【0049】
図4は、接触端末リストの例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、接触端末リストには、携帯端末Bによる探索によって検出されたことのあるそれぞれの携帯端末について、ブルートゥースデバイスアドレス、リンク数、年月日、時刻、および接触時間の情報が、リンク数の多い順に記述される。
【0051】
上述したように、リンク数が多い携帯端末は携帯端末Bの近くに存在していた携帯端末といえるから、その携帯端末のユーザが感染しているリスクは、リンク数が少ない携帯端末のユーザの感染リスクより高い。図4において太線文字で示す5つの携帯端末の情報は、それより下に情報が記述されているリンク数が1の携帯端末のユーザより、感染リスクの高いユーザの携帯端末の情報といえる。
【0052】
管理サーバ1は、接触端末リストに基づいて、携帯端末Bのユーザと濃厚接触があったと考えられるユーザの判別(携帯端末Bのユーザと濃厚接触があったと考えられるユーザが携帯している携帯端末の情報の判別)を行う。
【0053】
例えば、管理サーバ1は、リンク数が2以上の携帯端末のユーザを濃厚接触者として判断する。この場合、図4の例においては、「00JJXXXXXXXX」、「00HHXXXXXXXX」、「00UUXXXXXXXX」、「00LLXXXXXXXX」、「00FFXXXXXXXX」のブルートゥースデバイスアドレスが設定されているそれぞれの携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断される。
【0054】
接触時間が閾値以上である携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。また、リンク数と接触時間のそれぞれの値に所定の係数を乗算し、乗算結果を足し合わせることによって求められるスコアが閾値より高い携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0055】
なお、接触時間は、繰り返し行われる探索によって最初に検出されてから、検出されなくなるまでの、検出され続けた時間として算出されるようにしてもよいし、探索時に携帯端末により計測され、探索情報として携帯端末からアップロードされるようにしてもよい。
【0056】
管理サーバ1は、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に、感染症にかかっている可能性があることを表すフラグである感染リスクフラグを設定する。携帯端末Aのユーザが濃厚接触者として判断された場合、携帯端末Aに割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグが設定される。
【0057】
図5は、携帯端末による感染リスクフラグの確認について説明する図である。
【0058】
感染リスクフラグの確認は、探索情報をアップロードするために管理サーバ1にアクセスしたときに行われる。
【0059】
例えば、前回アップロードしてから所定の時間が経過した場合、図5の矢印#1に示すように、携帯端末Aは、探索情報をアップロードし、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に記憶させる。また、携帯端末Aは、アップロードが終了したとき、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを、矢印A#2に示すようにして確認する。
【0060】
感染リスクフラグが設定されている場合、携帯端末Aは、図5の下方に拡大して示すように、感染症にかかっている可能性があることをユーザに通知するメッセージをディスプレイに表示する。図5の例においては、「[緊急連絡]あなたは発病者と長時間近接していました。感染リスクが5%あります。リンク先の指示に従ってください。」のメッセージが表示されている。
【0061】
接触端末リストに情報が挙げられた順に感染リスクが%単位で管理サーバ1により決定される場合、図5に示すように「感染リスクが5%あります。」などの情報も表示される。
【0062】
例えば、接触端末リストの1番目に挙げられた濃厚接触者に対しては10%の感染リスクが提示され、2番目に挙げられた濃厚接触者に対しては1%の感染リスクが提示されるといったように、接触端末リストの上位から順に、高い感染リスクが決定される。
【0063】
感染リスクが何%であるのかが、リンク数や接触時間に基づいて決定されるようにしてもよいし、リンク数と接触時間を組み合わせて求められたスコアに基づいて決定されるようにしてもよい。感染リスクフラグには、このようにして決定された感染リスクを表す情報が含まれる。
【0064】
メッセージには、対処方法などが掲載されたサイトのURL(Uniform Resource Locator)が含まれる。リンク先へのアクセスが指示された場合、URLに基づいてリンク先のサーバに対するアクセスが携帯端末Aにより行われ、図5のメッセージに替えて対処方法が表示される。
【0065】
このように、携帯端末Aのユーザは、表示されたメッセージを見ることによって、自分が感染症にかかっている可能性があることを知ることができる。
【0066】
そのことを知った携帯端末Aのユーザが人との接触を避けることにより、携帯端末Aのユーザが実際に感染していた場合であっても、携帯端末Aのユーザからの感染の拡大を防ぐことができる。
【0067】
また、管理サーバ1側からすれば、ユーザの行動などのプライバシーに関係するような情報を用いずに、感染症にかかっている可能性があることを通知することができる。
【0068】
GPSにより計測された位置情報を用いた場合、携帯端末のユーザがGPSの電波が届かない地下などにいたときには行動を追うことができず、その間に感染者との接触があったか否かを判断することができなくなるが、ブルートゥース通信を用いることにより、地下などにおいても感染者との接触があったか否かを判断することが可能になる。GPSを用いる場合に較べて消費電力が少ないといったメリットもある。
【0069】
[各機器の構成]
図6は、携帯端末Aのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0070】
図6に示すように、携帯端末Aは、アンテナ11、携帯通信部12、制御部13、ブルートゥース通信部14、アンテナ15、操作部16、および表示部17から構成される。
【0071】
携帯通信部12は、アンテナ11から電波を出力し、または基地局からの電波をアンテナ11において受信することによって、在圏しているセルを管理する基地局とW-CDMA、CDMA2000などの規格に従って通信を行う。携帯通信部12による通信によって、通話相手の携帯端末との音声データの送受信や、管理サーバ1とのデータの送受信が行われる。
【0072】
制御部13はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどよりなり、携帯端末Aの全体の動作を制御する。
【0073】
ブルートゥース通信部14は、アンテナ15から電波を出力し、またはブルートゥース通信機能を有する他の携帯端末からの電波をアンテナ15において受信することによって、他の携帯端末との間でブルートゥース通信を行う。ブルートゥース通信部14にはブルートゥースデバイスアドレスが設定されている。
【0074】
操作部16は、携帯端末Aの筐体表面に設けられるテンキーやタッチパネルなどに対するユーザの操作を検出し、検出した操作の内容を表す信号を制御部13に出力する。
【0075】
表示部17はLCD(Liquid Crystal Display)などよりなり、制御部13による制御に従って各種の情報を表示する。
【0076】
図7は、携帯端末Aの機能構成例を示すブロック図である。
【0077】
図7に示す機能部のうちの少なくとも一部は、図6の制御部13のCPUにより管理アプリケーションが実行されることによって実現される。図7に示すように、制御部13においては、探索部21、探索情報記憶部22、アップロード管理部23、感染登録部24、フラグ確認部25、および表示制御部26が実現される。
【0078】
探索部21は、探索を行うタイミングになった場合、ブルートゥース通信部14を制御し、通信可能範囲内に存在する携帯端末の探索を行わせる。探索部21とブルートゥース通信部14とで第1の無線通信手段を構成する。探索部21は、探索により検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス、確保可能なリンク数の情報を取得し、年月日、時刻の情報とともに探索情報として探索情報記憶部22に記憶させる。
【0079】
探索情報記憶部22はフラッシュメモリなどよりなり、探索部21から供給された探索情報を記憶する記憶手段である。探索情報記憶部22は、アップロード管理部23により管理サーバ1にアップロードされた探索情報を消去する。
【0080】
アップロード管理部23は、探索情報をアップロードするタイミングになったとき、探索情報記憶部22から探索情報を読み出し、携帯端末Aのブルートゥースデバイスアドレスとともに、携帯通信部12から管理サーバ1に送信する。アップロード管理部23と携帯通信部12とで第2の無線通信手段を構成する。アップロード管理部23から送信された探索情報は、ブルートゥースデバイスアドレスによって特定される、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に記憶される。
【0081】
感染登録部24は、感染登録を行うことが操作部16を用いた操作によって指示された場合、携帯通信部12を制御して管理サーバ1にアクセスし、ブルートゥースデバイスアドレスを含む感染登録の要求を送信する。
【0082】
フラグ確認部25は、アップロード管理部23による探索情報のアップロードが終了したとき、携帯端末Aに割り当てられている管理サーバ1の記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを確認する確認手段である。フラグ確認部25は、感染リスクフラグが設定されていることを確認した場合、そのことを表す情報を表示制御部26に出力する。
【0083】
表示制御部26は、感染リスクフラグが設定されていることがフラグ確認部25により確認された場合、図5を参照して説明したようなメッセージを表示部17に表示させて、感染症にかかっている可能性があることをユーザに通知する出力手段である。
【0084】
携帯端末B,C等の他の携帯端末も、図6、図7に示す携帯端末Aの構成と同じ構成を有している。
【0085】
図8は、管理サーバ1の機能構成例を示すブロック図である。管理サーバ1はコンピュータにより構成される。上述したような管理サーバ1の機能が1台のコンピュータにより実現されるようにしてもよいし、複数のコンピュータにより実現されるようにしてもよい。
【0086】
図8に示す構成のうちの少なくとも一部は、CPUにより所定のアプリケーションプログラムが実行されることによって実現される。管理サーバ1においては、探索情報管理部51、リスト作成部52、およびフラグ設定部53が実現される。管理サーバ1には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなり、携帯端末から送信されてきた探索情報などを記憶する記憶部54と、ネットワークインタフェースなどよりなり、ネットワーク2を介して携帯端末と通信を行う通信部55も設けられる。
【0087】
探索情報管理部51は、アップロードされた探索情報が通信部55において受信された場合、探索情報とともに送信されてきたブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、探索情報を送信してきた携帯端末に割り当てられた記憶部54の記憶領域を特定する。記憶部54と探索情報管理部51とで記憶手段を構成している。探索情報管理部51は、特定した記憶領域に探索情報を記憶させる。
【0088】
また、探索情報管理部51は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した探索情報を消去する。
【0089】
記憶部54の記憶領域について説明する。
【0090】
記憶部54の領域A1は、携帯端末Aに割り当てられた領域であり、携帯端末Aのブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR#A)により特定される。領域A1には探索情報記憶領域a11と感染リスクフラグ記憶領域a12が形成されている。
【0091】
探索情報記憶領域a11は、携帯端末Aから送信されてきた探索情報が記憶される領域である。感染リスクフラグ記憶領域a12は、携帯端末Aのユーザが濃厚接触者であると判断された場合に感染リスクフラグが設定される領域である。
【0092】
他の携帯端末に対しても同様に各領域が割り当てられる。例えば、領域A2は携帯端末Bに割り当てられた領域であり、携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR#B)により特定される。領域A2には、携帯端末Bから送信されてきた探索情報が記憶される領域である探索情報記憶領域a21と、携帯端末Bのユーザが濃厚接触者であると判断された場合に感染リスクフラグが設定される領域である感染リスクフラグ記憶領域a22が形成される。
【0093】
このように、記憶部54には、ブルートゥースデバイスアドレスと対応付けて各情報が記憶されるようになされている。記憶領域を物理的に確保するのではなく、論理的に、ブルートゥースデバイスアドレスと対応付けてフォルダを用意し、探索情報や感染リスクフラグがそのフォルダに記憶されるようにしてもよい。
【0094】
リスト作成部52は、感染登録の要求が通信部55において受信された場合、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、記憶部54に形成されている領域の中から、感染登録の要求を送信してきた携帯端末に割り当てられている領域を特定する。
【0095】
リスト作成部52は、特定した記憶領域に記憶されている探索情報を読み出し、図4を参照して説明した接触端末リストを作成する。リスト作成部52は、作成した接触端末リストをフラグ設定部53に出力する。
【0096】
フラグ設定部53は、リスト作成部52により作成された接触端末リストに基づいて濃厚接触者を判別し、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグを設定する設定手段である。携帯端末Aのユーザが濃厚接触者として判断された場合、感染リスクフラグ記憶領域a12に感染リスクフラグが設定される。
【0097】
[各機器の動作]
次に、携帯端末Aと管理サーバ1の動作について説明する。他の携帯端末においても、携帯端末Aの処理と同様の処理が行われる。
【0098】
はじめに、図9のフローチャートを参照して、携帯端末Aの通信処理について説明する。図9の処理は、管理アプリケーションが実行され、ブルートゥース通信の機能がオンになっているときに行われる。
【0099】
ステップS1において、探索部21(図7)は、探索を行うタイミングになったか否かを判定し、探索を行うタイミングになったと判定するまで待機する。
【0100】
探索を行うタイミングになったとステップS1において判定した場合、ステップS2において、探索部21は、ブルートゥース通信部14を制御し、通信可能範囲内に存在する携帯端末の探索を行わせる。
【0101】
ステップS3において、探索部21は、探索により検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス、確保可能なリンク数の情報を取得し、年月日、時刻の情報とともに探索情報記憶部22に記憶させる。
【0102】
ステップS4において、アップロード管理部23は、探索情報をアップロードするタイミングになったか否かを判定する。探索情報をアップロードするタイミングになっていないとステップS4において判定された場合、ステップS1に戻り、所定のタイミングで携帯端末の探索が繰り返される。
【0103】
一方、探索情報をアップロードするタイミングになったとステップS4において判定した場合、ステップS5において、アップロード管理部23は、探索情報を探索情報記憶部22から読み出し、携帯端末A自身のブルートゥースデバイスアドレスとともに管理サーバ1に送信する。アップロードされた探索情報は探索情報記憶部22から消去される。
【0104】
ステップS6において、フラグ確認部25は、携帯端末Aに割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを判定する。
【0105】
感染リスクフラグが設定されていないとステップS6において判定された場合、ステップS1に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0106】
一方、感染リスクフラグが設定されているとステップS6において判定された場合、ステップS7において、表示制御部26は、感染症にかかっている可能性があることを通知するメッセージを表示部17に表示させる。メッセージが表示された後、処理は終了される。
【0107】
次に、図10のフローチャートを参照して、感染登録を要求する携帯端末Aの処理について説明する。この処理は、携帯端末Aの表示部17に表示されるメニュー画面において、感染登録の操作が医療関係者により行われたときに開始される。
【0108】
ステップS21において、感染登録部24は、医療関係者により入力されたパスワードが、予め設定されているパスワードと一致するか否かを判定することによって認証を行う。
【0109】
認証が成功した場合、ステップS22において、感染登録部24は、携帯通信部12を制御して管理サーバ1にアクセスし、ブルートゥースデバイスアドレスを含む感染登録の要求を送信する。感染登録の要求が送信されることに応じて、管理サーバ1においては接触端末リストの作成等が行われる。
【0110】
次に、図11のフローチャートを参照して、管理サーバ1の処理について説明する。
【0111】
ステップS31において、探索情報管理部51は、ブルートゥースデバイスアドレスとともに探索情報が携帯端末から送信されてきたか否かを判定する。
【0112】
探索情報が送信されてきたとステップS31において判定した場合、ステップS32において、探索情報管理部51は、ブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、探索情報を送信してきた携帯端末に割り当てられている記憶領域を特定し、探索情報を記憶させる。探索情報が送信されてきていないとステップS31において判定された場合、ステップS32の処理はスキップされる。
【0113】
ステップS33において、リスト作成部52は、感染登録の要求が携帯端末から送信されてきたか否かを判定する。感染登録の要求が送信されてきていないと判定された場合、ステップS31に戻り、探索情報を記憶させることが繰り返される。
【0114】
一方、感染登録の要求が携帯端末から送信されてきたとステップS33において判定した場合、ステップS34において、リスト作成部52は、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、感染登録の要求を送信してきた携帯端末に割り当てられている記憶領域を特定し、探索情報を読み出す。リスト作成部52は、読み出した探索情報に基づいて接触端末リストを作成する。
【0115】
ステップS35において、フラグ設定部53は、接触端末リストに基づいて濃厚接触者を判別し、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグを設定する。その後、ステップS31に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0116】
以上の処理により、プライバシーを確保しつつ、感染症にかかっている可能性のあるユーザにそのことを通知することが可能になる。
【0117】
[変形例]
以上においては、感染リスクが何%であるのかが、リンク数や接触時間に基づいて決定されるものとしたが、二次感染であるのか、三次感染であるのかに基づいて決定されるようにしてもよい。
【0118】
例えば、携帯端末Bにより感染登録が行われた場合、携帯端末Bによりアップロードされた探索情報に基づいて、携帯端末Bによる探索によって直接検出された携帯端末が特定される。また、特定された携帯端末によりアップロードされた探索情報に基づいて、その特定された携帯端末による探索によって検出された携帯端末が特定される。
【0119】
前者の携帯端末のユーザの感染リスクとして、後者の携帯端末のユーザの感染リスクよりも高い感染リスクが決定され、決定された感染リスクの情報を含む感染リスクフラグが設定される。
【0120】
二次感染者である可能性がある前者の携帯端末のユーザには、感染リスクフラグの設定を確認した携帯端末により、感染リスクが例えば10%であることがメッセージによって通知され、三次感染者である可能性がある後者の携帯端末のユーザには、感染リスクが例えば5%であることが通知される。
【0121】
また、以上においては、接触端末リストに情報が挙げられている携帯端末のユーザのうちの一部のユーザが濃厚接触者として判別され、感染リスクフラグが設定されるものとしたが、接触端末リストに情報が挙げられている全ての携帯端末のユーザが濃厚接触者とされ、感染リスクフラグが設定されるようにしてもよい。
【0122】
これにより、感染症にかかっているユーザの携帯端末による探索によって検出された全ての携帯端末のユーザに感染の可能性があることを通知することができる。
【0123】
さらに、以上においては、感染している可能性があることが画面に表示されるメッセージによって通知されるものとしたが、スピーカから出力される音声によって通知されるようにしてもよい。
【0124】
端末間で行われる近距離無線通信がブルートゥース通信であるものとしたが、Wibree(商標)やUWB(Ultra Wide Band)などの他の規格の無線通信であってもよい。
【0125】
濃厚接触者の判断において、感染者と異なる時間帯に複数回接触した場合、すなわち、感染者の携帯端末による探索によって異なる時間帯に複数回検出された場合に、検出された携帯端末のユーザが濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0126】
また、複数の感染者がいた場合、複数の感染者のそれぞれの携帯端末との接触時間の合計時間が閾値より長い携帯端末のユーザが濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0127】
ブルートゥース通信による探索結果を用いることによってあるユーザを特定する上述した処理は、新型インフルエンザなどの感染症にかかっているユーザを特定する場合以外の様々な場合に適用可能である。
【0128】
例えば、特定の人につきまとういわゆるストーカー行為を行っている人の発見にも適用可能である。ある特定の携帯端末に対して、定期的に長時間近接している携帯端末があることが管理サーバ1において確認された場合、その特定の携帯端末のユーザに対して、ストーカー行為をしている人がいることが通知される。
【0129】
同様に、痴漢に遭った人を感染者とみなし、痴漢に遭った人が複数人いた場合に、その複数人のそれぞれの携帯端末により検出されたことのある携帯端末を、痴漢行為を行っている人の携帯端末として特定するようにしてもよい。
【0130】
また、ゲーム的なものにも適用可能である。このゲームは、参加者のみがブルートゥース通信の機能を起動させておき、フラグを設定している人との接触が多い人に多いポイントが設定され、ポイントの多さによって勝ち負けを決定するものである。
【0131】
さらに、共通の趣味を表すフラグが設定されている携帯端末に接触した場合、その趣味に関する情報を得ることができるようにしてもよい。
【0132】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 管理サーバ, 21 探索部, 22 探索情報記憶部, 23 アップロード管理部, 24 感染登録部, 25 フラグ確認部, 26 表示制御部, 51 探索情報管理部, 52 リスト作成部, 53 フラグ設定部
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関し、特に、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができるようにした携帯端末、情報処理装置、情報処理方法、および情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新型インフルエンザの流行が懸念されている。新型インフルエンザは飛沫感染によって広まることから、感染者の近くにいた人は感染者からうつされてしまうおそれがある。感染者の近くにいた人が感染してしまった場合、その人の近くにいた人もまた、新たな感染者からうつされてしまうおそれがある。
【0003】
感染者の近くいたことがあるかどうかが分かれば、感染者の近くにいたことがある人は人との接触を避けるなどの対応を取ることができ、これにより、感染者の近くにいたことがある人からの感染、すなわち、二次感染を防ぐことができる。
【0004】
そこで、携帯電話機に搭載されているGPS(Global Positioning System)機能を利用し、感染者が特定されたときに、感染者の近くにいたことがある人に対して、そのことを電子メールによって通知するシステムが提案されている。
【0005】
例えば、非特許文献1に記載されているシステムにおいては、各ユーザの移動履歴をサーバ上のデータベースに蓄積しておき、あるユーザが感染症にかかっていることが判明した場合、感染している可能性があるユーザを移動履歴に基づいて特定し、特定したユーザに、その旨を電子メールによって通知するようになされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】“感染者に近づけばメールが届く 携帯電話で秋にも実験”、2009年5月3日[2009年5月20検索]、インターネット,<URL:http://www.asahi.com/business/update/0502/TKY200905020184.html>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したようなシステムにおいては、データベース上の移動履歴から、誰が、いつ、どこにいたのかを特定できることになり、移動履歴が収集されることに対して心理的な抵抗を感じるユーザも少なくない。
【0008】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の携帯端末は、近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段とを備える。
【0010】
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段をさらに設けることができる。
【0011】
前記記憶手段には、さらに、前記他の携帯端末との間で確保された前記第1の無線通信のリンクの数の情報を含む前記探索結果の情報を記憶させることができる。
【0012】
本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する設定手段とを備える。
【0013】
前記記憶手段には、前記第1の携帯端末から送信されてきた、前記第2の携帯端末との間で確保された前記無線通信のリンクの数の情報をさらに含む前記探索結果の情報を記憶させ、前記設定手段には、前記リンクの数が閾値の数より多い場合、前記フラグを設定させることができる。
【0014】
本発明の情報処理方法は、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶し、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定するステップを含む。
【0015】
本発明の情報処理システムは、上記携帯端末と情報処理装置から構成される。
【0016】
本発明の携帯端末においては、近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末が、前記第1の無線通信によって探索され、探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報が記憶され、記憶されている前記探索結果の情報が、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信される。また、前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報が出力される。
【0017】
本発明の情報処理装置および情報処理方法においては、ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報が記憶され、前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末が特定され、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、プライバシーを確保しつつ、特定の端末に接近した可能性のある端末のユーザにそのことを通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】ブルートゥース通信の探索可能範囲を示す図である。
【図3】探索情報の例を示す図である。
【図4】接触端末リストの例を示す図である。
【図5】感染リスクフラグの確認について説明する図である。
【図6】携帯端末のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【図7】携帯端末の機能構成例を示すブロック図である。
【図8】管理サーバの機能構成例を示すブロック図である。
【図9】携帯端末の通信処理について説明するフローチャートである。
【図10】携帯端末の感染登録処理について説明するフローチャートである。
【図11】管理サーバの処理について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[情報処理システムの構成と動作]
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0021】
図1に示すように、この情報処理システムは、管理サーバ1と、携帯電話機などの携帯型の端末である携帯端末A乃至Cがネットワーク2を介して接続されることによって構成される。図1においては、携帯端末A乃至Cの3台の携帯端末を示しているが、さらに多くの携帯端末がネットワーク2には接続される。
【0022】
携帯端末A乃至Cは、それぞれ、在圏しているセルを管理する基地局とW-CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)、CDMA2000などの規格に従って無線通信を行うことによってネットワーク2に接続し、ネットワーク2を介して管理サーバ1と通信を行う。また、携帯端末A乃至Cは、それぞれ、ブルートゥース(Bluetooth(商標))通信によって、近くに存在する携帯端末と端末間で通信を行う。
【0023】
すなわち、携帯端末A乃至Cは、基地局とネットワーク2を経由して管理サーバ1などの他の装置と無線通信を行う機能である携帯通信(第2の無線通信)の機能と、ブルートゥース通信(第1の無線通信)の機能との2つの無線通信機能を有している。
【0024】
図1の情報処理システムにおいては、各ユーザが携帯している携帯端末A乃至Cのブルートゥース通信の探索機能によってどの携帯端末を検出したのかの履歴が、管理サーバ1により管理される。ある携帯端末による探索によって検出された携帯端末のユーザは、探索を行った携帯端末のユーザの近くにいたことになる。
【0025】
また、ある携帯端末のユーザが新型インフルエンザなどの感染症にかかっていることが判明した場合、そのユーザの携帯端末による探索結果の履歴に基づいて、近くにいたことがある、すなわち、同じ感染症に感染している可能性のあるユーザが特定され、特定されたユーザの携帯端末が管理サーバ1にアクセスしたタイミングで、感染している可能性のあることが管理サーバ1から通知される。一連の処理の流れについては後述する。
【0026】
ここで、携帯端末A乃至Cが行うブルートゥース通信について説明する。図2は、探索可能範囲を示す図である。
【0027】
ブルートゥース通信は、ワイヤレスフォンやアドレス帳のデータの交換などのために近距離にある端末間で行われる。通信可能範囲は、図2に示すように半径約10mの範囲となる。このような通信可能範囲を対象として、同じくブルートゥース通信の機能を有している他の携帯端末の探索が、例えば、1分毎、5分毎といったような所定の周期で行われる。
【0028】
図2の例においては、携帯端末Aによる探索によって、通信可能範囲内に存在する携帯端末Bは検出されるが、通信可能範囲内に存在しない携帯端末Cは検出されない。
【0029】
ブルートゥース通信の機能を有する機器には、それぞれ、機器固有の識別情報であるブルートゥースデバイスアドレスが設定されている。探索を行った携帯端末Aにおいては、探索により検出された携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレスが取得される。
【0030】
また、携帯端末Bとの間で確保可能なリンク(通信リンク)の数も、探索を行った携帯端末Aにより取得される。リンクの数は電波の強度により決定される。通常、端末間の距離が近ければ電波の受信強度も強くなるから、確保可能なリンクの数が多いということは、お互いの携帯端末がより近くに存在していることを表す。
【0031】
携帯端末Aにおいては、探索により取得されたブルートゥースデバイスアドレスとリンク数の情報が、探索を行った日時の情報とともに内蔵のメモリに記憶される。所定の周期で探索が繰り返し行われることにより、携帯端末Aのユーザの近く(半径約10mの範囲)にいるユーザの携帯端末に関する情報が、携帯端末Aのユーザの移動先で順次取得され、メモリに蓄積される。
【0032】
図3は、携帯端末Aに記憶されている情報の例を示す図である。
【0033】
図3の右側に示すように、探索の年月日、時刻、探索によって検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR)、確保可能なリンク数の情報が、それぞれの携帯端末について記憶される。
【0034】
例えば、図3の最上段に示す探索結果の情報は、2009年3月1日の18時11分に行われた探索により、「00FFXXXXXXXX」のブルートゥースデバイスアドレスが設定された携帯端末が検出され、その携帯端末との間で確保可能なリンク数が1であったことを表す。
【0035】
図3の例においては、上から順に、1番目から9番目までの情報が、2009年3月1日の18時11分に行われた探索の結果の情報とされ、10番目から16番目までの情報が、1分後の18時12分に行われた探索の結果の情報とされている。また、17番目以降の情報が、さらに1分後の18時13分に行われた探索の結果の情報とされている。
【0036】
このように、探索が繰り返し行われることによって、携帯端末Aには探索結果の情報である探索情報が順次記憶される。
【0037】
記憶された探索情報は、1時間毎などの所定の周期で、あるいは、一定のデータ量の情報が蓄積されたタイミングで、図3の太線矢印で示すように管理サーバ1にアップロードされる。探索情報のアップロードは、携帯端末Aが有する携帯通信の機能によって、ネットワーク2を介して行われる。
【0038】
管理サーバ1においては、各携帯端末にそれぞれ記憶領域が割り当てられており、ある携帯端末から送信されてきた探索情報は、その携帯端末に割り当てられている記憶領域に記憶される。それぞれの携帯端末に割り当てられている記憶領域は、それぞれの携帯端末のブルートゥースデバイスアドレスによって特定される。
【0039】
携帯端末Aは、探索情報をアップロードするとき、探索情報とともに自分自身のブルートゥースデバイスアドレスを管理サーバ1に送信し、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に探索情報を記憶させる。携帯端末Aは、探索情報のアップロードが終了したとき、アップロードした探索情報を内蔵のメモリから消去する。
【0040】
アップロードされる探索情報にはユーザの氏名、電話番号、電子メールアドレス、位置情報等の個人情報が含まれないため、心理的な抵抗感は少ないといえる。
【0041】
携帯端末B、携帯端末Cにおいても同様にして探索が行われ、蓄積された探索情報が管理サーバ1にアップロードされる。図3の例においては、携帯端末A乃至Cと、図1には示していない携帯端末Dからアップロードされた探索情報が、それぞれの携帯端末に割り当てられた記憶領域に記憶され、管理サーバ1により管理されている。
【0042】
新型インフルエンザ等の感染症にはウイルスに感染してから発症するまでに潜伏期間があり、ウイルスに感染した疑いがある日から潜伏期間が経過しても発症していない場合にはウイルスに感染していなかったことになる。
【0043】
アップロードされた探索情報は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した場合には、探索によってどの携帯端末が検出されていたのかを判断するのに用いられない、いわば不要なデータとなる。従って、アップロードされた探索情報は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した後に管理サーバ1により消去される。
【0044】
感染が判明した場合の感染登録について説明する。
【0045】
ここでは、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていることが医師の診察により判明したものとする。この場合、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていることを登録する、感染登録の要求が携帯端末Bから管理サーバ1に送信される。感染登録の要求には、ユーザが感染症にかかっていることを表す情報と、携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレスが含まれる。
【0046】
感染登録の要求は、例えば、携帯端末Bのディスプレイに表示されるメニュー画面において、感染登録の操作が医師などの医療関係者により行われたときに送信される。メニュー画面は、機器の探索、探索情報のアップロード、感染している可能性があると管理サーバ1により判断されたか否かの確認などの、一連の動作を管理するアプリケーションプログラムにより表示される。以下、一連の動作を管理するアプリケーションプログラムを単に管理アプリケーションという。
【0047】
いたずら目的での感染登録を防ぐために、医療関係者に対してのみ通知されたパスワードによる認証が、感染登録の要求が送信される前に行われるようにしてもよい。イメージとしては、携帯端末Bのユーザが感染症にかかっていると診断した医師が、ユーザから携帯端末Bを借り、パスワードを入力して認証を成功させた後に、感染登録の操作を携帯端末B上で行うことになる。
【0048】
感染登録の要求が携帯端末Bから送信されてきた場合、管理サーバ1は、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、携帯端末Bによりアップロードされていた探索情報を読み出し、携帯端末Bによる探索によって検出されたことのある携帯端末の情報が記述されたリストである接触端末リストを作成する。
【0049】
図4は、接触端末リストの例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、接触端末リストには、携帯端末Bによる探索によって検出されたことのあるそれぞれの携帯端末について、ブルートゥースデバイスアドレス、リンク数、年月日、時刻、および接触時間の情報が、リンク数の多い順に記述される。
【0051】
上述したように、リンク数が多い携帯端末は携帯端末Bの近くに存在していた携帯端末といえるから、その携帯端末のユーザが感染しているリスクは、リンク数が少ない携帯端末のユーザの感染リスクより高い。図4において太線文字で示す5つの携帯端末の情報は、それより下に情報が記述されているリンク数が1の携帯端末のユーザより、感染リスクの高いユーザの携帯端末の情報といえる。
【0052】
管理サーバ1は、接触端末リストに基づいて、携帯端末Bのユーザと濃厚接触があったと考えられるユーザの判別(携帯端末Bのユーザと濃厚接触があったと考えられるユーザが携帯している携帯端末の情報の判別)を行う。
【0053】
例えば、管理サーバ1は、リンク数が2以上の携帯端末のユーザを濃厚接触者として判断する。この場合、図4の例においては、「00JJXXXXXXXX」、「00HHXXXXXXXX」、「00UUXXXXXXXX」、「00LLXXXXXXXX」、「00FFXXXXXXXX」のブルートゥースデバイスアドレスが設定されているそれぞれの携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断される。
【0054】
接触時間が閾値以上である携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。また、リンク数と接触時間のそれぞれの値に所定の係数を乗算し、乗算結果を足し合わせることによって求められるスコアが閾値より高い携帯端末のユーザが、濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0055】
なお、接触時間は、繰り返し行われる探索によって最初に検出されてから、検出されなくなるまでの、検出され続けた時間として算出されるようにしてもよいし、探索時に携帯端末により計測され、探索情報として携帯端末からアップロードされるようにしてもよい。
【0056】
管理サーバ1は、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に、感染症にかかっている可能性があることを表すフラグである感染リスクフラグを設定する。携帯端末Aのユーザが濃厚接触者として判断された場合、携帯端末Aに割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグが設定される。
【0057】
図5は、携帯端末による感染リスクフラグの確認について説明する図である。
【0058】
感染リスクフラグの確認は、探索情報をアップロードするために管理サーバ1にアクセスしたときに行われる。
【0059】
例えば、前回アップロードしてから所定の時間が経過した場合、図5の矢印#1に示すように、携帯端末Aは、探索情報をアップロードし、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に記憶させる。また、携帯端末Aは、アップロードが終了したとき、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを、矢印A#2に示すようにして確認する。
【0060】
感染リスクフラグが設定されている場合、携帯端末Aは、図5の下方に拡大して示すように、感染症にかかっている可能性があることをユーザに通知するメッセージをディスプレイに表示する。図5の例においては、「[緊急連絡]あなたは発病者と長時間近接していました。感染リスクが5%あります。リンク先の指示に従ってください。」のメッセージが表示されている。
【0061】
接触端末リストに情報が挙げられた順に感染リスクが%単位で管理サーバ1により決定される場合、図5に示すように「感染リスクが5%あります。」などの情報も表示される。
【0062】
例えば、接触端末リストの1番目に挙げられた濃厚接触者に対しては10%の感染リスクが提示され、2番目に挙げられた濃厚接触者に対しては1%の感染リスクが提示されるといったように、接触端末リストの上位から順に、高い感染リスクが決定される。
【0063】
感染リスクが何%であるのかが、リンク数や接触時間に基づいて決定されるようにしてもよいし、リンク数と接触時間を組み合わせて求められたスコアに基づいて決定されるようにしてもよい。感染リスクフラグには、このようにして決定された感染リスクを表す情報が含まれる。
【0064】
メッセージには、対処方法などが掲載されたサイトのURL(Uniform Resource Locator)が含まれる。リンク先へのアクセスが指示された場合、URLに基づいてリンク先のサーバに対するアクセスが携帯端末Aにより行われ、図5のメッセージに替えて対処方法が表示される。
【0065】
このように、携帯端末Aのユーザは、表示されたメッセージを見ることによって、自分が感染症にかかっている可能性があることを知ることができる。
【0066】
そのことを知った携帯端末Aのユーザが人との接触を避けることにより、携帯端末Aのユーザが実際に感染していた場合であっても、携帯端末Aのユーザからの感染の拡大を防ぐことができる。
【0067】
また、管理サーバ1側からすれば、ユーザの行動などのプライバシーに関係するような情報を用いずに、感染症にかかっている可能性があることを通知することができる。
【0068】
GPSにより計測された位置情報を用いた場合、携帯端末のユーザがGPSの電波が届かない地下などにいたときには行動を追うことができず、その間に感染者との接触があったか否かを判断することができなくなるが、ブルートゥース通信を用いることにより、地下などにおいても感染者との接触があったか否かを判断することが可能になる。GPSを用いる場合に較べて消費電力が少ないといったメリットもある。
【0069】
[各機器の構成]
図6は、携帯端末Aのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【0070】
図6に示すように、携帯端末Aは、アンテナ11、携帯通信部12、制御部13、ブルートゥース通信部14、アンテナ15、操作部16、および表示部17から構成される。
【0071】
携帯通信部12は、アンテナ11から電波を出力し、または基地局からの電波をアンテナ11において受信することによって、在圏しているセルを管理する基地局とW-CDMA、CDMA2000などの規格に従って通信を行う。携帯通信部12による通信によって、通話相手の携帯端末との音声データの送受信や、管理サーバ1とのデータの送受信が行われる。
【0072】
制御部13はCPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどよりなり、携帯端末Aの全体の動作を制御する。
【0073】
ブルートゥース通信部14は、アンテナ15から電波を出力し、またはブルートゥース通信機能を有する他の携帯端末からの電波をアンテナ15において受信することによって、他の携帯端末との間でブルートゥース通信を行う。ブルートゥース通信部14にはブルートゥースデバイスアドレスが設定されている。
【0074】
操作部16は、携帯端末Aの筐体表面に設けられるテンキーやタッチパネルなどに対するユーザの操作を検出し、検出した操作の内容を表す信号を制御部13に出力する。
【0075】
表示部17はLCD(Liquid Crystal Display)などよりなり、制御部13による制御に従って各種の情報を表示する。
【0076】
図7は、携帯端末Aの機能構成例を示すブロック図である。
【0077】
図7に示す機能部のうちの少なくとも一部は、図6の制御部13のCPUにより管理アプリケーションが実行されることによって実現される。図7に示すように、制御部13においては、探索部21、探索情報記憶部22、アップロード管理部23、感染登録部24、フラグ確認部25、および表示制御部26が実現される。
【0078】
探索部21は、探索を行うタイミングになった場合、ブルートゥース通信部14を制御し、通信可能範囲内に存在する携帯端末の探索を行わせる。探索部21とブルートゥース通信部14とで第1の無線通信手段を構成する。探索部21は、探索により検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス、確保可能なリンク数の情報を取得し、年月日、時刻の情報とともに探索情報として探索情報記憶部22に記憶させる。
【0079】
探索情報記憶部22はフラッシュメモリなどよりなり、探索部21から供給された探索情報を記憶する記憶手段である。探索情報記憶部22は、アップロード管理部23により管理サーバ1にアップロードされた探索情報を消去する。
【0080】
アップロード管理部23は、探索情報をアップロードするタイミングになったとき、探索情報記憶部22から探索情報を読み出し、携帯端末Aのブルートゥースデバイスアドレスとともに、携帯通信部12から管理サーバ1に送信する。アップロード管理部23と携帯通信部12とで第2の無線通信手段を構成する。アップロード管理部23から送信された探索情報は、ブルートゥースデバイスアドレスによって特定される、携帯端末Aに割り当てられた記憶領域に記憶される。
【0081】
感染登録部24は、感染登録を行うことが操作部16を用いた操作によって指示された場合、携帯通信部12を制御して管理サーバ1にアクセスし、ブルートゥースデバイスアドレスを含む感染登録の要求を送信する。
【0082】
フラグ確認部25は、アップロード管理部23による探索情報のアップロードが終了したとき、携帯端末Aに割り当てられている管理サーバ1の記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを確認する確認手段である。フラグ確認部25は、感染リスクフラグが設定されていることを確認した場合、そのことを表す情報を表示制御部26に出力する。
【0083】
表示制御部26は、感染リスクフラグが設定されていることがフラグ確認部25により確認された場合、図5を参照して説明したようなメッセージを表示部17に表示させて、感染症にかかっている可能性があることをユーザに通知する出力手段である。
【0084】
携帯端末B,C等の他の携帯端末も、図6、図7に示す携帯端末Aの構成と同じ構成を有している。
【0085】
図8は、管理サーバ1の機能構成例を示すブロック図である。管理サーバ1はコンピュータにより構成される。上述したような管理サーバ1の機能が1台のコンピュータにより実現されるようにしてもよいし、複数のコンピュータにより実現されるようにしてもよい。
【0086】
図8に示す構成のうちの少なくとも一部は、CPUにより所定のアプリケーションプログラムが実行されることによって実現される。管理サーバ1においては、探索情報管理部51、リスト作成部52、およびフラグ設定部53が実現される。管理サーバ1には、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなり、携帯端末から送信されてきた探索情報などを記憶する記憶部54と、ネットワークインタフェースなどよりなり、ネットワーク2を介して携帯端末と通信を行う通信部55も設けられる。
【0087】
探索情報管理部51は、アップロードされた探索情報が通信部55において受信された場合、探索情報とともに送信されてきたブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、探索情報を送信してきた携帯端末に割り当てられた記憶部54の記憶領域を特定する。記憶部54と探索情報管理部51とで記憶手段を構成している。探索情報管理部51は、特定した記憶領域に探索情報を記憶させる。
【0088】
また、探索情報管理部51は、アップロードされた日から感染症の潜伏期間に相当する期間が経過した探索情報を消去する。
【0089】
記憶部54の記憶領域について説明する。
【0090】
記憶部54の領域A1は、携帯端末Aに割り当てられた領域であり、携帯端末Aのブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR#A)により特定される。領域A1には探索情報記憶領域a11と感染リスクフラグ記憶領域a12が形成されている。
【0091】
探索情報記憶領域a11は、携帯端末Aから送信されてきた探索情報が記憶される領域である。感染リスクフラグ記憶領域a12は、携帯端末Aのユーザが濃厚接触者であると判断された場合に感染リスクフラグが設定される領域である。
【0092】
他の携帯端末に対しても同様に各領域が割り当てられる。例えば、領域A2は携帯端末Bに割り当てられた領域であり、携帯端末Bのブルートゥースデバイスアドレス(BD_ADDR#B)により特定される。領域A2には、携帯端末Bから送信されてきた探索情報が記憶される領域である探索情報記憶領域a21と、携帯端末Bのユーザが濃厚接触者であると判断された場合に感染リスクフラグが設定される領域である感染リスクフラグ記憶領域a22が形成される。
【0093】
このように、記憶部54には、ブルートゥースデバイスアドレスと対応付けて各情報が記憶されるようになされている。記憶領域を物理的に確保するのではなく、論理的に、ブルートゥースデバイスアドレスと対応付けてフォルダを用意し、探索情報や感染リスクフラグがそのフォルダに記憶されるようにしてもよい。
【0094】
リスト作成部52は、感染登録の要求が通信部55において受信された場合、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、記憶部54に形成されている領域の中から、感染登録の要求を送信してきた携帯端末に割り当てられている領域を特定する。
【0095】
リスト作成部52は、特定した記憶領域に記憶されている探索情報を読み出し、図4を参照して説明した接触端末リストを作成する。リスト作成部52は、作成した接触端末リストをフラグ設定部53に出力する。
【0096】
フラグ設定部53は、リスト作成部52により作成された接触端末リストに基づいて濃厚接触者を判別し、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグを設定する設定手段である。携帯端末Aのユーザが濃厚接触者として判断された場合、感染リスクフラグ記憶領域a12に感染リスクフラグが設定される。
【0097】
[各機器の動作]
次に、携帯端末Aと管理サーバ1の動作について説明する。他の携帯端末においても、携帯端末Aの処理と同様の処理が行われる。
【0098】
はじめに、図9のフローチャートを参照して、携帯端末Aの通信処理について説明する。図9の処理は、管理アプリケーションが実行され、ブルートゥース通信の機能がオンになっているときに行われる。
【0099】
ステップS1において、探索部21(図7)は、探索を行うタイミングになったか否かを判定し、探索を行うタイミングになったと判定するまで待機する。
【0100】
探索を行うタイミングになったとステップS1において判定した場合、ステップS2において、探索部21は、ブルートゥース通信部14を制御し、通信可能範囲内に存在する携帯端末の探索を行わせる。
【0101】
ステップS3において、探索部21は、探索により検出された携帯端末のブルートゥースデバイスアドレス、確保可能なリンク数の情報を取得し、年月日、時刻の情報とともに探索情報記憶部22に記憶させる。
【0102】
ステップS4において、アップロード管理部23は、探索情報をアップロードするタイミングになったか否かを判定する。探索情報をアップロードするタイミングになっていないとステップS4において判定された場合、ステップS1に戻り、所定のタイミングで携帯端末の探索が繰り返される。
【0103】
一方、探索情報をアップロードするタイミングになったとステップS4において判定した場合、ステップS5において、アップロード管理部23は、探索情報を探索情報記憶部22から読み出し、携帯端末A自身のブルートゥースデバイスアドレスとともに管理サーバ1に送信する。アップロードされた探索情報は探索情報記憶部22から消去される。
【0104】
ステップS6において、フラグ確認部25は、携帯端末Aに割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグが設定されているか否かを判定する。
【0105】
感染リスクフラグが設定されていないとステップS6において判定された場合、ステップS1に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0106】
一方、感染リスクフラグが設定されているとステップS6において判定された場合、ステップS7において、表示制御部26は、感染症にかかっている可能性があることを通知するメッセージを表示部17に表示させる。メッセージが表示された後、処理は終了される。
【0107】
次に、図10のフローチャートを参照して、感染登録を要求する携帯端末Aの処理について説明する。この処理は、携帯端末Aの表示部17に表示されるメニュー画面において、感染登録の操作が医療関係者により行われたときに開始される。
【0108】
ステップS21において、感染登録部24は、医療関係者により入力されたパスワードが、予め設定されているパスワードと一致するか否かを判定することによって認証を行う。
【0109】
認証が成功した場合、ステップS22において、感染登録部24は、携帯通信部12を制御して管理サーバ1にアクセスし、ブルートゥースデバイスアドレスを含む感染登録の要求を送信する。感染登録の要求が送信されることに応じて、管理サーバ1においては接触端末リストの作成等が行われる。
【0110】
次に、図11のフローチャートを参照して、管理サーバ1の処理について説明する。
【0111】
ステップS31において、探索情報管理部51は、ブルートゥースデバイスアドレスとともに探索情報が携帯端末から送信されてきたか否かを判定する。
【0112】
探索情報が送信されてきたとステップS31において判定した場合、ステップS32において、探索情報管理部51は、ブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、探索情報を送信してきた携帯端末に割り当てられている記憶領域を特定し、探索情報を記憶させる。探索情報が送信されてきていないとステップS31において判定された場合、ステップS32の処理はスキップされる。
【0113】
ステップS33において、リスト作成部52は、感染登録の要求が携帯端末から送信されてきたか否かを判定する。感染登録の要求が送信されてきていないと判定された場合、ステップS31に戻り、探索情報を記憶させることが繰り返される。
【0114】
一方、感染登録の要求が携帯端末から送信されてきたとステップS33において判定した場合、ステップS34において、リスト作成部52は、感染登録の要求に含まれるブルートゥースデバイスアドレスに基づいて、感染登録の要求を送信してきた携帯端末に割り当てられている記憶領域を特定し、探索情報を読み出す。リスト作成部52は、読み出した探索情報に基づいて接触端末リストを作成する。
【0115】
ステップS35において、フラグ設定部53は、接触端末リストに基づいて濃厚接触者を判別し、濃厚接触者として判断したユーザの携帯端末に割り当てられている記憶領域に感染リスクフラグを設定する。その後、ステップS31に戻り、以上の処理が繰り返される。
【0116】
以上の処理により、プライバシーを確保しつつ、感染症にかかっている可能性のあるユーザにそのことを通知することが可能になる。
【0117】
[変形例]
以上においては、感染リスクが何%であるのかが、リンク数や接触時間に基づいて決定されるものとしたが、二次感染であるのか、三次感染であるのかに基づいて決定されるようにしてもよい。
【0118】
例えば、携帯端末Bにより感染登録が行われた場合、携帯端末Bによりアップロードされた探索情報に基づいて、携帯端末Bによる探索によって直接検出された携帯端末が特定される。また、特定された携帯端末によりアップロードされた探索情報に基づいて、その特定された携帯端末による探索によって検出された携帯端末が特定される。
【0119】
前者の携帯端末のユーザの感染リスクとして、後者の携帯端末のユーザの感染リスクよりも高い感染リスクが決定され、決定された感染リスクの情報を含む感染リスクフラグが設定される。
【0120】
二次感染者である可能性がある前者の携帯端末のユーザには、感染リスクフラグの設定を確認した携帯端末により、感染リスクが例えば10%であることがメッセージによって通知され、三次感染者である可能性がある後者の携帯端末のユーザには、感染リスクが例えば5%であることが通知される。
【0121】
また、以上においては、接触端末リストに情報が挙げられている携帯端末のユーザのうちの一部のユーザが濃厚接触者として判別され、感染リスクフラグが設定されるものとしたが、接触端末リストに情報が挙げられている全ての携帯端末のユーザが濃厚接触者とされ、感染リスクフラグが設定されるようにしてもよい。
【0122】
これにより、感染症にかかっているユーザの携帯端末による探索によって検出された全ての携帯端末のユーザに感染の可能性があることを通知することができる。
【0123】
さらに、以上においては、感染している可能性があることが画面に表示されるメッセージによって通知されるものとしたが、スピーカから出力される音声によって通知されるようにしてもよい。
【0124】
端末間で行われる近距離無線通信がブルートゥース通信であるものとしたが、Wibree(商標)やUWB(Ultra Wide Band)などの他の規格の無線通信であってもよい。
【0125】
濃厚接触者の判断において、感染者と異なる時間帯に複数回接触した場合、すなわち、感染者の携帯端末による探索によって異なる時間帯に複数回検出された場合に、検出された携帯端末のユーザが濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0126】
また、複数の感染者がいた場合、複数の感染者のそれぞれの携帯端末との接触時間の合計時間が閾値より長い携帯端末のユーザが濃厚接触者として判断されるようにしてもよい。
【0127】
ブルートゥース通信による探索結果を用いることによってあるユーザを特定する上述した処理は、新型インフルエンザなどの感染症にかかっているユーザを特定する場合以外の様々な場合に適用可能である。
【0128】
例えば、特定の人につきまとういわゆるストーカー行為を行っている人の発見にも適用可能である。ある特定の携帯端末に対して、定期的に長時間近接している携帯端末があることが管理サーバ1において確認された場合、その特定の携帯端末のユーザに対して、ストーカー行為をしている人がいることが通知される。
【0129】
同様に、痴漢に遭った人を感染者とみなし、痴漢に遭った人が複数人いた場合に、その複数人のそれぞれの携帯端末により検出されたことのある携帯端末を、痴漢行為を行っている人の携帯端末として特定するようにしてもよい。
【0130】
また、ゲーム的なものにも適用可能である。このゲームは、参加者のみがブルートゥース通信の機能を起動させておき、フラグを設定している人との接触が多い人に多いポイントが設定され、ポイントの多さによって勝ち負けを決定するものである。
【0131】
さらに、共通の趣味を表すフラグが設定されている携帯端末に接触した場合、その趣味に関する情報を得ることができるようにしてもよい。
【0132】
本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0133】
1 管理サーバ, 21 探索部, 22 探索情報記憶部, 23 アップロード管理部, 24 感染登録部, 25 フラグ確認部, 26 表示制御部, 51 探索情報管理部, 52 リスト作成部, 53 フラグ設定部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段と
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段をさらに備える
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに、前記他の携帯端末との間で確保された前記第1の無線通信のリンクの数の情報を含む前記探索結果の情報を記憶する
請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する設定手段と
を備える情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記第1の携帯端末から送信されてきた、前記第2の携帯端末との間で確保された前記無線通信のリンクの数の情報をさらに含む前記探索結果の情報を記憶し、
前記設定手段は、前記リンクの数が閾値の数より多い場合、前記フラグを設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶し、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項7】
第1の携帯端末、第2の携帯端末、および情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する前記第2の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される前記情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段と
を備え、
前記第2の携帯端末は、
近距離にある携帯端末間で行われる前記第1の無線通信の機能を有する前記第1の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記第1の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される前記情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末としての前記第1の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1の携帯端末と前記第2の携帯端末から送信されてきた、前記第1の無線通信の機能を使った探索によって検出された携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表す前記フラグを設定する設定手段と
を備える情報処理システム。
【請求項1】
近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する他の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記他の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段と
を備える携帯端末。
【請求項2】
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段をさらに備える
請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記記憶手段は、さらに、前記他の携帯端末との間で確保された前記第1の無線通信のリンクの数の情報を含む前記探索結果の情報を記憶する
請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する設定手段と
を備える情報処理装置。
【請求項5】
前記記憶手段は、前記第1の携帯端末から送信されてきた、前記第2の携帯端末との間で確保された前記無線通信のリンクの数の情報をさらに含む前記探索結果の情報を記憶し、
前記設定手段は、前記リンクの数が閾値の数より多い場合、前記フラグを設定する
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ネットワークを介して接続される第1の携帯端末から送信されてきた、近距離にある携帯端末間で行われる無線通信の機能を使った探索によって前記第1の携帯端末により検出された第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶し、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして識別情報を記憶している前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグを設定する
ステップを含む情報処理方法。
【請求項7】
第1の携帯端末、第2の携帯端末、および情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、
前記第1の携帯端末は、
近距離にある携帯端末間で行われる第1の無線通信の機能を有する前記第2の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記第2の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される前記情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスし、自分自身を特定の携帯端末として登録することを要求する登録手段と
を備え、
前記第2の携帯端末は、
近距離にある携帯端末間で行われる前記第1の無線通信の機能を有する前記第1の携帯端末を、前記第1の無線通信によって探索する第1の無線通信手段と、
探索により検出された前記第1の携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶されている前記探索結果の情報を、ネットワークを介して接続される前記情報処理装置に前記第1の無線通信とは異なる第2の無線通信によって送信する第2の無線通信手段と、
前記第2の無線通信によって前記情報処理装置にアクセスした際に、特定の携帯端末としての前記第1の携帯端末による前記第1の無線通信を使った探索によって自分自身が検出されたことがあるために、特定の携帯端末に接近した可能性があることを表すフラグが設定されている場合、特定の携帯端末に接近した可能性があることを通知する情報を出力する出力手段と
を備え、
前記情報処理装置は、
前記第1の携帯端末と前記第2の携帯端末から送信されてきた、前記第1の無線通信の機能を使った探索によって検出された携帯端末の識別情報を含む探索結果の情報を記憶する記憶手段と、
前記第1の携帯端末を特定の携帯端末として登録することが前記第1の携帯端末から要求された場合、前記第1の携帯端末による探索によって検出された携帯端末であるとして前記記憶手段により識別情報が記憶されている前記第2の携帯端末を特定し、前記第2の携帯端末が特定の携帯端末に接近した可能性があることを表す前記フラグを設定する設定手段と
を備える情報処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−277452(P2010−277452A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131197(P2009−131197)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(307022424)ソフトバンクテレコム株式会社 (42)
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