説明

携帯端末、機能制限方法およびプログラム

【課題】ユーザに負担をかけることなく、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用することを可能にする。
【解決手段】携帯端末であって、当該携帯端末が備える機能を実行するための電力を供給する電池と、電池の残量である電池残量を測定する電池残量測定部と、電池残量測定部にて測定された電池残量の履歴を記憶する記憶部と、電池残量測定部にて測定された電池残量と、記憶部に記憶された電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する解析部と、解析部における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制御部とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能を実行するための電力を供給する電池を有する携帯端末、機能制限方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末には様々な機能が備えられるようになってきている。携帯端末のユーザがこれらの様々な機能を利用することで、携帯端末が有する電池の残量の減少スピードが早くなってきている。以降、電池の残量のことを電池残量という。
【0003】
ユーザは、電池残量が少なくなっていることで所望の機能を所望のタイミングで利用できない場合、不満を感じることが多い。
【0004】
このような不満を解消すべく、携帯端末が備える機能の利用を制限したり、電池残量が少なくなっていることをユーザに通知したりすることで電池残量を確保するための技術が例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されている技術は、バッテリーの残量(電池残量)と、使用中の機能の過去の使用状況の履歴とから、バッテリー(電池)が切れるまでの時期を予測してユーザに通知するというものである。
【0006】
また、特許文献2に開示されている技術は、機能毎に予め決められた電力供給制限値のそれぞれと電池残量とを比較し、各機能の電池供給制限値が電池残量を下回っている場合に、該当する機能処理部に対する電力供給を停止するか、または警告を発するというものである。
【0007】
また、特許文献3に開示されている技術は、電池残量が所定値以下となった場合に、情報通信装置(携帯端末)の位置と、充電を行うことが可能な位置とに基づいて充電が可能となるまでの時間を算出する。そして、算出した時間と電池の残使用時間とを比較し、その比較結果に応じて情報通信装置の機能を制限するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−255987号公報
【特許文献2】特開2001−186251号公報
【特許文献3】特開2008−236680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述した特許文献1に開示されているような技術を用いても、電池残量が少なくなっていることをユーザが認識できるだけであり、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用できないという問題点を根本的に解決できているとはいえない。
【0010】
ここで、ユーザが携帯端末を利用する利用パターンは、概ね決まっていることが多い。一例としては、午前中に携帯端末のデータ通信機能を利用して新聞のサイトから朝刊をダウンロードしたり、夕方に携帯端末の音声通信機能を利用して会社に業務報告を行ったりするというような利用パターンが考えられる。
【0011】
このような概ね決まっている利用パターンに従ってユーザが携帯端末を利用できれば、そのユーザは、上述したような不満を感じることはない。
【0012】
上述した特許文献2および特許文献3に開示されている技術を用いた場合、このような概ね決まっている利用パターンを考慮することなく機能の利用が制限されてしまう。
【0013】
そこで、ユーザが自身の利用パターンに従って携帯端末を利用できるように、携帯端末を設定する方法も考えられてはいるが、設定のための判断基準となるような情報も公開されておらず、ユーザが試行錯誤をして設定を行わなければならない。つまり、この方法を用いた場合、ユーザにかかる負担が大きくなってしまうという問題点がある。
【0014】
本発明は、ユーザに負担をかけることなく、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用することを可能にする携帯端末、機能制限方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の携帯端末は、当該携帯端末が備える機能を実行するための電力を供給する電池と、
前記電池の残量である電池残量を測定する電池残量測定部と、
前記電池残量測定部にて測定された電池残量の履歴を記憶する記憶部と、
前記電池残量測定部にて測定された電池残量と、前記記憶部に記憶された電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する解析部と、
前記解析部における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制御部と、を有する。
【0016】
また、上記目的を達成するために本発明の機能制限方法は、機能を実行するための電力を供給する電池を有する携帯端末における機能制限方法であって、
前記電池の残量である電池残量を測定する処理と、
前記測定した電池残量の履歴を記憶する処理と、
前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する決定処理と、
前記決定処理における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制限処理と、を有する。
【0017】
また、上記目的を達成するために本発明のプログラムは、機能を実行するための電力を供給する電池を有する携帯端末に、
前記電池の残量である電池残量を測定する機能と、
前記測定した電池残量の履歴を記憶する機能と、
前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する決定機能と、
前記決定機能における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制限機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明は以上説明したように構成されているので、ユーザに負担をかけることなく、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の携帯端末の実施の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した記憶部が備えるテーブルの一構成例を示す図であり、(a)は電池残量履歴テーブルの一構成例を示す図、(b)は平均残量テーブルの一構成例を示す図である。
【図3】図1に示した記憶部が備えるテーブルの一構成例を示すであり、(a)は機能履歴テーブルの一構成例を示す図、(b)は機能制限テーブルの一構成例を示す図である。
【図4】図1に示した解析部が複数の制限レベルのいずれかを選択する動作を説明するための図である。
【図5】図1〜図4に示した携帯端末の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【図6】図1に示した表示部が備える画面に表示される電池残量画像の一例を示す図であり、(a)は機能の利用が制限されていないときの電池残量画像の一例を示す図、(b)は機能の利用が制限されているときの電池残量画像の一例を示す図、(c)は機能の利用が制限されているときの電池残量画像の他の例を示す図である。
【図7】図1に示した記憶部が備える緊急時用機能制限テーブルの一構成例を示す図である。
【図8】図1〜図4に示した携帯端末の動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の携帯端末の実施の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の携帯端末の実施の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0022】
本実施形態の携帯端末100は、通信部101と、表示部102と、位置測定部103と、操作部104と、電池残量測定部105と、携帯端末100が備える機能を実行するために電力を供給する電池106と、記憶部107と、制御部108と、解析部109とを備えている。
【0023】
通信部101は、携帯端末100の外部の装置等との間でデータ通信や音声通信を行う。また、通信部101は、ワンセグの電波を受信する機能も備えている。
【0024】
表示部102は、画面(不図示)を備えている。表示部102は、制御部108からの指示に応じ、ユーザが携帯端末100を操作するのに必要な画像や情報等を画面に表示する。例えば、表示部102は、電池残量を示す電池残量画像を画面に表示する。
【0025】
位置測定部103は、例えばGPS(Global Positioning System)信号を受信することで携帯端末100が存在する位置を測定する。
【0026】
操作部104は、ユーザが文字等を入力するためのキーボードや上下左右ボタン等を備えている。操作部104は、各種指示や選択等の入力をユーザから受け付け、受け付けた指示を示す情報や選択された内容を示す操作情報を制御部108へ出力する。なお、操作部104は、表示部102の画面に積層されたタッチパネルを備え、画面に表示されたアイコン等が押下されることで、各種指示や選択等の入力が受け付けられるものでもよい。
【0027】
記憶部107は、電池106の電池残量の履歴を記憶するための電池残量履歴テーブルと、平均残量テーブルとを備えている。
【0028】
図2は、図1に示した記憶部107が備えるテーブルの一構成例を示す図であり、(a)は電池残量履歴テーブルの一構成例を示す図、(b)は平均残量テーブルの一構成例を示す図である。
【0029】
電池残量履歴テーブルは図2(a)に示すように、日、曜日および時刻と電池残量とを対応付けて記憶している。
【0030】
電池残量履歴テーブルに記憶された日、曜日および時刻は、後述する電池残量測定部105にて電池106の電池残量を測定した日、曜日および時刻を示している。また、電池残量履歴テーブルに記憶された電池残量は、電池残量測定部105にて測定された電池106の電池残量を示している。なお、本実施形態では、電池残量履歴テーブルは、2週間分の情報を記憶しているものとする。但し、2週間というのは一例であり、電池残量テーブルが記憶する情報は2週間分のものに限定されない。
【0031】
平均残量テーブルは図2(b)に示すように、曜日および時刻と平均残量とを対応付けて記憶している。
【0032】
平均残量テーブルに記憶された曜日および時刻は、後述する電池残量測定部105にて電池106の電池残量を測定した曜日および時刻を示している。また、平均残量テーブルに記憶された平均残量は、対応する曜日および時刻の電池残量の平均を示している。なお、この平均残量は、電池残量測定部105が算出して平均残量テーブルに記憶させる。
【0033】
また、記憶部107は、携帯端末100が備える機能のうち実行された機能の履歴を記憶するため機能履歴テーブルと、機能制限テーブルとを備えている。
【0034】
図3は、図1に示した記憶部107が備えるテーブルの一構成例を示すであり、(a)は機能履歴テーブルの一構成例を示す図、(b)は機能制限テーブルの一構成例を示す図である。
【0035】
機能履歴テーブルは図3(a)に示すように、日、曜日および時刻と、機能とを対応付けて時系列で記憶している。
【0036】
機能履歴テーブルに記憶された日、曜日および時刻は、携帯端末100にて機能が実行された日、曜日および時刻を示している。また、機能履歴テーブルに記憶された機能は、携帯端末100にて実行された機能を示している。実行された機能とは例えば、データ通信の開始や終了、電池106の充電の開始や終了等である。従って、機能履歴テーブルは、データ通信の開始時刻および終了時刻の履歴や、電池106の充電の開始時刻や終了時刻の履歴等を記憶していることになる。なお、本実施形態では、機能履歴テーブルは、2週間分の情報を記憶しているものとする。但し、2週間というのは一例であり、機能履歴テーブルが記憶する情報は2週間分のものに限定されない。
【0037】
機能制限テーブルは図3(b)に示すように、携帯端末100が備える機能の利用を制限する相互に異なる複数のレベルのそれぞれを示す複数の制限レベルのそれぞれと、その制限レベルにおける制限内容とを対応付けて記憶している。なお、ここでは、制限レベルの数を3つとしているが、制限レベルの数は3つに限定されない。また、図3(b)の機能制限テーブルに示した制限内容は一例であり、これらの制限内容に限定されない。
【0038】
再度、図1を参照すると、電池残量測定部105は、現在時刻を示すタイマー(不図示)を備えている。電池残量測定部105は、所定の時刻になると電池106の電池残量を測定する。なお、所定の時刻は、毎時00分や、毎時30分、毎時00分および毎時30分等、自由に設定することができる。本実施形態では、電池残量測定部105は、毎時00分に電池106の電池残量を測定するものとする。そして、電池残量測定部105は、測定した日と、測定した曜日と、測定した時刻と、測定した電池残量とを対応付けて記憶部107が備える電池残量履歴テーブルに記憶させる。そして、電池残量測定部105は、記憶部107が備える電池残量履歴テーブルに記憶された情報から、曜日および時刻毎の電池残量の平均を平均残量として算出する。そして、電池残量測定部105は、曜日および時刻と、算出した平均残量とを対応付けて記憶部107が備える平均残量テーブルに記憶させる。次に、電池残量測定部105は、電池106が充電中の状態であるかどうかを確認する。確認の結果、電池106が充電中の状態でない場合、電池残量測定部105は、測定した曜日を示す曜日情報と、測定した時刻を示す時刻情報と、測定した電池残量を示す電池残量情報とを解析部109へ出力する。
【0039】
制御部108は、携帯端末100全体を制御するものである。制御部108は例えば、操作部104から出力された操作情報を受け付け、受け付けた操作情報に応じ、携帯端末100が備える機能の実行を携帯端末100の各部に指示する。そして、制御部108は、その機能を実行した日と、その機能を実行した曜日と、その機能を実行した時刻と、その機能とを対応付けて記憶部107が備える機能履歴テーブルに記憶させる。なお、制御部108は、バックグラウンドで実行される機能も、機能履歴テーブルに記憶させる。バックグラウンドで実行される機能とは例えば、位置測定部103がGPS信号を受信し、携帯端末100が存在する位置を測定する機能である。また、制御部108は、後述する解析部109から出力された制限レベル情報を受け付ける。そして、制御部108は、記憶部107が備える機能制限テーブルを参照し、複数の制限レベルのうち、受け付けた制限レベル情報が示す制限レベルを選択する。そして、制御部108は、選択した制限レベルに対応する制限内容を実行する。すなわち、制御部108は、携帯端末100が備える機能の利用を制限する。
【0040】
解析部109は、電池残量測定部105から出力された曜日情報と、時刻情報と、電池残量情報とを受け付ける。そして、解析部109は、受け付けた情報と、記憶部107が備えるテーブルに記憶された情報とに基づき、携帯端末100が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する。そして、解析部109は、携帯端末100が備える機能の利用を制限すると決定した場合、上述した複数の制限レベルのいずれかを選択する。具体的には、解析部109は、受け付けた情報と、記憶部107が備えるテーブルに記憶された情報とから、電池106の充電が開始されると予測される時刻までの時間である充電開始予測時間を算出する。また、解析部109は、その間に不足すると予測される電池の残量である不足電池残量を算出する。そして、解析部109は、算出した充電開始予測時間と不足電池残量とに基づいて複数の制限レベルのいずれかを選択する。
【0041】
図4は、図1に示した解析部109が複数の制限レベルのいずれかを選択する動作を説明するための図である。
【0042】
図4に示すグラフは、充電開始予測時間をX軸とし、不足電池残量をY軸としている。そして、このグラフ上には、複数の制限レベル(レベル1〜レベル3)が直線として設定されている。なお、これらの直線の傾きは一例である。
【0043】
解析部109は、図4に示したグラフの座標系と、図4のグラフ上に示した3つの直線のそれぞれをXとYとで表した式を記憶している。そして、解析部109は、これらの式と、算出した充電開始予測時間と不足電池残量との交点の値と、に基づき、複数の制限レベルのいずれかを選択する。具体的には、交点のY軸方向の値が、レベル1の直線を表す式にXの値としてその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値以下である場合、解析部109は、レベル1を選択する。また、交点のY軸方向の値が、レベル1の直線を表す式にXの値としてその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値よりも大きく、レベル2の直線を表す式にその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値以下である場合、解析部109は、レベル2を選択する。また、交点のY軸方向の値が、レベル2の直線を表す式にXの値としてその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値よりも大きな場合、解析部109は、レベル3を選択する。そして、解析部109は、選択した制限レベルを示す制限レベル情報を制御部108へ出力する。なお、解析部109が、機能の利用を制限するかどうかを決定する動作と、制限レベルを選択する動作の詳細については、後述する動作フローで説明する。
【0044】
以下に、上記のように構成された携帯端末の動作について説明する。ここでは、一例として、記憶部107が備える電池残量履歴テーブルおよび平均残量テーブルに記憶された情報が図2に示した内容であり、記憶部107が備える機能履歴テーブルに記憶された情報が図3(a)に示した内容である場合について説明する。
【0045】
図5は、図1〜図4に示した携帯端末100の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0046】
電池残量測定部105は、タイマーの示す時刻が00分であるかどうかを確認する(ステップS1)。
【0047】
ステップS1における確認の結果、タイマーの示す時刻が00分でない場合、ステップS1の動作へ遷移する。すなわち、電池残量測定部105は、タイマーの示す時刻が00分であるかどうかの確認を継続する。
【0048】
一方、ステップS1における確認の結果、タイマーの示す時刻が00分である場合、電池残量測定部105は、電池106の電池残量を測定する(ステップS2)。
【0049】
次に、電池残量測定部105は、測定した日と、測定した曜日と、測定した時刻と、測定した電池残量とを対応付けて記憶部107が備える電池残量履歴テーブルに記憶させる(ステップS3)。以降、測定した日が2011年7月7日であり、測定した曜日が木曜日であり、測定した時刻が12時00分であり、測定された電池残量が340(mAh)であるものとして説明する。
【0050】
次に、電池残量測定部105は、記憶部107が備える電池残量履歴テーブルに記憶された情報から、曜日および時刻毎の電池残量の平均を平均残量として算出する。
【0051】
次に、電池残量測定部105は、曜日および時刻と、算出した平均残量とを対応付けて記憶部107が備える平均残量テーブルに記憶させる(ステップS4)。
【0052】
そして、電池残量測定部105は、電池106が充電中の状態であるかどうかを確認する(ステップS5)。
【0053】
ステップS5における確認の結果、電池106が充電中の状態である場合、ステップS1の動作へ遷移する。
【0054】
一方、ステップS5における確認の結果、電池106が充電中の状態でない場合、電池残量測定部105は、測定した曜日を示す曜日情報と、測定した時刻を示す時刻情報と、測定した電池残量を示す電池残量情報とを解析部109へ出力する。
【0055】
電池残量測定部105から出力された曜日情報と、時刻情報と、電池残量情報とを受け付けた解析部109は、記憶部107が備える平均残量テーブルを参照する。
【0056】
次に、解析部109は、受け付けた曜日情報および時刻情報が示す曜日および時刻に対応する平均残量を平均残量テーブルから取得する(ステップS6)。ここでは、解析部109は、「木曜日 12時00分」対応する815(mAh)を取得することになる。
【0057】
そして、解析部109は、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が、ステップS6にて取得した平均残量以上であるかどうかを確認する(ステップS7)。
【0058】
ステップS7における確認の結果、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が、ステップS6にて取得した平均残量以上である場合、ステップS1の動作へ遷移する。
【0059】
一方、ステップS7における確認の結果、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が、ステップS6にて取得した平均残量よりも少ない場合、解析部109は、記憶部107が備える機能履歴テーブルを参照する。
【0060】
次に、解析部109は、受け付けた曜日情報および時刻情報が示す曜日および時刻よりも後の時刻で、機能が「充電開始」に対応する最初の曜日および時刻を充電開始予定時刻として機能履歴テーブルから取得する(ステップS8)。ここでは、解析部109は、「木曜日 12時00分」よりも後の時刻で、機能が「充電開始」に対応する最初の曜日および時刻である「木曜日 17時45分」を充電開始予定時刻として取得することになる。同様に、解析部109は、「木曜日 12時00分」よりも後の時刻で、機能が「充電開始」に対応する最初の曜日および時刻である「木曜日 18時15分」を充電開始予定時刻として取得することになる。
【0061】
次に、解析部109は、受け付けた曜日情報および時刻情報が示す曜日および時刻から、ステップS8にて取得した充電開始予定時刻までの平均時間を上述した充電開始予測時間として算出する(ステップS9)。ここでは、解析部109は、「木曜日 12時00分」から「木曜日 17時45分」までの5時間45分と、「木曜日 12時00分」から「木曜日 18時15分」までの6時間15分とから、充電開始予測時間として6時間を算出することになる。
【0062】
次に、解析部109は、受け付けた曜日情報および時刻情報が示す曜日および時刻に、ステップS9にて算出した充電開始予測時間を加算した曜日および時刻に対応する平均残量を充電開始時平均残量として平均残量テーブルから取得する(ステップS10)。ここでは、解析部109は、「木曜日 12時00分」に、6時間を加算した「木曜日 18時00分」に対応する電池残量である175(mAh)を充電開始時平均残量として取得することになる。なお、受け付けた曜日情報および時刻情報が示す曜日および時刻に、算出した充電開始予測時間を加算した時刻が、例えば「18時45分」のように00分でない場合には、その時刻の前後の2つの時刻の平均残量のうち少ない方の平均残量を充電開始時平均残量として取得すればよい。
【0063】
次に、解析部109は、ステップS6にて取得した平均残量と、ステップS10にて取得した充電開始時平均残量との差を、電池106の充電が開始されるまでに必要であると予測される電池の残量である必要電池残量として算出する(ステップS11)。ここでは、解析部109は、815(mAh)と175(mAh)とから、640(mAh)を必要電池残量として算出することになる。
【0064】
次に、解析部109は、ステップS11にて算出した必要電池残量と、受け付けた電池残量情報が示す電池残量との差を、上述した不足電池残量として算出する(ステップS12)。ここでは、解析部109は、640(mAh)と340(mAh)とから、300(mAh)を不足電池残量として算出することになる。
【0065】
次に、解析部109は、ステップS9にて算出された充電開始予測時間と、ステップS12にて算出された不足電池残量とから、複数の制御レベルのいずれかを選択する(ステップS13)。ここでは、ステップS9にて算出された充電開始予測時間が6時間であり、ステップS12にて算出された不足電池残量が300(mAh)である。この場合、図4に示したグラフを参照すると、充電開始予測時間が6時間であり、不足電池残量が300(mAh)である場合の交点は、レベル2を示す直線上になる。つまり、交点のY軸方向の値が、レベル1の直線を表す式にXの値としてその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値よりも大きく、レベル2の直線を表す式にその交点のX軸方向の値を代入したときのYの値以下である場合に該当する。従って、解析部109は、制御レベルとしてレベル2を選択する。
【0066】
そして、解析部109は、選択した制限レベルを示す制限レベル情報を制御部108へ出力する。
【0067】
解析部109から出力された制限レベル情報を受け付けた制御部108は、記憶部107が備える機能制限テーブルを参照し、複数の制限レベルのうち、受け付けた制限レベル情報が示す制限レベルを選択する。
【0068】
そして、制御部108は、選択した制限レベルに対応する制限内容を実行する(ステップS14)。そして、ステップS1の動作へ遷移する。なお、電池106の電池残量の減少スピードが速く、選択した制限レベルが前回選択した制限レベルと2段階以上異なる場合には、選択した制限レベルと前回選択した制限レベルとの間の制限レベルに対応する制限内容も合わせて実行するようにしてもよい。
【0069】
なお、機能の利用の制限がされている間に電池106の充電が開始されると、制御部108は、機能の利用の制限を解除する。
【0070】
このように本実施形態において携帯端末100は、電池106の残量である電池残量を測定する電池残量測定部105と、測定した電池残量の履歴を記憶する記憶部107とを有する。
【0071】
また、携帯端末100は、電池残量測定部105にて測定された電池残量と、記憶部107に記憶された電池残量の履歴とに基づき、携帯端末100が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する解析部109を有する。
【0072】
また、携帯端末100は、解析部109における決定に従い、携帯端末100が備える機能の利用を制限する制御部108を有する。
【0073】
これにより、ユーザに負担をかけることなく、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用することが可能となる。
【0074】
なお、本実施形態においては、図5を参照しながら説明した動作フローのステップS7において電池残量が平均残量よりも少ない場合、つまり、電池残量の不足が予想される場合に、携帯端末100が備える機能の利用を制限した。ここで、電池残量の不足が予想される場合、制御部108は、機能の利用を制限することに加え、表示部102が備える画面に表示させる電池残量画像の表示方法を変更するようにしてもよい。
【0075】
図6は、図1に示した表示部102が備える画面に表示される電池残量画像の一例を示す図であり、(a)は機能の利用が制限されていないときの電池残量画像の一例を示す図、(b)は機能の利用が制限されているときの電池残量画像の一例を示す図、(c)は機能の利用が制限されているときの電池残量画像の他の例を示す図である。
【0076】
機能の利用が制限されているときには例えば、制御部108は、図6(b)に示すように、図6(a)に示したような機能が制限されていないときとは異なる形態の電池残量画像を表示部102が備える画面に表示させるようにする。
【0077】
また、他の方法として、機能の利用が制限されているときには例えば、制御部108は、図6(c)に示すように、機能の利用が制限されていないときとは形態が異なり、かつ、実際の電池残量よりも少ない量を示す電池残量画像を表示部102が備える画面に表示させるようにする。
【0078】
機能の利用が制限されているときに、制御部108が、図6(b)や図6(c)に示したような電池残量画像を表示部102が備える画面に表示させ、ユーザに携帯端末を必要以上に利用させないようにすることで、電池残量の減少を抑制することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態においては、充電開始予測時間と不足電池残量とに基づいて機能の制限を行う場合について説明した。これに加えて、震災の発生等の緊急時にもユーザが携帯端末100を確実に利用できるように、最低限の電池残量を確保できるようにすることも可能である。
【0080】
この場合、最低限の電池残量を確保するかどうかの設定である緊急時用設定を携帯端末100に対して行えるものとする。具体的には、ユーザは、緊急時用設定をオンの状態にするか、オフの状態にするかを操作部104を操作することで選択する。
【0081】
また、この場合、記憶部107は、複数の緊急時用制限レベルのそれぞれと、その緊急時用制限レベルにおける制限内容とを対応付けて記憶する緊急時用機能制限テーブルを備える。
【0082】
図7は、図1に示した記憶部107が備える緊急時用機能制限テーブルの一構成例を示す図である。
【0083】
なお、図7に示す緊急時用機能制限テーブルの制限内容は、確保したい最低限の電池残量に応じて予め決められていてもよいし、確保したい最低限の電池残量とともにユーザが変更できるものであってもよい。
【0084】
図8は、図1〜図4に示した携帯端末100の動作の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0085】
ステップS21〜S25までの動作は、図5を参照しながら説明したステップS1〜S5まで動作と同様なので説明を省略する。
【0086】
電池残量測定部105から出力された曜日情報と、時刻情報と、電池残量情報とを受け付けた解析部109は、緊急時用設定がオンの状態であるかどうかを確認する(ステップS26)。
【0087】
ステップS26における確認の結果、緊急時用設定がオンの状態でない場合、図5を参照しながら説明したステップS6の動作へ遷移する。
【0088】
一方、ステップS26における確認の結果、緊急時用設定がオンの状態である場合、解析部109は、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が予め決められた最低量以上であるかどうかを確認する(ステップS27)。
【0089】
ステップS27における確認の結果、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が予め決められた最低量以上である場合、図5を参照しながら説明したステップS6の動作へ遷移する。
【0090】
一方、ステップS27における確認の結果、受け付けた電池残量情報が示す電池残量が予め決められた最低量よりも少ない場合、解析部109は、例えば、受け付けた電池残量情報が示す電池残量と予め決められた最低量との差に応じ、上述した複数の緊急時用制限レベルのいずれかを選択する(ステップS28)。
【0091】
そして、解析部109は、選択した緊急時用制限レベルを示す緊急時用制限レベル情報を制御部108へ出力する。
【0092】
解析部109から出力された緊急時用制限レベル情報を受け付けた制御部108は、記憶部107が備える緊急時用制限レベルテーブルを参照し、複数の緊急時用制限レベルのうち、受け付けた緊急時用制限レベル情報が示す緊急時用制限レベルを選択する。
【0093】
そして、制御部108は、選択した緊急時用制限レベルに対応する制限内容を実行する(ステップS29)。なお、制御部108は、機能の利用を制限していることを示す画像を表示部102が備える画面に表示させるようにしてもよい。そして、ステップS21の動作へ遷移する。
【0094】
また、本実施形態においては、毎時00分等を所定の時刻とし、その所定の時刻に電池残量測定部105が電池106の電池残量を測定する場合について説明した。これ以外にも、記憶部107が備える機能履歴テーブルに記憶された情報を用い、ユーザが携帯端末100を利用する利用パターンに応じた適切なタイミングを所定の時刻としてもよい。
【0095】
また、本実施形態においては、携帯端末100が備える機能の利用を携帯端末100自身で制限する場合について説明した。これ以外にも、記憶部107に記憶された情報を、携帯端末100のメールサーバにも記憶させ、携帯端末100の電池残量をそのメールサーバに確認させるようにすることも可能である。これにより、電池残量の不足が予想される場合に、そのメールサーバが、広告用のメールなどの不要不急のメールを受信しないようにしたり、アップデート通知などのプッシュ型のデータ通信を携帯端末100に対して行わないようにしたりすることができる。
【0096】
(第2の実施形態)
図9は、本発明の携帯端末の実施の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0097】
図9において、図1に示したものと同一の構成のものには同一の符号を付してある。
【0098】
本実施形態において携帯端末200は、電池106の残量である電池残量を測定する電池残量測定部105と、測定した電池残量の履歴を記憶する記憶部107とを有する。
【0099】
また、携帯端末200は、電池残量測定部105にて測定された電池残量と、記憶部107に記憶された電池残量の履歴とに基づき、携帯端末100が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する解析部109を有する。
【0100】
また、携帯端末200は、解析部109における決定に従い、携帯端末100が備える機能の利用を制限する制御部108を有する。
【0101】
これにより、ユーザに負担をかけることなく、ユーザが所望の機能を所望のタイミングで利用することが可能となる。
【0102】
なお、本発明においては、携帯端末内の処理は上述の専用のハードウェアにて実現されるもの以外に、その機能を実現するためのプログラムを携帯端末にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを携帯端末に読み込ませ、実行するものであっても良い。携帯端末にて読取可能な記録媒体とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、DVD、CDなどの移設可能な記録媒体の他、携帯端末に内蔵されたHDDなどを指す。
【符号の説明】
【0103】
100,200 携帯端末
101 通信部
102 表示部
103 位置測定部
104 操作部
105 電池残量測定部
106 電池
107 記憶部
108 制御部
109 解析部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末であって、
当該携帯端末が備える機能を実行するための電力を供給する電池と、
前記電池の残量である電池残量を測定する電池残量測定部と、
前記電池残量測定部にて測定された電池残量の履歴を記憶する記憶部と、
前記電池残量測定部にて測定された電池残量と、前記記憶部に記憶された電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する解析部と、
前記解析部における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制御部と、を有する携帯端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯端末において、
前記電池残量測定部は、所定の時刻になると前記電池残量を測定し、
前記解析部は、前記電池残量測定部にて測定された電池残量と、前記記憶部に記憶された電池残量の履歴のうち当該測定の曜日および時刻と同じ曜日および時刻の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する携帯端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯端末において、
前記記憶部は、前記電池の充電が開始された充電開始時刻の履歴を記憶し、
前記解析部は、当該携帯端末が備える機能の利用を制限することを決定した場合、前記記憶部に記憶された充電開始時刻の履歴を用いて当該測定の時刻から前記電池の充電が開始されるまでの時間を予測し、前記記憶部に記憶された電池残量の履歴を用いて当該測定の時刻から前記予測した時間の間に必要な電池残量を予測し、前記予測した電池残量と、前記測定された電池残量とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するレベルが相互に異なる複数の制限レベルのいずれかを選択し、
前記制御部は、前記複数の制御レベルのうち前記解析部にて選択された制御レベルで当該携帯端末が備える機能の利用を制限する携帯端末。
【請求項4】
機能を実行するための電力を供給する電池を有する携帯端末における機能制限方法であって、
前記電池の残量である電池残量を測定する測定処理と、
前記測定した電池残量の履歴を記憶する処理と、
前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する決定処理と、
前記決定処理における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制限処理と、を有する機能制限方法。
【請求項5】
請求項4に記載の機能制限方法において、
前記測定処理は、所定の時刻になると前記電池残量を測定する処理であり、
前記決定処理は、前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴のうち当該測定の曜日および時刻と同じ曜日および時刻の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する処理である機能制限方法。
【請求項6】
請求項5に記載の機能制限方法において、
前記電池の充電が開始された充電開始時刻の履歴を記憶する処理と、
前記決定処理にて当該携帯端末が備える機能の利用を制限することを決定した場合、前記記憶した充電開始時刻の履歴を用いて当該測定の時刻から前記電池の充電が開始されるまでの時間を予測する処理と、
前記記憶した電池残量の履歴を用いて当該測定の時刻から前記予測した時間の間に必要な電池残量を予測する処理と、
前記予測した電池残量と、前記測定した電池残量とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するレベルが相互に異なる複数の制限レベルのいずれかを選択する処理と、をさらに有し、
前記制限処理は、前記複数の制御レベルのうち前記選択した制御レベルで当該携帯端末が備える機能の利用を制限する処理である機能制限方法。
【請求項7】
機能を実行するための電力を供給する電池を有する携帯端末に、
前記電池の残量である電池残量を測定する測定機能と、
前記測定した電池残量の履歴を記憶する機能と、
前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する決定機能と、
前記決定機能における決定に従い、当該携帯端末が備える機能の利用を制限する制限機能と、を実現させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムにおいて、
前記測定機能は、所定の時刻になると前記電池残量を測定する機能であり、
前記決定機能は、前記測定した電池残量と、前記記憶した電池残量の履歴のうち当該測定の曜日および時刻と同じ曜日および時刻の履歴とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するかどうかを決定する機能であるプログラム。
【請求項9】
請求項8に記載のプログラムにおいて、
前記携帯端末に、
前記電池の充電が開始された充電開始時刻の履歴を記憶する機能と、
前記決定機能にて当該携帯端末が備える機能の利用を制限することを決定した場合、前記記憶した充電開始時刻の履歴を用いて当該測定の時刻から前記電池の充電が開始されるまでの時間を予測する機能と、
前記記憶した電池残量の履歴を用いて当該測定の時刻から前記予測した時間の間に必要な電池残量を予測する機能と、
前記予測した電池残量と、前記測定した電池残量とに基づき、当該携帯端末が備える機能の利用を制限するレベルが相互に異なる複数の制限レベルのいずれかを選択する機能と、をさらに実現させ、
前記制限機能は、前記複数の制御レベルのうち前記選択した制御レベルで当該携帯端末が備える機能の利用を制限する機能であるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−62607(P2013−62607A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198625(P2011−198625)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】