説明

携帯端末およびその制御方法

【課題】ネットワーク接続時の設定の手間を軽減させる。
【解決手段】本発明の携帯端末は、複数のネットワークのいずれかに接続先を切り替え可能な携帯端末であって、接続先のネットワーク上のサーバとの通信に必要な設定データが前記接続先のネットワークに応じて設定されることで前記サーバと通信を行うクライアント部と、前記携帯端末が接続するネットワーク毎に、該ネットワークに応じた前記設定データを決定するためのルールを前記ネットワークに対応させて記憶する記憶部と、前記携帯端末がネットワークに接続すると、該接続先のネットワークを識別し、該識別したネットワークに対応して前記記憶部に記憶されているルールに従って前記設定データを決定し、該決定した設定データを前記クライアント部に設定する決定部と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線LAN(Local Area Network)などのインフラの整備、普及に伴い、利用者がノート型のパーソナルコンピュータなどの携帯端末を持ち歩き、使用場所に応じて、その時々で異なるコンピュータネットワークに接続させて作業を行うという利用形態が一般的になりつつある。
【0003】
また、ネットワーク上のWebコンテンツのデータの送信などを行うコンテンツサーバと携帯端末(クライアント)とがデータの送受信などを行うための通信プロトコルであるHTTP(HyperText Transfer Protocol)を基盤としたWeb関連技術も日常的に利用されるようになってきている。特に、最近では、業務サービスなどのシステムをネットワーク上のサーバで動作するWebアプリケーションとして構築する例が一般的になっており、Web関連技術は、コンピュータネットワークの基盤インフラを構成する重要な技術の1つと看做されている。
【0004】
Web関連技術の構成要素の1つとしてWebプロキシが挙げられる。
【0005】
携帯端末へのWebプロキシの設定が行われると、携帯端末は、コンテンツサーバとの通信を、携帯端末とコンテンツサーバとの間でデータを中継するプロキシサーバを介して行う。
【0006】
プロキシサーバは、コンテンツサーバから一度送信されたデータをキャッシュし、例えば、データの更新があった場合には、キャッシュしているデータとの差分だけを携帯端末に送信するキャッシュ機能、および、自身を介して行われる通信をチェックするチェック機能などを備えている。
【0007】
プロキシサーバがキャッシュ機能を備えることにより、送受信されるデータ量が減り、ネットワーク負荷が軽減される(例えば、特許文献1(特開2005−309688号公報)参照)。また、プロキシサーバがチェック機能を備えることにより、近年のWeb関連技術の重要度の増大に伴い、情報漏洩対策、アクセス制御、セキュリティ確保なども図られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−309688号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
Webプロキシの設定は、利用者が手動で行うのが一般的であったが、近年では、自動的にWebプロキシの設定を行うPAC(Proxy Auto-Config)、WPAD(Web Proxy Auto-Discovery)などの自動設定方法が広く用いられるようになっている。
【0010】
PACとは、携帯端末に設定すべきWebプロキシ設定を示す設定ファイルデータをネットワーク上のWebプロキシ設定配信サーバで記憶しておく方法である。PACによれば、Webプロキシ設定配信サーバを利用者が指定し、携帯端末は、指定されたWebプロキシ設定配信サーバにアクセスして取得した設定ファイルデータに基づきWebプロキシの設定を行う。
【0011】
また、WPADとは、Webプロキシ設定配信サーバを検出するための設定をDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバやDNS( HYPERLINK "http://ja.wikipedia.org/wiki/Domain#Name#System" \o "Domain Name System" Domain Name System)サーバに対して行う方法である。WPADによれば、携帯端末は、DHCPサーバやDNSサーバを参照してWebプロキシ設定配信サーバを検出し、検出したWebプロキシ設定配信サーバにアクセスして取得した設定ファイルデータに基づきWebプロキシの設定を行う。
【0012】
ところで、Webプロキシ設定は、ネットワーク毎に異なる。また、上述したように、Webプロキシの自動設定方法が広く用いられるようになっているが、一般に、ネットワーク間で適用される自動設定方法は異なることがある。
【0013】
したがって、Webプロキシの自動設定方法が用いられたとしても、上述したような使用場所に応じて異なるネットワークに携帯端末を接続させるという利用形態においては、接続先のネットワークが変わるたびに、Webプロキシ設定配信サーバを指定するなど、接続先のネットワークに応じたWebプロキシ設定を決定するためのルールに従う必要があり、手間がかかるという課題がある。
【0014】
本発明の目的は、上述した課題を解決し、Webプロキシの設定の手間を省くことができる携帯端末およびその制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために本発明の携帯端末は、
複数のネットワークのいずれかに接続先を切り替え可能な携帯端末であって、
接続先のネットワーク上のサーバとの通信に必要な設定データが前記接続先のネットワークに応じて設定されることで前記サーバと通信を行うクライアント部と、
前記携帯端末が接続するネットワーク毎に、該ネットワークに応じた前記設定データを決定するためのルールを前記ネットワークに対応させて記憶する記憶部と、
前記携帯端末がネットワークに接続すると、該接続先のネットワークを識別し、該識別したネットワークに対応して前記記憶部に記憶されているルールに従って前記設定データを決定し、該決定した設定データを前記クライアント部に設定する設定部と、を有する。
【0016】
上記目的を達成するために本発明の携帯端末の制御方法は、
複数のネットワークのいずれかに接続先を切り替え可能な携帯端末の制御方法であって、
クライアント部が、接続先のネットワーク上のサーバとの通信に必要な設定データが前記接続先のネットワークに応じて設定されることで前記サーバと通信を行い、
記憶部が、前記携帯端末が接続するネットワーク毎に、該ネットワークに応じた前記設定データを決定するためのルールを前記ネットワークに対応させて記憶し、
設定部が、前記携帯端末がネットワークに接続すると、該接続先のネットワークを識別し、該識別したネットワークに対応して前記記憶部に記憶されているルールに従って前記設定データを決定し、該決定した設定データを前記クライアント部に設定する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ネットワーク接続時の携帯端末へのWebプロキシの設定の手間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態の携帯端末が適用されるネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】図1に示す携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図3】図1に示すネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部に記憶される設定ルールの一例を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態の携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図5】図4に示す携帯端末の動作を示すフローチャートである。
【図6】図4に示す端末固有設定記憶部に記憶されるWebプロキシ設定の一例を示す図である。
【図7】図4に示すWebプロキシ設定決定部が決定するWebプロキシ設定の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態の携帯端末10が適用されるネットワークシステム1の構成の一例を示す図である。
【0021】
図1に示すネットワークシステム1は、企業内コンピュータネットワークなどのそれぞれ独立したネットワーク2,3,4と、携帯端末10と、ネットワーク2に接続するサーバ端末20,30と、ネットワーク3に接続するサーバ端末40,50と、ネットワーク4に接続するサーバ端末60と、を具備する。
【0022】
携帯端末10は、ネットワーク2,3,4のいずれかに接続先を切り替え可能であり、接続先のネットワーク上のサーバ端末とデータの送受信などの通信を行う。なお、携帯端末10の具体例としては、スマートフォン、ノート型のパーソナルコンピュータなどがある。
【0023】
サーバ端末20およびサーバ端末40はそれぞれ、自身が接続するネットワークに接続する携帯端末10が使用すべきWebプロキシ設定を示す設定ファイルデータを送信するWebプロキシ設定配信サーバである。
【0024】
サーバ端末30、サーバ端末50、および、サーバ端末60は、自身が接続するネットワークに接続する携帯端末10とWebコンテンツのデータの送受信などの通信を行うWebプロキシサーバである。
【0025】
次に、携帯端末10の構成について説明する。
【0026】
携帯端末10は、HTTPクライアント部11と、送受信部12と、Webプロキシ設定検出部13と、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14と、Webプロキシ設定決定部15と、を有する。
【0027】
また、HTTPクライアント部11は、Webプロキシ設定読み込み部16を有する。
【0028】
なお、Webプロキシ設定決定部15は、設定部の一例である。
【0029】
HTTPクライアント部11は、Webブラウザなどであり、携帯端末10が接続するネットワークに応じたWebプロキシの設定が行われると、HTTPプロトコルなどに従って、そのネットワーク上のWebプロキシサーバと通信を行う。
【0030】
送受信部12は、接続先のネットワークを識別し、識別したネットワークを示す識別情報を、Webプロキシ設定検出部13を介してWebプロキシ設定決定部15に出力する。なお、送受信部12は、例えば、ネットワーク2,3,4が無線LANである場合には、無線LANのアクセスポイントに付与される、ネットワークを識別するためのESSID(Extended Service Set Identifier)に基づき、接続先のネットワークを識別する。
【0031】
また、送受信部12は、HTTPプロトコルなどに従って、ネットワークを介してWebプロキシ設定配信サーバから送信される設定ファイルデータを受信し、Webプロキシ設定検出部13を介してWebプロキシ設定決定部15に出力する。
【0032】
Webプロキシ設定検出部13は、Webプロキシ設定決定部15の指示に応じて、送受信部12に設定ファイルデータを取得させる。
【0033】
ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、携帯端末10が接続するネットワーク毎に、各ネットワークに応じたWebプロキシ設定を決定するためのルール(設定ルール)をそのネットワークに対応させて記憶する。
【0034】
Webプロキシ設定決定部15は、送受信部12から出力された識別情報に示されるネットワークに対応してネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14に記憶されている設定ルールに従い、送受信部12に設定ファイルデータを取得させる旨をWebプロキシ設定検出部13に指示する。また、Webプロキシ設定決定部15は、その指示に従い取得された設定ファイルデータが送受信部12から出力されると、その設定ファイルデータに示されるWebプロキシ設定を使用すると決定する。
【0035】
Webプロキシ設定読み込み部16は、Webプロキシ設定決定部15が決定したWebプロキシ設定を読み込み、HTTPクライアント部11に設定する。
【0036】
次に、サーバ端末20およびサーバ端末30の構成について説明する。
【0037】
サーバ端末20は、Webプロキシ設定記憶部21と、送受信部22と、を有する。
【0038】
Webプロキシ設定記憶部21は、ネットワーク2に接続する携帯端末10が使用すべきWebプロキシ設定を示す設定ファイルデータを記憶する。
【0039】
送受信部22は、HTTPプロトコルなどに従い、Webプロキシ設定記憶部21に記憶されている設定ファイルデータをネットワーク2に接続する携帯端末10に送信する。
【0040】
サーバ端末30は、HTTPプロトコルなどに従い、ネットワーク2に接続する携帯端末10のHTTPクライアント部11とWebコンテンツのデータの送受信などの通信を行う送受信部31を有する。
【0041】
なお、サーバ端末40は、サーバ端末20と比較して接続するネットワークが異なるだけで同様の構成を有するので説明を省略する。また、サーバ端末50およびサーバ端末60は、サーバ端末30と比較して接続するネットワークが異なるだけで同様の構成を有するので説明を省略する。
【0042】
次に、携帯端末10の動作について説明する。
【0043】
図2は、携帯端末10のWebプロキシの設定時の動作を示すフローチャートである。
【0044】
なお、以下では、Webプロキシの自動設定方法として、ネットワーク2にはWPADが適用され、ネットワーク3にはPACが適用されるものとする。
【0045】
また、以下では、ネットワーク2における設定ファイルデータをWPAD設定ファイルデータと称し、ネットワーク3における設定ファイルデータをPAC設定ファイルデータと称する。
【0046】
また、以下では、WPAD設定ファイルデータは、サーバ端末20のWebプロキシ設定記憶部21に記憶され、PAC設定ファイルデータは、図1では記載を省略した、サーバ端末40のWebプロキシ設定記憶部に記憶されているものとする。
【0047】
また、以下では、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、図3に示す設定ルールを記憶しているものとする。
【0048】
具体的には、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、ネットワーク3については、設定ルールの種別として「PAC URI」を記憶し、さらに、PAC設定ファイルデータを記憶しているサーバ端末40のURI(Uniform Resource Identifier)を示すPAC URIを記憶している。
【0049】
また、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、ネットワーク4については、設定ルールの種別として「host/port」を記憶し、さらに、ネットワーク4上のWebプロキシサーバであるサーバ端末60のホスト名およびサーバ端末60との接続に使用するポート番号を示すhost/portを記憶している。
【0050】
また、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、デフォルトのWebプロキシ設定を記憶している。
【0051】
なお、ネットワーク2にはWPADが適用されるので、WPAD設定ファイルデータが記憶されているサーバのURIなどを携帯端末10側で記憶しておく必要がない。したがって、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14は、ネットワーク2については設定ルールを記憶しておらず、ネットワーク3およびネットワーク4についてのみ、特別ルールとして図3に示す設定ルールを記憶している。
【0052】
まず、携帯端末10がネットワーク2に接続したとすると(ステップS101)、送受信部12は、接続先のネットワークを識別し、ネットワーク2を示す識別情報を出力する。
【0053】
Webプロキシ設定決定部15は、送受信部12から出力された識別情報に示されるネットワークに対応して特別ルールがネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14に記憶されているか否かを判定する(ステップS102)。
【0054】
図3に示すように、ネットワーク2については特別ルールが記憶されていないので(ステップS102:NO)、Webプロキシ設定決定部15は、WPAD設定ファイルデータの自動検出を行う旨をWebプロキシ設定検出部13に指示する。
【0055】
Webプロキシ設定検出部13は、Webプロキシ設定決定部15の指示を受けて、送受信部12にWPAD設定ファイルデータの自動検出を行わせる(ステップS103)。
【0056】
送受信部12は、Webプロキシ設定記憶部21に記憶されているWPAD設定ファイルデータの自動検出に成功した場合には、そのWPAD設定ファイルデータを受信して出力する。また、送受信部12は、WPAD設定ファイルデータの自動検出に失敗した場合には、その旨をWebプロキシ設定決定部15に通知する。
【0057】
Webプロキシ設定決定部15は、WPAD設定ファイルデータの自動検出の成否を判定する(ステップS104)。
【0058】
送受信部12が自動検出に成功し、WPAD設定ファイルデータが出力された場合には(ステップS104:YES)、Webプロキシ設定決定部15は、そのWPAD設定ファイルデータに示されるWebプロキシ設定を使用すると決定する(ステップS105)。
【0059】
Webプロキシ設定決定部15がWebプロキシ設定を決定すると、Webプロキシ設定読み込み部16は、そのWebプロキシ設定を読み込み、HTTPクライアント部11に設定する。
【0060】
一方、送受信部12から自動検出に失敗した旨の通知が行われた場合には(ステップS104:NO)、Webプロキシ設定決定部15は、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14に記憶されているデフォルトのWebプロキシ設定を使用すると決定する(ステップS106)。
【0061】
次に、接続先のネットワークが、ネットワーク2からネットワーク3に切り替えられたとすると、送受信部12は、ステップS101の処理に戻り、新たな接続先であるネットワーク3を示す識別情報を出力する。
【0062】
図3に示すように、識別情報に示されるネットワーク3に対応して特別ルールが記憶されているので(ステップS102:YES)、Webプロキシ設定決定部15は、PAC URIが記憶されているか否かを判定する(ステップS107)。
【0063】
図3に示すように、ネットワーク3に対応してPAC URIが記憶されているので(ステップS107:YES)、Webプロキシ設定決定部15は、PAC URIに示されるサーバ端末40にアクセスする旨をWebプロキシ設定検出部13に指示する。Webプロキシ設定検出部13は、その指示を受けて、送受信部12にサーバ端末40にアクセスし、サーバ端末40のWebプロキシ設定記憶部に記憶されているPAC設定ファイルデータを取得させる。
【0064】
送受信部12は、サーバ端末40から取得したPAC設定ファイルデータを出力し、Webプロキシ設定決定部15は、そのPAC設定ファイルデータに示されるWebプロキシ設定を使用すると決定する(ステップS108)。
【0065】
次に、接続先のネットワークが、ネットワーク3からネットワーク4に切り替えられたとすると、送受信部12は、ステップS101の処理に戻り、新たな接続先であるネットワーク4を示す識別情報を出力する。
【0066】
図3に示すように、識別情報に示されるネットワーク4に対応して特別ルールが記憶されており(ステップS102:YES)、また、PAC URIではなく、host/portが記憶されているので(ステップS107:NO)、Webプロキシ設定決定部15は、そのhost/portに示されるサーバ端末60のホスト名およびポート番号をWebプロキシ設定として使用すると決定する(ステップS109)。
【0067】
このように本実施形態によれば、携帯端末10は、接続するネットワークに応じたWebプロキシ設定を決定するルールをそのネットワークに対応させて記憶し、ネットワークの接続時には、その接続先のネットワークに対応して記憶しているルールに従ってWebプロキシ設定を決定し、HTTPクライアント部11に設定する。
【0068】
そのため、接続先のネットワークが切り替えられても自動的にWebプロキシの設定が行われるので、利用者の手間を軽減することができる。
【0069】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の第2の実施形態の携帯端末70の構成を示すブロック図である。なお、図4において、図1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。また、本実施形態においては、サーバ端末20〜60の構成および動作については、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0070】
本実施形態の携帯端末70は、第1の実施形態の携帯端末10と比較して、端末固有設定記憶部71を追加した点と、Webプロキシ設定決定部15をWebプロキシ設定決定部72に変更した点と、が異なる。
【0071】
端末固有設定記憶部71は、携帯端末10固有のWebプロキシ設定を記憶する。
【0072】
Webプロキシ設定決定部72は、設定ファイルデータに示されるWebプロキシ設定、あるいは、デフォルトのWebプロキシ設定に、端末固有設定記憶部71に記憶されているWebプロキシ設定を付加したWebプロキシ設定を使用すると決定する。
【0073】
次に、本実施形態の携帯端末70の動作について説明する。
【0074】
図5は、携帯端末70の動作を示すフローチャートである。なお、図5において、図2と同様の処理については同じ符号を付し、説明を省略する。
【0075】
また、端末固有設定記憶部71は、図6に示すような、携帯端末10固有のWebプロキシ設定を記憶しているものとする。
【0076】
Webプロキシ設定決定部72は、ステップS105、ステップS106、ステップ107、または、ステップS108においてWebプロキシ設定を決定した後、端末固有のWebプロキシ設定が端末固有記憶部71に記憶されているか否かを判定する(ステップS201)。
【0077】
端末固有のWebプロキシ設定が記憶されていない場合には(ステップS201:NO)、Webプロキシ設定決定部72は、処理を終了する。
【0078】
端末固有のWebプロキシ設定が記憶されている場合には(ステップS201:YES)、Webプロキシ設定決定部72は、ステップS105〜S108において決定したWebプロキシ設定と、端末固有設定記憶部71に記憶されている携帯端末10固有のWebプロキシ設定とを図7に示すテンプレートに従って合成し、合成後のWebプロキシ設定を使用すると決定する(ステップS202)。具体的には、図7に示す、端末固有設定置換部分に端末固有設定記憶部71に記憶されているWebプロキシ設定が記述され、ネットワーク側設定置換部分にステップS105〜S108において決定されたWebプロキシ設定が記述される。
【0079】
このように本実施形態の携帯端末70によれば、携帯端末70固有のWebプロキシ設定を記憶し、Webプロキシ設定配信サーバから取得したWebファイルデータなどに基づき決定したWebプロキシ設定に、記憶している携帯端末70固有のWebプロキシ設定を付加して、HTTPクライアント部11に設定する。
【0080】
そのため、携帯端末70固有のWebプロキシ設定を反映したWebプロキシの設定を行うことができる。
【0081】
なお、本実施形態においては、ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部14が設定ルールを記憶し、端末固有設定記憶部71が端末固有のWebプロキシ設定を記憶する例を用いて説明したがこれに限られるものではなく、1つの記憶部で設定ルールおよびWebプロキシ設定を記憶するようにしてもよい。
【0082】
また、上述した第1および第2の実施形態においては、Webプロキシサーバとのデータの送受信に必要なWebプロキシの設定を行う例を用いて説明したがこれに限られるものではない。例えば、1度の認証で許可されている全ての機能を利用可能とするシングルサインオンサーバ、あるいは、Web閲覧の際に最初にアクセスされるホームページを有するポータルサーバなどのように、ネットワーク構成上、Webプロキシサーバと同様の構成をとるサーバに接続する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 ネットワークシステム
2,3,4 ネットワーク
10,70 携帯端末
11 HTTPクライアント部
12 送受信部
13 Webプロキシ設定検出部
14 ネットワーク別Webプロキシ設定ルール記憶部
15 Webプロキシ設定決定部
16 Webプロキシ設定読み込み部
20,30,40,50,60 サーバ端末
21 Webプロキシ設定記憶部
22,31 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のネットワークのいずれかに接続先を切り替え可能な携帯端末であって、
接続先のネットワーク上のサーバとの通信に必要な設定データが前記接続先のネットワークに応じて設定されることで前記サーバと通信を行うクライアント部と、
前記携帯端末が接続するネットワーク毎に、該ネットワークに応じた前記設定データを決定するためのルールを前記ネットワークに対応させて記憶する記憶部と、
前記携帯端末がネットワークに接続すると、該接続先のネットワークを識別し、該識別したネットワークに対応して前記記憶部に記憶されているルールに従って前記設定データを決定し、該決定した設定データを前記クライアント部に設定する設定部と、を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
請求項1記載の携帯端末において、
前記記憶部は、前記携帯端末固有の設定データをさらに記憶し、
前記設定部は、前記設定ルールに従い決定した設定データに前記記憶部に記憶されている前記携帯端末固有の設定データを付加して前記クライアント部に設定することを特徴とする携帯端末。
【請求項3】
複数のネットワークのいずれかに接続先を切り替え可能な携帯端末の制御方法であって、
クライアント部が、接続先のネットワーク上のサーバとの通信に必要な設定データが前記接続先のネットワークに応じて設定されることで前記サーバと通信を行い、
記憶部が、前記携帯端末が接続するネットワーク毎に、該ネットワークに応じた前記設定データを決定するためのルールを前記ネットワークに対応させて記憶し、
設定部が、前記携帯端末がネットワークに接続すると、該接続先のネットワークを識別し、該識別したネットワークに対応して前記記憶部に記憶されているルールに従って前記設定データを決定し、該決定した設定データを前記クライアント部に設定することを特徴とする携帯端末の制御方法。
【請求項4】
請求項3記載の携帯端末の制御方法において、
前記記憶部が、前記携帯端末固有の設定データをさらに記憶し、
前記設定部が、前記設定ルールに従い決定した設定データに前記記憶部に記憶されている前記携帯端末固有の設定データを付加して前記クライアント部に設定することを特徴とする携帯端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190393(P2012−190393A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55281(P2011−55281)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】