説明

携帯電話機、動作設定方法およびプログラム

【課題】上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された携帯電話機において、ユーザが叩く、振る等の操作で各種の設定が行えると共に、多機能の場合でも操作が複雑にならず、また、誤操作を低減できるようにしたものを提供する。
【解決手段】加速度センサ32は、携帯電話機1の筐体に加わる加速度を検出する。開閉センサ33は、携帯電話機1の筐体が開かれている状態か閉じられている状態かを検出する。主制御部21は、加速度センサ32からの検出信号に基づいて、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたことを検出すると、筐体が開状態か閉状態かを判定し、筐体が開状態か閉状態かに応じて、筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドをメモリ23から読み出し、携帯電話機1の筐体が開かれている状態か閉じられている状態かに応じて、対応する処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機、携帯電話機における動作設定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワンセグ放送(地上波テレビジョン放送の1セグメントを使って放送される携帯機器向けのテレビジョン放送)や、動画撮像や、静止画撮像や、ゲーム等、今日の携帯電話機は、多くの機能を有している。これら各種機能を使用する場合、現行の携帯電話機では、当該携帯電話機がメニューを表示し、ユーザは、このメニューに示される機能の中から、キー操作により使用したい機能を選択する。しかしながら、このようなメニュー選択では、使用したい機能にたどり着くまでに押下するキー回数が多くなり、時間がかかってしまう。
【0003】
また、着信音が迷惑となる環境下でマナーモードに設定するのを忘れた状態で着信を受けてしまうような場合がある。このような場合、ユーザは、マナーモードに設定変更するなど、着信音を消す操作を行う必要がある。ところが、現行の携帯電話機では、必要な設定を行うのに、携帯電話機を開いて必要なキーを捜して押下するなどの操作を行う必要があり、この操作時間が長くかかってしまうと、その間、着信音を鳴らし続けることにより周囲に迷惑をかけてしまうおそれがある。
【0004】
操作時間を短縮するための方法の1つに、頻繁に使用する機能については短縮操作キーを設け、1回または数回のキー操作で実行可能とする方法があるが、依然としてキー操作が必要である。携帯電話機の薄型化、小型化に伴って、一般に携帯電話機の個々のキーは小型化する傾向にあり、キーの押下は煩わしい操作となっている。
【0005】
これに対して、特許文献1(特開2008−176641号公報)、特許文献2(特開2009−278294号公報)には、タップ操作(携帯電話機の筐体を指で叩く操作)により、携帯電話機のアプリケーションの起動処理等を行うことができるようにしたものが記載されている。また、このようなタップ処理では、タップ操作回数やタップ箇所で対応する処理を区別することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−176641号公報
【特許文献2】特開2009−278294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に示されるように、タップ操作により、携帯電話機のアプリケーションの起動処理等を行えるようにすると、必要なキーを操作するという処理が不要になり、キー操作に比べて、操作が簡単になり、操作性の向上を図ることができる。しかしながら、このようなタップ処理では、携帯電話機で設定できる機能が多くなると、タップ操作回数やタップ箇所とこれに対応する処理との関係が複雑になると共に、誤操作が多くなる。
【0008】
また、特許文献1及び特許文献2に示されている技術では、誤操作が行われてもユーザが気付かない可能性がある。例えば、携帯電話機をタップする操作がテレビ機能の起動に割り当てられている場合に、携帯電話機を閉じた状態で、携帯電話機がタップされてテレビ機能が起動すると、携帯電話機を閉じた状態であるため、ユーザはテレビ機能が起動されたことに気づかずに、電力を無駄に消費してしまうおそれがある。
【0009】
本発明は、上述の課題を解決することのできる携帯電話機、動作設定方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による携帯電話機は、上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有し、前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段と、前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出すると、前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定し、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出し、前記読み出された動作コマンドを実行する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様による動作設定方法は、上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有する携帯電話機の動作設定方法であって、前記携帯電話機は、前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態に応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段とを有しており、前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出する工程と、前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定する工程と、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出す工程と、前記読み出された動作コマンドを実行する工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の一態様によるプログラムは、上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有し、前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段とを備える携帯電話機に、前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出するステップと、前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定するステップと、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出すステップと、前記読み出された動作コマンドを実行するステップとを実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ユーザが携帯電話機の筐体を叩く又は振る操作を行うと、携帯電話機が開いている状態か閉じている状態かに応じて、携帯電話機は、異なる処理を実行できる。これにより、多機能の場合でも操作が複雑にならず、また、誤操作を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機の外観の概略を示す外形図である。
【図2】同実施形態に係る携帯電話機の機能ブロック構成の概略を示す構成図である。
【図3】同実施形態に係る携帯電話機の筐体が叩かれた又は振られたときの処理の設定画面の例を示す図である。
【図4】同実施形態に係る携帯電話機における閉状態コマンドテーブル及び開状態コマンドテーブルの例を示す説明図である。
【図5】同実施形態に係る携帯電話機を叩く又は振る操作の例を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係る携帯電話機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態における携帯電話機1の外観の概略を示す外形図である。図1(A)は、携帯電話機1の筐体を開いた状態における、携帯電話機1の正面(携帯電話機1の筺体を閉じた状態において内側となる面)の各部の配置を示し、図1(B)は、携帯電話機1の筺体を開いた状態における、携帯電話機1の背面(携帯電話機1の筐体を開いた状態において外側となる面)の各部の配置を示し、図1(C)は携帯電話機1の筐体を閉じた状態における、各部の配置を示す。
【0016】
図1に示すように、携帯電話機1は、上側筐体10と、下側筐体11と、上側筐体10と下側筐体11とを開閉自在に連結させるヒンジ部12とを有する。
【0017】
図1(A)に示すように、上側筐体10の正面には、その略々全面に渡って、正面表示部15が配設される。正面表示部15は、例えば液晶ディスプレイを有する。正面表示部15は、電話機能利用時に、着信や送信の電話番号や住所録を表示する。また、正面表示部15は、カメラ撮像(動画や静止画の撮像)時に、撮像した画像を表示する。また、正面表示部15は、GPS(Global Positioning System)ナビゲーション時には、地図画面を表示する他、テレビ受信時には、受信したテレビジョン放送の画面を表示する。また、上側筐体10には、受話部17が配設される。受話部17は、電話機能使用時(通話時)に受話の出力を行うスピーカを有する。
【0018】
下側筐体11の正面には、その略々全面に渡って、操作部13が配設される。操作部13は、電話番号の入力等に用いるテンキーや、カーソルを移動させるためのカーソルキーや、通話開始及び終了キー等、各種のキーを有する。また、下側筐体11の下側の中心に、送話部14が配設される。送話部14は、電話機能使用時(通話時)に送話の入力を受け付けるマイクロホンを有する。
【0019】
図1(B)に示すように、携帯電話機1の上側筐体10の背面には、撮像部16と、背面表示部20とが配設される。撮像部16は、レンズ等の光学系と、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)等のイメージセンサを有し、静止画や動画の撮像を行う。背面表示部20は、例えば液晶ディスプレイを有する。携帯電話機1の背面の下側筐体11には、外部に音を出力するためのスピーカ19が配設される。
【0020】
図2は、携帯電話機1の機能ブロック構成の概略を示す構成図である。同図において、携帯電話機1は、操作部13と、送話部14と、正面表示部15と、撮像部16と、受話部17と、スピーカ19と、背面表示部20と、主制御部21と、ROM22(Read Only Memory)22と、メモリ23と、無線通信部26と、音声処理部27と、ワンセグ受信部28と、GPS機能部29と、近距離通信部30と、音声増幅部31と、加速度センサ32と、開閉センサ33とを備える。
【0021】
図2において、主制御部21は、携帯電話機1が有するCPU(Central Processing Unit)がROM22からプログラムを読み出して実行することにより実現され、携帯電話機1の各部の動作の制御を行う。ROM22には、主制御部21の機能を実現するための基本プログラムや、各種のアプリケーションプログラムが記憶されている。メモリ23には、各種のプリセットデータや、電話帳データや、メールのデータや、電話履歴や、写真情報等、各種のデータが記憶されている。
【0022】
また、本実施形態においては、ROM22には、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたことに対応して携帯電話機1が行う処理を制御するためのプログラムが格納されている。また、メモリ23には、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたことに対応して携帯電話機1が行う処理の設定情報が記憶されている。
【0023】
図2において、無線通信部26は、携帯電話網の基地局との間で、電波の送受信を行う。無線通信部26が基地局との間で電波の送受信を行う際の通信方式としては、様々なものを用いることができる。例えば、GSM(Global System for Mobile Communication)を用いてもよいし、CDMA(Code Division Multiple Access)や、WCDMA(Wideband CDMA)など、他の通信方式を用いてもよい。音声処理部27は、送話部14からの入力音声信号や、受話部17への出力音声信号の処理を行う。
【0024】
撮像部16は、前述したように、CCDやCMOS等のイメージセンサを有する。撮像部16は、撮像した画像信号を、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式により圧縮して、メモリ23に書き込む。
【0025】
ワンセグ受信部28は、ワンセグテレビジョン放送を受信して、再生信号を生成する。GPS機能部29は、複数の衛星からの電波を受信して、現在地を測位する。
【0026】
近距離通信部30は、他の周辺機器との無線で接続してデータの送受信を行う。近距離通信部30は、例えば、通信方式としてBluetoothを用いて通信を行う。
【0027】
音声増幅部31は、外部に出力するための音声信号を増幅して、スピーカ19に出力する。
【0028】
加速度センサ32は、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたことを、加速度として検出する。なお、本実施形態では、加速度センサ32は、携帯電話機1を叩くユーザ動作と、振るユーザ動作とを区別しない。また、主制御部21は、加速度センサ32の検出する加速度に基づいて、携帯電話機1の筺体が叩かれた又は振られた回数を検出する。具体的には、主制御部21は、加速度センサ32が所定の時間以内の間隔で検出する、携帯電話機1の筺体を叩く又は振るユーザ動作(以下では、単に「叩く又は振るユーザ動作」と称する)を、1つの操作入力を構成する一連の動作と判定して、叩かれた又は振られた回数を計数する。そして、所定の時間叩く又は振るユーザ動作を検出しなかったときに、主制御部21は、当該一連のユーザ動作が終了したと判定して、計数した回数の一連の叩く又は振るユーザ動作から成る1つの操作(以下では、n回叩く又は振る操作(nは、叩く又は振るユーザ動作を検出した回数)、あるいは、単に、叩く又は振る操作と称する)を検出する。
【0029】
開閉センサ33は、携帯電話機1の筐体が開かれている状態(図1(A)、図1(B)に示す状態)にあるか、閉じられている状態(図1(C)に示す状態)にあるかを検出する。
【0030】
このように、携帯電話機1には、加速度センサ32が設けられており、この加速度センサ32が、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたことを検出する。そして、この加速度センサ32の検出出力は、主制御部21に出力され、主制御部21は、当該検出出力に基づいて叩く又は振る操作を検出する。また、開閉センサ33が、携帯電話機1の筐体が開かれている状態か閉じられている状態かを検出する。この開閉センサ33の検出出力は、主制御部21に出力される。主制御部21は、叩く又は振る操作を検出すると、筐体が開状態か閉状態かを開閉センサ33の検出出力から判定する。そして、主制御部21は、筐体が開状態か閉状態かに応じて、筐体が叩かれた又は振られた回数に対応する動作コマンドをメモリ23から読み出し、読み出した動作コマンドに対応する処理を行う。
【0031】
次に、図3を参照して、叩く又は振る操作と、携帯電話機1が行う処理(動作コマンド)との対応付けについて説明する。
図3は、携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたときの処理の設定画面の例を示す図である。図3(A)は、携帯電話機1の筐体を閉じた状態のときの動作コマンドの設定画面を示し、図3(B)は、携帯電話機1の筐体を開いた状態のときの動作コマンドの設定画面を示す。携帯電話機1の筐体が叩かれた又は振られたときの動作コマンドを設定するときには、ユーザは、図3(A)及び図3(B)に示す設定画面を呼び出し、各設定画面で、それぞれ、携帯電話機1の筐体を閉じた状態のときの動作コマンドと、開いた状態のとき動作コマンドを設定する。また、このとき、動作コマンド毎に、叩く又は振る回数が設定される。なお、図3(A)及び図3(B)に示した設定項目は一例であり、本発明は、このような設定項目に限定されるものではない。
【0032】
例えば、図3(A)の例では、携帯電話機1の筐体を閉じた状態では、「音声モードとマナーモードとの設定」として、叩く又は振る回数「1回」と設定され、「保留モードへの切り替え」として、叩く又は振る回数「2回」と設定され、「留守電モードへの切り替え」として、叩く又は振る回数「3回」と設定されている。
【0033】
また、図3(B)の例では、携帯電話機1の筐体を開いた状態では、「メール操作状態への切り替え」として、叩く又は振る回数「1回」と設定され、「カメラ操作への切り替え」として、叩く又は振る回数「2回」と設定され、「テレビ受信への切り替え」として、叩く又は振る回数「3回」と設定されている。
【0034】
次に、図4を参照して、メモリ23の記憶する、叩く又は振る操作と動作コマンドとの対応付けについて説明する。図3(A)及び図3(B)に示す設定画面で設定された情報は、閉状態コマンドテーブル及び開状態コマンドテーブルとして、メモリ23に記憶される。
図4は、閉状態コマンドテーブル及び開状態コマンドテーブルの例を示す説明図である。図4(A)は閉状態コマンドテーブルの例を示し、図4(B)は、開状態コマンドテーブルの例を示す。同図に示すように、閉状態コマンドテーブルおよび開状態コマンドテーブルの各行には、叩く又は振る回数と、動作コマンドとが対応付けて格納される。
【0035】
次に、図5を参照して、携帯電話機1を叩く又は振る操作について説明する。
図5は、携帯電話機1を叩く又は振る操作の例を示す説明図である。
携帯電話機1の筐体を閉じた状態で操作する場合には、ユーザは、図5(A)において矢印A11で示すように携帯電話機1の筐体を叩き、又は、図5(A)において矢印A12で示すように携帯電話機1の筐体を振る。
【0036】
また、携帯電話機1の筐体を開いた状態で操作する場合には、ユーザは、図5(B)において矢印A21で示すように携帯電話機1の筐体を叩き、又は、図5(B)において矢印A22で示すように携帯電話機1の筐体を振る。
【0037】
ここで、図5(A)の矢印A11又は矢印A12で示したように、携帯電話機1の筐体を閉じた状態で、ユーザが、携帯電話機1の筐体を叩き又は振ったとする。また、このとき、メモリ23には、閉状態コマンドテーブルとして、図4(A)に示す閉状態コマンドテーブルが記憶されていたとする。
【0038】
この場合、携帯電話機1の筐体を閉じた状態でユーザが筐体を1回叩く又は振ると、動作モードは音声モードからマナーモードに切り替わる。また、携帯電話機1の筐体を閉じた状態でユーザが筐体を2回叩く又は振ると、動作モードは保留モードに切り替わる。また、携帯電話機1の筐体を閉じた状態でユーザが筐体を3回叩く又は振ると、動作モードは留守電モードに切り替わる。このとき、ユーザが携帯電話機1の筐体を叩く又は振ることにより設定された動作状態は、携帯電話機1の筐体を閉じた状態で確認できるように、携帯電話機1の背面表示部20に表示される。なお、この動作確認は、スピーカ19が音声にて出力することにより行われるようにしてもよい。
【0039】
また、ここで、図5(B)の矢印A21又は矢印A22で示したように、携帯電話機1の筐体を開いた状態で、ユーザが、携帯電話機1の筐体を叩き又は振ったとする。また、このとき、メモリ23には、開状態コマンドテーブルとして、図4(B)に示す開状態コマンドテーブルが記憶されていたとする。
【0040】
この場合、携帯電話機1の筐体を開いた状態でユーザが筐体を1回叩く又は振ると、動作モードはメール操作状態に切り替わる。また、携帯電話機1の筐体を開いた状態でユーザが筐体を2回叩く又は振ると、動作モードはカメラ操作状態に切り替わる。また、携帯電話機1の筐体を開いた状態でユーザが筐体を3回叩く又は振ると、動作モードはワンセグのテレビジョン受信状態に切り替わる。このとき、ユーザが携帯電話機1の筐体を叩く又は振ることにより設定された動作状態は、携帯電話機1の筐体を開いた状態で確認できるように、携帯電話機1の正面表示部15に表示される。なお、この動作確認は、スピーカ19が音声にて出力することにより行われるようにしてもよい
【0041】
次に、図6を参照して、携帯電話機1の動作について説明する。
図6は、携帯電話機1の動作を示すフローチャートである。携帯電話機1は、当該携帯電話機1の電源を接続(ON)されると、同図の処理を開始し、電源を切断(OFF)されるまで同図の処理を行う。
【0042】
同図において、加速度センサ32は加速度を測定し(ステップS101)、主制御部21は、加速度センサ32による加速度の検出出力に基づいて、叩く又は振る操作の有無を判定する(ステップS102)。叩く又は振る操作が行われなかったと判定した場合(ステップS102:NO)、主制御部21は、通常動作を実行する(ステップS111)。ここでいう通常動作とは、操作部13の受け付けるユーザの操作に基づいて主制御部21が行うコマンド実行や、無線通信部26が検出する電話着信に基づいて主制御部21が各部を制御して行う通話時の処理など、叩く又は振る操作以外の事象を契機として、携帯電話機1が行う動作である。
その後、主制御部21は、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0043】
一方、携帯電話機1の筐体が叩かれる又は振られると、上記のステップS101において、加速度センサ32が加速度を検出する。この加速度に基づいて、ステップS102において叩く又は振る操作が行われたと判定すると(ステップS102:YES)、主制御部21は、開閉センサ33の検出出力から、筐体の開閉状態を判定する(ステップS121)。
【0044】
ステップS121で、携帯電話機1の筐体が閉状態であると判定された場合(ステップS121:NO)、主制御部21は、叩く又は振るユーザ動作の回数(加速度の検出回数)に応じて、図4(A)に示した閉状態コマンドテーブルに基づいて、コマンド処理を実行する(ステップS131)。すなわち、図4(A)に示した閉状態コマンドテーブルの例では、主制御部21は、1回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が1回)なら、音声モードからマナーモードに切り替える処理を行い、2回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が2回)なら、保留モードに切り替える処理を行い、3回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が3回)なら、留守電モードに切り替える処理を行う。ステップS131でのコマンド処理が終了すると、主制御部21は、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0045】
ステップS121で、携帯電話機1が開状態であると判定した場合(ステップS121:YES)、主制御部21は、図4(B)に示した開状態コマンドテーブルに基づいて、コマンド処理を実行する(ステップS141)。すなわち、図4(B)に示した開状態コマンドテーブルの例では、主制御部21は、1回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が1回)なら、メール操作状態に切り替える処理を行い、2回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が2回)なら、カメラ操作に切り替える処理を行い、3回叩く又は振る操作(加速度の検出回数が3回)なら、テレビ受信に切り替える処理を行う。ステップS141でのコマンド処理が終了すると、主制御部21は、ステップS101に戻り、同図の処理を繰り返す。
【0046】
以上説明したように、本実施形態では、ユーザが携帯電話機1の筐体を叩く又は振る操作を行うと、携帯電話機1は、対応する処理を行う。このとき、本実施形態では、携帯電話機1の筐体が開いている状態か閉じている状態かに応じて、異なる処理が実行できる。これにより、多機能の場合でも操作が複雑にならず、また、誤操作を低減できる。
【0047】
例えば、携帯電話機1の筐体を開いている状態では、ユーザがテレビ視聴することが考えられるが、閉じている状態ではテレビ視聴できない。また、携帯電話機1の筐体を閉じた状態では、着信モード変更を行う等の処理をすることが考えられる。本実施形態では、携帯電話機1の筐体を開いた状態と閉じた状態とで、処理を替えることにより、比較的少ない操作回数(振る回数、叩く回数)で、より多数種類の処理を行うことができる。また、携帯電話機1をの筐体を閉じた状態でテレビ機能を起動させて電力消費してしまうなど、不適切な処理を行うことを防止できる。
【0048】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話機
10 上側筐体
11 下側筐体
12 ヒンジ部
13 操作部
14 送話部
15 正面表示部
16 撮像部
17 受話部
19 スピーカ
20 背面表示部
21 主制御部
22 ROM
23 メモリ
26 無線通信部
27 音声処理部
28 ワンセグ受信部
29 GPS機能部
30 近距離通信部
31 音声増幅部
32 加速度センサ
33 開閉センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有し、
前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、
前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、
前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段と、
前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出すると、前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定し、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出し、前記読み出された動作コマンドを実行する制御手段と
を備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記筐体が叩かれた又は振られた回数と動作コマンドとを対応させて記憶することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記記憶手段に記憶する動作コマンドは、変更可能とされたことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯電話機。
【請求項4】
上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有する携帯電話機の動作設定方法であって、
前記携帯電話機は、前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態に応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段とを有しており、
前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出する工程と、
前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定する工程と、
前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出す工程と、
前記読み出された動作コマンドを実行する工程と
を含むことを特徴とする動作設定方法。
【請求項5】
上側筐体と下側筐体とが開閉自在に連結された筺体を有し、前記筐体に加わる加速度を検出する加速度検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かを検出する開閉検出手段と、前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを記憶する記憶手段とを備える携帯電話機に、
前記加速度検出手段の検出出力から、前記筐体が叩かれた又は振られたことを検出するステップと、
前記開閉検出手段の検出出力から、前記筐体が開状態か閉状態かを判定するステップと、
前記筐体が開状態か閉状態かに応じて、前記筐体が叩かれた又は振られたことに対応する動作コマンドを前記記憶手段から読み出すステップと、
前記読み出された動作コマンドを実行するステップと
を実行させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−120077(P2012−120077A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270077(P2010−270077)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
2.Bluetooth
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】