説明

携帯電話端末、その制御方法及びその制御プログラム

【課題】携帯電話端末が鞄やポケットの中と判断される場合は、LED点灯や背面表示をさせない。
【解決手段】携帯電話端末の周囲の照度を測定する照度センサ22と、携帯電話端末の加速度を測定する加速度センサ21と、を備え、制御部1は、照度センサ22が測定した携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、加速度センサー21で測定した加速度に基づいて携帯電話端末の設置状態及び携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信してもLED4及び背面表示部3を作動させない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、省電力を考慮した携帯電話端末、その制御方法及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末の使用時間を延ばすためには、携帯電話端末の消費電力を抑える必要があるものの、現行の技術では、電話やメールの受信を待ち受けている時は常にLEDを点灯させ、背面表示をONにしていた。
【0003】
しかし、これでは、携帯電話端末が鞄やポケットの中にある場合でも、背面表示を点灯させていることになり、余計な電力を消費し、電池の減りが早くなることで、携帯電話端末の使用時間に影響を与えていた。
【0004】
そこで、特許文献1には、光センサにより機器が明るい環境下にあるのか、暗い環境下にあるのかを判別する発明が開示されている。
【0005】
特許文献2には、発光素子と受光素子が同方向を向いた反射型センサにより、ユーザーがスピーカ7の部位を耳に当てている期間や、携帯電話装置がユーザーの鞄やポケットにしまわれている期間を検出し、この間は表示部とバックライトを停止させる発明が開示されている。
【0006】
特許文献3には、加速度センサによって携帯電話機をバック等の入れ物に収納したときを検出する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−069235号公報
【特許文献2】特開2001−352395号公報
【特許文献3】特開2003−163742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に開示されている発明は、機器の周囲の環境の明暗のみで状況を判断し、特許文献2に開示されている発明は反射型センサが発した光を反射する物体が携帯電話装置の近傍に存する場合にのみ動作するというものである。特許文献1及び2に開示されている発明のいずれもが、携帯電話端末の置かれている状況を正しく把握することができず、その結果、表示部やバックライトの制御が必ずしも的確ではないという問題点がある。
【0009】
特許文献3に開示されている発明は、加速度センサにより、手持ちで通話中であるか否かを判断し得るものであるが、周囲の明るさ等の他の要素は考慮していないため、これも的確な制御という点では難がある。
【0010】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、携帯電話端末の周囲の明暗、端末の加速度を測定し、携帯電話端末が鞄やポケットの中と判断される場合は、省電力のため、LED点灯や背面表示をさせない携帯電話端末、その制御方法及びその制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の問題を解決するため、本発明に係る携帯電話端末は、操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末であって、前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する照度センサと、前記携帯電話端末の加速度を測定する加速度センサと、を備え、前記制御部は、前記照度センサが測定した前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記加速度センサーで測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させないことを特徴とする。
【0012】
上述の問題を解決するため、本発明に係る携帯電話端末の制御方法は、操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末の制御方法であって、前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する手順と、
前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記携帯電話端末の加速度を測定する手順と、前記測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断する手順と、前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させない手順と、を備えることを特徴とする。
【0013】
上述の問題を解決するため、本発明に係る携帯電話端末の制御プログラムは、操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末の制御プログラムであって、前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する処理と、前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記携帯電話端末の加速度を測定する処理と、前記測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断する処理と、前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させない処理と、を前記携帯電話端末に実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、携帯電話端末の周囲の明暗、端末の加速度を測定し、携帯電話端末が鞄やポケットの中と判断される場合は、省電力のため、LED点灯や背面表示をさせない携帯電話端末、その制御方法及びその制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話端末の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話端末の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話端末の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1の実施の形態]
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここで、図1は、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話端末の構成図である。
【0017】
図1を参照すると、本発明の第1の実施の形態は、電話及びメールを受信するアンテナ部6、アンテナ部6を制御する無線部5、携帯電話端末の状態を検出する状態検出部2、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED4、文字又は画像の情報を表示する背面表示部3並びにそれらを制御する制御部1を備える。又、図1には示していないが、本実施の形態に係る携帯電話端末は、操作の用に供する複数のキーを含む操作部も備えている。
【0018】
状態検出部2は、加速度センサー21と照度センサー22とを備えている。加速度センサー21は携帯電話端末の加速度を測定することで、携帯電話端末の置かれている傾きや移動しているか静止しているかを検出し、照度センサー22は光を検出し、携帯電話端末の周囲の照度を測定する。
【0019】
制御部1は、照度センサー22で測定した携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、加速度センサー21で測定した加速度に基づいて携帯電話端末の設置状態及び携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は携帯電話端末が移動していると判断される場合は、携帯電話端末が鞄の中やポケットの中にあると判断し、制御部1は、電話又はメールを受信してもLED4、背面表示部3を作動させないことで電力消費を抑える。
【0020】
[第1の実施の形態の動作の説明]
次に、図1及び図2のフローチャートを参照して本発明の第1の実施の形態の動作について詳細に説明する。ここで、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る携帯電話端末の動作を示すフローチャートである。
【0021】
まず、照度センサー22で携帯電話端末の周囲の照度を測定し(図2のステップA1)、検出した照度が閾値以下であるか否かの判定を行う(ステップA2)。
【0022】
携帯電話端末の周囲の照度が閾値以下であれば(ステップA2:Yes)、次に加速度センサー21で端末の加速度を検出する(ステップA3)。検出した加速度により、携帯電話端末が傾いて置かれている又は移動しているかの判定を行う(ステップA4)。
【0023】
傾いて置かれている、又は移動している場合は(ステップA4:Yes)、制御部1によって通話着信、メール受信をしてもLEDを点灯しない設定にする(ステップA5)。更に背面表示もしない設定にする(ステップA6)。
【0024】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。ここで、図3は、本発明の第2の実施の形態に係る携帯電話端末の構成図である。
【0025】
図3を参照すると、本発明の第2の実施の形態は、電話及びメールを受信するアンテナ部6、アンテナ部6を制御する無線部5、携帯電話端末の状態を検出する状態検出部2、携帯電話端末の操作の用に供する複数のキーを含む操作部7並びにそれらを制御する制御部1を備える。
【0026】
状態検出部2は、加速度センサー21と照度センサー22とを備えている。加速度センサー21は携帯電話端末の加速度を測定することで、携帯電話端末の置かれている傾きや移動しているか静止しているかを検出し、照度センサー22は光を検出し、携帯電話端末の周囲の照度を測定する。
【0027】
制御部1は、照度センサー22で測定した携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、加速度センサー21で測定した加速度に基づいて携帯電話端末の設置状態及び携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は携帯電話端末が移動していると判断される場合は、携帯電話端末の操作部7をロックし、操作部7からの入力を一切受け付けなくすることで、鞄やポケットの中での誤動作を防止する。
【0028】
第2の実施の形態は、鞄やポケットの中での誤動作を防止し、思わぬ消費電力の増加による携帯電話端末の使用時間への影響を抑えるというものである。この第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態のように電話又はメールを受信した場合であってもLED及び表示部を作動させないようにしてもよい。
【0029】
なお、本発明の第1の実施の形態及び第2の実施の形態は、装置である携帯電話端末の発明のみならず、携帯電話端末の制御方法及びその制御プログラムとしても実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、ユーザーが見ていない状態では必要のない機能を動作させないことで消費電力を抑えることができ、省電力型の携帯電話端末に利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 制御部
2 状態検出部
3 背面表示部
4 LED
5 無線部
6 アンテナ部
7 操作部
21 加速度センサ
22 照度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末であって、
前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する照度センサと、
前記携帯電話端末の加速度を測定する加速度センサと、
を備え、
前記制御部は、前記照度センサが測定した前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記加速度センサーで測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させないことを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記照度センサが測定した前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記加速度センサーで測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断し、前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、前記操作部をロックすることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末の制御方法であって、
前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する手順と、
前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記携帯電話端末の加速度を測定する手順と、
前記測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断する手順と、
前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させない手順と、
を備えることを特徴とする携帯電話端末の制御方法。
【請求項4】
前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、前記操作部をロックする手順を別途備えることを特徴とする請求項3に記載の携帯電話端末の制御方法。
【請求項5】
操作の用に供する複数のキーを含む操作部、電話及びメールを受信するアンテナ部、該アンテナ部を制御する無線部、電話又はメールを受信した際に点灯させるLED、文字又は画像の情報を表示する表示部並びに前記無線部、前記LED及び前記表示部を制御する制御部を有する携帯電話端末の制御プログラムであって、
前記携帯電話端末の周囲の照度を測定する処理と、
前記携帯電話端末の周囲の照度が所定の閾値以下である場合に、前記携帯電話端末の加速度を測定する処理と、
前記測定した加速度に基づいて前記携帯電話端末の設置状態及び前記携帯電話端末が移動しているか否かを判断する処理と、
前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、電話又はメールを受信しても前記LED及び前記表示部を作動させない処理と、
を前記携帯電話端末に実行させることを特徴とする携帯電話端末の制御プログラム。
【請求項6】
前記携帯電話端末が傾いて設置されている場合又は前記携帯電話端末が移動していると判断される場合は、前記操作部をロックする処理を別途前記携帯電話端末に実行させることを特徴とする請求項5に記載の携帯電話端末の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−263560(P2010−263560A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114568(P2009−114568)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】