説明

搾乳用バケットの接続構造

【課題】搾乳用バケット口部に取付けられる接続構造の構成を工夫することで生乳が衝撃で泡立つことを防止するとともに、バケット内の真空をパルセータに分配するために用いられる通気口の構造を工夫することにより、パルセータ下部の空間に生乳が入り込んで滞留するのを防ぐ装置を提供する。
【解決手段】該生乳供給室の天面に通気口591aを設けて上方に装着したパルセータに真空圧を分配させるようにした搾乳用バケットBの接続構造において、前記通気口591aを前記生乳供給室のパイプ部580の外面に隣接する位置に設ける。前記通気口591aの下側の開口縁から下側へ延びる有底円筒形の通気口カバー592’を設け、該通気口カバー592’の側面のうち生乳の導入方向からみて下流に位置する側の下端付近に開口部を設ける構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は真空配管式搾乳機と併用して自動搾乳を行うために搾乳用バケットの口部に設置される接続構造、特に接続ユニットの上部に搾乳用パルセータが付設される場合においてバケット内の真空をパルセータに分配するために用いられる通気口の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
搾乳用バケットは搾乳後の乳を一時貯溜しておく容器であり、搾乳ユニットと共に可搬型の簡易な搾乳機(バケットミルカー)として用いられる。搾乳用バケットは真空配管式搾乳機を使用する牛舎でも、乳房炎にかかった治療牛の生乳や子牛分娩後の牛から分泌される初乳を、出荷可能な生乳と独立して管理するために広く利用されている。
【0003】
真空配管式搾乳機では真空ポンプより真空圧を供給された真空配管を牛舎に配設し、牛床に隣接する箇所にタップを設けてある。通常の搾乳であれば、ミルククロー、ティートカップ、パルセータを含む可搬式の搾乳ユニットをタップに接続して、真空圧をミルククロー及びパルセータに供給し、絞った生乳を真空配管を介して牛舎のレシーバージャーに回収する。改良された真空配管式搾乳機では、パルセータに送られる搾乳用真空圧が送乳量により変化しないように真空圧調節手段により個別に調整される真空配管と集乳配管の二種類の配管を備えており、真空配管から搾乳用真空圧がパルセータに供給され、絞った生乳は集乳配管から供給される送乳用真空圧によりレシーバージャーに回収される。
【0004】
図1は真空配管式搾乳機と搾乳用バケットを併用するバケットミルカーの一例である。真空配管Vと集乳配管Mの二種類の配管が牛舎に配設されており、各牛床Aに隣接して真空供給と集乳の機能を有するタップTが設けられている。バケットBは口部が絞られた略円筒形のステンレス製又はプラスチック製の容器であり、上部には運搬用のハンドルHが設けられ、バケット口部には外部機器に接続するための接続構造を備えた取り外し可能な蓋が設けられている。接続構造の生乳入口は搾乳ユニットUのミルククローに接続されている。コネクタCをタップTに接続すると、集乳配管MからバケットBの内部に真空圧が供給される。またバケットBの接続構造の上部に設置した電磁パルセータPでは搾乳用の脈動真空圧を発生して搾乳ユニットUのティートカップに供給する。ティートカップの内部は不図示の柔軟なライナーにより乳路と周囲の空間に区分されており、周囲の空間に脈動真空圧が供給されることによりライナーが作動し、搾乳が行われる。ティートカップで搾られた生乳は真空圧によりミルククローを介してバケットBに吸引され、バケットBの内部に貯留される。
【0005】
図9(a)は従来の搾乳用バケットの口部に設置される接続構造の平面図であり、(b)はそのS1−S1における縦断面図である。従来の接続構造では生乳入口は搾乳用バケットBの蓋部に斜めに設けられたニップル状の形状を有していた。そして、ミルククローから流入した生乳はいったん搾乳用バケット内の壁面に向けて斜めに噴出され、壁面を伝って流下していき、搾乳用バケットの底部に貯えられるようになっていた。
【0006】
真空配管式搾乳機とバケットミルカーを併用して搾乳を行うには、牛床Aの近くにバケットBを設置し、乳牛の各乳頭にそれぞれ搾乳ユニットUのティートカップを接続する。そして集乳配管Mの所定箇所に設けられた接続口Tに、コネクタCを接続すると、バケットB内部が真空圧になり、また電磁パルセータPから搾乳ユニットUの各ティートカップに搾乳用の真空圧が供給され、搾乳が開始される。作業者はバケットBのミルク量を見ながら泌乳終了を確認し、コネクタCを接続口Tから取り外して真空を遮断し、乳頭からティートカップを取り外して搾乳作業を終了する。その後、搾乳用バケットに収容された生乳に対して、必要な後処理を行う。
【0007】
特開2009−297019号公報記載の発明は、洗浄槽から搾乳用バケットに洗浄液を吸い込む洗浄液吸い込み手段と、前記搾乳用バケットを洗浄した洗浄液を前記真空配管式搾乳機の真空圧を用いて集乳配管に送る洗浄液送出手段とを備えた搾乳用バケットの洗浄装置であるが、洗浄液送出手段を下部脱着式のパイプとして搾乳時には取り外すことにより、同じ接続構造を搾乳にも使用できることを開示している。
【特許文献1】特開2009−297019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の搾乳用バケットの接続構造は、生乳入口から受入れた生乳をバケット内の生乳の液面に直接投下せず、壁面を伝わらせる工夫がなされていたが、受入れる生乳の流量が多い場合は、勢いが弱まらずに壁面に衝突していたため、その衝撃で生乳が泡立ち、脂肪分の分離を起こして乳質を低下させてしまう恐れがあった。逆に流量が少ない場合は、生乳の勢いが弱すぎて壁面に到達できずにバケット内に落下してしまい、その衝撃で生乳の液面が泡立ち、やはり脂肪分の分離を起して乳質を低下させてしまう恐れがあった。
【0009】
また、搾乳装置をコンパクトにして運搬を容易にするため、パルセータを接続構造の上部に設け、搾乳用バケット内に導入された真空を通気口を通してパルセータに分配することが望ましい。ところが、この通気口の配置によっては生乳が通気口を介してパルセータ下部の空間に入り込んで残留・堆積してしまい、残乳の除去のため分解洗浄が必要となる可能性がある。搾乳用の接続構造を洗浄用の接続構造と共用する場合には、流体が接続構造や搾乳用バケットの内部を広く循環するため、通気口の配置がいっそう難しい問題となる。
【0010】
本発明は、接続ユニットの上部に搾乳用パルセータを付設する場合において、特に、バケット内の真空をパルセータに分配するために用いられる通気口の構造を工夫することにより、パルセータ下部の空間に生乳が入り込んで搾乳終了後に残るのを防ぐことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、搾乳用バケットの口部に取付けられる接続構造が、生乳入口と、真空導入手段と、搾乳用バケット内部に対して開いた下端開口部を有する略円筒形の生乳供給室を備え、生乳入口からの生乳を、生乳供給室の中心軸に対し偏った方向に伸びる生乳導入路を介して生乳を導入することにより生乳供給室の内部に旋回流を生じさせ、その遠心力により生乳が搾乳用バケットの側壁に沿って底面へと流下するようにした。またそれに加えて、接続構造の上部に付設したパルセータに真空を分配するため、前記生乳供給室天井部のパイプ部の外面に隣接する部分に設けたことにより、上記の課題を解決している。
【0012】
本発明の第一の特徴は、バケット内部に対して底面を開いた下端開口部を有する略円筒形の生乳供給室と、生乳供給室の中心軸に対して偏った向きで接続され、前記生乳入口から流入した生乳を該生乳供給室に導入できる生乳導入路とを備えたことである。生乳供給室の中心軸に対して偏った向きとは、例えば供給室側面の接線方向のように、生乳供給室の上下方向の中心軸を通らないように左又は右にずれた(オフセットした)向きをいい、生乳をこの向きで流入させることで、生乳供給室内に生乳の旋回する流れを生じさせ、生乳が生乳供給室の円筒形の側壁に沿って旋回しながら流下し、やがて生乳供給室の底部から流出する生乳が遠心力でバケットの肩部へ向かって広がることを利用して、バケットの壁面を伝って生乳が流下するようにした。
【0013】
このような構成により、生乳入口から流入した生乳が周囲の各方向にほどよく分散し、かつバケット内部の壁面を伝って流下するので、生乳が勢いよくバケット内の生乳やバケットの壁面に衝突することが防止され、乳質を損なうことなく搾乳することができる。生乳導入路は、好ましくは略等角度間隔で複数、例えば2箇所に設けることにより、いっそう泡立ちの少ないスムーズな旋回流とすることができる。
【0014】
本発明の第二の特徴は、パルセータのための通気口を、前記生乳供給室の天井部のうちパイプ部の外面に隣接する部分に設けたことである。本発明の搾乳用バケットの接続構造の上部には、搾乳ユニットに脈動真空圧を供給するためのパルセータが付設されている。パルセータを接続構造に付設して、前記生乳供給室の天井部にパルセータに真空を分配する通気口を設ければ、パルセータへの真空圧供給に別個のチューブを必要とせずバケットミルカーがコンパクトとなるので運搬および作業に便利である。
【0015】
通気口を、前記生乳供給室の天面、具体的には前記生乳供給室の天井部のうちパイプ部の外面に隣接する部分に設けることにより、通気口が生乳供給室の周壁から離れた部分に位置することになり、搾乳時に生乳供給室内に噴出し周壁に沿って旋回する生乳が、噴出の勢いにより天井部の通気口に入り込むのを防ぐことができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、請求項1の記載の搾乳用バケットの接続構造において、前記通気口の下側の開口縁から下側へ延設され、通気口の下方の空間を生乳供給室の他の部分から仕切る通気口カバーを設けたことを特徴とするものである。この通気口カバーは、前記通気口の下側の開口縁の全体について設ける必要はなく、開口縁のうち少なくとも前記パイプ部材の外壁と隣接していない部分に設け、左右の辺をパイプ部材の外壁と連結することにより、全体として通気口の下方の空間を生乳供給室の他の部分から仕切るものであればよい。通気口カバーの下端開口部は、搾乳用バケット内で生乳の入り込みにくい形状とすることが好ましい。
【0017】
この接続構造では、通気口の下方の空間を生乳供給室の他の部分から仕切る通気口カバーを設けたことにより、生乳供給室の周壁に沿って旋回する生乳が通気口に入り込むのを防ぐことができる。通気口カバーの形状は、例えばパイプ部の外壁と一体となって通気口の下方の空間を囲む半円筒状とすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の搾乳用バケットの接続構造において、前記通気口カバーの下端部に前記生乳供給室の下端開口部よりも下方において下向きに開口する開口部を設けたことを特徴とするものである。好ましくは、通気口カバーの内部に生乳が溜まらないように下端部の全面を開口部とする。
【0019】
前記生乳供給室に流入した生乳は、供給室の周壁に沿って旋回しながら流下し、下端開口部に達すると遠心力で外側に拡散してバケットの肩部へ広がるので、この下端開口部よりも下側に前記通気口カバーの開口部を設けることにより、生乳が通気口に入り込むのを防ぐことができる。
【0020】
請求項4記載の発明は、請求項2記載の搾乳用バケットの接続構造において、側面のうち生乳の導入方向からみて下流に位置する側に開口部を設けたことを特徴とするものである。
【0021】
生乳供給室に流入した生乳は生乳導入路からの噴出方向に従って旋回しながら流下しているため、請求項4記載の接続構造では、通気口カバーの側面のうちこの旋回流の方向からみて下流に当たる側に開口部を設けることにより、旋回する生乳が通気口に入り込むのを防いでいる。
【0022】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の搾乳用バケットの接続構造において、前記通気口カバーの底面が閉じられていることを特徴とするものである。
【0023】
通気口カバーの底面が閉じられていることにより、バケット内の生乳液面等から生乳の飛沫が入り込むのを防いでいる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら、本発明の具体的な実施形態について説明する。バケットBは、図1と同様に、口部が絞られた略円筒形のステンレス製又はプラスチック製の容器であり、その上部には運搬用のハンドルHが設けられている。
【0025】
本実施例に係る接続構造5の全体構成は、図2ないし図5に示されるように、先に本出願人が特願2009−057977として出願した搾乳用バケットの接続構造と類似のものであり、ハウジング500及び蓋パッキン505(図3では省略)とで構成されている。ハウジング500はさらにハウジング本体500a、ハウジング蓋500b、およびパッキン9A,9Bからなっており、その内部に、バケット内部に対して底面を開いた下端開口部を有する略円筒形の生乳供給室520と、生乳供給室の中心軸に対して偏った向きで接続され、前記生乳入口から流入した生乳を該生乳供給室520に導入できる生乳導入路541、542を備えている。またハウジング蓋500bの一部であって生乳供給室520を上下に貫通するパイプ部580と、該パイプ部580の上端に真空チューブで連結されたコネクタCからなる真空導入手段を備えている。
【0026】
ハウジング500は、図4に矢印で示されるように、生乳入口510から吸込んだ生乳を内部で分岐させて2本の生乳導入路541、542に導き、生乳供給室520の側面の180°離れた箇所にある開口部より生乳供給室520に噴出させる。生乳導入路541、542はいずれも生乳供給室520の中心軸に対してオフセットされた向きで接続されている。本実施例では、生乳導入路541、542は生乳供給室520の側壁に対してほぼ接線方向となるように設けられているので、生乳導入路541、542を通った生乳が生乳供給室520の側面の二箇所の開口部から接線方向に噴出しスムーズに生乳供給室520の側壁に沿って旋回するように構成されている。真空導入手段であるパイプ部580は生乳供給室520の中央部を上下に貫通しており、下端は生乳供給室520の下端開口部から下方に突出している。
【実施例1】
【0027】
ハウジング500の上部を構成するハウジング蓋500bに設けられたパルセータ接続部590には、電磁パルセータPが設置されている。パルセータ接続部590は水平壁591で生乳供給室520と区画されており、水平壁591のうちパイプ部580と隣接した位置に楕円形の通気口591aが設けられ、通気口591aの下側の開口端より下側へ延びる通気口カバー592が設けられている。(図3、図6および図7)。通気口カバー592は、パイプ部580の外壁と一体となって通気口591aの開口の下部の空間を生乳供給室520の他の部分から区分するような略半円筒形の側壁からなり、通気口カバー592の下端開口部592aは前記生乳供給室520の下端開口部よりも低い位置で下側に開口している。本実施例では、生乳供給室520の下端は水平壁591の下面から22mmであり、通気口カバー592の長さはそれよりも3mm長い25mmであるから、通気口カバー592の下端開口部592aは生乳供給室520の下方に3mm突出している。
【0028】
上記のような構成により、通気口591aの下部の空間は通気口カバー592の存在により生乳供給室520内の内部と完全に分離されているので、生乳が通気口591aに入り込むことが防がれる。また生乳供給室520の下端から流出する生乳は下面560に沿って遠心力でバケットの肩部に広がるが、通気口カバー592の下端は生乳供給室520の下端よりも低い位置で開口しているので、生乳が開口部592aに入り込む恐れもない。
【0029】
本実施例の接続装置を使用して搾乳を行う方法を図1及び図4の符号を用いて説明すると、まず搾乳用バケットBを牛床Aの近くに設置し、乳牛の各乳頭に搾乳ユニットUのティートカップをそれぞれ接続する。そして集乳配管Mの所定箇所に設けられたタップTにコネクタCを接続することにより、バケットB内部と電磁パルセータPに真空圧が供給され、電磁パルセータPを始動することにより各ティートカップに脈動真空圧が供給され搾乳が開始される。生乳入口510から生乳導入路541、542を介して生乳供給室520に接線方向に生乳が導入され、生乳供給室520内を旋回しながら自重により螺旋状に下り、生乳供給室520の下端開口部に至ると遠心力でバケットの周辺部(内側面の上部)に広がり、側面に沿って流下して搾乳用バケットBの底部に貯まる。作業者は生乳の流れ及び貯留量を見ながら泌乳終了を確認し、コネクタCをタップTから取り外して真空を遮断し、乳頭からティートカップを取り外して搾乳作業を終了する。その後、搾乳用バケットに収容された生乳に対して、必要な後処理を行う。
【0030】
なお、本実施例のパイプ部580下端に、底部付近に開口する下側パイプ部(不図示)を接続し、前記コネクタCを洗浄槽の上方にある集乳配管等のタップTに接続するとともに搾乳ユニットUのティートカップを洗浄槽内に水没させて洗浄水の循環回路を形成すれば、特開2009−297019号公報記載の発明と同様に自動洗浄することが可能である。この場合にも、通気口592が生乳供給室520の内側に寄った箇所に設けられていることにより、生乳供給室520の内部を旋回する洗浄液が通気口591aから開口部592aに入り込むことが防がれるので、洗浄後に洗浄液が残るおそれもない。
【実施例2】
【0031】
図8は、搾乳用バケットの接続構造の別の実施例を示す。本実施例に係る接続構造では、実施例1と同様に、ハウジング蓋500bの水平壁591のパイプ部580と隣接した位置に設けられる通気口591aの下側には、開口端より下側へ延びる通気口カバー592’が設けられている。通気口カバー592’はパイプ部580の外壁と一体となって、通気口591aの開口の下部の空間を生乳供給室520の他の部分から区分するような半円筒形の側壁からなる。通気口カバー592’は側面のうち生乳の導入方向からみて下流に位置する側の下端付近に開口部592a’を有している。
【0032】
実施例1と同様に、通気口591aの下部の空間は通気口カバー592’の存在により生乳供給室520内の内部と完全に分離されているので、生乳が通気口591aに入り込むことが防がれる。また開口部592a’の大部分は生乳供給室の内部に位置しているが、生乳供給室520の内部では生乳導入路541、542のオフセット配置により生乳が図8のB方向に旋回しながら下るので、その旋回方向の下流側の側面に設けられた開口部592a’から生乳が流入する恐れはほとんどない。また通気口カバー592’の下端部には底面592b’を設けてあるので、バケット内の生乳液面から生乳の飛沫が入り込むことも防がれる。
【0033】
以上、好適な二実施例について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成、形状、素材、数量、手法等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更、追加、削除することができる。例えば、実施例1、2の通気口カバーはいずれもパイプ部の外壁と一体に形成された半円筒形であるが、パイプ部から独立した円筒形のカバーとしてもよい。またパルセータの駆動方式は電磁式に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明では、搾乳時に生乳が衝撃で泡立つことを防止できる改良された接続構造において、衛生上不都合な生乳の残留を防ぐことができ、牛乳の品質を確保するうえで有益である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】搾乳用バケットを備えたバケットミルカーを真空配管式搾乳機に接続した状態を示す説明図である。
【図2】実施例1に係る搾乳用バケットの接続構造の平面図である。
【図3】図2の接続構造のS3−S3における縦断面図である。
【図4】実施例1に係る接続構造内の生乳等の流れを示す説明図である。
【図5】図2の接続構造の分解斜視図である。
【図6】図3のS5−S5を下側から見た横断面図である。
【図7】図6の接続構造のS6−S6における縦断面図である。
【図8】実施例2に係る搾乳用バケットの接続構造の、図7と同じ位置における縦断面図である。
【図9】従来の搾乳用バケットの口部に設置される接続構造の平面図及び縦断面図である。
【符号の説明】
【0036】
B 搾乳用バケット
P 電磁パルセータ

5 接続構造

500 ハウジング
500a ハウジング本体
500b ハウジング蓋
505 蓋パッキン

510 生乳入口
511 生乳出口管
520 生乳供給室
541、542 生乳導入路
560 下面
580 パイプ部
590 接続口

591 水平壁
591a 通気口
592、592’ 通気口カバー
592a、592a’ 下端開口部
592b’ 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生乳入口と、搾乳用バケット内部に対して開いた下端開口部を有する略円筒形の生乳供給室と、前記生乳供給室の中心を上下に貫通するパイプ部を含む真空導入手段とを備え、生乳入口からの生乳を、生乳供給室の中心軸に対し偏った方向に伸びる生乳導入路を介して生乳を導入することにより生乳供給室の内部に旋回流を生じさせ、その遠心力により生乳が搾乳用バケットの側壁に沿って底面へと流下するようにするとともに、該生乳供給室の天面に通気口を設けて上方に装着したパルセータに真空圧を分配させるようにした搾乳用バケットの接続構造において、前記通気口を前記パイプ部の外面に隣接する位置に設けたことを特徴とする搾乳用バケットの接続構造。
【請求項2】
前記通気口の開口縁から下側へ延設され、通気口の下方の空間を生乳供給室の他の部分から仕切る通気口カバーを設けたことを特徴とする請求項1記載の搾乳用バケットの接続構造。
【請求項3】
前記通気口カバーの下端部に前記生乳供給室の下端開口部よりも下方で開口する底面を設けたことを特徴とする請求項2記載の搾乳用バケットの接続構造。
【請求項4】
前記通気口カバーの側面に生乳の旋回流の方向からみて下流側に開口する開口部を設けたことを特徴とする請求項2記載の搾乳用バケットの接続構造。
【請求項5】
前記通気口カバーの底面が閉じられていることを特徴とする請求項4記載の搾乳用バケットの接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−205960(P2011−205960A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76554(P2010−76554)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)