摂取可能な制御活性化識別子
創薬インフォマティクスが使用可能な組成物のような、摂取可能な組成物に用いるための制御活性化識別子が提供される。該識別子は、目標とする標的部位における所定の刺激の存在に応じて識別子の活性化をもたらす制御活性化要素を含む。本発明は、限定されることなしに、治療レジメンの遵守、医薬の履歴の追跡などを含む、様々な異なる用途に利用法が見出される。本発明の制御活性化識別子は、からだの標的部位と会合すると活性化される識別子である。該制御活性化識別子は、標的部位における所定かつ固有の刺激、例えば、液体(濡れ)、時間、pH、イオン強度、導電性、生体分子の存在(例えば、胃、小腸、大腸に存在する特定のタンパク質または酵素)、血液、温度、特定の助剤(脂肪、塩、または糖、または共存することが臨床的に適切な他の調合剤)、胃のバクテリア、圧力、光など、の存在により活性化される識別子である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
米国特許法§119(e)にしたがって、この出願は、2006年10月25日に出願された、米国仮特許出願第60/862,925号(この出願の開示は、参考として本明細書に援用される)の出願日への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
導入
処方薬は、患者が適切に、例えばインストラクションに従って、飲めば、有効な治療薬となる。しかし、諸研究によると、平均して患者の約50%が処方薬療法を遵守していないことがわかった。投薬療法の遵守率が低いために、結果的に毎年多数の人が入院したり介護施設へ入所したりしている。最近実施された試算によれば、患者の非遵守が原因となって生じるコストは、米国だけでも毎年1000億ドルに達している。
【0003】
その結果、患者の健康改善を目的として、処方された療法を患者が遵守するように改善するための様々な方法および装置が市販されるようになった。今日まで、多くの異なる種類の「スマート」パッケージ化デバイスが開発されてきた。かかるデバイスとしては、然るべき丸薬(pill)を自動的に分包するものがある。丸薬が箱から取り出されるときに、検出および記録を行う電子制御機器も存在する。
【0004】
患者の遵守を改善するために、デバイスおよびプロトコルが開発されてきたが、患者の遵守をモニタする新しい方法の開発には、絶えず関心が持たれている。胃のなかで溶けていく丸薬のような医薬品の実際の投与および摂取を、患者または医療スタッフの報告に頼らずに、組成物中に存在する識別子が発生する信号が組成物と標的部位との接触時に生成されるような、自動的かつ正確な仕方でモニタできれば、臨床医学における重要な進歩となるであろう。
【0005】
上述のニーズに応える一つのシステムは、2006年4月28日に出願されて特許文献1として公開された、PCT出願PCT/US2006/16370号に記載される創薬インフォマティクス(pharma‐informatics)システムであり、その開示は参照によりここに組み込まれる。この出願に記載されるシステムは多くの利益を提供するが、ある状況下では信号発生の信頼性が課題になることがある。例えば、医薬組成物の摂取のされ方によって、胃の特定の内容物が、組成物中における識別子の活性化の程度に重大な影響を与える可能性がある。例えば、組成物とともに摂取される液体、例えば、水、ジュースなどによって、信号発生は影響を受けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第06/116718号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、目標とすべきなのは、識別子により発生される信号が、特定の環境、例えば、胃の内容物、活性化が望まれる標的部位に依存しないほど、識別子の活性化が高度に制御された、改良された創薬インフォマティクスシステムの開発であろう。本発明は、かかる能力を初めて提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、創薬インフォマティクスが使用可能な医薬組成物中に組み込める、摂取可能な事象マーカー中に存在できるなど、のような摂取可能な識別子の制御された活性化(制御活性化)を提供する。本発明の制御活性化識別子の実施形態は、用いられる用途における変わりやすい条件、例えば、医薬キャリアの不十分な分解、目標とすべき標的部位の環境変化など、の存在にも関わらず、着実で信頼性のある使用法を提供する。
【0009】
本発明の制御活性化識別子は、からだの標的部位と会合すると活性化される識別子である。該制御活性化識別子は、標的部位における所定かつ固有の刺激、例えば、液体(濡れ)、時間、pH、イオン強度、導電性、生体分子の存在(例えば、胃、小腸、大腸に存在する特定のタンパク質または酵素)、血液、温度、特定の助剤(脂肪、塩、または糖、または共存することが臨床的に適切な他の調合剤)、胃のバクテリア、圧力、光など、の存在により活性化される識別子である。所定かつ固有の刺激とは、制御活性化識別子が、活性化に伴って反応するように設計または構成された既知の刺激である。ある実施形態において、識別子により発生される信号は、標的部位の環境、例えば、標的部位における流体の特質には依存しない。
【0010】
制御活性化識別子は、一つまたはそれ以上の構成部分を含むことのできる一つの制御活性化要素を含み、該一つまたはそれ以上の構成部分は、標的部位における所定かつ特有の刺激の存在に反応して、所望の制御活性化を提供する。ある実施形態において、制御活性化識別子は、制御活性化要素として乾燥した導電媒質前駆体組成(例えば、乾燥した塩組成)を含み、この要素は、(胃液のような)流体と接触すると導電媒質になり、その結果電源の活性化および識別信号の生成がもたらされる。電源における乾燥した導電媒質前駆体の存在は、識別子の活性化が望まれる標的部位の環境変化(例えば、胃の内容物組成から見た変化)にも関わらず、識別子を確実に活性化させる能力を含む、多くの利点を提供する。さらに他の実施形態において、制御活性化識別子は制御活性化要素としてバリヤを、例えば、目標とすべき標的部位と会合すると識別子を活性化させるように構成された保護膜のかたちで含む。他の種類の制御活性化要素は、例えば、以下により詳細に記載されるように、乾燥した導電媒質およびバリヤのような、二つまたはそれ以上の構成部分を含む。
【0011】
識別子からの送信信号は、また別のデバイス、例えば、からだの内部または近傍いずれかにある受信器で受信することができ、該デバイスは、次に、識別子、例えば一つまたはそれ以上の活性薬剤および医薬組成と結合されたもの、が実際に標的部位に到達したことを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】丸薬の一部が侵食された場合の丸薬摂取の効果を図式的に示す。
【図2】出力として二つの電極ではなくコイルをもつ、図1と類似の配置を示す。
【図3】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図4】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図5】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図6】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図7】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図8】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図9】本発明の様々な実施形態の電子回路のある実装の詳細を示す。
【図10】本発明による、システムの一部として丸薬の実施形態を図式的に例示する。
【図11】本発明の一実施形態による、むき出しテーブル形式の二つの図を示す。
【図12】本発明の一実施形態による、破れることのできる制御活性化要素に包まれた識別子の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の制御活性化識別子は、標的部位と接触すると固有かつ所定の刺激に反応して活性化されることができる識別子である。ある実施形態において、標的部位の組成の組み立ての幅広い変化にも関わらず、制御活性化が提供される。かくして、制御活性化識別子は、体内における組成物の標的部位との接触について信頼性があり着実なデータを提供し、提供されたデータは、標的部位の環境のいかなる変化にも、完全ではないにしろ実質的に依存しない。従って、標的部位、例えば、本主題の識別子を用いるときに遭遇することがある胃、の組成の組み立ての幅広い変化にも関わらず、識別子は、標的部位環境の組成によって影響されない一貫性および信頼性のある信号を提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は多種多様であり、「創薬インフォマティクシステム(Pharma‐Informatics System)」と題し、国際公開第2006/116718号として公開されたPCT出願US2006/016370号、および「摂取可能な事象マーカー(Ingestible Event Marker)」と題する米国仮出願第60/949223号にさらに詳細に記載されており、以下に概観する出願の開示に加えて、それらの出願に記載される開示も参照により組み込まれる。
【0014】
本発明をさらにより詳細に記述するにあたり、組成物の実施形態を初めに概観し、続いて本主題の組成物を含むシステム、本主題の組成物およびシステムを用いる方法、並びにこれらの組成物および方法が用いられている、説明に役立つ様々な用途について論じる。本主題の組成物を含むキットも、以下により詳細に吟味される。
【0015】
組成物
本発明の実施形態は、制御活性化識別子を含み、該識別子は、キャリア組成、例えば医薬として許容される賦形剤、と結合でき、一つまたはそれ以上の医薬活性薬剤とは結合できてもできなくてもよい。ある実施形態において、組成物は、対象に投与されると破れる。かくして、ある実施形態において、組成物は、例えば摂取により、からだに送達された後に、物理的に破壊、例えば、溶解、分解、侵食などされる。これらの実施形態の組成物は、摂取されて消化管を通過する間に完全ではなくても実質的に存続するように構成されたデバイスとは区別される。
【0016】
以上にまとめたように、組成物は、制御活性化識別子および活性薬剤および/またはキャリア部分を含む。これらの異なった構成部分の各々を、別々に以下により詳細に吟味する。
【0017】
制御活性化識別子
以上にまとめたように、本発明の組成物は、制御活性化識別子を含む。本組成物の制御活性化識別子は、生理学的な標的部位、例えば、胃、小腸、大腸など、と会合または接触すると活性化される(すなわち、オンになる)ものでさえあれば、特定の実施形態および該組成物に関する所望の用途によって異なっていてもよい。ある実施形態において、活性化は、完全ではなくても、実質的に環境に依存しない仕方で、目標とすべき標的部位に存在する所定の活性化刺激(例えば、流体、化学薬品、光)の存在に対して生じる。かくして、識別子は、標的となるからだの(すなわち生理学的な)部位と接触したときに信号を発する識別子とすることができ、信号の特質は、実際の活性化刺激の存在は別として、標的部位環境の特定の組み立てによって仮に影響があるとしても、実質的には影響されない。例えば、標的部位が胃であれば、識別子の活性化は、様々な異なる胃の内容物の状態、例えば、約1から約8に及ぶpH変動などのもとで、完全にではないにしても実質的に同じになり、流体刺激(濡れにより活性化される活性化因子)の存在は別として、流体のpHは、識別子の活性化のされ方に影響を及ぼさない。かくして、識別子は、ある実施形態において、様々な異なるpH値の様々な異なる流体組成と接触した後に、時間および強度の観点から同じ信号を発することにより特徴づけられる。加えてまたは代わりに、識別子は、活性化後に応答要求があったときに信号を発する識別子としてもよく、先に概観したように、活性化は標的部位環境に依らない制御された仕方で生じる。
【0018】
特定の用途のニーズによって、識別子から得られる信号は、一般的な信号、例えば組成物が標的部位と接触したことを単に識別する信号、または一意的な信号、例えば、一つの群、すなわち一回分の複数の異なる組成物、に属する特定の組成物が、生理学的な標的部位と接触したことを何らかの方法で一意的に識別する信号、であってもよい。かくして、識別子は、複数の単位用量からなる一回分、例えば、複数の錠剤(tablet)からなる一回分に用いられるときには、該一回分のいかなる他の単位用量メンバーの識別子が発する信号からも区別できない信号を発するものであってもよい。さらにまた別の実施形態において、識別子は、所与の一回分における他の同一の単位用量からでさえ、所与の単位用量を一意的に識別する信号を発する。従って、ある実施形態において、識別子は、所与の種類の単位用量を他の種類の単位用量から、例えば、所与の薬物を他の種類の薬物から、識別する一意的な信号を発する。ある実施形態において、識別子は、所与の単位用量を、定義された単位用量集団、例えば、処方箋、製剤のバッチまたは生涯生産工程、のうちの他の単位用量から区別する一意的な信号を発する。ある実施形態では、識別子は、一意的な、すなわち、これまでに製造された他のどの製剤が発する信号からも区別できる、信号を発し、かかる信号は、(例えば、他のどの個人の他のどの指紋からも区別され、従って普遍的なレベルで個人を識別するヒトの指紋に似た)普遍的に一意的な信号と見なすことができる。一実施形態において、該信号は、組成物に関する情報を直接に伝えるか、または識別コードを供するかいずれでもよく、後者は、データベース、すなわち、識別コードを組成物と結びつけるデータベース、から組成物に関する情報を読み出すために用いられてもよい。
【0019】
識別子は、例えば、標的部位と接触して制御活性化された後に、検出可能な信号を提供することができる任意の構成部分またはデバイスとするとよい。ある実施形態において、識別子は、ひとたび組成物が、例えば、先にまとめたような、生理学的な標的部位と接触すると信号を発する。例えば、患者は、胃液と接触すると検出可能な信号を発生する丸薬を摂取することができる。
【0020】
実施形態によって、生理学的な標的部位または位置は異なってもよく、目標とすべき代表的な生理学的標的部位は、限定されることなしに:(口、食道、胃、小腸、大腸などのような)消化管における位置;輸液位置、血管位置のような体内のまた別の位置;或いは局所的な位置;などを含む。ある実施形態において、識別子は、標的部位の特定の組成に関わらず、標的部位流体と接触すると活性化されるように構成される。
【0021】
ある実施形態において、識別子は、例えば、単独で、または必要とされる対象に容易に投与できる組成物になるように組成物の生理学的に許容できるキャリア部分と結合された際に、経口摂取が可能なように寸法づけられる。かくして、ある実施形態において、識別子要素は、幅が約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmのように約0.05mmから約1mmに及び、長さが約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmのように約0.05mmから約1mmに及び、および高さが約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmを含んで約0.05mmから約0.3mmのように約0.1mmから約1mmに及ぶ、寸法である。ある実施形態において、識別子は、0.2mm3以下を含んで0.1mm3以下のように1mm3以下である。識別子要素は、限定されることなしに:チップ形状、円筒形状、球形状、ディスク形状など様々な異なる形状をとることができ、特定の形状は、意図する用途、製造方法等に基づいて選択することができる。
【0022】
識別子は、限定されることなしに:RF信号、磁気信号、導電性(近接場)信号、音響信号など、様々な異なる種類の信号を発生することができる。ある実施形態において注目すべきは、「創薬インフォマティクスシステム(Pharma‐Informatics System)」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開第2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号に記載される特定の信号であり、これらの出願における様々な種類の信号の開示は、参照により本明細書に特に組み込まれる。
【0023】
識別子の伝送時間は、変化してもよく、ある実施形態において、伝送時間は約0.1μ秒から約48時間以上に、例えば約1μ秒から約4時間のように、約0.1秒から約4時間以上のように、約0.1μ秒から約24時間以上に及んでもよい。所与の実施形態によって、識別子は、信号を1回伝送してもよく、または信号を冗長信号と見なすことができる2回またはそれ以上伝送してもよい。
【0024】
ある実施形態において、識別子は、識別子により発生される信号が識別子の製造後に決定できるという意味で製造後にプログラム可能であってもよく、識別子は、フィールドプログラマブル、マスプログラマブル、ヒューズプログラマブル、なおさらにリプログラマブルであってもよい。かかる実施形態で注目すべきなのは、コード化されていない識別子が初めに製造され、組成物に組み込まれた後にコード化されて、その組成物のための識別信号を発することである。任意の使いやすいプログラミング技術を用いることができる。ある実施形態において、用いられるプログラミング技術は、RFID技術である。本主題の識別子に用いることのできる、注目すべきRFIDスマートタグ技術は、限定されることなしに、米国特許第7,035,877号、第7,035,818号、第7,032,822号、第7,031,946号、並びに出願公開第20050131281号などに記載されるものを含み、それらの開示は参照によりここに組み込まれる。RFIDおよび他のスマートタグ技術を用いて、製造会社/売主は、たとえ識別子が組成物に組み込まれた後であっても一意的なIDコードを所与の識別子と関連づけることができる。ある実施形態において、組成物が使用される前に取扱いに関与する各個人または実体は、該識別子に情報を、例えば、その開示が参照によりここに組み込まれる米国特許第7,031,946号に記載されるような、識別子が発する信号に関するプログラミングのかたちで、導入することができる。
【0025】
ある実施形態の識別子は、メモリ要素を含み、該メモリ要素は容量が変わってもよい。ある実施形態において、メモリ要素は、約1ビットから約128ビットを含んで1ビットから1メガバイトのように、約1ビットから1ギガビット以上に及ぶ容量をもつ。用いられる特定の容量は、用途、例えば、信号が一般的な信号かまたはコード化された信号か、信号がいくつかの付加的な情報、例えば、活性薬剤名などの注釈をつけてよいかまたはよくない場合によって変わってもよい。
【0026】
本発明の実施形態における制御活性化識別子の構成部分は、(a)一つまたはそれ以上の構成部分からなる一つの制御活性化要素、および(b)例えば上述のように、制御活性化部分により活性化されて識別信号を生成する信号発生部分、を有する。
【0027】
制御活性化部分
制御活性化部分は、組成物が胃のような目標とすべき生理学的な標的部位と接触したのに続いて、信号を、例えば、放出によりまたは応答要求に応じて送り出すために、識別子の信号発生要素を活性化する構成部分である。制御活性化部分は、活性化が組成の組み立てに依存しないほど、標的部位の特定の組成の組み立てに完全ではなくても実質的に依存しない仕方で活性化されるように構成される。
【0028】
「創薬インフォマティクス」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号で概観されているように、識別子の活性化は、多くの異なる方法で達成することができ、かかるやり方は、限定されることなしに、:電池の完成、電池の接続などを含む。この同時係属出願に開示された異なる活性化のやり方は、本明細書に記載されるように、制御活性化を提供するために容易に適合させることができ、かくしてその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0029】
例えば、電池完成形式の制御活性化要素は、完成されたときにカソード、アノード、および電解質が含まれる電池を用いることができる。組成物は、投与されたとき、例えば、摂取されて食道を通って移動するとき、胃に入っていく。組成物内に用意されたカソードとアノードとは、完全な電池を成していない。しかし、組成物が溶けてカソードおよびアノードが露出されるにつれて、胃液が(単独で、または識別子の乾燥した導電性の前駆体媒質部分と混合したときに)電池の電解質部分として機能する。胃液からなる付加的な成分が、このように電池を完成させる。それ故に、組成物が、例えば、胃に入ってカソードおよびアノードの露出に至るまで溶けることにより標的部位と接触すると、例えば、チップ構成の、識別子を活性化する電源が提供される。次に、データ信号が伝送される。
【0030】
ある実施形態において、用いられる電池は、電池の二つの電極(例えば、アノードおよびカソード)を成す、二つの異なる電気化学物質を備える。電極物質が露出されて、(以下に概観するように、単独で、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされて)胃酸または他の種類の流体のような、体液と接触したとき、二つの電極物質がそれぞれ受ける酸化および還元反応の結果として、電位差、すなわち電圧が電極間に発生される。その結果、ボルタ電池、または電池、を生成することができる。従って、本発明の複数の実施形態において、かかる電池は、信号発生要素が内在する組成物の物理的および化学的侵食の間に二つの異なる物質が標的部位、例えば胃、消化管などに露出されたとき、電圧が発生されるように構成される。電解質中の二つの異なる物質は、「ジャガイモ電池」の物理モデルと同様に、異なる電位にある。一例として、銅と亜鉛は電池に入れたときに異なる電位をもつ。同様に、金とマグネシウムは異なる電位をもつ。結果として、二つの異なる物質間に電位差が発生する。
【0031】
これらのうちのある実施形態において、電池の電源は、胃液、血液、または他の体液およびいくつかの組織のような、イオン性溶液の電気化学的反応を利用した電源と見做すことができる。図1は、丸薬が摂取されて、その一部が化学的および/または物理的に侵食されるところまで分解したときに生じる事象を図式的に示す。電極物質1および2(32および33)は、いま(標的部位流体単独、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされた標的部位流体で構成される)イオン性溶液39中にある。この構成は、電子回路40に印加される低電圧(V−)および高電圧(V+)をつくり出す。この電子回路40の二つの出力は、EO41およびEO42であり、それらは上面の上にある信号伝送電極である。信号発生要素30が単一の電極を含む、図2には示されていない代わりの実施形態においては、出力はEO41である。
【0032】
図2は、図1と類似した配置を示す。しかし、出力として二つの電極をもつ代わりに、コイルが提供される。電極物質 1および2(32および33)は、信号発生要素30の電子回路40に繋がれる。電子回路30の出力は、コイル43に結合される。この構成は、電極物質1および2(32および33)がイオン性溶液に露出されたときに電池の生成をもたらす。この電池は、回路40を駆動し、振動周波数がつくり出される。この振動電流は、コイルを流れてRF磁気信号が発生する。体内組織を通しての著しい減衰に悩まされかねない近接場の準静的な電気信号とは違って、RF磁気信号は、体内組織を通しての減衰のより少ない伝送が可能である。RF磁場信号は、次に、磁気信号検出メカニズムをもつ外部または内部受信器により拾い上げられる。十分に高い周波数の送信が提供されれば、丸薬が摂取されたときにはいつでも、患者が装着したポケットベルのようなデバイスで検出されることになる。
【0033】
図1および2は、電気化学的反応により電力供給される信号発生要素40をもつ識別子30を示す。信号発生要素40は、電極電極32および33に接続されるが、これらは二つの異なる物質からなり、相互に電気的に絶縁されている。電極32および33をイオン性溶液39に浸漬したとき、それらの間に電位差が生じる、例えば、電極33はより高い電位V+に上昇し、一方で電極32はより低い電位V−に下降する。回路40に電力供給するために、この電位差を用いることができる。
【0034】
電極32および33は、様々な仕方で実装することができる;例えば、集積回路チップの対向する表面上の領域を二つの異なる金属で被覆することができ、チップ全体をイオン性溶液中に置くことができる。代わりに、電極32および33は、図示されるように要素40から伸び出していてもよい。他の配置も用いることができる。
【0035】
電極32および33は、識別子30が動作する環境に適合する任意の二つの物質でつくることができる。活物質は、異なる電気化学ポテンシャルをもつ物質の任意の一対である。例えば、イオン性溶液39が胃酸を備えるある実施形態では、電極32および33は、時期尚早に腐食しないように貴金属(例えば、金、銀、プラチナ、パラジウムなど)でつくることができる。代わりに、適用可能なイオン性溶液中で寿命が十分に長く識別子が所望の機能を果すことが可能な、アルミニウムまたは他のいずれかの導電物質から電極を作製することもできる。適切な物質は、金属には限られず、ある実施形態において、一対の物質は、金属と非金属、例えば、(Mgのような)金属と(CuIのような)塩とで構成される対、から選ばれる。電極活物質に関しては、適切な電気化学ポテンシャル差(電圧)および低界面抵抗をもつ任意の物質の組み合わせ‐金属、塩、またはインターカレーション化合物‐が適している。
【0036】
電池の電極としては、様々な異なる物質を用いることができる。ある実施形態において、電極物質は、生理学的な標的部位、例えば、胃と接触すると、識別子の信号発生要素を駆動するのに十分な電圧を供給するように選ばれる。ある実施形態において、電源の金属が生理学的な標的部位と接触した際に、電極物質により供給される電圧は、0.1V以上のように0.01V以上を含んで0.001V以上、例えば、0.5V以上を含みかつ1.0V以上を含んで0.3V以上であり、ある実施形態において、電圧は、約0.01から約10Vのように約0.001から約10Vに及ぶ。
【0037】
注目すべき物質および組み合わせは、以下の表1に記載されるものを含むが、それらには限定されない。
【0038】
【表1】
†保護されたアノード:Li、Naおよび他のアルカリ金属のようなエネルギーの高いアノード物質は、純粋なかたちでは水または酸素の存在下で不安定である。しかし、これらを安定化すれば、水のある環境下で用いることもできる。この安定化の一例は、Polyplus Corporation(Berkeley,CA)により開発されたいわゆる「保護されたリチウムアノード」であり、リチウム金属の表面に急速な酸化から保護するためのポリマー膜が堆積されて、水のある環境または周囲空気中における使用を可能にしている。(Polyplusは、これについて知的所有権の係争中である。)
††溶存酸素もカソードとして機能することができる。この場合、体液中の溶存酸素は、PtまたはAuのような適切な触媒表面上でOH−に還元されるであろう。他の触媒も可能である。
【0039】
ある実施形態において、例えば、電池の電圧出力を向上させるために、金属の一方または両方に非金属をドープしてもよい。ある実施形態においてドーピング剤として用いることができる非金属は、硫黄、よう素などを含むが、それらには限定されない。
【0040】
ある実施形態において電極物質は、アノードとしてはよう化第一銅(CuI)または塩化第一銅、カソードとしてはマグネシウム(Mg)金属またはマグネシウム合金である。本発明の複数の実施形態は、人体に有害でない電極物質を用いる。
【0041】
注目すべき付加的な電池構成は、限定されることなしに、「創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics System Power Source)」と題して2007年2月14日に出願された米国仮出願第60/889,868号;「高表面積カソードをもつ創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics Power Source Having High Surface Area Cathodes)」と題して2007年2月14日に出願された米国仮出願第60/889,870号;および「耐ショート性直列電池をもつ創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics System Having Short Resistant Series Battery)」と題した米国仮出願第60/889,871号に記載されるものを含み、それらの出願の開示は参照によりここに組み込まれる。
【0042】
制御活性化を提供する識別子の制御活性化要素は、様々な異なる種類の刺激に反応することができる。制御活性化要素が反応するように構成することができる注目すべき刺激は、限定されることなしに、液体(濡れ)、時間、pH、イオン強度、導電性、生体分子(例えば、胃、小腸、結腸に存在する特定のタンパク質または酵素)、血液、温度、特定の助剤(脂肪、塩、または糖、または共存することが臨床的に意義のある他の医薬)、胃のバクテリア、圧力、および光を含む。
【0043】
制御活性化要素は、制御活性化要素が目的とする刺激に反応するように、所望の制御活性化の機能性を提供する一つまたはそれ以上の構成部分からなる。制御活性化要素を構成する一つまたは複数の構成部分の特質は、変わってもよい。例えば、目的とする刺激が温度の場合、制御活性化要素は、溶解度が温度の関数であって特に体温またはその付近で溶解性になる膜(例えば、ポリマー膜)のような、物質のバリヤであってもよい。かかる膜は、室温では水に不溶/不浸透性でも、37℃では水溶性/浸透性となることができる。かかる膜に用いることができる注目すべき物質は、限定されることなしに、以下に挙げるポリマー物質を含む。目標とすべき刺激が圧力である実施形態においては、制御活性化要素は、感圧物質であり、例えば、閾値を超える圧力限界において該要素は押しつぶされ、識別子が活性化されて信号を伝送することが可能になる、特有の機械的強度を有する感圧物質(例えばセルロース系物質でできた)例えば、カプセルまたは殻とすることができる。他の注目すべき実施形態において、刺激は光であってもよい。例えば、刺激は、腫瘍に付着された蛍光標識であってもよい。識別子は、腫瘍のそばを通るので、制御活性化要素は、標識を刺激する波長の光を供給する構成部分と、さらに標識からの放出光を検出する構成部分も含むとよい。任意の使いやすい光源および検出器を用いることができる。検出器部品が光を検出したときに、制御された活性化の仕方で、識別子が活性化されることになる。
【0044】
ある実施形態において、本発明の一つまたはそれ以上の制御活性化部分は、先に概観したように、制御された活性化、すなわち、標的部位環境に完全ではなくても実質的に依存しない仕方で活性化を提供する。注目すべき一実施形態において、制御活性化部分は、例えば、先に概観したように、乾燥した導電媒質を含み、該媒質は第1および第2の異なる物質の存在下で標的部位流体と結合すると、イオン性媒質を生成して電池を活性化する。乾燥した導電媒質前駆体部分を含むかかる活性化部品の代表的な構成が、図3に示される。図3は、固体支持体50の表面上に存在する電極物質32および33をもつ電池要素を示す。電極物質32および33の間に、乾燥した導電媒質前駆体34が置かれている。
【0045】
存在するときには、乾燥した導電媒質前駆体は、様々な異なる種類の組成であってもよい。注目すべき組成は、限定されることなしにナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオンおよびカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのような、生理学的に許容できる電解質の塩を含むが、それらには限定されない。注目すべき、特に生理学的に適合性をもつ塩は、限定されることなしに、KCl、NaCl、MgCl2などを含む。本発明の様態は、乾燥した導電媒質前駆体の存在を含む。前駆体が、例えば、上述のような塩であるとき、乾燥した塩は、凍結乾燥した塩組成のような、任意の使いやすい形態であってもよい。
【0046】
図3に示される実施形態の変形が図4に図示される。図4において、識別子は、保護バリヤを含み、該保護バリヤは、乾燥した導電媒質前駆体を保持する機能を果たす。保護バリヤ35は、識別子に前駆体を保持する機能を果たすのに加えて、様々な異なる構造および機能をもつことができる。例えば、保護バリヤ35は、標的部位流体を制御性よく計って、乾燥した導電媒質前駆体34に供給する機能を果たすこともできる。図4では、電池を活性化させるために、標的部位流体のどの部分を乾燥した導電媒質前駆体34と結合させるか制御するイオン透過膜35が提供される。任意の使いやすい半透膜を用いることができる。該半透膜は、ePTFE、ダクロン(登録商標)、ポリウレタン、シリコーンゴム、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、コラーゲン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリふっ化ビニリデン(PVDF)、ナフィオンまたは他の生体適合性物質を備えることができる。膜の細孔径は、特定の構成により変化してもよく、ある実施形態において、膜は、細孔径(約250d以下を含んで約500d以下のように約1000d以下、例えば約50d以下のように約100d以下のMWカットオフ)を有する。ある実施形態において、透過膜は、水は通過して識別子の乾燥した導電媒質前駆体に到達するが、標的部位の任意の他の流体成分は通過してもごくわずかな、水のみの透過膜である。
【0047】
半透膜の代わりに、一つまたはそれ以上の流体流路を含む固体バリヤが存在してもよい。例えば、図5において、電池は、流体流路37を含む固体バリヤ36を含む。流体流路37は、任意の使いやすい寸法をもつことができるが、ある実施形態においては、流体が毛細管作用により流路を通って流れる毛細管流路である。ある実施形態において、流体流路は、独立した寸法が約1μmより大きく約1000μmより小さいマイクロスケールの断面寸法をもつ。これらの独立した断面寸法、すなわち、幅、深さまたは直径は、流体流路またはチャンネルの特質に依存して、約10から150μmのように、および約20から100μmを含んで約1から200μmに及んでもよく、全内断面積は、約200から25,000μm2のように約100から40,000μm2に及んでもよい。チャンネルの内断面形状は、大幅に変わってもよい。形状は、制限されることなしに、長方形、正方形、菱形、三角形またはV字形、D字形、U字形、円形、半円形、楕円形など、を含む。図5に示すような流体流路は、まっすぐであるが、流路は、所望されるとおりに、屈曲(bend)または折り返し(turn)を含んでも曲線(curvilinear)であってもよく、もちろん、様々な異なる形状をもつことができる。開示が参照によりここに組み込まれる、米国特許第6,939,451号、第6,838,156号、第6,730,206号、第6,623,860号、第6,613,525号、第6,306,273号、第6,284,113号、第6,176,962号、第6,103,199号、第6,056,860号、第6,054,034号、第5,935,401号、第5,858,118号、第7,069,952号、第7,033,474号、第6,857,449号、第6,841,193号、第6,660,367号、第6,551,836号、第6,517,234号、第6,509,085号に記載されるが、それらには限定されない「ラボオンチップ(lab on a chip)」技術など、任意の使いやすい製造技術を用いることができる。
【0048】
ある実施形態において、流路の表面は、所望の流路特性を提供するために修飾されることができる。例えば、流路の一つまたはそれ以上の表面の表面エネルギーを、毛細管を通る流体の流れを促進するために修正してもよい。例えば、表面がより親水性になるように、流路の表面エネルギーの一つまたはそれ以上の表面を増加させてもよい。様々な異なる表面エネルギー修正プロトコルを用いることができ、バリヤの特定の組成および所望の表面エネルギー特性に依存して特定のプロトコルを選んでもよい。例えば、所与の表面の表面エネルギーを増やしたければ、表面にプラズマ処理を施してもよく、例えば、米国特許第5,948,227号および第6,042,710号に記載される表面エネルギー修正ポリマー溶液のような、表面エネルギー修正剤と接触させてもよく、それらの各々はいかなる目的に対してもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
ある実施形態において、バリヤは、単独で、または担体上に存在することのできる乾燥した導電媒質前駆体と結合されたときに、所定の仕方で識別子を活性化させるのに十分な導電性を有する、流体と接触すると破れるバリヤであってもよい。例えば、図6は、所定の基準、例えば、導電性、pHなど、を満たす流体と接触すると、(例えば、分解により)破れて、乾燥した導電媒質前駆体34が流体に露出され、それにより電池が活性化される、バリヤ38が存在する実施形態を示す。
【0050】
図6は、かかるバリヤが乾燥した前駆体と共存することを示すが、乾燥した前駆体が存在する必要はない。例えば、図7は、乾燥した導電媒質前駆体が存在しない実施形態を示す。この実施形態においては、保護層38が電極32および33、並びに基板50を保護する。所定の基準、例えば、導電性、pHなどを満たす流体と接触すると、保護層38が(例えば分解により)破れて、乾燥した電極32および33が流体に露出され、それにより電池が活性化される。
【0051】
図7に示された実施形態の変形が、図8に示される。図8において、バリヤ38’は、時間制御された分解組成、すなわち、流体と接触すると、時間に依存する仕方で分解する組成であり、目標とすべき流体中における所与の物質の分解時間は、予め決まっており、流体と接触する前に知られている。ある実施形態において、この組成は、時間制御放出される医薬組成物に用いられるポリマー組成のような、ポリマー組成である。用いることのできる注目すべきポリマー組成は、限定されることなしに、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどのようなビニルポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのようなセルロース系ポリマー;メタクリル酸共重合体、アクリル酸エチル‐メタクリル酸メチル共重合体などのようなアクリル系ポリマーおよび共重合体;グアーガム、アラビアゴム、キサンタンゴムなどのような天然または合成ゴム;ゼラチン、ペクチンなどのようなタンパク質または炭水化物、およびそれらの混合物)、並びに、ポリマーのコーティング粒子(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのようなセルロース系ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどのようなビニルポリマー;アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸エチル‐メタクリル酸メチル共重合体などのようなアクリル系ポリマーおよび共重合体など;およびそれらの混合物)で構成され、(その開示が参照によりここに組み込まれる)米国特許第6,190,692号に記載される組成などのような、(厚さにより分解が時間制御される)水膨潤性の組成を含む。
【0052】
付記すべきこととして、図8の実施形態に例示される時間遅れの構成では、バリヤ、例えば、膜は、電極とそれらの隙間との両方を被覆する必要はない。ある実施形態において、電池は、両電極が活性化されなければ放電しないので、ただ一つの電極だけが被覆され、その後活性化される。かくして、ある実施形態において、分解して取れると活性化に至る物質の「パッチ(patch)」を用いて、唯一つの電極が被覆される。
【0053】
以上の考察を図1〜8と組み合わせると、本主題の識別子の制御活性化要素に関する、いくつかの限定されない実施形態の詳細が提供される。上述のように、制御活性化要素は、単一の構成部分、例えば、バリヤ、乾燥した導電媒質などを含んでもよく、または(例えば、制御活性化要素は、バリヤと乾燥した導電媒質の両方が含まれ、)識別子に制御活性化の機能性を与えるために協力する二つまたはそれ以上の構成部分からなる、複合制御活性化要素であってもよい。ある実施形態において、上述の様々な制御活性化メカニズムを組み合わせて、カスケード式または多構成部分の活性化を達成することもできる。例えば、堆積または別のやり方で数種類の膜を識別子上に設けることができ、または膜ベースの活性化を、カプセスベースの活性化、および塩ベースの活性化と組み合わせることもできる。かかる仕組みの例は、限定されることなしに、以下のものを含む。
【0054】
一実施形態においては、幾層かの膜が識別子上に存在し、第1層は、加工処理/保存の間に識別子を保護し、第2層は、目標とするpHに達したときに分解し、第3層は、塩を放出して、最終的にデバイスが活性化されて信号が伝送される。この種類のアプローチの利点は、偶発的で時期尚早な活性化に対する付加的な予防およびマージンを含む。デバイスは、すべての活性化事象が生じた時点にだけ活性化されることができる。多層膜のまた別の利用法は、複数の条件に特定の順序で遭遇した後にのみ識別子が活性化されるという理由から、焼き戻し防止メカニズムとして用いることであり、それにより、単一流体への浸漬または飲み込まずに口内に保持されることで、不正にデバイスを活性化することが困難または不可能になる。
【0055】
また別の例は、識別子の活性化に用いられる表面、例えば、電極、の異なる部分に堆積された、活性化に用いられる膜の複数のパッチである。例えば、識別子が胃に到達した時点で識別子により信号が伝送され、次に腸に到達したときに再び伝送され、結腸に到達したときに再度伝送されるなどできるように、識別子の電池は、マイクロパターンにされる、すなわち、GI管の異なる部分で活性化される数パッチの微細パターン化された膜で被覆される。この構成は、同じ識別子が、GI管の異なる部分の通過のような、複数の事象を検出することを可能にする。
【0056】
組み合わされた活性化のまた別の利用法は、組み合わされた事象の検出、例えば、患者が、識別子を、ある種類の食物、飲料または他の薬物とともに摂取したときの検出、のための識別子である。これは、薬物との相互作用の検出、または、薬物とともに摂取してはいけないことになっているものを摂取した患者の検出を可能にする。
【0057】
ある実施形態のまた別の利用法は、GI管における異なる条件によって異なる信号を伝送することである。識別子は、識別子の活性化に加えて、GI管の状態に関する情報を与えられるように、異なるメカニズムを通じて活性化される二つの個別の伝送要素で構築することができる。例えば、一方の要素は低pH状態により、他方は高pH状態により活性化される。
【0058】
本発明の識別子は、もし摂取された際にキャリアが適切に分解されなければ、識別子の機能性を妨げる可能性のあるキャリア組成と結びつけられることもある。例えば、典型的なゲルカプセル(例えば、カプスゲル(Capsugel),ピーパック,ニュージャージー州が製造)は、水溶液中で、デバイスの物理的(例えば、温度)および化学的環境に強く依存する仕方で分解する。複数の条件のある組み合わせのもとでは、ゲル残渣は一部だけが分解し、カプセルに結びつけられた識別子の表面上に未分解または凝固層、或いは残渣を残すことがある。このように残った残渣は、デバイスの活性化を完全に妨げるかまたは信号強度を低下させる可能性がある。識別子がゲルカプセス製剤または類似のキャリア構造と結びつけられるように構成される場合、ある実施形態において、制御活性化要素は、所望の活性化時間または化学的および/または物理的環境に達したときにゲルカプセルのようなキャリアからの残渣によってデバイスが妨害されないことを保証する、設計がなされた制御活性化要素である。デバイスの機能を妨げることから残った残渣を与えるために設計された一つの構成は、部分的に分解されたゲル残渣が付着するようにデバイス表面上に堆積された可溶性の膜を含む。摂取されると、この膜は、次に計時的にまたは化学的に敏感な仕方で分解され、ゲルのないデバイス表面が残される。また別のやり方では、部分的に分解したゲル残渣が粉末または粒に付着するような吸収剤(例えば、粉末または粒状)がゲルカプセルに加えられる。粉末は、次にデバイスから落ちて離れる。例として、澱粉、糖類、塩、またはタンパク質のような、任意の食べられる粉末または粒を含むことができる。また別の構成において、ゲルカプセルに加えられる材料は、湿ると著しく膨潤し、その結果ゲルカプセルは破裂し、デバイスが放出される。例として、崩壊剤(いわゆるスーパー崩壊剤)および分解助剤の医薬添加剤のような、膨潤性ポリマー基質が含まれる。例は、Ac‐Di‐Sol(FMCが製造)およびカルボキシメチルセルロース並びに関連する化合物である。さらにまた別の実施形態において、分解すると発熱する材料がゲルカプセルに加えられる。ゲルカプセルの分解は、熱にたいへん敏感である。ある塩は、水中で発熱分解反応を生じる。かかる塩を、濡れると局所的な温度が数℃(例えば、1から5℃を含んで1から10℃のように、0.1から20℃)上昇するのに十分な熱が発生するように、カプセルに加えるかまたはデバイスの表面上に堆積することができる。これらの塩の例は:ZnC2、BaCl2、MgCl2である。さらにまた別の実施形態では(図12に示すように)、ばねのような特性をもつポリマー物質(例えば、エチルセルロース)の細片またはシート120が、ゲルカプセル122内に含められる。細片は、折り畳まれるかまたは巻かれ、端部が水溶性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)124で束縛される。細片内には識別子126が存在する。(矢印で示すように)濡れると、水溶性ポリマー124が分解してなくなり、細片120またはシートは、ゲルカプセル122を勢いよく開くのに十分な機械力で展開されて、デバイス126をカプセルから解き放つことが可能になる。
【0059】
例えば、上述のような、膜または層を含む制御活性化要素において、膜または層は、デバイスの一方の表面またはその一部上に存在することもでき(例えば、デバイスの活性表面、またはその上に存在する電極要素だけを被っていてもよい)、または、デバイスが膜または層にケーシングまたはカプセル化されるように、デバイスの全表面を被ってもよい。ある実施形態において、識別子デバイスは、化学的/物理的環境および/または時間に応じて分解するポリマーペレット内にカプセル状に完全に包まれる。結果的に得られたペレットは、ゲルキャップの内部に置かれるかまたは錠剤内に押し込まれるが、錠剤つくりに用いられる大きな圧縮力によって発生する損傷から識別子を保護することも行う。
【0060】
膜バリヤは、識別子の活性化制御を可能にする機能性の観点から先に考察がなされた。この機能に加えて、またはその代わりに、加工処理、取扱い、ボトル詰め、保存の間における識別子への機械的損傷(例えば、ICまたは電池層への損傷)を防ぐように構成された膜バリヤが存在してもよい。例えば、本デバイスは、ある実施形態において、加工処理ステップ(例えば、電池が濡れるかもしれないとき)または保存(例えば、大気からの吸湿を通じて)の間に、活性化、或いはデバイス性能または寿命の劣化を防ぐ膜を含む。例えば、低pH溶液においてのみ分解する膜が、ある事例において、高pHの水性環境における加工処理の間デバイスを保護するために用いられる。ある実施形態において、(例えば、複数のデバイスが同じゲルカプセル内または一つのボトル内に置かれたとき)デバイス‐デバイス間の接触を防ぐための膜が存在する。
【0061】
また別の種類の制御活性化識別子は、識別子がからだから排出された際にのみ活性化されるように構成されたものである。例えば、この識別子は、GI管を通過する間は影響を受けずに原形を保つバリヤ層で(部分的にまたは全体が)被われることができる。識別子がGI管から排出されると、バリヤは、排せつ物除去装置、例えば、トイレ、に存在する水と接触したときに分解されることができる。例えば、バリヤは、トイレ水に存在する化学物質に敏感であってもよい。バリヤが分解したときに水が識別子を活性化して信号が発せられ、該信号は、センサ、例えば、トイレに繋がったセンサにより拾い上げられることができる。不当な変更を防ぐために、第2の要素がGI管によって破られ、第1のバリヤがトイレ水によって破られたときにのみ活性化が生じる、GI管によって破られる第2の制御活性化要素を含むこともできる。
【0062】
識別子は、任意の使いやすい加工処理技術を用いて作製することができ、例えば、MEMS製造に用いられるようなプレーナプロセス技術を、乾燥した導電媒質前駆体を提供するための、沈澱のような、堆積技術と一緒に用いることができる。
【0063】
本主題の活性化が制御された電池は、多くの異なる方法で製造することができる。以下により詳細に展開されるように、ある実施形態においては、「プレーナ」プロセス・プロトコルとして分類することのできる製造プロトコルが用いられる。
【0064】
電池が活性化された後に、信号発生部分を活性化するために、さらなる活性化の構成を採用することができる。例えば、信号発生部分は、CMOSスイッチのような、金属酸化膜半導体(MOS)回路のゲート駆動を通じて活性化されることができる。MOS回路のゲート駆動は、限定されることなしに、ゲート電流、ゲート電荷、およびゲート容量を含む、一つまたはそれ以上のパラメータに基づいてもよい。活性化を目的としたゲート電流は、周囲の体液または組織の導電性の関数であり得る。かかる導電性は、限定されることなしに、さらに溶液の濃度、溶液のpH値、溶液のイオン含有量、溶液の酵素含有量、温度、およびキャリア移動度を含む、一つまたはそれ以上のパラメータの関数であり得る。キャリア移動度は、温度の関数でもあり得る。同様に、ゲート電荷は、限定されることなしに、溶液組成、電位、重力ポテンシャル、ゲート容量、およびキャリア濃度を含む、一つまたはそれ以上のパラメータの関数であり得る。キャリア濃度は、温度の関数でもあり得る。ゲート容量は、容量に係るゲート形状の関数であり得るが、さらに圧力、共振入力、またはゲートに結合された誘電物質の特性の関数でもあり得る。誘電物質の特性は、限定されることなしに、消化管の化学物質含有量、生理学的な位置の化学的特性、および体液における誘電物質の分解量を含む、一つまたはそれ以上のパラメータにより変動し得る。
【0065】
信号発生部分
識別子要素の信号発生部分は、制御活性化部分により活性化されると、例えば以下により詳細に記載されるように、例えば、受信器により受信することのできる、検出可能な信号を発する構造である。ある実施形態の信号発生部分は、活性化部分により活性化されると、検出可能な信号を生成すること、および/または変換された送信電力を変調することができる任意の使いやすいデバイスとすることができる。注目すべき検出可能な信号は、限定されることなしに、導電性信号、音響信号などを含む。先に概観したように、信号発生器が発する信号は、一般的または一意的な信号であってもよく、注目すべき代表的な信号の種類は、限定されることなしに、周波数偏移コード化信号、振幅変調信号、周波数変調信号などを含む。
【0066】
ある実施形態において、信号発生要素は、以下により詳細に展開されるように、信号を生成するまたは発生させる回路を含む。選ばれる回路の種類は、少なくとも一部、識別子の電源により供給される駆動電力に依存してもよい。例えば、駆動電力が1.2ボルト以上の場合、標準CMOS回路を用いることができる。駆動電力が約0.7から約1.2Vに及ぶ他の実施形態においては、サブスレッショルド回路設計が採用されるとよい。0.7V以下の駆動電力に対しては、ゼロ閾値トランジスターに関する設計が用いられるとよい。
【0067】
ある実施形態において、信号発生部分は、活性化部分による活性化に応じて、デジタルクロック信号を発生することができる電圧制御発振器(VCO)を含む。VCOは、アドレスが割り当てられており制御電圧を用いてVCOを制御できる、デジタル回路により制御することができる。このデジタル制御回路は、活性化部分および発振器を含むチップに内蔵されることができる。アドレスをコード化するために振幅変調または位相偏移キーイングを用いて、識別信号が伝送される。
【0068】
信号発生部分は、以下により詳細に吟味されるように、患者の内部または外部にあってもよい離れた受信器に、発生した信号を伝送する機能を果たす個別の伝送器部分を含む。伝送器部分は、存在するときには、例えば、発生して送り出される信号の種類により、多くの異なる構成をとることができる。ある実施形態において、伝送器部分は、一つまたはそれ以上の電極で構成される。ある実施形態において、伝送器部分は、例えば、アンテナ(単数または複数)のかたちの、一つまたはそれ以上のワイヤーで構成される。ある実施形態において、伝送器部分は、一つまたはそれ以上のコイルで構成される。かくして、信号伝送器は、様々な異なる伝送器、例えば、電極、アンテナ(例えば、ワイヤー状)コイルなどを含んでもよい。ある実施形態において、信号は、一つまたは二つの電極、或いは一つまたは二つのワイヤーのいずれかにより伝送される。二電極の伝送器はダイポールであり、一電極の伝送器はモノポールを成す。ある実施形態において、伝送器ユニットは一つのダイオード電圧降下分の電力しか必要としない。いくつかの実施形態において、伝送器ユニットは、信号を伝送するために、電気的ダイポールまたはモノポールのアンテナを用いる。
【0069】
図9は、本発明による識別子に用いることのできる、電子回路の実装の一つに関する詳細を示す。左側には二つの電池電極、金属1および金属2(32および33)がある。これらの金属は、(先に概観したように、単独で、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされて、標的部位流体と接触すると生成される)電解質と交渉しているとき、電池を形成して、この場合概略図として示される発振器61に電力を供給する。金属1 32は低電圧(接地)を発振器61に供給する。金属2 33は、高電圧(Vhigh)を発振器61に供給する。発振器61は、始動するにつれて、相互に反転した、クロック信号62および反転クロック信号63を発生する。これらふたつのクロック信号は、クロックサイクル数を単にカウントしてそのカウントを多数のレジスターに蓄積する、カウンタ64に入る。ここに示される例では、8ビットカウンタが用いられる。それ故、カウンタ64の出力は、「00000000」の値で始まり、第1クロックサイクルで「00000001」に変わり、さらに「11111111」まで続く。カウンタ64の8ビット出力は、アドレスマルチプレクサ(mux)65の入力に結合される。一実施形態において、mux65は、回路中に配線接続することができる、アドレスインタープリタを含み、発振器61を制御するための制御電圧を発生する。mux65は、カウンタ64の出力を用いて、アドレスをシリアルビットストリームに再現し、それがさらに信号伝送駆動回路に入力される。mux65は、信号伝送のデューティサイクル制御にも用いることができる。一実施形態において、mux65は、カウンタ64が発生するクロックカウントを用いて、16分の1の時間だけ信号伝送をオンにする。かかる低デューティサイクルは電力を節約するとともに、他のデバイスが、電波妨害を受けずに信号を伝送することを可能にする。所与のチップのアドレスは、8ビット、16ビットまたは32ビットとすることができる。通常は、非常に多くの異なる種類の医薬があるので、8より大きいビットが製品に用いられる。各々の医薬は、独自のアドレスをもつことになる。
【0070】
本発明は、然るべき場合に、各々の医薬バッチにバッチ固有のアドレスが提供される可能性を与える。これは、丸薬がどこで製造されたか、丸薬がいつ製造されたか、さらにどのバッチで製造されたかを識別することを可能にする。ある場合には、各々の丸薬が一意的な識別子をもつことができる。これは、薬が、後で盗まれるまたは違法使用される可能性が高く、従って、追跡が必要なとき、或いは汚染の疑義が生じるかもしれない場合に、特に有用であろう。
【0071】
一実施形態によれば、mux65は、アドレスをシリアルにコード化し、発振器61の出力周波数を変えるのに用いられる、制御電圧を生成する。例として、制御電圧が低いとき、すなわち、シリアルアドレスビットが0にあるとき、1メガヘルツの信号が発振器によって発生される。制御電圧が高いとき、すなわち、アドレスビットが1のとき、2メガヘルツの信号が発振器を発生した。代わりに、これは10メガヘルツおよび20メガヘルツであってもよく、またはデバイスが位相変調に限られる場合は位相偏移キーイングのやり方であってもよい。mux65の目的は、発振器の周波数を制御すること、または発振の増幅信号に関するAC代替の実施形態である。
【0072】
mux65の出力は、二電極を駆動して溶液に差分電位を与えること、コイルを通る振動電流を駆動して磁気信号を発生させること、または一電極を駆動して溶液と電荷をやりとりすること、ができる電極駆動部66に結合される。
【0073】
このように、本デバイスは、mux65に蓄積された、アドレスを成す0と1とのシーケンスを送信する。そのアドレスは、繰り返して送信され、金属1または金属2(32および33)が溶液中に消耗かつ分解されて電池がもはや動作しなくなるまで、送信が続く。
【0074】
信号発生部分の他の構成ももちろん可能である。注目すべき他の構成は、限定されることなしに、同時係属中のPCT出願PCT/US2006/016370号に記載されるものを含み、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0075】
付加的な構成部分
特定の実施形態により、識別子は、多くの異なる付加的な構成部分を含むことができる。注目すべきいくつかの構成部分は、限定されることなしに、以下に概観されるものを含む。
【0076】
不活性化部分
望ましい場合に、識別子は、もし識別子が意図するように用いられない、例えば、それと結びつけられた組成物が摂取されない場合に、識別子を無効にする不活性化メカニズムを含むことができる。ある実施形態において、識別子は、もし誰かがそれを摂取する以外の方法でオンしようと試みた場合に、識別子が不活性化されていかなる信号も送信できないように識別子を不活性化する、不活性化メカニズムを含む。注目すべき不活性化メカニズムは、次の構成部分の一つまたはそれ以上を含んでもよい:含まれるのは、光に当った際に、識別子の一構成部分、例えば、メモリ、を破壊する感光性膜、例えば、光に当たると破れるまたは壊れる、感光性の電池材料、酸素、空気、湿度などに敏感で、それらへの露出に応じて不活性化される構成部分を含む識別子、である。識別子の不活性化は、配線のオープン、配線のショート、電池電圧の減少などを含んでもよい。
【0077】
電力エンハンサ
ある実施形態において、活性化因子が、生理学的な標的部位と接触するとオンになる電源である場合、例えば、電荷ポンピング回路、電荷ダブラなど、電源、例えば電池、の電圧出力を高めるまたは押し上げるための回路が提供される。かかる電圧エンハンサ要素は、電圧出力を約2倍以上、例えば、約5倍以上高めることができる。
【0078】
電力貯蔵
ある実施形態において、活性化部分は、電力貯蔵要素を含む。例えば、電池がゆっくり生成する電力が、電力貯蔵要素、例えばキャパシタ、に貯蔵され、その後、信号発生部分に投入される電力バーストとして提供される、例えば、デューティサイクル構成を用いることができる。ある実施形態において、活性化部分は、例えば、異なる組成物、例えば、実質的に同じ時間に摂取される丸薬、からの信号が、異なる時間に生成され、従って区別可能となるように、例えば、遅延、信号発生要素への電力供給を変調する時間調節要素を含む。
【0079】
付加的な特徴
ある実施形態において、組成物は、次の特徴の一つまたはそれ以上を有することにより特徴づけられる。ある実施形態において、組成物は、からだそのものが導電媒質として用いられる、通信の導電性近接場モードを用いる識別子を含む。かかる実施形態において、組成物は回路を含み、該回路は、組成物が(例えば、上述のように)破れて組成物から解放されたときにからだと直接に接触することになり、カプセルに包まれたまたは何らかの仕方で保護された状態には留まらない。これらの実施形態において、信号は、磁気信号または高周波信号ではない。ある実施形態において、システムは、からだと安定に結合されない外部デバイスがデータ収集に用いられるシステムとは区別され、からだと安定に結合される、例えば、移植される、または体外部位に局所的に取り付けられる、受信器を含む。ある実施形態において、組成物は、撮像システム、例えば、カメラまたは他の視覚化または撮像要素、或いはそれらの構成部分、例えば、CCD素子、照明素子などを含まない。ある実施形態において、組成物は、例えば、生理学的な標的部位との接触を検出する活性化因子を超える、生理学的なパラメータをセンシングするためのセンシング素子を含まない。ある実施形態において、組成物は、推進要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、流体回収要素のようなサンプリング要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、送達要素に活性薬剤を放出させる信号を受信するまで活性薬剤を組成物に保持する要素のような、作動可能な活性薬剤送達要素を含まない。
【0080】
活性薬剤部分
本主題の組成物のある実施形態は、活性薬剤部分を含む。「活性薬剤」は、生体、例えば、ヒトのような哺乳類と接触した際に、生理学的な効果、例えば、有益または有用な効果をもたらす任意の化合物または化合物を混合したものを含む。活性薬剤は、賦形剤、キャリア、希釈剤、潤滑剤、結合剤および他の剤形助剤、並びにカプセル化さもなければ他の保護成分、のような構成部分からは区別される。活性薬剤は、生体内における生物学的な過程を調節することのできる、任意の分子、並びにその結合部分またはフラグメントである。ある実施形態において、活性薬剤は、病気の診断、治療、または予防において、または薬物の構成部分として、用いられる物質とすることができる。ある実施形態において、活性薬剤は、中枢神経系に作用して挙動の変化をもたらす、麻酔薬または幻覚剤のような、化学物質であってもよい。注目すべき活性薬剤は、そのリストの開示が参照によりここに組み込まれる、PCT出願PCT/US2006/016370号にリストされるものを含む。注目すべき広範な分類の活性薬剤は、限定されることなしに、心血管作動薬;痛み止め、例えば、鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症薬など;神経作用薬;化学療法(例えば、抗悪性腫瘍)薬;などを含む。組成物の活性薬剤は、通常は、例えば、以下に記載されるような、医薬として許容される賦形剤またはキャリア内に存在する。ある実施形態において、活性薬剤は、活性化合物の0.1重量%から約90重量%、例えば、約1重量%から約30重量%の量で存在する。
【0081】
医薬として許容されるキャリア
望ましい場合に、本発明の組成物は、医薬として許容される賦形剤(すなわちキャリア)を含むことができる。共通のキャリアおよび添加剤、例えば、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸が注目される。本発明の製剤に共通に用いられる崩壊剤は、クロスカルメローセ、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸でん粉ナトリウムおよびアルギン酸を含む。
【0082】
溶液組成は、懸濁化剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、香味剤または着色剤を含む、適切な液体キャリア(単数または複数)、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールのような非水溶媒、オイルまたは水、中の化合物、または医薬として許容される塩の懸濁液または溶液を備えることができる。代わりに、液体に戻せる粉末から液剤を調製することもできる。例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロース、および甘味料を含む粉末を水に戻して懸濁液を形成することができ、活性成分、スクロースおよび甘味料を含む粉末からシロップを調製することもできる。
【0083】
錠剤または丸薬のかたちの組成物は、固体組成物を調製するために日常的に用いられる
任意の適切な医薬キャリア(単数または複数)を用いて調製することができる。かかるキャリアの例は、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロースおよび結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンを含む。錠剤は、着色コーティング、またはキャリア(単数または複数)の一部として含まれる色をつけることもできる。加えて、活性化合物は、親水性または疎水性の基質を備える錠剤として、放出が制御された剤形に製薬されることができる。
【0084】
「放出が制御された」、「放出が持続する」、および同様の用語は、活性薬剤が、適用または摂取されるとすぐに分散されるよりむしろ、ある時間にわたって確認および制御が可能な速度で送達用賦形剤から放出されるときに起こる、活性薬剤送達モードを示すために用いられる。制御されたまたは持続する放出は、数時間、数日または数か月に及んでもよく、多くの要因に応じて変化してもよい。本発明の医薬組成物に関して、放出速度は、選択された添加剤の種類および組成物中における添加剤の濃度に依存することになる。放出速度のまた別の決定要因は、ポリオルトエステルユニットの相互間および内部における加水分解速度である。加水分解速度は、ポリオルトエステルの組成およびポリオルトエステルにおける加水分解性結合の数に次には依存し得る。医薬組成物から活性薬剤が放出される速度を決める他の要因は、粒子サイズ、媒質の酸性度(基質の内外いずれも)および基質中の活性薬剤の物理的および化学的特性を含む。
【0085】
かくして、任意の放出が制御された構造(例えば、胃保持型製剤、腸用製剤、徐放型製剤、結腸用製剤)内に活性な医薬を置くことができる。このようにして、識別子は、活性成分が放出されるのと同時に活性になる。さらに、一つより多い識別子、例えば、それらの一つは制御された放出の開始時点で活性化され、二番目は途中または最後に活性化される、二つの識別子を、放出が制御された構造に組み込むことができる。
【0086】
カプセルのかたちの組成物は、日常的なカプセル化の手順を用いて、例えば、活性化合物と添加剤とを固いゼラチンカプセルに組み込むことにより、調製することができる。代わりに、活性化合物の半固体の基質および高分子量のポリエチレンを調製し、固いゼラチンカプセルに充填することもでき、または、活性化合物の入ったポリエチレングリコール溶液または食用油、例えば、流動パラフィンまたはヤシ油の懸濁液を調製して、柔らかいゼラチンカプセルに充填することもできる。
【0087】
錠剤の結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、澱粉およびエチルセルロース、を含むことができる。使用できる潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、ワックス、油およびコロイド状シリカを含むことができる。
【0088】
ペパーミント、冬緑油、サクランボ香味料などのような香味剤も用いることができる。加えて、剤形をより目を引くものにする或いは製品を見分けるのに役立てるために、着色剤を加えることが望ましいことがある。
【0089】
本発明の製剤に用いることが適切な他の構成部分は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)」に見出される。
【0090】
識別子の製造
注目すべきある実施形態において、識別子要素は、半導体支持体部分を含む。識別子構造およびその構成部分を生産するのに、任意の様々な異なるプロトコルを用いることができる。例えば、成形、堆積および物質除去、例えば、表面マイクロマシニングおよびバルクマイクロマシニング技術を含む微小電気機械システム(MEMS)製造技術のような、プレーナプロセス技術を用いることができる。構造を製造することに関するある実施形態に用いられ得る堆積技術は、限定されることなしに、電気めっき、カソードアーク堆積、プラズマスプレー、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理気相堆積、化学気相堆積、プラズマ化学気相堆積などを含む。物質除去技術は、限定されることなしに、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば化学機械研磨を通じた平坦化、レーザーアブレーション、放電加工(EDM)などを含んだ。リソグラフィ・プロトコルも同様に注目される。ある実施形態において注目されるのは、様々な異なる物質の除去および堆積のプロトコルを順次的に基板に適用して、初めは平坦な基板の単数または複数の表面に構造が組み立てられるおよび/または除去される、プレーナプロセス・プロトコルの利用である。説明に役立つ注目すべき製造方法は、「創薬インフォマティクスシステム」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開第2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号により詳細に記載されており、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0091】
組成物の作製方法
本発明による組成物を生成するために、様々な製作プロトコルを用いることができる。本主題の組成物を製作するに当たって、信号発生要素は、キャリア部分、例えば、投薬部分と何らかの仕方で安定に結合される。安定に結合されるとは、信号発生要素と剤形とが、例えば、摂取により、必要とされる対象に少なくとも投与されるまで、相互に分離しないことを意味する。信号発生要素は、組成物の医薬キャリア/活性薬剤部分と、多くの異なる方法で安定に結合されることができる。ある実施形態において、キャリア/活性薬剤組成物が錠剤または丸薬のような固体構造の場合、信号発生要素に空洞を提供する仕方でキャリア/活性薬剤部分が生成される。信号発生要素は、次に空洞内に置かれ、空洞が、例えば、生体適合性材料で、塞がれて最終的な組成物が生成される。例えば、ある実施形態において、結果的には圧縮錠中で空洞になる、凹凸形状が含まれたチップをもつ錠剤が生成される。信号発生要素は、空洞内に置かれ、空洞が塞がれて最終的な錠剤が生成される。この実施形態の変形において、錠剤は、例えば、棒状または他の使いやすい形状の、取り外し可能な要素を含んで圧縮される。取り外し可能な要素は、その後取り外されて、錠剤中に空洞が生成される。信号発生要素は、空洞内に置かれ、空洞が塞がれて最終的な錠剤が生成される。この実施形態のまた別の変形において、いかなる空洞もない錠剤が初めに生成され、その後、例えばレーザー穴あけにより、錠剤中に空洞が生成される。信号発生要素は空洞内に置かれ、空洞が塞がれて錠剤が生成される。錠剤に関するさらに他の実施形態においては、(例えば、図11に示されるような)オープン・フェース(open face)の医薬キャリア/活性薬剤の錠剤構成が採用され、活性薬剤/キャリアは、円い隙間を含む環状の錠剤型に初めから調製される。例えば、図11に示される実施形態において、二つの開いた環状型の医薬組成物111および113が、例えば、加圧成形、または他の使いやすい製造プロトコルにより調整される。識別子115も示されている。環状の錠剤111および113を製造した後に、識別子が図示されるように隙間に配置される。残った隙間117および119は、次に(図示されない)上述の活性化用の膜のいずれかで充填または被覆される。さらに他の実施形態において、錠剤は、信号発生要素を錠剤の副部品と結合されるにより生成され、該副部品は予め作られた副部品であってもよく、順次生産されてもよい。例えば、ある実施形態において、錠剤は、初めに錠剤の下半分がつくられ、錠剤の下半分の位置に信号発生要素が置かれ、その後、下半分および信号発生要素の上に錠剤の上の部分が置かれて、最終的な所望の組成物が生成される。ある実施形態において、錠剤は、つくられた錠剤の内部に信号発生要素が位置するように、信号発生要素を囲んで生成される。例えば、信号発生要素は、生体適合性対応物質、例えば、(信号発生要素を保護するための)ゼラチンのカプセル、に包まれていてもいなくてもよいが、錠剤内部に信号発生要素が位置する仕方で、キャリア/活性薬剤前駆体、例えば粉末、と結合されて、錠剤に圧縮または成形される。成形または圧縮の代わりに、ある実施形態においては、錠剤構造を作り上げる仕方で、キャリア/活性薬剤を信号発生要素上に噴霧してもよい。さらにまた別の実施形態において、錠剤構造に組み上がる仕方で、活性薬剤/キャリア前駆体部分を信号発生要素にスプレーしてもよい。さらにまた別の実施形態では、活性薬剤/キャリア部分の前駆体は、信号発生要素と混ざった液剤であり、次に固化されて、最終的な組成物が生成されてもよい。さらに他の実施形態では、予めつくられた錠剤に信号発生要素を安定に付着させることにより、錠剤に信号発生要素を取り付けてもよい。注目されるのは、例えば分解など、錠剤の特性を変化させないプロトコルである。例えば、ある実施形態では、錠剤の一端にスナップ留めるゲル化要素が用いられ、そこにチップが組み込まれる。ゲル化要素は、ある実施形態では、信号発生要素を取り付けた錠剤が容易に識別できるように、着色される。組成物が、例えば、ゼラチンカプセルが充填された構造のような、活性薬剤/キャリア組成で充填されたカプセル構造をもつ場合には、信号活性要素をカプセル部分、例えば上部または下部カプセル、と一体化し、次にカプセルに活性薬剤/キャリア組成を充填して、最終な組成物を生成してもよい。ここに吟味された製作方法は、本発明の組成物を製作することのできる様々な異なる方法をただ説明するためだけに示されたものである。
【0092】
システム
本主題の組成物を含むシステムも提供される。本主題の発明のシステムは、ある実施形態において、例えば先に概観したような、一つまたはそれ以上の制御活性化識別子、並びに、例えば受信器のかたちの、信号検出部分を含む。信号検出部分は、例えば先に概観したように、組成物の信号発生要素により発生される信号の特質に依存して大きく変わってもよい。
【0093】
ある実施形態において、信号検出部分は、移植可能な構成部分である。移植可能な構成部分の意味は、対象に、例えば半永続的または永続的に、移植するために、信号検出部分が設計、すなわち構成されることである。これらの実施形態において、信号検出部分は、使用中はインビボにある。さらに他の実施形態において、信号検出部分は、エクスビボにあり、これは検出部分が使用中に生体外にあることを意味する。これらのうちのある実施形態において、以下により詳細に記載されるように、エクスビボの検出部分と分離または一体化いずれかの状態で、例えば、検出器の信号発生要素から検出される信号に基づいて組成物の用量を分注するための、用量分注器要素が存在してもよい。かかる特徴は、例えば,前回の用量摂取に関する入力に基づいて次の用量を投与する閉ループ投与システムを提供するための、移植可能な検出部分にも存在してもよい。
【0094】
先に概観したように、ある実施形態において、組成物の信号発生要素は、標的の身体部位と接触すると活性化される。これらの実施形態のあるものでは、信号検出部分は、信号発生要素からの信号を検出すると活性化される。これらの実施形態のあるものでは、組成物は、断続的な信号を発生する。これらの実施形態のあるものでは、検出要素は、複数の組成物を同時に検出することができる。
【0095】
本発明に用いられる信号受信器は、「創薬インフィマティクスシステム」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開2006/116718号として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号、並びに一連の米国仮出願:「創薬インフォマティクスのための信号受信器」と題して2007年2月1日に出願された第60/887,780号、「摂取可能な事象マーカー」と題して2007年7月11日に出願された第60/949,223号、「パーソナルヘルス信号受信器」と題して2007年8月18日に出願された第60/956,694号にさらに記載されており、これらの開示は参照によりここに組み込まれる。
【0096】
ある実施形態において、信号検出部分は、図10のシステムに示されるような心臓モニタリング要素を含む。図10は、組成物が、丸薬またはカプセルのかたちの経口摂取可能な製剤として構成される、本発明の丸薬/カプセルの実施形態の例となる概略図を示す。組成物14を摂取する患者10の胃12が示されている。この「スマート丸薬」が、口16から患者の胃の内部18に移動するようすが示されている。胃に到達すると、丸薬/カプセルは、胃の機械的作用および、塩酸および他の消化薬のような、胃液にある様々な化学物質の両方による分解過程を経る。図10は、移植された心血管デバイス「カン(can)」8およびリード線6も示され、これらの部分は、丸薬14から発する信号をモニタおよび検出するために用いられる。モニタデバイスは、例えば、皮下に、心臓に、または胃に近い腰部になど、他の部位にも配置することができる。特定の用途により、配置をどの部位に置くか提案することができる。
【0097】
方法
本発明の制御活性化識別子は、診断およびモニタリング用途などにおいて、医薬の送達を含む、様々な異なる用途に利用法が見出される。識別子が、一つまたはそれ以上の医薬活性薬剤を含む組成物中で用いられる方法において、本発明の組成物の有効量が、組成物中に存在する活性薬剤を必要とする対象に投与されるが、「有効量」は、所望の効果、例えば、病状またはそれと関係する症状の改善、所望の生理学的変化の達成、などをもたらすのに十分な用量を意味する。投与される量は、治療上有効な量とも見做すことできる。「治療上有効な量」は、病気を治療するために対象に投与されたときに、その病気の治療に効果をもたらすのに十分な量を意味する。
【0098】
組成物は、所望の結果をもたらすことのできる任意の使いやすい手段を用いて、対象に投与されることができ、投与経路は、例えば、先に概観したように、少なくとも一部、組成物の特定の形式に依存する。先に概観したように、組成物は、限定されることなしに、錠剤、カプセル、粉末、粒、軟膏、溶液、坐薬、注射のような、固体、半固体または液体を含めて、治療のために投与される様々なかたちに剤形することができる。かくして、組成物の投与は、限定されることなしに、経口、口腔、直腸、輸液、腹腔内、経皮、気管内などの投与を含む、様々な方法で達成することができる。所与の組成物は、医薬の投薬形態で、単独に、または、例えば、安定に結合された信号発生要素も有する組成物であってもよい、他の医薬とし活性な化合物と組み合わせて、投与されることができる。
【0099】
本主題の方法は、病状を含めて、様々な異なる状態の治療に利用法が見出される。本主題の組成物によって治療が可能な特定の病状は、本主題の組成物中に存在し得る活性薬剤の種類と同じくらい多様である。それ故、病状は、限定されることなしに、心疾患、腫瘍性疾患のような細胞増殖疾患、自己免疫疾患、ホルモン異常疾患、伝染性疾患、疼痛管理などを含む。
【0100】
治療は、対象を苦める病状に係る症状を少なくとも改善することを意味し、改善は、広い意味で、治療される病的状態に関係するパラメータ、例えば症状、の大きさを少なくとも低減することを指す。かくして、治療は、病的状態、または少なくともそれに係る症状が完全に抑制される、例えば、発生が防がれる、または止められる、例えば、対象がもはや病的状態、または少なくとも病的状態を特徴づける症状、に苦しまないまでに終結される、状態も含む。従って、病気を「治療すること」または「治療」は、病気に罹りやすいかもしれないがまだその病気に罹っていない、または病気を発症していない動物の病気の発生を防ぐこと(予防的治療)、病気を抑制すること(進行を遅らせる、または止めること)、(苦痛緩和治療を含めて)病気の症状または副作用からの寛解をもたらすこと、および病気を軽減する(それにより病気を後退させる)ことを含む。本発明の目的のために、「病気」は痛みを含む。
【0101】
本発明の方法により、様々な対象の治療が可能である。一般に、かかる対象は、「哺乳動物」または「哺乳網」であり、これらの用語は、食肉目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、並びに霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、「哺乳網」の網のうちの生物を記述するのに広く用いられる。代表的な実施形態において、対象はヒトである。
【0102】
ある実施形態において、本主題の方法は、上述のように、1週間またはそれ以上、1か月またはそれ以上、6か月またはそれ以上、1年またはそれ以上、2年またはそれ以上、5年またはそれ以上などのように、例えば長期間にわたって、病状を管理する方法である。本主題の方法は、一つまたはそれ以上の付加的な病気管理プロトコル、例えば心疾患管理における、ペーシングプロトコル、心臓再同期プロトコルなどのような電気刺激に基づくプロトコル;様々な異なる病状に対する食餌および/または運動療法のような生活スタイル;などと併用して用いられてもよい。
【0103】
ある実施形態において、本方法は、組成物から得られた治療レジメンに基づくデータを変更することを含む。例えば、処方された治療レジメンの患者による遵守に関する情報を含むデータを取得することができる。このデータは、例えば、上述のセンサデバイスのような、一つまたはそれ以上のセンサを用いて得られる付加的な生理学的データの有無にかかわらず、所与の投薬療法が維持されるべきか、または、何らか、例えば投薬療法および/または移植活用法の変更により、修正されるべきか、を決定するために、例えば要望に応じて然るべき決定ツールとともに、用いることができる。かくして、本発明の方法は、治療計画が組成物(単数または複数)から得られる信号に基づいて修正される方法を含む。
【0104】
ある実施形態においては、本発明の組成物の履歴を決定する方法も提供され、該組成物は、活性薬剤、識別子要素および医薬として許容されるキャリアを含む。識別子が応答要求に応じて信号を発するある実施形態において、識別子は、例えば、ワンド(wand)または他の適切な応答要求デバイスによる、信号を得るための応答要求である。得られた信号は、次に、例えば、供給元、生産・加工・流通過程の管理など、組成物に関する履歴情報を決定するために用いられる。
【0105】
識別子が消化によって壊れない識別子であるさらに別の実施形態において、本方法は、組成物の信号発生要素を、例えば、該組成物を摂取した対象から回収することにより、入手すること、および次に、入手した信号発生要素から該組成物の履歴を決定すること、を広く含む。例えば、信号発生要素が刻印された識別子、例えばバーコードまたは他の種類の識別子、を含む場合、刻印された識別子を、組成物を摂取した対象から回収し、組成物の履歴の少なくともある様態、例えば、知られる最終的な購入者、組成物の生産・加工・流通管理における付加的な購入者、製造業者、取扱い履歴など、を読み取って確認することができる。ある実施形態において、この決定ステップは、組成物の履歴を蓄積したデータベースまた類似の編集物にアクセスすることを含んでもよい。
【0106】
本発明は、臨床医に、体内に実際に送達された医薬品の自動検出及び識別という、医療装備における重要で新しいツールを提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は、多種多様である。用途は、限定されることなしに、(1)処方された治療レジメンへの患者の遵守のモニタリング、(2)患者の遵守に基づく治療レジメンの個別調整(tailoring)、(3)臨床試験における患者の遵守のモニタリング、(4)規制物質の使用に関するモニタリング、などを含む。これらの異なる説明に役立つ用途の各々は、「創薬インフォマティクスシステム」と題して2006年4月26日に出願され、国際公開第2006/116718号として公開された国際出願PCT/US2006/16370号において以下により詳細に吟味されており、それらの開示は参照によりここに組み込まれる。
【0107】
識別子がいかなる医薬品とも別に摂取される方法も注目される。かかる方法は、識別子が、摂取可能な事象マーカーとして用いられる方法を含む。かかる方法において、識別子は、医薬活性薬剤なしに摂取される。識別子は、例えば上述の、医薬として許容される賦形剤に含まれて摂取されることができる。識別子が摂取可能な事象マーカーとして用いられる特定の用途は、限定されることなしに、「摂取可能な事象マーカー」と題して2007年7月11日に出願された米国仮出願第60/949223号に記載されるものを含み、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0108】
制御活性化識別子が活性薬剤とともに投与されず、代わりに摂取可能な事象マーカーとして用いられる特定の用途の一例は、GI管の運動性をモニタリングする用途である。かかる用途においては、摂取から小腸までの通過時間を測定するために、高pHでのみ活性化される制御活性化識別子が用いられる。この実施形態の変形では、GI管の異なる部分で活性化される複数のデバイスが用いられ、この実施形態は、GI管の様々な部分におけるデバイスの滞在時間をマッピングするために用いることができる。例えば、一事例において、三つの制御活性化識別子(それらは、同じ丸薬中または別々の丸薬中に存在してもよい)が用いられる。第1の識別子は、摂取されると直ぐ(例えば、それは胃に到達する)活性化されるように構成される。第2の制御活性化識別子は、識別子が小腸に到達するまで活性化を遅らせる、低pH‐不溶性、高pH‐溶解性コーティング(オイドラギット)を含む。第3の識別子は、結腸でのみ分解される、制御活性化要素コーティング(例えば、アミラーゼ+エチルセルロース)を含む。様々な識別子の活性化時間から、胃、小腸、および結腸までの通過時間を決定または測定することができ、対象の消化管の運動性について詳細なデータを収集することができる。
【0109】
キット
本主題の方法を実施するためのキットも提供される。キットは、上述のように、本発明の一つまたはそれ以上の組成物を含むことができる。キットに提供される一つまたはそれ以上の医薬品の投与量は、単一使用または複数使用に十分な量であってもよい。従って、本主題のキットのある実施形態では、医薬品の単一投与量が存在し、ある他の実施形態では、医薬品の複数投与量が存在してもよい。薬理作用物質の複数投与量をもつ実施形態において、それらは、単一の容器、例えば、単一チューブ、ボトル、バイアル(vial)などに詰めてもよく、または、一つまたはそれ以上の投与量を、あるキットが一つの薬理作用物質の一つより多い容器をもつように、個別に詰めてもよい。一つまたはそれ以上の薬理作用物質を対象に届ける適切な方法も、主題のキット中に提供される。先に概観したように、ある実施形態において、キットは信号受信要素も含んでもよい。ある実施形態において、キットは、例えば、上述のように、組成物の用法に関して得られるデータの取得および処理が行われる、離れた場所、例えば、医院、中央施設などとの通信を可能にする、外部モニタデバイスも含むことができる。
【0110】
本主題のキットは、キットの構成部分を用いて本主題の方法をいかに実施するかに関するインストラクションも含むことができる。このインストラクションは、適切な記録媒体または下地に記録することができる。例えば、紙またはプラスチックなどのような下地にインストラクションを印刷してもよい。かくして、インストラクションは、キットまたはその構成部分などの容器に(すなわち、パッケージ化またはサブパッケージ化に付随して)ラベル付した添付文書として、キットに存在してもよい。他の実施形態において、インストラクションは、適切なコンピュータ可読の記憶媒体、例えば、CD‐ROM,ディスケットなどに存在する電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態においては、キット中に実際のインストラクションは存在しないが、インストラクションを離れた情報源から、例えばインターネット経由で、取得するための手段が提供される。この実施形態の一例は、インストラクションが見られる、および/またはインストラクションをダウンロードできる、ウェッブアドレスを含むキットである。インストラクションと同様に、インストラクションを取得するこの手段も適切な下地に記録することができる。
【0111】
本主題のキットのいくつかまたはすべての構成部分は、無菌状態を維持するために、適切なパッケージに詰めるとよい。本主題のキットの多くの実施形態において、キットの構成部分は、単一で取扱いが容易なユニットにするためにキット収納要素に詰められるが、キット収納要素、例えば、箱または同様の構造は、例えば、キットのいくつかまたはすべての構成部分の無菌状態をさらに保つための機密な入れ物であってもなくてもよい。
【0112】
本発明は、記載される特定の実施形態には限定されず、かくして変更されてもよいことが理解されるべきである。さらに、ここに用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、限定的となることは意図されていない。なぜなら、本発明の範囲は、添付される請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0113】
値の範囲が提示されるところでは、その範囲の上限と下限との間に介在する各々の値、文脈が明確に別なことを指示しなければ、下限を単位としてその10分の1までの値、およびその指定範囲における任意の他の指定値または介在する値が本発明に包含されると理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、独立にそのより狭い範囲に含めてもよく、指定範囲において具体的に除外される限界を前提として、本発明に包含される。指定範囲が、限界の一方または両方を含む場合は、それらの含まれる限界の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0114】
他に定義されなければ、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味をもつ。ここに記載されるものと類似するかまたは同等の任意の方法および材料も、本発明を実施または試験するために用いることができるが、代表的で説明に役立つ方法および材料がここに記載される。
【0115】
本明細書に引用されるすべての出版物および特許は、あたかも各個別の出版物または特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されて参照により組み込まれるように、出版物が関連して引用される方法および/または材料を開示かつ記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる出版物の引用も、本出願日に先立つ公開に関するものであり、本発明が、従来発明のためにかかる公開に先行する資格がないことを認めると解釈されるべきではない。さらに、示されている公開日が実際の公開日とは異なることもあり、個別に確認する必要もあり得る。
【0116】
付記すべきこととして、本明細書および添付される特許請求の範囲に用いられる、単数形「一つの(a)」、「1つの(an)」および「該(the)」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。さらに付記すべきこととして、特許請求の範囲は、任意の随意的な要素を除外するように記載されることができる。かくして、この記述は、「単に(solely)」、「だけ(only)」のような排他的用語を請求項の要素の列挙に関連して用いる、または「否定的」限定を用いるための先行詞として役立てることを意図するものである。
【0117】
本開示を読んだ際に当業者に明らかになるように、ここに記載および図示される個別の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に任意の他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離、またはそれらと組み合わせできる個別的な構成要素および特徴を有する。列挙されるいずれの方法も、列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0118】
上述の発明は、理解を明確にする目的で図解および実例によりいくらか詳細に記載されているが、添付される特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対していくつかの変更および修正がなされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者にはすぐにわかることである。
【0119】
従って、先に記載されたことは、本発明の原理を単に示したに過ぎない。当然のことながら、当業者は、本明細書に明確に記載または明示されていなくても、本発明の原理を具体化しかつその精神および範囲内に含まれる、様々な組み立てを工夫できるであろう。さらに、ここに列挙されるすべての例および条件を示す言語は、本発明の原理、および技術を促進するために発明者が提供した概念を、読み手が理解する助けとなることを主に意図しており、かかる具体的に列挙された例および条件には限定されないことが解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、様態および実施形態、ならびにその具体例を列挙する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物を包含する意図をもつ。加えて、かかる等価物は、現在知られている等価物、および将来的に開発される等価物、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実行する任意の開発される要素の両方を含む。本発明の範囲は、それ故に、本明細書に明示かつ記載される例となる実施形態に限定される意図をもたない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付される特許請求の範囲により具体化される。
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
米国特許法§119(e)にしたがって、この出願は、2006年10月25日に出願された、米国仮特許出願第60/862,925号(この出願の開示は、参考として本明細書に援用される)の出願日への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
導入
処方薬は、患者が適切に、例えばインストラクションに従って、飲めば、有効な治療薬となる。しかし、諸研究によると、平均して患者の約50%が処方薬療法を遵守していないことがわかった。投薬療法の遵守率が低いために、結果的に毎年多数の人が入院したり介護施設へ入所したりしている。最近実施された試算によれば、患者の非遵守が原因となって生じるコストは、米国だけでも毎年1000億ドルに達している。
【0003】
その結果、患者の健康改善を目的として、処方された療法を患者が遵守するように改善するための様々な方法および装置が市販されるようになった。今日まで、多くの異なる種類の「スマート」パッケージ化デバイスが開発されてきた。かかるデバイスとしては、然るべき丸薬(pill)を自動的に分包するものがある。丸薬が箱から取り出されるときに、検出および記録を行う電子制御機器も存在する。
【0004】
患者の遵守を改善するために、デバイスおよびプロトコルが開発されてきたが、患者の遵守をモニタする新しい方法の開発には、絶えず関心が持たれている。胃のなかで溶けていく丸薬のような医薬品の実際の投与および摂取を、患者または医療スタッフの報告に頼らずに、組成物中に存在する識別子が発生する信号が組成物と標的部位との接触時に生成されるような、自動的かつ正確な仕方でモニタできれば、臨床医学における重要な進歩となるであろう。
【0005】
上述のニーズに応える一つのシステムは、2006年4月28日に出願されて特許文献1として公開された、PCT出願PCT/US2006/16370号に記載される創薬インフォマティクス(pharma‐informatics)システムであり、その開示は参照によりここに組み込まれる。この出願に記載されるシステムは多くの利益を提供するが、ある状況下では信号発生の信頼性が課題になることがある。例えば、医薬組成物の摂取のされ方によって、胃の特定の内容物が、組成物中における識別子の活性化の程度に重大な影響を与える可能性がある。例えば、組成物とともに摂取される液体、例えば、水、ジュースなどによって、信号発生は影響を受けることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第06/116718号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
かくして、目標とすべきなのは、識別子により発生される信号が、特定の環境、例えば、胃の内容物、活性化が望まれる標的部位に依存しないほど、識別子の活性化が高度に制御された、改良された創薬インフォマティクスシステムの開発であろう。本発明は、かかる能力を初めて提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、例えば、創薬インフォマティクスが使用可能な医薬組成物中に組み込める、摂取可能な事象マーカー中に存在できるなど、のような摂取可能な識別子の制御された活性化(制御活性化)を提供する。本発明の制御活性化識別子の実施形態は、用いられる用途における変わりやすい条件、例えば、医薬キャリアの不十分な分解、目標とすべき標的部位の環境変化など、の存在にも関わらず、着実で信頼性のある使用法を提供する。
【0009】
本発明の制御活性化識別子は、からだの標的部位と会合すると活性化される識別子である。該制御活性化識別子は、標的部位における所定かつ固有の刺激、例えば、液体(濡れ)、時間、pH、イオン強度、導電性、生体分子の存在(例えば、胃、小腸、大腸に存在する特定のタンパク質または酵素)、血液、温度、特定の助剤(脂肪、塩、または糖、または共存することが臨床的に適切な他の調合剤)、胃のバクテリア、圧力、光など、の存在により活性化される識別子である。所定かつ固有の刺激とは、制御活性化識別子が、活性化に伴って反応するように設計または構成された既知の刺激である。ある実施形態において、識別子により発生される信号は、標的部位の環境、例えば、標的部位における流体の特質には依存しない。
【0010】
制御活性化識別子は、一つまたはそれ以上の構成部分を含むことのできる一つの制御活性化要素を含み、該一つまたはそれ以上の構成部分は、標的部位における所定かつ特有の刺激の存在に反応して、所望の制御活性化を提供する。ある実施形態において、制御活性化識別子は、制御活性化要素として乾燥した導電媒質前駆体組成(例えば、乾燥した塩組成)を含み、この要素は、(胃液のような)流体と接触すると導電媒質になり、その結果電源の活性化および識別信号の生成がもたらされる。電源における乾燥した導電媒質前駆体の存在は、識別子の活性化が望まれる標的部位の環境変化(例えば、胃の内容物組成から見た変化)にも関わらず、識別子を確実に活性化させる能力を含む、多くの利点を提供する。さらに他の実施形態において、制御活性化識別子は制御活性化要素としてバリヤを、例えば、目標とすべき標的部位と会合すると識別子を活性化させるように構成された保護膜のかたちで含む。他の種類の制御活性化要素は、例えば、以下により詳細に記載されるように、乾燥した導電媒質およびバリヤのような、二つまたはそれ以上の構成部分を含む。
【0011】
識別子からの送信信号は、また別のデバイス、例えば、からだの内部または近傍いずれかにある受信器で受信することができ、該デバイスは、次に、識別子、例えば一つまたはそれ以上の活性薬剤および医薬組成と結合されたもの、が実際に標的部位に到達したことを記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】丸薬の一部が侵食された場合の丸薬摂取の効果を図式的に示す。
【図2】出力として二つの電極ではなくコイルをもつ、図1と類似の配置を示す。
【図3】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図4】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図5】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図6】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図7】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図8】本発明の異なる実施形態に従って活性化が制御される電池の異なる図を示す。
【図9】本発明の様々な実施形態の電子回路のある実装の詳細を示す。
【図10】本発明による、システムの一部として丸薬の実施形態を図式的に例示する。
【図11】本発明の一実施形態による、むき出しテーブル形式の二つの図を示す。
【図12】本発明の一実施形態による、破れることのできる制御活性化要素に包まれた識別子の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の制御活性化識別子は、標的部位と接触すると固有かつ所定の刺激に反応して活性化されることができる識別子である。ある実施形態において、標的部位の組成の組み立ての幅広い変化にも関わらず、制御活性化が提供される。かくして、制御活性化識別子は、体内における組成物の標的部位との接触について信頼性があり着実なデータを提供し、提供されたデータは、標的部位の環境のいかなる変化にも、完全ではないにしろ実質的に依存しない。従って、標的部位、例えば、本主題の識別子を用いるときに遭遇することがある胃、の組成の組み立ての幅広い変化にも関わらず、識別子は、標的部位環境の組成によって影響されない一貫性および信頼性のある信号を提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は多種多様であり、「創薬インフォマティクシステム(Pharma‐Informatics System)」と題し、国際公開第2006/116718号として公開されたPCT出願US2006/016370号、および「摂取可能な事象マーカー(Ingestible Event Marker)」と題する米国仮出願第60/949223号にさらに詳細に記載されており、以下に概観する出願の開示に加えて、それらの出願に記載される開示も参照により組み込まれる。
【0014】
本発明をさらにより詳細に記述するにあたり、組成物の実施形態を初めに概観し、続いて本主題の組成物を含むシステム、本主題の組成物およびシステムを用いる方法、並びにこれらの組成物および方法が用いられている、説明に役立つ様々な用途について論じる。本主題の組成物を含むキットも、以下により詳細に吟味される。
【0015】
組成物
本発明の実施形態は、制御活性化識別子を含み、該識別子は、キャリア組成、例えば医薬として許容される賦形剤、と結合でき、一つまたはそれ以上の医薬活性薬剤とは結合できてもできなくてもよい。ある実施形態において、組成物は、対象に投与されると破れる。かくして、ある実施形態において、組成物は、例えば摂取により、からだに送達された後に、物理的に破壊、例えば、溶解、分解、侵食などされる。これらの実施形態の組成物は、摂取されて消化管を通過する間に完全ではなくても実質的に存続するように構成されたデバイスとは区別される。
【0016】
以上にまとめたように、組成物は、制御活性化識別子および活性薬剤および/またはキャリア部分を含む。これらの異なった構成部分の各々を、別々に以下により詳細に吟味する。
【0017】
制御活性化識別子
以上にまとめたように、本発明の組成物は、制御活性化識別子を含む。本組成物の制御活性化識別子は、生理学的な標的部位、例えば、胃、小腸、大腸など、と会合または接触すると活性化される(すなわち、オンになる)ものでさえあれば、特定の実施形態および該組成物に関する所望の用途によって異なっていてもよい。ある実施形態において、活性化は、完全ではなくても、実質的に環境に依存しない仕方で、目標とすべき標的部位に存在する所定の活性化刺激(例えば、流体、化学薬品、光)の存在に対して生じる。かくして、識別子は、標的となるからだの(すなわち生理学的な)部位と接触したときに信号を発する識別子とすることができ、信号の特質は、実際の活性化刺激の存在は別として、標的部位環境の特定の組み立てによって仮に影響があるとしても、実質的には影響されない。例えば、標的部位が胃であれば、識別子の活性化は、様々な異なる胃の内容物の状態、例えば、約1から約8に及ぶpH変動などのもとで、完全にではないにしても実質的に同じになり、流体刺激(濡れにより活性化される活性化因子)の存在は別として、流体のpHは、識別子の活性化のされ方に影響を及ぼさない。かくして、識別子は、ある実施形態において、様々な異なるpH値の様々な異なる流体組成と接触した後に、時間および強度の観点から同じ信号を発することにより特徴づけられる。加えてまたは代わりに、識別子は、活性化後に応答要求があったときに信号を発する識別子としてもよく、先に概観したように、活性化は標的部位環境に依らない制御された仕方で生じる。
【0018】
特定の用途のニーズによって、識別子から得られる信号は、一般的な信号、例えば組成物が標的部位と接触したことを単に識別する信号、または一意的な信号、例えば、一つの群、すなわち一回分の複数の異なる組成物、に属する特定の組成物が、生理学的な標的部位と接触したことを何らかの方法で一意的に識別する信号、であってもよい。かくして、識別子は、複数の単位用量からなる一回分、例えば、複数の錠剤(tablet)からなる一回分に用いられるときには、該一回分のいかなる他の単位用量メンバーの識別子が発する信号からも区別できない信号を発するものであってもよい。さらにまた別の実施形態において、識別子は、所与の一回分における他の同一の単位用量からでさえ、所与の単位用量を一意的に識別する信号を発する。従って、ある実施形態において、識別子は、所与の種類の単位用量を他の種類の単位用量から、例えば、所与の薬物を他の種類の薬物から、識別する一意的な信号を発する。ある実施形態において、識別子は、所与の単位用量を、定義された単位用量集団、例えば、処方箋、製剤のバッチまたは生涯生産工程、のうちの他の単位用量から区別する一意的な信号を発する。ある実施形態では、識別子は、一意的な、すなわち、これまでに製造された他のどの製剤が発する信号からも区別できる、信号を発し、かかる信号は、(例えば、他のどの個人の他のどの指紋からも区別され、従って普遍的なレベルで個人を識別するヒトの指紋に似た)普遍的に一意的な信号と見なすことができる。一実施形態において、該信号は、組成物に関する情報を直接に伝えるか、または識別コードを供するかいずれでもよく、後者は、データベース、すなわち、識別コードを組成物と結びつけるデータベース、から組成物に関する情報を読み出すために用いられてもよい。
【0019】
識別子は、例えば、標的部位と接触して制御活性化された後に、検出可能な信号を提供することができる任意の構成部分またはデバイスとするとよい。ある実施形態において、識別子は、ひとたび組成物が、例えば、先にまとめたような、生理学的な標的部位と接触すると信号を発する。例えば、患者は、胃液と接触すると検出可能な信号を発生する丸薬を摂取することができる。
【0020】
実施形態によって、生理学的な標的部位または位置は異なってもよく、目標とすべき代表的な生理学的標的部位は、限定されることなしに:(口、食道、胃、小腸、大腸などのような)消化管における位置;輸液位置、血管位置のような体内のまた別の位置;或いは局所的な位置;などを含む。ある実施形態において、識別子は、標的部位の特定の組成に関わらず、標的部位流体と接触すると活性化されるように構成される。
【0021】
ある実施形態において、識別子は、例えば、単独で、または必要とされる対象に容易に投与できる組成物になるように組成物の生理学的に許容できるキャリア部分と結合された際に、経口摂取が可能なように寸法づけられる。かくして、ある実施形態において、識別子要素は、幅が約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmのように約0.05mmから約1mmに及び、長さが約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmのように約0.05mmから約1mmに及び、および高さが約0.05から約2mm以上、例えば約0.1mmから約0.2mmを含んで約0.05mmから約0.3mmのように約0.1mmから約1mmに及ぶ、寸法である。ある実施形態において、識別子は、0.2mm3以下を含んで0.1mm3以下のように1mm3以下である。識別子要素は、限定されることなしに:チップ形状、円筒形状、球形状、ディスク形状など様々な異なる形状をとることができ、特定の形状は、意図する用途、製造方法等に基づいて選択することができる。
【0022】
識別子は、限定されることなしに:RF信号、磁気信号、導電性(近接場)信号、音響信号など、様々な異なる種類の信号を発生することができる。ある実施形態において注目すべきは、「創薬インフォマティクスシステム(Pharma‐Informatics System)」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開第2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号に記載される特定の信号であり、これらの出願における様々な種類の信号の開示は、参照により本明細書に特に組み込まれる。
【0023】
識別子の伝送時間は、変化してもよく、ある実施形態において、伝送時間は約0.1μ秒から約48時間以上に、例えば約1μ秒から約4時間のように、約0.1秒から約4時間以上のように、約0.1μ秒から約24時間以上に及んでもよい。所与の実施形態によって、識別子は、信号を1回伝送してもよく、または信号を冗長信号と見なすことができる2回またはそれ以上伝送してもよい。
【0024】
ある実施形態において、識別子は、識別子により発生される信号が識別子の製造後に決定できるという意味で製造後にプログラム可能であってもよく、識別子は、フィールドプログラマブル、マスプログラマブル、ヒューズプログラマブル、なおさらにリプログラマブルであってもよい。かかる実施形態で注目すべきなのは、コード化されていない識別子が初めに製造され、組成物に組み込まれた後にコード化されて、その組成物のための識別信号を発することである。任意の使いやすいプログラミング技術を用いることができる。ある実施形態において、用いられるプログラミング技術は、RFID技術である。本主題の識別子に用いることのできる、注目すべきRFIDスマートタグ技術は、限定されることなしに、米国特許第7,035,877号、第7,035,818号、第7,032,822号、第7,031,946号、並びに出願公開第20050131281号などに記載されるものを含み、それらの開示は参照によりここに組み込まれる。RFIDおよび他のスマートタグ技術を用いて、製造会社/売主は、たとえ識別子が組成物に組み込まれた後であっても一意的なIDコードを所与の識別子と関連づけることができる。ある実施形態において、組成物が使用される前に取扱いに関与する各個人または実体は、該識別子に情報を、例えば、その開示が参照によりここに組み込まれる米国特許第7,031,946号に記載されるような、識別子が発する信号に関するプログラミングのかたちで、導入することができる。
【0025】
ある実施形態の識別子は、メモリ要素を含み、該メモリ要素は容量が変わってもよい。ある実施形態において、メモリ要素は、約1ビットから約128ビットを含んで1ビットから1メガバイトのように、約1ビットから1ギガビット以上に及ぶ容量をもつ。用いられる特定の容量は、用途、例えば、信号が一般的な信号かまたはコード化された信号か、信号がいくつかの付加的な情報、例えば、活性薬剤名などの注釈をつけてよいかまたはよくない場合によって変わってもよい。
【0026】
本発明の実施形態における制御活性化識別子の構成部分は、(a)一つまたはそれ以上の構成部分からなる一つの制御活性化要素、および(b)例えば上述のように、制御活性化部分により活性化されて識別信号を生成する信号発生部分、を有する。
【0027】
制御活性化部分
制御活性化部分は、組成物が胃のような目標とすべき生理学的な標的部位と接触したのに続いて、信号を、例えば、放出によりまたは応答要求に応じて送り出すために、識別子の信号発生要素を活性化する構成部分である。制御活性化部分は、活性化が組成の組み立てに依存しないほど、標的部位の特定の組成の組み立てに完全ではなくても実質的に依存しない仕方で活性化されるように構成される。
【0028】
「創薬インフォマティクス」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号で概観されているように、識別子の活性化は、多くの異なる方法で達成することができ、かかるやり方は、限定されることなしに、:電池の完成、電池の接続などを含む。この同時係属出願に開示された異なる活性化のやり方は、本明細書に記載されるように、制御活性化を提供するために容易に適合させることができ、かくしてその全体が参照によりここに組み込まれる。
【0029】
例えば、電池完成形式の制御活性化要素は、完成されたときにカソード、アノード、および電解質が含まれる電池を用いることができる。組成物は、投与されたとき、例えば、摂取されて食道を通って移動するとき、胃に入っていく。組成物内に用意されたカソードとアノードとは、完全な電池を成していない。しかし、組成物が溶けてカソードおよびアノードが露出されるにつれて、胃液が(単独で、または識別子の乾燥した導電性の前駆体媒質部分と混合したときに)電池の電解質部分として機能する。胃液からなる付加的な成分が、このように電池を完成させる。それ故に、組成物が、例えば、胃に入ってカソードおよびアノードの露出に至るまで溶けることにより標的部位と接触すると、例えば、チップ構成の、識別子を活性化する電源が提供される。次に、データ信号が伝送される。
【0030】
ある実施形態において、用いられる電池は、電池の二つの電極(例えば、アノードおよびカソード)を成す、二つの異なる電気化学物質を備える。電極物質が露出されて、(以下に概観するように、単独で、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされて)胃酸または他の種類の流体のような、体液と接触したとき、二つの電極物質がそれぞれ受ける酸化および還元反応の結果として、電位差、すなわち電圧が電極間に発生される。その結果、ボルタ電池、または電池、を生成することができる。従って、本発明の複数の実施形態において、かかる電池は、信号発生要素が内在する組成物の物理的および化学的侵食の間に二つの異なる物質が標的部位、例えば胃、消化管などに露出されたとき、電圧が発生されるように構成される。電解質中の二つの異なる物質は、「ジャガイモ電池」の物理モデルと同様に、異なる電位にある。一例として、銅と亜鉛は電池に入れたときに異なる電位をもつ。同様に、金とマグネシウムは異なる電位をもつ。結果として、二つの異なる物質間に電位差が発生する。
【0031】
これらのうちのある実施形態において、電池の電源は、胃液、血液、または他の体液およびいくつかの組織のような、イオン性溶液の電気化学的反応を利用した電源と見做すことができる。図1は、丸薬が摂取されて、その一部が化学的および/または物理的に侵食されるところまで分解したときに生じる事象を図式的に示す。電極物質1および2(32および33)は、いま(標的部位流体単独、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされた標的部位流体で構成される)イオン性溶液39中にある。この構成は、電子回路40に印加される低電圧(V−)および高電圧(V+)をつくり出す。この電子回路40の二つの出力は、EO41およびEO42であり、それらは上面の上にある信号伝送電極である。信号発生要素30が単一の電極を含む、図2には示されていない代わりの実施形態においては、出力はEO41である。
【0032】
図2は、図1と類似した配置を示す。しかし、出力として二つの電極をもつ代わりに、コイルが提供される。電極物質 1および2(32および33)は、信号発生要素30の電子回路40に繋がれる。電子回路30の出力は、コイル43に結合される。この構成は、電極物質1および2(32および33)がイオン性溶液に露出されたときに電池の生成をもたらす。この電池は、回路40を駆動し、振動周波数がつくり出される。この振動電流は、コイルを流れてRF磁気信号が発生する。体内組織を通しての著しい減衰に悩まされかねない近接場の準静的な電気信号とは違って、RF磁気信号は、体内組織を通しての減衰のより少ない伝送が可能である。RF磁場信号は、次に、磁気信号検出メカニズムをもつ外部または内部受信器により拾い上げられる。十分に高い周波数の送信が提供されれば、丸薬が摂取されたときにはいつでも、患者が装着したポケットベルのようなデバイスで検出されることになる。
【0033】
図1および2は、電気化学的反応により電力供給される信号発生要素40をもつ識別子30を示す。信号発生要素40は、電極電極32および33に接続されるが、これらは二つの異なる物質からなり、相互に電気的に絶縁されている。電極32および33をイオン性溶液39に浸漬したとき、それらの間に電位差が生じる、例えば、電極33はより高い電位V+に上昇し、一方で電極32はより低い電位V−に下降する。回路40に電力供給するために、この電位差を用いることができる。
【0034】
電極32および33は、様々な仕方で実装することができる;例えば、集積回路チップの対向する表面上の領域を二つの異なる金属で被覆することができ、チップ全体をイオン性溶液中に置くことができる。代わりに、電極32および33は、図示されるように要素40から伸び出していてもよい。他の配置も用いることができる。
【0035】
電極32および33は、識別子30が動作する環境に適合する任意の二つの物質でつくることができる。活物質は、異なる電気化学ポテンシャルをもつ物質の任意の一対である。例えば、イオン性溶液39が胃酸を備えるある実施形態では、電極32および33は、時期尚早に腐食しないように貴金属(例えば、金、銀、プラチナ、パラジウムなど)でつくることができる。代わりに、適用可能なイオン性溶液中で寿命が十分に長く識別子が所望の機能を果すことが可能な、アルミニウムまたは他のいずれかの導電物質から電極を作製することもできる。適切な物質は、金属には限られず、ある実施形態において、一対の物質は、金属と非金属、例えば、(Mgのような)金属と(CuIのような)塩とで構成される対、から選ばれる。電極活物質に関しては、適切な電気化学ポテンシャル差(電圧)および低界面抵抗をもつ任意の物質の組み合わせ‐金属、塩、またはインターカレーション化合物‐が適している。
【0036】
電池の電極としては、様々な異なる物質を用いることができる。ある実施形態において、電極物質は、生理学的な標的部位、例えば、胃と接触すると、識別子の信号発生要素を駆動するのに十分な電圧を供給するように選ばれる。ある実施形態において、電源の金属が生理学的な標的部位と接触した際に、電極物質により供給される電圧は、0.1V以上のように0.01V以上を含んで0.001V以上、例えば、0.5V以上を含みかつ1.0V以上を含んで0.3V以上であり、ある実施形態において、電圧は、約0.01から約10Vのように約0.001から約10Vに及ぶ。
【0037】
注目すべき物質および組み合わせは、以下の表1に記載されるものを含むが、それらには限定されない。
【0038】
【表1】
†保護されたアノード:Li、Naおよび他のアルカリ金属のようなエネルギーの高いアノード物質は、純粋なかたちでは水または酸素の存在下で不安定である。しかし、これらを安定化すれば、水のある環境下で用いることもできる。この安定化の一例は、Polyplus Corporation(Berkeley,CA)により開発されたいわゆる「保護されたリチウムアノード」であり、リチウム金属の表面に急速な酸化から保護するためのポリマー膜が堆積されて、水のある環境または周囲空気中における使用を可能にしている。(Polyplusは、これについて知的所有権の係争中である。)
††溶存酸素もカソードとして機能することができる。この場合、体液中の溶存酸素は、PtまたはAuのような適切な触媒表面上でOH−に還元されるであろう。他の触媒も可能である。
【0039】
ある実施形態において、例えば、電池の電圧出力を向上させるために、金属の一方または両方に非金属をドープしてもよい。ある実施形態においてドーピング剤として用いることができる非金属は、硫黄、よう素などを含むが、それらには限定されない。
【0040】
ある実施形態において電極物質は、アノードとしてはよう化第一銅(CuI)または塩化第一銅、カソードとしてはマグネシウム(Mg)金属またはマグネシウム合金である。本発明の複数の実施形態は、人体に有害でない電極物質を用いる。
【0041】
注目すべき付加的な電池構成は、限定されることなしに、「創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics System Power Source)」と題して2007年2月14日に出願された米国仮出願第60/889,868号;「高表面積カソードをもつ創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics Power Source Having High Surface Area Cathodes)」と題して2007年2月14日に出願された米国仮出願第60/889,870号;および「耐ショート性直列電池をもつ創薬インフォマティクスのシステム電源(Pharma Informatics System Having Short Resistant Series Battery)」と題した米国仮出願第60/889,871号に記載されるものを含み、それらの出願の開示は参照によりここに組み込まれる。
【0042】
制御活性化を提供する識別子の制御活性化要素は、様々な異なる種類の刺激に反応することができる。制御活性化要素が反応するように構成することができる注目すべき刺激は、限定されることなしに、液体(濡れ)、時間、pH、イオン強度、導電性、生体分子(例えば、胃、小腸、結腸に存在する特定のタンパク質または酵素)、血液、温度、特定の助剤(脂肪、塩、または糖、または共存することが臨床的に意義のある他の医薬)、胃のバクテリア、圧力、および光を含む。
【0043】
制御活性化要素は、制御活性化要素が目的とする刺激に反応するように、所望の制御活性化の機能性を提供する一つまたはそれ以上の構成部分からなる。制御活性化要素を構成する一つまたは複数の構成部分の特質は、変わってもよい。例えば、目的とする刺激が温度の場合、制御活性化要素は、溶解度が温度の関数であって特に体温またはその付近で溶解性になる膜(例えば、ポリマー膜)のような、物質のバリヤであってもよい。かかる膜は、室温では水に不溶/不浸透性でも、37℃では水溶性/浸透性となることができる。かかる膜に用いることができる注目すべき物質は、限定されることなしに、以下に挙げるポリマー物質を含む。目標とすべき刺激が圧力である実施形態においては、制御活性化要素は、感圧物質であり、例えば、閾値を超える圧力限界において該要素は押しつぶされ、識別子が活性化されて信号を伝送することが可能になる、特有の機械的強度を有する感圧物質(例えばセルロース系物質でできた)例えば、カプセルまたは殻とすることができる。他の注目すべき実施形態において、刺激は光であってもよい。例えば、刺激は、腫瘍に付着された蛍光標識であってもよい。識別子は、腫瘍のそばを通るので、制御活性化要素は、標識を刺激する波長の光を供給する構成部分と、さらに標識からの放出光を検出する構成部分も含むとよい。任意の使いやすい光源および検出器を用いることができる。検出器部品が光を検出したときに、制御された活性化の仕方で、識別子が活性化されることになる。
【0044】
ある実施形態において、本発明の一つまたはそれ以上の制御活性化部分は、先に概観したように、制御された活性化、すなわち、標的部位環境に完全ではなくても実質的に依存しない仕方で活性化を提供する。注目すべき一実施形態において、制御活性化部分は、例えば、先に概観したように、乾燥した導電媒質を含み、該媒質は第1および第2の異なる物質の存在下で標的部位流体と結合すると、イオン性媒質を生成して電池を活性化する。乾燥した導電媒質前駆体部分を含むかかる活性化部品の代表的な構成が、図3に示される。図3は、固体支持体50の表面上に存在する電極物質32および33をもつ電池要素を示す。電極物質32および33の間に、乾燥した導電媒質前駆体34が置かれている。
【0045】
存在するときには、乾燥した導電媒質前駆体は、様々な異なる種類の組成であってもよい。注目すべき組成は、限定されることなしにナトリウムイオン、塩素イオン、カリウムイオンおよびカルシウムイオン、マグネシウムイオンなどのような、生理学的に許容できる電解質の塩を含むが、それらには限定されない。注目すべき、特に生理学的に適合性をもつ塩は、限定されることなしに、KCl、NaCl、MgCl2などを含む。本発明の様態は、乾燥した導電媒質前駆体の存在を含む。前駆体が、例えば、上述のような塩であるとき、乾燥した塩は、凍結乾燥した塩組成のような、任意の使いやすい形態であってもよい。
【0046】
図3に示される実施形態の変形が図4に図示される。図4において、識別子は、保護バリヤを含み、該保護バリヤは、乾燥した導電媒質前駆体を保持する機能を果たす。保護バリヤ35は、識別子に前駆体を保持する機能を果たすのに加えて、様々な異なる構造および機能をもつことができる。例えば、保護バリヤ35は、標的部位流体を制御性よく計って、乾燥した導電媒質前駆体34に供給する機能を果たすこともできる。図4では、電池を活性化させるために、標的部位流体のどの部分を乾燥した導電媒質前駆体34と結合させるか制御するイオン透過膜35が提供される。任意の使いやすい半透膜を用いることができる。該半透膜は、ePTFE、ダクロン(登録商標)、ポリウレタン、シリコーンゴム、乳酸/グリコール酸共重合体(PLGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリエチレングリコール(PEG)、コラーゲン、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリふっ化ビニリデン(PVDF)、ナフィオンまたは他の生体適合性物質を備えることができる。膜の細孔径は、特定の構成により変化してもよく、ある実施形態において、膜は、細孔径(約250d以下を含んで約500d以下のように約1000d以下、例えば約50d以下のように約100d以下のMWカットオフ)を有する。ある実施形態において、透過膜は、水は通過して識別子の乾燥した導電媒質前駆体に到達するが、標的部位の任意の他の流体成分は通過してもごくわずかな、水のみの透過膜である。
【0047】
半透膜の代わりに、一つまたはそれ以上の流体流路を含む固体バリヤが存在してもよい。例えば、図5において、電池は、流体流路37を含む固体バリヤ36を含む。流体流路37は、任意の使いやすい寸法をもつことができるが、ある実施形態においては、流体が毛細管作用により流路を通って流れる毛細管流路である。ある実施形態において、流体流路は、独立した寸法が約1μmより大きく約1000μmより小さいマイクロスケールの断面寸法をもつ。これらの独立した断面寸法、すなわち、幅、深さまたは直径は、流体流路またはチャンネルの特質に依存して、約10から150μmのように、および約20から100μmを含んで約1から200μmに及んでもよく、全内断面積は、約200から25,000μm2のように約100から40,000μm2に及んでもよい。チャンネルの内断面形状は、大幅に変わってもよい。形状は、制限されることなしに、長方形、正方形、菱形、三角形またはV字形、D字形、U字形、円形、半円形、楕円形など、を含む。図5に示すような流体流路は、まっすぐであるが、流路は、所望されるとおりに、屈曲(bend)または折り返し(turn)を含んでも曲線(curvilinear)であってもよく、もちろん、様々な異なる形状をもつことができる。開示が参照によりここに組み込まれる、米国特許第6,939,451号、第6,838,156号、第6,730,206号、第6,623,860号、第6,613,525号、第6,306,273号、第6,284,113号、第6,176,962号、第6,103,199号、第6,056,860号、第6,054,034号、第5,935,401号、第5,858,118号、第7,069,952号、第7,033,474号、第6,857,449号、第6,841,193号、第6,660,367号、第6,551,836号、第6,517,234号、第6,509,085号に記載されるが、それらには限定されない「ラボオンチップ(lab on a chip)」技術など、任意の使いやすい製造技術を用いることができる。
【0048】
ある実施形態において、流路の表面は、所望の流路特性を提供するために修飾されることができる。例えば、流路の一つまたはそれ以上の表面の表面エネルギーを、毛細管を通る流体の流れを促進するために修正してもよい。例えば、表面がより親水性になるように、流路の表面エネルギーの一つまたはそれ以上の表面を増加させてもよい。様々な異なる表面エネルギー修正プロトコルを用いることができ、バリヤの特定の組成および所望の表面エネルギー特性に依存して特定のプロトコルを選んでもよい。例えば、所与の表面の表面エネルギーを増やしたければ、表面にプラズマ処理を施してもよく、例えば、米国特許第5,948,227号および第6,042,710号に記載される表面エネルギー修正ポリマー溶液のような、表面エネルギー修正剤と接触させてもよく、それらの各々はいかなる目的に対してもその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0049】
ある実施形態において、バリヤは、単独で、または担体上に存在することのできる乾燥した導電媒質前駆体と結合されたときに、所定の仕方で識別子を活性化させるのに十分な導電性を有する、流体と接触すると破れるバリヤであってもよい。例えば、図6は、所定の基準、例えば、導電性、pHなど、を満たす流体と接触すると、(例えば、分解により)破れて、乾燥した導電媒質前駆体34が流体に露出され、それにより電池が活性化される、バリヤ38が存在する実施形態を示す。
【0050】
図6は、かかるバリヤが乾燥した前駆体と共存することを示すが、乾燥した前駆体が存在する必要はない。例えば、図7は、乾燥した導電媒質前駆体が存在しない実施形態を示す。この実施形態においては、保護層38が電極32および33、並びに基板50を保護する。所定の基準、例えば、導電性、pHなどを満たす流体と接触すると、保護層38が(例えば分解により)破れて、乾燥した電極32および33が流体に露出され、それにより電池が活性化される。
【0051】
図7に示された実施形態の変形が、図8に示される。図8において、バリヤ38’は、時間制御された分解組成、すなわち、流体と接触すると、時間に依存する仕方で分解する組成であり、目標とすべき流体中における所与の物質の分解時間は、予め決まっており、流体と接触する前に知られている。ある実施形態において、この組成は、時間制御放出される医薬組成物に用いられるポリマー組成のような、ポリマー組成である。用いることのできる注目すべきポリマー組成は、限定されることなしに、結合剤(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどのようなビニルポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのようなセルロース系ポリマー;メタクリル酸共重合体、アクリル酸エチル‐メタクリル酸メチル共重合体などのようなアクリル系ポリマーおよび共重合体;グアーガム、アラビアゴム、キサンタンゴムなどのような天然または合成ゴム;ゼラチン、ペクチンなどのようなタンパク質または炭水化物、およびそれらの混合物)、並びに、ポリマーのコーティング粒子(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのようなセルロース系ポリマー;ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどのようなビニルポリマー;アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマー、アクリル酸エチル‐メタクリル酸メチル共重合体などのようなアクリル系ポリマーおよび共重合体など;およびそれらの混合物)で構成され、(その開示が参照によりここに組み込まれる)米国特許第6,190,692号に記載される組成などのような、(厚さにより分解が時間制御される)水膨潤性の組成を含む。
【0052】
付記すべきこととして、図8の実施形態に例示される時間遅れの構成では、バリヤ、例えば、膜は、電極とそれらの隙間との両方を被覆する必要はない。ある実施形態において、電池は、両電極が活性化されなければ放電しないので、ただ一つの電極だけが被覆され、その後活性化される。かくして、ある実施形態において、分解して取れると活性化に至る物質の「パッチ(patch)」を用いて、唯一つの電極が被覆される。
【0053】
以上の考察を図1〜8と組み合わせると、本主題の識別子の制御活性化要素に関する、いくつかの限定されない実施形態の詳細が提供される。上述のように、制御活性化要素は、単一の構成部分、例えば、バリヤ、乾燥した導電媒質などを含んでもよく、または(例えば、制御活性化要素は、バリヤと乾燥した導電媒質の両方が含まれ、)識別子に制御活性化の機能性を与えるために協力する二つまたはそれ以上の構成部分からなる、複合制御活性化要素であってもよい。ある実施形態において、上述の様々な制御活性化メカニズムを組み合わせて、カスケード式または多構成部分の活性化を達成することもできる。例えば、堆積または別のやり方で数種類の膜を識別子上に設けることができ、または膜ベースの活性化を、カプセスベースの活性化、および塩ベースの活性化と組み合わせることもできる。かかる仕組みの例は、限定されることなしに、以下のものを含む。
【0054】
一実施形態においては、幾層かの膜が識別子上に存在し、第1層は、加工処理/保存の間に識別子を保護し、第2層は、目標とするpHに達したときに分解し、第3層は、塩を放出して、最終的にデバイスが活性化されて信号が伝送される。この種類のアプローチの利点は、偶発的で時期尚早な活性化に対する付加的な予防およびマージンを含む。デバイスは、すべての活性化事象が生じた時点にだけ活性化されることができる。多層膜のまた別の利用法は、複数の条件に特定の順序で遭遇した後にのみ識別子が活性化されるという理由から、焼き戻し防止メカニズムとして用いることであり、それにより、単一流体への浸漬または飲み込まずに口内に保持されることで、不正にデバイスを活性化することが困難または不可能になる。
【0055】
また別の例は、識別子の活性化に用いられる表面、例えば、電極、の異なる部分に堆積された、活性化に用いられる膜の複数のパッチである。例えば、識別子が胃に到達した時点で識別子により信号が伝送され、次に腸に到達したときに再び伝送され、結腸に到達したときに再度伝送されるなどできるように、識別子の電池は、マイクロパターンにされる、すなわち、GI管の異なる部分で活性化される数パッチの微細パターン化された膜で被覆される。この構成は、同じ識別子が、GI管の異なる部分の通過のような、複数の事象を検出することを可能にする。
【0056】
組み合わされた活性化のまた別の利用法は、組み合わされた事象の検出、例えば、患者が、識別子を、ある種類の食物、飲料または他の薬物とともに摂取したときの検出、のための識別子である。これは、薬物との相互作用の検出、または、薬物とともに摂取してはいけないことになっているものを摂取した患者の検出を可能にする。
【0057】
ある実施形態のまた別の利用法は、GI管における異なる条件によって異なる信号を伝送することである。識別子は、識別子の活性化に加えて、GI管の状態に関する情報を与えられるように、異なるメカニズムを通じて活性化される二つの個別の伝送要素で構築することができる。例えば、一方の要素は低pH状態により、他方は高pH状態により活性化される。
【0058】
本発明の識別子は、もし摂取された際にキャリアが適切に分解されなければ、識別子の機能性を妨げる可能性のあるキャリア組成と結びつけられることもある。例えば、典型的なゲルカプセル(例えば、カプスゲル(Capsugel),ピーパック,ニュージャージー州が製造)は、水溶液中で、デバイスの物理的(例えば、温度)および化学的環境に強く依存する仕方で分解する。複数の条件のある組み合わせのもとでは、ゲル残渣は一部だけが分解し、カプセルに結びつけられた識別子の表面上に未分解または凝固層、或いは残渣を残すことがある。このように残った残渣は、デバイスの活性化を完全に妨げるかまたは信号強度を低下させる可能性がある。識別子がゲルカプセス製剤または類似のキャリア構造と結びつけられるように構成される場合、ある実施形態において、制御活性化要素は、所望の活性化時間または化学的および/または物理的環境に達したときにゲルカプセルのようなキャリアからの残渣によってデバイスが妨害されないことを保証する、設計がなされた制御活性化要素である。デバイスの機能を妨げることから残った残渣を与えるために設計された一つの構成は、部分的に分解されたゲル残渣が付着するようにデバイス表面上に堆積された可溶性の膜を含む。摂取されると、この膜は、次に計時的にまたは化学的に敏感な仕方で分解され、ゲルのないデバイス表面が残される。また別のやり方では、部分的に分解したゲル残渣が粉末または粒に付着するような吸収剤(例えば、粉末または粒状)がゲルカプセルに加えられる。粉末は、次にデバイスから落ちて離れる。例として、澱粉、糖類、塩、またはタンパク質のような、任意の食べられる粉末または粒を含むことができる。また別の構成において、ゲルカプセルに加えられる材料は、湿ると著しく膨潤し、その結果ゲルカプセルは破裂し、デバイスが放出される。例として、崩壊剤(いわゆるスーパー崩壊剤)および分解助剤の医薬添加剤のような、膨潤性ポリマー基質が含まれる。例は、Ac‐Di‐Sol(FMCが製造)およびカルボキシメチルセルロース並びに関連する化合物である。さらにまた別の実施形態において、分解すると発熱する材料がゲルカプセルに加えられる。ゲルカプセルの分解は、熱にたいへん敏感である。ある塩は、水中で発熱分解反応を生じる。かかる塩を、濡れると局所的な温度が数℃(例えば、1から5℃を含んで1から10℃のように、0.1から20℃)上昇するのに十分な熱が発生するように、カプセルに加えるかまたはデバイスの表面上に堆積することができる。これらの塩の例は:ZnC2、BaCl2、MgCl2である。さらにまた別の実施形態では(図12に示すように)、ばねのような特性をもつポリマー物質(例えば、エチルセルロース)の細片またはシート120が、ゲルカプセル122内に含められる。細片は、折り畳まれるかまたは巻かれ、端部が水溶性ポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)124で束縛される。細片内には識別子126が存在する。(矢印で示すように)濡れると、水溶性ポリマー124が分解してなくなり、細片120またはシートは、ゲルカプセル122を勢いよく開くのに十分な機械力で展開されて、デバイス126をカプセルから解き放つことが可能になる。
【0059】
例えば、上述のような、膜または層を含む制御活性化要素において、膜または層は、デバイスの一方の表面またはその一部上に存在することもでき(例えば、デバイスの活性表面、またはその上に存在する電極要素だけを被っていてもよい)、または、デバイスが膜または層にケーシングまたはカプセル化されるように、デバイスの全表面を被ってもよい。ある実施形態において、識別子デバイスは、化学的/物理的環境および/または時間に応じて分解するポリマーペレット内にカプセル状に完全に包まれる。結果的に得られたペレットは、ゲルキャップの内部に置かれるかまたは錠剤内に押し込まれるが、錠剤つくりに用いられる大きな圧縮力によって発生する損傷から識別子を保護することも行う。
【0060】
膜バリヤは、識別子の活性化制御を可能にする機能性の観点から先に考察がなされた。この機能に加えて、またはその代わりに、加工処理、取扱い、ボトル詰め、保存の間における識別子への機械的損傷(例えば、ICまたは電池層への損傷)を防ぐように構成された膜バリヤが存在してもよい。例えば、本デバイスは、ある実施形態において、加工処理ステップ(例えば、電池が濡れるかもしれないとき)または保存(例えば、大気からの吸湿を通じて)の間に、活性化、或いはデバイス性能または寿命の劣化を防ぐ膜を含む。例えば、低pH溶液においてのみ分解する膜が、ある事例において、高pHの水性環境における加工処理の間デバイスを保護するために用いられる。ある実施形態において、(例えば、複数のデバイスが同じゲルカプセル内または一つのボトル内に置かれたとき)デバイス‐デバイス間の接触を防ぐための膜が存在する。
【0061】
また別の種類の制御活性化識別子は、識別子がからだから排出された際にのみ活性化されるように構成されたものである。例えば、この識別子は、GI管を通過する間は影響を受けずに原形を保つバリヤ層で(部分的にまたは全体が)被われることができる。識別子がGI管から排出されると、バリヤは、排せつ物除去装置、例えば、トイレ、に存在する水と接触したときに分解されることができる。例えば、バリヤは、トイレ水に存在する化学物質に敏感であってもよい。バリヤが分解したときに水が識別子を活性化して信号が発せられ、該信号は、センサ、例えば、トイレに繋がったセンサにより拾い上げられることができる。不当な変更を防ぐために、第2の要素がGI管によって破られ、第1のバリヤがトイレ水によって破られたときにのみ活性化が生じる、GI管によって破られる第2の制御活性化要素を含むこともできる。
【0062】
識別子は、任意の使いやすい加工処理技術を用いて作製することができ、例えば、MEMS製造に用いられるようなプレーナプロセス技術を、乾燥した導電媒質前駆体を提供するための、沈澱のような、堆積技術と一緒に用いることができる。
【0063】
本主題の活性化が制御された電池は、多くの異なる方法で製造することができる。以下により詳細に展開されるように、ある実施形態においては、「プレーナ」プロセス・プロトコルとして分類することのできる製造プロトコルが用いられる。
【0064】
電池が活性化された後に、信号発生部分を活性化するために、さらなる活性化の構成を採用することができる。例えば、信号発生部分は、CMOSスイッチのような、金属酸化膜半導体(MOS)回路のゲート駆動を通じて活性化されることができる。MOS回路のゲート駆動は、限定されることなしに、ゲート電流、ゲート電荷、およびゲート容量を含む、一つまたはそれ以上のパラメータに基づいてもよい。活性化を目的としたゲート電流は、周囲の体液または組織の導電性の関数であり得る。かかる導電性は、限定されることなしに、さらに溶液の濃度、溶液のpH値、溶液のイオン含有量、溶液の酵素含有量、温度、およびキャリア移動度を含む、一つまたはそれ以上のパラメータの関数であり得る。キャリア移動度は、温度の関数でもあり得る。同様に、ゲート電荷は、限定されることなしに、溶液組成、電位、重力ポテンシャル、ゲート容量、およびキャリア濃度を含む、一つまたはそれ以上のパラメータの関数であり得る。キャリア濃度は、温度の関数でもあり得る。ゲート容量は、容量に係るゲート形状の関数であり得るが、さらに圧力、共振入力、またはゲートに結合された誘電物質の特性の関数でもあり得る。誘電物質の特性は、限定されることなしに、消化管の化学物質含有量、生理学的な位置の化学的特性、および体液における誘電物質の分解量を含む、一つまたはそれ以上のパラメータにより変動し得る。
【0065】
信号発生部分
識別子要素の信号発生部分は、制御活性化部分により活性化されると、例えば以下により詳細に記載されるように、例えば、受信器により受信することのできる、検出可能な信号を発する構造である。ある実施形態の信号発生部分は、活性化部分により活性化されると、検出可能な信号を生成すること、および/または変換された送信電力を変調することができる任意の使いやすいデバイスとすることができる。注目すべき検出可能な信号は、限定されることなしに、導電性信号、音響信号などを含む。先に概観したように、信号発生器が発する信号は、一般的または一意的な信号であってもよく、注目すべき代表的な信号の種類は、限定されることなしに、周波数偏移コード化信号、振幅変調信号、周波数変調信号などを含む。
【0066】
ある実施形態において、信号発生要素は、以下により詳細に展開されるように、信号を生成するまたは発生させる回路を含む。選ばれる回路の種類は、少なくとも一部、識別子の電源により供給される駆動電力に依存してもよい。例えば、駆動電力が1.2ボルト以上の場合、標準CMOS回路を用いることができる。駆動電力が約0.7から約1.2Vに及ぶ他の実施形態においては、サブスレッショルド回路設計が採用されるとよい。0.7V以下の駆動電力に対しては、ゼロ閾値トランジスターに関する設計が用いられるとよい。
【0067】
ある実施形態において、信号発生部分は、活性化部分による活性化に応じて、デジタルクロック信号を発生することができる電圧制御発振器(VCO)を含む。VCOは、アドレスが割り当てられており制御電圧を用いてVCOを制御できる、デジタル回路により制御することができる。このデジタル制御回路は、活性化部分および発振器を含むチップに内蔵されることができる。アドレスをコード化するために振幅変調または位相偏移キーイングを用いて、識別信号が伝送される。
【0068】
信号発生部分は、以下により詳細に吟味されるように、患者の内部または外部にあってもよい離れた受信器に、発生した信号を伝送する機能を果たす個別の伝送器部分を含む。伝送器部分は、存在するときには、例えば、発生して送り出される信号の種類により、多くの異なる構成をとることができる。ある実施形態において、伝送器部分は、一つまたはそれ以上の電極で構成される。ある実施形態において、伝送器部分は、例えば、アンテナ(単数または複数)のかたちの、一つまたはそれ以上のワイヤーで構成される。ある実施形態において、伝送器部分は、一つまたはそれ以上のコイルで構成される。かくして、信号伝送器は、様々な異なる伝送器、例えば、電極、アンテナ(例えば、ワイヤー状)コイルなどを含んでもよい。ある実施形態において、信号は、一つまたは二つの電極、或いは一つまたは二つのワイヤーのいずれかにより伝送される。二電極の伝送器はダイポールであり、一電極の伝送器はモノポールを成す。ある実施形態において、伝送器ユニットは一つのダイオード電圧降下分の電力しか必要としない。いくつかの実施形態において、伝送器ユニットは、信号を伝送するために、電気的ダイポールまたはモノポールのアンテナを用いる。
【0069】
図9は、本発明による識別子に用いることのできる、電子回路の実装の一つに関する詳細を示す。左側には二つの電池電極、金属1および金属2(32および33)がある。これらの金属は、(先に概観したように、単独で、または乾燥した導電媒質前駆体と組み合わされて、標的部位流体と接触すると生成される)電解質と交渉しているとき、電池を形成して、この場合概略図として示される発振器61に電力を供給する。金属1 32は低電圧(接地)を発振器61に供給する。金属2 33は、高電圧(Vhigh)を発振器61に供給する。発振器61は、始動するにつれて、相互に反転した、クロック信号62および反転クロック信号63を発生する。これらふたつのクロック信号は、クロックサイクル数を単にカウントしてそのカウントを多数のレジスターに蓄積する、カウンタ64に入る。ここに示される例では、8ビットカウンタが用いられる。それ故、カウンタ64の出力は、「00000000」の値で始まり、第1クロックサイクルで「00000001」に変わり、さらに「11111111」まで続く。カウンタ64の8ビット出力は、アドレスマルチプレクサ(mux)65の入力に結合される。一実施形態において、mux65は、回路中に配線接続することができる、アドレスインタープリタを含み、発振器61を制御するための制御電圧を発生する。mux65は、カウンタ64の出力を用いて、アドレスをシリアルビットストリームに再現し、それがさらに信号伝送駆動回路に入力される。mux65は、信号伝送のデューティサイクル制御にも用いることができる。一実施形態において、mux65は、カウンタ64が発生するクロックカウントを用いて、16分の1の時間だけ信号伝送をオンにする。かかる低デューティサイクルは電力を節約するとともに、他のデバイスが、電波妨害を受けずに信号を伝送することを可能にする。所与のチップのアドレスは、8ビット、16ビットまたは32ビットとすることができる。通常は、非常に多くの異なる種類の医薬があるので、8より大きいビットが製品に用いられる。各々の医薬は、独自のアドレスをもつことになる。
【0070】
本発明は、然るべき場合に、各々の医薬バッチにバッチ固有のアドレスが提供される可能性を与える。これは、丸薬がどこで製造されたか、丸薬がいつ製造されたか、さらにどのバッチで製造されたかを識別することを可能にする。ある場合には、各々の丸薬が一意的な識別子をもつことができる。これは、薬が、後で盗まれるまたは違法使用される可能性が高く、従って、追跡が必要なとき、或いは汚染の疑義が生じるかもしれない場合に、特に有用であろう。
【0071】
一実施形態によれば、mux65は、アドレスをシリアルにコード化し、発振器61の出力周波数を変えるのに用いられる、制御電圧を生成する。例として、制御電圧が低いとき、すなわち、シリアルアドレスビットが0にあるとき、1メガヘルツの信号が発振器によって発生される。制御電圧が高いとき、すなわち、アドレスビットが1のとき、2メガヘルツの信号が発振器を発生した。代わりに、これは10メガヘルツおよび20メガヘルツであってもよく、またはデバイスが位相変調に限られる場合は位相偏移キーイングのやり方であってもよい。mux65の目的は、発振器の周波数を制御すること、または発振の増幅信号に関するAC代替の実施形態である。
【0072】
mux65の出力は、二電極を駆動して溶液に差分電位を与えること、コイルを通る振動電流を駆動して磁気信号を発生させること、または一電極を駆動して溶液と電荷をやりとりすること、ができる電極駆動部66に結合される。
【0073】
このように、本デバイスは、mux65に蓄積された、アドレスを成す0と1とのシーケンスを送信する。そのアドレスは、繰り返して送信され、金属1または金属2(32および33)が溶液中に消耗かつ分解されて電池がもはや動作しなくなるまで、送信が続く。
【0074】
信号発生部分の他の構成ももちろん可能である。注目すべき他の構成は、限定されることなしに、同時係属中のPCT出願PCT/US2006/016370号に記載されるものを含み、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0075】
付加的な構成部分
特定の実施形態により、識別子は、多くの異なる付加的な構成部分を含むことができる。注目すべきいくつかの構成部分は、限定されることなしに、以下に概観されるものを含む。
【0076】
不活性化部分
望ましい場合に、識別子は、もし識別子が意図するように用いられない、例えば、それと結びつけられた組成物が摂取されない場合に、識別子を無効にする不活性化メカニズムを含むことができる。ある実施形態において、識別子は、もし誰かがそれを摂取する以外の方法でオンしようと試みた場合に、識別子が不活性化されていかなる信号も送信できないように識別子を不活性化する、不活性化メカニズムを含む。注目すべき不活性化メカニズムは、次の構成部分の一つまたはそれ以上を含んでもよい:含まれるのは、光に当った際に、識別子の一構成部分、例えば、メモリ、を破壊する感光性膜、例えば、光に当たると破れるまたは壊れる、感光性の電池材料、酸素、空気、湿度などに敏感で、それらへの露出に応じて不活性化される構成部分を含む識別子、である。識別子の不活性化は、配線のオープン、配線のショート、電池電圧の減少などを含んでもよい。
【0077】
電力エンハンサ
ある実施形態において、活性化因子が、生理学的な標的部位と接触するとオンになる電源である場合、例えば、電荷ポンピング回路、電荷ダブラなど、電源、例えば電池、の電圧出力を高めるまたは押し上げるための回路が提供される。かかる電圧エンハンサ要素は、電圧出力を約2倍以上、例えば、約5倍以上高めることができる。
【0078】
電力貯蔵
ある実施形態において、活性化部分は、電力貯蔵要素を含む。例えば、電池がゆっくり生成する電力が、電力貯蔵要素、例えばキャパシタ、に貯蔵され、その後、信号発生部分に投入される電力バーストとして提供される、例えば、デューティサイクル構成を用いることができる。ある実施形態において、活性化部分は、例えば、異なる組成物、例えば、実質的に同じ時間に摂取される丸薬、からの信号が、異なる時間に生成され、従って区別可能となるように、例えば、遅延、信号発生要素への電力供給を変調する時間調節要素を含む。
【0079】
付加的な特徴
ある実施形態において、組成物は、次の特徴の一つまたはそれ以上を有することにより特徴づけられる。ある実施形態において、組成物は、からだそのものが導電媒質として用いられる、通信の導電性近接場モードを用いる識別子を含む。かかる実施形態において、組成物は回路を含み、該回路は、組成物が(例えば、上述のように)破れて組成物から解放されたときにからだと直接に接触することになり、カプセルに包まれたまたは何らかの仕方で保護された状態には留まらない。これらの実施形態において、信号は、磁気信号または高周波信号ではない。ある実施形態において、システムは、からだと安定に結合されない外部デバイスがデータ収集に用いられるシステムとは区別され、からだと安定に結合される、例えば、移植される、または体外部位に局所的に取り付けられる、受信器を含む。ある実施形態において、組成物は、撮像システム、例えば、カメラまたは他の視覚化または撮像要素、或いはそれらの構成部分、例えば、CCD素子、照明素子などを含まない。ある実施形態において、組成物は、例えば、生理学的な標的部位との接触を検出する活性化因子を超える、生理学的なパラメータをセンシングするためのセンシング素子を含まない。ある実施形態において、組成物は、推進要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、流体回収要素のようなサンプリング要素を含まない。ある実施形態において、組成物は、送達要素に活性薬剤を放出させる信号を受信するまで活性薬剤を組成物に保持する要素のような、作動可能な活性薬剤送達要素を含まない。
【0080】
活性薬剤部分
本主題の組成物のある実施形態は、活性薬剤部分を含む。「活性薬剤」は、生体、例えば、ヒトのような哺乳類と接触した際に、生理学的な効果、例えば、有益または有用な効果をもたらす任意の化合物または化合物を混合したものを含む。活性薬剤は、賦形剤、キャリア、希釈剤、潤滑剤、結合剤および他の剤形助剤、並びにカプセル化さもなければ他の保護成分、のような構成部分からは区別される。活性薬剤は、生体内における生物学的な過程を調節することのできる、任意の分子、並びにその結合部分またはフラグメントである。ある実施形態において、活性薬剤は、病気の診断、治療、または予防において、または薬物の構成部分として、用いられる物質とすることができる。ある実施形態において、活性薬剤は、中枢神経系に作用して挙動の変化をもたらす、麻酔薬または幻覚剤のような、化学物質であってもよい。注目すべき活性薬剤は、そのリストの開示が参照によりここに組み込まれる、PCT出願PCT/US2006/016370号にリストされるものを含む。注目すべき広範な分類の活性薬剤は、限定されることなしに、心血管作動薬;痛み止め、例えば、鎮痛薬、麻酔薬、抗炎症薬など;神経作用薬;化学療法(例えば、抗悪性腫瘍)薬;などを含む。組成物の活性薬剤は、通常は、例えば、以下に記載されるような、医薬として許容される賦形剤またはキャリア内に存在する。ある実施形態において、活性薬剤は、活性化合物の0.1重量%から約90重量%、例えば、約1重量%から約30重量%の量で存在する。
【0081】
医薬として許容されるキャリア
望ましい場合に、本発明の組成物は、医薬として許容される賦形剤(すなわちキャリア)を含むことができる。共通のキャリアおよび添加剤、例えば、コーンスターチまたはゼラチン、ラクトース、デキストロース、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、二リン酸カルシウム、塩化ナトリウム、およびアルギン酸が注目される。本発明の製剤に共通に用いられる崩壊剤は、クロスカルメローセ、微結晶性セルロース、コーンスターチ、グリコール酸でん粉ナトリウムおよびアルギン酸を含む。
【0082】
溶液組成は、懸濁化剤、保存剤、界面活性剤、湿潤剤、香味剤または着色剤を含む、適切な液体キャリア(単数または複数)、例えば、エタノール、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールのような非水溶媒、オイルまたは水、中の化合物、または医薬として許容される塩の懸濁液または溶液を備えることができる。代わりに、液体に戻せる粉末から液剤を調製することもできる。例えば、活性化合物、懸濁化剤、スクロース、および甘味料を含む粉末を水に戻して懸濁液を形成することができ、活性成分、スクロースおよび甘味料を含む粉末からシロップを調製することもできる。
【0083】
錠剤または丸薬のかたちの組成物は、固体組成物を調製するために日常的に用いられる
任意の適切な医薬キャリア(単数または複数)を用いて調製することができる。かかるキャリアの例は、ステアリン酸マグネシウム、澱粉、ラクトース、スクロース、微結晶性セルロースおよび結合剤、例えば、ポリビニルピロリドンを含む。錠剤は、着色コーティング、またはキャリア(単数または複数)の一部として含まれる色をつけることもできる。加えて、活性化合物は、親水性または疎水性の基質を備える錠剤として、放出が制御された剤形に製薬されることができる。
【0084】
「放出が制御された」、「放出が持続する」、および同様の用語は、活性薬剤が、適用または摂取されるとすぐに分散されるよりむしろ、ある時間にわたって確認および制御が可能な速度で送達用賦形剤から放出されるときに起こる、活性薬剤送達モードを示すために用いられる。制御されたまたは持続する放出は、数時間、数日または数か月に及んでもよく、多くの要因に応じて変化してもよい。本発明の医薬組成物に関して、放出速度は、選択された添加剤の種類および組成物中における添加剤の濃度に依存することになる。放出速度のまた別の決定要因は、ポリオルトエステルユニットの相互間および内部における加水分解速度である。加水分解速度は、ポリオルトエステルの組成およびポリオルトエステルにおける加水分解性結合の数に次には依存し得る。医薬組成物から活性薬剤が放出される速度を決める他の要因は、粒子サイズ、媒質の酸性度(基質の内外いずれも)および基質中の活性薬剤の物理的および化学的特性を含む。
【0085】
かくして、任意の放出が制御された構造(例えば、胃保持型製剤、腸用製剤、徐放型製剤、結腸用製剤)内に活性な医薬を置くことができる。このようにして、識別子は、活性成分が放出されるのと同時に活性になる。さらに、一つより多い識別子、例えば、それらの一つは制御された放出の開始時点で活性化され、二番目は途中または最後に活性化される、二つの識別子を、放出が制御された構造に組み込むことができる。
【0086】
カプセルのかたちの組成物は、日常的なカプセル化の手順を用いて、例えば、活性化合物と添加剤とを固いゼラチンカプセルに組み込むことにより、調製することができる。代わりに、活性化合物の半固体の基質および高分子量のポリエチレンを調製し、固いゼラチンカプセルに充填することもでき、または、活性化合物の入ったポリエチレングリコール溶液または食用油、例えば、流動パラフィンまたはヤシ油の懸濁液を調製して、柔らかいゼラチンカプセルに充填することもできる。
【0087】
錠剤の結合剤は、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、澱粉およびエチルセルロース、を含むことができる。使用できる潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムまたは他のステアリン酸金属、ステアリン酸、シリコーン液、タルク、ワックス、油およびコロイド状シリカを含むことができる。
【0088】
ペパーミント、冬緑油、サクランボ香味料などのような香味剤も用いることができる。加えて、剤形をより目を引くものにする或いは製品を見分けるのに役立てるために、着色剤を加えることが望ましいことがある。
【0089】
本発明の製剤に用いることが適切な他の構成部分は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,Pa.,17th ed.(1985)」に見出される。
【0090】
識別子の製造
注目すべきある実施形態において、識別子要素は、半導体支持体部分を含む。識別子構造およびその構成部分を生産するのに、任意の様々な異なるプロトコルを用いることができる。例えば、成形、堆積および物質除去、例えば、表面マイクロマシニングおよびバルクマイクロマシニング技術を含む微小電気機械システム(MEMS)製造技術のような、プレーナプロセス技術を用いることができる。構造を製造することに関するある実施形態に用いられ得る堆積技術は、限定されることなしに、電気めっき、カソードアーク堆積、プラズマスプレー、スパッタリング、電子ビーム蒸着、物理気相堆積、化学気相堆積、プラズマ化学気相堆積などを含む。物質除去技術は、限定されることなしに、反応性イオンエッチング、異方性化学エッチング、等方性化学エッチング、例えば化学機械研磨を通じた平坦化、レーザーアブレーション、放電加工(EDM)などを含んだ。リソグラフィ・プロトコルも同様に注目される。ある実施形態において注目されるのは、様々な異なる物質の除去および堆積のプロトコルを順次的に基板に適用して、初めは平坦な基板の単数または複数の表面に構造が組み立てられるおよび/または除去される、プレーナプロセス・プロトコルの利用である。説明に役立つ注目すべき製造方法は、「創薬インフォマティクスシステム」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開第2006/116718として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号により詳細に記載されており、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0091】
組成物の作製方法
本発明による組成物を生成するために、様々な製作プロトコルを用いることができる。本主題の組成物を製作するに当たって、信号発生要素は、キャリア部分、例えば、投薬部分と何らかの仕方で安定に結合される。安定に結合されるとは、信号発生要素と剤形とが、例えば、摂取により、必要とされる対象に少なくとも投与されるまで、相互に分離しないことを意味する。信号発生要素は、組成物の医薬キャリア/活性薬剤部分と、多くの異なる方法で安定に結合されることができる。ある実施形態において、キャリア/活性薬剤組成物が錠剤または丸薬のような固体構造の場合、信号発生要素に空洞を提供する仕方でキャリア/活性薬剤部分が生成される。信号発生要素は、次に空洞内に置かれ、空洞が、例えば、生体適合性材料で、塞がれて最終的な組成物が生成される。例えば、ある実施形態において、結果的には圧縮錠中で空洞になる、凹凸形状が含まれたチップをもつ錠剤が生成される。信号発生要素は、空洞内に置かれ、空洞が塞がれて最終的な錠剤が生成される。この実施形態の変形において、錠剤は、例えば、棒状または他の使いやすい形状の、取り外し可能な要素を含んで圧縮される。取り外し可能な要素は、その後取り外されて、錠剤中に空洞が生成される。信号発生要素は、空洞内に置かれ、空洞が塞がれて最終的な錠剤が生成される。この実施形態のまた別の変形において、いかなる空洞もない錠剤が初めに生成され、その後、例えばレーザー穴あけにより、錠剤中に空洞が生成される。信号発生要素は空洞内に置かれ、空洞が塞がれて錠剤が生成される。錠剤に関するさらに他の実施形態においては、(例えば、図11に示されるような)オープン・フェース(open face)の医薬キャリア/活性薬剤の錠剤構成が採用され、活性薬剤/キャリアは、円い隙間を含む環状の錠剤型に初めから調製される。例えば、図11に示される実施形態において、二つの開いた環状型の医薬組成物111および113が、例えば、加圧成形、または他の使いやすい製造プロトコルにより調整される。識別子115も示されている。環状の錠剤111および113を製造した後に、識別子が図示されるように隙間に配置される。残った隙間117および119は、次に(図示されない)上述の活性化用の膜のいずれかで充填または被覆される。さらに他の実施形態において、錠剤は、信号発生要素を錠剤の副部品と結合されるにより生成され、該副部品は予め作られた副部品であってもよく、順次生産されてもよい。例えば、ある実施形態において、錠剤は、初めに錠剤の下半分がつくられ、錠剤の下半分の位置に信号発生要素が置かれ、その後、下半分および信号発生要素の上に錠剤の上の部分が置かれて、最終的な所望の組成物が生成される。ある実施形態において、錠剤は、つくられた錠剤の内部に信号発生要素が位置するように、信号発生要素を囲んで生成される。例えば、信号発生要素は、生体適合性対応物質、例えば、(信号発生要素を保護するための)ゼラチンのカプセル、に包まれていてもいなくてもよいが、錠剤内部に信号発生要素が位置する仕方で、キャリア/活性薬剤前駆体、例えば粉末、と結合されて、錠剤に圧縮または成形される。成形または圧縮の代わりに、ある実施形態においては、錠剤構造を作り上げる仕方で、キャリア/活性薬剤を信号発生要素上に噴霧してもよい。さらにまた別の実施形態において、錠剤構造に組み上がる仕方で、活性薬剤/キャリア前駆体部分を信号発生要素にスプレーしてもよい。さらにまた別の実施形態では、活性薬剤/キャリア部分の前駆体は、信号発生要素と混ざった液剤であり、次に固化されて、最終的な組成物が生成されてもよい。さらに他の実施形態では、予めつくられた錠剤に信号発生要素を安定に付着させることにより、錠剤に信号発生要素を取り付けてもよい。注目されるのは、例えば分解など、錠剤の特性を変化させないプロトコルである。例えば、ある実施形態では、錠剤の一端にスナップ留めるゲル化要素が用いられ、そこにチップが組み込まれる。ゲル化要素は、ある実施形態では、信号発生要素を取り付けた錠剤が容易に識別できるように、着色される。組成物が、例えば、ゼラチンカプセルが充填された構造のような、活性薬剤/キャリア組成で充填されたカプセル構造をもつ場合には、信号活性要素をカプセル部分、例えば上部または下部カプセル、と一体化し、次にカプセルに活性薬剤/キャリア組成を充填して、最終な組成物を生成してもよい。ここに吟味された製作方法は、本発明の組成物を製作することのできる様々な異なる方法をただ説明するためだけに示されたものである。
【0092】
システム
本主題の組成物を含むシステムも提供される。本主題の発明のシステムは、ある実施形態において、例えば先に概観したような、一つまたはそれ以上の制御活性化識別子、並びに、例えば受信器のかたちの、信号検出部分を含む。信号検出部分は、例えば先に概観したように、組成物の信号発生要素により発生される信号の特質に依存して大きく変わってもよい。
【0093】
ある実施形態において、信号検出部分は、移植可能な構成部分である。移植可能な構成部分の意味は、対象に、例えば半永続的または永続的に、移植するために、信号検出部分が設計、すなわち構成されることである。これらの実施形態において、信号検出部分は、使用中はインビボにある。さらに他の実施形態において、信号検出部分は、エクスビボにあり、これは検出部分が使用中に生体外にあることを意味する。これらのうちのある実施形態において、以下により詳細に記載されるように、エクスビボの検出部分と分離または一体化いずれかの状態で、例えば、検出器の信号発生要素から検出される信号に基づいて組成物の用量を分注するための、用量分注器要素が存在してもよい。かかる特徴は、例えば,前回の用量摂取に関する入力に基づいて次の用量を投与する閉ループ投与システムを提供するための、移植可能な検出部分にも存在してもよい。
【0094】
先に概観したように、ある実施形態において、組成物の信号発生要素は、標的の身体部位と接触すると活性化される。これらの実施形態のあるものでは、信号検出部分は、信号発生要素からの信号を検出すると活性化される。これらの実施形態のあるものでは、組成物は、断続的な信号を発生する。これらの実施形態のあるものでは、検出要素は、複数の組成物を同時に検出することができる。
【0095】
本発明に用いられる信号受信器は、「創薬インフィマティクスシステム」と題して2006年4月28日に出願され、国際公開2006/116718号として公開されたPCT出願PCT/US2006/16370号、並びに一連の米国仮出願:「創薬インフォマティクスのための信号受信器」と題して2007年2月1日に出願された第60/887,780号、「摂取可能な事象マーカー」と題して2007年7月11日に出願された第60/949,223号、「パーソナルヘルス信号受信器」と題して2007年8月18日に出願された第60/956,694号にさらに記載されており、これらの開示は参照によりここに組み込まれる。
【0096】
ある実施形態において、信号検出部分は、図10のシステムに示されるような心臓モニタリング要素を含む。図10は、組成物が、丸薬またはカプセルのかたちの経口摂取可能な製剤として構成される、本発明の丸薬/カプセルの実施形態の例となる概略図を示す。組成物14を摂取する患者10の胃12が示されている。この「スマート丸薬」が、口16から患者の胃の内部18に移動するようすが示されている。胃に到達すると、丸薬/カプセルは、胃の機械的作用および、塩酸および他の消化薬のような、胃液にある様々な化学物質の両方による分解過程を経る。図10は、移植された心血管デバイス「カン(can)」8およびリード線6も示され、これらの部分は、丸薬14から発する信号をモニタおよび検出するために用いられる。モニタデバイスは、例えば、皮下に、心臓に、または胃に近い腰部になど、他の部位にも配置することができる。特定の用途により、配置をどの部位に置くか提案することができる。
【0097】
方法
本発明の制御活性化識別子は、診断およびモニタリング用途などにおいて、医薬の送達を含む、様々な異なる用途に利用法が見出される。識別子が、一つまたはそれ以上の医薬活性薬剤を含む組成物中で用いられる方法において、本発明の組成物の有効量が、組成物中に存在する活性薬剤を必要とする対象に投与されるが、「有効量」は、所望の効果、例えば、病状またはそれと関係する症状の改善、所望の生理学的変化の達成、などをもたらすのに十分な用量を意味する。投与される量は、治療上有効な量とも見做すことできる。「治療上有効な量」は、病気を治療するために対象に投与されたときに、その病気の治療に効果をもたらすのに十分な量を意味する。
【0098】
組成物は、所望の結果をもたらすことのできる任意の使いやすい手段を用いて、対象に投与されることができ、投与経路は、例えば、先に概観したように、少なくとも一部、組成物の特定の形式に依存する。先に概観したように、組成物は、限定されることなしに、錠剤、カプセル、粉末、粒、軟膏、溶液、坐薬、注射のような、固体、半固体または液体を含めて、治療のために投与される様々なかたちに剤形することができる。かくして、組成物の投与は、限定されることなしに、経口、口腔、直腸、輸液、腹腔内、経皮、気管内などの投与を含む、様々な方法で達成することができる。所与の組成物は、医薬の投薬形態で、単独に、または、例えば、安定に結合された信号発生要素も有する組成物であってもよい、他の医薬とし活性な化合物と組み合わせて、投与されることができる。
【0099】
本主題の方法は、病状を含めて、様々な異なる状態の治療に利用法が見出される。本主題の組成物によって治療が可能な特定の病状は、本主題の組成物中に存在し得る活性薬剤の種類と同じくらい多様である。それ故、病状は、限定されることなしに、心疾患、腫瘍性疾患のような細胞増殖疾患、自己免疫疾患、ホルモン異常疾患、伝染性疾患、疼痛管理などを含む。
【0100】
治療は、対象を苦める病状に係る症状を少なくとも改善することを意味し、改善は、広い意味で、治療される病的状態に関係するパラメータ、例えば症状、の大きさを少なくとも低減することを指す。かくして、治療は、病的状態、または少なくともそれに係る症状が完全に抑制される、例えば、発生が防がれる、または止められる、例えば、対象がもはや病的状態、または少なくとも病的状態を特徴づける症状、に苦しまないまでに終結される、状態も含む。従って、病気を「治療すること」または「治療」は、病気に罹りやすいかもしれないがまだその病気に罹っていない、または病気を発症していない動物の病気の発生を防ぐこと(予防的治療)、病気を抑制すること(進行を遅らせる、または止めること)、(苦痛緩和治療を含めて)病気の症状または副作用からの寛解をもたらすこと、および病気を軽減する(それにより病気を後退させる)ことを含む。本発明の目的のために、「病気」は痛みを含む。
【0101】
本発明の方法により、様々な対象の治療が可能である。一般に、かかる対象は、「哺乳動物」または「哺乳網」であり、これらの用語は、食肉目(例えば、イヌおよびネコ)、齧歯目(例えば、マウス、モルモット、およびラット)、並びに霊長目(例えば、ヒト、チンパンジー、およびサル)を含む、「哺乳網」の網のうちの生物を記述するのに広く用いられる。代表的な実施形態において、対象はヒトである。
【0102】
ある実施形態において、本主題の方法は、上述のように、1週間またはそれ以上、1か月またはそれ以上、6か月またはそれ以上、1年またはそれ以上、2年またはそれ以上、5年またはそれ以上などのように、例えば長期間にわたって、病状を管理する方法である。本主題の方法は、一つまたはそれ以上の付加的な病気管理プロトコル、例えば心疾患管理における、ペーシングプロトコル、心臓再同期プロトコルなどのような電気刺激に基づくプロトコル;様々な異なる病状に対する食餌および/または運動療法のような生活スタイル;などと併用して用いられてもよい。
【0103】
ある実施形態において、本方法は、組成物から得られた治療レジメンに基づくデータを変更することを含む。例えば、処方された治療レジメンの患者による遵守に関する情報を含むデータを取得することができる。このデータは、例えば、上述のセンサデバイスのような、一つまたはそれ以上のセンサを用いて得られる付加的な生理学的データの有無にかかわらず、所与の投薬療法が維持されるべきか、または、何らか、例えば投薬療法および/または移植活用法の変更により、修正されるべきか、を決定するために、例えば要望に応じて然るべき決定ツールとともに、用いることができる。かくして、本発明の方法は、治療計画が組成物(単数または複数)から得られる信号に基づいて修正される方法を含む。
【0104】
ある実施形態においては、本発明の組成物の履歴を決定する方法も提供され、該組成物は、活性薬剤、識別子要素および医薬として許容されるキャリアを含む。識別子が応答要求に応じて信号を発するある実施形態において、識別子は、例えば、ワンド(wand)または他の適切な応答要求デバイスによる、信号を得るための応答要求である。得られた信号は、次に、例えば、供給元、生産・加工・流通過程の管理など、組成物に関する履歴情報を決定するために用いられる。
【0105】
識別子が消化によって壊れない識別子であるさらに別の実施形態において、本方法は、組成物の信号発生要素を、例えば、該組成物を摂取した対象から回収することにより、入手すること、および次に、入手した信号発生要素から該組成物の履歴を決定すること、を広く含む。例えば、信号発生要素が刻印された識別子、例えばバーコードまたは他の種類の識別子、を含む場合、刻印された識別子を、組成物を摂取した対象から回収し、組成物の履歴の少なくともある様態、例えば、知られる最終的な購入者、組成物の生産・加工・流通管理における付加的な購入者、製造業者、取扱い履歴など、を読み取って確認することができる。ある実施形態において、この決定ステップは、組成物の履歴を蓄積したデータベースまた類似の編集物にアクセスすることを含んでもよい。
【0106】
本発明は、臨床医に、体内に実際に送達された医薬品の自動検出及び識別という、医療装備における重要で新しいツールを提供する。この新しい情報デバイスおよびシステムの用途は、多種多様である。用途は、限定されることなしに、(1)処方された治療レジメンへの患者の遵守のモニタリング、(2)患者の遵守に基づく治療レジメンの個別調整(tailoring)、(3)臨床試験における患者の遵守のモニタリング、(4)規制物質の使用に関するモニタリング、などを含む。これらの異なる説明に役立つ用途の各々は、「創薬インフォマティクスシステム」と題して2006年4月26日に出願され、国際公開第2006/116718号として公開された国際出願PCT/US2006/16370号において以下により詳細に吟味されており、それらの開示は参照によりここに組み込まれる。
【0107】
識別子がいかなる医薬品とも別に摂取される方法も注目される。かかる方法は、識別子が、摂取可能な事象マーカーとして用いられる方法を含む。かかる方法において、識別子は、医薬活性薬剤なしに摂取される。識別子は、例えば上述の、医薬として許容される賦形剤に含まれて摂取されることができる。識別子が摂取可能な事象マーカーとして用いられる特定の用途は、限定されることなしに、「摂取可能な事象マーカー」と題して2007年7月11日に出願された米国仮出願第60/949223号に記載されるものを含み、その開示は参照によりここに組み込まれる。
【0108】
制御活性化識別子が活性薬剤とともに投与されず、代わりに摂取可能な事象マーカーとして用いられる特定の用途の一例は、GI管の運動性をモニタリングする用途である。かかる用途においては、摂取から小腸までの通過時間を測定するために、高pHでのみ活性化される制御活性化識別子が用いられる。この実施形態の変形では、GI管の異なる部分で活性化される複数のデバイスが用いられ、この実施形態は、GI管の様々な部分におけるデバイスの滞在時間をマッピングするために用いることができる。例えば、一事例において、三つの制御活性化識別子(それらは、同じ丸薬中または別々の丸薬中に存在してもよい)が用いられる。第1の識別子は、摂取されると直ぐ(例えば、それは胃に到達する)活性化されるように構成される。第2の制御活性化識別子は、識別子が小腸に到達するまで活性化を遅らせる、低pH‐不溶性、高pH‐溶解性コーティング(オイドラギット)を含む。第3の識別子は、結腸でのみ分解される、制御活性化要素コーティング(例えば、アミラーゼ+エチルセルロース)を含む。様々な識別子の活性化時間から、胃、小腸、および結腸までの通過時間を決定または測定することができ、対象の消化管の運動性について詳細なデータを収集することができる。
【0109】
キット
本主題の方法を実施するためのキットも提供される。キットは、上述のように、本発明の一つまたはそれ以上の組成物を含むことができる。キットに提供される一つまたはそれ以上の医薬品の投与量は、単一使用または複数使用に十分な量であってもよい。従って、本主題のキットのある実施形態では、医薬品の単一投与量が存在し、ある他の実施形態では、医薬品の複数投与量が存在してもよい。薬理作用物質の複数投与量をもつ実施形態において、それらは、単一の容器、例えば、単一チューブ、ボトル、バイアル(vial)などに詰めてもよく、または、一つまたはそれ以上の投与量を、あるキットが一つの薬理作用物質の一つより多い容器をもつように、個別に詰めてもよい。一つまたはそれ以上の薬理作用物質を対象に届ける適切な方法も、主題のキット中に提供される。先に概観したように、ある実施形態において、キットは信号受信要素も含んでもよい。ある実施形態において、キットは、例えば、上述のように、組成物の用法に関して得られるデータの取得および処理が行われる、離れた場所、例えば、医院、中央施設などとの通信を可能にする、外部モニタデバイスも含むことができる。
【0110】
本主題のキットは、キットの構成部分を用いて本主題の方法をいかに実施するかに関するインストラクションも含むことができる。このインストラクションは、適切な記録媒体または下地に記録することができる。例えば、紙またはプラスチックなどのような下地にインストラクションを印刷してもよい。かくして、インストラクションは、キットまたはその構成部分などの容器に(すなわち、パッケージ化またはサブパッケージ化に付随して)ラベル付した添付文書として、キットに存在してもよい。他の実施形態において、インストラクションは、適切なコンピュータ可読の記憶媒体、例えば、CD‐ROM,ディスケットなどに存在する電子記憶データファイルとして存在する。さらに他の実施形態においては、キット中に実際のインストラクションは存在しないが、インストラクションを離れた情報源から、例えばインターネット経由で、取得するための手段が提供される。この実施形態の一例は、インストラクションが見られる、および/またはインストラクションをダウンロードできる、ウェッブアドレスを含むキットである。インストラクションと同様に、インストラクションを取得するこの手段も適切な下地に記録することができる。
【0111】
本主題のキットのいくつかまたはすべての構成部分は、無菌状態を維持するために、適切なパッケージに詰めるとよい。本主題のキットの多くの実施形態において、キットの構成部分は、単一で取扱いが容易なユニットにするためにキット収納要素に詰められるが、キット収納要素、例えば、箱または同様の構造は、例えば、キットのいくつかまたはすべての構成部分の無菌状態をさらに保つための機密な入れ物であってもなくてもよい。
【0112】
本発明は、記載される特定の実施形態には限定されず、かくして変更されてもよいことが理解されるべきである。さらに、ここに用いられる用語は、特定の実施形態のみを記載するためのものであり、限定的となることは意図されていない。なぜなら、本発明の範囲は、添付される請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
【0113】
値の範囲が提示されるところでは、その範囲の上限と下限との間に介在する各々の値、文脈が明確に別なことを指示しなければ、下限を単位としてその10分の1までの値、およびその指定範囲における任意の他の指定値または介在する値が本発明に包含されると理解される。これらのより狭い範囲の上限および下限は、独立にそのより狭い範囲に含めてもよく、指定範囲において具体的に除外される限界を前提として、本発明に包含される。指定範囲が、限界の一方または両方を含む場合は、それらの含まれる限界の一方または両方を除く範囲も本発明に含まれる。
【0114】
他に定義されなければ、本明細書で用いられるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味をもつ。ここに記載されるものと類似するかまたは同等の任意の方法および材料も、本発明を実施または試験するために用いることができるが、代表的で説明に役立つ方法および材料がここに記載される。
【0115】
本明細書に引用されるすべての出版物および特許は、あたかも各個別の出版物または特許が、参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されて参照により組み込まれるように、出版物が関連して引用される方法および/または材料を開示かつ記載するために、参照により本明細書に組み込まれる。いかなる出版物の引用も、本出願日に先立つ公開に関するものであり、本発明が、従来発明のためにかかる公開に先行する資格がないことを認めると解釈されるべきではない。さらに、示されている公開日が実際の公開日とは異なることもあり、個別に確認する必要もあり得る。
【0116】
付記すべきこととして、本明細書および添付される特許請求の範囲に用いられる、単数形「一つの(a)」、「1つの(an)」および「該(the)」は、文脈が明確に他のことを指示しない限り、複数の指示対象を含む。さらに付記すべきこととして、特許請求の範囲は、任意の随意的な要素を除外するように記載されることができる。かくして、この記述は、「単に(solely)」、「だけ(only)」のような排他的用語を請求項の要素の列挙に関連して用いる、または「否定的」限定を用いるための先行詞として役立てることを意図するものである。
【0117】
本開示を読んだ際に当業者に明らかになるように、ここに記載および図示される個別の実施形態の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、容易に任意の他のいくつかの実施形態の特徴から容易に分離、またはそれらと組み合わせできる個別的な構成要素および特徴を有する。列挙されるいずれの方法も、列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実行することができる。
【0118】
上述の発明は、理解を明確にする目的で図解および実例によりいくらか詳細に記載されているが、添付される特許請求の範囲の精神または範囲から逸脱することなく、本発明に対していくつかの変更および修正がなされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者にはすぐにわかることである。
【0119】
従って、先に記載されたことは、本発明の原理を単に示したに過ぎない。当然のことながら、当業者は、本明細書に明確に記載または明示されていなくても、本発明の原理を具体化しかつその精神および範囲内に含まれる、様々な組み立てを工夫できるであろう。さらに、ここに列挙されるすべての例および条件を示す言語は、本発明の原理、および技術を促進するために発明者が提供した概念を、読み手が理解する助けとなることを主に意図しており、かかる具体的に列挙された例および条件には限定されないことが解釈されるべきである。さらに、本発明の原理、様態および実施形態、ならびにその具体例を列挙する本明細書のすべての記述は、その構造的および機能的等価物を包含する意図をもつ。加えて、かかる等価物は、現在知られている等価物、および将来的に開発される等価物、すなわち構造にかかわらず同じ機能を実行する任意の開発される要素の両方を含む。本発明の範囲は、それ故に、本明細書に明示かつ記載される例となる実施形態に限定される意図をもたない。むしろ、本発明の範囲および精神は、添付される特許請求の範囲により具体化される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)医薬活性薬剤、
(b)標的部位と接触したときに信号を発する制御活性化識別子、および
(c)医薬として許容される担体
を備える医薬組成物。
【請求項2】
前記制御活性化識別子は、標的部位に存在する標的部位流体と接触すると活性化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記信号は前記標的部位流体に依存しない、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記識別子は、
(i)固体支持体、
(ii)該固体支持体の表面上に存在し、異なる電気化学的活性をもつ第1および第2の物質、および
(iii)乾燥した導電媒質前駆体
を備える、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体が水と結合されて、前記第1および第2の物質を導電的に連結する導電媒質が生成されたとき、信号を発する信号生成システムをさらに備える、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体を保持する保護バリヤをさらに備える、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記保護バリヤは半透膜である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記保護バリヤは流体流路を備える固体バリヤである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記流路は毛細管流体流路である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記毛細管流体流路は、該毛細管流路を通る親水性の流体の流れを促進するために、表面エネルギーが変更された少なくとも一つの表面を備える、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記識別子は、該識別子を所定の仕方で活性化するのに十分な導電性を有する流体と接触すると破れるバリヤにより保護された、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記識別子は、流体と接触すると既知の時間遅延方式で溶解するポリマーコーティングにより保護された、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーコーティングは、外部流体が摂取された後に前記標的部位流体のpHまたは導電性が所定値に達するのに要するのと実質的に同じ時間内に溶解する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記識別子は集積回路を備える、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記識別子は少なくとも一つのアンテナを備える、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記アンテナは電極を備える、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物は経口製剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記経口製剤は固体経口製剤である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記固体製剤は丸薬である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
標的部位に存在する標的部位流体と接触すると信号を発する、摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項21】
前記識別子は、
(a)固体支持体、
(b)該固体支持体の表面上に存在し、異なる電気化学的活性をもつ第1および第2の物質を備える、請求項20に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項22】
前記識別子は、乾燥した導電媒質前駆体をさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項23】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体を保持する保護バリヤをさらに備える、請求項22に記載の識別子。
【請求項24】
前記識別子は保護バリヤをさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項25】
前記保護バリヤは半透膜である、請求項24に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項26】
前記保護バリヤは流路を備える固体バリヤである、請求項24に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項27】
前記流路は毛細管流路である、請求項25に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項28】
前記毛細管流路は、該毛細管流路を通る親水性の流体の流れを促進するために、表面エネルギーが変更された少なくとも一つの表面を備える、請求項27に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項29】
前記識別子は、該識別子を所定の仕方で活性化するのに十分な導電性を有する流体と接触すると破れるバリヤにより保護された、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項30】
前記識別子は、流体と接触すると時間遅延方式で溶解するポリマーコーティングにより保護された、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項31】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体が水と結合されて前記第1および第2の物質を導電的に連結する導電媒質が生成されたときに、信号を発する信号生成システムをさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項32】
(a)請求項1から31のいずれかに記載の組成物または識別子、および
(b)該識別子により生成される信号を検出するための受信器
を備えるシステム。
【請求項33】
前記受信器はインビボ受信器である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記受信器はエクスビボ受信器である、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
請求項1から31のいずれかに記載の組成物または識別子を対象に投与すること、を含む方法。
【請求項36】
前記方法は、前記対象のある位置に、前記識別子により生成される信号を検出するための受信器を移植することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、前記受信器を前記対象の局所的な位置に関連付けることをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
状態は心臓血管疾患の状態である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記方法は、前記対象の薬剤に対する反応を評価することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、前記評価することに基づいて前記対象の治療レジメンを調整することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、各々が識別可能な信号を発する前記組成物を二つまたはそれ以上投与することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1から31のいずれかに記載の少なくとも一つの組成物または識別子を備えるキット。
【請求項43】
前記キットは複数の前記組成物または識別子を備える、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記キットは受信器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
前記キットは用量投与要素をさらに備える、請求項42に記載のキット。
【請求項46】
前記用量投与要素は、前記組成物の複数回用量を含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
異なる電気化学的活性をもつ二つの物質および乾燥した導電媒質前駆体を備え、生理学的流体と接触すると活性化される、10mm3より小さい電池。
【請求項48】
前記電池は約1mm3より小さい、請求項47に記載の電池。
【請求項49】
前記二つの物質は、半導体支持体の両側に配置された電極層である、請求項47に記載の電池。
【請求項50】
前記二つの物質は、別個の半導体支持体上の電極層であり対向関係にある、請求項47に記載の電池。
【請求項51】
前記電池は、信号発生要素をさらに含む識別子中に存在する、請求項50に記載の電池。
【請求項1】
(a)医薬活性薬剤、
(b)標的部位と接触したときに信号を発する制御活性化識別子、および
(c)医薬として許容される担体
を備える医薬組成物。
【請求項2】
前記制御活性化識別子は、標的部位に存在する標的部位流体と接触すると活性化される、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記信号は前記標的部位流体に依存しない、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記識別子は、
(i)固体支持体、
(ii)該固体支持体の表面上に存在し、異なる電気化学的活性をもつ第1および第2の物質、および
(iii)乾燥した導電媒質前駆体
を備える、請求項3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体が水と結合されて、前記第1および第2の物質を導電的に連結する導電媒質が生成されたとき、信号を発する信号生成システムをさらに備える、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体を保持する保護バリヤをさらに備える、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記保護バリヤは半透膜である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記保護バリヤは流体流路を備える固体バリヤである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記流路は毛細管流体流路である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記毛細管流体流路は、該毛細管流路を通る親水性の流体の流れを促進するために、表面エネルギーが変更された少なくとも一つの表面を備える、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記識別子は、該識別子を所定の仕方で活性化するのに十分な導電性を有する流体と接触すると破れるバリヤにより保護された、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記識別子は、流体と接触すると既知の時間遅延方式で溶解するポリマーコーティングにより保護された、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記ポリマーコーティングは、外部流体が摂取された後に前記標的部位流体のpHまたは導電性が所定値に達するのに要するのと実質的に同じ時間内に溶解する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記識別子は集積回路を備える、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記識別子は少なくとも一つのアンテナを備える、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記アンテナは電極を備える、請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物は経口製剤である、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記経口製剤は固体経口製剤である、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
前記固体製剤は丸薬である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
標的部位に存在する標的部位流体と接触すると信号を発する、摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項21】
前記識別子は、
(a)固体支持体、
(b)該固体支持体の表面上に存在し、異なる電気化学的活性をもつ第1および第2の物質を備える、請求項20に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項22】
前記識別子は、乾燥した導電媒質前駆体をさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項23】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体を保持する保護バリヤをさらに備える、請求項22に記載の識別子。
【請求項24】
前記識別子は保護バリヤをさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項25】
前記保護バリヤは半透膜である、請求項24に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項26】
前記保護バリヤは流路を備える固体バリヤである、請求項24に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項27】
前記流路は毛細管流路である、請求項25に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項28】
前記毛細管流路は、該毛細管流路を通る親水性の流体の流れを促進するために、表面エネルギーが変更された少なくとも一つの表面を備える、請求項27に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項29】
前記識別子は、該識別子を所定の仕方で活性化するのに十分な導電性を有する流体と接触すると破れるバリヤにより保護された、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項30】
前記識別子は、流体と接触すると時間遅延方式で溶解するポリマーコーティングにより保護された、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項31】
前記識別子は、前記乾燥した導電媒質前駆体が水と結合されて前記第1および第2の物質を導電的に連結する導電媒質が生成されたときに、信号を発する信号生成システムをさらに備える、請求項21に記載の摂取可能な制御活性化識別子。
【請求項32】
(a)請求項1から31のいずれかに記載の組成物または識別子、および
(b)該識別子により生成される信号を検出するための受信器
を備えるシステム。
【請求項33】
前記受信器はインビボ受信器である、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
前記受信器はエクスビボ受信器である、請求項32に記載のシステム。
【請求項35】
請求項1から31のいずれかに記載の組成物または識別子を対象に投与すること、を含む方法。
【請求項36】
前記方法は、前記対象のある位置に、前記識別子により生成される信号を検出するための受信器を移植することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記方法は、前記受信器を前記対象の局所的な位置に関連付けることをさらに備える、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
状態は心臓血管疾患の状態である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記方法は、前記対象の薬剤に対する反応を評価することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記方法は、前記評価することに基づいて前記対象の治療レジメンを調整することをさらに含む、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記方法は、各々が識別可能な信号を発する前記組成物を二つまたはそれ以上投与することを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項1から31のいずれかに記載の少なくとも一つの組成物または識別子を備えるキット。
【請求項43】
前記キットは複数の前記組成物または識別子を備える、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記キットは受信器をさらに備える、請求項43に記載のキット。
【請求項45】
前記キットは用量投与要素をさらに備える、請求項42に記載のキット。
【請求項46】
前記用量投与要素は、前記組成物の複数回用量を含む、請求項45に記載のキット。
【請求項47】
異なる電気化学的活性をもつ二つの物質および乾燥した導電媒質前駆体を備え、生理学的流体と接触すると活性化される、10mm3より小さい電池。
【請求項48】
前記電池は約1mm3より小さい、請求項47に記載の電池。
【請求項49】
前記二つの物質は、半導体支持体の両側に配置された電極層である、請求項47に記載の電池。
【請求項50】
前記二つの物質は、別個の半導体支持体上の電極層であり対向関係にある、請求項47に記載の電池。
【請求項51】
前記電池は、信号発生要素をさらに含む識別子中に存在する、請求項50に記載の電池。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2010−508293(P2010−508293A)
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−534871(P2009−534871)
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082563
【国際公開番号】WO2008/052136
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/082563
【国際公開番号】WO2008/052136
【国際公開日】平成20年5月2日(2008.5.2)
【出願人】(505222679)プロテウス バイオメディカル インコーポレイテッド (65)
【Fターム(参考)】
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