説明

摘花剤

本発明の摘花剤は、水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、(a)0.03≦P≦30、(b)3≦Q≦800、(c)0.5≦Q/P≦1000〔P:SALD2000Aレーザー式粒度分布計による平均粒子径(μm)、Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)〕の要件を満たすことを特徴とする。本発明の摘花剤は、人体に対して安全で、散布タイミングのぶれにも適応性が高く、且つ、摘花効果が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、摘花剤に関し、更に詳しくは、環境に悪影響を与えない上、薬害の恐れが少なく、地域・天候等の影響を受け難い、リンゴ、ナシ、モモ、ぶどう、カキ等に有用な摘花剤に関する。
【背景技術】
果樹栽培農家の作業の内、着果数を制限する摘雷・摘花・摘果と果実の均等な着色を狙った葉摘みの作業は非常に大きな負担となっている。例えば、リンゴでは、これらの作業が全作業に占める割合は約半分を占めているといわれている。この内、摘雷・摘花・摘果作業は、果実品質を大きく作用する重要な作業であるが、その作業を決められた短期間に終える必要性があるため、果樹農家に対する負担は大きい上、特に日本では、農業人口の高齢化問題もあり、省力化は大きな課題である。この摘雷・摘花・摘果は、リンゴのみならず、ナシ、モモ、ぶどう、カキ、柑橘類等においても必要な作業とされており、該作業を行うことで果実数を制限して果実の肥大化や枝葉の発達を促すのである。この内、摘花は手作業で行う方法以外に、従来から摘花剤を散布することが実施されている。
これまでに提案され、又は実用化されている摘花剤としては、例えば、石灰硫黄合剤を有効成分とする摘花剤がある。しかしながら、石灰硫黄合剤は、一定の効果があるものの、強い塩基性であると共に強い異臭を有し人体に悪影響をおよぼす恐れがあるため、マスクや保護眼鏡、防御服等で防護措置を取る必要がある等、作業性が悪く取り扱い面に問題があった。また、石灰硫黄合剤は、強い塩基性であるが故、散布器具の金属を腐食させるという懸念もある。この現象を改善するために、石灰量を減少させ、pHを中性領域に近づけた場合、硫黄量が増加するために葉のやけ等の薬害現象が激しくなる傾向があるため、pH調整をすることは好ましい方法ではない。更に、該石灰硫黄合剤を使用した場合、みつばち等の訪花昆虫が活動した際に、硫黄に基づく異臭がみつばちによりもたらされ、ハチミツの品質の低下を招く恐れがあり、近年、特に問題となってきている。従って、石灰硫黄合剤の使用は、一定の摘花効果は認められるものの、副作用の面で好ましいものとは云い難い。
また、日本国特開平2000−290103号公報、日本国特開2001−206804号公報、日本国特開2001−206805号公報において、有機の水溶性酸のクエン酸,グルコン酸,コハク酸,乳酸,フマル酸,リンゴ酸,酢酸,酒石酸,プロピオン酸等の有機酸及び有機酸塩を有効成分とする摘花剤が提案されている。しかしながら、上記記載の有機酸及び有機酸塩を用いた場合、開花後1〜数時間内に散布すれば一定の摘花効果が認められるものの、摘花剤は自然の状況下で使用するため、地域差・天候や気温の変化等により、常に狙った通りのタイミングで散布することは極めて難しく、散布タイミングがぶれた場合、その効果が著しく低下するため、安定した摘花効果を上げることが困難であるという欠点を有していた。
更に、日本国特開2000−198704号公報、日本国特開2001−328910号公報において、イタコン酸等の脂肪族有機酸等を有効成分とする摘花剤が提案されている。しかしながら、イタコン酸等の脂肪族有機酸を有効成分とする薬剤を用いた場合、一定の摘花効果は認められるものの、葉がカールしたり一時的に垂れ下がるエピナスティ現象や葉の褐変が発生する等の薬害が発生する問題点があり、あまり好ましいものとは言えなかった。
また、上述の物質は、全て水溶性物質であるため、摘花剤が流れ易く、散布適正時期が雨天であった場合、摘花効果が殆ど期待出来ない問題もあった。
また、日本国特開昭55−13233号公報、日本国特開昭58−157706号公報において、レシチン、植物ステロール等を有効成分とする摘花剤が提案されている。しかしながら、レシチン等を単独で用いた場合、一定の摘花効果は認められるものの、効果の持続性が不十分であるため、充分な摘花効果を得ることが困難であった。この理由としては、以下のことが考えられる。即ち、樹は自然下で育成されるため、樹単位及び枝単位で樹勢の強弱が存在する。このため、開花期において、花の開花タイミングを完全に揃えることは難しい。このため、特定の枝では効果が認められるものの、別の枝では効果が殆ど確認出来ないケースがあり、その結果、処理区全体を平均した場合、必ずしも十分な摘花効果を得ることが困難であったと推定される。また、摘花効果の不十分さを補うべく、散布濃度を上げた場合は、葉の褐変等の薬害が発生する傾向にあり好ましくなく、更に、該物質等を水等に溶解した場合、摘花剤が流れ易く、散布適正時期が雨天であった場合、摘花効果が殆ど期待出来ない問題もあった。
本発明者らは、かかる実状に鑑み、上記課題を解決し、人体に対して安全で、散布タイミングのぶれにも適応性が高く、且つ、摘花効果の高い摘花剤を提供するものである。
【発明の開示】
本発明の請求項1は、水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(b)及び(c)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(a)0.03≦P≦30
(b)3≦Q≦800
(c)0.5≦Q/P≦1000
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
本発明の請求項2は、水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(d)、(e)及び(f)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(d)0.03≦P≦10
(e)7≦Q≦300
(f)0.5≦Q/P≦300
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
本発明の請求項3は、水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(g)、(h)及び(i)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(g)0.03≦P≦5
(h)10≦Q≦200
(i)1≦Q/P≦150
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
本発明の請求項4は水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(j)、(k)及び(l)の要件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摘花剤。
(j)0.5≦Dys≦10
(k)0.002≦Dxs≦10
(l)0.5≦Dys/Dxs≦300
Dys:水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)
Dxs:Dysの平均細孔径
Dys/Dxs平均細孔径の量
本発明の請求項5は、水難溶性無機化合物が、ケイ酸塩鉱物、炭酸カルシウム、ゼオライト、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の摘花剤を内容とする。
本発明の請求項6は、水難溶性無機化合物が、ケイ酸塩鉱物、ゼオライト、リン酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の摘花剤を内容とする。
本発明の請求項7は、リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(m)及び(n)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(m)0.01≦R≦30
(n)0.5≦S≦300
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)
本発明の請求項8は、リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(o)及び(t)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(o)0.01≦R≦10
(t)0.5≦S≦100
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)
本発明の請求項9は、リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(u)及び(v)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤を内容とする。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(u)0.01≦R≦5
(v)0.5<S≦10
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)
本発明の請求項10は、添加剤が、縮合リン酸及びその塩、レシチン、ステロール、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の摘花剤を内容とする。
本発明の請求項11は、添加剤の量が水難溶性無機化合物100重量部に対し0.005〜200重量部である請求項1〜10のいずれか1項に記載の摘花剤を内容とする。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明で用いる水難溶性無機化合物とは、添加剤との混合製剤とした場合に、上述の(a)、(b)及び(c)の要件を満たすことのできる水難溶性無機化合物であれば特に限定はされないが、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、硫酸バリウム、珪酸塩化合物、ゼオライト等が例示出来、これらは、単独で用いても2種以上組み合わせて用いても構わない。
これらの中でもリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸塩鉱物、ゼオライトは、適度な多孔質度を有するものや適度な分散性を有するものを作り易い点で好ましく、より好ましくは、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ケイ酸塩鉱物、ゼオライトが好ましく、中でもリン酸カルシウムは特に好ましい。
尚、リン酸カルシウムの多孔質度とは、窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)で算出され、摘花剤が一定の時間に一定濃度で放出される様に適度な多孔質度を有するように調整するのが好ましい。
本発明のリン酸カルシウムとしては、非晶質リン酸カルシウム(略号:ACP、化学式:Ca(PO・nHO)、フッ素アパタイト(略号:FAP、Ca10(PO)、塩素アパタイト(略号:CAP、Ca10(POCl)、ヒドロキシアパタイト((略号:HAP、Ca10(POOH)、リン酸八カルシウム(略号:OCP、化学式:Ca(PO・5HO)、リン酸三カルシウム(略号:TCP、化学式:Ca(PO)等が例示出来、これらは単独でも2種以上組み合わせてもよく、炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合組成物でも構わない。炭酸カルシウムとリン酸カルシウムの混合組成物の合成に関しては、日本国特願平7−196144の方法等で作成が可能である。
これらの中でも、適度な大きさ、多孔質度及び分散性を有する観点で、非晶質リン酸カルシウム、リン酸3カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸カルシウムと炭酸カルシウムの混合物が好ましく、中でも、非晶質リン酸カルシウムが最も好ましく、WO97−3016、WO03−17786、WO03−32752等に記載の方法等で作成が可能である。
以下に反応条件例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(化合条件1)
▲1▼リン酸の希釈水溶液:1〜50重量%
▲2▼リン酸の添加量:1〜70重量%(対CaCO
▲3▼混合撹拌羽根の周速:0.5m/秒以上
▲4▼混合時間:0.1〜150時間
▲5▼混合系水懸濁液温度:0〜80℃
▲6▼混合系のpH:5〜9
(熟成条件1)
▲1▼熟成羽根の周速:0.5m/秒以上
▲2▼熟成時間:0.1〜100時間
▲3▼熟成系水懸濁液温度:20〜80℃
▲4▼熟成系の水懸濁液pH:6〜9
上記反応条件において、SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)を小さくするためには、混合撹拌羽根の周速を上げたり、混合時間を長くすれば良く、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)を小さくするためには、リン酸の添加量を減少させれば良い。また、電子顕微鏡による測定した粒子のサイズを小さくしたり、多孔度を高くするには、反応時の撹拌条件を強くすれば良い。
(化合条件2)
水と水酸化カルシウム、カルボキシル基を有する有機酸を混合した前駆物質を作成し、該前駆物質にリン酸源・アルカリ金属源を添加する。
尚、調製時の各成分の好ましいモル比は、下記の通りである。
多価金属イオン:カルボキシル基を有する有機酸イオン=
0.8:1〜200:1
カルボキシル基を有する有機酸イオン:リン酸イオン=
1:0.6〜1:140
カルボキシル基を有する有機酸イオン:アルカリ金属イオン=
1:0.01〜1:8
(熟成条件2)
熟成系水懸濁液温度:80〜230℃
熟成時間:0.5〜48時間
尚、上記反応条件において、SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)を小さくしたり、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)を低くするためには、上記熟成温度を高くしたり、熟成時間を長くすれば良い。
また、アルカリ金属源の添加量を多くしても、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)を低くすることが可能となる。
本発明の炭酸カルシウムとしては、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、コロイド炭酸カルシウム、多孔質炭酸カルシウム等が例示出来、これらは単独でも2種以上組み合わせてもよい。適度な大きさと分散性を有する点で、コロイド炭酸カルシウム、多孔質炭酸カルシウムが好ましいが、適度な多孔質度を有する点で多孔質炭酸カルシウムが、より好ましい。尚、上記の好ましい炭酸カルシウムの作成は、日本国特許3058255号等に記載の方法で作成可能である。
以下に反応条件例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(反応条件)
石灰乳濃度:3.5〜10.2重量%
錯体形成物質:0.005〜15重量%
炭酸ガス流量:2000〜20000L/H
ガス濃度:10〜100%
(熟成条件)
炭酸カルシウム濃度:2.4〜13.0重量%
熟成時間:24〜240時間
尚、上記反応条件において、SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)を小さくするには、化合・熟成時の濃度を低くしたり、熟成時間を長くすれば良い。また、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)を高くするためには、錯体形成物質の添加量を増加することにより可能となる。
本発明のケイ酸塩化合物として、結晶性シリカ、含水ケイ酸、湿式シリカ、乾式シリカ、ケイ酸のナトリウムやカリウム等のアルカリ金属塩、ケイ酸のカルシウムやマグネシウム等のアルカリ土類金属塩が例示出来、これらは単独でも2種以上組み合わせてもよいが、適度な大きさと分散性を有する点で、湿式シリカが好ましい。
本発明のリン酸マグネシウムとしては、リン酸1マグネシウム、リン酸2マグネシウム、リン酸3マグネシウム、ピロリン酸マグネシウム等が例示でき、これらは単独でも組み合わせても良いが、適度な大きさと分散性を有する点で、リン酸3マグネシウムが好ましい。
本発明のゼオライトとしては、合成ゼオライト、天然ゼオライト等が例示でき、これらは単独でも組み合わせても良いが、適度な大きさと分散性を有する点で、合成ゼオライトが好ましい。
本発明の本発明の炭酸マグネシウムとしては、塩基性炭酸マグネシウム、重質炭酸マグネシウム、軽質炭酸マグネシウム等が例示でき、これらは単独でも組み合わせても良く、炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムの混合物、即ち、ドロマイトでも構わない。中でも、適度な大きさと分散性を有する点で、軽質炭酸マグネシウムが好ましい。
本発明の摘花剤の粒度分布計により測定した平均粒子径Pとしては、下記(a)の要件を満たしていれば良いが、(d)の要件を満たしているのがより好ましく、(g)の要件を満たしていることが更に好ましい。
(a)0.03≦P≦30
(d)0.03≦P≦10
(g)0.03≦P≦5
平均粒子径Pが30μmを越えた場合、水難溶性無機化合物に添加する添加剤の吸着が十分になされないため、摘花剤の効果の持続性が不十分となる傾向となるだけでなく、薬害を発生し易くなる。一方、平均粒子径Pの下限は特に制限されないが、通常、0.03μm未満の分散状態を維持した水難溶性無機化合物を合成することは技術的に難しい。
また、水難溶性無機化合物の大きさが微細であった場合、一般的に花粉のサイズは20〜50μm程度であるため、花粉のサイズよりも微細な水難溶性無機化合物が、花粉の雌しべや雄しべを物理的に被覆し、授粉を妨げる効果もあり、微細な水難溶性無機化合物は特に好ましい。
尚、本発明において粒度分布の平均粒子径Pは、SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)より算出した。測定試料は、摘花剤の濃度が5重量%となるように蒸留水で希釈し、超音波分散機US−300T(日本精機製作所製)を用い、20kHZ、300Wで1分間予備分散を行い、測定した。
本発明の摘花剤の比表面積Qは、下記(b)の要件を満たしていれば良いが、(e)の要件を満たしているのがより好ましく、(h)の要件を満たしていることが更に好ましく、最も好ましい範囲は25≦Q≦200である。
(b)3≦Q≦800
(e)7≦Q≦300
(h)10≦Q≦200
比表面積Qが800m/gを越えた場合、比表面積が高くなり過ぎるため、水難溶性無機粒子に添加した添加剤の徐放速度が遅くなり過ぎる傾向となり、混合製剤中の添加剤が、花の受粉時期に受粉を阻害するに十分な量が放出されなくなり、摘花効果が不十分となる傾向にある。一方、比表面積が3m/g未満の場合、摘花剤の比表面積が小さすぎるため、添加剤の吸着面積が小さくなり、摘花効果の持続性が不十分となる傾向にあるだけでなく、薬害を発生し易くなる。
尚、本発明において比表面積Qの測定は、ユアサイオニクス(株)製NOVA2000を用いて測定した。測定試料は、摘花剤の濃度が5重量%となるように蒸留水で希釈し、超音波分散機US−300T(日本精機製作所製)を用い、20kHZ、300Wで1分間予備分散を行った後、350℃、3時間乾燥し、60メッシュを通したものを使用した。
本発明の摘花剤のQ/P値は、下記(c)の要件を満たしていれば良いが、(f)の要件を満たしているのがより好ましく、(i)の要件を満たしていることが更に好ましい。
(c)0.5≦Q/P≦1000
(f)0.5≦Q/P≦300
(i)1≦Q/P≦150
Q/P値が1000を越えた場合、水難溶性無機粒子に添加した添加剤の徐放効果が発現しにくくなる傾向にあるため、気候によるぶれによっては摘花効果が不十分となる。一方、Q/P値が0.5未満の場合、添加剤の吸着面積が小さくなり過ぎ効果の持続性が不十分となる傾向にあるだけでなく、薬害を発生し易くなる。
本発明の摘花剤は、水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)Dysが(j)0.5≦Dys≦10の要件を満たしているのが好ましく、0.5≦Dys≦8の要件を満たしているのがより好ましく、0.5≦Dys≦7の要件を満たしていることが更に好ましい。水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)Dysが0.5未満の場合、添加剤の吸着が十分なされず、摘花効果が不十分となる場合があり好ましくない。一方、10を越える場合吸着が強すぎて、充分な摘花効果が発揮されない場合があるので好ましくない。
本発明の摘花剤は、Dysの平均細孔径であるDxsが(k)0.002≦Dxs≦10の要件を満たしているのが好ましく、0.003≦Dxs≦3の要件を満たしているのがより好ましく、0.005≦Dxs≦1の要件を満たしていることが更に好ましい。Dxsが0.002未満の場合、水難溶性無機粒子に添加した添加剤の徐放速度が遅くなり過ぎる傾向となり、摘花効果が不十分となる傾向にあるため好ましくない。一方、10を越える場合、充分な摘花効果の持続性発揮されず、また、薬害を発生し易くなるため好ましくない。
尚、水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)Dys及びその平均細孔径Dxsの測定は、水銀圧入装置(ポロシメーター)島津製作所製9520型を用いて測定するが、測定条件は以下の通りである。
水銀純度99.99%
水銀表面張力484dyns/cm
水銀接触角130℃
セル定数10.79μl/pF
試料重量0.1〜0.5g
測定試料は、摘花剤の濃度が5重量%となるように蒸留水で希釈し、超音波分散機US−300T(日本精機製作所製)を用い、20kHZ、300Wで1分間予備分散を行った後、350℃、3時間乾燥し60メッシュを通したものを使用した。
本発明の摘花剤は、平均細孔径の量Dys/Dxsが(l)0.5≦Dys/Dxs≦300の要件を満たしているのが好ましく、1.0≦Dys/Dxs≦150の要件を満たしているのがより好ましく、3.0≦Dys/Dxs≦130の要件を満たしていることが更に好ましい。Dys/Dxsが0.5未満の場合、担持効果が少なく持続的な摘花効果が得られない場合があるので好ましくない。一方、300を越える場合水難溶性無機粒子への吸着が強くなり過ぎ目的の摘花効果が得られない場合があるので好ましくない。
本発明において、水難溶性無機化合物がリン酸カルシウムからなる摘花剤の電子顕微鏡より測定した平均粒子径R(μm)としては、下記(m)の要件を満たしていれば良いが、(o)の要件を満たしているのがより好ましく、(u)の要件を満たしていることが更に好ましい。
(m)0.01≦R≦30
(o)0.01≦R≦10
(u)0.01≦R≦5
電子顕微鏡より測定した平均粒子径Rが30μmを越えた場合、水難溶性無機化合物に添加する添加剤の吸着が充分になされず、効果の持続性が不十分となる傾向にあるだけでなく、薬害を発生し易くなる。一方、電子顕微鏡より測定した平均粒子径Rが、0.01μm未満の場合、摘花剤用無機化合物として、好適な分散性を有する無機化合物を調整することが困難な傾向にある。
尚、本発明の摘花剤の電子顕微鏡により測定した平均粒子径Rが0.03μm以上の場合、日立株式会社製電子顕微鏡S−2360Nにより撮影した1万倍の写真において、写真中央部の3cm×3cmの範囲に存在する摘花剤の長径と短径をゲージで測定し、その平均値をとることで求められる。また、一次粒子径が0.03μm未満の場合は、日本電子株式会社製電子顕微鏡JEM−200CXにより撮影した10万倍の写真において、写真中央部の3cm×3cmの範囲に存在する摘花剤の長径と短径をゲージで測定し、その平均値をとることで求められる。
リン酸カルシウムからなる摘花剤の多孔質度Sは、下記(n)の要件を満たしていれば良いが、(t)の要件を満たしているのがより好ましく、(v)の要件を満たしていることが更に好ましい。
(n)0.5≦S≦300
(t)0.5≦S≦100
(v)0.5≦S≦10
多孔質度Sが300を越えた場合、多孔質度が高くなり過ぎるため、水難溶性無機化合物に添加した添加剤の徐放速度が遅くなり過ぎる傾向にあり、混合製剤中の添加剤が、花の受粉時期に受粉を阻害するに十分な量が花の受粉期に放出されなくなり、十分な徐放効果を得ることが困難となる。一方、多孔質度Sが0.5未満の場合、水難溶性無機化合物の凝集度が強い傾向にあると共に徐放効果があまり期待出来なくなるため、添加剤の吸着不足や薬害の恐れのある摘花剤になり易い傾向にある。
尚、本発明で用いるリン酸カルシウム等を用いた場合、電子顕微鏡より測定した粒子径が大きくとも多孔質度の大きな粒子を得ることが可能であり、また、一般的には薬害が出易い粒子径のものでも多孔質度を調整することにより薬害を防止し易くなるため、好ましい。
本発明に用いる添加剤としては、縮合リン酸及びその塩、レシチン、ステロール、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて用いられるが、薬害の可能性が少なく、より有効な効果が発揮され易い点を考慮した場合、レシチン、植物ステロールから選ばれた少なくとも1種であることが好ましい。
本発明に用いる縮合リン酸及びその塩としては、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ハイポリリン酸等のアルカリ金属塩等が例示出来る。尚、これらは、単独でも組み合わせて用いても差し支えない。
本発明のステロールとしては、動物性のステロールとして、コレステロール等が、植物性のステロールとして、スチグマステロール、シトステロール、カンペステロール、ブラシカステロール等が例示出来るが、環境面への影響等より、植物性のステロールの方が好ましい。尚、これらは、単独でも組み合わせて用いても差し支えない。
本発明のアミノ酸としては、中性アミノ酸、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸等が例示され、具体的には、グリシン、アラニン、リシン、グルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。尚、これらは、単独でも組み合わせて用いても差し支えない。
本発明のレシチンとしては、大豆レシチン、卵黄レシチン、高純度レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン、分画レシチン、酵素改質レシチン、ヒドロキシル化レシチン、アセチル化レシチン、サクシニル化レシチン、水素添加レシチン等が例示出来るが、摘花効果の観点より、酵素処理レシチン、酵素改質レシチン、酵素分解レシチン等がより好ましい。尚、これらは、単独でも組み合わせて用いても差し支えない。
本発明のショ糖脂肪酸エステルは、HLBは1〜19のものが例示出来るが、水系で取り扱いがし易い観点より、HLBが8〜19のものが好ましい。具体的には、ショ糖ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ベヘニン酸エステル等が例示出来るが、摘花効果の観点より、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステルがより好ましい。尚、これらは、単独でも組み合わせて用いても差し支えない。
水難溶性無機化合物と添加剤の混合比率は、水難溶性無機化合物100重量部に対して、添加剤を0.005〜200重量部の範囲が好ましいが、添加剤が下記(A)群から選ばれた少なくとも1種からなる場合、多量に用いた場合には、葉や花弁の褐変等が出易くなる傾向があるため、0.005〜10重量部の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは、0.005〜3重量部、更に好ましくは、0.01〜0.5重量部である。
(A)群:ステロール
また、添加剤が下記(B)群から選ばれた少なくとも1種からなる場合、添加剤を0.5〜200重量部の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは1〜100重量部、更に好ましくは3〜50重量部である。
(B)群:縮合リン酸及びその塩、レシチン、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステル
水難溶性無機化合物100重量部に対する添加剤の添加量が0.005重量部未満の場合、摘花効果が不十分となるため好ましくなく、一方、200重量部を越えると葉の褐変やエピナスティ現象等の薬害が発生し易い傾向にあり、好ましくない。
本発明の摘花剤に、必要に応じて、更に、酢酸、グルコン酸、乳酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アジピン酸、クエン酸、それらの塩を1種又は2種以上を含ませても差し支えない。
本発明の摘花剤を緩衝溶液等で希釈して使用しても差し支えない。但し、その際pHを4〜10の間にした場合は特に問題はないが、人体や果樹への影響等を加味した場合、pH4.5〜8.5の範囲で用いるのが好ましく、より好ましくはpH5.5〜8.0の範囲である。尚、緩衝溶液としては、リン酸緩衝溶液、炭酸緩衝溶液等が好ましく用いられる。
本発明の摘花剤は、水和剤、微・粗粉剤、乳剤、フロアブル剤等の任意の状態で使用することが出来る。
本発明の摘花剤は、溶解性向上等の目的で必要に応じて、乳化剤、多糖類、少糖類、糖アルコール、界面活性剤、加工デンプン等を単独または2種以上組み合わせて使用することが出来る。
乳化剤としては、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。
多糖類としては、10個を越える単糖残基を含む重合体で増粘多糖類や大豆多糖類が挙げられる。増粘多糖類はウェランガム、カラギナン、アルギン酸ソーダ、グァーガム、ジェランガム、カラヤガム、CMC、メチルセルロース、タマリンドガム、ガディガム、トラガントガム、キサンタンガム、プルラン、カシアガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクタン、スクレロガム、キトサン等が例示出来る。大豆多糖類は大豆より抽出した水溶性多糖類であり、中でもガラクトース、ガラクツロン酸、ラムノース、キシロース、フコース、グルコース等から構成された平均分子量数十万のものが好ましい。
少糖としては、2〜10個の単糖残基を含む重合体で例えば還元性や非還元性の糖類が挙げられ、具体的にはトレハロース、トレハルロース、マルトース、セロビオース、ラクトース、キシロビオース、イソマルトース、メリビオース、パラチノース、ゲンチビオース、マルトオリゴ糖、イソオリゴ糖、グルコオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、乳果オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、カップリングシュガーが挙げられる。
糖アルコールとしては、糖類が持つカルボニル基を還元して得られる鎖状多価アルコールであれば特に限定はされず、具体的には、マルチトール、パラチニット、ラクチトール、エリストール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。
界面活性剤としては、公知の陽イオン性、陰イオン性、両イオン性、非イオン性等の有機系界面活性剤、もしくは、無機系の界面活性剤が挙げられる。
加工デンプンは、デンプンを化学的に又は物理的に加工したもので、具体的には、酸処理デンプン、アルカリ処理デンプン、酸化デンプン、シクロデキストリン、デキストリン、酵素処理デンプン、リン酸エステル化デンプン、酢酸エステルデンプン、オクテニルコハク酸デンプン、エーテル化デンプン、架橋デンプン等が挙げられる。
また、前記したように、従来からある摘花剤は水溶性の摘花剤であるため、例えば、好ましい散布時期が雨天である場合には摘花剤が流失し易く、摘花効果が殆ど期待出来なかったが、本発明の摘花剤は、特定の水難溶性無機化合物と添加剤で構成され、添加剤が含浸・吸着された状態となっているため、従来の摘花剤よりも流失し難い長所を有している。更に、本発明の摘花剤にポリビニルアルコール、ポリブテン、カルボキシメチルセルロース等の結着効果のある物質を併用することにより、雨天時等の流失防止効果を更に向上させることができる。
本発明の摘花剤の果実への好ましい散布方法について説明する。りんご等の落葉果実の開花は、頂芽の中心花が先ず満開になる。その後、頂芽の側花がやや遅れて満開となり、更に数日〜1週間後、腋花が満開となる。本発明の摘花剤は、頂芽の中心花が満開になった際に散布すれば良いが、必要に応じて若干、散布時期を前後しても構わない。
尚、従来からある摘花剤は水溶性であるため該摘花剤を用いた場合、摘花剤が流失しやすいため、効果の持続性が短いだけでなく、散布のタイミングの微妙なズレにより、効果にバラツキが出やすい問題点があったが、本発明の摘花剤を用いた場合、特定の水難溶性無機化合物と添加剤で構成され、添加剤が含浸・吸着された状態となっているため、薬剤の持続性が高いため、天候の変化による開花タイミングの微妙かズレにも対応が可能となる点で従来の摘花剤よりも優れている。
本発明の摘花剤は環境に悪影響を与えない上、薬害の恐れが少なく、地域・天候等の影響を受け難く、リンゴ、ナシ、モモ、ぶどう、カキ、柑橘類等に使用できる。
また、本発明の摘花剤は殺虫剤等の他の農薬や肥料等と混合し使用しても差し支えない。
以下に実施例、比較例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。尚、以下の記載において、%及び部は、特に断らない限り、重量基準である。
本実施例、比較例で使用する炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、ゼオライトを以下の方法で調製した。
炭酸カルシウムI
11%石灰乳に石灰乳固形分に対し0.1%のクエン酸を添加し、濃度25%の炭酸ガスを導入して炭酸化反応を行い,系のpHが9.5になったときに炭酸化反応を停止し,50℃15時間攪拌して,再度炭酸ガスを導入して系のpHを7以下にし白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスで脱水し炭酸カルシウムIを得た。X線回折により得られた白色ケーキがカルサイト型炭酸カルシウムであることを確認した。
炭酸カルシウムII
11%石灰乳に25%の炭酸ガスを導入して炭酸化反応を行い,系のpHが8になったときに炭酸化反応を停止し、50℃15時間攪拌して、再度炭酸ガスを導入して系のpHを8以下にし炭酸カルシウムスラリーを得た。次ぎに該炭酸カルシウムスラリー1Lに11%水酸化カルシウムを1.5L加えた後、再度炭酸ガスを導入して系のpHを7にして白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスを用いて脱水後、180℃で乾燥し炭酸カルシウムIIを得た。X線回折により得られた白色物がカルサイト型炭酸カルシウムであることを確認した。
炭酸カルシウムIII
11%石灰乳に濃度25%の炭酸ガスを導入して炭酸化反応を行い、系のpHが9.5になったときに炭酸化反応を停止し、50℃5時間攪拌して、再度炭酸ガスを導入して系のpHを7以下にし白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスで脱水し炭酸カルシウムIIIを得た。X線回折により得られた白色ケーキがカルサイト型炭酸カルシウムであることを確認した。
炭酸カルシウムIV
10%石灰乳に石灰乳固形分に対し2%のクエン酸を添加し、濃度20%の炭酸ガスを導入して炭酸化反応を行い、系のpHが9.5になったときに炭酸化反応を停止し、50℃5時間攪拌して、再度炭酸ガスを導入して系のpHを7以下にし白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスで脱水し炭酸カルシウムIVを得た。X線回折により得られた白色ケーキがカルサイト型炭酸カルシウムであることを確認した。
リン酸カルシウムI
攪拌下において20%の炭酸カルシウム(スーパー#2000、丸尾カルシウム(株)製)水スラリーに10%リン酸をCa/Pモル比=3.33となるように滴下し、その後50℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスを用いて脱水しリン酸カルシウムIを得た。X線回折により得られた白色ケーキがヒドロキシアパタイトとカルサイト型炭酸カルシウムの混合物であることを確認した。
リン酸カルシウムII
攪拌下において20%の炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム(株)製)水スラリーに10%リン酸をCa/Pモル比=4.00となるように滴下し、その後50℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスを用いて脱水後、180℃で乾燥しリン酸カルシウムIIを得た。X線回折により得られた白色粉末がヒドロキシアパタイトとカルサイト型炭酸カルシウムの混合物であることを確認した。
リン酸カルシウムIII
攪拌下において15℃に調整した11%水酸化カルシウムスラリー1molに、50%クエン酸0.05molを300秒で滴下し、その後30%リン酸0.66molと40%KOH0.15molの混合物を600秒で滴下し、その後80℃で3時間攪拌しリン酸カルシウムIIIを得た。X線回折により得られた白色物が非晶質リン酸カルシウムであることを確認した。
リン酸カルシウムIV
攪拌下において15℃に調整した11%水酸化カルシウムスラリー1molに、50%クエン酸0.05molを300秒で滴下し、その後30%リン酸0.66molと40%KOH0.05molの混合物を600秒で滴下し、その後80℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをスプレードライヤーにて乾燥し、リン酸カルシウムIVを得た。X線回折により得られた白色粉末が非晶質リン酸カルシウムであることを確認した。
リン酸カルシウムV
攪拌下において15℃に調整した11%水酸化カルシウムスラリー1molに、50%クエン酸0.05molを300秒で滴下し、その後30%リン酸0.66molと40%KOH0.15molの混合物を600秒で滴下し、その後80℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。上記スラリーを超遠心機を用いて固形50%に濃縮し、再度水を添加し濃縮前と同濃度のスラリーを得た。上記濃縮・再スラリー化を3回繰り返しリン酸カルシウムVを得た。X線回折により得られた白色物ケーキが非晶質リン酸カルシウムであることを確認した。
リン酸カルシウムVI
攪拌下において20%の炭酸カルシウム(カルシーF、三共製粉(株)製)水スラリーに10%リン酸をCa/Pモル比=3.00となるように滴下し、その後50℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスを用いて脱水しリン酸カルシウムVIを得た。X線回折により得られた白色粉ケーキがヒドロキシアパタイトとカルサイト型炭酸カルシウムの混合物であることを確認した。
リン酸カルシウムVII
攪拌下において20%の炭酸カルシウム(NoA重炭、丸尾カルシウム(株)製)水スラリーに10%リン酸をCa/Pモル比=5.00となるように滴下し、その後50℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをフィルタープレスを用いて脱水しリン酸カルシウムVIIを得た。X線回折により得られた白色粉末がヒドロキシアパタイトとカルサイト型炭酸カルシウムの混合物であることを確認した。
リン酸マグネシウム
攪拌下において15℃の水酸化マグネシウム(丸尾カルシウム(株)製)1molに30%リン酸0.66molを600秒で滴下し、その後80℃で3時間攪拌し白色スラリーを得た。該白色スラリーをロータリーフィルターで洗浄・脱水しリン酸マグネシウムを得た。X線回折により得られた白色ケーキがリン酸三マグネシウムであることを確認した。
ゼオライト
天然ゼオライトをHミルで粉砕、分級してゼオライトIを得た。
【実施例1】
上記炭酸カルシウムIを用い、炭酸カルシウム固形分100部に対し、グリシンを40部及び水を添加し攪拌混合し、炭酸カルシウム固形分濃度30%の摘花剤を得た。得られた摘花剤のSALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)P、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)Q、Q/P、Dys、Dxs、Dys/Dxsを表1に示す。
実施例2〜4、6〜11、13、14、16、18、19、比較例1、2、4〜7
水難溶性無機化合物を表1のように変えること及び、添加剤の種類及び添加重量部を表1に変えること以外は実施例1と同様な方法で摘花剤を得た。得られた摘花剤のSALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)P、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)Q、Q/P、Dys、Dxs、Dys/Dxsを表1、表2に示す。また、水難溶性無機化合物がリン酸カルシウムのものは電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)R、多孔質度Sを表3に示す。
【実施例5】
上記炭酸カルシウムIIIを用い、炭酸カルシウム固形分100部に対し、ステロールA0.05部を添加し攪拌混合し、炭酸カルシウム固形分濃度10%の摘花剤を得た。得られた摘花剤のSALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)P、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)Q、Q/P、Dys、Dxs、Dys/Dxsを表1に示す。
尚、ステロールAは65℃の10%ペンタグリセリン脂肪酸エステル溶液に固形分重量比1:30で溶解した。
実施例12、15、17、比較例3、8
水難溶性無機化合物を表1、表2のように変えること及び、添加剤の種類及び添加重量部を表1、表2に変えること以外は実施例5と同様な方法で摘花剤を得た。得られた摘花剤のSALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)P、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)Q、Q/P、Dys、Dxs、Dys/Dxsを表1、表2に示す。また、水難溶性無機化合物がリン酸カルシウムのものは電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)R、多孔質度Sを表3に示す。
実施例20、21、比較例9、10
実施例7、12及び比較例1、5で作成した摘花剤をスプレードライヤーにて乾燥し、摘花剤パウダーを得た。尚、実施例20及び比較例9は乾燥前に無機化合物100部に対しアラビアガム10部を添加した後乾燥した。得られた摘花剤のSALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)P、窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)Q、Q/P、Dys、Dxs、Dys/Dxs、電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)R、多孔質度Sを表1〜表3に示す。

P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
Dys:水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)
Dxs:Dysの平均細孔径
重質炭酸カルシウムI:R重炭(丸尾カルシウム(株)製)
リン酸三カルシウム:リン酸三カルシウム(太平化学産業(株)製)
シリカI:CX−200(日本シリカ工業(株)製)
シリカII:アエロジル130(日本アエロジル(株)製)
シリカIII:AZ400(日本シリカ工業(株)製)
炭酸マグネシウム:重質炭酸マグネシウム(富田製薬製)
酵素分解レシチン:SLP−ペーストリゾ(T&Kレシチン(株)社製)
高純度レシチン:SLP−ホワイト(T&Kレシチン(株)社製)
ステロールA:GENEROL100(コグニスジャパン製)
ステロールB:動物ステロール
SE:ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)
ヘキサメタリン酸Na:ヘキサメタリン酸ナトリウム(太平化学産業(株)製)
ヒドロキシル化レシチン:ヒドロキシル化レシチン(T&Kレシチン(株)社製)

P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
Dys:水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)
Dxs:Dysの平均細孔径
重質炭酸カルシウムII:R重炭(丸尾カルシウム(株)製)
重質炭酸カルシウムIII:スーパーSS(丸尾カルシウム(株)製)
ゼオライトII:HSZ320NAA(東ソー(株)製)
リン酸水素カルシウムI:リン酸一水素カルシウム 試薬特級(和光純薬製)
シリカI:CX−200(日本シリカ工業(株)製)
リン酸水素カルシウムII:リン酸一水素カルシウム(太平化学産業(株)製)
SE:ショ糖ステアリン酸エステル(三菱化学フーズ(株)製)
高純度レシチン:SLP−ホワイト(T&Kレシチン(株)社製)
ステロールA:GENEROL100(コグニスジャパン製)
酵素分解レシチン:SLP−ペーストリゾ(T&Kレシチン(株)社製)

Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度(Q/Rより算出された比表面積Q1(m/g))
応用例1
りんご(ふじ)の木を用い、摘花効果の確認を行った。即ち、前記のりんごの木を用い、中心花満開1日後及び3日後の2回に渡って、実施例1の摘花剤を表4に示す濃度で散布した。尚、有効成分濃度は水難溶性無機化合物の重量固形分を基準とした。また、処理は枝別処理とし、背負い式噴霧器により散布した。
評価は、中心花、側花に関する残果率で表した。また、薬害に関しては、落葉、変色葉、奇形葉等、葉の状態の観察結果を下記の5段階で表した。結果は表4に示す。
◎:正常
○:極小害
□:小害
△:中害
×:大害
応用例2〜21、比較応用例1〜10
実施例1の摘花剤の代わりに実施例2〜21、比較例1〜10の摘花剤を用いる他は、応用例1と同様の方法で試験を行った。結果は、表4、表5に示す。
比較応用例11
実施例1の摘花剤の代わりに石灰硫黄剤を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例1と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は石灰硫黄合剤の重量固形分を基準とした。結果は表5に示す。
比較応用例12
実施例1の摘花剤の代わりにイタコン酸を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例1と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度はイタコン酸の重量固形分を基準とした。結果は表5に示す。
比較応用例13
実施例1の摘花剤の代わりに高純度レシチンを有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例1と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は高純度レシチンの重量固形分を基準とした。結果は表5に示す。
比較応用例14
実施例1の摘花剤の代わりに水(コントロール)を用いることを除き、他は応用例1と同様の方法で試験を行った。結果は表5に示す。


応用例22
ナシ(幸水)の木を用い、摘花効果の確認を行った。即ち、前記のナシの木を用い、開花率30%時、80%時の2回に渡って、実施例1の摘花剤を表6に示す濃度で散布した。尚、有効成分濃度は水難溶性無機化合物の重量固形分を基準とした。また、処理は枝別処理とし、背負い式噴霧器により散布した。
評価は、開花数に対する残果率で表した。また、薬害に関しては、落葉、変色葉、奇形葉等、葉の状態の観察結果を下記の5段階で表した。結果は表6に示す。
◎:正常
○:極小害
□:小害
△:中害
×:大害
応用例23〜42、比較応用例15〜24
実施例1の摘花剤の代わりに実施例2〜21、比較例1〜10の摘花剤を用いることを除き、他は、応用例22と同様の方法で試験を行った。結果は、表6、表7に示す。
比較応用例25
実施例1の摘花剤の代わりに石灰硫黄合剤を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例22と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は石灰硫黄合剤の重量固形分を基準とした。結果は表7に示す。
比較応用例26
実施例1の摘花剤の代わりにイタコン酸を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例22と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度はイタコン酸の重量固形分を基準とした。結果は表7に示す。
比較応用例27
実施例1の摘花剤の代わりに高純度レシチンを有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例22と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は高純度レシチンの重量固形分を基準とした。結果は表7に示す。
比較応用例28
実施例1の摘花剤の代わりに水(コントロール)を用いることを除き、他は応用例22と同様の方法で試験を行った。結果は表7に示す。


応用例43
ぶどう(キングデラ)の木を用い、摘花効果の確認を行った。即ち、前記のぶどうの木を用い、開花率30%、80%の2回に渡って、実施例1の摘花剤を表8に示す濃度で散布した。尚、有効成分濃度は水難溶性無機化合物の重量固形分を基準とした。また、処理は枝別処理とし、背負い式噴霧器により散布した。
評価は、開花数に関する残果率で表した。また、薬害に関しては、落葉、変色葉、奇形葉等、葉の状態の観察結果を下記の5段階で表した。結果は表8に示す。
◎:正常
○:極小害
□:小害
△:中害
×:大害
応用例44〜63、比較応用例29〜38
実施例1の摘花剤の代わりに実施例2〜21、比較例1〜10の摘花剤を用いることを除き、他は、応用例43と同様の方法で試験を行った。結果は、表8、表9に示す。
比較応用例39
実施例1の摘花剤の代わりに石灰硫黄合剤を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例43と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は石灰硫黄合剤の重量固形分を基準とした。結果は表9に示す。
比較応用例40
実施例1の摘花剤の代わりにイタコン酸を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例43と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度はイタコン酸の重量固形分を基準とした。結果は表9に示す。
比較応用例41
実施例1の摘花剤の代わりに高純度レシチンを有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例43と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は高純度レシチンの重量固形分を基準とした。結果は表9に示す。
比較応用例42
実施例1の摘花剤の代わりに水(コントロール)を用いることを除き、他は応用例43と同様の方法で試験を行った。結果は表9に示す。
応用例64
ナシ(幸水)の木を用い、摘花効果の確認を行った。即ち、前記のナシの木を用い、開花率30%時、80%時の2回に渡って、実施例1の摘花剤を表10に示す濃度で散布した。但し、本実験時は、開花時の気温が低く天候が不順であった。従って、開花のバラツキが、通常よりも大きかった。尚、有効成分濃度は水難溶性無機化合物の重量固形分を基準とした。また、処理は枝別処理とし、背負い式噴霧器により散布した。
評価は、開花数に対する残果率で表した。また、薬害に関しては、落葉、変色葉、奇形葉等、葉の状態の観察結果を下記の5段階で表した。結果は表9に示す。
◎:正常
○:極小害
□:小害
△:中害
×:大害


応用例65〜70、比較応用例43〜46
実施例1の摘花剤の代わりに実施例4、5、7、9、15、21比較例1、4、8、10の摘花剤を用いることを除き、他は、応用例64と同様の方法で試験を行った。結果は、表10、表11に示す。
比較応用例47
実施例1の摘花剤の代わりに石灰硫黄合剤を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例64と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は石灰硫黄合剤の重量固形分を基準とした。結果は表11に示す。
比較応用例48
実施例1の摘花剤の代わりにイタコン酸を有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例64と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度はイタコン酸の重量固形分を基準とした。結果は表11に示す。
比較応用例49
実施例1の摘花剤の代わりに高純度レシチンを有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例64と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は高純度レシチンの重量固形分を基準とした。結果は表11に示す。
比較応用例50
実施例1の摘花剤の代わりに蟻酸カルシウムを有効成分とする摘花剤を用いることを除き、他は応用例64と同様の方法で試験を行った。尚、有効成分濃度は蟻酸カルシウムの重量固形分を基準とした。結果は表11に示す。
比較応用例51
実施例1の摘花剤の代わりに水(コントロール)を用いることを除き、他は応用例64と同様の方法で試験を行った。結果は表11に示す。


上記表4〜表11に示す様に、応用例1〜70で用いた本発明の摘花剤は、適度な摘花効果を示すと共に薬害も殆ど発生しなかった。
一方、比較応用例3で用いた摘花剤は、水難溶性無機化合物のBET比表面積が大きすぎるため遅効性となり、摘花効果が不十分であった。また、比較応用例11〜13の摘花剤は、著しい薬害の発生が認められた。更にまた、表10、11に示す様に、既存の摘花剤を含む比較応用例47〜50で用いた摘花剤は、摘花効果が通常の天候時と比較して著しく低下したのに対して、本発明の摘花剤は、天候が不順な場合においても、一定の摘花効果を発揮することが可能である。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明の摘花剤は、人体に無害で、且つ、環境に易しく、高い摘花効果を有している。また、本発明の摘花剤は徐放効果にも優れているため、散布時期の自由度が従来よりも広がり、使い勝手にも優れている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(b)及び(c)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(a)0.03≦P≦30
(b)3≦Q≦800
(c)0.5≦Q/P≦1000
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
【請求項2】
水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(d)、(e)及び(f)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(d)0.03≦P≦10
(e)7≦Q≦300
(f)0.5≦Q/P≦300
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
【請求項3】
水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(g)、(h)及び(i)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(g)0.03≦P≦5
(h)10≦Q≦200
(i)1≦Q/P≦150
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
【請求項4】
水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(j)、(k)及び(l)の要件を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の摘花剤。
(j)0.5≦Dys≦10
(k)0.002≦Dxs≦10
(l)0.5≦Dys/Dxs≦300
Dys:水銀圧入法において、水銀圧入増加量(Log Differential Intrusion)が最大となる点(ml/g)
Dxs:Dysの平均細孔径
Dys/Dxs平均細孔径の量
【請求項5】
水難溶性無機化合物が、ケイ酸塩鉱物、炭酸カルシウム、ゼオライト、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の摘花剤。
【請求項6】
水難溶性無機化合物が、ケイ酸塩鉱物、ゼオライト、リン酸マグネシウムから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜4のいずれか1項に記載の摘花剤。
【請求項7】
リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(m)及び(n)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(m)0.01≦R≦30
(n)0.5≦S≦300
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)
【請求項8】
リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(o)及び(t)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(o)0.01≦R≦10
(t)0.5≦S≦100
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Q1(m/g)
【請求項9】
リン酸カルシウムからなる水難溶性無機化合物と添加剤との混合製剤からなり、下記(a)、(e)、(u)及び(v)の要件を満たすことを特徴とする摘花剤。
(a)0.03≦P≦30
(e)3≦Q≦300
(u)0.01≦R≦5
(v)0.5≦S≦10
P:SALD−2000Aレーザー式粒度分布計により測定した粒子の平均粒子径(μm)
Q:窒素吸着法によるBET比表面積(m/g)
R:電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径(μm)
S:多孔質度
S=窒素吸着法によるBET比表面積Q(m/g)/電子顕微鏡写真により測定した粒子の平均粒子径Rから算出された比表面積Ql(m/g)
【請求項10】
添加剤が、縮合リン酸及びその塩、レシチン、ステロール、アミノ酸、ショ糖脂肪酸エステルから選ばれた少なくとも1種である請求項1〜9のいずれか1項に記載の摘花剤。
【請求項11】
添加剤の量が水難溶性無機化合物100重量部に対し0.005〜200重量部である請求項1〜10のいずれか1項に記載の摘花剤。

【国際公開番号】WO2004/012507
【国際公開日】平成16年2月12日(2004.2.12)
【発行日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−525814(P2004−525814)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009797
【国際出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【出願人】(390008442)丸尾カルシウム株式会社 (31)
【Fターム(参考)】