説明

摩擦帯電型静電選別装置

【目的】 精度の高い選別を可能とし、選別時間を短時間にするとともに、合成樹脂のリサイクルを可能にすること。
【構成】 内壁に合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の内張りを施し、輸送中に予め選別材料を帯電させながら輸送する輸送装置10より成る予備摩擦帯電装置1と、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施された往復動摩擦機20より成る摩擦帯電装置2と、前記摩擦帯電装置2により帯電した選別材料を供給するフィードローラ30より成る供給装置3と、前記供給装置3により供給される帯電した選別材料に静電場を付与して、前記選別材料の帯電状態により選別する回転電極40より成る静電選別装置4とから成る摩擦帯電型静電選別装置。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂を含む選別材料を静電選別に先立ち予備摩擦帯電装置および摩擦帯電装置により予め充分帯電させることにより、確実に静電選別出来るようにした摩擦帯電型静電選別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の静電選別装置は、図18に示すように摩擦帯電装置Mによって合成樹脂より成る選別材料に摩擦を付与して帯電させ、対極板型静電分離機Sによってプラスとマイナスの極に夫々マイナスとプラスに帯電した選別材料を吸引して選別するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の静電選別装置は、前記摩擦帯電装置Mのみによって合成樹脂より成る選別材料に摩擦を付与して帯電させるものであるため、全ての選別材料が一様に帯電していないため、かかる選別材料を前記対極板型静電分離機Sによって静電選別しても、精度の高い選別が出来ず、図18に示すように一方の選別材料のなかにある割合で他方の選別材料が混入するため、選別精度を上げるためには何回も装置に通す必要が有り、長時間を要するという問題が有った。
【0004】そこで本発明者らは、摩擦帯電装置に供給する前に予め予備的に選別材料に摩擦を付与してある程度帯電させた上で、摩擦帯電装置によりさらに前記選別材料に摩擦を付与して一様に帯電させた前記選別材料を静電選別装置により静電選別するという本発明の技術的思想に着眼し、さらに研究開発を重ねた結果、精度の高い静電選別を可能とし、一方の選別材料の中に混入する他方の選別材料の割合が少ないので、精度の高い選別が要求されても従来のように多数回に亘り装置に通す必要が無く、短時間で行うことが出来るとともに、合成樹脂のリサイクルを可能にするという目的を達成する本発明に到達したものである。
【0005】すなわちポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド樹脂(PA)、フェノール樹脂(PF)、ユリヤ樹脂(UF)等の比重は、図16に示すような分布になる。例えばそのうちのポリ塩化ビニル(PVC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS)の汎用樹脂を帯電させたときの帯電列は、上述の比重とは何の相関も無く、図17に示すように正から負に並べることが出来、本発明の技術的思想は、この合成樹脂の帯電列を利用して静電選別するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明(請求項1に記載の第1発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、予め選別材料に摩擦を付与して帯電させる予備摩擦帯電装置と、予備帯電された前記選別材料にさらに摩擦を付与して帯電させる摩擦帯電装置と、前記摩擦帯電装置により帯電した選別材料を供給する供給装置と、前記供給装置により供給される帯電した選別材料に静電場を付与して、前記選別材料の帯電状態により選別する静電選別装置とから成るものである。
【0007】本発明(請求項2に記載の第2発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第1発明において、前記予備帯電装置が、内壁に合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の内張りを施し、輸送中に予め選別材料を帯電させながら輸送する輸送装置によって構成されているものである。
【0008】本発明(請求項3に記載の第3発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第2発明に対して、前記輸送装置が、合成樹脂を含む選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りを施した輸送管と、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施され、前記選別材料を充分な時間内壁に接触させつつ帯電させるサイクロンとから成り、前記摩擦帯電装置が、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施された往復動摩擦機より成るものである。
【0009】本発明(請求項4に記載の第4発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第3発明において、前記供給装置が、前記摩擦帯電装置の出口開口近くに配設され、前記摩擦帯電装置により帯電された選別材料をその回転により供給するフィードローラにより構成され、前記静電選別装置が、前記フィードローラに対向して配設され、プラスまたはマイナスの電圧が印加されている回転電極により構成され、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引して選別し得る構成より成るとともに、前記フィードローラと前記回転電極との間に配設され、前記静電場内において帯電状態のことなる選別材料を分離する第1の分離板と、前記フィードローラの下部に配設され、自重により落下する選別材料と強制的に前記フィードローラより落下される選別材料とに分離する第2の分離板とを付加したものである。
【0010】本発明(請求項5に記載の第5発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第4発明において、前記回転電極が、前記フィードローラと同期して回転する円筒体の外周壁に配設された複数の分割電極によって構成されており、前記フィードローラに対向する位置関係にある電極に電圧が印加され、前記第1および第2の分離板の下端に分離された選別材料と同じ極性の電圧が印加された付加電極を付加して、一部混入する帯電状態の異なる選別材料を吸着し得る構成より成るものである。
【0011】本発明(請求項6に記載の第6発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第3発明に対して、前記輸送管内において前記選別材料を旋回させて供給し、充分摩擦帯電させた後前記サイクロンに供給する旋回付与手段を付加したものである。
【0012】本発明(請求項7に記載の第7発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第4発明に対して、前記フィードローラおよび前記回転電極の下流に、前記フィードローラおよび前記回転電極と同様のフィードローラおよび回転電極を少なくとももう一対以上付加したものである。
【0013】本発明(請求項8に記載の第8発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第7発明において、前記選別材料の種類に応じてブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾き等を予め格納されたデータに基づき決定して、各コントロール信号を出力するコントローラと、コントローラからのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾きを制御する制御機構とを付加したものである。
【0014】本発明(請求項9に記載の第9発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第8発明に対して、前記摩擦帯電装置内に前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出する帯電状態検出センサを付加して、前記選別材料が所定の帯電状態に到達した時に、前記コントローラが前記供給装置にコントロール信号を出力して所定の帯電状態の選別材料をフィードローラに供給し得る構成にするとともに、選別された材料を収容する収容箱に帯電状態検出センサを付加して、選別された材料中に混入する帯電状態の異なる材料の量をチェックし得る構成にしたものである。
【0015】本発明(請求項10に記載の第10発明)の摩擦帯電型静電選別装置は、第1発明に対して、選別材料を細かく破砕する破砕装置と、前記破砕装置により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けする篩分装置と、前記篩分装置により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別する風選装置とを上流側に付加したものである。
【0016】
【作用】上記構成より成る第1発明の摩擦帯電型静電選別装置は、予備摩擦帯電装置が予め選別材料に摩擦を付与して帯電させるとともに、前記摩擦帯電装置が予備帯電された前記選別材料にさらに摩擦を付与して帯電させ、供給装置が前記摩擦帯電装置により帯電した選別材料を供給し、前記静電選別装置が前記供給装置により供給された帯電した選別材料に静電場を付与して、前記選別材料の帯電状態により選別するものである。
【0017】上記構成より成る第2発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置を構成する前記輸送装置の内壁に施された合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の前記内張りによって、輸送中に予め選別材料に摩擦を付与して帯電させるとともに、その他第1発明と同様の作用を奏するものである。
【0018】上記構成より成る第3発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置を構成する前記輸送管の内壁に施された合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の前記内張りによって、輸送中に予め選別材料に摩擦を付与して帯電させるとともに、前記サイクロンの内壁に施された選別材料の帯電に適した帯電材料の前記内張りとの充分な時間の接触によって前記選別材料を摩擦帯電させ、前記摩擦帯電装置を構成する前記往復動摩擦機が前記内壁に施された選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りによって前記予備帯電された前記選別材料にさらに摩擦を付与して帯電させるとともに、その他第1発明と同様の作用を奏するものである。
【0019】上記構成より成る第4発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記摩擦帯電装置の出口開口近くに配設された前記供給装置を構成する前記フィードローラが、前記摩擦帯電装置により帯電された選別材料をその回転により供給し、前記フィードローラに対向して配設された前記静電選別装置を構成するプラスまたはマイナスの電圧が印加されている回転電極が、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、前記フィードローラと前記回転電極との間に配設された前記第1の分離板が、前記静電場内において帯電状態のことなる選別材料を分離するとともに、前記フィードローラの下部に配設された前記第2の分離板が、自重により落下する選別材料と強制的に前記フィードローラより落下される選別材料とに分離することにより選別するとともに、その他第3発明と同様の作用を奏するものである。
【0020】上記構成より成る第5発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記回転電極を構成する前記フィードローラと同期して回転する円筒体の外周壁に配設された複数の分割電極のうち、前記フィードローラに対向する位置関係にある電極に電圧が印加され、前記フィードローラに対向する位置関係にある電極によって前記フィードローラによって供給された前記選別材料のうち前記電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、さらに前記円筒体が回転すると前記電極の印加状態が解除されるので吸引され電極面に吸着した前記選別材料を自然落下させるものであり、かつ前記第1および第2の分離板によって分離されガイドされた選別材料中に一部混入する帯電状態の異なる材料を前記付加電極によって吸着するとともに、その他第4発明と同様の作用を奏するものである。
【0021】上記構成より成る第6発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記旋回付与手段が、前記輸送管内において前記選別材料を旋回させて供給し、充分摩擦帯電させた後前記サイクロンに供給するとともに、その他第3発明と同様の作用を奏するものである。
【0022】上記構成より成る第7発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記フィードローラおよび前記回転電極の下流に、少なくとももう一対以上付加された前記フィードローラによって選別されなかった前記選別材料を供給するとともに、前記回転電極により選別されなかった前記選別材料の中から印加電圧の極性と異なる帯電状態のものを吸引するとともに、その他第4発明と同様の作用を奏するものである。
【0023】上記構成より成る第8発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記コントローラが、前記予め格納されたデータに基づき前記選別材料の種類に応じてブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾き等を決定して、各コントロール信号を出力し、前記制御機構が、前記コントローラからのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾きを制御するものである。
【0024】上記構成より成る第9発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記摩擦帯電装置内に配設された前記帯電状態検出センサが、前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出し、前記選別材料が所定の帯電状態に到達した時に、前記コントローラが前記供給装置にコントロール信号を出力し、所定の帯電状態の選別材料がフィードローラに供給するとともに、前記収容箱に収容された選別材料中に混入する帯電状態の異なる材料の量をチェックして信号を前記コントローラに出力するものである。
【0025】上記構成より成る第10発明の摩擦帯電型静電選別装置は、上流に付加された前記破砕装置が選別材料を細かく破砕し、前記篩分装置が前記破砕装置により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けられ、前記風選装置が前記篩分装置により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別し、前記選別された選別材料の中から静電選別に適した選別材料を下流の摩擦帯電型静電選別装置によって選別するものである。
【0026】
【発明の効果】上記作用を奏する第1発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置により予め予備的に選別材料に摩擦を付与してある程度帯電させた上で、前記摩擦帯電装置によりさらに前記選別材料に摩擦を付与して一様に帯電させた前記選別材料を前記静電選別装置により静電選別するので、精度の高い静電選別を可能とし、一方の選別材料の中に混入する他方の選別材料の割合が少ないので、精度の高い選別が要求されても従来のように多数回に亘り装置に通す必要が無く、短時間で選別を行うことが出来るという効果を奏する。
【0027】上記作用を奏する第2発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置を構成する前記輸送装置の内壁に施された合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の前記内張りによって、輸送中に予め選別材料に必要な摩擦を付与して帯電させるので、前記第1発明に比べ一層精度の高い静電選別を可能にするという効果を奏する。
【0028】上記作用を奏する第3発明の摩擦帯電型静電選別装置は、合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の前記内張りが施された前記輸送管、サイクロンおよび往復動摩擦機の内壁によって、選別材料に必要かつ充分な摩擦を付与して帯電させるので、前記第2発明に比べ一層精度の高い実用的な静電選別を可能にするという効果を奏する。
【0029】上記作用を奏する第4発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記フィードローラが、必要かつ充分帯電された選別材料をその回転により供給し、前記フィードローラに対向しているプラスまたはマイナスの電圧が印加されている前記回転電極が、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、前記第1の分離板が、前記静電場内において帯電状態の異なる選別材料を分離するとともに、前記第2の分離板が、自重により落下する選別材料と強制的に前記フィードローラより落下される選別材料とに分離することにより選別するので、前記第3発明に比べ一層精度の高い静電選別を可能にするという効果を奏する。
【0030】上記作用を奏する第5発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記フィードローラに対向する位置関係にある電極により前記フィードローラによって供給された前記選別材料のうち前記電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、さらに前記円筒体が回転すると前記電極の印加状態が解除されるので吸引され電極面に吸着した前記選別材料を自然落下させるので、電極面に吸着した前記選別材料の除去作業が不要であるという効果を奏するとともに、前記第1および第2の分離板によって分離ガイドされる選別材料中に混入する帯電状態の異なる選別材料を前記付加電極によってほぼ完全に吸着するので、100パーセントに近い選別精度を実現するという効果を奏する。
【0031】上記作用を奏する第6発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記旋回付与手段が、前記輸送管内において前記選別材料を旋回させて供給し、輸送距離を実質的に増加させて前記選別材料を充分摩擦帯電させた後前記サイクロンに供給するので、帯電量を増加させることが出来るという効果を奏する。
【0032】上記作用を奏する第7発明の摩擦帯電型静電選別装置は、少なくとももう一対以上付加された下流側の前記フィードローラによって前記上流側の回転電極により選別され無かった材料を含む前記選別材料を供給するとともに、下流側の回転電極によって前記選別材料の中から上流側の回転電極によって選別されずに含まれている印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引するので、一層選別精度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0033】上記作用を奏する第8発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記コントローラからのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾きが最適制御されるので、一層選別精度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0034】上記作用を奏する第9発明の摩擦帯電型静電選別装置は、前記帯電状態検出センサが、前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出した時に、前記コントローラが前記供給装置にコントロール信号を出力し、所定の帯電状態の選別材料がフィードローラに供給するもので、理想的な静電選別を可能にするとともに、選別精度を格段に上げることが出来るという効果を奏するとともに、前記収容箱に最終的に収容された選別材料中に混入する帯電状態の異なる材料の量をチェックして、それに応じてフィードバック制御するので一層選別精度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0035】上記作用を奏する第10発明の摩擦帯電型静電選別装置は、上流に付加された前記破砕装置が選別材料を細かく破砕し、前記篩分装置が前記破砕装置により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けられ、前記風選装置が前記篩分装置により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別し、前記選別された選別材料の中から静電選別に適した選別材料を下流の摩擦帯電型静電選別装置によって選別するもので、選別材料の種類およびサイズに応じて前記風選および静電選別の最適な選別手法で前記選別材料を選別するので、選別精度を格段に上げることが出来るという効果を奏する。
【0036】
【実施例】以下本発明の実施例につき、図面を用いて説明する。
【0037】(第1実施例)本第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図1ないし図3に示すように内壁に合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の内張りを施し、輸送中に予め選別材料を帯電させながら輸送する輸送装置10より成る予備摩擦帯電装置1と、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施された往復動摩擦機20より成る摩擦帯電装置2と、前記摩擦帯電装置2により帯電した選別材料を供給するフィードローラ30より成る供給装置3と、前記供給装置3により供給される帯電した選別材料に静電場を付与して、前記選別材料の帯電状態により選別する回転電極40より成る静電選別装置4とから成るものである。
【0038】前記予備摩擦帯電装置1を構成する前記輸送装置10は、図1に示すようにポリ塩化ビニルとガラス繊維が混じった選別材料の帯電に適した帯電材料としてポリ塩化ビニルの内張りが施されるとともに金属製の補強コイルが装着され内壁に滑らかな凹凸を形成して選別材料との摩擦を促進するようにした充分な長さを有する輸送管11と、選別材料を風送する空気流を前記輸送管11内に形成するターボブロア12と、前記輸送管11内に選別材料を投入するためのロータリフィーダ13と、前記輸送管11が接線に開口して内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料としてポリ塩化ビニルの内張りが施され、前記選別材料を螺旋的に供給することにより前記内壁との摩擦を促進して一時貯留しつつ帯電させる円錐状のサイクロン14とから成る。
【0039】前記摩擦帯電装置2を構成する前記往復動摩擦機20は、図1および図2に示すように前記サイクロン14の下方に配置され、前記サイクロン14から落下してくる選別材料を計量して定量供給するとともに前記往復動摩擦機20の幅方向に選別材料を分散させるモータによりベルトを介して回転駆動される一対の星型断面の回転体より成る分散装置21を介して内壁に前記と同様にポリ塩化ビニルの内張が施された箱体22内に供給され、この箱体22がモータ2Mによって回転駆動されるクランク2Cに対してコネクティングロッド2Rを介して連絡しており前記クランク2Cの回転運動に応じて前記箱体22を往復運動させることにより前記箱体22内に収容されている前記選別材料に摩擦を付与して帯電させ、帯電した選別材料を開口23より落下させ得る構成より成る。
【0040】前記供給装置3を構成するフィードローラ30は、図1および図2に示すように外周壁を電気絶縁材であり帯電しない材料ある木綿の布で構成したローラによって構成され、モータ3Mによってベルト3Bを介して回転駆動されており、前記摩擦帯電装置2の出口開口23の下方にV字状に配設された一対のガイドプレート31によって上部に落下供給された前記帯電した選別材料を、前記静電選別装置4に供給し得る構成より成る。
【0041】前記V字状のガイドプレート31の一方(前方のもの)は、フィードローラ30との間に前記選別材料が通過するための隙間が形成されているため、その隙間を覆うようにブーツ311が配設され、前記開口23より落下した帯電した選別材料が前記フィードローラ30に衝突して跳ね返えり前記隙間を通過した選別材料を止めて、帯電状態の異なる選別材料が混入するのを防止する構成より成る。
【0042】前記静電選別装置4を構成する回転電極40は、図1および図2に示すようにモータ4Mによりベルト4Bを介して回転駆動され前記フィードローラ30に対向して若干上部に配設され、前記選別材料の種類に応じて印加電圧制御装置4Iによってプラスまたはマイナスの所定の電圧(選別材料の種類によって異なるが例えば25000V)および電流(例えば数ミリアンペアオーダー)に調整された印加電圧が接触手段4Cを介してステンレス製の外周壁に印加されており、前記フィードローラ30より供給される前記帯電した選別材料の中から、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態(逆極性)の選別材料であるを吸引して選別し得る構成より成る。
【0043】図1ないし図3に示すように前記フィードローラ30と前記回転電極40との間の前記選別材料の種類に応じた位置および角度で分離板41が配設され、前記静電場内において前記回転電極40によって吸引され帯電状態の異なる選別材料を分離し得る構成より成り、前記回転電極40によって吸引されなかった帯電状態の同じ選別材料を自重により自然落下させる構成より成る。すなわち、前記選別材料のサイズ、重量、形状および印加電圧および電流所謂静電場によって、前記選別材料が前記回転電極40に吸引される時の軌跡が異なるので、この軌跡を考慮して前記分離板41の位置および角度が決定される。
【0044】前記回転電極40によって吸引されその外周壁に付着した前記選別材料を剥ぎ取るために可撓性を有する合成樹脂製の剥ぎ取り板42が回転電極の外周壁に長さ方向全長に亘り当接するように配設されている。
【0045】本第1実施例においては、図1ないし図3に示すように前記フィードローラ30および前記回転電極40の下流に、上述と同様の第2のフィードローラ35および第2の回転電極45をもう一対付設し、前記フィードローラ30の下方にV字状に配設された一対のガイドプレート34によって前記フィードローラ30から落下供給された前記帯電した選別材料を、前記第2のフィードローラ35の上部に供給し得る構成より成る。
【0046】図1ないし図3に示すように前記第2のフィードローラ35および第2の回転電極45の間に前記と同様に第1の分離板46が配設され、前記回転電極40によって吸引されずに前記フィードローラ30から落下してきた選別材料の中から前記静電場内において前記第2の回転電極45に印加されている電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を分離し得る構成にするとともに、前記第2の回転電極45によって吸引されなかった帯電状態の同じ選別材料を前記第2のフィードローラ45の外周壁に沿わせて供給して自重により自然落下させる逆V字状の第2の分離板47を前記第2のフィードローラ45の下方に配設するとともに、前記第2のフィードローラ45に付着した選別材料をフィードローラ45に沿って供給される選別材料と同一極性の第2の分離手段を構成する磁気反発手段48を配設して磁気的な反発力によって取り除き落下させるように構成されている。
【0047】上記構成より成る第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図1に示すように前記ターボブロア12が、前記予備摩擦帯電装置1を構成する輸送装置10の前記輸送管11内に選別材料を風送する空気流を形成し、前記ロータリフィーダ13が前記輸送管11内に前記ポリ塩化ビニルとガラス繊維が混じった選別材料を投入すると、充分な長さを有し前記選別材料の帯電に適した帯電材料としてポリ塩化ビニルの内張りが施され金属製の補強コイルが装着され内壁に滑らかな凹凸を形成された前記輸送管11が選別材料と内張との摩擦を促進して予め帯電させ、しかも前記輸送管11が接線的にに開口して内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料としてポリ塩化ビニルの内張りが施された前記円錐状のサイクロン14内において、前記選別材料が螺旋的に供給されることにより充分な時間遠心力を作用させて前記内壁との摩擦を有効に促進して有効に予備的に帯電させるものである。
【0048】前記摩擦帯電装置2を構成する前記往復動摩擦機20は、図1および図2に示すように前記サイクロン14から落下してくる選別材料を一対の星型断面の回転体より成る前記分散装置21によって計量するとともに前記往復動摩擦機20の幅方向に選別材料を分散させて内壁に前記ポリ塩化ビニルの内張が施された前記箱体22内に供給され、この箱体22がモータによって回転駆動されるクランクの回転運動に応じて往復運動することにより、前記箱体22内に落下収容されている前記選別材料に摩擦を付与して帯電させ、充分帯電した選別材料を開口23より落下させるものである。
【0049】前記供給装置3を構成するフィードローラ30は、前記摩擦帯電装置2の出口開口23の下方にV字状に配設された一対のガイドプレート31によって上部に落下供給された前記充分帯電した選別材料を、外周壁に沿って前記静電選別装置4に供給するものである。
【0050】前記静電選別装置4を構成する回転電極40は、前記フィードローラ30に対向して若干上部に配設され、前記選別材料の種類に応じて印加電圧制御装置4Iによってプラスまたはマイナスの所定の電圧(例えば本第1実施例においてはマイナス25000V)および電流(数ミリアンペアオーダー)に調整された印加電圧が接触手段4Cを介してステンレス製の外周壁に印加されており、前記フィードローラ30の外周壁に沿って供給される前記帯電した選別材料の中から、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態(逆極性)の選別材料であるガラス繊維を吸引して選別するものである。
【0051】前記フィードローラ30と前記回転電極40との間の前記選別材料の種類に応じた位置に配設された前記分離板41が、前記静電場内において前記回転電極40によって吸引された帯電状態の異なる選別材料であるガラス繊維を分離してガイドするものである。前記回転電極40によって吸引されなかった前記回転電極40と同じ極性の帯電状態の選別材料であるポリ塩化ビニルを自重により自然落下させるものである。
【0052】前記フィードローラ30の下方にV字状に配設された一対のガイドプレート34は、前記フィードローラ30から落下供給された前記静電選別装置4に吸引されなかった一部の帯電状態の異なる選別材料のガラス繊維を含む前記帯電した選別材料であるポリ塩化ビニルを、前記第2のフィードローラ35の上部に供給し、この第2のフィードローラ35が供給された一部の帯電状態の異なる選別材料を含む前記帯電した選別材料をその外周壁に沿って供給する。
【0053】前記第2の回転電極45が、前記回転電極40によって一部吸引されずに前記フィードローラ30から落下してきた選別材料の中から前記静電場内において印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料であるガラス繊維を吸引するとともに、前記第2のフィードローラ35および第2の回転電極45の間に配設された前記第1の分離板46によって前記吸引された帯電状態の異なる選別材料を分離する。
【0054】前記第2の回転電極45によって吸引されなかった帯電状態の同じ選別材料であるポリ塩化ビニルを前記第2のフィードローラ45がその外周壁に沿わせて供給し、最下点付近において前記第2の分離板47によって自重により自然落下する前記選別材料を分離させてガイドするとともに、さらに前記第2のフィードローラ45に付着し上方に回転移動する選別材料を前記選別材料と同一極性の第2の分離手段を構成する磁気反発手段48の磁気的な反発力によって取り除き落下させるものである。
【0055】上記作用を奏する第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置1を構成する前記輸送管11およびサイクロン14に施されたポリ塩化ビニルの内張りより予め予備的に選別材料に摩擦を付与してある程度帯電させた上で、前記摩擦帯電装置2を構成する前記往復動摩擦機20によりさらに前記選別材料に摩擦を付与して一様に帯電させた前記選別材料を前記静電選別装置を構成する前記回転電極40により静電選別するので、精度の高い静電選別を可能とし、一方の選別材料の中に混入する他方の選別材料の割合が少ないので、精度の高い選別が要求されても従来のように多数回に亘り装置に通す必要が無く、短時間で選別を行うことが出来るという効果を奏する。
【0056】また第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記予備摩擦帯電装置を構成する前記輸送管11の内壁に施された前記ポリ塩化ビニルの内張りが合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進し、前記金属製の補強コイルが装着され内壁に滑らかな凹凸を形成して選別材料との摩擦を促進するするととも、前記輸送管11に充分な長さを持たせて摩擦帯電用の距離および時間が充分確保出来るようにしたので、輸送中に予め選別材料に必要な摩擦を付与して帯電させるので、一層精度の高い静電選別を可能にするという効果を奏する。
【0057】さらに第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料としてのポリ塩化ビニルの前記内張りが施された前記輸送管11、サイクロン14および往復動摩擦機20の内壁によって、選別材料に必要かつ充分な摩擦を付与して帯電させるので、前記選別材料であるガラス繊維およびポリ塩化ビニルの一層精度の高い静電選別を可能とし、一方の選別材料の中に混入する他方の選別材料の割合が少ないので、精度の高い選別が要求されても従来のように多数回に亘り装置に通す必要が無く、短時間で選別を行うことが出来るという効果を奏する。
【0058】また第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記フィードローラ30が、必要かつ充分帯電された選別材料をその回転により供給し、前記フィードローラ30に対向している選別材料に応じてプラスまたはマイナスに帯電されている前記回転電極40が、前記回転電極40に印加されている電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、前記分離板41および第1の分離板46が、前記静電場内において帯電状態の異なる選別材料を分離して外方にガイドするとともに、前記第2の分離板47が、自重により落下する選別材料を分離し、前記第2の分離手段を構成する磁気反発手段48の磁気的反発力によって前記フィードローラ35に付着している選別材料(自重により落下しない材料)とに分離することにより選別するので、前記選別材料を3つの種類の選別材料に選別することが出来ると言う効果を奏するとともに、合成樹脂のリサイクルを可能にするという効果を奏する。
【0059】さらに第1実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、一対のフィードローラおよび回転電極を上流と下流に2段構成に配設したので、前記下流側の前記フィードローラによって前記上流側の回転電極により選別され無かった材料を一部含む前記選別材料を供給するとともに、下流側の回転電極によって前記選別材料の中から上流側の回転電極によって選別されずに含まれている帯電状態の異なる選別材料を吸引するので、一層選別精度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0060】(第2実施例)第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図4および図5に示すように前記輸送管11内にターボブロア12からの空気流を接線的に供給して前記輸送管11内において旋回流を形成してポリ塩化ビニルとポリエチレンテレフタレートの混ざった選別材料を旋回させて供給し、充分摩擦帯電させた後前記サイクロン14に供給する旋回付与手段15を形成し、前記回転電極40、45が、前記フィードローラと同期して回転する円筒体の外周壁に配設された多数の分割電極4Dによって構成されており、印加電圧調整手段4Iに接続されたフィードローラ30、35に対向する部分に配設された弓状の接触子4Yとの接触関係により前記フィードローラ30、35に対向する位置関係にある電極のみに電圧が印加される構成より成る点が上述の第1実施例と相違する点である。
【0061】さらに第2実施例装置は、前記ターボブロア12の風量を検出する風量センサ17と、前記摩擦帯電装置2内に配設され、前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出する帯電状態検出センサ25と、前記摩擦帯電装置の出口開口部に配設され開口面積を制御する絞り手段26と、および選別された材料を収容する収容箱に夫々配設された帯電状態検出センサ27、28が上記第1実施例に対して付加されている。
【0062】さらに第2実施例装置は、前記選別材料の種類に応じてブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾き等を予め実験的に求めて格納されたデータおよび上記各センサによって検出された情報に基づき、前記選別材料が所定の帯電状態に到達した時に、前記出口開口を開状態に制御する信号や、前記選別された材料を収容する前記収容箱内の帯電状態を検出して帯電状態の異なる材料の混入の度合を考慮して選別精度を高めるための信号や、その他のコントロール信号を出力するコントローラ5と、コントローラ5からのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾きを制御する各種制御機構6とを上記第1実施例に対して付加したものである。
【0063】上記コントロール信号は、予め実験を行い、選別精度とブロアの風量、摩擦帯電時間、帯電状態、前記回転電極40、45の印加電圧および電流、分離板の位置および角度との相関および最適値を求めて、それらのデータを前記コントローラ5の記憶装置に予め格納しておき、それに従い前記コントローラ5はコントロール信号を決定するものである。
【0064】上記構成より成る第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記旋回付与手段15が、前記輸送管11内に形成された旋回流によって前記選別材料を旋回させて供給するので、輸送管11の長手方向の長さより長い輸送長さを実現するので、前記輸送管11内を最大限に活用するとともに、前記選別材料に遠心力を作用させて内張りとの強い接触状態を実現して、充分摩擦帯電させた後前記サイクロン14に供給するものである。
【0065】また第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記コントローラ5が、前記予め格納されたデータおよび前記センサからの出力信号に基づき前記選別材料の種類に応じてターボブロア12の風量、前記摩擦帯電装置2の摩擦帯電時間、前記回転電極4に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板41、46、48の傾き等を決定して、各コントロール信号を出力し、前記各制御機構6が、前記コントローラ5からのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置2の摩擦帯電時間、前記回転電極4に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板41、46、48の傾きを制御するものである。
【0066】さらに第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記回転電極40、45を構成する外周壁に配設された前記多数の分割電極4Dのうち、前記弓状の接触子4Yとの接触関係により前記フィードローラ30、35に対向する位置関係にある電極にのみ電圧が印加され、前記フィードローラ30、35によって供給された前記選別材料のうち前記電極の印加電圧と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、さらに前記回転電極40、45が回転すると前記弓状の接触子4Yとの接触関係が解除されるため、前記電極への電圧の印加が解除されるので、前記電極面に吸着した前記選別材料を自然落下させるものである。
【0067】また第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記摩擦帯電装置2内に配設された前記帯電状態検出センサ25が、前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出し、前記選別材料が所定の帯電状態に到達した時に、前記コントローラ5が前記制御機構6にコントロール信号を出力して、前記出口開口を開き、所定の帯電状態の選別材料が前記フィードローラ30に供給するものである。
【0068】さらに前記収容箱に配設せれた帯電状態検出センサ27、28によって異なる材料の混入量、混入割合を検出してフィードバックして、前記ターボブロア12の風量、前記摩擦帯電装置2の摩擦帯電時間、前記回転電極4に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板41、46、48の傾き等を制御するものである。
【0069】上記作用を奏する第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記フィードローラ30に対向する位置関係にある電極によって前記フィードローラ30によって供給された前記選別材料のうち前記電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引し、さらに前記回転電極40が回転すると前記電極の印加状態が解除されるので前記電極面に吸着されていた前記選別材料を自然落下させるので、電極面に吸着した前記選別材料の除去作業が不要であるという効果を奏する。
【0070】また第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記旋回付与手段15が、前記輸送管11内に形成されている旋回流に乗せて前記選別材料を旋回させて供給し、輸送距離を実質的に増加させるとともに、前記選別材料に作用する遠心力によって前記選別材料を前記輸送管の内壁に施された内張りに充分摩擦させて帯電させた後、前記サイクロン14に供給するので、帯電量を増加させることが出来、前記ポリ塩化ビニルとポリエチレンテレフタレートとの静電選別をより確実にするという効果を奏する。
【0071】さらに第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記コントローラ5からのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の位置および傾きが前記選別材料の上述した選別挙動(前記回転電極40により吸引される選別材料の軌跡)に応じて最適制御されるので、一層選別精度を上げることが出来るという効果を奏する。
【0072】また第2実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記帯電状態検出センサ25が、前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出した時に、前記コントローラ5が前記絞り手段26にコントロール信号を出力し、前記絞り手段26が前記摩擦帯電装置2の出口開口を開けることにより、静電選別に適した所定の帯電状態の選別材料を前記フィードローラ30に供給するとともに、選別された材料中の混入量または混入割合に応じてフィードバック制御するもので、理想的な静電選別を可能にするとともに、選別精度を格段に上げることが出来るという効果を奏する。
【0073】(第3実施例)第3実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図6に示すように前記第1実施例のフィードローラ30とフィードローラ35との間に第2の摩擦帯電装置29を付加する点が前記第1実施例との主な相違点であり、前記回転電極40によって吸引されなかった一部の帯電状態の異なる選別材料を含む選別材料を前記第2の摩擦帯電装置29によってもう一度往復運動を付与して充分摩擦帯電させて、下流のフィードローラ35および回転電極45に供給して一部の帯電状態の異なる選別材料を含む選別材料の中から帯電状態の異なる選別材料をより確実に静電選別するものである。
【0074】上記第3実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記第2の摩擦帯電装置29によってもう一度往復運動を付与して充分摩擦帯電させることにより、帯電状態不良による帯電状態の異なる選別材料を一部含む選別材料を充分帯電させて帯電状態の異なる選別材料を静電選別するので、前記第1実施例に比べて一層選別精度を高めることが出来るという効果を奏する。
【0075】(第4実施例)第4実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図7に示すようにポリウレタン、アクリロニトリルスチレンおよびポリ塩化ビニル等の異なった合成樹脂の積層体である選別材料を細かく破砕する破砕装置7と、前記破砕装置7により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けする篩分装置8と、前記篩分装置8により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別する風選装置9とを付加して、静電選別に先立ち風選により予め前記選別材料の選別を行うものである。
【0076】前記破砕装置7は、5φ、8φ、10φの少なくとも1個以上のカッターミルにより、選別材料を粗粉砕および再粉砕する。
【0077】前記篩分装置8は、前記破砕装置7によって粗粉砕および再粉砕された選別材料を例えば3種類のサイズのもの例えば8メッシュ、10メッシュ、12メッシュのものに篩分する。
【0078】前記風選装置9は、前記風選装置8によって例えば8メッシュ、10メッシュのものに篩分けられた選別材料を風選により重いものと軽いものに選別し、風選により重いものとして選別されたものはさらに風選を行い重いものと軽いものに選別して、前記12メッシュのものと同様に夫々上記第1実施例装置と同様の摩擦帯電型静電選別装置により前記選別材料の帯電状態によって静電選別を行う。
【0079】上記構成より成る第4実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、上流に付加された前記破砕装置7のカッターミルが選別材料を細かく破砕し、前記篩分装置8が前記破砕装置7により破砕された選別材料を8ないし12メッシュのサイズ毎に篩分けて、前記風選装置9が前記篩分装置8により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別し、前記選別された選別材料の中から静電選別に適した比較的重い選別材料を下流の摩擦帯電型静電選別装置によって帯電状態により静電選別するものである。
【0080】上記作用を奏する第4実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図7に示すように上流に付加された前記破砕装置7が選別材料を細かく破砕し、前記篩分装置8が前記破砕装置7により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けて、前記風選装置9が前記篩分装置8により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別し、前記選別された選別材料の中から静電選別に適した選別材料を下流の摩擦帯電型静電選別装置によって選別するもので、選別材料の種類およびサイズに応じて前記風選および静電選別の最適な選別手法で前記選別材料を選別するので、選別精度を格段に上げることが出来るとともに、異なった合成樹脂の積層体である選別材料の選別を可能にするという効果を奏する。
【0081】(第5実施例)第5実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、図8に示すように上記第2実施例の下流側のフィードローラ35および回転電極45を取り除き、上流側のフィードローラ30および回転電極40のみとするとともに、前記静電選別によって選別されたアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体およびポリ塩化ビニルの選別材料をガイドする前記分離板41、46、47の下端にガイドする前記選別材料と同じ極性の電圧を印加された、すなわち一部混入する帯電状態の異なる選別材料と逆の極性の電圧が印加された付加電極49を配設するものである。
【0082】上記構成の第5実施例の摩擦帯電型静電選別装置は、前記選別されガイドされる選別材料については前記分離板41、46、47によってガイドする際に前記付加電極49と同極性のため何ら吸引されずに自然落下するが、一部混入する帯電状態の異なる選別材料については前記付加電極49によって全て吸着して、下方の収容箱には帯電状態の異なる選別材料が落下しないようにするので、選別精度を格段に高め、100パーセントに近い選別精度を確保するという効果を奏する。
【0083】また第5実施例装置は、一対のフィードローラ30および回転電極40のみによって構成されるので、構成が簡単であり、保守が容易であるとともに、コストを低減するという実用的効果を奏する。
【0084】上述の実施例は、説明のために例示したもので、本発明としてはそれらに限定されるものでは無く、特許請求の範囲、発明の詳細な説明および図面の記載から当業者が認識することができる本発明の技術的思想に反しない限り、変更および付加が可能である。
【0085】例えば上述の実施例においては、固定されたサイクロンの例について述べたが、本発明はそれに限定するものでは無く、図9に示すように円錐状のサイクロン14C自体をモータ14Mによりギア14Gを介して回転させて選別材料に遠心力を付与して強い摩擦帯電を付与したり、図10に示すように角錐状のサイクロン14Kにモータ14Nによりクランク14Lおよびコネクティングロッド14Rを介して偏心円運動を付与して強い摩擦帯電を付与する態様も採用可能であり、さらに発展させて前記摩擦帯電装置の機能も併せ備えるようにして、独立の摩擦帯電装置を省略する態様も採用可能である。
【0086】また上述の実施例においては、前記輸送管11内に旋回流を形成してこの旋回流に乗せて前記選別材料を搬送する例について述べたが、本発明はそれに限定するものでは無く、図11に示すようにスパイラルな輸送管1Sによって前記輸送管を構成して狭いスペース内においても長い実効輸送摩擦距離を確保するとともに、前記選別材料に遠心力を付与して充分な摩擦帯電を与える態様も採用可能である。
【0087】さらに前記第5実施例において、分離板の下端に固定の付加電極を配設する例について説明したが、本発明はそれに限定するものでは無く、図12に示すように分離板41の下端に前記第2実施例と同様な多数の分割電極41Dと弓状の接触子41Yより成る回転電極を配設して、前記接触子41Yの無い部分(図中最下端)において吸着した材料を自動的に落下させるようにする態様も採用可能である。
【0088】また上記第5実施例においては、第1および第2の分離板の両方に付加電極を付加する例について述べたが、帯電状態の異なる材料の混入が許容されない材料についてのみ前記付加電極を配設する態様も採用可能である。
【0089】さらに上述の実施例においては、摩擦帯電装置として往復動摩擦機について一例として説明したが、本発明としてはこれに限定するものではなく、例えば図13に示すように内壁に前述と同様の内張りが施されるとともに、傾斜して配設され回転している所定の軸方向長さを有する中空円筒体のトロンメル2T内に選別材料を供給して徐々に軸方向に移動させながらトロンメル2Tの回転により摩擦を付与して帯電させる態様も採用可能である。
【0090】また上述の実施例において、前記摩擦帯電装置から前記供給装置へは前記選別材料を自然落下させているが、本発明はそれに限定するものでは無く、前記選別材料が破砕片の場合帯電状態の異なる材料が機械的に絡み合っている場合もあり、その両者を分離するために図14に示すように前記両者を乗せた空気流を衝突壁2Cに衝突させて前記両者を分離してからフィードローラ30に供給する態様も採用可能である。
【0091】さらに上述の実施例において、回転電極は何れも回転円筒により構成したものについて一例として述べたが、本発明としてはそれに限定するものでは無く、例えば図15に示すように回転電極をキャタピラー状の連結した分割電極40Dによって構成し、フィードローラに対向する部分にのみ印加手段に接続した印加電極40Iを配設して、前記分割電極40Dがこの印加電極40Iに接触している間は電圧が印加され、それを過ぎると電圧が印加されないので吸着した選別材料を分離板41上に落下させるという態様も採用可能である。
【0092】また本発明は、上述の第2実施例において、高い選別精度が要求されない場合には、予備摩擦帯電装置を省略する態様も採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例装置を示す側面図である。
【図2】第1実施例装置の選別原理を示す原理図である。
【図3】第1実施例装置を示す正面図である。
【図4】本発明の第2実施例装置の基本構成を示す説明図である。
【図5】第2実施例装置の選別原理を示す部分拡大図である。
【図6】本発明の第3実施例装置を示す側面図である。
【図7】本発明の第4実施例における選別の流れを示す説明図である。
【図8】本発明の第5実施例装置を示す部分拡大図である。
【図9】サイクロンの変形例を示す説明図である。
【図10】サイクロンの他の変形例を示す説明図である。
【図11】輸送管の変形例を示す説明図である。
【図12】付加電極の変形例を示す説明図である。
【図13】摩擦帯電装置の変形例を示す説明図である。
【図14】摩擦帯電装置の変形例を示す説明図である。
【図15】回転電極の変形例を示す説明図である。
【図16】各種プラスチックの比重の分布を示す線図である。
【図17】汎用樹脂の帯電列を示す線図である。
【図18】従来技術装置の原理を説明する説明図である。
【符号の説明】
1 予備摩擦帯電装置
2 摩擦帯電装置
3 供給装置
4 静電選別装置
10 輸送装置
20 往復動摩擦機
30 フィードローラ
40 回転電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】 予め選別材料に摩擦を付与して帯電させる予備摩擦帯電装置と、予備帯電された前記選別材料にさらに摩擦を付与して帯電させる摩擦帯電装置と、前記摩擦帯電装置により帯電した選別材料を供給する供給装置と、前記供給装置により供給される帯電した選別材料に静電場を付与して、前記選別材料の帯電状態により選別する静電選別装置とから成る摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項2】 請求項1において、前記予備帯電装置が、内壁に合成樹脂を含む選別材料の帯電を促進する材料の内張りが施され、輸送中に予め選別材料を帯電させながら輸送する輸送装置によって構成されていることを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項3】 請求項2に対して、前記輸送装置が、合成樹脂を含む選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りを施した輸送管と、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施され、前記選別材料を充分な時間内壁に接触させつつ帯電させるサイクロンとから成り、前記摩擦帯電装置が、内壁に選別材料の帯電に適した帯電材料の内張りが施された往復動摩擦機より成ることを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項4】 請求項3において、前記供給装置が、前記摩擦帯電装置の出口開口近くに配設され、前記摩擦帯電装置により帯電された選別材料をその回転により供給するフィードローラにより構成され、前記静電選別装置が、前記フィードローラに対向して配設され、プラスまたはマイナスの電圧が印加されている回転電極により構成され、前記回転電極の印加電圧の極性と異なる帯電状態の選別材料を吸引して選別し得る構成より成るとともに、前記フィードローラと前記回転電極との間に配設され、前記静電場内において帯電状態のことなる選別材料を分離する第1の分離板と、前記フィードローラの下部に配設され、自重により落下する選別材料と強制的に前記フィードローラより落下される選別材料とに分離する第2の分離板とを付加したことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項5】 請求項4において、前記回転電極が、前記フィードローラと同期して回転する円筒体の外周壁に配設された複数の分割電極によって構成されており、前記フィードローラに対向する位置関係にある電極に電圧が印加され、前記第1および第2の分離板の下端に、分離された選別材料と同じ極性の電圧が印加された付加電極を付加して、一部混入する帯電状態の異なる選別材料を吸着し得る構成より成ることを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項6】 請求項3に対して、前記輸送管内において前記選別材料を旋回させて供給し、充分摩擦帯電させた後前記サイクロンに供給する旋回付与手段を付加したことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項7】 請求項4に対して、前記フィードローラおよび前記回転電極の下流に、前記フィードローラおよび前記回転電極と同様のフィードローラおよび回転電極を少なくとももう一対以上付加したことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項8】 請求項7において、前記選別材料の種類に応じてブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾き等を予め格納されたデータに基づき決定して、各コントロール信号を出力するコントローラと、コントローラからのコントロール信号に基づきブロアの風量、前記摩擦帯電装置の摩擦帯電時間、回転電極に印加する電圧および極性、第1および第2の分離板の傾きを制御する制御機構とを付加したことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項9】 請求項8に対して、前記摩擦帯電装置内に前記選別材料が所定の帯電状態に到達したことを検出する帯電状態検出センサを付加して、前記選別材料が所定の帯電状態に到達した時に、前記コントローラが前記供給装置にコントロール信号を出力して所定の帯電状態の選別材料をフィードローラに供給し得る構成にするとともに、選別された材料を収容する収容箱に帯電状態検出センサを付加して、選別された材料中に混入する帯電状態の異なる材料の量をチェックし得る構成にしたことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。
【請求項10】 請求項1に対して、選別材料を細かく破砕する破砕装置と、前記破砕装置により破砕された選別材料をサイズ毎に篩分けする篩分装置と、前記篩分装置により篩分けされた選別材料に所定の速度の風を供給して重い選別材料と軽い選別材料とに選別する風選装置とを上流側に付加したことを特徴とする摩擦帯電型静電選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開平7−328482
【公開日】平成7年(1995)12月19日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−153008
【出願日】平成6年(1994)6月10日
【出願人】(593080870)センコー工業株式会社 (1)
【出願人】(593080869)豊田メタル株式会社 (1)
【出願人】(000241485)豊田通商株式会社 (73)