説明

摩耗検知機能を有する輸送用ホース

【課題】ホース壁に対して補強芯を設けているにもかかわらず、ホース壁の外面側及び内面側の摩耗度合を、外部からの目視だけで簡単且つ確実に検知することができる摩耗検知機能を有する輸送用ホースを提供する。
【解決手段】この輸送用ホースは、黄色透明の外側層3と、青色透明又は赤色透明の内側層4と、これら外側層3と内側層4との間に位置する無色透明の中間層5とを積層してなる合成樹脂製のホース壁1を備え、このホース壁1の中間層5に、無色透明の合成樹脂製の補強芯2を埋設してなり、外側層3の摩耗度合及び内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色が変化するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種の固形物や流動物を輸送するための輸送用ホースであって、特にホース壁の摩耗度合を検知可能とした摩耗検知機能を有する輸送用ホースに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、各種の固形物や流動物を輸送する合成樹脂製の輸送用ホースにおいては、固形物や流動物の接触に伴ってホース壁内面側が経時的に摩耗する。また、ホース壁内面側だけでなく、ホース同士の擦れ合いや異物との接触に伴ってホース壁外面側も摩耗することがある。このようなホース壁の摩耗が進行すると、最終的に亀裂や破断が生じて漏出事故を引き起こすことになる。
【0003】
このような問題を未然に防ぐために、定期的に新しいホースに交換することが一般的に行われているが、この場合、ホースの交換時期を適切に予測することが困難であって、摩耗の進行が予想以上に速くて交換前にホースに亀裂や破断が生じたり、十分に使用可能なホースを交換してしまうといった不具合が生じていた。
【0004】
このため、近年では、ホース壁の摩耗を検知可能とした輸送用ホースが提案されている。この種の輸送用ホースとして、例えば特許文献1に開示されているように、複層構造のホース壁における外側層と内側層の色を異ならせて、ホース壁の外側層の摩耗によってホース壁外面側に内側層が露出し、ホース壁の内側層の摩耗によってホース壁内面側に外側層が露出することで、ホース壁の外面側や内面側における摩耗を検知可能としたものが知られている。
【0005】
また、例えば特許文献2に開示されているように、複層構造のホース壁における外側層及び内側層を透明にし、さらに内側層においては着色を施して、ホース壁の内側層の摩耗が進行していくにつれて、その摩耗箇所において内側層の色が薄れて、ホース壁の色が徐々に変化するようにして、この色の変化を外部からの目視によって確認することで、ホース壁内面側の摩耗度合を検知可能としたものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−247668号公報
【特許文献2】実開平5−31870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示されているような輸送用ホースにおいては、特にホース壁内面側の摩耗の検知に際して、ホースを一旦取り外して、ホース壁内面側を目視により観察したり、場合によってはホース壁内に小型カメラやファイバースコープ等を挿入して観察する必要があり、確認作業が煩雑になるといった不具合があった。
【0008】
また、外側層や内側層が摩耗により消失して、ホース壁外面側に内側層が露出したり、ホース壁内面側に外側層が露出することによって初めて、ホース壁の摩耗を検知することができるのであって、ホース壁が徐々に摩耗していく過程(摩耗度合)までは検知することができなかった。このため、例えばホースの点検時において摩耗が検知されなかったが、その時点において摩耗がかなり進行していて、次回の点検時には既に漏出事故を引き起こしているといった事態を招きかねない。また、摩耗が生じ易くなっているホースを早期に発見して、他のホースとの配置換えを適宜行うことで、配管寿命を延ばすといった対策も採り難いといった不具合があった。
【0009】
一方、特許文献2に開示されているような輸送用ホースにおいては、ホース壁の色の変化を外部からの目視によって確認するだけで、ホース壁内面側の摩耗度合までを検知することができるが、ホース壁の色の変化は内側層の色(単一色)の濃淡によるものであって判り難いことから、信頼性に乏しいといった不具合があった。
【0010】
しかも、ホース壁外面側の摩耗度合の検知についてまでは、十分な配慮がなされていなかった。すなわち、ホース壁の外側層の摩耗が進行しても、透明な外側層において色の薄れはなく、ホース壁の色の変化が生じ難いことから、ホース壁の色の変化を外部からの目視によって確認しても、ホース壁外面側の摩耗度合を検知することは困難であった。
【0011】
さらに、輸送用ホースにおいては、ホース壁に対して補強芯を螺旋巻回して耐圧強度を高めることが一般的になされているが、特に特許文献2に開示されているような輸送用ホースにおいて、そのホース壁に補強芯を設けた場合、補強芯が邪魔をしてホース壁の色の変化を視認し難くなり、ホース壁の摩耗度合の検知に支障をきたすといった不具合があった。
【0012】
そこで、この発明は、上記の不具合を解消して、ホース壁に対して補強芯を設けているにもかかわらず、ホース壁の外面側及び内面側の摩耗度合を、外部からの目視だけで簡単且つ確実に検知することができる摩耗検知機能を有する輸送用ホースの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明の摩耗検知機能を有する輸送用ホースは、固形物や流動物を輸送するものであって、有色の透光性を有する外側層3と、有色の透光性を有する内側層4と、これら外側層3と内側層4との間に位置する無色若しくは有色の透光性を有する中間層5とを積層してなる合成樹脂製のホース壁1を備え、このホース壁1の中間層5に、無色若しくは有色の透光性を有する合成樹脂製の補強芯2を埋設してなり、前記外側層3と前記内側層4と前記中間層5の色を異ならせるとともに、前記中間層5と前記補強芯2の色を同一として、前記外側層3の摩耗度合及び前記内側層4の摩耗度合に応じて、前記ホース壁1の色が変化するようにしたことを特徴とする。なお、「透光性を有する」とは、具体的には透明若しくは半透明の状態を意味している。
【0014】
具体的に、前記外側層3を黄色透明とし、前記内側層4を青色透明又は赤色透明とし、前記中間層5及び補強芯2を無色透明としている。また、前記外側層3の肉厚を全周に亘って均一とし、前記内側層4の肉厚を全周に亘って均一とし、前記補強芯2を埋設した状態の前記中間層5の肉厚を全周に亘って均一としている。さらに、前記補強芯2を、前記中間層5の肉厚内に収まるように埋設している。
【発明の効果】
【0015】
この発明の輸送用ホースにおいては、ホース壁の外側層の摩耗が進行していくにつれて、その摩耗箇所において外側層の色が徐々に薄れて、ホース壁の色が徐々に変化し、またホース壁の内側層の摩耗が進行していくにつれて、その摩耗箇所において内側層の色が徐々に薄れて、ホース壁の色が徐々に変化していくことから、外部からの目視によってホース壁の色を確認するだけで、ホース壁の外面側及び内面側における一定量の摩耗を単に検知するだけでなく、ホース壁の外面側及び内面側の摩耗度合までも簡単に検知することができる。しかも、ホース壁の色の変化は、単一色の濃淡による変化ではなく、各層の色が混じり合った混合色から外側層や内側層の色を除いた色へのドラスティックな色相の変化であることから、判り易く視認することができ、ホース壁の外面側及び内面側の摩耗度合を確実に検知することができる。
【0016】
しかも、外側層と内側層との間に無色若しくは有色の透光性を有する中間層を介在させて、中間層と同色の補強芯を埋設していることから、補強芯によって視線が遮られたり、ホース壁において補強芯が筋状に浮かび上がってグラデーションが生じるといったことがなく、ホース壁に対して補強芯を設けて補強しているにもかかわらず、ホース壁の色の変化を良好に視認することができる。
【0017】
また、外側層の色を明度の高い黄色とし、内側層の色を黄色よりも明度の低い青色又は赤色とし、中間層及び補強芯を無色透明として、内側層の摩耗時に明度の低い青色や赤色が薄れるようにすることで、特に内側層の摩耗の進行に伴うホース壁の色の変化がより一層判り易くなって、例えば暗所等の環境下においても、ホース壁の内面側の摩耗度合を確実に検知することができる。
【0018】
さらに、外側層、内側層、補強芯を埋設した中間層における肉厚を、それぞれ全周に亘って均一としたり、中間層の肉厚内に収まるように補強芯を埋設することで、ホース壁を全周に亘って斑なく着色させることができ、ホース壁の色の変化をより一層良好に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係る輸送用ホースの一部破断正面図である。
【図2】同じくその要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この発明の一実施形態に係る輸送用ホースは、例えばプラスチックペレット等の固形物を輸送するためのものであって、図1に示すように、合成樹脂製のホース壁1に対して、合成樹脂製の補強芯2を一体に設けることによって構成されている。
【0021】
ホース壁1は、有色の透光性を有する外側層3と、有色の透光性を有する内側層4と、これら外側層3と内側層4との間に位置する無色の透光性を有する中間層5とをホース径方向に積層してなる。このホース壁1は、内外周面が略平滑な円筒状に形成されており、そのホース径方向の肉厚が全周に亘って均一となっていて、全周に亘って透光性を有し、且つ、着色が施された状態となっている。
【0022】
具体的に、外側層3は、例えば可撓性に優れた軟質の塩化ビニル樹脂を主素材として、これに例えば縮合アゾ等の黄色顔料を混入した材料を使用して、内外周面が略平滑な円筒状に形成されており、そのホース径方向の肉厚が全周に亘って均一となっていて、全周に亘って斑のない黄色透明となっている。なお、外側層3の主素材としては、塩化ビニル樹脂に限らず、オレフィン系樹脂やウレタン樹脂等のような透光性を有するその他合成樹脂を用いても良い。また、主素材に混入する顔料としては、縮合アゾに限らず、その他の黄色顔料を用いても良い。
【0023】
内側層4は、例えば耐摩耗性に優れたウレタン樹脂を主素材として、これに例えばシアニンブルー(α)等の青色顔料を混入した材料を使用して、内外周面が略平滑な円筒状に形成されており、そのホース径方向の肉厚が全周に亘って均一となっていて、全周に亘って斑のない青色透明となっている。なお、内側層4の主素材としては、ウレタン樹脂に限らず、オレフィン系樹脂や塩化ビニル樹脂等のような透光性を有するその他合成樹脂を用いても良い。また、主素材に混入する顔料としては、シアニンブルー(α)に限らず、その他の青色顔料を用いても良い。
【0024】
中間層5は、例えば可撓性に優れた軟質の塩化ビニル樹脂を主素材とした材料を使用して、内外周面が略平滑な円筒状に形成されている。この中間層5には、例えば硬質の塩化ビニル樹脂を主素材とした材料を使用して形成された補強芯2が、中間層5のホース径方向の肉厚内に収まるようにして、ホース軸方向に間隔をあけて螺旋巻回された状態で埋設されている。これら中間層5及び補強芯2は、ともに無色透明であって、補強芯2を埋設した状態の中間層5において、そのホース径方向の肉厚が全周に亘って均一となっていて、全周に亘って無色透明となっている。なお、中間層5及び補強芯2の主素材としては、塩化ビニル樹脂に限らず、オレフィン系樹脂やウレタン樹脂等のような透光性を有するその他合成樹脂を用いても良い。また、補強芯2のホース径方向の断面形状は、略楕円形に形成されているが、略円形や略多角形といったようにどのような形状であっても良い。
【0025】
上記構成の輸送用ホースにおいては、外側層3及び中間層5により可撓性を良好に維持しながらも、その内面側において内側層4により耐摩耗性が確保され、さらに補強芯2により耐圧強度が高められている。また、外側層3と内側層4と中間層5の色はそれぞれ異なっているが、外側層3の黄色透明と内側層4の青色透明が、無色透明とされた補強芯2入り中間層5を介してホース径方向に重なることで、ホース壁1は、全周に亘って斑のない緑色透明となっている。なお、外側層3や内側層4の肉厚が薄過ぎたり、厚過ぎたりすると、外側層3又は内側層4のいずれかの色が強調され過ぎて、ホース壁1を緑色とすることが困難となるため、ホース壁1におけるホース径方向の肉厚に対して、外側層3、内側層4におけるホース径方向の肉厚が10〜30%にそれぞれ設定されている。
【0026】
上記の輸送用ホースは、以下のようにして製造される。まず、ウレタン樹脂製のペレットにシアニンブルー(α)等の青色顔料を混入した材料を、押出機により押し出すことによって内側層構成用の帯状体を成形し、この帯状体をマンドレル上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の互いに隣接する端縁部同士を熱融着することによって内側層4を形成する。
【0027】
続いて、軟質の塩化ビニル樹脂製のペレット及び硬質の塩化ビニル樹脂製のペレットを、共押出機により一体に押し出すことによって補強芯2入りの中間層構成用の帯状体を成形し、この帯状体を内側層4の外周面上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の互いに隣接する端縁部同士を熱融着することによって補強芯2を埋設した中間層5を形成する。
【0028】
最後に、軟質の塩化ビニル樹脂製のペレットに縮合アゾ等の黄色顔料を混入した材料を、押出機により押し出すことによって外側層構成用の帯状体を成形し、この帯状体を中間層5の外周面上に螺旋状に巻回して、その先行する帯状体と後続する帯状体の互いに隣接する端縁部同士を熱融着することによって外側層3を形成する。
【0029】
そして、内側層構成用の帯状体、中間層構成用の帯状体、外側層構成用の帯状体の溶融熱を利用して、外側層3、補強芯2を埋設した中間層5、内側層4を相互に熱融着させて一体化することで、ホースが製造される。なお、ホースの製造にあたっては、内側層構成用の帯状体、中間層構成用の帯状体、外側層構成用の帯状体を別々に押し出して螺旋状に巻回するだけでなく、これらを共押出機により一体に押し出して螺旋状に巻回しても良い。
【0030】
このような輸送用ホースを使用して、プラスチックペレット等の固形物を輸送した場合、ホース壁1の内面側すなわち内側層4が耐摩耗性を有しているものの、プラスチックペレット等の固形物の衝突に伴って、内側層4が経時的に摩耗してくる。
【0031】
ホース壁1の内側層4が摩耗し始めると、その摩耗箇所において内側層4の肉厚が薄くなって、内側層4の青色が薄れてくる。従って、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、外側層3の黄色が強調されて黄色がかった緑色に見えるようになる。なお、摩耗箇所では、傷付きが原因で白化する傾向にあり、黄色がかった緑色をさらに浮き出させる。
【0032】
そして、内側層4の摩耗が進行すると、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、外側層3の黄色がより一層強調されて黄色に近い緑色に見えるようになる。内側層4の摩耗がさらに進行して、内側層4が消失してホース壁1の内面側に中間層5の内周面が露出するようになると、外側層3の黄色のみが見えるようになり、この場合、摩耗が生じていない箇所の緑色と見比べて色の違いをはっきりと視認することができる。従って、内側層4が消失したときを、ホースの交換時期として設定しておけば、上記のようなホース壁1の緑色から黄色への色相の変化により、ホースの交換時期を確実に知ることができる。
【0033】
また、ホース同士の擦れ合いや異物との接触に伴って、ホース壁1の外面側すなわち外側層3が摩耗することもある。ホース壁1の外側層3が摩耗し始めると、その摩耗箇所において外側層3の肉厚が薄くなって、外側層3の黄色が薄れてくる。従って、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、内側層4の青色が強調されて青色がかった緑色に見えるようになる。なお、摩耗箇所では、傷付きが原因で白化する傾向にあり、青色がかった緑色をさらに浮き出させる。
【0034】
そして、外側層3の摩耗が進行すると、ホース壁1を外部から目視した場合、摩耗箇所においては、内側層4の青色がより一層強調されて青色に近い緑色に見えるようになる。外側層3の摩耗がさらに進行して、外側層3が消失してホース壁1の外面側に中間層5の外周面が露出するようになると、内側層4の青色のみが見えるようになり、この場合、摩耗が生じていない箇所の緑色と見比べて色の違いをはっきりと視認することができる。従って、外側層3が消失したときを、ホースの交換時期として設定しておけば、上記のようなホース壁1の緑色から青色への色相の変化により、ホースの交換時期を確実に知ることができる。
【0035】
このように、上記の輸送用ホースにおいては、ホース壁1の外面側及び内面側の摩耗が徐々に進行していくにつれて、すなわち、ホース壁1における外側層3の摩耗度合及び内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色が徐々に変化していくことから、外部からの目視によってホース壁1の色を確認するだけで、ホース壁1の外面側及び内面側における一定量の摩耗を単に検知するだけでなく、摩耗度合までも簡単に検知することができる。しかも、ホース壁1の色の変化は、単一色の濃淡による変化ではなく、緑色から青色、緑色から黄色といったドラスティックな色相の変化であることから、判り易く視認することができ、摩耗度合を確実に検知することができる。
【0036】
このため、ホースの点検時において、ホースの交換時期を知り得ることは勿論のこと、ホース壁1の摩耗を初期段階から発見することができ、例えば次回の点検までの期間を短くして漏出事故の発生を確実に防止したり、摩耗が生じ易くなっているホースを早期に発見して、他のホースとの配置換えを適宜行うことで、配管寿命を延ばすといった対策も採り易くなっている。
【0037】
また、ホース壁1の外面側における摩耗度合の検知に際しては、ホース壁1の色の変化と併せて、摩耗箇所を外部から直接確認することができるが、ホース壁1の内面側における摩耗度合の検知に際しては、ホース壁1の色の変化のみに頼らざるを得ない。上記の輸送用ホースにおいては、外側層3を明度の高い黄色とし、内側層4を黄色よりも明度の低い青色として、内側層4の摩耗時に明度の低い青色が薄れるようにしていることから、内側層4の摩耗の進行に伴うホース壁1の色の変化がより一層判り易くなっていて、例えば暗所等の環境下においても、ホース壁1の内面側の摩耗度合を確実に検知することができる。
【0038】
さらに、ホース壁1に対して補強芯2を設けて補強した場合、ホース壁1の色の変化を視認するにあたって視認性の悪化が懸念されるが、外側層3と内側層4との間に無色透明の中間層5を介在させて、この中間層5の肉厚内に収まるように無色透明の補強芯2を埋設していることから、補強芯2によって視線が遮られたり、ホース壁1において補強芯2よる螺旋状の模様が浮かび上がってグラデーションが生じるといったことがなく、ホース壁1を全周に亘って斑なく着色して、ホース壁1の色の変化を良好に視認することができる。
【0039】
この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で上記実施形態に多くの修正及び変更を加え得ることは勿論である。例えば、この発明の輸送用ホースは、プラスチックペレットを輸送するためのものだけに限らず、食品、工業用部品、各種の粒体や粉体等のような他の固形物、さらには土砂等を含む水、生コンクリート等のような各種の流動物を輸送するためのものであっても良い。
【0040】
また、外側層3と内側層4の色の組み合わせは、ともに透光性を有し、且つ、異色であって、ホース壁1の色の変化が判り易ければ、任意に設定可能である。例えば、内側層4を青色透明に代えて赤色透明としても良く、この場合、ホース壁1は、その全周に亘って斑のない橙色透明となり、ホース壁1の内側層4の摩耗度合に応じて橙色から黄色に徐々に変化し、ホース壁1の外側層5の摩耗度合に応じて、橙色から赤色に徐々に変化していくことになる。この場合も、内側層4が青色透明のときと同様の作用効果を奏する。
【0041】
さらに、外側層3及び内側層4を、透光性を有する複数の有色層を積層することによってそれぞれ構成しても良い。この場合、外側層3の摩耗度合及び内側層4の摩耗度合に応じて、ホース壁1の色がめりはり良く変化することになる。
【0042】
また、中間層5及び補強芯2は、必ずしも無色透明である必要はなく、ともに透光性を有し、且つ、同色で、外側層3及び内側層4とは異色であって、ホース壁1の色の変化に支障をきたさない限り、任意に設定可能である。
【0043】
さらにまた、ホース壁1に、視認性の悪化を招くことがないように配慮しながら、アース線を埋設したり、帯電防止剤を塗布又は混入して帯電防止機能を付与しても良く、その他の機能材料を埋設、塗布又は混入しても良い。
【符号の説明】
【0044】
1・・ホース壁、2・・補強芯、3・・外側層、4・・内側層、5・・中間層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形物や流動物を輸送するための輸送用ホースであって、有色の透光性を有する外側層(3)と、有色の透光性を有する内側層(4)と、これら外側層(3)と内側層(4)との間に位置する無色若しくは有色の透光性を有する中間層(5)とを積層してなる合成樹脂製のホース壁(1)を備え、このホース壁(1)の中間層(5)に、無色若しくは有色の透光性を有する合成樹脂製の補強芯(2)を埋設してなり、前記外側層(3)と前記内側層(4)と前記中間層(5)の色を異ならせるとともに、前記中間層(5)と前記補強芯(2)の色を同一として、前記外側層(3)の摩耗度合及び前記内側層(4)の摩耗度合に応じて、前記ホース壁(1)の色が変化するようにしたことを特徴とする摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項2】
前記外側層(3)を黄色透明とし、前記内側層(4)を青色透明又は赤色透明とし、前記中間層(5)及び補強芯(2)を無色透明とした請求項1記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項3】
前記外側層(3)の肉厚を全周に亘って均一とし、前記内側層(4)の肉厚を全周に亘って均一とし、前記補強芯(2)を埋設した状態の前記中間層(5)の肉厚を全周に亘って均一とした請求項1又は2記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。
【請求項4】
前記補強芯(2)を、前記中間層(5)の肉厚内に収まるように埋設した請求項1乃至3のいずれかに記載の摩耗検知機能を有する輸送用ホース。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−64305(P2011−64305A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217284(P2009−217284)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000221502)東拓工業株式会社 (61)