説明

撮像素子駆動装置

【課題】モアレなどの発生の少ない間引き出力を行なわせる。
【解決手段】撮像素子駆動装置はタイミングジェネレータとシステムコントローラを有する。撮像素子駆動装置は画素信号を出力させる画素26を選択する。撮像素子駆動装置が行および列を選択した画素から画素信号を出力する。撮像素子の画素26を覆うカラーフィルタをベイヤー方式にしたがって配置する。撮像素子駆動装置は列方向に沿って3画素おきに画素信号を出力させる。撮像素子駆動装置は行方向に沿って3画素おきに画素信号を出力させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子からの画素信号を間引き出力させるための撮像手段駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画素数の大きな撮像素子を有し、静止画および動画を撮影可能なデジタルカメラが知られている。このようなデジタルカメラによって動画を撮影するときは、撮像素子から信号を出力させる画素を間引くことが知られている。なお、このような間引き出力とは、撮像素子から画像信号を出力させるときに、画像全体の読出し期間中に一部の画素から信号を読出すことである。
【0003】
出力する画素を間引くことにより、動解像度の低下が防止されている。すなわち、単一の画素による画素信号の生成と出力とにかかる時間を一定に保ったまま、受光面全体の読出し動作の高速化が図られている。しかし、動解像度の低下を防ぐために必要な画素の間引きを行なうことにより、実際の情報が欠落するために偽の模様や、モアレが発生する問題が生じていた。
【0004】
そこで、撮像素子の全画素から信号を出力させ、後段の画像処理において画素加算することにより、間引き出力を行ったときと同じデータサイズの画像信号を得ることが提案されている(特許文献1参照)。画素加算することによりモアレの発生を防ぐことが可能であるが、撮像素子の全画素から信号を出力させる必要があるため撮像素子における出力の速度を高速化することは困難だった。
【特許文献1】特開2003−333610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明ではモアレなどの発生を防ぎながら撮像素子の間引き出力を行わせる撮像素子駆動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像素子駆動装置は、第1の方向に沿って配置され第1の方向に沿って色の異なるm種類(mは2以上の整数)のカラーフィルタによって順番に繰返して覆われカラーフィルタを透過した色成分の光の受光量に応じた画素信号を出力する画素を有する撮像素子を駆動する撮像素子駆動装置であって、画素の一部から画素信号を出力させる間引き出力を行なうときには第1の方向に沿ってα×m+1(αは正の整数)個おきの画素から順番に画素信号を出力させることを特徴としている。
【0007】
さらに、画素は、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って配置され、第2の方向に沿って色の異なるn種類(nは2以上の整数)のカラーフィルタによって順番に繰返して覆われ、間引き出力を行なうときには第1の方向に沿ってα×m+1個おきの画素からの画素信号の出力を第2の方向に沿ってβ×n+1(βは正の整数)列おきに順番に行なわせることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、モアレなどの少ない再現性の良い画像を得ることが可能な間引き出力を撮像素子に行なわせることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態を適用した撮像素子駆動装置および撮像素子を有するデジタルカメラの内部構成を概略的に示すブロック図である。デジタルカメラ10は、レンズ11、撮像素子20、デジタル信号処理回路12、システムコントローラ13、およびタイミングジェネレータ14などによって構成される。
【0010】
レンズ11は、撮像素子20に光学的に接続される。レンズ11を透過する被写体の光学像が撮像素子20の受光面に入射する。撮像素子20は、例えばCMOSイメージセンサである。受光面において被写体の光学像が受光されることにより、光学像に対応する画像信号が生成される。
【0011】
撮像素子20において生成された画像信号は、A/Dコンバータ15においてアナログ信号からデジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された画像信号はデジタル信号処理回路12に送られる。
【0012】
デジタル信号処理回路12に送られた画像信号は、信号処理の作業用メモリであるDRAM16に格納される。DRAM16に格納された画像信号は、デジタル信号処理回路12において、所定の信号処理が施される。
【0013】
所定の信号処理が施された画像信号は、モニタ17に送られる。モニタ17において、送られた画像信号に対応する画像が表示される。また、所定の信号処理が施された画像信号は、コネクタ(図示せず)を介して接続される外部メモリ18に格納可能である。
【0014】
デジタルカメラ10の各部位は、システムコントローラ13によって制御される。タイミングジェネレータ14により撮像素子20およびシャッタ19が駆動される。撮像素子20およびシャッタ19が駆動されることにより、画像信号を生成させる。
【0015】
タイミングジェネレータ14による各部位の駆動は、システムコントローラ13により制御される。したがって、タイミングジェネレータ14とシステムコントローラ13とによって、撮像素子駆動装置(図示せず)が形成される。
【0016】
次に撮像素子20の構成について、図2を用いて説明する。図2は、撮像素子駆動装置および撮像素子駆動装置によって駆動される撮像素子の構成を示すブロック図である。
【0017】
撮像素子20はCMOS撮像素子であり、撮像部21、行選択回路22、列選択回路23、水平読出し線24、および列選択トランジスタ25などによって構成される。撮像部21と行選択回路22とが直接接続される。水平読出し線24は列選択トランジスタ25を介して撮像部21と接続される。列選択回路23と列選択トランジスタ25とが接続される。
【0018】
撮像部21の撮像面には複数の画素26がマトリックス状に配置される。各画素26はR(ed)カラーフィルタ、G(reen)カラーフィルタ、およびB(lue)カラーフィルタのいずれかのカラーフィルタによって覆われる。カラーフィルタはベイヤー方式に従って配置される。
【0019】
したがって、行方向にはRカラーフィルタおよびGカラーフィルタの2種類のカラーフィルタが交互に繰返し配置される。またはGカラーフィルタおよびBカラーフィルタの2種類のカラーフィルタが交互に繰返し配置される。
【0020】
また、列方向にもRカラーフィルタおよびGカラーフィルタの2種類のカラーフィルタが交互に繰返し配置される。またはGカラーフィルタおよびBカラーフィルタが交互に繰返し配置される。
【0021】
Rカラーフィルタに覆われた画素26は、赤色成分の受光量に応じたR画素信号を生成する。Gカラーフィルタに覆われた画素26は、緑色成分の受光量に応じたG画素信号を生成する。Bカラーフィルタに覆われた画素26は、青色成分の受光量に応じたB画素信号を生成する。被写体像全体の画像信号は複数の画素信号によって構成される。
【0022】
生成した画素信号の出力は画素26毎に行われる。出力を行う画素26は行選択回路22及び列選択回路23により直接的あるいは間接的に選択される。行選択回路22により読出しを行う画素26の行が選択される。
【0023】
選択された画素26から出力される画素信号が、列選択トランジスタ25に出力される。列選択トランジスタ25に出力された画素信号は、列選択回路23に選択され、水平読出し線24に出力される。
【0024】
水平読出し線24に出力された画素信号は、出力部27を介して、A/Dコンバータ15を介してデジタル信号処理回路12に送られる。画素信号はデジタル信号処理回路12において所定の信号処理が行われ、画像信号としてモニタ17や外部メモリ18などに送られる。
【0025】
行選択回路22および列選択回路23は、タイミングジェネレータ14に接続される。タイミングジェネレータ14により行選択回路22および列選択回路23が駆動され、画素信号を出力させる画素26が選択される。
【0026】
すべての画素26から画素信号を出力させる全画素出力方式、行方向の一部の画素26から画素信号を出力させる第1の間引き出力方式、列方向の一部の画素26から画素信号を出力させる第2の間引き出力方式、および列方向、行方向の一部の画素26から画素信号を出力させる第3の間引き出力方式のいずれかの方式により、撮像素子26からの画素信号の出力が行なわれる。
【0027】
全画素出力方式のとき、最上段から1行目の画素26が行選択回路22により選択される。1行目の画素26の選択により、1行目に配置されたすべての画素26から画素信号が出力可能になる。
【0028】
1行目の画素26が選択されている状態で、左側の1列目の画素26に接続される列選択トランジスタ25から2列目、3列目、・・・、最後の列であるs列目の列選択トランジスタ25が順番に、列選択回路23により選択される。列選択トランジスタ25の選択は、列選択トランジスタ25の導通/非導通により実行される。列選択トランジスタ25を導通することにより、1行1列目、1行2列目、・・・、1行s列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0029】
1行目に配置された画素26からの画素信号の出力が終わると、1行目の画素26の選択が解除され、2行目の画素26が行選択回路22により選択される。1行目と同様に列選択回路23による列選択トランジスタ25の選択により、2行1列目、2行2列目、・・・、2行s列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0030】
以後、同様に3行目、・・・、最後の行であるt行目の画素26が選択され、3行目に配置された全画素26から、・・・、t行目に配置された全画素26から順番に画素信号が出力される。
【0031】
第1の間引き出力方式のとき、最上段から1行目の画素26が行選択回路22により選択される。1行目の画素26の選択により、1行目に配置されたすべての画素26から画素信号が出力可能になる。
【0032】
1行目の画素26が選択されている状態で、全画素読出しと同様にすべての列選択トランジスタ25が順番に選択され、1行1列目、1行2列目、・・・、1行s列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0033】
1行目に配置された画素26からの画素信号の出力が終わると、1行目の画素26の選択が解除される。全画素出力と異なり、1行目の画素26の選択の解除の後、2行分の画素26が間引かれ、4行目の画素26が選択される。1行目と同様にして、4行1列目、4行2列目、・・・、4行s列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0034】
以後、7行目、10行目、・・・、3×u−2行目(uは正の整数)の画素26が選択され、2行分の画素信号を間引いた第1の間引き出力が実行される。なお、第1の間引き出力方式では、3行毎に画素信号の出力を行なうので、列方向に沿ってG画素信号、R画素信号、G画素信号、・・・、またはB画素信号、G画素信号、B画素信号、・・・を順番に繰返して出力可能である。
【0035】
第2の間引き出力方式のとき、最上段から1行目の画素26が行選択回路22により選択される。1行目の画素26の選択により、1行目に配置されたすべての画素26から画素信号が出力可能になる。
【0036】
全画素出力と異なり、1行目の画素26が選択されている状態で、1列目、4列目、・・・、3×v−2列目(vは正の整数)の列選択トランジスタ25が順番に選択され、1行1列目、1行4列目、・・・、1行3×v−2列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0037】
1行目に配置された画素26からの画素信号の出力が終わると、1行目の画素26の選択が解除され、2行目の画素26が選択される。1行目の画素26の選択と同様に、1列目、4列目、・・・、3×v−2列目(vは正の整数)の列選択トランジスタ25が順番に選択され、2行1列目、2行4列目、・・・、2行3×v−2列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0038】
以後、3行目、・・・、t行目の画素が選択され、2列分の画素信号を間引いた第2の間引き出力が実行される。なお、第2の間引き出力方式では、3列毎に画素信号の出力を行なうので、行方向に沿ってG画素信号、B画素信号、G画素信号、・・・、またはR画素信号、G画素信号、R画素信号、・・・を順番に繰返して出力可能である。
【0039】
第3の間引き出力方式のとき、最上段から1行目の画素26が行選択回路22により選択される。1行目の画素26が選択されている状態で、1列目、4列目、・・・、3×v−2列目の列選択トランジスタが順番に選択され、1行1列目、1行4列目、・・・、1行3×v−2列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0040】
1行目に配置された画素26からの画素信号の出力が終わると、1行目の画素の選択が解除される。全画素出力および第2の間引き出力と異なり、1行目の画素26の選択の解除の後、2行分の画素26が間引かれ、4行目の画素26が選択される。1行目と同様にして、4行1列目、4行4列目、・・・、4行3×v−2列目の画素26の画素信号が順番に出力される。
【0041】
以後、7行目、10行目、・・・、3×u−2行目の画素26が選択され、列方向および行方向に2画素分の画素信号を間引いた第3の間引き出力が実行される。
【0042】
なお、第3の間引き出力方式では、3行毎に画素信号の出力を行なうので、列方向に沿ってG画素信号、R画素信号、G画素信号、・・・、またはB画素信号、G画素信号、B画素信号、・・・を順番に繰返して出力可能である。また、3列毎に画素信号の出力を行なうので、行方向に沿ってG画素信号、B画素信号、G画素信号、・・・、またはR画素信号、G画素信号、R画素信号、・・・を順番に繰返して出力可能である。
【0043】
以上のような構成の撮像素子駆動装置によれば、一部の画素26の画素信号を間引いて出力させることが出来る。したがって、1フレームの画像信号の出力の高速化を図ることが可能になる。
【0044】
また、以下に説明するようにモアレの発生を低減化することも可能となった。従来のベイヤー方式の撮像素子の間引き出力では、2行2列に並ぶ画素によって形成されるカラーフィルタ繰返し単位28毎に間引き出力が行なわれていた。例えば、列方向に向かって2つのカラーフィルタ繰返し単位28が間引かれる場合は、R画素信号およびB画素信号を出力する画素26の間隔は6行間隔であり、G画素信号を出力する画素の間隔は、1行、5行、1行、5行、・・・の間隔となる(図3参照)。そのため、画像信号の高速化を図ることは可能であるが、G画素信号の最大間隔(5行)が大きいため撮像した画像にモアレが発生することが多くなった。
【0045】
一方、本実施形態の撮像素子駆動装置による間引き出力では、G画素信号の最大間隔を小さくすることが可能になる。図4に示す例では、R画素信号およびB画素信号については6行間隔となり、G画素信号については3行間隔で一定となる。それゆえ、G画素信号の解像度の低下を抑制することが可能である。したがって、図3に示す従来例の構成に比較して、モアレの発生を低減化させることが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態では、第1〜第3の間引き出力方式のいずれかの方式にしたがって間引き出力可能な構成であるが、第1〜第3の間引き出力方式の少なくとも一つの間引き出力方式にしたがって間引き出力が可能な構成であってもよい。
【0047】
また、本実施形態では、列方向に沿って2種類のカラーフィルタにより各画素が順番に繰返し覆われる構成であるが、2以上のm種類のカラーフィルタにより各画素が順番に覆われてもよい。ただし、m種類のカラーフィルタにより覆われる場合は、m+1画素おきに画素信号の間引き出力を行なわせる必要がある。
【0048】
また、本実施形態では、行方向に沿って2種類のカラーフィルタにより各画素が順番に繰返し覆われる構成であるが、2以上のn種類のカラーフィルタにより各画素が順番に覆われてもよい。ただし、n種類のカラーフィルタにより覆われる場合は、n+1画素おきに画素信号の間引き出力を行わせる必要がある。
【0049】
したがって、カラーフィルタの配置は本実施形態のようなベイヤー方式に限られず、他の配列方式によりカラーフィルタが配置されてもよい。さらには、補色フィルタのように列方向と行方向に沿ったカラーフィルタの種類が異なる配置であっても、本実施形態と同様の効果を得ることは可能である。
【0050】
また、本実施形態では、間引き出力をするときに列方向に沿って3画素おきに画素信号の出力を行なう構成であるが、3画素おきに限られない。本実施形態のように列方向に沿って2種類のカラーフィルタによって画素が覆われる場合は、α×2+1(αは正の整数)画素おきに画素信号の出力を行えばよい。
【0051】
さらに、列方向に沿ってm種類のカラーフィルタによって画素が覆われる場合は、α×m+1画素おきに画素信号の出力を行えばよい。
【0052】
また、本実施形態では、間引き出力をするときに行方向に沿って3画素おきに画素信号の出力を行なう構成であるが、3画素おきに限られない。列方向と同様に、n種類のカラーフィルタによって画素が覆われる場合はβ×n+1(βは正の整数)画素おきに画素信号の出力を行えばよい。
【0053】
また、本実施形態では、撮像素子はCMOS撮像素子であるが、CCD撮像素子などの他の種類の撮像素子であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の一実施形態を適用した撮像素子駆動装置および撮像素子を有するデジタルカメラの内部構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】撮像素子駆動装置および撮像素子駆動装置に駆動される撮像素子の構成を示すブロック図である。
【図3】従来の間引き出力方式に従った列方向に沿った画素信号の出力状態を示す図である。
【図4】本実施形態の間引き出力方式に従った列方向に沿った画素信号の出力状態を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
10 デジタルカメラ
13 システムコントローラ
14 タイミングジェネレータ
20 撮像素子
22 行選択回路
23 列選択回路
25 列選択トランジスタ
26 画素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の方向に沿って配置され、前記第1の方向に沿って色の異なるm種類(mは2以上の整数)のカラーフィルタによって順番に繰返して覆われ、前記カラーフィルタを透過した色成分の光の受光量に応じた画素信号を出力する画素を有する撮像素子を駆動する撮像素子駆動装置であって、
前記画素の一部から前記画素信号を出力させる間引き出力を行なうときには前記第1の方向に沿ってα×m+1(αは正の整数)個おきの前記画素から順番に前記画素信号を出力させる
ことを特徴とする撮像素子駆動装置。
【請求項2】
前記画素は、第1の方向に垂直な第2の方向に沿って配置され、前記第2の方向に沿って色の異なるn種類(nは2以上の整数)のカラーフィルタによって順番に繰返して覆われ、
前記間引き出力を行なうときには、前記第1の方向に沿ってα×m+1個おきの前記画素からの前記画素信号の出力を、前記第2の方向に沿ってβ×n+1(βは正の整数)列おきに順番に行なわせる
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像素子駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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