説明

撮像装置及び電子内視鏡

【課題】小型で、高画質の画像を得る撮像装置を提供すること。
【解決手段】撮像装置30は、撮像素子52と、撮像素子52の背面側に延出される第1基板53と、撮像素子52の専用電源である撮像素子用パスコン61と、少なくとも撮像素子52の出力信号を処理するIC62と、IC62用の専用電源であるIC用パスコン63と、第1基板53上に接続され、撮像素子用パスコン61、IC62、及びIC用パスコン63が搭載され、撮像素子52、撮像素子用パスコン61、IC62、及びIC用パスコン63にそれぞれ接続された複数のケーブル接続用ランド65a、…を備える積層基板54とを備え、撮像素子52の背面側に、撮像素子用パスコン61、IC62、及びIC用パスコン63、複数のケーブル接続用ランド65a、…を順次配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像素子、基板、撮像素子用受動素子、能動素子、及び能動素子用受動素子を備えた撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野及び工業分野において、内視鏡が広く利用されている。内視鏡には観察光学系として撮像装置を備えた所謂電子内視鏡がある。電子内視鏡では、患者の体腔内、或いはジェットエンジン内部等の内視鏡画像を、外部装置であるモニタ等の表示装置に表示させて観察を行える。
【0003】
例えば、特許文献1には、固体撮像素子と、対物レンズユニットと、能動素子であるICと、受動素子である電源用電子部品等が搭載された回路基板と、信号ケーブルとを備える固体撮像装置が示されている。この撮像装置では、撮像素子の駆動電圧が例えば8V〜10Vの範囲で、ICの駆動電圧が例えば10V〜12Vの範囲であった場合、電源用電子部品によって双方に共通な10Vを供給している。この構成では、1つの電源用電子部品を、撮像素子と能動素子とで共用することによって、撮像装置の小型化を図れる構成になっていた。
【0004】
近年、電子内視鏡、特に医療用の電子内視鏡においては、挿入部の細径化と共に内視鏡画像の高画質化が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−305004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高画質化が望まれる電子内視鏡では、撮像装置に搭載される能動素子等電子部品の数が多くなることによって撮像装置が大型になるおそれがあると共に、複数の能動素子から発生する熱によって撮像装置の温度が上昇する懸念があった。そのため、高画質化が望まれる電子内視鏡の撮像装置においては、小型化を損なうことなく、ノイズ等の温度依存する特性をいかに改善するかが課題になっている。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、小型で、高画質の画像を得る撮像装置を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の撮像装置は、撮像素子と、この撮像素子が接続され、前記撮像素子の背面側に延出される第1の基板と、前記撮像素子の専用電源である撮像素子用受動素子と、少なくとも前記撮像素子の出力信号を処理する能動素子と、前記能動素子用の専用電源である能動素子用受動素子と、前記第1の基板上に接続され、前記撮像素子用受動素子、前記能動素子、及び前記能動素子用受動素子が搭載され、前記撮像素子、前記撮像素子用受動素子、前記能動素子及び前記能動素子用受動素子にそれぞれ接続される複数のケーブル接続用ランドを備える第2の基板とを備え、
前記撮像素子の背面側に、前記撮像素子用受動素子、能動素子、能動素子用受動素子、ケーブル接続用ランドを順次配置している。
【0009】
この構成によれば、撮像素子用受動素子、能動素子、能動素子用受動素子、ケーブル接続用ランドを、撮像素子の背面側に各素子の機能に最適な順で配置したことによって、配線の取り回しを単純化して撮像装置の小型化を図れる。また、撮像素子及び能動素子に専用の電源である撮像素子用受動素子及び能動素子用受動素子を設けたことによって、撮像素子及び能動素子をそれぞれ最低限の電圧で駆動させて、省電力化を実現して発熱量の低減を図れる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、小型化が可能で、高画質の画像を得られる撮像装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1から図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は撮像装置を備える電子内視鏡を含む内視鏡システムを説明する図
【図2】撮像装置の構成を説明する図
【図3】図2の撮像素子ユニットを矢印A方向から見たときの図
【図4】ケーブル接続領域に設けられたケーブル接続用ランドを説明する図
【図5】駆動系の信号を伝送する同軸線の構成を説明する斜視図
【図6】図5の同軸線の中心軸に対して直交する断面図
【図7】撮像素子用バイパスコンデンサを第2回路基板に設けた構成の撮像素子ユニットを説明する図
【図8】撮像素子の直近で積層基板側に電気的に接続される第1インナーリードと、それ以外のインナーリードとを交互にした第1回路基板を説明する図
【図9】撮像素子の直近で積層基板側に電気的に接続される第1インナーリードを一側面側に集約した第1回路基板を説明する図
【図10】図10−図13は本発明の第2実施形態に係り、図10は2つの能動素子を第2回路基板に搭載した構成の撮像素子ユニットを説明する図
【図11】凹部の開口側から見える基板面にグランド層及び電源層を設けた基板を説明する図
【図12】ケーブル接続用ランドに接続される各線と接続状態を説明する図
【図13】図12の構成と異なるケーブル接続用ランドに接続される各線とその接続状態を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の撮像装置を説明する。
図1に示す電子内視鏡システム1は、本発明の撮像装置を備える電子内視鏡(以下、内視鏡と略記する)2と、光源装置3と、ビデオプロセッサ4と、表示装置であるモニタ5とを備えて構成されている。内視鏡2は、長尺で細長な挿入部9と、操作部10と、電気ケーブルであるユニバーサルケーブル17とを備えて構成されている。
【0013】
内視鏡2の挿入部9は、先端から順に、先端部6、湾曲部7、可撓管部8を連設して構成されている。操作部10は、挿入部9を構成する可撓管部8の基端側に連設されている。操作部10には、挿入部9の湾曲部7を湾曲操作するための湾曲操作ノブ11、送気送水ボタン14a、吸引ボタン14b、各種内視鏡機能のスイッチ15等が設けられている。湾曲操作ノブ11は、湾曲部7を上下方向に湾曲操作するための上下湾曲操作ノブ12と、湾曲部7を左右方向に湾曲操作するための左右湾曲操作ノブ13とを備えている。
【0014】
符号16は処置具チャンネル挿通部であり、処置具チャンネルに連通する開口である。各種処置具は、処置具チャンネル挿通部16を介して処置具チャンネルに挿通される。
【0015】
操作部10から延出されるユニバーサルケーブル17は、その端部に光源装置3に着脱自在な内視鏡コネクタ18を有している。内視鏡コネクタ18には映像用ケーブル19の映像用コネクタ19Bが着脱自在に接続される。映像用ケーブル19の他端部にはプロセッサ用コネクタ19Aが備えられており、ビデオプロセッサ4に着脱自在である。
【0016】
ビデオプロセッサ4は、内視鏡画像を表示するモニタ5と電気的に接続される。ビデオプロセッサ4は、内視鏡2の撮像装置によって光電変換されて伝送された撮像信号を最適な映像信号に処理してモニタ5に出力する。
【0017】
なお、本実施形態の内視鏡2は、ライトガイドバンドルによって、光源装置3から先端部6まで照明光を伝送するタイプである。符号21は観察窓を構成する第1レンズであり、撮像装置を構成する。符号22は照明窓であり、ライトガイドバンドルによって伝送された照明光が観察部位に向けて照射される。符号23は先端開口であり、処置具チャンネルの先端側開口と吸引用開口とを兼ねている。符号24はノズルであり、第1レンズ21に向けて洗浄液、或いは空気を噴出して、第1レンズ21の表面に付着した体液等を除去する。
【0018】
図2に示すように撮像装置30は、対物レンズユニット40と撮像素子ユニット50とを備えて構成されている。対物レンズユニット40は、第1レンズ21、第2レンズ41、第3レンズ42、第4レンズ43等の光学レンズと、フレア絞り44、複数の調整絞り45、間隔環46、固定環47等の光学部材と、これらレンズ21、41、42、43、絞り44、45及び環46、47を固設するレンズ枠48とを備えて構成されている。
【0019】
本実施形態において、フレア絞り44の開口は例えばφAであり、調整絞り45の開口はφAより十分に大きなφBである。この構成において、フレア絞り44には通常の黒処理が施される。一方、調整絞り45については厚み寸法及び径寸法が黒処理の厚みの分、公差等に微妙な影響を与えることを防止するため、黒処理を不要にしている。
【0020】
また、本実施形態において、レンズ枠48に配設されるレンズ41、42、43、間隔環46は、その周囲に接着剤を塗布することなく、固定環47で最後部の第4レンズ43を押圧し、その押圧状態を保持するように接着剤49で固定環47をレンズ枠48に固定して、レンズ41、42、43、間隔環46を所定の位置に配置させる構成にしている。
【0021】
この構成によれば、固定環47をレンズ枠48に固定してレンズ41、42、43等をレンズ枠48に対して固定する構成であるため、レンズ42とレンズ43との接合面を接着剤49が硬化する際に生じる膨張、収縮によって剥離する不具合を防止することができる。
【0022】
一方、撮像素子ユニット50は、撮像ホルダ51と、撮像素子52と、第1基板53と、第2の基板である積層基板54と、複合ケーブル55と、撮像装置外装枠(以下、撮像枠と記載する)撮像枠56とを主に備えて構成されている。
【0023】
なお、撮像枠56内には例えば絶縁性の封止樹脂(不図示)が充填される。封止樹脂は、基板53、54と撮像素子52との電気的な接続部の周囲、積層基板54に実装された素子の周囲、及び撮像素子52の周囲、複合ケーブル55と積層基板54との接続部を封止する。
【0024】
図2−図4を参照して撮像素子ユニット50の詳細を説明する。
図2に示す撮像素子52は、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)等である。撮像素子52の撮像面側には、例えば2枚の光学部材であるガラスリッド57a、芯出しカバーガラス57bが接着固定されている。撮像素子52の撮像面側にガラスリッド57aが配置されている。
【0025】
撮像ホルダ51は、例えばステンレス鋼で形成されている。撮像ホルダ51の内面所定位置には、撮像素子52に配設された芯出しカバーガラス57bが接着によって一体的に固定される。また、ガラスリッド57aの周囲にも接着剤25が均等に塗布されている。つまり、撮像素子52は、芯出しカバーガラス57b、ガラスリッド57aを介して撮像ホルダ51に固定される。
【0026】
撮像ホルダ51の先端部内面には、レンズ枠48の基端部が嵌合して配置される。レンズ枠48と撮像ホルダ51とは、ピント等の位置調整を完了した後、例えば接着剤、或いは半田26によって接合固定される。
【0027】
本実施形態において、撮像ホルダ51の嵌合部内周面、又はレンズ枠48の嵌合部外周面の一方にだけ黒処理が施されている。この構成によれば、撮像ホルダ51の嵌合部内周面、及びレンズ枠48の嵌合部外周面の両面に黒処理を施した場合に比べて、黒処理の厚みによって嵌合部の嵌め合いが変化する不具合を防止することができる。また、撮像ホルダ51とレンズ枠48との位置調整を行った際に、黒処理部がこすれることによって黒処理されたメッキがゴミとして発生してユニット内に混入することを防止することができる。
【0028】
第1基板53は、柔軟性を有する例えばフレキシブルプリント基板であり、撮像素子52の撮像面の裏面である撮像素子背面側に延出されている。第1基板53は折り曲げ部53aを有し、その折り曲げ部53aで折り曲げられて撮像素子52の撮像面側に設けられている素子側ランド(不図示)と基板一端側に設けられた基板側ランドとが接続されている。
【0029】
本実施形態において、第1基板53は、撮像素子52と積層基板54とを接続する接続部と、一体に固定する固定部とを兼ねている。
【0030】
図2、図3に示す積層基板54は、撮像素子固定領域60aと、素子実装領域60bと、ケーブル接続領域60cとを備えている。
撮像素子固定領域60aには第1基板接続ランド(不図示)が設けられ、第1基板53の図示しない配線に設けられたランドが接続される。素子実装領域60bには後述するランド71、72、73が設けられ、撮像素子電源用バイパスコンデンサ(以下、撮像素子用パスコンと略記する)61と、IC62と、IC電源用バイパスコンデンサ(以下、IC用パスコンと略記する)63とが搭載される。ケーブル接続領域60cには後述する複数のケーブル接続用ランドが設けられている。複数のケーブル接続用ランドには、複合ケーブル55内を挿通する複数の信号線のうち、それぞれに対応する信号線が接続される。複合ケーブル55内には電源線及びグランド線を備える撮像素子電源用電線55a、IC電源用電線55bと、映像信号用同軸線56aと、駆動信号用同軸線とが挿通されている。
【0031】
撮像素子用パスコン61は、撮像素子52に配線(不図示)及びビアホール(不図示)を介して接続された撮像素子専用電源を構成する撮像素子用受動素子である。撮像素子用パスコン61は、破線に示す撮像素子用パスコンランド71に接続されて、撮像素子52の直近である撮像素子背面近傍に配置される。撮像素子用パスコン61は、撮像素子52に対して最適な規格なものが使用され、本実施形態の撮像素子用パスコン61は撮像素子52の幅寸法と同一寸法以下の長辺を有している。そして、その長辺を撮像素子52の幅方向に一致させて、積層基板54に搭載されている。
【0032】
IC62は能動素子であって、撮像素子52から出力される撮像素子出力信号の処理を行う出力信号処理素子である。IC62は、多数の接続端子(不図示)を有し、それぞれの接続端子を所定のIC用ランド72にバンプ(不図示)を介して接続して、撮像素子用パスコン61の後方であるケーブル接続領域60c側に配設されている。IC62も、撮像素子52の幅寸法と同一寸法以下の長辺を有しており、その長辺を撮像素子52の幅方向に一致させて、積層基板54に搭載されている。
なお、接続端子は、IC62が素子実装領域60b実装面に対して傾くことなく所定の状態で確実に配置されるように積層基板54に形成されたビアホール74にかからないように形成されている。
【0033】
IC用パスコン63は、IC62に配線及びビアホールを介して接続されたIC専用電源を構成する能動素子用受動素子である。IC用パスコン63は、破線に示すIC用パスコンランド73に接続されて、IC62の直近であってIC62の後方であるケーブル接続領域60c側に配設される。IC用パスコン63は、IC62に対して最適な規格なものが使用される。そのため、本実施形態においてIC用パスコン63は、撮像素子用パスコン61に比べて小型であり、長手方向を幅方向に向けて、積層基板54に搭載されている。
【0034】
このように、撮像素子用パスコン61、IC62の幅寸法を撮像素子52の幅寸法と同一寸法以下とすることによって、積層基板54の長さが必要以上に長くなることを防止している。また、積層基板54に撮像素子用パスコン61、IC62、IC用パスコン63を撮像素子52側から順に容易に整列させて配設することができる。
【0035】
ケーブル接続領域60cは、IC用パスコン63の後方に位置して、素子実装領域60bより基端側である。図3、図4に示すようにケーブル接続領域60cの一面64u側及び他面64d側には、例えば7つのケーブル接続用ランド65a、65b、65c、66a、66b、66c、66dが設けられている。
【0036】
例えば、符号65aは撮像素子用電源ランドであり、符号65bはIC用電源ランド、符号65cは電源用グランドランド、符号66aは映像信号用グランドランド、符号66bは映像信号用ランド、符号66cは駆動信号用ランド、符号66dは駆動信号用グランドランドである。
【0037】
一面64u側のランド65a、65b、65cには単線である撮像素子電源用電線55a及びIC電源用電線55bが接続される。具体的には、撮像素子電源用電線55aの電源線55a1が撮像素子用電源ランド65aに接続され、そのグランド線55a2が電源用グランドランド65cに接続される。また、IC電源用電線の電源線55b1がIC用電源ランド65bに接続され、そのグランド線55b2が電源用グランドランド65cに接続される。つまり、電源用グランドランド65cには、撮像素子電源用電線及びIC電源用電線のグランド線55a2、55b2が接続される。
【0038】
他面64d側のランド66a、66b、66c、66dには映像信号用同軸線56a及び駆動信号用同軸線が接続される。具体的には、映像信号用同軸線56aの外部導体が映像信号用グランドランド66aに接続され、その内部導体が映像信号用ランド66bに接続される。また、駆動信号用同軸線の内部導体が駆動信号用ランド66cに接続され、その外部導体が駆動信号用グランドランド66dに接続される。
【0039】
そして、ケーブル接続用ランド65a、65b、65cと撮像素子用パスコン61の撮像素子用パスコンランド71及びIC用パスコン63のIC用パスコンランド73とは積層基板54に設けられている図示しない配線、ビアホール等を介して接続されている。
【0040】
また、ケーブル接続用ランド66a、66b、66c、66dと撮像素子52の図示しない素子側ランドとが、回路基板53、54にそれぞれ設けられている図示しない配線、積層基板54に設けられている図示しないビアホール、積層基板54に搭載されたIC62を介して接続されている。
【0041】
複合ケーブル55内には、ケーブル接続用ランド65a、65b、65c、66a、66b、66c、66dにそれぞれ接続される複数の単線、或いは同軸線が挿通されている。本実施形態において、駆動系の信号を伝送する同軸線は、複合ケーブル55の中心軸近傍に配置される。すなわち、駆動系の信号を伝送する同軸線の周囲に、他の単線、他の同軸線を配置して、駆動系の信号を伝送する同軸線の内部導体をより強固に遮蔽している。
【0042】
一般に、同軸線の外部導体は、細い銅線を編んだ編組線として構成されている。しかし、本実施形態において、駆動系の信号を伝送する同軸線は、図5、図6に示す構成である。
【0043】
図5、図6に示すように本実施形態の同軸線31は、内部導体32と、内部導体32の周囲に設けられた絶縁体33と、外部導体34と、外部導体34を被覆するシース35とで構成されている。本実施形態の外部導体34は、遮蔽効果を高めるために、銅線を例えば径方向に対して二重巻きにして構成されている。
【0044】
このことによって、絶縁体33に巻回された一巻き目34aの隣り合う銅線が形成する凹み部に、二巻き目34bを構成する銅線を配置することによって、隣り合う銅線同士の間の隙間が銅線によって塞がれて、遮蔽効果を大幅に向上させて放射ノイズを低減することができる。
そして、本実施形態の複合ケーブル55においては、このように構成した同軸線31を複合ケーブル55の中心軸近傍に配置している。
【0045】
撮像枠56は、撮像素子52、電子部品を実装した積層基板54、複合ケーブル55、の先端部等を覆い包む。撮像枠56は、例えば、ステンレス製で長方形状の1枚の薄板を丸めて、或いは折り曲げて所定形状に形成される。
【0046】
このように、撮像素子を駆動する電源及びICを駆動する電源を、それぞれ専用に設けたことによって、撮像素子及びICをそれぞれ最低の電圧で駆動させて小電力化を実現できると共に、電源ノイズ低減を図ることができる。
【0047】
このことによって、撮像装置の発熱が防止されることによって撮像素子の温度依存特性の改善、及び電源電圧を安定化することにより、電源ノイズが映像信号を劣化させることを防止して高画質の画像を安定して得られる。
【0048】
また、撮像素子の背面側に配置される積層基板に撮像素子固定領域、素子実装領域、ケーブル接続領域を設け、撮像素子側から順に撮像素子用パスコンランド、IC用ランド、IC用パスコンランド、及び複数のケーブル接続用ランドを設け、各素子を所定の方向に向けて配置する構成にしたことによって、撮像素子からケーブル接続部に至る配線の取り回しを効率良く、言い換えれば単純化することができる。
【0049】
このことによって、撮像素子、ICを駆動する電源をそれぞれ専用に設けることによって、素子点数が増加する構成にもかかわらず、基板上から配線を引き戻すためのスペース、配線を迂回させるためのスペースを無くして、基板が長くなること、或いは面積が大きくなることを防止して撮像装置の小型化を図れる。
【0050】
また、配線密度の高い素子実装領域を撮像素子固定領域及びケーブル接続領域よりも広く形成することで、積層基板内に信号間のクロストークを防止するグランド層を十分に形成することができるので、画質向上を図れる。
【0051】
なお、図7に示すように第1基板をTABテープである第1回路基板53Aで構成して、この第1回路基板53Aに撮像素子用パスコン61を搭載する一方、第1回路基板53Aに対向する積層基板54Aの撮像素子固定領域60a側に撮像素子用パスコン61が収納される凹部54cを設けて撮像素子ユニット50Aを構成するようにしてもよい。
【0052】
撮像素子ユニット50Aにおいて、撮像素子52に電気的に接続されている第1回路基板53Aは、図8に示すように複数のインナーリード53c、53dを備えている。インナーリード53c、53dは、撮像素子52の直近で積層基板54A側に電気的に接続される第1インナーリード53cと、それ以外の例えば撮像素子用パスコン61に電気的に接続される第2インナーリード53dとである。本実施形態において、第1インナーリード53cと、第2インナーリード53dとは交互に配置している。即ち、図9の撮像素子ユニット50A1に示すように第1インナーリード53cを一側面側に偏ること無く配置してある。
【0053】
これらの構成によれば、撮像素子用パスコン61が元あった位置側に、二点鎖線に示すようにIC62、IC用パスコン63を移動させることによって、撮像素子ユニット50Aにおいては、積層基板54Aの長さを二点鎖線に示すように短くしてさらなる小型化を図ることができる。また、撮像素子ユニット50Aにおいては、インナーリード53c、53dを一方側に偏ることなくリード配置バランスを考慮した上で、電気的に接続している。このことによって、TABテープ接続の強度を撮像素子ユニット50A1に比べて高め、安定した保持状態を得ることができる。
その他の作用及び効果は上述した実施形態と同様であり、上述した実施形態と同様の構成の部材には同符号を付して説明を省略している。
【0054】
図10−図13は本発明の第2実施形態に係り、図10は2つの能動素子を第2回路基板に搭載した構成の撮像素子ユニットを説明する図、図11は撮像素子用パスコンが搭載される基板表面に形成されたパターンを説明する図、図12はケーブル接続用ランドに接続される各線と接続状態を説明する図、図13は図12の構成と異なるケーブル接続用ランドに接続される各線とその接続状態を説明する図である。
図10に示すように本実施形態の撮像素子ユニット50Bの積層基板54Bは、両面に素子実装領域60b1、60b2を備えている。
【0055】
第2素子実装領域60b2側には、凹部54c1が設けられており、その凹部54c1には撮像素子用パスコン61Aが搭載されている。
凹部54c1に搭載される撮像素子用パスコン61は、撮像素子52の背面に近接して配設されている。
このことによって、撮像素子52と撮像素子用パスコン61との隙間に侵入する封止樹脂の量が少なくなる。すると、撮像素子52を薄板状に構成した場合に、封止樹脂の応力によって、撮像素子52が反る不具合、或いは撓む不具合等の変形を抑えて、撮像素子52とガラスリッド57aとの剥離を低減することができる。
【0056】
第1素子実装領域60b1側には、第1IC62Aと第1IC用パスコン63Aとが搭載され、第2素子実装領域60b2側には第2IC62Bと第2IC用パスコン63Bとが搭載されている。
第1IC62Aは能動素子であって、撮像素子52から出力される撮像素子出力信号の処理を行う相関二重サンプリング回路を構成する。IC62Aは、多数の接続端子(不図示)を有し、それぞれの接続端子を所定のIC用ランド(不図示)に接続して、撮像素子用パスコン61Aの後方であるケーブル接続領域60c側に配設されている。
【0057】
第2IC62Bは能動素子であって、撮像素子駆動用素子であるタイミングジェネレータである。第2IC62Bは、同期信号及びタイミングジェネレータ制御信号の入力に基づいて撮像素子駆動信号及び相関二重サンプリング回路用のサンプリング信号を発生し、撮像素子52及び第1IC62Aのそれぞれに撮像素子駆動信号及びサンプリング信号を供給する。つまり、本実施形態において、第1IC62Aと第2IC62Bとは信号授受を行う。
【0058】
第2IC62Bは、多数の接続端子(不図示)を有し、それぞれの接続端子を所定のIC用ランド(不図示)に接続して、撮像素子用パスコン61Aの後方であるケーブル接続領域60c側に配設されている。
多数の接続端子を有するIC62A、62Bは、積層基板54Bのうち層数の最も多い、素子実装領域中に配置されている。
【0059】
また、第1素子実装領域60b1に搭載された第1IC62Aと、第2素子実装領域60b2に搭載された第2IC62Bとは、配線層に対して垂直な方向において第1IC62Aと第2IC62Bとが長手方向で重なるオーバーラップ部70を有するように配設されている。オーバーラップ部70には、第1IC62Aと第2IC62Bとを直線的に接続するビアホール75が設けられている。
【0060】
第1IC用パスコン63Aは、第1IC62Aに配線を介して接続された第1IC専用電源を構成する能動素子用受動素子である。第1IC用パスコン63Aは、第1IC62Aの直近であって第1IC62Aの後方であるケーブル接続領域60c側に配設されている。
【0061】
第2IC用パスコン63Bは、第2IC62Bに配線を介して接続された第2IC専用電源を構成する能動素子用受動素子である。第2IC用パスコン63Bは、第2IC62Bの直近であって第2IC62Bの後方であるケーブル接続領域60c側に配設されている。
【0062】
図11示すように凹部54c1の開口側基板54d面上には、グランド層76と電源層77とが設けられている。電源層77の撮像素子側には、撮像素子52に入力するためのビアホール77aが所定数設けられ、ケーブル接続領域側には図12で説明するケーブル接続用ランド65a1、65b1、65c1に対応するビアホール77bが設けられている。
【0063】
一方、グランド層76の撮像素子側には撮像素子52に入力するためのビアホール76aが所定数設けられ、ケーブル接続領域側には図12で説明するケーブル接続用ランド66a1、66b1、66c1、66d1に対応するビアホール76bが設けられている。加えて、このグランド層76の中央付近には、第1IC62Aと第2IC62Bとを直線的に接続する前記ビアホール75が設けられている。そして、これらビアホール75の周囲にはグランド用のビアホール78gがそれぞれ設けられている。
【0064】
なお、積層基板54Bを構成する他の基板にも図示は省略するが、信号用の配線が形成されていない面には、グランド層及び電源層が設けられており、各グランド層同士は複数のビアホールを介して接続され、各電源層同士は複数のビアホールを介して接続されている。
そして、ビアホール75を囲むように、グランド用のビアホール78g、或いはビアホール76を設けることによって、ビアホール75によるクロストークを低減できる。
【0065】
このように、第2基板の両面に素子実装領域を設け、それぞれの素子実装領域に信号授受を行う第1ICと第2ICを配設する場合、オーバーラップ部を設け、そのオーバーラップ部に第1ICと第2ICとを接続する配線を設ける。すると、第1ICと第2ICとが最短距離で接続されて、第1ICと第2ICとの間における信号授受に遅延が発生することを確実に防止することができる。
【0066】
このことによって、たとえ、ビデオプロセッサから出力された信号が鈍って送信された場合でも、撮像装置に設けられたタイミングジェネレータにて、撮像素子を駆動するのに十分な波形形状の信号を再生すると共に、劣化のない映像出力信号を出力することができる。
【0067】
また、接続端子の多い第1IC、第2ICを層数の最も多い領域に配設したことによって、能動素子を追加した構成にもかかわらず、複数の基板を用いて配線を単純化して、基板の長さが長くなること、或いは基板の面積が大きくなることを防止して撮像装置の小型化を図ることができる。
また、基板の層数が最も厚く剛性の高い領域にICを実装することで、ICと基板との接続不良による画質劣化を防止することができる。
【0068】
なお、本実施形態の複合ケーブル55Bは、複合ケーブル55が有する電源線及びグランド線を有する撮像素子電源用同軸線及び第1IC電源用同軸線と、映像信号用同軸線と、第1IC信号用同軸線とに加え、追加された第2IC62Bに接続される第2IC信号用同軸線、第2IC用パスコン63に接続される、電源線及びグランド線を有する、第2IC電源用同軸線とが備えられている。つまり、第2IC信号用同軸線及び第2IC電源用電線の分だけ複合ケーブル55B内に挿通される線が増加している。
【0069】
本実施形態のケーブル接続領域60cは、凸字形状の突部であって、前記第1実施形態と同様、凸部一側面64u1側及び凸部他側面64d1側には、7つのケーブル接続用ランド65a1、65b1、65c1、66a1、66b1、66c1、66d1が設けられている。
【0070】
本実施形態において、例えば、符号65a1は第1実施形態と同様に撮像素子用電源ランドであり、符号65b1は第1実施形態と同様に第1IC用電源ランドであり、符号65c1は第1実施形態のグランドランドに変えて構成された第2IC用電源ランドであり、符号66a1は第1実施形態と略同様な同軸線外部導体用ランドであり、符号66b1は第1実施形態と同様に映像信号用ランドであり、符号66c1は第1実施形態と同様に第1IC信号用ランドであり、符号66d1は第1実施形態の駆動信号用グランドランドに変えて構成された第2IC信号用ランドである。
【0071】
この結果、複合ケーブル55B内を挿通する単線及び同軸線の数に比べて、ランドの数が少なくなっている。そのため、本実施形態においては、第2IC62Bに接続されるジェネレータ用同軸線36を単線として使用するため、この同軸線36の内部導体37に外部導体38を絡げた単線みなし部39を構成している。
なお、上述したようにランドの変更及びIC、パスコンの配置位置の変更に伴って、積層基板内の配線、ビアホールも適宜変更されている。
【0072】
図12に示すように各単線及び各同軸線の内部導体、外部導体を各ランド65a1、65b1、65c1、66a1、66b1、66c1、66d1に接続している。
すなわち、図11に示すように撮像素子電源用同軸線の内部導体である電源線81aが撮像素子用電源ランド65a1に接続され、その同軸線の外部導体であるグランド線81bは同軸線外部導体用ランド66a1に接続される。また、第1IC電源用同軸線の内部導体である電源線82aが第1IC用電源ランド65b1に接続され、その同軸線の外部導体であるグランド線82bが同軸線外部導体用ランド66a1に接続される。さらに、第2IC電源用同軸線の内部導体である電源線83aが第2IC用電源ランド65c1に接続され、その同軸線の外部導体であるグランド線83bが同軸線外部導体用ランドに接続される。
【0073】
一方、映像信号用同軸線の外部導体84b及び第1IC信号用同軸線の外部導体85bを一纏めにした外部導体部86は、同軸線外部導体用ランド66a1に接続される。そして、映像信号用同軸線の内部導体84aは、映像信号用ランド66b1に接続され、駆動信号用同軸線の内部導体85aが第1IC信号用ランド66c1に接続される。そして、同軸線36の単線みなし部39が第2IC信号用ランド66d1に接続される。
【0074】
つまり、同軸線外部導体用ランド66a1には、外部導体部86が接続されると共に、その外部導体部86にグランド線81b、82b、83bが俵積み状態で配設され接続されている。
【0075】
本実施形態においては、単線みなし部39が接続される第2IC信号用ランド66d1を同軸線外部導体用ランド66a1から離間した幅広なランドに接続している。
【0076】
このことによって、半田付け作業の際の熱が、予め外部導体部86が接続されている同軸線外部導体用ランド66a1に伝達されて半田を溶かす不具合が防止されるので、半田付け作業性の向上を図れる。
【0077】
また、接続される信号線が太い、同軸線外部導体ランド66a1と第2IC信号用ランド66d1とが離間した位置に形成されているので、半田ごてを誤って意図しない信号線に接触させることを防止することができるので、半田付け作業性の向上を図れる。
【0078】
また、束ねられて太径に構成された単線みなし部39、或いは外部導体部86が配置される積層基板54Bの段差高さhを太径部の外形Hを考慮して設定することにより、半田作業の際、単線みなし部39、外部導体部86に半田ごてを当てやすくすることができる。
【0079】
なお、第1実施形態の撮像素子ユニット50の構成において、部品の共通化を図るために複合ケーブル55Bを使用する場合、余分な信号線はグランドランドに接続する。このことによって、余分な信号線が導体部に接触して発生する短絡を防止することができる。
【0080】
また、図13に示すように同軸線を単線化した信号線を接続するケーブル接続用ランド66d1を、ケーブル接続用ランドの数が少ない側の面に設けることによって、ケーブル接続用ランド66d1とケーブル接続用ランド65b1との距離を十分に確保することができるので、半田付け作業性の向上を図ることができる。本実施形態においては、ケーブル接続用ランド66d1以外のケーブル接続用ランドの幅寸法を同一寸法に設定してある。なお、同軸線外部導体ランド66a1に接続される信号線は、映像信号用同軸線の外部導体84b及び第1IC信号用同軸線の外部導体85bを一纏めにした外部導体部86、撮像素子電源用同軸線のグランド線81b、第1IC電源用同軸線のグランド線82b、第2IC電源用同軸線のグランド線83bを撚り束ねたジャンパー線87である。
【0081】
尚、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0082】
1…電子内視鏡システム 2…内視鏡 30…撮像装置 50…撮像素子ユニット
51…撮像ホルダ 52…撮像素子 53…第1基板 54…積層基板
55…複合ケーブル 55a…撮像素子電源用電線 55b…電源用電線
56…撮像枠 56a…映像信号用同軸線 57a…ガラスリッド
60a…撮像素子固定領域 60b…素子実装領域 60c…ケーブル接続領域
61…撮像素子用パスコン 62…IC 63…IC用パスコン
70…オーバーラップ部 71…撮像素子用パスコンランド
73…IC用パスコンランド 74、75…ビアホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
この撮像素子が接続され、前記撮像素子の背面側に延出される第1の基板と、
前記撮像素子の専用電源用の撮像素子用受動素子と、
少なくとも前記撮像素子の出力信号を処理する能動素子と、
前記能動素子用の専用電源用の能動素子用受動素子と、
前記第1の基板に接続され、前記撮像素子用受動素子、前記能動素子、及び前記能動素子用受動素子が搭載され、前記撮像素子、前記撮像素子用受動素子、前記能動素子及び前記能動素子用受動素子にそれぞれ接続される複数のケーブル接続用ランドを備える第2の基板とを備え、
前記撮像素子の背面側に、前記撮像素子用受動素子、能動素子、能動素子用受動素子、ケーブル接続用ランドを順次配置したことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮像素子用受動素子は、前記第1の基板、若しくは前記第2の基板と同一寸法以下の辺を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記能動素子は、前記第1の基板、若しくは前記第2の基板と同一寸法以下の辺を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第2の基板は積層基板であり、この積層基板に撮像素子固定領域と、素子実装領域と、ケーブル接続領域とを設ける構成において、
前記素子実装領域内の最も基板の層数が多い領域に、接続端子の多い能動素子を配置することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項5】
前記積層基板の両面に前記素子実装領域を設ける構成において、
前記素子実装領域は、双方の面において、前記ケーブル接続領域及び前記撮像素子固定領域よりも面積が大きいことを特徴とすることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記能動素子の接続端子は、前記積層基板に形成されたビアホールにかからないように形成されることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記積層基板の両面に素子実装領域を備え、それぞれの素子実装領域に素子間で信号の授受を行う能動素子を搭載する構成において、
一方の面に搭載される能動素子と他方の面に搭載される能動素子とは、前記積層基板の配線層に対して垂直な方向においてオーバーラップ部を有することを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記積層基板が備える両面の素子実装領域に搭載される能動素子は、一方が前記撮像素子の出力信号を処理する出力信号処理素子であって、他方が撮像素子駆動用素子であることを特徴とする請求項7記載の撮像装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載した撮像装置を用いた電子内視鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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