説明

撮像装置

【課題】画像における被写体の動きに対する劣化を低減しつつ、撮像素子の温度上昇を低減する。
【解決手段】撮像装置1は、2次元状に配置された複数の画素を有する撮像素子3と、撮像素子3の温度に応じた検出温度Tを得る温度検出手段16と、連続撮影モードにおいて、温度検出手段16により検出された検出温度Tに応じて段階的に変化して検出温度Tが相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、前記複数の画素から画素信号が読み出されるように撮像素子3を制御する制御部5と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に開示された撮像装置は、所定のフレームレートでライブビュー表示を行う撮像装置において、装置本体の内部の温度を取得する第1の取得手段と、前記装置本体に装着される電池の温度を取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段によって取得した前記装置本体の内部温度と、前記第2の取得手段によって取得した前記電池温度とを比較し、前記装置本体の内部温度に対して前記電池温度が所定値以上高温である場合に、前記ライブビュー表示のフレームレートを低くするように制御する制御手段と、を備えたものである。
【0003】
この従来の撮像装置によれば、装置本体の内部温度に対して電池温度が所定値以上高温である場合に、ライブビュー表示のフレームレートが低くされることで、消費電力が低減され、電池温度の上昇が低減される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−302658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、撮像装置で用いられている撮像素子は、その温度が上昇すると、暗電流が増大して特性が劣化したり、破壊されるおそれが生じたりすることが知られている。そして、ライブビューモードなどの連続撮影モードでは、撮像素子の温度が上昇する。
【0006】
そこで、前記従来の撮像装置に準じて、撮像素子の温度が所定温度以上である場合に、連続撮影のフレームレートを低くすることで、撮像素子の温度上昇を低減することが考えられる。
【0007】
しかしながら、この場合には、コマ速が遅くなってしまい、画像における被写体の動きがスムーズにならずに被写体の動きに対する劣化が生じてしまう。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、画像における被写体の動きに対する劣化を低減しつつ、撮像素子の温度上昇を低減することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段として、以下の各態様を提示する。第1の態様による撮像装置は、2次元状に配置された複数の画素を有する撮像素子と、前記撮像素子の温度に応じた検出温度を得る温度検出手段と、連続撮影モードにおいて、前記温度検出手段により検出された前記検出温度に応じて段階的に変化して前記検出温度が相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、前記複数の画素から画素信号が読み出されるように前記撮像素子を制御する制御部と、を備えたものである。
【0010】
第2の態様による撮像装置は、前記第1の態様において、前記制御部は、前記連続撮影モードにおいて、前記温度検出手段により検出された前記検出温度に応じて段階的に変化して前記検出温度が相対的に高い場合には相対的に低くなるフレームレートで、前記複数の画素から画素信号が読み出されるように前記撮像素子を制御するものである。
【0011】
第3の態様による撮像装置は、前記第2の態様において、前記間引き率を変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度が、前記フレームレートを変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度よりも低いものである。
【0012】
もっとも、前記第2の態様では、前記間引き率を変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度が、前記フレームレートを変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度よりも高くてもよいし、両者の温度が同一でもよい。
【0013】
第4の態様による撮像装置は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記制御部は、前記連続撮影モードにおいて、前記前記温度検出手段により検出された前記検出温度が所定温度以上である場合に、前記撮像素子の読み出し動作を停止させるものである。
【0014】
第5の態様による撮像装置は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記連続撮影モードは、動画撮影モード及びライブビューモードのいずれか一方又は両方であるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像における被写体の動きに対する劣化を低減しつつ、撮像素子の温度上昇を低減することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態による撮像装置を示す概略ブロック図である。
【図2】図1中の撮像素子を示す概略構成図である。
【図3】図1に示す撮像装置のライブビューモードの動作を示す概略フローチャートである。
【図4】図1中の撮像素子の、相対的に小さい間引き率での読み出し動作における読み出し時間と消費電力との関係を模式的に示す図である。
【図5】図1中の撮像素子の、相対的に大きい間引き率での読み出し動作における読み出し時間と消費電力との関係を模式的に示す図である。
【図6】図1中の撮像素子のライブビューモード時の、経過時間と検出温度との関係の例を模式的に示す図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態による撮像装置のライブビューモードの動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明による撮像装置について、図面を参照して説明する。
【0018】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置1を示す概略ブロック図である。本実施の形態による撮像装置1は、いわゆるデジタルカメラとして構成されているが、本発明による撮像装置は、ビデオカメラ等の他の撮像装置でもよい。
【0019】
本実施の形態による撮像装置1には、撮影レンズ2が装着される。撮影レンズ2は、レンズ制御部4よってフォーカスや絞りが駆動される。撮影レンズ2の像空間には、撮像素子3の撮像面が配置される。
【0020】
撮像素子3は、撮像制御部5から出力される制御信号によって駆動され、信号を出力する。本実施の形態では、撮像素子3は、2次元状に配置された複数の画素を有し、前記複数の画素から画素信号が行単位で順次読み出されるように構成され、撮像制御部5による制御下で、前記複数の画素から行毎に読み出すことも、指定した行の画素からの画素信号のみを読み出すこともできるように構成されている。撮像素子3から出力される信号は、信号処理部6、及びA/D変換部7を介して処理された後、メモリ8に一旦蓄積される。メモリ8は、バス9に接続される。バス9には、レンズ制御部4、撮像制御部5、CPU10、記録部11、画像処理部12、画像圧縮部13、背面液晶パネル等の表示部14を制御する表示制御部15、及び、撮像素子3の温度に応じた検出温度を得る温度検出手段としての温度センサ16なども接続される。CPU10には、レリーズ釦などの操作部17が接続される。また、記録部11には記録媒体11aが着脱自在に装着される。なお、信号処理部6及びA/D変換部7を撮像素子3に搭載してもよい。
【0021】
温度センサ16は、撮像素子3の温度を直接的又は間接的に検出し、撮像素子3の温度に応じた検出温度Tを示す検出温度データを出力する。この検出温度データは、バス9を介してCPU10に供給される。
【0022】
図2は、図1中の撮像素子3の概略構成を示す回路図である。撮像素子3は、CMOSイメージセンサとして構成されている。撮像素子3は、2次元マトリクス状に配置された複数の画素20と、画素20から信号を出力するための周辺回路とを有している。図2において、横に4行縦に4行の16個の画素20を示している。しかし、本実施の形態では、画素数はそれよりもはるかに多くなっている。もっとも、本発明では、画素数は特に限定されるものではない。
【0023】
各画素20は、周知のように、例えば、光電変換部としてのフォトダイオード、転送トランジスタ、増幅トランジスタ、行選択トランジスタ及びリセットトランジスタを用いて構成される。図1では、これらの図示は省略している。
【0024】
周辺回路は、垂直走査回路21、水平走査回路22、これらと接続されている駆動信号線23,24、画素20からの信号を受け取る垂直信号線25、垂直信号線25と接続される定電流源26及び相関二重サンプリング回路(CDS回路)27、CDS回路27から出力される信号を受け取る水平信号線28等からなる。
【0025】
垂直走査回路21及び水平走査回路22は、図1中の撮像制御部5からの制御信号に基づいて駆動信号を出力する。各画素20は、垂直走査回路21から出力される駆動信号を所定の駆動信号線23から受け取って駆動され、画素信号を垂直信号線25に出力する。本実施の形態では、垂直走査回路21は、垂直方向の間引きが可能となるように構成され、撮像制御部5による制御下で、画素20から行毎に読み出すことも、指定した行の画素からの画素信号のみを読み出すこともできるように構成され、間引き率を変更してその間引き率に応じた行の画素の画素信号のみを読み出すこともできるように構成されている。例えば、全行の画素20から画素信号を読み出す場合の間引き率は0%であり、n−1行置きに1行ずつの各行の画素20のみの画素信号を読み出す場合には、n行当たり1行の画素20のみの画素を読み出すことから、読み出し率は(1/n)×100%であるので、間引き率は{(n−1)/n}×100%となる。
【0026】
画素20から出力された信号は、CDS回路27にて所定のノイズ除去が施される。そして、水平走査回路22の駆動信号により水平信号線28を介して外部に信号が出力される。本実施の形態では、水平走査回路22は、全列の画素20からの信号を読み出すように構成され、水平方向の間引き読み出しは行われないようになっている。もっとも、本発明では、水平方向の間引き読み出しを行ってもよい。
【0027】
図3は、図1に示す撮像装置1のライブビューモード(LV)の動作を示す概略フローチャートである。ライブビューモードは、撮像素子3で連続して繰り返し撮影する連続撮影モードのうちの1つの動作モードであって、撮像素子3で撮像した画像をリアルタイムで動画像として表示部14に表示する動作モードである。
【0028】
本実施の形態では、操作部17によりライブビューモードの開始が指令されると、ライブビューモードが開始され、まず、CPU10は、温度センサ16から検出温度Tを取得する(ステップS1)。
【0029】
次に、CPU10は、ステップS1で最新に取得した検出温度Tが所定温度Tmaxよりも低いか否かを判定する(ステップS2)。ステップS2で検出温度Tが所定温度Tmax以上であると判定されると、ライブビューモードが強制的に終了される。一方、ステップS1で検出温度Tが所定温度Tmaxよりも低いと判定されると、CPU10は、ステップS1で最新に取得した検出温度Tが所定温度Taよりも低いか否かを判定する(ステップS3)。所定温度Taは、所定温度Tmaxよりも低い温度に設定されている。
【0030】
ステップS3で検出温度Tが所定温度Taよりも低いと判定されると、撮像制御部5が、撮像素子3から相対的に低い間引き率M1(<M2)で1フレームの読み出し(行を間引いた1フレーム分の画素信号の読み出し)が行われるよう撮像素子3を制御するように、CPU10は撮像制御部5に指令を与え(ステップS4)、ステップS6へ移行する。ステップS4により、撮像素子3から相対的に低い間引き率M1(<M2)で1フレームの画像信号の読み出しが行われ、その1フレームの画像信号は、信号処理部6により増幅等された後にA/D変換部7によりA/D変換され、画像データとしてメモリ8に蓄積され、ステップS6へ移行する。なお、間引き率M1は0%でもよく、この場合には、行間引きは行われない。
【0031】
一方、ステップS3で検出温度Tが所定温度Ta以上であると判定されると、撮像制御部5が、撮像素子3から相対的に高い間引き率M2(>M1)で1フレームの読み出し(行を間引いた1フレーム分の画素信号の読み出し)が行われるよう撮像素子3を制御するように、CPU10は撮像制御部5に指令を与え(ステップS5)、ステップS6へ移行する。ステップS5により、撮像素子3から相対的に高い間引き率M2(>M1)で1フレームの画像信号の読み出しが行われ、その1フレームの画像信号は、信号処理部6により増幅等された後にA/D変換部7によりA/D変換され、画像データとしてメモリ8に蓄積され、ステップS6へ移行する。
【0032】
例えば、間引き率M1は、3行当たり1行の画素を読み出す間引き率に設定し、間引き率M2は、5行当たり1行の画素を読み出す間引き率に設定することができる。
【0033】
ステップS6では、CPU10は、ステップS4又はS5で最新に読み出されてメモリ8に蓄積された1フレームの画像データを表示部14の表示に適した画像サイズにリサイズするなどの信号処理を、画像処理部12に行わせる。
【0034】
次に、表示制御部15が、ステップS6でリサイズ等の信号処理がなされた1フレームの画像を表示部14に表示させるように、CPU10は表示制御部15に指令を与える(ステップS7)。このステップS7により、その画像が表示部14に表示される。
【0035】
その後、CPU10は、操作部17から、ライブビューモードを終了させる旨の指令が得られたか否かを判定し(ステップS8)、その指令が得られていればライブビューモードを終了する一方、その指令が得られていなければステップS1へ戻る。
【0036】
なお、本実施の形態では、ステップS4,S5での1フレームの読み出しは、検出温度Tと無関係に一定のフレームレート(例えば、30fps)で行われるようになっている。
【0037】
本実施の形態では、CPU10のステップS3〜S5に応じた撮像制御部5の機能が、ライブビューモードにおいて、温度センサ16からの検出温度Tに応じて段階的に変化して検出温度Tが相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、画素20から画素信号が読み出されるように撮像素子3を制御する制御部に相当している。本実施の形態では、間引き率を変化させる閾値となる温度が1つの温度Taのみであり、間引き率が検出温度Tに応じて2段階(M1とM2)に変化するようになっているが、間引き率を変化させる閾値となる温度を2つ以上とし、間引き率が3段階以上に変化するようにしてもよい。
【0038】
図4は、図1中の撮像素子3の、相対的に小さい間引き率M1(<M2)での読み出し動作における読み出し時間と消費電力との関係を模式的に示す図である。図5は、図1中の撮像素子3の、相対的に大きい間引き率M2(>M1)での読み出し動作における読み出し時間と消費電力との関係を模式的に示す図である。図4は、間引き率M1をn行当たり1行の画素を読み出す間引き率に設定した例を示し、図5は、間引き率M2を2n行当たり1行の画素を読み出す間引き率に設定した例を示している。図4及び図5のいずれにおいても、フレームレートは同一で、各フレームの時間は同一にされている。
【0039】
図4では、間引き率M1が相対的に小さいので、各フレームの時間中の読み出し時間が長くなり、その結果、撮像素子3の単位時間の平均的な消費電力が大きくなって、単位時間当たりの平均的な発熱量が大きくなる。一方、間引き率M2が相対的に大きいので、各フレームの時間中の読み出し時間が短くなり、その結果、撮像素子3の単位時間の平均的な消費電力が小さくなって、単位時間当たりの平均的な発熱量が小さくなる。
【0040】
図6は、図1中の撮像素子3のライブビューモード時の、経過時間と検出温度Tとの関係の例を模式的に示す図である。図6に示す例では、ライブビューモードの開始時点t0で検出温度TがT0(<Ta)であり、前述した図3に示す動作に従って、時点t0以降は相対的に小さい間引き率M1(<M2)での読み出し動作が繰り返され、そのときの発熱量が相対的に大きいので比較的急に撮像素子3の検出温度Tが上昇していき、時点t1で検出温度Tが前記所定温度Taに達する。その結果、時点t1以降は相対的に大きい間引き率M2(>M1)での読み出し動作が繰り返され、そのときの発熱量が相対的に小さいので比較的緩慢に撮像素子3の検出温度Tが上昇していき、時点t2で検出温度Tが前記所定温度Tmaxに達する。その結果、時点t2で、ライブビューモードが強制的に終了される。よって、時点t2以降は、撮像素子3の温度が低下していく。
【0041】
本実施の形態では、前述したように、温度センサ16からの検出温度Tに応じて段階的に変化して検出温度Tが相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、画素20から画素信号が読み出されるように撮像素子3が制御される。したがって、本実施の形態によれば、ライブビューモードにおいて、検出温度Tが高い場合には、撮像素子3の消費電力が低減され、ひいては、撮像素子3の温度上昇が低減される。このため、本実施の形態によれば、時点t2以降も相対的に小さい間引き率M1での読み出しを継続する場合に比べて、ライブビューモードを開始した時点t0からライブビューモードが強制終了される時点t2までの時間を延ばすことができる。
【0042】
そして、本実施の形態によれば、撮像素子3の検出温度Tが上昇しても、フレームレートを低下させないので、コマ速が遅くならず、画像における被写体の動きがスムーズなままにすることができ、画像における被写体の動きに対する劣化が生じない。
【0043】
このように、本実施の形態によれば、ライブビューモードにおいて、画像における被写体の動きに対する劣化を防止しつつ、撮像素子3の温度上昇を低減することができる。
【0044】
さらに、本実施の形態によれば、撮像素子3の検出温度Tが所定温度Tmax以上である場合に、ライブビューモードが強制的に終了されるので、温度上昇に伴う撮像素子3の破壊等を未然に防止することができる。
【0045】
以上、ライブビューモードについて説明したが、本実施の形態では、連続撮影モードの1つである動画撮影モードにおいても、図3と同様の動作が行われる。ただし、動画撮影モードでは、ステップS7において、ステップS6でリサイズ等の信号処理がなされた1フレームの画像を、表示部14に表示させる代わりに、記録部11によって記録媒体11aに記録させる。
【0046】
このように、本実施の形態では、ライブビューモード及び動画撮影モードの両方において、検出温度Tに応じた間引き率の変更を行っているが、いずれか一方のモードにおいてのみ検出温度Tに応じた間引き率の変更を行うようにしてもよい。
【0047】
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態による撮像装置のライブビューモードの動作を示す概略フローチャートであり、図3に対応している。図7において、図3中のステップと同一又は対応するステップには同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
【0048】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と異なる所は、ライブビューモードにおいて図3に示す動作に代えて図7に示す動作が行われ、動画撮影モードにおいて図3に示す動作と同様の動作に代えて図7に示す動作と同様の動作が行われる点のみである。
【0049】
前記第1の実施の形態で行われる図3に示すライブビューモードの動作では、検出温度Tに応じた間引き率の変更のみが行われ、検出温度Tに応じたフレームレートの変更は行われていない。これに対し、本実施の形態で行われる図7に示すライブビューモードの動作では、検出温度Tに応じた間引き率の変更のみならず、検出温度Tに応じたフレームレートの変更も行われる。これについて、以下に、図7を参照して具体的に説明する。
【0050】
なお、間引き率が同一であっても、フレームレートが高ければ、撮像素子3の単位時間の平均的な消費電力が大きくなって、単位時間当たりの平均的な発熱量が大きくなる一方、フレームレートが低ければ、撮像素子3の単位時間の平均的な消費電力が小さくなって、単位時間当たりの平均的な発熱量が小さくなる。
【0051】
本実施の形態では、図7において、ステップS3でYESの場合、CPU10は、次回の読み出しの間引き率を相対的に低い間引き率M1(<M2)に設定した(ステップS21)後、ステップS23へ移行する。一方、ステップS3でNOの場合、CPU10は、次回の読み出しの間引き率を相対的に高い間引き率M2(>M1)に設定した(ステップS22)後、ステップS23へ移行する。
【0052】
ステップS23において、CPU10は、ステップS1で最新に取得した検出温度Tが所定温度Tbよりも低いか否かを判定する。所定温度Tbは、所定温度Tmaxよりも低い温度に設定されている。
【0053】
ステップS23で検出温度Tが所定温度Tbよりも低いと判定されると、CPU10は、次回のフレームレートを相対的に高いフレームレートF1(>F2)に設定した(ステップS24)後、ステップS26へ移行する。一方、ステップS23で検出温度Tが所定温度Tb以上であると判定されると、CPU10は、次回のフレームレートを相対的に低いフレームレートF2(<F1)に設定した(ステップS25)後、ステップS26へ移行する。例えば、フレームレートF1は30fpsに設定し、フレームレートF2は15fpsに設定することができる。
【0054】
ステップS26において、CPU10は、現時点が、現在設定されているフレームレート(すなわち、ステップS24又はS25で最新に設定されたフレームレート)による読み出し開始タイミングであるか否かを判定する。このとき、CPU10は、前回読み出したフレームの読み出し開始時点から、現在設定されているフレームレートに応じたフレーム時間を経過している場合に、現時点が読み出し開始タイミングであると判定する一方、前回読み出したフレームの読み出し開始時点から、現在設定されているフレームレートに応じたフレーム時間を経過していない場合に、現時点が読み出し開始タイミングでないと判定する。ただし、ライブビューモードを開始してから1番目のフレームを読み出す場合には、CPU10は、ステップS26において、直ちに現時点が読み出し開始タイミングであると判定する。
【0055】
ステップS26において現時点が読み出し開始タイミングでないと判定されると、ステップS26を繰り返し、現時点が読み出し開始タイミングとなるまで待つ。一方、ステップS26において現時点が読み出し開始タイミングであると判定されると、ステップS27へ移行する。
【0056】
ステップS27において、CPU10は、現在設定されている間引き率(すなわち、ステップS21又はS22で最新に設定された間引き率)で、撮像素子3から1フレームの読み出し(行を間引いた1フレーム分の画素信号の読み出し)が行われるよう撮像素子3を制御するように、CPU10は撮像制御部5に指令を与える。ステップS27により、撮像素子3からその間引き率で1フレームの画像信号の読み出しが行われ、その1フレームの画像信号は、信号処理部6により増幅等された後にA/D変換部7によりA/D変換され、画像データとしてメモリ8に蓄積され、ステップS6へ移行する。
【0057】
その後、ステップS6において、CPU10は、ステップS27で最新に読み出されてメモリ8に蓄積された1フレームの画像データを表示部14の表示に適した画像サイズにリサイズするなどの信号処理を、画像処理部12に行わせる。
【0058】
本実施の形態では、前述したように、温度センサ16からの検出温度Tに応じて段階的(本実施の形態では2段階であるが、3段階以上としてもよい。)に変化して検出温度Tが相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、画素20から画素信号が読み出されるように撮像素子3が制御されるとともに、温度センサ16からの検出温度Tに応じて段階的(本実施の形態では2段階であるが、3段階以上としてもよい。)に変化して検出温度Tが相対的に高い場合には相対的に低くなるフレームレートで、画素20から画素信号が読み出されるように撮像素子3が制御される。したがって、本実施の形態によれば、ライブビューモードにおいて、検出温度Tが高い場合には、撮像素子3の消費電力が低減され、ひいては、撮像素子3の温度上昇が低減される。
【0059】
そして、本実施の形態では、前述したように、ライブビューモードにおいて、検出温度Tに応じたフレームレートの変更のみならず、検出温度Tに応じた間引き率の変更も行われる。したがって、本実施の形態によれば、検出温度Tに応じた間引き率の変更を行うことなく検出温度Tに応じたフレームレートの変更のみを行う場合に比べて、フレームレートの低下の度合いを低減することができ、コマ速をさほど遅くせずにすみ、画像における被写体の動きを比較的スムーズなままにすることができ、画像における被写体の動きに対する劣化を低減することができる。
【0060】
このように、本実施の形態によれば、ライブビューモードにおいて、画像における被写体の動きに対する劣化を低減しつつ、撮像素子3の温度上昇を低減することができる。
【0061】
なお、間引き率を変化させる閾値となる所定温度のうち最も低い所定温度Taは、フレームレートを変化させる閾値となる所定温度のうち最も低い所定温度Tbよりも低くてもよい。また、所定温度Taは、所定温度Tbと同一でもよいし、所定温度Tbよりも高くてもよい。
【0062】
以上、ライブビューモードについて説明したが、本実施の形態では、連続撮影モードの1つである動画撮影モードにおいても、図7と同様の動作が行われる。ただし、動画撮影モードでは、ステップS7において、ステップS6でリサイズ等の信号処理がなされた1フレームの画像を、表示部14に表示させる代わりに、記録部11によって記録媒体11aに記録させる。
【0063】
このように、本実施の形態では、ライブビューモード及び動画撮影モードの両方において、検出温度Tに応じた間引き率の変更及び検出温度Tに応じたフレームレートの変更を行っているが、いずれか一方のモードにおいてのみ検出温度Tに応じた間引き率の変更及び検出温度Tに応じたフレームレートの変更を行うようにしてもよい。
【0064】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、前記各実施の形態では、所定の間引き率とするために、所定行数置きに1行ずつ読み出しているが、本発明では、必ずしもこれに限らない。たとえば、所定の間引き率とするために、n行置きにm行(mは2以上)ずつ読み出してもよいし、一部の連続する行のみを部分的に読み出してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 撮像装置
3 撮像素子
5 撮像制御部
16 温度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2次元状に配置された複数の画素を有する撮像素子と、
前記撮像素子の温度に応じた検出温度を得る温度検出手段と、
連続撮影モードにおいて、前記温度検出手段により検出された前記検出温度に応じて段階的に変化して前記検出温度が相対的に高い場合には相対的に大きくなる間引き率で、前記複数の画素から画素信号が読み出されるように前記撮像素子を制御する制御部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記連続撮影モードにおいて、前記温度検出手段により検出された前記検出温度に応じて段階的に変化して前記検出温度が相対的に高い場合には相対的に低くなるフレームレートで、前記複数の画素から画素信号が読み出されるように前記撮像素子を制御することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記間引き率を変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度が、前記フレームレートを変化させる閾値となる前記検出温度のうち最も低い温度よりも低いことを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記連続撮影モードにおいて、前記前記温度検出手段により検出された前記検出温度が所定温度以上である場合に、前記撮像素子の読み出し動作を停止させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記連続撮影モードは、動画撮影モード及びライブビューモードのいずれか一方又は両方であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate