説明

撮影枚数表示装置

【課題】 薄型化を図ったカメラボディに内蔵させても目盛りを大きく視認できるようにする。
【解決手段】 第1表示板43,第2表示板44,一歯ギヤ48は、回動自在に設けられ上記表示板の上面には、それぞれ回動方向に沿って1桁の数値からなる目盛り50a,50bが表示されている。上記表示板の接触部には目盛り50a,50bによって2桁の枚数目盛り50が構成され、撮影枚数表示窓15から露呈される。一歯ギヤ48は1コマ分のフイルム巻き上げに従動して1回転し、切欠き48aが第1表示板43に設けた歯46a〜46jのいずれかに噛合して第1表示板43を一目盛り分だけ回動させる。目盛り50a,50bを構成する数値は最多でも10個だけなので、第1表示板43及び第2表示板44の径を小さくしても枚数目盛り50は充分に大きく表示される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カメラやレンズ付きフイルムユニットに用いられる撮影枚数表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、安価なカメラでは、円板状の表示板を回動自在に設け、この上面に撮影枚数を表す目盛りを回動方向に沿って表示するとともに、フイルム巻き上げに連動して表示板を一目盛り分だけ歩進させるようにした撮影枚数表示装置が用いられている。表示板の目盛りは、カメラボディ上面に設けた表示窓から露呈されており、この表示窓から目盛りを読み取ることでその時点での撮影枚数を知ることができる。
【0003】ところで、簡単な撮影機構が組み込まれたユニット本体にパトローネ付きの写真フイルムを内蔵させたレンズ付きフイルムユニットが本出願人により販売されている。このレンズ付きフイルムユニットでは、写真フィルムはパトローネ本体から全て引き出された状態でユニット本体に収納されており、撮影を行うごとに巻き上げノブを回転操作して写真フイルムの露光済み部分をパトローネ本体に巻き込むようにしている。このレンズ付きフイルムユニットに内蔵される撮影枚数表示装置では、写真フイルムのパーフォレーションに係合するスプロケットの回転を利用して、フイルム巻き上げ操作を行うごとに表示板が一目盛り分ずつ回動されるようになっており、表示窓からは写真フイルムの残り枚数が表示されるように構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようなレンズ付きフイルムユニットではコンパクト化が進められており、特にユニット本体の厚みを薄くする傾向にある。撮影枚数表示装置の表示板は、その上面がユニット本体の上面に形成された表示窓から露呈されるように水平な向きに組み込まれるので、ユニット本体を薄型化するためには表示板の径も小さくする必要がある。ところが、表示板の径を小さくすると、この上面に表示する目盛りの大きさも小さくしなくてはならないので、目盛りが視認しづらくなるという問題がある。
【0005】そこで、目盛りの配列を、例えば「1・・4・・7・・」等のように簡略化して表示する方法があるが、これでは表示窓に「・」記号が露呈した場合、この「・」記号の前後の数字から判断しなくてはならないので、瞬時に残り枚数を読み取ることができない。また、表示窓にプラスチックレンズを組み込んで目盛りを光学的に大きく視認させるようにしたものが知られているが、プラスチックレンズの倍率は1.2倍程度が限度であり、拡大効果があまり望めないばかりか、プラスチックレンズを用いる分だけコストアップとなる。
【0006】本発明は上記事情を考慮してなされたもので、薄型化を図ったカメラボディに内蔵しても目盛りを大きく視認することができる撮影枚数表示装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明の撮影枚数表示装置は、回動自在に設けられ、上面に0から9までの1桁の数値からなる第1の目盛りが回動方向に沿って表示された第1の表示板と、この第1の表示板と並べて回動自在に設けられ、上面に1桁の数値または記号からなる第2の目盛りが回動方向に沿って表示された第2の表示板とを備え、カメラボディに形成された表示窓から第1の目盛りおよび第2の目盛りをそれぞれ1つずつ同時に露呈させて2桁の枚数目盛りを表示するとともに、1コマ分のフイルム巻き上げに連動して第1の表示板を一目盛り分回転させ、さらに第1の目盛りのうちの任意の目盛りが表示窓と対峙する位置に達するごとに第2の表示板を1目盛り分回転させるようにするものである。なお第2の表示板は、扇状に形成するのがよい。
【0008】
【発明の実施の形態】図2は、本発明の撮影枚数表示装置を内蔵するレンズ付きフイルムユニットの外観を示すものである。レンズ付きフイルムユニット10は、パトローネ付きの写真フイルムや撮影機構が内蔵されたユニット本体11と、このユニット本体11を覆う外装体12とから構成されている。外装体12はレンズ付きフイルムユニット10の外観を綺麗にするためのもので、表面に化粧用の印刷が施された紙箱などが用いられる。外装体12の所要部には、ユニット本体11に設けられた撮影レンズ13,ファインダ対物窓14,撮影枚数表示窓15,シャッターボタン16,巻き上げノブ17,及びファインダ接眼窓18を外部に露呈させるための開口が設けられており、この外装体12をユニット本体11に被せたままの状態で撮影操作ができるようになっている。
【0009】図3に分解して示すように、ユニット本体11は本体基部21と、この前後を覆うように被せられる前カバー22及び後カバー23とから構成されている。前カバー22にはファインダ対物窓14,撮影枚数表示窓15,及びシャッターボタン16が、また後カバー23にはファインダ接眼窓18がそれぞれ形成されている。
【0010】本体基部21の両側部には、パトローネ本体24を収納するためのパトローネ室25と、写真フイルム26をロール状にして収納するフイルムロール室27とが一体に設けられており、これらの間には写真フイルム26の露光範囲を規定するためのアパーチャー28が形成されている。パトローネ室25及びフイルムロール室27の底部はいずれも開口となっており、後カバー23の底面側に一体に設けられたプルトップ式の底蓋29a,29bによってそれぞれ塞がれる。なお、底蓋29aは露光済みの写真フイルム26を収納したパトローネ本体24を取り出すときの取り出し蓋となる。
【0011】アパーチャー28の前面には露光ユニット30が取り付けられ、前カバー22と後カバー23とで挟持される。露光ユニット30は、メカベース30a上に撮影レンズ13,ファインダ光学系,フイルム巻き上げ機構,シャッター機構,及び撮影枚数表示装置40等を組み付けてユニット化したもので、上部には透明なプラスチックで形成された保持板31が取り付けられている。露光ユニット30に組み付けられた撮影レンズ13,ファインダ対物レンズ32a,及びファインダ接眼レンズ32bが、前カバー22及び後カバー23に形成された開口33,ファインダ対物窓14,及びファインダ接眼窓18からそれぞれ露呈される。また、撮影枚数表示装置40の一部が撮影枚数表示窓15から露呈される。
【0012】図4に示すように、撮影枚数表示装置40は、写真フイルム26のパーフォレーション26aに噛合し、写真フイルム26が矢線方向に1コマ分巻き上げられる際に1回転される従動スプロケット41と、この従動スプロケット41に組み付けられて一体に回転されるカム軸42と、このカム軸42の1回転により一目盛り分回動される第1表示板43と、この第1表示板43の1回転により一目盛り分回動される第2表示板44と、第2表示板44の停止位置を規定する係止板45とから構成されている。カム軸42,第1表示板43,及び第2表示板44は、露光ユニット30のメカベース30aの上面に回転自在に組み付けられる。なお、カム軸42と従動スプロケット41とは、カム軸42をメカベース30a上に組み付けた際にメカベース30a内で連結される。
【0013】第1表示板43の下面側には、ギヤ46と切換え片47とが、第1表示板43と一体に回転するように設けられている。カム軸42には一歯ギヤ48が一体に形成されており、第1表示板43に設けられたギヤ46に噛合する。また、第2表示板44の周面には、下方に歯49a〜49dが設けられており(図1参照)、第1表示板43に設けられた切換え片47に噛合する。
【0014】図1に示すように、第1表示板43は軸43aを中心にした正円状に形成されており、その上面には、第1表示板43の回動方向に沿って「0」から「9」までの1桁の数値からなる10個の目盛り50aが等間隔に表示されている。目盛り50aの各値は図中反時計方向に向けて降順に並べられている。第1表示板43の下面側に設けられたギヤ46は、10個の歯46a〜46jを備え、これらの歯46a〜46jが目盛り50aの各値の間に位置している。また切換え片47は、目盛り50aの2つの値「9」,「0」の間に設けられ、本実施形態においては、歯46fと上下に重なるように設けられている。
【0015】第2表示板44は軸44aを支点とした扇状に形成され、その上面には「1」から「3」までの1桁の数値からなる目盛り50bが等間隔に表示されている。目盛り50bの各値は、図中時計方向に向けて降順に並べられ、値「1」の下流側には一目盛り分の空白部51が設けられている。第2表示板44の周面に設けられた4つの歯49a〜49dは、それぞれ目盛り50bの各値の間に位置するように設けられている。また、第2表示板44の下面には放射状に延びた4つの係止溝52a〜52dが設けられている。これらの係止溝52a〜52dには、弾性を有する係止板45の先端に設けられた係合突起45aが係合し、第2表示板44の停止位置を規定する。
【0016】第1表示板43と第2表示板44とはそれぞれの周縁部が互いに接するように配置され、これらの接触部には目盛り50aと目盛り50bとによって2桁の枚数目盛り50が構成される。この枚数目盛り50は、ユニット本体11が組み立てられたときに、前カバー22に形成された撮影枚数表示窓15から露呈される。なお、上述した第2表示板44の係止溝52a〜52dと係止板45の係合突起45aとは、目盛り50bの各値が撮影枚数表示窓15と対峙する位置にあるときに係合するように設けられている。
【0017】一歯ギヤ48は、断面が楕円形となるように形成され、この周面にはギヤ46の歯46a〜46jを挟み込むようにU字状の切欠き48aが形成されている。切欠き48aは、1コマ分のフイルム巻き上げに従動してカム軸42が1回転するごとに歯46a〜46jのいずれかに噛合し、第1表示板43を一目盛り分だけ回動させる。
【0018】レンズ付きフイルムユニット10を用いて撮影を行い、巻き上げノブ17をフイルム巻き上げ方向(図2に示した矢印方向)に回転操作すると、写真フイルム26がフイルムロール室27側からパトローネ室25側に1コマ分だけ送行される。これにより、写真フイルム26の露光済み部分がパトローネ本体24内に巻き込まれ、未露光部分がアパーチャー28の背面側にセットされる。
【0019】写真フイルム26が1コマ分移送されると、写真フイルム26のパーフォレーション26aに噛合された従動スプロケット41が1回転され、この回転に従動して一歯ギヤ48が図1において反時計方向に回転する。一歯ギヤ48が1回転する間に切欠き48aが第1表示板43に設けられたギヤ46の歯46a〜46jのいずれかに噛合し、第1表示板43が時計方向に一目盛り分回転する。
【0020】この際、例えば図5(A)に示すように、撮影枚数表示窓15から枚数目盛り50の値「27」が表示されているときに、撮影およびフイルム巻き上げ操作を行うと、同図(B)に示すように、一歯ギヤ48の切欠き48aがギヤ46の歯46dに噛合する。これにより、第1表示板43が一目盛り分回転し、目盛り50aの値「6」が撮影枚数表示窓15に対峙する。また、第1表示板43に設けられた切換え片47が第2表示板44に設けられた歯49a〜49dのいずれとも噛合しないので、第2表示板44は回転しない。これにより、目盛り50bの値「2」がそのまま撮影枚数表示窓15に対峙し、撮影枚数表示窓15には枚数目盛り50の値「26」が表示される。なお、第2表示板44の下面に設けられた係止溝52bに係止板45の係合突起45aが係合しているので、第1表示板43が回転したときに生じる第1表示板43と第2表示板44との摩擦によって第2表示板44が回動し、撮影枚数表示窓15と対峙する目盛り50bの値が変化することが防止される。
【0021】この後、撮影操作とフイルム巻き上げ操作を行うごとに、切欠き48aがギヤ46の歯46e,46f,46g,・・・に順次噛合する。これにより、第1表示板43が一目盛り分ずつ回転し、撮影枚数表示窓15から露呈される枚数目盛り50の値が1ずつ減少する。
【0022】図6(A)に示すように、撮影枚数表示窓15から値「20」が表示されているときに撮影およびフイルム巻き上げ操作を行うと、同図(B)に示すように、一歯ギヤ48の切欠き48aがギヤ46の歯46aに噛合して第1表示板43を一目盛り分回転させる。これにより、目盛り50aの値「9」が撮影枚数表示窓15に対峙する。同時に、目盛り50aの値「0」と値「9」との間に設けられた切換え片47が第2表示板44の歯49cに噛合し、第2表示板44を一目盛り分回転させる。これにより、目盛り50bの値「1」が撮影枚数表示窓15に対峙し、撮影枚数表示窓15からは値「19」が表示される。なお、係止板45の係合突起45aが第2表示板44の係止溝52bに係合し、第2表示板44の回転を阻止しているが、第2表示板44の大きさが係止板45よりも格段に大きいので、第2表示板44の回転力の方が係止板45の係止力よりも勝る。したがって、第2表示板44が回転を開始すると、係止板45が撓んで係合突起45aが係止溝52bから外れ、第2表示板44の回転を妨げることがない。そして、目盛り50bの値「1」が撮影枚数表示窓15に対峙すると、係合突起45aが係止溝52cに入り込み、第2表示板44をこの位置で位置決め,保持する。
【0023】この後は、フイルム巻き上げ操作を行うごとに第1表示板43が一目盛り分ずつ回転し、目盛り50aの値が1ずつ減少する。また、第1表示板43が1回転するごとに第2表示板44の目盛り50bの値が1ずつ減少する。これにより、撮影枚数表示窓15から露呈される枚数目盛り50の値が1ずつ減少する。なお、目盛り50bの値「1」の下流側に一目盛り分の空白部51が設けられているので、枚数目盛り50の値が1桁の数値となったときには、図7に示すように、撮影枚数表示窓15からは値「 9」,「 8」,「 7」,・・・が表示され、写真フイルム26の残り撮影枚数を容易に視認することができる。
【0024】そして、最後のコマに撮影を行ってフイルム巻き上げ操作を行うと、写真フイルム26の先端部までの全てがパトローネ本体24の内部に巻き込まれる。そして、ユーザーが使用済みレンズ付きフイルムユニット10を現像取扱店に持っていき、DPEを依頼すると、このレンズ付きフイルムユニット10は、更に現像所に集められる。現像所では、レンズ付きフイルムユニット10の底部に設けられたフイルム取り出し用の底蓋29aを開き、撮影済みの写真フイルム26が巻き込まれたパトローネ本体24を取り出してフイルム現像及びプリント処理を行う。そして現像取扱店を介して、プリント写真と現像済みのフイルムとがユーザーに返却される。
【0025】なお、上記実施形態においては、第2の表示板に表示する目盛りを数字のみとしたが、例えば図8に示す第2表示板61のように、空白部51の下流側に記号「E」を表示しておけば、全てのコマに撮影を終了した後にはこの記号「E」が撮影枚数表示窓15から露呈され、ユーザーは残りコマのないことを即座に認識することができる。
【0026】
【発明の効果】以上のように本発明の撮影枚数表示装置によれば、2枚の表示板を用いて2桁の枚数目盛りを構成するので、1枚の表示板には最多でも10個の目盛りを表示すればよいことになる。これにより、表示板の径を従来の1/2程度にまで小さくしたとしても、目盛りの大きさは充分に大きくすることが可能になる。また、最大で「99」までの枚数目盛りを表示することが可能になるので、写真フイルムの撮影コマの増加傾向に対応することができる。さらに、10の位の数値を表示するための第2の表示板の形状を扇状にすることで、この第2の表示板の収納スペースを節減でき、カメラボディの薄型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の撮影枚数表示装置の要部を示す説明図である。
【図2】本発明の撮影枚数表示装置を備えるレンズ付きフイルムユニットの外観図である。
【図3】図2に示したユニット本体の分解斜視図である。
【図4】撮影枚数表示装置の構成を示す概略図である。
【図5】枚数目盛りの切り換え状態を示す説明図であり、(A)は切り換え以前の状態を、(B)は1の位の数値が変化する状態をそれぞれ表している。
【図6】枚数目盛りの別の切り換え状態を示す説明図であり、(A)は切り換え以前の状態を、(B)は1の位の数値とともに10の位の数値が変化する状態をそれぞれ表している。
【図7】1桁で表される枚数目盛りの表示状態を示す説明図である。
【図8】第2表示板の別の構成例を示す説明図である。
【符号の説明】
10 レンズ付きフイルムユニット
11 ユニット本体
15 撮影枚数表示窓
40 撮影枚数表示装置
43 第1表示板
44,61 第2表示板
50 枚数目盛り
50a,50b 目盛り

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カメラボディの表面に設けた表示窓を通して撮影枚数を表示する撮影枚数表示装置において、回動自在に設けられ、上面に0から9までの1桁の数値からなる第1の目盛りが回動方向に沿って表示された第1の表示板と、この第1の表示板と並べて回動自在に設けられ、上面に1桁の数値または記号からなる第2の目盛りが回動方向に沿って表示された第2の表示板とを備え、前記表示窓から前記第1の目盛りおよび第2の目盛りをそれぞれ1つずつ同時に露呈させて2桁の枚数目盛りを表示するとともに、1コマ分のフイルム巻き上げに連動して前記第1の表示板を一目盛り分回転させ、さらに第1の目盛りのうちの任意の目盛りが前記表示窓と対峙する位置に達するごとに前記第2の表示板を1目盛り分回転させるようにしたことを特徴とする撮影枚数表示装置。
【請求項2】 前記第2の表示板は、扇状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の撮影枚数表示装置。

【図1】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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