説明

操作スイッチ、並びに遊技機

【課題】 操作スイッチの操作感を向上させる。
【解決手段】 摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を摺動することにより、スライド部材65が、図中の左右方向に摺動するため、摺動部43fと摺動部65bとの摺動面、および、摺動部44bと摺動部65dとの摺動面の2面で、摺動方向が規制されつつケース43およびサブケース44内でスライドする。このため、摺動面積を小さくすることができるので、摺動による摩擦力を小さくすることができ、結果として、摺動面の変化による摩擦力の変化(ばらつき)を抑制することができるので、スタートスイッチ26の操作感のばらつきを小さくすることが可能となる。本発明は、パチスロ機等の遊技機に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作スイッチ、並びに遊技機に関し、特に、操作感のばらつきを低減できるようにすると共に、耐久性を向上した操作スイッチ、並びに遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機としてスロットマシンが広く普及している。このスロットマシンは、一般にパチスロとして広く普及しており、毎ゲームごとにメダルを投入して、操作スイッチの操作軸の操作頭部が操作されると、回動体からなる3個のリールが回転し、各リールに対応するボタンが押下されることにより全てのリールが停止したときに、各リールに描かれている図柄が所定の方向に並んで揃うと(いわゆる、役に当たると)、投入したメダルに応じたメダルが払い出されるというものである。
【0003】
ところで、この操作スイッチの操作軸は、毎ゲームごとに必ず操作されるものだけに、操作頻度の高いものであり、操作スイッチの操作感は、パチスロによるゲームを長時間継続させる場合には、特に、遊技者の疲労の程度を大きく左右させるものである。
【0004】
操作スイッチの動作は、具体的には、操作軸の操作頭部となる操作スイッチの操作頭部を操作すると(例えば、操作軸の通常の位置に対して、操作軸そのものを傾動させると)、操作頭部とは逆の操作軸の端部に設けられている押圧部材がスライド部材を押圧することにより、押圧方向とは逆方向にスプリングにより付勢されているスライド部材が、円筒状のケース内部を軸方向に、操作頭部とは反対方向に移動し(スライド部材の押圧方向に移動し)、スライド部材に設けられている被センサ部を押圧方向に押し出す。そして、センサ部が、この被センサ部の位置の変化を検出することにより、オンオフ(操作スイッチが操作されたか否か)を検出する(例えば、特許文献1,2参照)。センサ部の構成としては、例えば、フォトインタラプタが用いられている(例えば、特許文献3,4参照)。
【特許文献1】特開2001−000625号公報
【特許文献2】特開2003−010379号公報
【特許文献3】特開平7−193272号公報
【特許文献4】特開平9−127257号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、これまでの操作スイッチにおいては、上述したようにスライド部材がケース内部を摺動することにより被センサ部が動作し、これをもって、センサ部が操作スイッチの操作の有無を検出していた。しかしながら、特許文献1,2でも示されているように、スライド部材はケース内部との接触面積が大きいため、摺動する際、接触面同士の表面状態の小さな変化により、スライド部材とケース内部との摺動により発生する抵抗が大きく変化してしまい、操作スイッチの操作感にばらつきを生じさせてしまうという課題があった。
【0006】
また、操作感のばらつきにより、例えば、スライド部材とケース内部の抵抗が極端に大きくなってしまうと、遊技者は操作スイッチに、大きな力を加えて、操作せざるを得なくなる。このため、操作感のばらつきに起因して、操作スイッチが手荒に操作されることがあり、このような手荒な操作が繰り返されることにより、フォトインタラプタを構成するLED(Light Emmision Diode)やフォトICのリードに亀裂や破損が発生したり、基板のパターンの剥離、または、コネクタの端子の根元が折れてしまうといった状況を誘発し、結果として、操作スイッチの寿命を短くしてしまうといった課題があった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、操作スイッチの操作感のばらつきを低減させると共に、操作スイッチの耐久性を向上させ、操作スイッチ本体の長寿命化を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作スイッチは、遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作される棒状の操作部と、シリンダ状のケース内の所定の位置に、軸方向であって、端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつ前記ケース内を摺動する摺動部を有し、操作部の操作に応じて、バネ材の付勢方向と逆方向にケース内を摺動するスライド部材と、スライド部材の動きを検出する検出部とを備え、摺動部は、ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、ケース内を軸方向に摺動することを特徴とする。
【0009】
前記摺動部の外径には、軸と同軸に第1の径の部位と、第2の径の部位とを少なくとも含ませるようにすることができ、ケースの内径には、軸と同軸上に第1の径と略同径の部位と、第2の径と略同径の部位とを設けるようにさせることができ、第1の摺動部は、ケースの第1の径と略同径の内側面を摺動する摺動部の第1の径の部位とすることができ、第2の摺動部は、ケースの第2の径と略同径の内側面を摺動する摺動部の第2の径の部位とするようにすることができる。
【0010】
前記ケースは、メインケースおよびサブケースから構成させるようにすることができ、軸と同軸上の第1の径と略同径の部位は、メインケースの内径の部位とすることができ、軸と同軸上の第2の径と略同径の部位は、サブケースの内径の部位とすることができる。
【0011】
前記摺動部の第2の径の部位は、軸に対して同軸の第2の径の凸部であり、ケースの第2の径と略同径の部位は第2の径と略同径の穴部とするようにすることができ、第2の摺動部は、凸部におけるケースの一部である穴部を摺動する部位とするようにすることができる。
【0012】
前記凸部は、穴部を貫通するようにさせることができ、検出部には、穴部を貫通した凸部の端部の軸方向の位置に応じてスライド部材の動きを検出させ、対応する操作部の操作の有無を検出させることができる。
【0013】
前記検出部は、発光部および発光部により発光された光を受光する受光部からなるフォトセンサとするようにすることができ、穴部を貫通した凸部の端部が、発光部により発光された光を遮光し、受光部により受光できなかったとき、操作部の操作を検出させるようにすることができる。
【0014】
前記検出部は、近接センサとするようにすることができ、穴部を貫通した金属製の凸部の端部との距離に応じて、操作部の操作を検出させるようにすることができる。
【0015】
前記摺動部の第2の径の部位は、摺動部の第1の径の部位に対して、同軸で、かつ、少なくともその一部が第1の径の部位の内周側に設けられるようにすることができる。
【0016】
本発明の遊技機は、遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作される棒状の操作部と、シリンダ状のケース内の所定の位置に、軸方向であって、端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつ前記ケース内を摺動する摺動部を有し、操作部の操作に応じて、バネ材の付勢方向と逆方向にケース内を摺動するスライド部材と、スライド部材の動きを検出する検出部とを備え、摺動部は、ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、ケース内を軸方向に摺動することを特徴とする。
【0017】
前記摺動部の外径には、軸と同軸に第1の径の部位と、第2の径の部位とを少なくとも含ませるようにすることができ、ケースの内径には、軸と同軸上に第1の径と略同径の部位と、第2の径と略同径の部位とが設けられるようにすることができ、第1の摺動部は、ケースの第1の径と略同径の内側面を摺動する摺動部の第1の径の部位にすることができ、第2の摺動部は、ケースの第2の径と略同径の内側面を摺動する摺動部の第2の径の部位にすることができる。
【0018】
前記ケースは、メインケースおよびサブケースから構成させるようにすることができ、軸と同軸上の第1の径と略同径の部位は、メインケースの内径の部位とすることができ、軸と同軸上の第2の径と略同径の部位は、サブケースの内径の部位とするようにすることができる。
【0019】
前記摺動部の第2の径の部位は、軸に対して同軸の第2の径の凸部であり、ケースの第2の径と略同径の部位は第2の径と略同径の穴部とするようにすることができ、第2の摺動部は、凸部におけるケースの一部である穴部を摺動する部位にすることができる。
【0020】
前記凸部は、穴部を貫通するようにさせることができ、検出部には、穴部を貫通した凸部の端部の軸方向の位置に応じてスライド部材の動きを検出させ、対応する操作部の操作の有無を検出させることができる。
【0021】
前記検出部は、発光部および発光部により発光された光を受光する受光部からなるフォトセンサとするようにすることができ、穴部を貫通した凸部の端部が、発光部により発光された光を遮光し、受光部により受光できなかったとき、操作部の操作を検出させるようにすることができる。
【0022】
前記検出部は、近接センサとするようにすることができ、穴部を貫通した金属製の凸部の端部との距離に応じて、操作部の操作を検出させるようにすることができる。
【0023】
前記摺動部の第2の径の部位は、スライド部材の第1の径の部位に対して、同軸で、かつ、少なくともその一部が第1の径の部位の内周側に設けられるようにすることができる。
【0024】
本発明の操作スイッチにおいては、棒状の操作部が、遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作され、スライド部材が、シリンダ状のケース内の所定の位置に、軸方向であって、端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつケース内を摺動する摺動部を有し、操作部の操作に応じて、バネ材の付勢方向と逆方向にケース内で摺動させられ、さらに、ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、ケース内で軸方向に摺動され、スライド部材の動きが検出される。
【0025】
本発明の遊技台においては、棒状の操作部が、遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作され、スライド部材が、シリンダ状のケースの所定の位置に、軸方向であって、端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつケース内を摺動する摺動部を有し、操作部の操作に応じて、バネ材の付勢方向と逆方向にケース内で摺動させられ、さらに、ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、ケース内で軸方向に摺動され、スライド部材の動きが検出される。
【0026】
ケースとは、例えば、図4のケース(メインケース)43とサブケース44とが一体となったフルケースであり、棒状の操作部とは、例えば、図4の操作軸61であり、スライド部材とは、例えば、図4のスライド部材65である。さらに、第1の摺動部とは、例えば、図4の摺動部65bであり、第2の摺動部とは、例えば、図4の摺動部65dである。このような構成により、操作軸61が、図7で示されるように、操作軸61の通常状態に対して所定の角度だけ傾動されると(図7においては、通常の操作軸61に対して角度θ2だけ傾動されると)、連動して操作軸61の端部に設けられた押圧部材62が傾動する。このとき、スプリング66により、図7の図中左方向に付勢されていたスライド部材65が、押圧部材62により図7の図中右方向に押圧される。このため、スライド部材65の摺動部65bが、ケース43の摺動部43fに対して摺動し、同時に、スライド部材65の摺動部65dが、サブケース44の摺動部44bに対して摺動することで、スライド部材65が図7中右方向に摺動する。結果として、スライド部材65が、ケース43およびサブケース44からなるケース(フルケース)に対して2個所で支持されることになるので、それぞれケース43およびサブケース44からなるケース(フルケース)に接する面積を小さくすることができるので、摺動による摩擦を低減させることができ、さらに摺動面積が小さくなることにより、摺動部を構成する表面の小さな変化では抵抗に大きな差が生じなくなるため、操作軸61の操作感のばらつきを低減させることが可能になると共に、操作感のばらつきにより遊技者に対して手荒に扱われるといったことが抑制されるので、操作スイッチの長寿命化を図る事が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、操作スイッチの操作感のばらつきを低減させることが可能になると共に、耐久性を向上させ操作スイッチの長寿命化を図る事が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明に係る遊技機11の一実施の形態の構成を示す図である。
【0029】
遊技機11は、いわゆるスロットマシン(パチスロ機)であり、遊技店に設置されているものである。
【0030】
遊技機11の前面扉28の中段右側に投入口21が設けられており、遊技者は、遊技に用いるメダルを投入する。投入口21は、投入されたメダルの大きさに応じて、正規の大きさのメダルを図示せぬ内部に取り込み、メダルの投入を認識すると共に、正規の大きさではないメダルが投入されると不正なメダルとみなし、前面扉28の下段に設けられた払出口22より返却する。また、投入口21より投入されたメダルは、所定の枚数(例えば、50枚)だけ貯留する(実際には、枚数のカウンタがカウントされる)ことが可能であり、貯留枚数分は、予め投入されたメダルをBETボタン24またはMAXBETボタン25を操作することにより、メダルが投入されたものとして扱うことができる。
【0031】
投入口21の下部には、本体側に対して押圧可能な詰まり解除ボタン23が設けられており、この詰まり解除ボタン23が遊技者により押圧操作されると、メダルが詰まった場合に払出口22よりメダルが返却される。
【0032】
BETボタン24は、1回押下されると、貯留されているメダルのうち、1枚分が投入口21から投入されたものとみなされ、メダル1枚が掛けられたものとみなされる。BETボタン24は、3回まで連続して押下することが可能であり、したがって、1度にメダル3枚までを掛けることができる。尚、BETボタン24は、実際には、4回以上連続して押下することが可能であるが、貯留されているメダルの枚数は変化せず、3枚以上のメダルを掛けることができない。
【0033】
また、MAXBETボタン25は、1回押下されると、貯留されているメダルのうち、掛けることが可能な最大枚数分のメダルが投入口21より投入されたものとみなされる。すなわち、貯留されているメダルの枚数が3枚以上である場合、MAXBETボタン25の1回の押下で、3枚のメダルが掛けられたものとみなされ、貯留されているメダルが3枚未満の場合、貯留されている全ての枚数が掛けられたものとみなされる。
【0034】
スタートスイッチ26は、メダルが少なくとも1枚掛けられた状態の場合、独立した3個の回動体からなるリール29の回転を開始させるときに遊技者により操作される操作スイッチであり、操作されるとリール29の回転が開始される。
【0035】
ストップボタン27は、3個の各リール29毎に設けられており、リール29が回転している場合、その回転を停止させるときに遊技者により操作される。各リールは、連続して描かれている図柄が3個まで表示されるように構成されている。そして、3個のストップボタン27が押下されて、対応する各リール29が停止した後、リール29の図柄が横方向、または、斜め方向に揃うと揃った図柄の種類に応じて、メダルが払出口22より払い出される。
【0036】
次に、図2乃至図5を参照して、スタートスイッチ26の詳細な構成について説明する。図2は、スタートスイッチ26を遊技機11より取り外した状態の外観斜視図であり、図3は、図2のスタートスイッチ26の分解斜視図であり、図4は、図2のスタートスイッチ26の縦断面図であり、図5は、図2のスタートスイッチ26の横断面図である。
【0037】
スタートスイッチ26は、操作軸61の一方の端部であるローレット部61aにインサート成形された遊技者が操作する操作頭部41が設けられている。操作軸61の他方の端部には、押圧部材62が平座金63とナイロンナット64によりホルダ42を挟み込むように操作軸61のネジ部61bにより螺合されている。
【0038】
すなわち、図4,図5で示されるように、ホルダ42と押圧部材62とが、ケース43の内面43dに設けられている壁43eを挟み込むように平座金63とナイロンナット64とが、操作軸に螺合されている。
【0039】
ケース(メインケース)43には、固定部43bが設けられており、固定部43bにサブケース44が螺合されて固定される。したがって、ケース(メインケース)43とサブケース44とが一体となって、押圧部材62、スライド部材65、およびスプリング66を収容する1つのケース(フルケース)を構成している。尚、以降においては、フルケースを構成するメインケースおよびサブケースを、それぞれケース43およびサブケース44と称するものとする。サブケース44には、センサ45がネジ67により螺合されている。センサ45は、LEDとフォトICを備えている。すなわち、センサ45には、図5で示されるように、スライド部材65の凸部65eの可動範囲を挟むように対向して2つのスリット部45aが設けられており、一方のスリット部45aに設けられたLEDから発光される光を、他方のスリット部45aに設けられたフォトICで受光し、スライド部材65の凸部(被センサ部)65eが操作頭部41の操作に伴って移動することにより、スリット部45aから発光された光が遮光されて、フォトICが受光できないことでスタートスイッチ26の操作を検出し、検出結果を遊技機11の図示せぬ制御処理部に供給する。また、センサ45は、対向する2つのスリット部45aにより挟まれた、スライド部材65の凸部65eの可動範囲となる空間がケース43およびサブケース44の軸心位置となるように配置されている。結果として、サブケース44をケース43に螺合して組み立てる際、スライド部材65の凸部65eなどが当接しない構成となっており、このような構成により、製造に係る手間を低減させることが可能となる。
【0040】
サブケース44内には、サブケース44の内径に略同径の外径のスプリング66がリブ44aに掛かるように内挿されている。スプリング66は、サブケース44がケース43に固定されることにより、図4,図5中で示されるように、サブケース44の内部の右端部と、スライド部材65のスプリング受部65cとの間で相互に反発し合うように付勢する。
【0041】
スライド部材65は、その摺動部65bが、ケース43の摺動部43fと接しており、図4,図5の左右方向に摺動可能な構成となっている。また、スライド部材65は、その凸部である摺動部65dが、サブケース44の穴部である摺動部44bに挿入された状態となっており、図4,図5の左右方向に摺動可能な構成となっている。このように、摺動部65b,65dと、それぞれケース43の摺動部43f、およびサブケース44の摺動部44bとが、相互に摺動することにより、スライド部材65は、図中の左右方向(ケース43またはサブケース44の軸方向)に動きが規制される。また、スライド部材45は、摺動方向に対して2点(2つの摺動面)で規制が加えられることにより、摺動部の面積を小さくすることが可能となるため、摺動部の表面の変化による摺動部分の抵抗の変化を小さくすることができ、摺動部により摺動する際に発生する抵抗のばらつきを低減させることが可能となる。
【0042】
以上のような構成により、スライド部材65のスプリング受部65cは、図4、または図5の図中の左方向にスプリング66の反発力の作用を受け、接触部65aが押圧部材62に接触した状態で付勢された状態とされる。また、スライド部材65がスプリング66により図4、または図5の図中左方向に付勢されるため、押圧部材62は、スライド部材65により図4、または図5の図中左方向に付勢される。さらに、押圧部材62は、押し部62bがケース43の壁43eに、付勢される状態となるため、操作頭部41が操作されていない状態の場合、押圧部材62の動きが規制され、操作軸61が、図中の水平方向に維持された状態で固定される。このとき、スライド部材65の凸部65eは、図4,図5の位置S0に固定されるので、スリット部45aに掛からず(スリット部45a間を塞がない状態となる)、LEDにより発光される光がフォトICに対して遮光されないため、センサ45は、スライド部材65の動きを検出しないので操作頭部41が操作されていないものとみなす。
【0043】
次に、動作について説明する。
【0044】
図4,図5の操作軸61の方向から操作頭部41を見た場合、操作頭部41は、操作軸61の通常固定位置(操作されていない状態の位置)を中心として、360度のいずれの方向にも傾動させることが可能な構成となっている。例えば、図6で示されるように、操作頭部41が、図中の矢印方向に操作され、操作軸61が傾動された場合、操作頭部41の動きに応じて、操作軸61が角度θ1分だけ傾動し、操作軸61の動きが押圧部材62に伝達される。押圧部材62は、丸印fで示される範囲内のケース43の壁43eのR部43cを支点として、図中の丸印f’で示される範囲内の摺動部62aが、図中右方向に摺動部43f上を摺動する。すなわち、図中のケース43の壁43eのR部43c上を摺動しつつ、下部のみが右方向にスライドする。
【0045】
このとき、図中の丸印f’で示される範囲内の押し部62aが、スプリング66により付勢された状態のスライド部材65を、図中の右方向に押圧する。さらに、押し部62bが、スプリング66の反発力に打ち勝つように動作することで、摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を右方向に摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を右方向に摺動することにより、スライド部材65全体が、図中の右方向に摺動する。
【0046】
結果として、スライド部材65の凸部(被センサ部)65eは、位置S0から位置S1に移動する。尚、このとき、位置S1においても、凸部65eは、スリット部45の位置に到達していないため、センサ45は、スライド部材65の動きを検出しないので、操作頭部41が操作されていない、すなわち、スタートスイッチ26が遊技者により操作されていないものとみなす。
【0047】
そして、操作頭部41が、図中の矢印方向にさらに傾動され、例えば、角度θ2(>θ1)に傾動されると、上述の動作と同様の動作により、図7で示されるように、スライド部材65の凸部65eが、位置S1よりさらに右方向にスライドして、例えば、距離d1だけ移動して位置S2に到達するものとする。このとき、スリット部45aが、凸部65eにより遮光されることになるので、センサ45は、操作頭部41が操作されたものとみなし、スタートスイッチ26が、操作されたことを示す信号を出力する。
【0048】
この後、遊技者が操作頭部41から手を離すと、スライド部材65のスプリング受部65cは、スプリング66の反発力により図中の左方向に押圧される。これにより、摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を左方向に摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を左方向に摺動することにより、スライド部材65全体が、図中の左方向に摺動する。
【0049】
結果として、スライド部材65は、図4,図5で示される位置までスプリング66により押し戻されるので、押圧部材62も図5で示される位置まで戻されることになり、操作軸61は図中の水平方向の位置に戻されるので、操作頭部41も図4,図5の位置に戻る。このとき、凸部65eは、スリット部45aを遮光していないので、センサ45は、スライド部材65の動きを検出せず、スタートスイッチ26が操作されていないとみなす。
【0050】
尚、以上の動作の説明においては、操作頭部41を操作軸61方向から見た場合、下方向に傾動させる場合の例について説明してきたが、操作軸61の方向から操作頭部41を見た場合、360度いずれの方向に傾動させる場合についても同様の動作となるので、その説明は、省略するものとする。
【0051】
また、操作軸61は、図4,図5の操作軸61の方向から操作頭部41を見た場合、360度いずれの方向にも傾動させることが可能であるのみならず、押し込んで操作することもできる。
【0052】
すなわち、図9で示されるように、図中右方向の矢印方向に操作頭部41をケース43に対して押し込むように操作することができる。
【0053】
この場合、操作頭部41に加えられた力は、操作軸61を介して、押圧部材62に伝達される。押圧部材62は、操作軸61を介して伝達された力に応じて、押し部62b全体で、スライド部材65の接触部65aの全体を図中の右方向に押圧する。
【0054】
スライド部材65は、接触部65aが押圧されると、スプリング66の反発力に打ち勝つように動作することで、その摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を右方向に摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を右方向に摺動することにより、図中の右方向に摺動する。
【0055】
結果として、スライド部材65の凸部65eは、位置S0から位置S1’に移動する。尚、このとき、S1’においても、凸部65eは、スリット部45aの位置に到達していないため、センサ45は、スライド部材65の動きを検出せず、操作頭部41が操作されていない、すなわち、スタートスイッチ26が遊技者により操作されていないものとみなす。
【0056】
そして、操作頭部41が、図中の矢印方向にさらに押し込まれると、上述の動作と同様の動作により、図10で示されるように、スライド部材65の凸部65eが、位置S1’よりさらに右方向にスライドして、例えば、距離d1’だけ移動して位置S2’に到達するものとする。このとき、スリット部45aが、凸部65eにより遮光されることになるので、センサ45は、スライド部材65の動きを検出し、操作頭部41が操作されたものとみなし、スタートスイッチ26が、操作されたことを示す信号を出力する。
【0057】
この後、遊技者が操作頭部41から手を離すと、スライド部材65のスプリング受部65cは、スプリング66の反発力により図中の左方向に押圧される。これにより、摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を左方向に摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を左方向に摺動することにより、スライド部材65全体が、図中の左方向に摺動する。
【0058】
結果として、スライド部材65は、図4,図5で示される位置までスプリング66により押し戻されるので、押圧部材62も図5で示される位置まで戻されることになり、操作軸61は図中の左方向の位置に戻されるので、操作頭部41も図4,図5の位置に戻る。このとき、凸部65eは、スリット部45aを遮光していないので、センサ45は、スライド部材65の動きを検出せず、スタートスイッチ26が操作されていないとみなす。
【0059】
尚、例えば、図11で示されるように、操作頭部41が、図中の矢印方向に対して、図10の状態よりもさらに押し込まれた場合、操作軸61のホルダ42の図中の丸印h内の範囲で示されるように、ケース43の壁43eに当接する構成となっている。結果として、押圧部材62の押し部62bは、図11で示される位置よりも図中の右方向にスライド部材65を押圧することができないので、被センサ部である凸部65eが、位置S3’(位置S1’よりもさらに距離d2’だけ右側の位置)よりも右側にスライドすることがないため、センサ45に当接しない構成になっている。このため、操作頭部41が多少手荒に操作されても、センサ45に凸部65eが当接せず、凸部65eがセンサ45に衝撃や振動を加えることを防ぐことができ、スタートスイッチ26の耐久性を向上することができるので、長寿命化を図る事が可能となっている。
【0060】
また、以上においては、センサ45は、LEDとフォトICを備えた構造のものを例にしているが、スライド部材65の凸部65eの動きを検出できれば、その他の構造のものであってもよく、例えば、凸部65eを金属として、金属の近接状態によりスライド部材65の動きを検出するセンサ45を近接センサとするようにしてもよい。
【0061】
以上のような構成により、操作頭部41の操作がいずれの方向への傾動操作または押込操作であっても、摺動部65bが、ケース43の摺動部43f上を摺動すると共に、摺動部65dが、サブケース44の摺動部44b上を摺動することにより、スライド部材65が、図中の左右方向に摺動するため、摺動部43fと摺動部65bとの摺動面、および、摺動部44bと摺動部65dとの摺動面の2面で、摺動方向が規制されつつケース43およびサブケース44内でスライドする。このため、スライド部材65と、ケース43およびサブケース44との摺動面積を小さくすることができるので、摺動により発生する摩擦力を小さくすることができる。結果として、摺動面の変化による摩擦力の変化(ばらつき)を抑制することができるので、スタートスイッチ26の操作感(操作頭部41を傾動させる重みや押し込むときの抵抗によって感じられる操作感)のばらつきを小さくすることが可能となる。
【0062】
さらに、スライド部材65の被センサ部である凸部65eは、小さな径とすることで、サブケース44の摺動部44bとの摺動面積をより小さくすることができるため、その抵抗をさらに小さくすることができ、より操作感のばらつきを抑制することができる。また、凸部65eは、スライド部材65の凹部に設けられることにより、スライド方向に対してスライド部材65に内蔵された構造とする(スライド部材65の同軸上の外周部に摺動部65bを設け、内周部に摺動部65dを設けるように一体とした構造とする)ことができる。結果として、スライド部材65と被センサ部とを一体で形成することができるため、スタートスイッチ26の大きさを小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明に係る遊技機の一実施の形態の構成を示す図である。
【図2】図1のスタートスイッチの外観斜視図である。
【図3】図1のスタートスイッチの分解斜視図である。
【図4】図1のスタートスイッチの断面図である。
【図5】図1のスタートスイッチの断面図である。
【図6】図2の操作頭部が、傾動された状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【図7】図2の操作頭部が、傾動された状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【図8】図2の操作頭部が、傾動された状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【図9】図2の操作頭部が、押し込まれた状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【図10】図2の操作頭部が、押し込まれた状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【図11】図2の操作頭部が、押し込まれた状態のスタートスイッチを示す断面図である。
【符号の説明】
【0064】
11 遊技機
26 スタートスイッチ
41 操作頭部
43 ケース
43f 摺動部
44 サブケース
44b 摺動部
45 センサ
45a スリット部
61 操作軸
62 押圧部材
65 スライド部材
65b,65d 摺動部
66 スプリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機に設けられる操作スイッチにおいて、
遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作される棒状の操作部と、
シリンダ状のケース内の所定の位置に、前記軸方向であって、前記端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつ前記ケース内を摺動する摺動部を有し、前記操作部の操作に応じて、前記バネ材の付勢方向と逆方向に前記ケース内を摺動するスライド部材と、
前記スライド部材の動きを検出する検出部とを備え、
前記摺動部は、前記ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、前記ケース内を前記軸方向に摺動する
ことを特徴とする操作スイッチ。
【請求項2】
前記摺動部の外径は、前記軸と同軸に第1の径の部位と、第2の径の部位とを少なくとも含み、
前記ケースの内径は、前記軸と同軸上に第1の径と略同径の部位と、前記第2の径と略同径の部位とが設けられており、
前記第1の摺動部は、前記ケースの第1の径と略同径の内側面を摺動する前記摺動部の前記第1の径の部位であり、前記第2の摺動部は、前記ケースの第2の径と略同径の内側面を摺動する前記摺動部の前記第2の径の部位である
ことを特徴とする請求項1に記載の操作スイッチ。
【請求項3】
前記ケースは、メインケースおよびサブケースからなり、
前記軸と同軸上の第1の径と略同径の部位は、前記メインケースの内径の部位であり、前記軸と同軸上の前記第2の径と略同径の部位は、サブケースの内径の部位である
ことを特徴とする請求項2に記載の操作スイッチ。
【請求項4】
前記摺動部の前記第2の径の部位は、前記軸と同軸の前記第2の径の凸部であり、前記ケースの前記第2の径と略同径の部位は前記第2の径と略同径の穴部であり、
前記第2の摺動部は、前記凸部における前記ケースの一部である前記穴部を摺動する部位である
ことを特徴とする請求項2または3に記載の操作スイッチ。
【請求項5】
前記凸部は、前記穴部を貫通しており、
前記検出部は、前記穴部を貫通した前記凸部の端部の前記軸方向の位置に応じて前記スライド部材の動きを検出し、対応する前記操作部の操作の有無を検出する
ことを特徴とする請求項4に記載の操作スイッチ。
【請求項6】
前記検出部は、発光部および前記発光部により発光された光を受光する受光部からなるフォトセンサであり、前記穴部を貫通した前記凸部の端部が、前記発光部により発光された光を遮光し、前記受光部により受光できなかったとき、前記操作部の操作を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の操作スイッチ。
【請求項7】
前記検出部は、近接センサであり、前記穴部を貫通した金属製の前記凸部の端部との距離に応じて、前記操作部の操作を検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の操作スイッチ。
【請求項8】
前記摺動部の前記第2の径の部位は、前記摺動部の前記第1の径の部位に対して、同軸で、かつ、少なくともその一部が前記第1の径の部位の内周側に設けられる
ことを特徴とする請求項2に記載の操作スイッチ。
【請求項9】
操作スイッチが設けられた遊技機において、
遊技者によりその端部が軸方向に対して傾動操作または押込操作される棒状の操作部と、
シリンダ状のケース内の所定の位置に、前記軸方向であって、前記端部の方向に対してバネ材により付勢され、かつ前記ケース内を摺動する摺動部を有し、前記操作部の操作に応じて、前記バネ材の付勢方向と逆方向に前記ケース内を摺動するスライド部材と、
前記スライド部材の動きを検出する検出部とを備え、
前記摺動部は、前記ケースに対して第1の摺動部および第2の摺動部により規制された状態で、前記ケース内を前記軸方向に摺動する
ことを特徴とする遊技機。
【請求項10】
前記摺動部の外径は、前記軸と同軸に第1の径の部位と、第2の径の部位とを少なくとも含み、
前記ケースの内径は、前記軸と同軸上に第1の径と略同径の部位と、前記第2の径と略同径の部位とが設けられており、
前記第1の摺動部は、前記ケースの第1の径と略同径の内側面を摺動する前記摺動部の前記第1の径の部位であり、前記第2の摺動部は、前記ケースの第2の径と略同径の内側面を摺動する前記摺動部の前記第2の径の部位である
ことを特徴とする請求項9に記載の遊技機。
【請求項11】
前記ケースは、メインケースおよびサブケースからなり、
前記軸と同軸上の第1の径と略同径の部位は、前記メインケースの内径の部位であり、前記軸と同軸上の前記第2の径と略同径の部位は、サブケースの内径の部位である
ことを特徴とする請求項10に記載の遊技機。
【請求項12】
前記摺動部の前記第2の径の部位は、前記軸と同軸の前記第2の径の凸部であり、前記ケースの前記第2の径と略同径の部位は前記第2の径と略同径の穴部であり、
前記第2の摺動部は、前記凸部における前記ケースの一部である前記穴部を摺動する部位である
ことを特徴とする請求項10または11に記載の遊技機。
【請求項13】
前記凸部は、前記穴部を貫通しており、
前記検出部は、前記穴部を貫通した前記凸部の端部の前記軸方向の位置に応じて前記スライド部材の動きを検出し、対応する前記操作部の操作の有無を検出する
ことを特徴とする請求項12に記載の遊技機。
【請求項14】
前記検出部は、発光部および前記発光部により発光された光を受光する受光部からなるフォトセンサであり、前記穴部を貫通した前記凸部の端部が、前記発光部により発光された光を遮光し、前記受光部により受光できなかったとき、前記操作部の操作を検出する
ことを特徴とする請求項13に記載の遊技機。
【請求項15】
前記検出部は、近接センサであり、前記穴部を貫通した金属製の前記凸部の端部との距離に応じて、前記操作部の操作を検出する
ことを特徴とする請求項13に記載の遊技機。
【請求項16】
前記摺動部の前記第2の径の部位は、前記摺動部の前記第1の径の部位に対して、同軸で、かつ、少なくともその一部が前記第1の径の部位の内周側に設けられる
ことを特徴とする請求項10に記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−296548(P2006−296548A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119504(P2005−119504)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)