説明

操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構

【課題】操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量の双方を検知可能でありながらコストを抑えた検知機構を提供する。
【解決手段】本発明は、ベース部32と第1及び第2可動接点45a,45bを有する揺動部40と揺動部40を揺動可能にベース部32に連結する連結部34とを一体に有する弾性シート30を備え、連結部34は、回転部16が第1(第2)の回転方向へ回転した状態で当接部18が揺動部40に当接することで揺動部40が第1(第2)の方向に傾き第1(第2)可動接点45a(45b)が第1(第2)接点22a(22b)に接触するのを弾性変形により許容すると共に、この当接部18が揺動部40から離間することで傾いた揺動部40を弾性復帰力で起立させて第1(第2)接点22a(22b)から第1(第2)可動接点45a(45b)を離間させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等の操作パネルの裏側に配置され、当該操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転操作部材が配設された操作パネルの裏側に配置され、前記回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構として、ロータリーエンコーダが知られている。このロータリーエンコーダは、軸等の回転方向や回転量を検知することはできるが高価である。
【0003】
そこで、コストを削減するために、回転操作部材の回転方向及び回転量の検知機構として、オン・オフの切り換えといった簡素な構成を組み合わせることで回転操作部材の回転方向及び回転量を検知可能とした二方向スイッチ素子が用いられた。
【0004】
この二方向スイッチ素子として、例えば、特許文献1に示されるものが知られている。具体的に、この二方向スイッチ素子は、図15及び図16に示されるように、ダイヤルスイッチ100のノブ(回転操作部材)100aの回転に基づいて回転軸121aを中心にして先端側が揺動する揺動片121と、2つの接点124a,124bを有し、これら2つの接点124a,124b間が導通可能に接続されるスイッチバネ124と、このスイッチバネ124に揺動片121の揺動を伝達する伝達部122と、揺動片121の先端側を突出させた状態で当該揺動片121、伝達部122及びスイッチバネ124を収容し、揺動片121の揺動がスイッチバネ124に伝達されることで当該スイッチバネ124の各接点124a,124bが摺接する摺接面123aを有する本体ケース123と、を備える。本体ケース123の摺接面123aには、スイッチバネ124の接点124a,124bの摺動方向に間隔をおいて3つの接点131,132,133が設けられ、各接点131,132,133には本体ケース123の外部に延びる端子131a,132a,133aがそれぞれ接続されている。
【0005】
この二方向スイッチ素子120は、揺動片121の先端側に対して、当該揺動片121の揺動方向の一方側から(図16において先端部が左から右に向って)力が加わると、当該揺動片121の先端側が同方向に倒れる。この揺動が伝達部122によりスイッチバネ124に伝達されると、スイッチバネ124が弾性変形しつつ本体ケース123内で移動(図16のA方向に移動)し、これに伴って接点124a及び接点124bが摺接面123a上を摺動して摺接面123aの接点131及び接点132にそれぞれ接触する。そうすると、スイッチバネ124を介して摺接面123aの接点131及び接点132に接続される端子131a,132a間が導通状態(オン)となる。そして、揺動片121の先端側に加わっていた力が無くなると、弾発力によってスイッチバネ124が弾性復帰して初期位置に戻り、摺接面123aの接点131及び接点132からスイッチバネの接点124a及び接点124bがそれぞれ離れ、端子131a,132a間が絶縁状態(オフ)に戻る。
【0006】
揺動片121が反対側に(図16において先端部が右から左に向かって)押し倒されると、スイッチバネ124が弾性変形しつつ本体ケース123内で移動(図16のB方向に移動)して接点124a及び接点124bが摺接面123aの接点132及び133にそれぞれ接触して端子132a,133a間が導通状態(オン)となる。そして、揺動片121に加わっていた力が無くなると、スイッチバネ124が弾性復帰して初期位置に戻り、端子132a,133a間が絶縁状態(オフ)に戻る。
【0007】
このように構成される二方向スイッチ素子120は、図15に示されるように、回転操作されるノブ100aの近傍に配置される。ノブ100aの外周面からは周方向に所定間隔をおいて複数の当接部101が突出している。このノブ100aが回転操作されると、各当接部101が次々に二方向スイッチ素子120の揺動片121の先端側に当接して揺動片121を押し倒す(揺動させる)。このときに各端子間の導通回数が検知され、これに基づき回転方向及び回転量が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4066037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、前記の二方向スイッチ素子120は、前記のロータリーエンコーダよりは安価であるが、構成が複雑であるためオン・オフを切り換えるだけの通常のスイッチ素子に比べて高価である。そのため、二方向スイッチ素子120を用いても操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構としてコストの削減を十分に図ることができなかった。
【0010】
そこで、上記問題点に鑑み、操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量の双方を検知可能でありながらコストを抑えた検知機構を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、上記課題を解消すべく、本発明者らは、回路基板上に配設される弾性シートに着目した。この弾性シートは、遮光、防水、あるいは押圧スイッチの構築といった目的で操作パネルと回路基板との間に介設されるものであり、この弾性シートを回転検知機構に利用することで、本発明の目的を達成することが可能となることを発見した。
【0012】
具体的に、本発明は、回転操作部材が配設された操作パネルの裏側に配置され、前記回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構であって、前記回転操作部材の回転と一体に回転し、その回転方向に沿って間隔をおいて並ぶ複数の当接部を有する回転部と、前記操作パネルの裏側に配置されて当該操作パネルと対向する表面に第1基板側接点及び第2基板側接点を有する回路基板と、前記回路基板の表面上に配設される弾性シートと、を備える。そして、前記弾性シートは、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点を含む領域を残してその外側の領域で前記回路基板の表面上に敷設されるベース部と、前記残された領域内から前記回路基板と反対の側に延び、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点と対応する位置に第1可動接点及び第2可動接点をそれぞれ有する揺動部と、前記揺動部を揺動可能に前記ベース部に連結する連結部と、を一体に有し、前記連結部は、前記回転部が第1の回転方向へ回転した状態で前記当接部が前記揺動部に当接することでこの揺動部がその先端を所定の第1の方向に向けて傾き前記第1可動接点が前記第1基板側接点に接触するのを弾性変形により許容すると共に、前記揺動部に当接した当接部が当該揺動部から離間することで前記第1の方向に傾いた揺動部を弾性復帰力により起立させて前記第1基板側接点から前記第1可動接点を離間させる一方、前記回転部が前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向へ回転した状態で前記当接部が前記揺動部に当接することでこの揺動部がその先端を前記所定の第1の方向と反対の側の第2の方向に向けて傾き前記第2可動接点が前記第2基板側接点に接触するのを弾性変形により許容すると共に、前記揺動部に当接した当接部が当該揺動部から離間することで前記第2の方向に傾いた揺動部を弾性復帰力により起立させて前記第2基板側接点から前記第2可動接点を離間させ、前記複数の当接部は、前記回転部が前記第1の回転方向に回転するのに伴い、一つの当接部が前記揺動部に当接することにより当該揺動部を前記第1の方向に傾けたあと次の当接部が当該揺動部に当接するまでの間に当該揺動部が起立して前記第1可動接点と前記第1基板側接点とが離間した状態となり、前記回転部が前記第2の回転方向に回転するのに伴い、一つの当接部が前記揺動部に当接することにより当該揺動部を前記第2の方向に傾けたあと次の当接部が当該揺動部に当接するまでの間に当該揺動部が起立して前記第2可動接点と前記第2基板側接点とが離間した状態となるような間隔で並んでいることを特徴とする。
【0013】
かかる構成によれば、回転操作部材の回転操作によって当接部が揺動部に次々に当接して揺動部が揺動することにより、回転操作部材の回転方向及び回転量の両方をそれぞれ検知できる。即ち、揺動部が各当接部の当接によって傾いたときに、いずれの接点同士が接触したかで回転操作部材の回転方向を検知し、その接触回数によって回転量を検知することができる。
【0014】
しかも、操作パネルの裏側に回路基板が配置されたときに、この回路基板の防水や遮光のために当該回路基板と操作パネルとの間に配設される弾性シートの一部を利用して前記回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する手段を構成させることでコストの削減を図ることができる。
【0015】
本発明に係る操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構においては、前記揺動部は、当該揺動部の先端側に設けられ、第1の回転方向へ前記回転部が回転したときに前記各当接部が当接可能な方向を向いた第1当接面と、当該揺動部の先端側に設けられ、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向へ前記回転部が回転したときに前記各当接部が当接可能な方向を向いた第2当接面とを有し、前記第1当接面は、前記回転部が第1の回転方向へ回転している状態で前記当接部が当該第1当接面に当接したあと当該第1当接面上を当該第1当接面に沿って通過することにより、前記揺動部がその先端を第1の方向に向けて傾き前記第1可動接点が前記第1基板側接点に接触する形状を有し、前記第2当接面は、前記回転部が第2の回転方向へ回転している状態で前記当接部が当該第2当接面に当接したあと当該第2当接面上を当該第2当接面に沿って通過することにより、前記揺動部がその先端を前記第1の方向と反対の側の第2の方向に向けて傾き前記第2可動接点が前記第2基板側接点に接触する形状を有すること、が好ましい。
【0016】
このように回転部が回転した状態でその当接部が揺動部に当接したときの当該揺動部の傾く方向や傾き度合い等を揺動部の先端側に設けられた二つの面(第1当接面及び第2当接面)によって調整する構成とすることで、当該検知機構の構成の簡素化を図ることができる。
【0017】
前記揺動部は、揺動部本体と、前記揺動部本体を揺動可能に前記回路基板に接続して前記揺動の支点となる接続部とを有すること、が好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、揺動部が傾いたときに第1可動接点又は第2可動接点が回路基板上の対応する接点とずれることなく確実に接触する。即ち、揺動部が当接部により押し倒されたときに接続部を支点に揺動部が傾くことで、揺動部と回路基板との回路基板に沿った方向の相対位置がずれるのを防止することができる。
【0019】
この場合、具体的には、例えば、前記回路基板は、前記揺動体の接続部と対応する位置に穴部を有し、前記接続部は、前記揺動部本体の回路基板側の端部から前記回路基板の穴部内に向って延びると共に当該回路基板の穴部の内径に対応する外径を有し、前記揺動方向に撓み変形可能であってもよい。
【0020】
前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点が前記揺動方向に沿って前記接続部を挟むように互いに間隔をおいて前記回路基板の表面に並び、これら前記第1基板側接点と前記第2基板側接点との中間には第3基板側接点が設けられ、前記揺動部は、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点に対応する位置で前記回路基板の表面側を向いて並ぶ第1接触面及び第2接触面を有し、前記第1接触面及び前記第2接触面は、前記第1可動接点及び前記第2可動接点を備え、前記揺動部が起立した状態では両接触面が前記回路基板の表面から離間し、前記揺動部が前記第1の方向に傾いて当該第1接触面が前記回路基板の表面と接触したときに当該第2接触面が前記回路基板の表面から離間し、前記揺動部が前記第2の方向に傾いて当該第2接触面が前記回路基板の表面と接触したときに当該第1接触面が前記回路基板の表面から離間する形状をそれぞれ有し、前記第1可動接点は、前記第1接触面が前記回路基板の表面に接触したときに前記第3基板側接点と前記第1基板側接点とに跨るように接触してこれら第3基板側接点と第1基板側接点との間を導通させる形状を有し、前記第2可動接点は、前記第2接触面が前記回路基板の表面に接触したときに前記第3基板側接点と前記第2基板側接点とに跨るように接触してこれら第3基板側接点と第2基板側接点との間を導通させる形状を有すること、が好ましい。
【0021】
このように一方の接触面が回路基板の表面に接触したときに他方の接触面が回路基板の表面から離間し、且つ他方の接触面が回路基板の表面に接触したときに一方の接触面が回路基板の表面から離間する第1接触面及び第2接触面が揺動部に設けられることで、回転操作部材の回転方向及び回転量の誤検知を好適に抑止することができる。即ち、揺動部が第1の方向に傾いて第1接触面が回路基板の表面に接触することで第1基板側接点と第3基板側接点との間が導通状態となったときに第2接触面が回路基板の表面から離間するため第2基板側接点と第3基板側接点との間が確実に非導通状態となる一方、揺動部が第2の方向に傾いて第2接触面が回路基板の表面に接触して第2基板側接点と第3基板側接点との間が導通状態のときに第1接触面が回路基板の表面から離間するため第1基板側接点と第3基板側接点との間が確実に非導通状態となる。
【0022】
このような第1接触面と第2接触面とが揺動部に設けられる場合、前記第1可動接点と第2可動接点とが一体に形成されても、揺動部の傾く方向に応じて第1基板側接点と第3基板側接点との間、又は第2基板側接点と第3基板側接点との間のいずれか一方の接点間しか導通状態とならない。これにより、二つの可動接点を一体に形成しても回転方向や回転量の誤検知を防止することができる。また、二つの可動接点を一体に形成することにより部品点数の削減や構成の簡素化を図ることも可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上より、本発明によれば、操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量の双方を検知可能でありながらコストを抑えた検知機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構の正面図であって、回転操作部材の周辺を示す。
【図2】操作パネルの裏側に配置された状態の前記検知機構の側面図である。
【図3】前記検知機構であって(A)は図1のIIIA−IIIA断面図であり、(B)は図3(A)の一部拡大図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】前記検知機構の回転部及び揺動部の動作を示すための概念図である。
【図6】前記検知機構の揺動部周辺の分解斜視図である。
【図7】前記検知機構のラバーシートにおける前記揺動部周辺の拡大斜視図である。
【図8】前記揺動部周辺の拡大斜視図であって、(A)は起立した状態の揺動部を示す図であり、(B)は前記回転部の当接部により押し倒された状態の揺動部を示す図である。
【図9】前記回転部が時計回りに回転したときの前記揺動部の動作を説明するための図である。
【図10】前記回転部が反時計回りに回転したときの前記揺動部の動作を説明するための図である。
【図11】他実施形態に係る検知機構における回転部及び揺動部の動作を示すための概念図である。
【図12】他実施形態に係る検知機構の回転部の一部拡大斜視図である。
【図13】他実施形態に係る検知機構の揺動部であって、(A)は当接面が膨出した形状の揺動部の一部拡大断面図であり、(B)は当接面が湾曲するように窪んだ形状の揺動部の一部拡大断面図であり、(C)は第1当接面と第2当接面とが水平方向に離間した形状の揺動部の一部拡大断面図である。
【図14】他実施形態に係る検知機構の揺動部周辺の拡大断面図である。
【図15】従来の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構、及び回転操作部材の斜視図である。
【図16】前記検知機構の中央縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図10を参照しつつ説明する。
【0026】
本実施形態に係る操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構(以下、単に「検知機構」とも称する。)10は、例えば、自動車の車室内に設けられるインストゥルメントパネル等の操作パネルの裏側に配置され、この操作パネルに設けられたダイヤルスイッチ等の回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する機構である。以下、具体的に説明する。
【0027】
本実施形態の検知機構10は、前記のようにインストゥルメントパネル(以下、「操作パネル」と称する。)Pの裏側に配置される。この操作パネルPには、図1〜図4に示されるダイヤルスイッチ12が配設される。このダイヤルスイッチ12は、例えば、エアコンのオン・オフや設定温度を変更するため等に用いられる。ダイヤルスイッチ12は、ダイヤルノブ(回転操作部材)14と回転部16とを備え、回路基板20に配設される。これらダイヤルノブ14及び回転部16は操作パネルPと略直交する軸(回転軸)Cを回転中心にして回動可能に配設される。
【0028】
ダイヤルノブ14は、ダイヤルスイッチ12において運転者等の操作者によって回転操作される略円柱状の部位である。このダイヤルノブ14は、ダイヤルスイッチ12が配設された回路基板20が操作パネルPの裏側に配置されたときに、先端側の部分が操作パネルPから車室内に向けて突出する(図2参照)。
【0029】
回転部16は、回路基板20が操作パネルPの裏側に配置されたときにこの操作パネルPと回路基板20との間に位置し、ダイヤルノブ14が回転操作されたときにこのダイヤルノブ14と一体に回転する部位である。この回転部16は、回路基板20と共に検知機構10の一部を構成し、複数の当接部18を有する。これら複数の当接部18は、回転部16の回転方向に沿って間隔をおいて並んでいる(図5参照)。
【0030】
具体的に、回転部16は、ダイヤルノブ14の回路基板20側に接続され、回路基板20から所定の間隔をおいた位置で回転軸Cを回転中心にして回転する。この回転部16の回路基板側の端部には、回転方向に沿って複数の当接部18が所定の間隔で並んでいる。複数の当接部18は、回転部16が回転したときに回転軸Cを中心とする単一の円形軌道αをそれぞれ通るように回転部16に配列されている。本実施形態の当接部18は、回転部16の回路基板側端部の周縁部から回路基板20に向けて突出する突出片により構成されている。回転部16と回路基板20との間隔は、検知機構10の揺動部40(図3(A)参照)における回転軸C方向の長さ寸法に基づいて設定される。本実施形態の回転部16と回路基板20との間隔は、回転部16が回転するのに伴って各当接部18が揺動部40の先端部(詳しくは第1当接面47a又は第2当接面47b)に当接するような間隔に設定されている。また、回転部16には、回転軸Cを中心にして当該回転部16を外側から囲む外筒部19が設けられている。
【0031】
尚、本実施形態の回転部16は、ダイヤルノブ14に接続されているが、ダイヤルノブ14と離れた位置に配設されてもよい。この場合、回転部16がダイヤルノブ14の回転と一体に回転できるようにダイヤルノブ14の回転を伝達する伝達機構等がダイヤルノブ14と回転部16との間に設けられる。
【0032】
検知機構10は、前記の回転部16及び回路基板20と、回路基板20の表面20a上に配設されるラバーシート(弾性シート)30とを備える。ここで、本実施形態の回路基板20の表面20aとは、当該回路基板20が操作パネルPの裏側に当該操作パネルPと略平行な姿勢で配置されたときにこの操作パネルPと対向する面のことをいう。
【0033】
回路基板20は、当該回路基板20の表面20aにおけるダイヤルスイッチ12と近接する位置に基板側接点22を有する。また、回路基板20には、揺動部40を回路基板20に接続する接続部46と対応する位置に当該接続部46が嵌入される接続用穴部23を有する。具体的に、これら基板側接点22及び接続用穴部23は、回路基板20の表面20aを当該表面20aと直交する方向から見たときに前記の各当接部18が通る円形軌道αと重なる特定の位置にそれぞれ設けられる。また、回路基板20の表面20a上には、種々の電子部品や光源等も実装される。
【0034】
基板側接点22は、図6にも示されるように、第1接点(第1基板側接点)22a、中央接点(第3基板側接点)22c、及び第2接点(第2基板側接点)22bを有する。各接点(第1接点22a、中央接点22c、及び第2接点22b)は、回路基板20の表面20aにおいて、揺動部40の揺動方向に沿って、第1接点22a、中央接点22c、第2接点22bの順に間隔をおいて並んでいる。尚、本実施形態において揺動部40の揺動方向とは、回路基板20の表面20aに対して直交する方向から当接部18の円形軌道αを見たときの前記特定の位置における円形軌道αの接線方向(図5の矢印参照)である。
【0035】
詳細には、回路基板20の表面20aにおいて、前記特定の位置に中央接点22cが配置される。そして、第1接点22a及び第2接点22bは、揺動方向に沿って中央接点22cを挟み且つ中央接点22cとそれぞれ間隔をおいて回路基板20に配置される。本実施形態の各接点22a,22b,22cは、回路基板20の表面20a上に印刷されたカーボンで構成されている。接続用穴部23は、回路基板20において中央接点22cの略中央位置に設けられ、回路基板20の表面20aから当該回路基板20の厚み方向に延びる穴部である。
【0036】
ラバーシート30は、ゴム等の弾性部材により全体が比較的薄肉の略シート状に形成されたもので、操作パネルPの裏側に回路基板20が略平行に配置されたときに操作パネルPと回路基板20との間に挟み込まれる。具体的に、ラバーシート30は、図7にも示されるように、ベース部32と、回路基板20の表面20aと直交する方向に延びて第1接点22a及び第2接点22bと対応する位置に第1可動接点45a及び第2可動接点45bをそれぞれ有する揺動部40と、揺動部40を揺動可能にベース部32に連結する連結部34とを一体に有する。
【0037】
尚、図1においては、ダイヤルスイッチ12の周辺のみを示しているが、ラバーシート30及びその裏側に配置されている回路基板20は、その外側にも拡がっている。
【0038】
ベース部32は、第1接点22a、中央接点22c、及び第2接点22bを含む領域を残してその外側の領域で回路基板20の表面20a上に敷設される部位である。即ち、ベース部32には、当該ベース部32を回路基板20の表面20a上に敷設したときに第1接点22a、中央接点22c、及び第2接点22bが露出するよう、前記の各接点を含む領域と対応する部位に空間が設けられたシート状の部位である(図3(B)参照)。この空間の周縁部(空間縁部)33は、他の部位に比べて厚み寸法が小さく、即ち、薄肉になっている。このベース部32は、操作パネルPと回路基板20との間に挟み込まれることにより、回路基板20の表面20aに実装された光源についての遮光(当該光源から発せられる光の外部への漏れの阻止)や回路基板20の表面20aに実装された電子部品の防水、押圧スイッチの構築等に用いられる。具体的に、ベース部32(ラバーシート30)は、例えば、図1に示される範囲の外側において、回路基板20の表面20aに実装された電子部品等を覆ってこの電子部品等が水と接することを防いだり、回路基板20の表面20aに実装された光源の周囲を囲うことで当該光源が発した光のうち操作パネルPに向う光以外を遮光して、回路基板20と操作パネルPとの間に前記光源からの光が漏れ拡がらないようにしている。また、ベース部32は、回路基板20の表面20aに設けられた接点等と協働して押圧スイッチ等を構築する場合もある。
【0039】
連結部34は、ベース部32よりもさらに薄肉のシート状の部位であり、弾性変形可能に揺動部40の周面41とベース部32の空間縁部33とを連結する。具体的に、連結部34は、回路基板20に対して起立した揺動部40の周面41とベース部32の空間縁部33とを揺動部40の周方向の全域に亘って連結している。
【0040】
このように弾性変形可能な薄肉のシート状の連結部34が揺動部40をベース部32に連結することにより、揺動部40が揺動可能となる。具体的に、連結部34は、回転部16が図5において時計回り(第1の回転方向)に回転した状態で当接部18が揺動部40に当接することでこの揺動部40がその先端を揺動方向に沿って一方(第1の方向:図5において下側)に向けて傾き第1可動接点45aが第1接点22a及び中央接点22cに接触する(図8(A)及び図8(B)参照)のを弾性変形により許容すると共に、揺動部40に当接した当接部18が当該揺動部40から離間することで第1の方向に傾いた揺動部40を弾性復帰力により起立させて第1接点22a及び中央接点22cから第1可動接点45aを離間させる(図9(A)〜図9(D)参照)。また、連結部34は、回転部16が図5において反時計回り(第2の回転方向)に回転した状態で当接部18が揺動部40に当接することでこの揺動部40がその先端を揺動方向に沿って他方(第2の方向:図5において上側)に向けて傾き第2可動接点45bが第2接点22b及び中央接点22cに接触するのを弾性変形により許容すると共に、揺動部40に当接した当接部18が当該揺動部40から離間することで第2の方向に傾いた揺動部40を弾性復帰力により起立させて第2接点22b及び中央接点22cから第2可動接点45bを離間させる(図10(A)〜図10(B)参照)。
【0041】
尚、本実施形態では、回転部16に並んでいる複数の当接部18の各間隔を調節することにより、回転部16が第1の回転方向に回転したときに、一つの当接部18が揺動部40に当接することにより当該揺動部40を第1の方向に傾けたあと次の当接部18が当該揺動部40に当接するまでの間に当該揺動部40が起立して第1可動接点45aと第1接点22a及び中央接点22cとが離間した状態となり、回転部16が第2の回転方向に回転したときに、一つの当接部18が揺動部40に当接することにより当該揺動部40を第2の方向に傾けたあと次の当接部18が当該揺動部40に当接するまでの間に当該揺動部40が起立して第2可動接点45bと第2接点22b及び中央接点22cとが離間した状態となるようにしている。
【0042】
揺動部40は、先端部が円形軌道αを通る当接部18と当接するように回路基板20の表面と直交する方向に沿って表面20aの近傍から円形軌道αまで延びる部位である。即ち、揺動部40は、その回路基板側の端部がベース部32の空間縁部33に囲まれた領域内に位置し且つ先端が当接部18の通る円形軌道α内に位置するような長さ寸法を有する。また、揺動部40は、回路基板側の端部における第1接点22a及び第2接点22bと対応する位置に第1可動接点45a及び第2可動接点45bをそれぞれ有する。この揺動部40は、回転部16の回転に伴って各当接部18が揺動部40の先端部に次々に当接することにより揺動方向に沿って揺動する。
【0043】
具体的に、揺動部40は、ベース部32及び連結部34と一体に形成されるラバー部42と、導体によって形成され、ラバー部42の回路基板側に接続される導体部43とを有する。本実施形態のラバー部42と導体部43とは、接着により互いに接続されている。
【0044】
導体部43は、第1可動接点45a及び第2可動接点45bを含む導体部本体44と、この導体部本体44から回路基板20に向って延びる接続部46とを有する。本実施形態の導体部本体44と接続部46とは、カーボンによって一体成形されている。導体部本体44は、円盤状の部位44aと、この円盤状の部位44aの中央部から揺動部40の先端側に向って延びる接続部位44bとを有する。この接続部位44bは、導体部43をラバー部42に接続するときにラバー部42に対する導体部43の位置決めを容易にするための部位であり、ラバー部42の対応する位置に設けられた穴42aに嵌入される。
【0045】
また、導体部本体44は、基板側接点22と対向するように回路基板20の表面20a側を向いた基板側端面45を有する。この基板側端面45は、揺動方向の中央部に設けられた底面45cと、この底面45cを揺動方向に沿って挟む第1接触面145a及び第2接触面145bとを有する。本実施形態では、導体部43の全体が導体(カーボン)で形成されているため、第1接触面145a及び第2接触面145bがそれぞれ接点の役割を果たすことができる。そこで、本実施形態では、第1接触面145aが第1可動接点45aと用いられ、第2接触面145bが第2可動接点45bとして用いられる。
【0046】
底面45cは、回路基板20の表面20aと平行な部位であり、接続部46が設けられている。この接続部46は、揺動部40を回路基板20に接続する部位であり、揺動部40が揺動するときの支点となる。接続部46は、底面45cから回路基板20の接続用穴部23内に延び、当該接続部46が接続用穴部23に嵌入した状態で底面45cが回路基板20の表面20aと僅に離間した状態(図8(A)参照)となるような長さ寸法を有する。また、接続部46は、接続用穴部23の内径に対応する外径を有し、揺動方向に撓み変形可能に構成される。
【0047】
第1可動接点45a(第1接触面145a)及び第2可動接点45b(第2接触面145b)は、第1接点22a及び第2接点22bと対応するように回路基板20の表面20a側を向き、底面45cから揺動方向に沿って離れるに従って回路基板20の表面20aからの距離が大きくなる傾斜面である。このように第1可動接点45a及び第2可動接点45bが表面20aに対して傾斜することにより、揺動部40が回路基板20に対して起立した姿勢では第1可動接点45a及び第2可動接点45bのいずれの面も回路基板20の表面20aから離間し(図9(A)参照)、揺動部40が第1の方向(図9(C)では左側)に傾いて第1可動接点45aが回路基板20の表面20aと接触したときに第2可動接点45bが回路基板20の表面20aから離間し(図9(C)参照)、揺動部40が第2の方向(図10(C)では右側)に傾いて第2可動接点45bが回路基板20の表面20aと接触したときに第1可動接点45aが回路基板20の表面20aから離間する。
【0048】
また、第1可動接点45aは、当該第1可動接点45aが回路基板20の表面20aに接触したときに中央接点22cと第1接点22aとに跨るように接触する形状を有する。そのため、揺動部40が第1の方向に傾いて第1可動接点45aが回路基板20の表面20aと接触すると、第1可動接点45aを介して中央接点22cと第1接点22aとの間が導通状態となる。一方、第2可動接点45bは、当該第2可動接点45bが回路基板20の表面20aに接触したときに中央接点22cと第2接点22bとに跨るように接触する形状を有する。そのため、揺動部40が第2の方向に傾いて第2可動接点45bが回路基板20の表面20aと接触すると、第2可動接点45bを介して中央接点と第2接点との間が導通状態となる。
【0049】
ラバー部42は、先端部に円形軌道αを移動する当接部18と当接可能な第1当接面47a及び第2当接面47bを有する。これら第1当接面47a及び第2当接面47bは、回転部16の回転に伴って当接部18が当接したときに、揺動部40の傾く方向及び傾き度合いを規定するための面である。即ち、これら第1当接面47a及び第2当接面47bの形状(即ち、回路基板20の表面20aに対する傾斜角や傾斜方向における長さ、当接面の向いている方向等)により、回転部の回転に基づく揺動部の揺動方向及び傾斜角が規定される。本実施形態の第1当接面47a及び第2当接面47bは、回路基板20の表面20aに対して傾斜した平らな傾斜面である。
【0050】
具体的に、第1当接面47aは、回転部16が第1の回転方向に回転したときに各当接部18が当接可能な方向を向き、第2当接面47bは、回転部16が第2の回転方向に回転したときに各当接部18が当接可能な方向を向いている。詳しくは、第1当接面47aは、揺動部40の先端側且つ第2の方向を向いた傾斜面であり、第2当接面47bは、揺動部40の先端側且つ第1の方向を向いた傾斜面である。これら第1当接面47a及び第2当接面47bは、回路基板20と直交する方向から揺動部40を見たときに、先端側の端部同士を当接させて互いに背中合わせとなるように揺動部40の先端部に設けられる。
【0051】
このような形状の第1当接面47aによれば、回転部16が第1の回転方向へ回転することで当接部18が第1当接面47aに当接し、この当接部18が第1当接面47a上を当該第1当接面47aに沿って通過することにより、揺動部40がその先端を第1の方向に向けて傾き第1可動接点45aが回路基板20の表面20a(詳細には、第1接点22a及び中央接点22c)に接触する(図9(A)〜図9(D)参照)。また前記の第2当接面47bによれば、回転部16が第2の回転方向へ回転することで当接部18が第2当接面47bに当接し、この当接部18が第2当接面47b上を当該第2当接面47bに沿って通過することにより、揺動部40がその先端を第2の方向に向けて傾き第2可動接点45bが回路基板20の表面20a(詳細には、第2接点22b及び中央接点22c)に接触する(図10(A)〜図10(D)参照)。
【0052】
このように、当接部18が揺動部40に当接したときの当該揺動部40の傾く方向や傾き度合い等を揺動部40の先端側に設けられた二つの面(第1当接面47a及び第2当接面47b)によって調整可能にすることで、当該検知機構10の構成の簡素化を図ることができる。
【0053】
以上のようなラバーシート30は、揺動部40の導体部43を除いた部位(即ち、ベース部32、連結部34、及び揺動部40のラバー部42)がプレスや射出成形等によって一体成形され、この成形体に別途に成形された導体部43が取り付けられることにより製造される。
【0054】
次に、当該検知機構10によるダイヤルノブ14の回転方向及び回転量の検知方法について説明する。
【0055】
ダイヤルノブ14が回転操作される前の初期状態では、揺動部40は、回路基板20に対して起立した状態(起立状態)である(図9(A)及び図10(A)参照)。この起立状態では、第1可動接点45a及び第2可動接点45bがいずれも回路基板20の表面20aと離間している。
【0056】
操作者がダイヤルノブ14を時計回り(第1の回転方向)に回転操作すると、ダイヤルノブ14の回転と一体に回転部16が回転する。この回転部16の回転に伴って一つの当接部18が第1当接面47aに当接する(図9(B)参照)。この状態から更に回転部16が回転して当接している当接部18が移動すると、この当接部18によって揺動部40が先端部(第1当接面47a)を第1の方向に押される。このとき、第1当接面47aの形状等によって揺動部40の傾く方向や傾き度合いが規定されるが、本実施形態の第1当接面47aによれば、揺動部40が先端部を第1の方向へ向けて傾く共に第1可動接点45aが回路基板20の表面20aに接触するまで傾く(図9(C)参照)。このとき、揺動部40が傾くのに伴って連結部34が弾性変形すると共に接続部46が撓み変形する。第1可動接点45aが回路基板20の表面20aに接触すると、第1可動接点45aが第1接点22aと中央接点22cとに跨るように接触する。これにより、第1可動接点45aを介して第1接点22aと中央接点22cとの間が導通状態となる。
【0057】
更に回転部16が回転すると、第1当接面47aが当接部18によって更に回路基板側に押されて揺動部40(ラバー部42)が弾性変形し、これにより当接部18の第1当接面47a上の通過が許容される。このとき、前記の弾性変形に基づく揺動部40(ラバー部42)の弾発力により第1可動接点45a(第1接触面145a)が回路基板20の表面20aに対して十分な力で押し付けられ、その結果、第1可動接点45aと第1接点22a及び中央接点22cとが確実に接触する。
【0058】
更に回転部16が回転して当接部18が第1当接面47a上を通過したあと、弾性変形した連結部34の弾性復帰力(弾発力)及び撓み変形した接続部46の弾性復帰力(弾発力)によって揺動部40が起こされる。ここで、本実施形態では、回転部16が回転し続けたときに、一つの当接部18が第1当接面47aに当接したあと次の当接部18が第1当接面47aに当接するまでの間に揺動部40が起立して第1可動接点45aと第1接点22a及び中央接点22cとが離間した状態となるような間隔で複数の当接部18が回転部16に並んでいる。そのため、前記の連結部34及び接続部46の弾性復帰力により起こされた揺動部40は、次の当接部18が当接する前に第1可動接点45aが第1接点22a及び中央接点22cと離間する角度まで起き上がる。
【0059】
ダイヤルノブ14の回転操作により回転部16が第1の回転方向に回転し続けている間、上記のような、1)第1当接面47aへ当接部18が当接し(図9(B)参照)、2)この当接部18に押されて揺動部40が第1の方向へ傾くことにより第1可動接点45aが第1接点22aと中央接点22cとの間を導通させ(図9(C)参照)、3)第1当接面47a上を当接部18が通過したあと、次の当接部18が当該第1当接面47aに当接するまでの間に揺動部40が起立して第1可動接点45aが回路基板20から離間し、第1接点22aと中央接点22cとの間が非導通状態に戻る(図9(D)参照)、といった一連の動作が繰り返される。
【0060】
一方、ダイヤルノブ14が反時計回り(第2の回転方向)に回転操作されると、時計回りに回転操作されたときと同様に、1)第2当接面47bへ当接部18が当接し(図10(B)参照)、2)この当接部18に押されて揺動部40が第2の方向へ傾くことにより第2可動接点45bが第2接点22bと中央接点22cとの間を導通させ(図10(C)参照)、3)第2当接面47b上を当接部18が通過したあと、次の当接部18が当該第2当接面47bに当接するまでの間に揺動部40が起立して第2可動接点45bが回路基板20の表面20aから離間し、第2接点22bと中央接点22cとの間が非導通状態に戻る(図10(D)参照)、といった一連の動作が繰り返される。
【0061】
このとき、いずれの接点同士が接触したか、即ち、回路基板20に設けられた各接点22a,22b,22c間の導通状態が検出されることで、ダイヤルノブ14の回転方向が検知され、その接触回数(導通回数)によってダイヤルノブ14の回転量が検知される。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る検知機構10によれば、ダイヤルノブ14の回転操作によって当接部18が揺動部40に次々に当接して揺動部40が揺動することで、ダイヤルノブ14の回転方向及び回転量の両方をそれぞれ検知することができる。しかも、操作パネルPの裏側に回路基板20が配置されたときにこの回路基板20の防水や遮光のために当該回路基板20と操作パネルPとの間に配設される弾性シート30の一部を利用して検知機構10を構成させることで、コストの削減を図ることができる。
【0063】
また、前記の検知機構10によれば、揺動部40が接続部46により回路基板20に接続されることによって、揺動部40が傾いたときに第1可動接点又は第2可動接点が回路基板20上の対応する接点と確実に接触する。即ち、揺動部40が当接部18により押し倒されたときにこの接続部46を支点に揺動部40が倒れることで、揺動部40と回路基板20との回路基板20の表面20aに沿った方向の相対位置がずれるのを防止することができる。これにより、揺動部40が傾いたときに、第1可動接点45aと第1接点22a及び中央接点22cとが確実に接触し、又は、第2可動接点45bと第2接点22b及び中央接点22cとが確実に接触する。
【0064】
また、前記の検知機構10によれば、第1可動接点45a(第1接触面145a)及び第2可動接点45b(第2接触面145b)が傾斜方向が反対の傾斜面によりそれぞれ構成されることによって、揺動部40が傾いて第1可動接点45aが回路基板20の表面20aに接触したときに第2可動接点45bが回路基板20の表面20aから離間し、又は第2可動接点45bが回路基板20の表面20aに接触したときに第1可動接点45aが回路基板20の表面20aから離間する。そのため、ダイヤルノブ14の回転方向及び回転量の誤検知を好適に抑止することができる。即ち、揺動部40が第1の方向に傾いて第1可動接点45aが回路基板20の表面20aに接触することで第1接点22aと中央接点22cとの間が導通状態となったときに第2可動接点45bが回路基板20の表面20aから離間して第2接点22bと中央接点22cとの間が確実に非導通状態となる。一方、揺動部40が第2の方向に傾いて第2可動接点45bが回路基板20の表面20aに接触して第2接点22bと中央接点22cとの間が導通状態のときに第1可動接点45aが回路基板20の表面20aから離間して第1接点22aと中央接点22cとの間が確実に非導通状態となる。
【0065】
このように第1可動接点45aと第2可動接点45bとがそれぞれ傾斜面で構成される場合、第1可動接点45aと第2可動接点45bとが一体に形成されても、揺動部40の傾く方向に応じて第1接点22aと中央接点22cとの間、又は第2接点22bと中央接点22cとの間のいずれか一方の接点間しか導通状態とならない。これにより、二つの可動接点45a,45bを一体に形成、即ち、第1可動接点45aと第2可動接点45bとの間が導通していても、ダイヤルノブ14の回転方向や回転量の誤検知が防止できる。また、二つの可動接点45a,45bを一体に形成することにより部品点数の削減や構成の簡素化を図ることも可能となる。
【0066】
尚、本発明の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0067】
上記の実施形態の操作パネルPには、1つの回転操作部材(ダイヤルノブ)14が配設されているが、これに限定されず、複数の回転操作部材14が配設されてもよい。この場合、各回転操作部材14に対応するように検知機構10を操作パネルPの裏側にそれぞれ配置することにより、各回転操作部材14の回転方向及び回転量をそれぞれ検知することができる。
【0068】
上記の実施形態における第1当接面及び第2当接面の形状は、揺動部40の揺動方向が回路基板20と直交する方向から見たときに当接部18の円形軌道αの接線方向となるようにそれぞれ構成されているが、これに限定されず、揺動部40の揺動方向が円形軌道αの直径方向となるように構成されてもよい。具体的に、例えば、図11に示されるように、揺動部40を上記の実施形態での姿勢から当該揺動部40をその中心軸を回転中心にして45°回転させた姿勢で配置する。即ち、揺動部40の先端において第1当接面47aの先端と第2当接面47bの先端との境界に形成される峰部50が円形軌道αの接線方向に対して45°となるような姿勢で揺動部40が配置される。これにより、回転部16が時計回りに回転して当接部18が第1当接面47aに当接すると、揺動部40は、その先端を円形軌道αの中心側(図11の矢印β側)に向けて傾く。一方、回転部16が反時計回りに回転して当接部18が第2当接面47bに当接すると、揺動部40は、その先端を円形軌道αの径方向外側(図11の矢印γ側)に向けて傾く。
【0069】
回転部に設けられる当接部の具体的な形状は限定されない。例えば、上記の実施形態の回転部16では、各当接部18が回転部16から回路基板20に向けて突出する突出片により構成されているが、図12に示すように、回転部16の径方向に突出する突出片18aにより構成されてもよい。また、当接部18は、突出片で構成される必要もない。即ち、当接部は、回転部16が回転したときに円形軌道αを通り、揺動部の先端部に間欠的に当接するように構成されていればよい。
【0070】
揺動部40の先端部に設けられる第1当接面及び第2当接面の具体的形状は、限定されない。例えば、上記の実施形態では、第1当接面47a及び第2当接面47bは、断面形状が真っ直ぐな傾斜面であるが、断面形状が外側に膨出するような曲面147a,147b(図13(A)参照)であってもよく、内側に窪んだ曲面247a,247b(図13(B)参照)であってもよい。また、上記の実施形態では、揺動部40の先端は、第1当接面47aの先端と第2当接面47bの先端とが当接して断面が尖った形状となっているが、図13(C)に示されるように、第1当接面347aの先端と第2当接面347bの先端とが回路基板20の表面20aに沿った方向に離れていてもよい。即ち、第1当接面と第2当接面とは、当接部が当接したときに、回転部の回転方向によって揺動部の傾く方向が反対となり、且つ、揺動部が傾いたときに揺動部の可動接点と回路基板の基板側接点とが互いに接触するような形状であればよい。
【0071】
揺動部40の回路基板側の端部に設けられる第1可動接点及び第2可動接点の具体的構成は限定されない。例えば、上記の実施形態では、導体部43の回路基板側の面145a、145bにより第1可動接点45a及び第2可動接点45bが構成されているが、図14に示されるように、揺動部40dの略全体を弾性体で形成し、この揺動部40dの回路基板側の端部において第1接点22a及び第2接点22bを望む第1接触面145a及び第2接触面145b上に導体で形成された層51a,51bをそれぞれ形成し、これを第1可動接点及び第2可動接点としてもよい。この場合、第1接触面145a及び第2接触面145bの略全体に導体で形成された層51a,51bが形成されてもよく、また、回路基板20の表面20aに第1接触面145a(又は第2接触面145b)が接触したときに中央接点22cと第1接点22a(又は第2接点22b)とを跨ぐように接触できる範囲で第1接触面145a(又は第2接触面145b)の一部に導体による層が形成されてもよい。また、第1可動端子51aと第2可動端子51bとの間は、導通されてなくてもよい。即ち、第1可動端子51aと第2可動端子51bは、互いに導通可能に(一体に)形成されてもよく、別々に形成されてもよい。
【符号の説明】
【0072】
10 検知機構
14 ダイヤルノブ(回転操作部材)
16 回転部
18 当接部
20 回路基板
20a 表面
22a 第1接点(第1基板側接点)
22b 第2接点(第2基板側接点)
30 ラバーシート(弾性シート)
32 ベース部
34 連結部
40 揺動部
45a 第1可動接点
45b 第2可動接点
47a 第1当接面
47b 第2当接面
145a 第1接触面
145b 第2接触面
P パネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転操作部材が配設された操作パネルの裏側に配置され、前記回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構であって、
前記回転操作部材の回転と一体に回転し、その回転方向に沿って間隔をおいて並ぶ複数の当接部を有する回転部と、
前記操作パネルの裏側に配置されて当該操作パネルと対向する表面に第1基板側接点及び第2基板側接点を有する回路基板と、
前記回路基板の表面上に配設される弾性シートと、を備え、
前記弾性シートは、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点を含む領域を残してその外側の領域で前記回路基板の表面上に敷設されるベース部と、前記残された領域内から前記回路基板と反対の側に延び、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点と対応する位置に第1可動接点及び第2可動接点をそれぞれ有する揺動部と、前記揺動部を揺動可能に前記ベース部に連結する連結部と、を一体に有し、
前記連結部は、前記回転部が第1の回転方向へ回転した状態で前記当接部が前記揺動部に当接することでこの揺動部がその先端を所定の第1の方向に向けて傾き前記第1可動接点が前記第1基板側接点に接触するのを弾性変形により許容すると共に、前記揺動部に当接した当接部が当該揺動部から離間することで前記第1の方向に傾いた揺動部を弾性復帰力により起立させて前記第1基板側接点から前記第1可動接点を離間させる一方、前記回転部が前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向へ回転した状態で前記当接部が前記揺動部に当接することでこの揺動部がその先端を前記所定の第1の方向と反対の側の第2の方向に向けて傾き前記第2可動接点が前記第2基板側接点に接触するのを弾性変形により許容すると共に、前記揺動部に当接した当接部が当該揺動部から離間することで前記第2の方向に傾いた揺動部を弾性復帰力により起立させて前記第2基板側接点から前記第2可動接点を離間させ、
前記複数の当接部は、前記回転部が前記第1の回転方向に回転するのに伴い、一つの当接部が前記揺動部に当接することにより当該揺動部を前記第1の方向に傾けたあと次の当接部が当該揺動部に当接するまでの間に当該揺動部が起立して前記第1可動接点と前記第1基板側接点とが離間した状態となり、前記回転部が前記第2の回転方向に回転するのに伴い、一つの当接部が前記揺動部に当接することにより当該揺動部を前記第2の方向に傾けたあと次の当接部が当該揺動部に当接するまでの間に当該揺動部が起立して前記第2可動接点と前記第2基板側接点とが離間した状態となるような間隔で並んでいることを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。
【請求項2】
請求項1に記載の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構において、
前記揺動部は、当該揺動部の先端側に設けられ、第1の回転方向へ前記回転部が回転したときに前記各当接部が当接可能な方向を向いた第1当接面と、当該揺動部の先端側に設けられ、前記第1の回転方向と反対の第2の回転方向へ前記回転部が回転したときに前記各当接部が当接可能な方向を向いた第2当接面とを有し、
前記第1当接面は、前記回転部が第1の回転方向へ回転している状態で前記当接部が当該第1当接面に当接したあと当該第1当接面上を当該第1当接面に沿って通過することにより、前記揺動部がその先端を第1の方向に向けて傾き前記第1可動接点が前記第1基板側接点に接触する形状を有し、
前記第2当接面は、前記回転部が第2の回転方向へ回転している状態で前記当接部が当該第2当接面に当接したあと当該第2当接面上を当該第2当接面に沿って通過することにより、前記揺動部がその先端を前記第1の方向と反対の側の第2の方向に向けて傾き前記第2可動接点が前記第2基板側接点に接触する形状を有することを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構において、
前記揺動部は、揺動部本体と、前記揺動部本体を揺動可能に前記回路基板に接続して前記揺動の支点となる接続部とを有することを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。
【請求項4】
請求項3に記載の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構において、
前記回路基板は、前記揺動体の接続部と対応する位置に穴部を有し、
前記接続部は、前記揺動部本体の回路基板側の端部から前記回路基板の穴部内に向って延びると共に当該回路基板の穴部の内径に対応する外径を有し、前記揺動方向に撓み変形可能であることを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構において、
前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点が前記揺動方向に沿って前記接続部を挟むように互いに間隔をおいて前記回路基板の表面に並び、これら前記第1基板側接点と前記第2基板側接点との中間には第3基板側接点が設けられ、
前記揺動部は、前記第1基板側接点及び前記第2基板側接点に対応する位置で前記回路基板の表面側を向いて並ぶ第1接触面及び第2接触面を有し、
前記第1接触面及び前記第2接触面は、前記第1可動接点及び前記第2可動接点を備え、前記揺動部が起立した状態では両接触面が前記回路基板の表面から離間し、前記揺動部が前記第1の方向に傾いて当該第1接触面が前記回路基板の表面と接触したときに当該第2接触面が前記回路基板の表面から離間し、前記揺動部が前記第2の方向に傾いて当該第2接触面が前記回路基板の表面と接触したときに当該第1接触面が前記回路基板の表面から離間する形状をそれぞれ有し、
前記第1可動接点は、前記第1接触面が前記回路基板の表面に接触したときに前記第3基板側接点と前記第1基板側接点とに跨るように接触してこれら第3基板側接点と第1基板側接点との間を導通させる形状を有し、前記第2可動接点は、前記第2接触面が前記回路基板の表面に接触したときに前記第3基板側接点と前記第2基板側接点とに跨るように接触してこれら第3基板側接点と第2基板側接点との間を導通させる形状を有することを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。
【請求項6】
請求項5に記載の操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構において、
前記第1可動接点と第2可動接点とが一体に形成されることを特徴とする操作パネルに配設された回転操作部材の回転方向及び回転量を検知する検知機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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