説明

操作入力装置および操作入力装置の初期化方法

【課題】操作入力装置において、操作入力装置の動作範囲に初期化に用いる位置決め部材を設置することなく初期化を行うことができるようにする。
【解決手段】複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた多関節アーム3R、3Lを有する操作入力装置であって、回動関節5aを互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持部と、関節の動作を未知の初期値からの回転角度または変位で表した関節動作量を検出する検出部と、先端部である右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lにそれぞれ設けられた係合部19R、19Lと、先端部同士を互いに係合して移動させた際に、検出部が検出した関節動作量を時系列に複数組取得するデータ取得部と、相対位置関係が係合部19R、19Lを介して固定された条件の下に未知の初期値を算出する初期値算出部と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力装置およびその初期化方法に関する。例えば、複数の多関節アームを有し、これら複数の多関節アームを動かすことにより操作入力を行う操作入力装置およびその初期化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、遠隔操作ロボットや外科手術の手術支援を行うための操作入力装置など、作動部が複数の多関節ロボットに保持された機器では、作動部の移動操作を行う場合に、作動部と同様な自由度を有する多関節アームを備える操作入力装置を用いることが知られている。例えば、マスタースレーブ方式の医療用マニピュレータシステムでは、スレーブマニピュレータの動きを入力するマスターマニピュレータがこのような操作入力装置を構成している。
このような操作入力装置は、多関節アームの各関節で検出される関節の回転角度や関節間のアームの長さ等を検出して作動部に対応して多関節アーム上に設けられた操作部の位置、姿勢を検出し、多関節ロボットの制御装置に送出する。多関節ロボットの制御装置では、操作入力装置から送出された位置、姿勢に合わせて作動部を駆動する制御を行う。
操作入力装置の多関節アームの関節には、関節の回転角度や隣接する関節間のアームの直動量を検知するセンサが内蔵されているが、低コスト化を図るため、絶対値が検出できないエンコーダを用いることが多い。
このような操作入力装置では、初期状態においてエンコーダの出力値と関節の角度や長さとの関係が不定であるため、正確な操作入力を行うには、エンコーダの出力値と、物理的な関節角度や関節長の値との同定作業を行う初期化が必要である。
例えば、特許文献1には、基部に固定されたドッキングステーションと、ドッキングステーションに設けられた筒部内保持可能な先端部を有する棒状のユーザインタフェースと、を備える反力提示型力覚インタフェースが記載されている。
この反力提示型力覚インタフェースでは、位置が固定されたドッキングステーションの筒部にユーザインタフェースの先端部を保持させることで、先端部の静止点およびホームポジションをゼロ位置またはユーザ指定のホームポジションにリセット(初期化)することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−510232号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の操作入力装置および操作入力装置の初期化方法には以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術では、操作入力を行うユーザインタフェースの動作範囲内に、位置が固定されたドッキングステーションの筒部を用意しなければならないため,ユーザインタフェースの動作範囲が制限されるという問題がある。すなわち、ドッキングステーションは初期化動作を行うときに使用するのみであるのに、ユーザインタフェースの動作範囲に入り込んでいるため、操作入力を行う際に入力インタフェースの動作の妨げとなってしまう。
【0005】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、操作入力装置の動作範囲に初期化に用いる位置決め部材を設置することなく初期化を行うことができる操作入力装置および操作入力装置の初期化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の操作入力装置は、回動または直動の自由度を有する複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた多関節アームを2組以上有する操作入力装置であって、前記多関節アームの基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持部と、前記関節に設けられ、該関節の動作を未知の初期値からの回転角度または変位で表した関節動作量を検出する検出部と、前記多関節アームの前記先端部にそれぞれ設けられ、該先端部同士の相対位置が固定されるように係合する係合部と、前記係合部を介して前記多関節アームの前記先端部同士を係合し互いに係合された前記先端部同士を移動させた際に、前記検出部が検出した前記関節動作量を時系列に複数組取得するデータ取得部と、該データ取得部によって時系列に取得された前記関節動作量に基づいて、前記先端部同士の相対位置関係が前記係合部を介して固定された条件の下に前記未知の初期値を算出する初期値算出部と、を備える構成とする。
【0007】
また、本発明の操作入力装置では、前記初期値算出部は、前記多関節ロボットの前記先端部の位置および姿勢を記述する運動学の関係式と、前記データ取得部によって時系列に取得された前記関節動作量とに基づいて、前記関節動作量の初期値を未知数とする連立方程式を生成し、該連立方程式を解いて前記関節動作量の初期値を算出することが好ましい。
【0008】
また、本発明の操作入力装置では、前記初期値算出部は、前記連立方程式において0にすべき残差式が収束判定値以下になるまで収束計算を行うことにより前記連立方程式を解くことが好ましい。
【0009】
また、本発明の操作入力装置では、前記初期値算出部は、予め決めた時間内に収束計算が終わらない場合に警告を行うことが好ましい。
【0010】
また、本発明の操作入力装置では、前記警告の一つが前記検出部の故障を警告することが好ましい。
【0011】
また、本発明の操作入力装置では、前記係合部は、前記多関節アームの前記先端部同士を直接係合して、互いの相対位置を固定することが好ましい。
【0012】
また、本発明の操作入力装置では、前記係合部は、前記多関節アームの先端部同士を、一点を中心として回動可能に係合することが好ましい。
【0013】
また、本発明の操作入力装置では、前記係合部は、係合相手の多関節アームの係合部との間の距離を一定に保つ中間部材を介して前記係合相手の多関節アームの係合部と係合されることが好ましい。
【0014】
また、本発明の操作入力装置では、前記係合部は、前記多関節アームの先端部同士の間の相対位置および相対姿勢を固定して係合することが好ましい。
【0015】
本発明の操作入力方法は、回動または直動の自由度を有する複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた2組以上の多関節アームと、前記関節に設けられ、該関節の動作を未知の初期値からの回転角度または変位で表した関節動作量を検出する検出部とを有する操作入力装置の初期化方法であって、前記多関節アームの基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持工程と、前記多関節アームの前記先端部同士を、該先端部同士の相対位置が固定されるように係合する係合工程と、互いに係合された多関節アームの前記先端部同士を移動させつつ、前記互いに係合された多関節アームの各関節に設けられた前記検出部から、前記関節動作量を時系列に複数組取得するデータ取得工程と、該データ取得工程において時系列に取得された前記関節動作量に基づいて、前記先端部同士の相対位置関係が係合によって固定された条件の下に前記未知の初期値を算出する初期値算出工程と、を備える方法とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の操作入力装置および操作入力装置の初期化方法によれば、多関節アームの先端部に設けられた係合部同士を係合した状態で先端部同士を移動させて、各関節の検出部から時系列で関節動作量を取得し、先端部同士の相対位置関係が係合部を介して固定された条件の下に各検出部の初期値を算出して、初期化を行うことができるため、操作入力装置の動作範囲に初期化に用いる位置決め部材を設置することなく初期化を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の一例を示す模式的な斜視図、およびその主要部の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の多関節アームの構成を示す模式的な斜視図である。
【図3】図2におけるA視図、およびこのA視図におけるC視図である。
【図4】図2におけるB視図、およびこのB視図におけるD視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の係合部同士を係合した様子を示す模式的な平面図、およびそのE視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法の係合工程の動作説明図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法のデータ取得工程の動作説明図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の操作入力装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の操作入力装置に用いる中間部材の平面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態の操作入力装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図、および動作説明図である。
【図13】本発明の第2の実施形態の操作入力装置の係合部の構成を示す模式的な斜視図である。
【図14】本発明の第3の実施形態の操作入力装置の係合部の構成を示す模式的な部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。すべての図面において、実施形態が異なる場合であっても、同一または相当する部材には同一の符号を付し、共通する説明は省略する。
【0019】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態の操作入力装置について説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の一例を示す模式的な斜視図である。図1(b)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の主要部の斜視図である。図2(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の多関節アームの構成を示す模式的な斜視図である。図3(a)は、図2(a)におけるA視図である。図3(b)は、図3(a)におけるC視図である。図4(a)は、図2(b)におけるB視図である。図4(b)は、図4(a)におけるD視図である。図5(a)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の係合部同士を係合した様子を示す模式的な平面図である。図5(b)は、図5(a)におけるE視図である。図6は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の制御手段の機能構成を示す機能ブロック図である。
【0020】
本実施形態のマスターマニピュレータ1(操作入力装置)は、一例として、例えば、マスタースレーブ方式の医療用マニピュレータシステムにおいてスレーブマニピュレータの操作を行う操作入力装置として用いることができるものである。ここで、マスタースレーブ方式の医療用マニピュレータシステムとは、それぞれ多関節アームを含むマスターマニピュレータとスレーブマニピュレータとを有し、マスターマニピュレータの多関節アームを動かすことによってスレーブマニピュレータの多関節アームをマスターマニピュレータの多関節アームの動作に追従させるようにしてスレーブマニピュレータを遠隔制御するシステムである。
【0021】
マスターマニピュレータ1の概略構成は、図1(a)、(b)に示すように、本体フレーム2(保持部)、表示部4、多関節アーム3R、3L(多関節アーム3Rは図1(b)参照)、およびマスター制御部100(図1(a)、(b)では図示略、図6参照)を備える。
【0022】
本体フレーム2は、多関節アーム3R、3Lの各基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持部であり、本実施形態では、略矩形板状の形状を有し、床面上に設置されたスタンド部2aの上端において水平方向に対して斜めに傾斜して固定されている。
また、本体フレーム2の中心部には、スレーブマニピュレータ120(図6参照)の動く様子を操作者Pが見ることができるように、不図示のカメラでスレーブマニピュレータ120を撮像した映像を表示する表示部4が設けられている。
図1(a)に示す表示部4の表示画面4aには、多関節アーム3Rによって操作するスレーブマニピュレータ120Rの画像と、多関節アーム3Lによって操作するスレーブマニピュレータ120Lの画像とが表示されている。
表示部4の構成としては、例えば、液晶パネルやCRTモニタなどの構成を採用することができる。
【0023】
図1(b)に示すように、多関節アーム3Rの基端部は本体フレーム2において表示部4が設けられた方を前面側とすると、前面側から見て下端部の右側に固定され、多関節アーム3Rの先端部は本体フレーム2の前面側に位置している。また、多関節アーム3Lの基端部は本体フレーム2の前面側から見て下端部の左側に固定され、先端部は本体フレーム2の前面側に位置している。このため、多関節アーム3R、3Lの各基端部の固定位置は、本体フレーム2上の各位置座標が既知であり、水平方向に一定距離だけ離間されている。
【0024】
このような配置により、操作者Pは、例えば、本体フレーム2の前面に腰掛けた状態で、表示画面4aにおけるスレーブマニピュレータ120L、120Rの動作を見ながら、多関節アーム3L、3Rの先端部を操作することができるようになっている。
【0025】
多関節アーム3R、3Lは、いずれも複数のアームが、回動または直動の自由度を有する複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされたものである。それぞれのアームおよび関節の個数、構成、配置は、操作対象の操作入力情報の必要に応じて適宜設定することができる。ただし、本実施形態では、多関節アーム3Rは右手による操作入力用、多関節アーム3Lは左手による操作入力用である。
本実施形態では、一例として、スレーブマニピュレータ120R、120Lがそれぞれ先端に把持鉗子を備え、把持鉗子の移動自由度を6自由度とする多関節アームを備える場合の例で説明する。
このため、本実施形態では、多関節アーム3R、3Lは、先端部において持ち手が異なる点を除いて略同様の構成を有している。
【0026】
多関節アーム3Rの概略構成は、図2(a)に示すように、基端側から先端側に向かって、第1関節5(関節)、アーム6、第2関節7(関節)、アーム8、第3関節9(関節)、L型アーム10、第4関節11(関節)、L型アーム12(アーム)、第5関節13(関節)、および右手用操作アーム14R(アーム)を備える。
【0027】
第1関節5は、本体フレーム2に固定され本体フレーム2に交差する方向に延びる回動軸線O5aを中心として回動する自由度を有する回動関節5aと、回動軸線O5aに直交する軸線である直動軸線O5bに沿って直動する自由度を有する直動関節5bとを備える2自由度の関節である。
また、図2(a)では図示を省略するが、第1関節5には、回動関節5aの回動量を表す回転角度を検出する検出部E5a(図6参照)と、直動関節5bの直動量を表す変位を検出する検出部E5b(図6参照)とが設けられている。
検出部E5a、E5bは、マスター制御部100に電気的に接続され、それぞれ回転角度、変位の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている。
本実施形態では、検出部E5a、E5bは、いずれもインクリメント型のエンコーダを採用している。このため、通電開始時、または適宜のタイミングでマスター制御部100からリセット信号が送出された時に、回転角度、変位は、それぞれ0にリセットできるようになっている。したがって、検出部E5a(E5b)の検出信号は、検出部E5a(E5b)のリセット時の関節の動作位置を基準とした回転角度(変位)を表している。
本実施形態では、リセット時に多関節アーム3R、3Lの各関節の各関節に設定された関節座標系での値を知ることができないため、リセット時の関節の動作位置は、多関節アーム3R、3Lの運動学の計算を行うために各関節に設定された関節座標系で測った値とは一般には一致しない。
以下では、リセット時の関節の動作位置を関節座標系で測った値を関節の動作の初期値と称する。
【0028】
本体フレーム2に対する多関節アーム3Rの回動関節5aの固定位置は、多関節アーム3Rの基端部の固定位置を規定している。
【0029】
アーム6は、直動関節5bによって直動可能とされた棒状部材であり、直動軸線O5bと同軸に配置されて一端が直動関節5bに接続されている。また、アーム6の他端は、第2関節7に固定されている。
これにより、直動関節5bが直動されると、アーム6が直動軸線O5bに沿って進退し、アーム6の進退とともに第2関節7が平行移動することになる。
【0030】
第2関節7は、直動軸線O5bに交差する軸線である直動軸線Oに沿って直動する自由度を有する1自由度の直動関節である。
また、図2(a)では図示を省略するが、第2関節7には、第2関節7の直動量を表す変位を検出する検出部E(図6参照)が設けられている。
検出部Eは、マスター制御部100に電気的に接続され、変位の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている。
本実施形態では、検出部Eは、検出部E5bと同様のインクリメント型のエンコーダを採用している。
【0031】
アーム8は、第2関節7によって直動可能とされた棒状部材であり、直動軸線Oと同軸に配置されて一端が第2関節7に接続されている。また、アーム8の他端は、第3関節9に固定されている。
これにより、第2関節7が直動されると、アーム8が直動軸線Oに沿って進退し、アーム8の進退とともに第3関節9が平行移動することになる。
【0032】
第3関節9は、直動軸線Oおよび回動軸線O5aに直交する軸線である回動軸線Oを中心として回動する自由度を有する1自由度の回動関節である。
また、図2(a)では図示を省略するが、第3関節9には、第3関節9の回動量を表す回転角度を検出する検出部E(図6参照)が設けられている。
検出部Eは、マスター制御部100に電気的に接続され、回転角度の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている。
本実施形態では、検出部Eは、検出部E5aと同様のインクリメント型のエンコーダを採用している。
【0033】
L型アーム10は、一端が第3関節9に接続され回動軸線Oに直交する方向に延ばされた真直アーム部10aと、真直アーム部10aの他端から回動軸線Oに沿う方向に延ばされた真直アーム部10bとで形成されるL字型のアーム部材である。
本実施形態では、真直アーム部10bは、真直アーム部10aから多関節アーム3Lが設けられた側に延ばされ、先端に第4関節11が接続されている。
これにより、第3関節9が回動されると、L型アーム10が回動軸線O回りに回動し、L型アーム10の回転移動とともに第4関節11が回転移動することになる。
【0034】
第4関節11は、真直アーム部10bおよび回動軸線Oに直交する軸線である回動軸線O11を中心として回動する自由度を有する1自由度の回動関節である。
また、図2(a)では図示を省略するが、第4関節11には、第4関節11の回動量を表す回転角度を検出する検出部E11(図6参照)が設けられている。
検出部E11は、マスター制御部100に電気的に接続され、回転角度の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている。
本実施形態では、検出部E11は、検出部E5aと同様のインクリメント型のエンコーダを採用している。
【0035】
L型アーム12は、一端が第4関節11に接続され回動軸線O11に直交する方向に延ばされた真直アーム部12aと、真直アーム部12aの他端から回動軸線O11に沿う方向に延ばされた真直アーム部12bとで形成されるL字型のアーム部材である。
また、真直アーム部12aは、長さがL型アーム10の真直アーム部10bよりも短い。また、真直アーム部12aのL型アーム10の真直アーム部10bに対する接続位置は、真直アーム部10aが延ばされたのと同方向側である。
また、真直アーム部12bの延在方向は、L型アーム10の真直アーム部10aと同方向であり、延在方向の先端に第5関節13が接続されている。
これにより、L型アーム12は、L型アーム10と干渉することなく回動軸線O11を中心として自由に回転移動することができ、L型アーム12の回転移動とともに第5関節13が回転移動することになる。
【0036】
第5関節13は、真直アーム部12bおよび回動軸線O11に直交する軸線である回動軸線O13を中心として回動する自由度を有する1自由度の回動関節である。
また、図2(a)では図示を省略するが、第5関節13には、第5関節13の回動量を表す回転角度を検出する検出部E13(図6参照)が設けられている。
検出部E13は、マスター制御部100に電気的に接続され、変位の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている。
本実施形態では、検出部E13は、検出部E5aと同様のインクリメント型のエンコーダを採用している。
【0037】
右手用操作アーム14Rは、一端が第5関節13に接続され回動軸線O13に直交する方向に延ばされた真直アーム部14aと、真直アーム部14aの他端から回動軸線O13に沿う方向かつL型アーム12の真直アーム部12aと同方向に延ばされた真直アーム部14bと、真直アーム部14bにおいて真直アーム部14aが接続されたのと反対側の端部から真直アーム部14aと同方向に延ばされたグリップ部14cと、真直アーム部14aに対向するグリップ部14cの側面14dから真直アーム部14a側に突出して設けられた把持操作部15とを備える。
なお、右手用操作アーム14Rは、第1関節5を多関節アーム3Rの基端部とするとき、多関節アーム3Rの先端部を構成するものである。
【0038】
グリップ部14cの形状は、真直アーム部14bが延ばされた側面14dの裏側の側面から右手Hで握りやすい適宜の立体形状を備えることができるが、本実施形態では、真直アーム部14a、14bの幅と略同程度の厚さを有する略板状に形成されている。
以下では、側面14dに隣接する厚さ方向の側面のうち、グリップ部14cを握ったときに右手Hの親指が位置する側の側面を側面14f、その裏面側の側面を側面14gと称する。
【0039】
右手用操作アーム14Rにおいて、真直アーム部14aは、長さがL型アーム12の真直アーム部12bよりも短く、かつ第5関節13とはL型アーム12の真直アーム部12bに対して真直アーム部12aが延ばされたのと同方向側で接続されている。
また、右手用操作アーム14Rの回動軸線O13に沿う方向の長さは、真直アーム部12a、10bの長さの和よりも短い。また右手用操作アーム14Rのグリップ部14cの回動軸線O13に直交する方向の長さは、真直アーム部14aの長さの2倍よりも短い。
このような構成により、右手用操作アーム14Rは、L型アーム12と干渉することなく回動軸線O13を中心として自由に回転移動することができる。また、L型アーム12とともに回動軸線O11の回りに回転移動する際は、L型アーム12と同様に、右手用操作アーム14RもL型アーム10と干渉することなく自由に回転移動することができる。
【0040】
グリップ部14cにおいて延在方向の先端における先端面14eには、後述する多関節アーム3Lの左手用操作アーム14Lとの間で相対位置が固定されるように係合する係合部19Rが設けられている。
係合部19Rの形状は、相対位置が固定できれば特に限定されないが、本実施形態では、図3(a)、(b)に示すように、凹部15Rと凸部16Rとを備える。
凹部15Rは、グリップ部14cの側面14f、14gの間で厚さ方向に貫通する断面矩形状の溝からなり、先端面14eに対する凹部を構成している。
凸部16Rは、同じく側面14f、14gの間で厚さ方向に貫通し、凹部15Rの側面14d側に隣接して設けられた断面矩形状の突起部であり、先端面14eに対する凸部を構成している。
凸部16Rの先端面14eの法線方向から見た形状は、図3(b)に示すように、全体として略矩形状である。ただし、矩形となるべき一隅がわずかに矩形状に切り欠かれ、先端面14eと同高さとされた切欠き部16aが、側面14gと隣接し凹部15Rと反対側となる一隅に形成されている。
このため、凸部16Rの切欠き部16aによって、側面14gの近傍において側面14gから側面14fに向かう途中に段部16bが形成されている。
【0041】
また、本実施形態では、凸部16Rの裏面側のグリップ部14cの内部に、後述する係合部19Lとの係合状態を検知する係合センサ18Rが設けられている。
係合センサ18Rの構成は、係合センサ18Lとの組合せにおいて係合状態を検知できれば、接触型、非接触型の適宜の検知センサを採用することができる。接触型の検知センサとしては、圧力センサ、電気的な導通を検知するセンサ、接点式スイッチ等を採用することができる。また非接触型の検知センサとしては、光センサ、静電容量検知センサ、磁気検知センサ、ジャイロセンサ等を採用することができる。
また、係合センサ18R、18Lのいずれか一方を能動センサ、他方を受動センサまたは被検知媒体としてもよい。例えば、係合センサ18R、18Lの一方が光センサの場合には、他方は被検知媒体として、光センサにより位置検出可能な検知マークを採用することができる。
また、係合部にセンサを設けず,操作者が係合していることを目視にて確認し,図示していないマスター制御部インタフェースを介して係合検出部102に係合信号を入力してもよい。
本実施形態では、係合センサ18Rは、接点式スイッチを採用している。
また、係合センサ18Rは、マスター制御部100に電気的に接続され、所定の係合状態が検知された場合、検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0042】
把持操作部15は、スレーブマニピュレータ120Rの把持鉗子の開閉操作の操作入力を行うものである。本実施形態では、把持操作部15は、例えば右手Hの中指、薬指、小指でグリップ部14cを握ったときに親指および人差し指で押圧可能に設けられ、図示略の角度検出部によって互いの開き角を検出できる操作レバー15a、15bを備える。
把持操作部15は、マスター制御部100に電気的に接続され、角度検出部による開き角の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0043】
多関節アーム3Lの概略構成は、多関節アーム3Rと略同様の構成を有し、図2(b)に示すように、基端側から先端側に向かって、第1関節5、アーム6、第2関節7、アーム8、第3関節9、L型アーム10、第4関節11、L型アーム12、第5関節13、および左手用操作アーム14L(アーム)を備える。
以下では、多関節アーム3Rと異なる点を中心に説明する。
【0044】
第1関節5は、多関節アーム3Rの第1関節5と同様の構成を備え、回動関節5aが、本体フレーム2の下端部において、多関節アーム3Rの回動関節5aと水平方向に一定距離離れた位置に固定された点が異なる。
本体フレーム2に対する多関節アーム3Lの第1関節5の回動関節5aの固定位置は、多関節アーム3Lの基端部の固定位置を規定している。
検出部E5a、E5bは、多関節アーム3Rの場合と同様に、マスター制御部100に電気的に接続され、それぞれ回転角度、変位の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0045】
アーム6は、多関節アーム3Rのアーム6と同様の部材であり、同様にして、直動関節5bと第2関節7とに接続されている。
【0046】
第2関節7は、多関節アーム3Rの第2関節7と同様の構成を有し、多関節アーム3Rの場合と同様に、検出部Eが、マスター制御部100に電気的に接続され、変位の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0047】
アーム8は、多関節アーム3Rのアーム8と同様の部材であり、同様にして、第2関節7と第3関節9とに接続されている。
【0048】
第3関節9は、多関節アーム3Rの第3関節9と同様の構成を有し、多関節アーム3Rの場合と同様に、検出部Eが、マスター制御部100に電気的に接続され、回転角度の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0049】
L型アーム10は、多関節アーム3RのL型アーム10と同様の部材であり、同様にして、第3関節9と第4関節11とに接続されている。
ただし、多関節アーム3LのL型アーム10の真直アーム部10bは、真直アーム部10aから多関節アーム3Rが設けられた側に延ばされ、先端に第4関節11が接続されている点が異なる。
【0050】
第4関節11は、多関節アーム3Rの第4関節11と同様の構成を有し、多関節アーム3Rの場合と同様に、検出部E11が、マスター制御部100に電気的に接続され、回転角度の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0051】
L型アーム12は、多関節アーム3RのL型アーム12と同様の部材であり、同様にして、第4関節11と第5関節13とに接続されている。
【0052】
第5関節13は、多関節アーム3Rの第5関節13と同様の構成を有し、多関節アーム3Rの場合と同様に、検出部E13が、マスター制御部100に電気的に接続され、回転角度の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0053】
左手用操作アーム14Lは、多関節アーム3Rの右手用操作アーム14Rと略同様の部材であり、同様にして、第5関節13に接続されている。また、左手用操作アーム14Lは、第1関節5を多関節アーム3Lの基端部とするとき、多関節アーム3Lの先端部を構成するものである。
左手用操作アーム14Lが、右手用操作アーム14Rと異なるのは、グリップ部14cの係合部19Rに代えて、係合部19Lが設けられた点である。
また、グリップ部14cの形状は、真直アーム部14bが延ばされた側面14dの裏側の側面から左手Hで握りやすい適宜の立体形状を備えることができる点が、右手用操作アーム14Rのグリップ部14cとは異なる。本実施形態では、真直アーム部14a、14bの幅と略同程度の厚さを有する略板状に形成されており、側面14f、14gが入れ替わることで、右手用操作アーム14Rとは面対称の形状になっている。
【0054】
係合部19Lは、多関節アーム3Rの右手用操作アーム14Rとの間で相対位置が固定されるように係合するためのもので、左手用操作アーム14Lの先端面14eに設けられている。
係合部19Lの形状は、係合部19Rと係合する凹凸部からなり、本実施形態では、図4(a)、(b)に示すように、凸部15Lと凹部16Lとを備える。
凸部15Lは、右手用操作アーム14Rの先端面14eに左手用操作アーム14Lの先端面14eを密着させた状態で、凹部15Rと係合する凸部であり、グリップ部14cの側面14f、14gの間で厚さ方向に貫通する断面矩形状の突起部からなる。
凹部16Lは、右手用操作アーム14Rの先端面14eに左手用操作アーム14Lの先端面14eを密着させた状態で、凸部16Rと係合する凹部であり、側面14f、14gの間で厚さ方向に貫通し、凸部15Lの側面14d側に隣接して設けられた断面矩形状の溝部である。
凹部16Lの先端面14eの法線方向から見た形状は、図4(b)に示すように、凸部16Rの内側に嵌合する形状である。すなわち、全体として略矩形状であり、矩形となるべき一隅に、先端面14eと同高さで、わずかに溝内に突出された矩形状の突起部からなる突起部17が、側面14gと隣接し凸部15Lと反対側となる一隅に形成されている。
このため、凹部16Lの突起部17によって、側面14gの近傍において側面14fから側面14gに向かう途中に段部17aが形成されている。
【0055】
また、本実施形態では、凹部16Lの裏面側のグリップ部14cの内部に、係合部19Rとの係合状態を検知する係合センサ18Lが設けられている。
係合センサ18Lは、係合センサ18Rとの組合せにおいて、係合状態を検知できれば、係合センサ18Rと同様の接触型、非接触型の適宜の検知センサを採用することができる。例えば、係合センサ18Rが能動センサの場合に係合センサ18Lは受動センサまたは被検知媒体としてもよいことは、上述したとおりである。
本実施形態では、係合センサ18Lは、被検知媒体を採用している。
また、係合センサ18Lは、マスター制御部100に電気的に接続され、所定の係合状態が検知された場合、検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0056】
このような係合部19R、19Lの構成により、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの各側面14fを同方向に向けて、凹部15Rと凸部15Lとが対向するとともに凸部16Rと凹部16Lとが対向するようにして、各先端面14e同士を突き合わせると、図5(a)、(b)に示すように、各先端面14eが密着するとともに各側面14f同士、各側面14g同士が整列した係合状態を形成することができる。
このとき、凹部15Rと凸部15Lとの係合、および凸部16Rと凹部16Lとの係合により、各グリップ部14cの厚さ方向に直交し各先端面14eに沿う方向の相対位置が固定される。
また、凸部16Rにおける段部16bと突起部17における段部17aとの係合により、各グリップ部14cの厚さ方向の相対位置が固定される。
すなわち、係合部19R、19Lによれば、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを互いの先端面14eが先端面14eの面内方向の位置が固定された状態で密着される。右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士の間の相対移動の自由度は6自由度すべてが固定される。
このとき、本実施形態では、係合センサ18R、18Lは、互いに対向する位置で互いに当接して配置されるため、係合センサ18R、18Lによって正常な係合状態にあることが検知される。
【0057】
把持操作部15は、スレーブマニピュレータ120Lの把持鉗子の開閉操作の操作入力を行うものであり、多関節アーム3Rの把持操作部15と同様の部材である。ただし、左手用操作アーム14Lは、左手Hでグリップ部14cを握るため、操作レバー15a、15bの位置が、側面14f、14gの位置関係と同様に反転されている点が異なる。
このため、例えば左手Hの中指、薬指、小指でグリップ部14cを握ったときに親指および人差し指が、それぞれ操作レバー15a、15bを押圧できることは、右手用操作アーム14Rの場合と同様である。
また、左手用操作アーム14Lの把持操作部15は、多関節アーム3Rの場合と同様に、マスター制御部100に電気的に接続され、角度検出部による開き角の検出信号をマスター制御部100に送出できるようになっている(図6参照)。
【0058】
次に、マスター制御部100の構成について、図6を参照して説明する。
マスター制御部100の機能構成は、データ取得部101、係合検知部102、初期値算出部103、記憶部104、および入力データ生成部105を備える。
【0059】
データ取得部101は、多関節アーム3R、3Lのそれぞれの検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13が検出した関節動作量(以下、単に、各関節動作量という)を時系列に取得するものであり、各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13、係合検知部102、初期値算出部103、および入力データ生成部105とそれぞれ電気的に接続されている。ここで、関節動作量とは、検出部が検出する回転角度または変位を意味する。
マスター制御部100は、スレーブマニピュレータ120に対する操作入力に先立って多関節アーム3R、3Lの関節動作量の初期値を算出する初期化モードと、初期化モード終了後に多関節アーム3R、3Lの関節動作量に基づいてスレーブマニピュレータ120を操作するための入力データを生成する操作モードとを備えており、これらのモードに応じてデータ取得部101の関節動作量の送出先が異なる。
【0060】
初期化モードは、本実施形態では、係合部19R、19Lを介して多関節アーム3R、3Lの先端部である右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士を係合されたことが、係合検知部102によってデータ取得部101に通知されると開始される。
初期化モードでは、データ取得部101は、各関節動作量を時系列に複数組取得すると、これらの複数組の関節動作量を初期値算出部103に送出する。
操作モードは、後述するように初期化が終了した際、初期値算出部103からの制御信号の送出を受けて設定される。
操作モードでは、データ取得部101は、各関節動作量を時系列に取得すると、これらを順次入力データ生成部105に送出する。
【0061】
係合検知部102は、係合センサ18R、18Lの検出信号を取得し、係合部19R、19Lの係合状態を判定して、所定の係合状態が得られたと判定した場合には、データ取得部101に係合完了を通知して、データ取得部101を初期化モードに設定するとともに、表示部4の係合完了のメッセージを表示させる。
また、係合検知部102は、係合未完了の場合には、表示部4に係合未完了のメッセージを表示させる。
このため、係合検知部102は、本実施形態では、係合センサ18R、18L、データ取得部101、表示部4に電気的に接続されている。
【0062】
初期値算出部103は、データ取得部101によって時系列に取得された関節動作量に基づいて、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士の相対位置関係が係合部19R、19Lを介して固定された条件の下に、各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13における関節の動作の初期値を算出するものである。
このため、初期値算出部103は、データ取得部101に電気的に接続されている。また、初期値算出部103は、記憶部104および表示部4と電気的に接続され、算出された初期値を記憶部104に送出して記憶させたり、算出処理の過程でエラーが発生した場合に、エラーメッセージを表示部4に表示させたりすることができるようになっている。
【0063】
初期値算出部103における関節の動作の初期値の算出方法については、後述するマスター制御部100の動作説明の中で説明する。
【0064】
記憶部104は、初期値算出部103および入力データ生成部105と電気的に接続され、初期値算出部103から送出された関節の動作の初期値を記憶するとともに、入力データ生成部105がこれらの初期値を必要に応じて読み出せるようにしたものである。
【0065】
入力データ生成部105は、多関節アーム3R、3Lの右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの位置および姿勢と、各把持操作部15に対してなされた操作による操作量とに基づいて、スレーブマニピュレータ120L、120Rの把持鉗子の位置および姿勢の制御目標値と、把持鉗子の開閉動作を制御する制御目標値とを含む入力データを生成するものである。
入力データ生成部105は、データ取得部101、記憶部104、およびスレーブマニピュレータ120R、120Lの動作制御を行うスレーブ制御部110に電気的に接続されている。
入力データ生成部105は、各把持操作部15から送出された操作量を、予め設定された操作感度に応じて操作量を変倍し、把持鉗子の開閉量の制御目標値に変換できるようになっている。
また、入力データ生成部105は、データ取得部101から送出された各関節動作量を、記憶部104に記憶された初期値に基づいて関節座標系上の関節動作量に変換し、変換後の関節動作量から、スレーブマニピュレータ120L、120Rの把持鉗子の位置および姿勢の制御目標値を算出できるようになっている。
【0066】
マスター制御部100の装置構成は、CPU、メモリ、入出力インタフェース、外部記憶装置などを備えるコンピュータからなり、これにより上記の各機能に対応する制御、演算処理を行う適宜のプログラムが実行されるようになっている。
【0067】
次に、マスターマニピュレータ1の動作について、本実施形態の操作入力装置の初期化方法を中心として説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法を示すフローチャートである。図8(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法の係合工程の動作説明図である。図9(a)、(b)は、本発明の第1の実施形態の操作入力装置の初期化方法のデータ取得工程の動作説明図である。
【0068】
マスターマニピュレータ1では、検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13としていずれもインクリメント型のエンコーダを用いているため、検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13が出力する関節動作量は、リセット時における関節の動作の未知の初期値を基準としている。このため、取得された関節動作量を関節座標系上の数値に変換するための初期化動作を行う必要がある。
本実施形態の操作入力装置の初期化方法は、保持工程、係合工程、データ取得工程、および初期値算出工程をこの順に行う方法である。
図7に示すフローチャートは、本実施形態のマスターマニピュレータ1を用いて操作者Pが行う操作入力装置の初期化方法のフローを示している。
なお、本実施形態の初期化方法は、マスターマニピュレータ1が行う動作の他に、人がマスターマニピュレータ1に対して行う動作がある。人による動作は、誰が行ってもよく、初期化後にマスターマニピュレータ1の操作入力を行う操作者Pと別人であってもよいが、以下では初期化動作を行う人も操作者Pと称する。
【0069】
保持工程は、多関節アーム3R、3Lの基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する工程である。
本実施形態では、多関節アーム3R、3Lの基端部である各回動関節5aが、本体フレーム2の所定位置に固定されているため、マスターマニピュレータ1の組立時に実施済みである。このため、操作者Pとしては保持工程を行う必要はない。このため、図7のフローチャートでは、保持工程に対応するステップの記載を省略している。
各回動関節5aの固定位置は、各多関節アーム3R、3Lに設定された関節座標系の座標値としてマスター制御部100の記憶部104に記憶されている。
ただし、マスターマニピュレータ1は、本体フレーム2上で多関節アーム3R、3Lの基端部の固定位置を操作者Pが変更できる構成としてもよく、この場合には、図7のステップS1に先立って保持工程を行う必要がある。すなわち、操作者Pは、多関節アーム3R、3Lの基端部の固定位置を変更し、記憶部104に記憶された固定位置を更新する。
【0070】

保持工程が終了したら、係合工程を行う。本工程は、多関節アーム3R、3Lの先端部同士である右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを、これらの相対位置が固定されるように係合する工程である。
本実施形態では、ステップS1、S2が係合工程を構成している。
【0071】
ステップS1では、操作者Pが、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを係合部19R、19Lを介して係合する。
例えば、図8(a)に示すように、各側面14fを上側に向けて右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを水平に配置し、各先端面14eが向かい合う方向に向けて、係合部19R、19Lを係合する位置関係に互いに相対位置を調整する。
本実施形態の場合、図5(a)に示すように、凹部15Rと凸部15Lとが対向するとともに凸部16Rと凹部16Lとが対向するようにして、各先端面14e同士を突き合わせて密着させる。
そして、図8(b)に示すように、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの厚さ方向の相対位置を調整して、図5(b)に示すように段部16bと段部17aとを密着させる。
これにより、右手用操作アーム14Rと左手用操作アーム14Lとは、互いの間の平行移動および回転移動が拘束される。
以上で、ステップS1が終了する。
【0072】
ステップS2は、係合状態が得られたかどうかを判定するステップである。
本実施形態では、係合検知部102によって、係合センサ18R、18Lからの検出信号を取得して係合部19R、19Lの係合状態を判定する。
係合検知部102は、係合センサ18R、18Lの検出信号がいずれも予め設定された係合状態の許容範囲内の係合状態を表す場合、係合完了と判定し、判定結果をデータ取得部101に通知するとともに、表示部4に係合完了のメッセージを表示させる。
データ取得部101に係合完了が通知されると、データ取得部101が初期化モードに設定される。
係合完了に到らないと判定した場合には、係合未完了のメッセージを表示部4に表示させる。
操作者Pは、表示部4の表示を見て、係合未完了の場合には、係合部19R、19Lの係合を微調整したり、再度係合を試みたりするなどして、係合完了と判定されるまで、ステップS1を繰り返す。
以上で、ステップS2が終了する。
【0073】
次に、データ取得工程を行う。本工程は、互いに係合された右手用操作アーム14R、14L同士を移動させつつ、互いに係合された多関節アーム3R、3Rの各関節に設けられた各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13から、関節動作量を時系列に複数組取得する工程である。
本実施形態では、ステップS3〜S7がデータ取得工程を構成している。
【0074】
ステップS3では、操作者Pが右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの係合を保って多関節アーム3R、3Lを適宜動かすステップである。
係合工程終了後、図9(a)に模式的に示すように、多関節アーム3R、3Lは、各回動関節5aが本体フレーム2に固定されているため、閉ループのリンクを構成している。
データ取得部101は、係合工程終了後、すぐに各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13にリセット信号を送出する。これにより、各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13の関節動作量はすべて0にリセットされる。
この状態で、操作者Pは、互いに係合された右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを手に持って適宜移動させる。これにより、図9(b)に実線で模式的に示すように、多関節アーム3R、3Lの各関節および各アームがそれぞれの可動範囲内で移動する。
【0075】
次に、ステップS4では、データ取得部101によって、各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13から、関節動作量を時系列に取得する。取得された各関節動作量は、データ取得部101内に記憶される。関節動作量を取得する時間間隔は、一定値、例えば、0.5秒に設定する。
以下では、リセット信号の送出時を、t=0として、時刻tにおける各検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13による関節動作量をそれぞれ、eRj(t)、eLj(t)(ただし、j=1,…,6)と表す。
ただし、上記のようにリセットが行われているため、次式(1a)、(1b)が成り立つ。
【0076】
Rj(0)=0 (j=1,…,6) ・・・(1a)
Lj(t)=0 (j=1,…,6) ・・・(1b)
【0077】
なお、本実施形態では連立方程式を解くため、未知数以上の取得組数が必要となる。未知数(関節数)は12個あるため、少なくともt=12になるまで関節動作量を取得する。
以上でステップS4が終了する。
ここで、添字の意味について説明する。これらの添字は、特に断らない限りは後述の他の変数でも共通の意味で用いる。
添字Rは多関節アーム3Rに関連付けられたことを示し、添字Lは多関節アーム3Lに関連付けられたことを示す。
添字jは、1、2、3、4、5、6が、それぞれ検出部E5a、E5b、E、E、E11、E13、または、回動関節5a、直動関節5b、第2関節7、第3関節9、第4関節11、第5関節13に関連付けられたことを示す。
【0078】
次にステップS5では、係合部が十分動かされているかを判定する。係合部の位置だけを動かして姿勢を動かさない、あるいは、同じパターンの動きばかりだと、精度がでないため、eRj(t)、eLj(t)(ただし、j=1,…,6)を用いて運動学を解き、正しい値ではないが、仮の位置姿勢を計算する。
仮の位置姿勢の時々刻々の変化を判別し、変化が規定値を超えていない場合には、ステップS6に移行する。十分に仮の位置姿勢の値が変化していれば、データ取得部101は、複数組の関節動作量を初期値算出部103に送出して、ステップS8に移行する。これによりデータ取得工程が終了する。
【0079】
ステップS6では、データ取得部101が、関節動作量の変化が少なすぎる関節があるかどうか判定する。
すなわち、データ取得部101は、各関節の関節動作量の変化幅を算出し、変化幅が、予め設定された許容範囲よりも小さい関節があった場合には、ステップS7に移行する。
変化幅が許容範囲よりも小さい関節がなかった場合には、ステップS3に移行し、ステップS3〜S5を繰り返す。
【0080】
ステップS7では、データ取得部101が、関節動作量が少ない関節を動かすように警告するメッセージを表示部4に表示させる。
ステップS7が終了したら、ステップS3に移行し、ステップS3〜ステップS6を繰り返す。
【0081】
関節動作量の変化が少なすぎる関節があると、初期値算出工程において算出する未知数の誤差が増える要因となる。
本実施形態では、ステップS7を設けることにより、操作者Pが一部の関節の関節動作量の変化が少なすぎるような動かし方をした場合に、表示部4を通して、操作者Pに知らせることができる。これにより、操作者Pは右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの動かし方を改善することができるため、初期化の精度を向上することができる。
【0082】
ステップS8、S9では、初期値算出部103によって初期値算出工程を行う。
本工程は、データ取得工程において時系列に取得された関節動作量に基づいて、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士の相対位置関係が係合によって固定された条件の下に未知の初期値を算出する工程である。
【0083】
各関節の動作を関節座標系で、θRj(t)、θLj(t)(ただし、j=1,…,6)と表すと、次式(2a)、(2b)が成り立つ。
【0084】
θRj(t)=θRj(0)+eRj(t) (j=1,…,6) ・・・(2a)
θLj(t)=θLj(0)+eLj(t) (j=1,…,6) ・・・(2a)
【0085】
ここで、θRj(0)、θLj(0)は、リセット時の各関節の動作の初期値であり、各検出部から得られない情報であるため、未知数である。v
一般に、関節座標系での速度ベクトルvと角速度ベクトルωを並べた6次元ベクトル(ツイスト)をνとすると、νと速度θ’(記号’は、時間微分を表す)との関係は,基礎ヤコビ行列JB(θ)を用いて次式(3)のように表すことができる。
【0086】
ν=JB(θ)θ’ ・・・(3)
【0087】
それぞれの関節の速度は関節リンク同士が鎖状につながり隣同士拘束しあっているため、根元から順番に計算することができ、関節リンクiの速度は,リンクi−1の速度に関節iによって加えられる新しい項を加え合わせたものになるので、関節座標系{O}の速度v、角速度ωは次式(4)のように表される(ただし、n=6)。
【0088】
【数1】

【0089】
これを次式(5)、(6)、(7)を使ってまとめると、各関節速度と、フレーム{O}の速度、角速度の関係は、基礎ヤコビ行列JB(θ)を用いて、次式(8)のように表せる。
【0090】
【数2】

【0091】
一方、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lにおいて、互いに係合された点のツイストをν、νとすると、次式(9a)、(9b)のように表される。
ここで、記号[6,1]は、6×1の行列であることを示す。以下では、[n,m]は、n×m行列(n、mは正の整数)であることを示す。
【0092】
【数3】

【0093】
データ取得部101で取得したθ[6,1]、θ[6,1]は、いずれも右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士の相対位置関係が係合によって固定された条件の下に取得されているため、ν[6,1]とν[6,1]とは等しい。このため、次式(10)が成り立つ必要がある。
【0094】
BR[6,6]θ’[6,1]=JBL[6,6]θ’[6,1]
・・・(10)
【0095】
式(10)を解くことにより、未知数θRj(0)、θLj(0)(j=1,…,6)を求めることができる。
本実施形態では次式(11)のように残差f(θ)[6,1]を考え、f(θ)[6,1]=0となるような収束計算を行って、θを求める。
なお、本実施形態では、初期化が開始されてからステップS8が行われるたびに、ステップS8を行った回数を記憶するカウンタが更新される。
【0096】
【数4】

【0097】
具体的には、残差f(θ)[6,1]は、θを未知数とした連立方程式になるので、初期値算出部103は、連立方程式の近似解法である周知の逐次最小二乗法を用いて、時々刻々θを計算し,さらにこの結果を式(11)に代入してf(θ)[6,1]を計算し,f(θ)[6,1]のノルムを算出する。
以上で、ステップS8が終了する。
【0098】
次にステップS9では、初期値算出部103は、収束計算が収束したかどうか判定する。すなわち、初期値算出部103は、f(θ)[6,1]のノルムが事前に設定した収束判定値εよりも小さな値になった時に収束完了と判定する。
初期値算出部103は、収束完了時に算出されたθを記憶部104に送出するとともに、データ取得部101の初期化モードを解除し、データ取得部101を操作モードに設定する。これにより初期化が終了する。
【0099】
初期化が終了した場合には、データ取得部101が操作モードに変更されているため、データ取得部101が取得する関節動作量は、入力データ生成部105に送出される。
入力データ生成部105は、上記式(2a)、(2b)により、データ取得部101から送出された関節動作量に記憶部104に記憶された関節の動作の初期値を加算して、θRj(t)、θLj(t)を生成する。
これにより、多関節アーム3R、3Lの各関節の位置および姿勢が確定するため、入力データ生成部105は、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの位置および姿勢と、各把持操作部15に対してなされた操作による操作量とに基づいて、スレーブマニピュレータ120L、120Rの把持鉗子の位置および姿勢の制御目標値と、把持鉗子の開閉動作を制御する制御目標値とを含む入力データを生成し、スレーブ制御部110に送出する。
スレーブ制御部110は、送出された入力データに基づいて、スレーブマニピュレータ120R、120Lを駆動する。このようにして、マスターマニピュレータ1による操作入力がスレーブマニピュレータ120R、120Lに伝達される。
【0100】
ステップS10では、初期値算出部103は、収束完了しなかった場合の処理を決めるため、カウンタを参照して、ステップS8を行った回数を予め設定された収束計算規定回数と比較する。
ステップS8を行った回数が収束計算規定回数以内の場合には、データ取得工程および初期値算出工程を再実行するため、ステップS3に移行する。
ステップS8を行った回数が収束計算規定回数を越えた場合には、ステップS11に移行する。
【0101】
ステップS11では、初期値算出部103が収束計算に用いた関節動作量の時系列変化を参照して、関節動作量の変化のない関節があるかどうか判定する。
ステップS11に到達するのは、関節動作量の変化が少ない場合に警告を行った上でデータ取得工程を行っても収束計算規定回数内で収束完了させることができなかった場合であり、特定の関節または検出部の故障により、関節が動作しない、または関節の動作を反映した関節動作量が取得できなかった可能性が高い。
関節動作量の変化がない関節がある場合には、この関節または検出部が故障している可能性が高いため、ステップS12に移行する。
関節動作量の変化がない関節がない場合には、関節動作量は変化しているが関節動作量が不正確である可能性が高く、しかもその関節を特定できないため、ステップS13に移行する。
【0102】
ステップS12では、初期値算出部103は、関節動作量の変化のない関節を明示してこの関節が故障している可能性がある旨のメッセージ(エラー表示1)を表示して、警告を行い、動作を終了する。
なお、警告の仕方は、上記のような警告メッセージには限定されず、画像や光の点滅による警告でもよいし、音声や警告音により警告するようにしてもよい。
【0103】
ステップS13では、初期値算出部103は、どの関節か不明だが不正確な関節動作量が出力されている可能性がある旨のメッセージ(エラー表示2)を表示して、警告を行い、動作を終了する。他の警告の仕方でもよいことは、ステップS12と同様である。
【0104】
これにより、操作者Pは、表示部4の表示により、初期化がエラー終了したことと、故障の可能性についての示唆が得られるため、それぞれのエラー表示に基づいて、点検や修理を行うことができる。
【0105】
このように、本実施形態のマスターマニピュレータ1によれば、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lに設けられた係合部19R、19L同士を係合した状態で右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士を移動させて、各関節の検出部から時系列で関節動作量を取得し、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士の相対位置関係が係合部を介して固定された条件の下に未知の初期値を算出して、初期化を行うことができる。このため、マスターマニピュレータ1の動作範囲に初期化に用いる位置決め部材を設置することなく初期化を行うことができる。
この結果、マスターマニピュレータ1の動作範囲が、位置決め部材等によって制約されることがないため、より広範囲の空間における操作入力を行うことができる。また、操作入力の範囲が制約されることに伴うスレーブマニピュレータ120の動作範囲の制約もなくなるため、スレーブマニピュレータ120の動作範囲も拡大される。
また、位置決め部材を設置しなくてよいため簡素な構成を実現することができる。
【0106】
[第1変形例]
次に、本実施形態の変形例(第1変形例)の操作入力装置について説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の操作入力装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図である。図11は、本発明の第1の実施形態の変形例(第1変形例)の操作入力装置に用いる中間部材の平面図である。
【0107】
図10に、本変形例のマスターマニピュレータ1A(操作入力装置)の主要部の構成を示す。
上記第1の実施形態のマスターマニピュレータ1は、係合部19R、19Lが、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L同士を直接係合して、互いの相対位置を固定する場合の例になっていたが、本変形例のマスターマニピュレータ1Aは、係合部が、係合相手の多関節アームの係合部との間の距離を一定に保つ中間部材20を介して前記係合相手の多関節アームの係合部と係合されるようにした点が異なる。
このため、中間部材20を除く他の構成は、マスターマニピュレータ1と同様の構成を採用することができる。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0108】
中間部材20は、図11に示すように、右手用操作アーム14Rおよび左手用操作アーム14Lと同じ厚さを有する矩形板の互いに対向する端部側面20a、20bにそれぞれ係合部21R、21Lが形成された部材である。端部側面20a、20bの間の距離はLとする。
係合部21Rは、上記第1の実施形態における係合部19Rで、係合センサ18Rを係合センサ18Lに対する被検知媒体22Rに代えたものである。
係合部21Lは、上記第1の実施形態における係合部19Lで、係合センサ18Lを係合センサ18Rに対する被検知媒体22Lに代えたものである。
ただし、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lにおける側面14f、14gは、それぞれ中間部材20の板厚方向の側面20f、20g(図10参照)に対応させるものとする。
【0109】
このような構成により、係合部19Lと係合部21Rとは、係合部19L、19R同士と同様にして係合可能であり、係合状態を係合センサ18Lで検知することができる。
また、係合部21Lと係合部19Rとは、係合部19L、19R同士と同様にして係合可能であり、係合状態を係合センサ18Rで検知することができる。
【0110】
次に、マスターマニピュレータ1Aの初期化方法について、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態のマスターマニピュレータ1Aの初期化方法は、図7のフローチャートに沿って、上記第1の実施形態の初期化方法と略同様にして行うことができる。
ただし、係合工程(ステップS1、S2)では、中間部材20を介して、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを係合する点が異なる。
このため、左手用操作アーム14Lおよび右手用操作アーム14Rは、中間部材20を介して、先端面14eの法線方向に距離Lだけ離間した位置に係合される。
【0111】
本変形例によれば、上記第1の実施形態と同様にして、初期化を行うことができる。
本変形例では、中間部材20を介して係合するため、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lが直接係合しにくい形状であったり、直接係合できても操作者Pが手に持って移動させにくい形状であったりする場合にも、中間部材20の形状を適宜設定することで、容易に係合したり、係合後に容易に移動させることが可能となる。
また、本変形例では、中間部材20に被検知媒体22R、22Lを設けることにより中間部材20からマスター制御部100に対して、係合完了の出力を行う必要がないため、中間部材20の構成が簡素になる。
【0112】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態の操作入力装置について説明する。
図12(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の操作入力装置の主要部の構成を示す模式的な斜視図、および動作説明図である。図13(a)、(b)は、本発明の第2の実施形態の操作入力装置の係合部の構成を示す模式的な斜視図である。
【0113】
本実施形態のマスターマニピュレータ1B(操作入力装置)は、図12(a)に主要部を示すように、上記第1の実施形態のマスターマニピュレータ1の係合部19R、19Lを削除し、各検出部E13に代えてそれぞれ関節座標系の基準からの絶対回転角が検出できる検出部F13(図6参照)を備え、L型アーム12に接続部33R、33L、係合部36r、36Lを追加したものである。
本実施形態の多関節アーム3R(3L)の構成は、それぞれ初期化が必要ない右手用操作アーム14R(左手用操作アーム14L)および第5関節13と、回動関節5a、直動関節5b、アーム6、第2関節7、アーム8、第3関節9、L型アーム10、第4関節11、およびL型アーム12で構成される初期化が必要な多関節アーム部30R(30L)(多関節アーム)とに分けられる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0114】
接続部33Rは、右手用操作アーム14RのL型アーム12の真直アーム部12bにおいて、真直アーム部14bと対向する側面と反対側の側面に設けられた部材であり、図13(a)に示すように、回動軸線O13に直交する当接面33aを備えている。
また、接続部33Lは、左手用操作アーム14LのL型アーム12の真直アーム部12bにおいて、真直アーム部14bと対向する側面と反対側の側面に設けられた部材であり、図13(b)に示すように、回動軸線O13に直交する当接面33aを備えている。
【0115】
接続部33Rの当接面33a上には、この当接面33aを接続部33Lの当接面33aに当接させたときに、接続部33Rと接続部33Lとの相対位置関係を固定する係合部36Rが設けられている。
また、接続部33Lの当接面33a上には、この当接面33aを接続部33Rの当接面33aに当接させたときに、接続部33Lと接続部33Rとの相対位置関係を固定する係合部36Lが設けられている。
本実施形態では、係合部36R、36Lの位置は、一例として回動軸線O13上に設けられている。
このように、係合部36R(36L)は、多関節アーム部30R(30L)の先端部に当たる真直アーム部12bの接続部33R(33L)に設けられている。
【0116】
係合部36Rは、当接面33aから回動軸線O13に沿う方向に突出し、回動軸線O13を中心軸とする半円状の突起部34と、突起部34に隣接して当接面33aから回動軸線O13に沿う方向に凹んだ、回動軸線O13を中心軸とする半円状の穴部35とを備える。また突起部34の外径と、穴部35の内径とは互いに等しく、突起部34の突出高さは穴部35の深さに比べて小さくなっている。
また、突起部34と穴部35との境界には、真直アーム部12bの長手方向および回動軸線O13に沿う平面である係合面34aが突起部34の先端から穴部35の底面まで延びている。
係合部36Lは、接続部33Lの当接面33a上に、係合部36Rと同様の位置、形状の突起部34と穴部35とが設けられている。
【0117】
このような係合部36R、36Lの構成により、各当接面33aを対向させて、係合部36R、36Lの各突起部35を互いの係合面34aを突き合わせた状態で、相手側の各穴部34に挿入していくと、各当接面33aが密着するように互いを係合させることができる。
係合部36R、36Lの近傍には、このような係合状態において、互いに対向し合う位置に、上記第1の実施形態と同様の係合センサ18R、18Lが設けられている。
このため、係合センサ18R、18Lによって、係合状態を検知することができる。
【0118】
本実施形態のマスターマニピュレータ1Bによれば、多関節アーム部30R、30Lの各関節には、上記第1の実施形態と同様にインクリメント型のエンコーダが用いられているため、初期化が必要である。
【0119】
本実施形態のマスターマニピュレータ1Bの初期化方法は、図7のフローチャートに沿って、上記第1の実施形態の初期化方法と略同様にして行うことができる。
ただし、初期化を行うのは、多関節アーム部30R、30Lであり、係合工程(ステップS1、S2)では、多関節アーム部30R、30Lの先端部に設けられた係合部36R、36L同士を係合する点が異なる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0120】
本実施形態の係合工程では、図12(a)に示すように、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを、接続部33R、33L同士が、互いの当接面33a同士、係合部36R、36L同士が対向する位置関係に保持し、各回動軸線O13が同軸となるように位置合わせして、当接面33a同士を近接させて、係合部36R、36Lを係合させる。これにより、図12(b)に示すように、係合状態が実現される。
この係合状態では、係合センサ18R、18Lが互いに対向して近接するため、係合したこと検知することができる。
このとき、本実施形態では、各第5関節13の位置は、特に位置合わせする必要はない。
本実施形態の係合部36R、36Lは、係合と係合解除とを回動軸線O13に沿う方向の移動のみで行うことができるため、係合および係合解除の作業が容易となる。また、係合状態を保持することが容易となる。
【0121】
データ取得工程では、ステップS3において、互いに係合した状態のL型アーム12同士を持って多関節アーム部30R、30Lを動かす点が異なる。
また、ステップS4において、各検出部E5a、E5b、E、E、E11の関節動作量を取得する点が異なる。
【0122】
初期値算出工程では、各式において、添字jが1〜5までとなり、具体的な行列の形が異なるのみであり、本質的に同様の収束計算によって初期値を算出することができる。
【0123】
このように、本実施形態は、上記第1の実施形態と略同様にして、多関節アーム部30R、30Lの初期化を行うことができる。
本実施形態は、多関節アームにおいて初期化が必要となるのが、多関節アームの一部である場合には、初期化が必要となる多関節アーム部分の先端部に係合部を設ければよいことを示す例になっている。
【0124】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態の操作入力装置について説明する。
図14(a)、(b)は、本発明の第3の実施形態の操作入力装置の係合部の構成を示す模式的な部分断面図である。
【0125】
本実施形態のマスターマニピュレータ1C(操作入力装置)は、図14(a)に主要部を示すように、上記第1の実施形態のマスターマニピュレータ1の係合部19R、19Lに代えて、係合部41R、41Lを備える。以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0126】
係合部41Rは、右手用操作アーム14Rの先端面14eに形成された突起の先端に半球状の凹部を形成したものである。
係合部41Lは、係合部41Rの凹部と同径の球状体を、左手用操作アーム14Lの先端面14eに立設した支持部材42の先端に形成したものである。
このため、図14(b)に示すように、係合部41Lを係合部41Rに挿入して係合すると、係合部41Rの凹部と中心Qと、係合部41Rの球の中心Qとが一致した状態で、中心Q、Qを中心に回動可能に係合されるようになっている。
本実施形態では、係合形態が簡素であり、操作者Pが手に持った状態で容易に係合状態を維持することができる。また、操作者Pが係合状態の右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを移動した場合も、係合時の姿勢の許容度が大きいため、移動時に係合が外れる可能性が少ない。このため、本実施形態では、係合センサは省略している。
【0127】
本実施形態のマスターマニピュレータ1Cの初期化方法は、図7のフローチャートに沿って、上記第1の実施形態の初期化方法と略同様にして行うことができる。
ただし、本実施形態では、係合部41R、41Lが、係合時に右手用操作アーム14R上の1点(中心Q)および左手用操作アーム14L上の1点(中心Q)に一致する1点を中心として、回動可能に相対位置を固定する点が異なる。
以下、上記第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0128】
本実施形態の係合工程では、図14(a)に示すように、係合部41R、41L同士を係合する。操作者Pは、係合部41Lが係合部41Rから離間しないように係合部41R、41Lの近くの右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lを保持する。
また、本実施形態では、係合センサを設けないため、マスター制御部100に適宜入力装置を設けておき、ステップS2では、操作者Pが係合完了した係合検知部102に通知する。
【0129】
データ取得工程では、上記第1の実施形態と同様にして行うことができる。
本実施形態では、係合状態における右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14Lの姿勢変化の自由度があるため、中心Q、Q回りの回動を適宜加えることによっても、関節動作量を変化させることができる。
【0130】
初期値算出工程では、相対位置が固定されているのが、中心Q、Qのみであるため、位置座標(X,Y,Z)、(X,Y,Z)のみが一致する条件を採用することになる。したがって、式(10)の式本数が上記第1の実施形態の半分になる点が異なる。
しかしながら、本実施形態では、連立方程式を逐次最小二乗法によって、近似的に解くため、初期値の算出には特に影響しない。このため、具体的な連立方程式の形が異なるのみであり、本質的に同様の収束計算によって初期値を算出することができる。
【0131】
このように、本実施形態は、上記第1の実施形態と略同様にして、多関節アーム3R、3Lの初期化を行うことができる。
本実施形態は、係合部が、多関節アームの先端部同士を、一点を中心として回動可能に係合する場合の例になっている。
【0132】
なお、上記の各実施形態、変形例の説明では、多関節アームが2組設けられた場合に例で説明したが、多関節アームは3組以上設けられていてもよい。
この場合、3組以上の各先端部が1箇所で係合され、1つの閉ループを構成するようにして、初期化を行ってもよいし、3組以上の多関節アームと2組ずつを組み合わせて、複数回の初期化を行ってもよい。
【0133】
また、上記の各実施形態、変形例の説明では、いずれも、同様な構成の多関節アームを例にして説明したが、これは一例であって、多関節アームの自由度、具体的な関節とアームの組合せの構成は、これに限定されるものではない。
本発明は、回動運動または直動運動をする複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた多関節アームであれば、どのような構成の多関節アームを採用してもよい。
また、互いに係合する多関節アームの構成も適宜変えることができる。
ここで、「直列に連結され」という意味は、初期化を行う多関節アームの部分が直列に連結されているという意味である。したがって、初期化の対象にならない分岐アームを備える構成も本発明の範囲である。
【0134】
また、上記の各実施形態、変形例の説明では、いずれも、係合部の係合状態を患者Pが手に持って維持する場合の例で説明したが、係合部または係合部の近傍に、係合状態の固定と係合解除とを行う係合固定手段を設けてもよい。
係合固定手段の例としては、ねじ、クランプなどの機械的な固定手段や、磁石等を用いた磁気的な固定手段などの例を挙げることができる。
【0135】
また、上記の第2の実施形態の説明では、多関節アーム3R(3L)において、第5関節13が検出部F13を備えることにより、第5関節13、右手用操作アーム14R(左手用操作アーム14L)の部分は初期化を行う必要がない場合の例で説明した。
ただし、第5関節13に初期化が必要な検出部E13を備える場合でも、本発明の初期化方法によらない初期化を行うようにすれば、多関節アーム部30R(30L)のみを本発明の初期化方法で初期化すればよい。
本発明以外の初期化方法の例としては、例えば、L型アーム12と右手用操作アーム14R(左手用操作アーム14L)との間に、互いの相対位置関係を関節座標系の基準に合わせて固定する係合手段が設けておき、係合状態で、検出部E13にリセット信号を送信する、といった初期化方法を挙げることができる。
【0136】
また、上記第1変形例の説明では、中間部材20に被検知媒体22R、22Lを設けた場合の例で説明したが、係合部19R、19Lの係合センサ18R、18Lと、中間部材20における被検知媒体22R、22Lとを入れ替えた構成としてもよい。
この場合、多関節アーム3R、3L内に、係合センサ18R、18Lの信号線を配回す必要がなくなるため、多関節アーム3R、3Lの構成を簡素化することができる。
【0137】
また、上記の各実施形態、各変形例に説明したすべての構成要素は、本発明の技術的思想の範囲で適宜組み合わせを代えたり、削除したりして実施することができる。
例えば、上記第1変形例の右手用操作アーム14R、中間部材20、および左手用操作アーム14Lとの各係合部に代えて、上記第3の実施形態の係合部41L、41Rを用いる構成としてもよい。この場合、右手用操作アーム14R、左手用操作アーム14L上の二点間の距離を一定にした状態で中間部材20に対して回動可能に係合する構成が得られる。
【符号の説明】
【0138】
1、1A、1B、1C マスターマニピュレータ(操作入力装置)
2 本体フレーム
3R、3L 多関節アーム
4 表示部
5 第1関節
5a 回動関節(関節)
5b 直動関節(関節)
6、8 アーム
7 第2関節(関節)
9 第3関節(関節)
10、12 L型アーム(アーム)
10a、10b、12a、12b、14a、14b 真直アーム部
11 第4関節(関節)
13 第5関節(関節)
14L 左手用操作アーム
14R 右手用操作アーム
14c グリップ部
14e 先端面
15 把持操作部
15L、16R 凸部
15R、16L 凹部
16b、17a 段部
18L、18R 係合センサ
19L、19R、21R、21L、36R、36L 係合部
30R、30L 多関節アーム部(多関節アーム)
100 マスター制御部
101 データ取得部
102 係合検知部
103 初期値算出部
5a、E5b、E、E、E11、E13 検出部
5a、O、O11、O13 回動軸線
5b、O 直動軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動または直動の自由度を有する複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた多関節アームを2組以上有する操作入力装置であって、
前記多関節アームの基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持部と、
前記関節に設けられ、該関節の動作を未知の初期値からの回転角度または変位で表した関節動作量を検出する検出部と、
前記多関節アームの前記先端部にそれぞれ設けられ、該先端部同士の相対位置が固定されるように係合する係合部と、
前記係合部を介して前記多関節アームの前記先端部同士を係合し互いに係合された前記先端部同士を移動させた際に、前記検出部が検出した前記関節動作量を時系列に複数組取得するデータ取得部と、
該データ取得部によって時系列に取得された前記関節動作量に基づいて、前記先端部同士の相対位置関係が前記係合部を介して固定された条件の下に前記未知の初期値を算出する初期値算出部と、
を備えることを特徴とする操作入力装置。
【請求項2】
前記初期値算出部は、
前記多関節ロボットの前記先端部の位置および姿勢を記述する運動学の関係式と、前記データ取得部によって時系列に取得された前記関節動作量とに基づいて、前記関節動作量の初期値を未知数とする連立方程式を生成し、
該連立方程式を解いて前記関節動作量の初期値を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記初期値算出部は、
前記連立方程式において0にすべき残差式が収束判定値以下になるまで収束計算を行うことにより前記連立方程式を解く
ことを特徴とする請求項2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記初期値算出部は、
予め決めた時間内に収束計算が終わらない場合に警告を行う
ことを特徴とする請求項3に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記警告の一つが前記検出部の故障を警告する
ことを特徴とする請求項4に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記係合部は、
前記多関節アームの前記先端部同士を直接係合して、互いの相対位置を固定する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記係合部は、
前記多関節アームの先端部同士を、一点を中心として回動可能に係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記係合部は、
係合相手の多関節アームの係合部との間の距離を一定に保つ中間部材を介して前記係合相手の多関節アームの係合部と係合される
ことを特徴とする請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記係合部は、
前記多関節アームの先端部同士の間の相対位置および相対姿勢を固定して係合する
ことを特徴とする請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項10】
回動または直動の自由度を有する複数の関節によって直列に連結され、基端部に対する先端部の位置、姿勢が変更可能とされた2組以上の多関節アームと、前記関節に設けられ、該関節の動作を未知の初期値からの回転角度または変位で表した関節動作量を検出する検出部とを有する操作入力装置の初期化方法であって、
前記多関節アームの基端部を、互いの相対位置関係を固定した状態に保持する保持工程と、
前記多関節アームの前記先端部同士を、該先端部同士の相対位置が固定されるように係合する係合工程と、
互いに係合された多関節アームの前記先端部同士を移動させつつ、前記互いに係合された多関節アームの各関節に設けられた前記検出部から、前記関節動作量を時系列に複数組取得するデータ取得工程と、
該データ取得工程において時系列に取得された前記関節動作量に基づいて、前記先端部同士の相対位置関係が係合によって固定された条件の下に前記未知の初期値を算出する初期値算出工程と、
を備えることを特徴とする操作入力装置の初期化方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2013−86206(P2013−86206A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228677(P2011−228677)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】