説明

操作装置

【課題】仕切り壁の薄肉化を図った場合であっても、この仕切り壁が電気部品との当接に起因して容易に破損することを適切に防止することが可能な操作装置を提供する。
【解決手段】スイッチ操作領域6を有する筐体1内に収容され、かつスリット22およびこのスリット22を挟んだ一対の分離対象部位を有する制御基板2と、筐体1の内面部12aに突設されてスリット22に挿通し、かつ一対の分離対象部位どうしの間を仕切る仕切り壁3と、を具備している、操作装置OPであって、仕切り壁3のうち、制御基板2よりも内面部12a寄りの基端部3bには、この基端部3bに局所的な幅狭部31を形成する切欠き部30が設けられ、幅狭部31は、仕切り壁3の先端部3a側を一対の分離対象部位が並ぶ方向に変位可能とする弾性変形可能部として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置やその他の装置のリモコンなどとして用いるのに好適な操作装置、さらに詳しくは、筐体内に制御基板が収容された構造をもつ操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の操作装置の具体例として、特許文献1,2に記載されたものがある。これらの文献に記載された操作装置は、制御基板を内部に収容した筐体の内面部に、仕切り壁が突設された構成を有している。前記仕切り壁は、制御基板に設けられたスリットに挿通しており、制御基板上に搭載された電気部品どうしの間を仕切っている。このような構成によれば、電気部品どうしが互いに接触することが仕切り壁によって阻止され、前記電気部品間に電気的短絡が生じることを防止することができる。
【0003】
しかしながら、前記従来技術においては、次に述べるように、改善すべき余地があった。
【0004】
すなわち、前記仕切り壁には、なんらかの事情に起因して電気部品が強く当たる場合がある。とくに、仕切り壁によって仕切られる対象が、電気配線であって、この電気配線を制御基板に取り付ける際、あるいは電気配線が筐体の内部から外部に引き出されて種々の方向に引っ張りを受けるような際には、電気配線が仕切り壁に強く当たる可能性が高い。このため、仕切り壁については、電気部品が当たった際に容易に破損を生じないようにすることが要望される。これに対し、前記従来技術における仕切り壁は、たとえば単なる平板状に形成されているに過ぎず、そのような要望に的確に応え得るものではない。仕切り壁の破損を防止するための手段としては、仕切り壁の厚みを大きくし、その機械的強度を高めることが考えられる。ところが、このように仕切り壁の厚みを大きくしたのでは、筐体内の有効スペース、あるいは制御基板上の部品搭載スペースが狭くなる不利を招く。また、筐体の軽量化や原材料の節約などを図る観点からしても、仕切り壁は、できる限り薄く形成されることが望まれ、この点において改善の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3517321号公報
【特許文献2】特許第3906757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、一対の分離対象部位どうしの間を仕切る仕切り壁の薄肉化を図った場合であっても、この仕切り壁が電気部品などとの当接に起因して容易に破損することを適切に防止することが可能な操作装置を提供することを、その課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0008】
本発明により提供される操作装置は、スイッチ操作領域が設けられている筐体と、この筐体内に収容されており、かつスリットおよびこのスリットを挟んで並んだ一対の分離対象部位を有する制御基板と、前記筐体の内面部に突設されて前記スリットに挿通し、かつ前記一対の分離対象部位どうしの間を仕切る仕切り壁と、を具備している、操作装置であって、前記仕切り壁のうち、前記制御基板よりも前記内面部寄りの基端部には、この基端部に局所的な幅狭部を形成する切欠き部が設けられており、前記幅狭部は、前記仕切り壁の先端部側を前記一対の分離対象部位が並ぶ方向に変位可能とする弾性変形可能部として機能するように構成されていることを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、なんらかの事情に起因して、一対の分離対象部位に存在する電気部品が仕切り壁の先端部側に強く当接すると、幅狭部が弾性変形を生じ、前記仕切り壁の先端部側は変位する。この変位により、仕切り壁に対する電気部品の当接力が緩和される。したがって、前記従来技術とは異なり、仕切り壁の厚みを比較的薄くした場合であっても、電気部品との当接によって仕切り壁が容易に破損しないようにすることができる。その結果、本発明によれば、仕切り壁の薄肉化を図り、筐体内の有効スペース、あるいは制御基板上の部品搭載スペースが狭くなる不利を回避することができる。また、仕切り壁の薄肉化により、筐体の軽量化や原材料の節約などを好適に図ることもできる。さらに、仕切り壁を筐体と一体的に樹脂成形する場合においては、筐体の外面部のうち、前記仕切り壁とは反対側の位置に、ヒケを生じ難くする効果も得られる。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記筐体の前記内面部が設けられている部分と前記仕切り壁とは、一体的に樹脂成形されており、前記切欠き部は、前記仕切り壁の基端部の一部を前記内面部から離間させるように設けられ、前記仕切り壁は、前記幅狭部のみを介して前記内面部と繋がっている。
【0011】
このような構成によれば、仕切り壁の基端部と筐体の内面部とが直接繋がっている部分の面積を小さくすることができる。したがって、筐体の外面部のうち、前記仕切り壁とは反対側の位置に、樹脂成形時のヒケをより生じ難くすることができる。また、弾性変形可能部として機能する幅狭部が筐体の内面部に近い位置に存在し、仕切り壁の先端部から遠い位置に設けられているほど、仕切り壁の先端部側の最大変位量を大きくするのに有利となるが、前記構成によれば、幅狭部を筐体の内面部に最も接近させた配置として幅狭部を仕切り壁の先端部から遠い配置とすることが可能であり、仕切り壁の先端部側の変位量を大きくする上でも好ましいものとなる。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、前記切欠き部は、前記仕切り壁の幅方向中間部に位置して開口しており、前記仕切り壁の基端部の幅方向両端部のそれぞれが、前記幅狭部とされている。
【0013】
このような構成によれば、仕切り壁は、この仕切り壁の幅方向両端部に位置して適当な距離を隔てている2つの幅狭部によって、2点支持された状態となる。したがって、各幅狭部を小幅として弾性変形機能に優れたものとしつつ、仕切り壁の支持を安定的なものとするのに好ましいものとなる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る操作装置の一例を示す外観斜視図である。
【図2】(a)は、図1のIIa−IIa要部断面図であり、(b)は、図1のIIb−IIb要部断面図である。
【図3】図2(a)のIII−III断面図である。
【図4】(a)〜(c)は、本発明の他の例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1〜図3は、本発明が適用された操作装置の一例を示している。本実施形態の操作装置OPは、たとえば給湯装置(図示略)の遠隔操作用であり、台所などの壁面に取り付けられて、前記給湯装置のメインコントローラと配線接続された状態で使用される。
【0018】
図3によく表われるように、この操作装置OPは、筐体1、この筐体1内に収容された制御基板2、この制御基板2に設けられた一対の分離対象部位D、およびこれら一対の分離対象部位Dどうしの間を仕切る仕切り壁3を具備している。本実施形態において、一対の分離対象部位Dは、一対の端子部20が設けられた部分であり、各端子部20には、図2に示す電気配線8の端部80がネジ体21を用いて接続される。電気配線8は、前記した給湯装置のメインコントローラとの接続に利用されるものであり、たとえば筐体1の背板部11に設けられた開口部11aを介して筐体1の外部に引き出される。ただし、筐体1が背板部11を有しない構成とされて、電気配線8が端子部20との接続箇所から筐体1の背面側へそのまま引き出される場合もある。
【0019】
図1に示すように、筐体1は、偏平な略直方体状であり、前壁部12を有する筐体本体部10を有している。この筐体本体部10は、ABS樹脂製あるいはその他の合成樹脂製である。前壁部12には、スイッチ操作領域6、および画面表示領域7が設けられている。スイッチ操作領域6は、複数の静電スイッチ部SWを有している。図2(a)に示すように、筐体1内のうち、前壁部12の内面部12aには、制御基板2に接続された静電容量センサ60が接触または接近して設けられている。静電スイッチ部SWに指を近付けると、静電容量センサ60の対応箇所に電流が流れ、これが制御基板2の所定の回路において検出される。詳細な説明は省略するが、静電容量センサ60は、たとえば樹脂製フィルムに複数の銅製のコイルをパターン形成して構成されたものであり、その厚みは小さい。このことにより、筐体1、ひいては操作装置OPの全体の薄型化が図られている。ただし、本発明はこれに限定されず、スイッチ操作領域6をたとえば接点方式の押圧スイッチが設けられた領域として構成し得ることは勿論である。画面表示領域7は、各種のデータ表示を行なうための領域であり、7セグメントあるいは液晶表示器などの表示機器71を前壁部12に設けられた開口窓72に臨ませ、かつカバー体70により覆った構成である。
【0020】
制御基板2は、たとえばエポキシ樹脂製などの基板本体上に所定の回路を構成する各種の電気・電子部品群(図示略)を搭載したものであり、筐体1の前壁部12の内面部12aに突設されたボス部13に当接し、ネジ体90を利用して筐体1内に固定されている。制御基板2は、既述したように、端子部20が設けられた一対の分離対象部位Dを有するが、これら一対の分離対象部位Dどうしの間には、仕切り壁3を挿通させるためのスリット22が設けられている。
【0021】
仕切り壁3は、電気配線8の端部80どうしが接触して短絡することを防止するための部分であり、筐体1の前壁部12と一体的に樹脂成形され、かつ前壁部12の内面部12aから制御基板2に向けて突出している。この仕切り壁3は、制御基板2のスリット22を通過し、その先端部3aは、一対の端子部20どうし、および一対の電気配線8の端部80どうしの間に位置している。図3によく表われているように、この仕切り壁3は、スリット22の短手方向(図3の左右方向)において、このスリット22の縁部と仕切り壁3との間に、適当な遊び代s1が生じる厚みとされている。
【0022】
図2(b)によく表われているように、仕切り壁3は、側面視の基本形状が略矩形状であるものの、制御基板2よりも内面部12a寄りの基端部3bに、切欠き部30が開口して設けられた形態である。切欠き部30は、仕切り壁3の幅方向(図2の左右方向)の中間部に位置している。この切欠き部30が形成された箇所においては、仕切り壁3の基端部3bと前壁部12の内面部12aとは互いに離間している。基端部3bのうち、仕切り壁3の幅方向両端部の2箇所は、局所的に狭くされた幅W1を有する幅狭部31である。仕切り壁3は、それら2箇所の幅狭部31のみを介して前壁部12の内面部12aに繋がっている。各幅狭部31は、その幅W1が狭く形成されているが故に、この仕切り壁3の先端部3a側が図3の矢印N1方向に変位することを可能とする弾性変形可能部として機能する。
【0023】
次に、前記した操作装置OPの作用について説明する。
【0024】
制御基板2上の各端子部20に、電気配線8を接続する作業を行なう場合、あるいはその接続を終えた後にこの電気配線8が種々の方向に引っ張られるような場合には、電気配線8が、仕切り壁3の先端部3a側に強く当接する虞がある。このような当接を生じた場合には、その当接力によって幅狭部31が弾性変形し、先端部3a側は電気配線8によって押圧される方向に変位する。したがって、この変位により、仕切り壁3に対する電気配線8の当接力が吸収・緩和される。このようなことから、仕切り壁3の厚みを比較的薄くした場合であっても、仕切り壁3が電気配線8との当接によって容易に破損しないようにすることができる。仕切り壁3の厚みを薄くすれば、その分だけ、筐体1内の有効スペース、あるいは制御基板2上の部品搭載スペースを大きくすることができる。また、筐体1の成形材料の節約を図ることもできる。
【0025】
仕切り壁3は、既述したように、筐体1の前壁部12に一体的に樹脂成形されているために、この仕切り壁3を厚肉の体積が大きいものに形成した場合には、前壁部12の外面側にヒケを生じ易くなる。これに対し、本実施形態の操作装置OPでは、前記したように、仕切り壁3を薄肉化してその体積を小さくすることができるために、前記したようなヒケも生じ難くすることができる。とくに、仕切り壁3の基端部3bは、幅方向の全長域が前壁部12に繋がった構成にはなく、2箇所の幅狭部31が前壁部12に繋がっているに過ぎないために、前記したようなヒケは、より生じ難くなる。
【0026】
仕切り壁3の先端部3a側が電気配線8によって押圧された際に変位する動作は、先端部3a側が幅狭部31を中心として傾斜(回転)することによりなされる。このため、幅狭部31が前壁部12に接近し、かつこの幅狭部31から先端部3aまでの距離が長いほど、幅狭部31の僅かな弾性変形量によって先端部3aを大きく変位させることが可能となる。これに対し、本実施形態においては、幅狭部31が前壁部12に直接接触しており、幅狭部31から先端部3aまでの距離を長くとることができる。したがって、幅狭部31に大きな負担を生じさせることなく、先端部3a側の変位量を大きくするのに好ましいものとなる。また、仕切り壁3は、この仕切り壁3の幅方向に間隔を隔てた2つの幅狭部31によって2点支持された構成であるために、各幅狭部31を小幅として弾性変形機能に優れたものとしつつ、仕切り壁3の支持を安定したものとすることもできる。
【0027】
図4は、本発明の他の例を示している。同図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付している。
【0028】
図4(a)に示す構成においては、仕切り壁3の基端部3bに、小孔状の切欠き部30Aが複数箇所設けられており、これら複数の切欠き部30Aどうしの間の部分も幅狭部31となっている。図4(b)に示す構成においては、仕切り壁3の幅方向の両端部に切欠き部30Bが設けられて、幅方向の中間部に1つの幅狭部31が形成されている。これらのいずれの構成においても、幅狭部31の弾性変形機能により、仕切り壁3の先端部3a側を仕切り壁3の厚み方向に変位させることが可能である。
【0029】
図4(c)に示す構成においては、仕切り壁3の基端部3bのうち、前壁部12の内面部12aから適当な寸法L1だけ離れた箇所に開口孔としての切欠き部30Cが設けられており、この切欠き部30Cの両側方部分が幅狭部31となっている。このような構成によれば、基端部3bに寸法L1の厚み部分が設けられていることによる利点がとくに得られる訳ではないものの、幅狭部31が設けられていることにより、やはり本発明が意図する作用を得ることができる。
【0030】
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係る操作装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0031】
たとえば、筐体1の背板部11に制御基板2を取り付け、かつ仕切り壁3を背板部11に設けた構成とすることが可能である。本発明でいう切欠き部や幅狭部の形状や配置などは、図4(a)〜(c)に示した実施形態からも理解されるように、種々の構成とすることが可能である。本発明でいう幅狭部は、仕切り壁の基端部に切欠き部が設けられていることにより、局所的に幅が狭くされるように形成され、かつ一対の分離対象部位が並ぶ方向に仕切り壁の先端部側が変位し得るように弾性変形可能であればよい。本発明でいう一対の分離対象部位は、電気配線を接続するための端子部が設けられている部分でなくてもよく、それ以外の部分を分離対象部位とすることができる。本発明に係る操作装置は、給湯装置用以外として、種々の装置・機器類(たとえば、コージェネレーションシステム、ヒートホンプ、空調機、軟水器などの水処理装置など)の遠隔操作用、または遠隔操作用以外の操作装置として構成することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ操作領域が設けられている筐体と、
この筐体内に収容されており、かつスリットおよびこのスリットを挟んで並んだ一対の分離対象部位を有する制御基板と、
前記筐体の内面部に突設されて前記スリットに挿通し、かつ前記一対の分離対象部位どうしの間を仕切る仕切り壁と、
を具備している、操作装置であって、
前記仕切り壁のうち、前記制御基板よりも前記内面部寄りの基端部には、この基端部に局所的な幅狭部を形成する切欠き部が設けられており、
前記幅狭部は、前記仕切り壁の先端部側を前記一対の分離対象部位が並ぶ方向に変位可能とする弾性変形可能部として機能するように構成されていることを特徴とする、操作装置。
【請求項2】
前記筐体の前記内面部が設けられている部分と前記仕切り壁とは、一体的に樹脂成形されており、
前記切欠き部は、前記仕切り壁の基端部の一部を前記内面部から離間させるように設けられ、前記仕切り壁は、前記幅狭部のみを介して前記内面部と繋がっている、請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記切欠き部は、前記仕切り壁の幅方向中間部に位置して開口しており、前記仕切り壁の基端部の幅方向両端部のそれぞれが、前記幅狭部とされている、請求項2に記載の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−71051(P2011−71051A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−223130(P2009−223130)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【出願人】(503116659)ノーリツエレクトロニクステクノロジー株式会社 (155)
【Fターム(参考)】