説明

攪拌機

【課題】 低速回転で、しかも、塗装タンクの形状、特に、濾斗状や傾斜底面を有する底部形状にも適応性があり、確実かつ均一な攪拌が可能な攪拌機を提供する。
【解決手段】 垂直軸下端に攪拌部材を装着した攪拌機において、上記攪拌部材は、垂直軸から左右に延びる支持部材と、下部に錘を装着した可動あるいは可撓の吊持部材とから構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、低シェアーで塗料を攪拌するために塗料タンク内に設置される攪拌機、特に、底部が傾いた濾斗状などの塗装タンク内で塗料を攪拌するための、低速攪拌用の攪拌機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の攪拌機は、仮に、底部が傾いた塗装タンク内でも、塗料の攪拌が確実かつ均一に行える必要がある。特に、固形物、アルミペーストなどのペースト状の材料を樹脂塗料、溶剤などの液状物と混合する場合、高シェアーを掛けないで混合する必要がある条件に適応できることが望まれている。このためには、従来のような、垂直軸の下端にプロペラ形の攪拌翼を装備したものでは、うまく適応できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者は、機械構造的には単純で、清掃やメンテナンスの上で有利であり、しかも、上記要望を満足する構成の攪拌機を工夫したのである。即ち、本発明は、低速回転で、しかも、塗装タンクの形状、特に、濾斗状や傾斜底面を有する底部形状にも適応性があり、確実かつ均一な攪拌が可能な攪拌機を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】このため、本発明では、垂直軸下端に攪拌部材を装着した攪拌機において、上記攪拌部材は、垂直軸から左右に延びる支持部材と、下部に錘を装着した可動あるいは可撓の吊持部材とから構成されていることを特徴とする。
【0005】この場合、上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数のコイル状スプリングであり、錘は、これらスプリングの下端に共通して取り付けられたコイル状の針金あるいはバーであるとよい。また、上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数の可撓性紐体であり、錘は、これら紐体の下端に共通して取り付けられたバーであってもよい。
【0006】更に、上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した多数の可撓性紐体、好ましくは、ピアノ線であり、錘は、個々に上記可撓性紐体の下端に取り付けられた多数の錘部材であるとよい。また、上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上下摺動可能に支持され、その上端で吊持されると共に、その下端に錘を備えた棒状あるいは帯状部材であってもよい。なお、上記支持部材は、それ自体が攪拌機能を持った羽根部材であってもよい。
【0007】従って、このような構成の攪拌機では、固定シェアーで攪拌でき、しかも、塗装タンクの形状、特に、濾斗状や傾斜底面を有する底部形状にも適応性があり、確実かつ均一な攪拌が可能である。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の攪拌機の構造について、実施の形態を、具体的に説明することにする。ここでは、塗料タンク1は、その底部が、塗料排出口2側に傾斜した円筒状をなしており、その中央には、攪拌機の垂直軸3が、タンク内に下げ降ろされている。そして、上記攪拌機は、例えば、図1および図2に示すように、その垂直軸3の下端に攪拌部材4を装着しており、攪拌部材4は、垂直軸3から左右に延びる支持部材5と、下部に錘6を装着した可動あるいは可撓の吊持部材7とから構成されている。この場合、吊持部材7は、支持部材5の長手方向に所要間隔で上端を結合した多数の可撓性紐体、好ましくは、ピアノ線であり、錘6は、個々に可撓性紐体の下端に取り付けられた多数の錘部材である。
【0009】このような構成では、モーター(図示せず)の駆動による垂直軸3の低速回転で、錘6が遠心力を受け、塗料タンク1の傾斜底面を摺動するようにして、タンク内部の塗料、特に、固形物、アルミペーストなどのペースト状の材料を樹脂塗料、溶剤などの液状物に対して混合する。従って、このような構成の攪拌機では、低シェアーで攪拌でき、しかも、塗装タンクの形状、特に、濾斗状や傾斜底面を有する底部形状にも適応性があり、確実かつ均一な攪拌が可能である。
【0010】なお、吊持部材7は、図3や図4に示すように、支持部材5の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数のコイル状スプリングであり、錘6は、これらスプリングの下端に共通して取り付けられたコイル状の針金あるいはバーであってもよい。また、吊持部材7は、図5に示すように、支持部材5の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数の可撓性紐体であり、錘6は、これら紐体の下端に共通して取り付けられたバーであってもよい。
【0011】更に、吊持部材7は、図6および図7に示すように、支持部材5の長手方向に所要間隔で形成したスリットガイド5aで、上下摺動可能に支持され、その上端で吊持されると共に、その下端に錘6を一体に備えた棒状あるいは帯状部材であってもよい。また、支持部材5は、上述の全ての実施の形態において、例えば、図8R>8に示すように、それ自体が攪拌機能を持った羽根部材であってもよい。
【0012】
【発明の効果】本発明は、以上詳述したようになり、垂直軸下端に攪拌部材を装着した攪拌機において、上記攪拌部材は、垂直軸から左右に延びる支持部材と、下部に錘を装着した可動あるいは可撓の吊持部材とから構成されているので、低シェアーで攪拌でき、しかも、塗装タンクの形状、特に、濾斗状や傾斜底面を有する底部形状にも適応性があり、確実かつ均一な攪拌が可能であるという優れた効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す模式的な縦断側面図である。
【図2】同じく、要部の斜視図である。
【図3】本発明の別の実施の形態を示す概略側面図である。
【図4】本発明の別の実施の形態を示す概略側面図である。
【図5】本発明の別の実施の形態を示す概略側面図である。
【図6】本発明の別の実施の形態を示す概略側面図である。
【図7】同じく、要部の斜視図である。
【図8】本発明の別の実施の形態を示す概略側面図である。
【符号の説明】
1 塗料タンク
2 排出口
3 垂直軸
4 攪拌部材
5 支持部材
5a スリットガイド
6 錘
7 吊持部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】 垂直軸下端に攪拌部材を装着した攪拌機において、上記攪拌部材は、垂直軸から左右に延びる支持部材と、下部に錘を装着した可動あるいは可撓の吊持部材とから構成されていることを特徴とする攪拌機。
【請求項2】 上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数のコイル状スプリングであり、錘は、これらスプリングの下端に共通して取り付けられたコイル状の針金あるいはバーであることを特徴とする請求項1に記載の攪拌機。
【請求項3】 上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した複数の可撓性紐体であり、錘は、これら紐体の下端に共通して取り付けられたバーであることを特徴とする請求項1に記載の攪拌機。
【請求項4】 上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上端を結合した多数の可撓性紐体、好ましくは、ピアノ線であり、錘は、個々に上記可撓性紐体の下端に取り付けられた多数の錘部材であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌機。
【請求項5】 上記吊持部材は、上記支持部材の長手方向に所要間隔で上下摺動可能に支持され、その上端で吊持されると共に、その下端に錘を備えた棒状あるいは帯状部材であることを特徴とする請求項1に記載の攪拌機。
【請求項6】 上記支持部材は、それ自体が攪拌機能を持った羽根部材であることを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れかに記載の攪拌機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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