支持具
【課題】コンパクト化を図りつつ、取付作業性の向上を図ることのできる支持具を提供する。
【解決手段】パレットに設けられた四角筒状の台座枠に対して取付けられ、該取付状態においてワークをパレットから離間させた状態で支持可能な支持具3は、ワークの下面を支持可能な載置部23と、台座枠の上辺部に支持される鍔部25とを具備する本体部21と、本体部21から下方に突出する取付部31とを備えている。取付部31は、鍔部25が台座枠に支持された状態において、台座枠に挿入されるガイド脚部32及び係止片33を備えている。係止片33は、一対で設けられ、弾性変形可能に構成されるとともに、その先端部には、台座枠の下辺部に係止される係止爪34が形成されている。ガイド脚部32は、本体部21の下面の4隅に対応して設けられ、水平方向において台座枠と当接可能に構成されている。
【解決手段】パレットに設けられた四角筒状の台座枠に対して取付けられ、該取付状態においてワークをパレットから離間させた状態で支持可能な支持具3は、ワークの下面を支持可能な載置部23と、台座枠の上辺部に支持される鍔部25とを具備する本体部21と、本体部21から下方に突出する取付部31とを備えている。取付部31は、鍔部25が台座枠に支持された状態において、台座枠に挿入されるガイド脚部32及び係止片33を備えている。係止片33は、一対で設けられ、弾性変形可能に構成されるとともに、その先端部には、台座枠の下辺部に係止される係止爪34が形成されている。ガイド脚部32は、本体部21の下面の4隅に対応して設けられ、水平方向において台座枠と当接可能に構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの運搬等に使用される支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パレット等のベース部材にワークを載せて運搬・保管等する場合に、ワークの脱落防止や保護等を図るべく、ベース部材に対して複数の支持具を取付け、支持具によってワークをベース部材から離間させた状態で支持するといった技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4091375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術では、ボルト及びナットを用いて支持具をベース部材に取付けている。このため、支持具及びベース部材は、単に互いの形状に対応させるだけではなく、それぞれボルト及びナットを取付可能とする形状に構成される必要がある。このような事情の下、支持具及びベース部材の形状や支持具の設置場所に多くの制約が生じてしまうことが懸念され、場合によっては、支持具やベース部材の形状の複雑化を招いたり、支持具の大型化を招いたりするおそれがある。さらには、支持具を取付ける作業に手間がかかる上、コストアップを招くことも懸念される。
【0005】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、コンパクト化を図りつつ、取付作業性の向上を図ることのできる支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.ベース部材に設けられた被取付部に対して取付けられ、該取付状態において所定のワークをベース部材から離間させた状態で支持可能な支持具であって、
上面側においてワークの下面を支持可能な載置部が形成されるとともに、下面側においてベース部材の被取付部に支持される被支持部が形成されてなる本体部と、
前記本体部から下方に突出する取付部とを備え、
前記取付部は、前記被支持部がベース部材の被取付部に支持された状態において、被取付部に設けられた開口部に挿入される挿入片と、前記挿入片が被取付部の開口部に挿入された状態において、被取付部に設けられた被係止部に係止される係止爪とを備え、
前記挿入片は少なくとも一対で設けられ、前記係止爪の被係止部への係止状態において、少なくとも一対の前記挿入片がベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されるとともに、前記挿入片のうち少なくとも1つは弾性変形可能に構成され、
前記係止爪は、前記挿入片のうち、少なくとも前記弾性変形可能に構成された挿入片の延出方向先端側に設けられていることを特徴とする支持具。
【0008】
手段1によれば、支持具をベース部材の被取付部に取付けるための取付部が、本体部から下方(被取付部への取付方向側)に突設されているため、ベース部材を平面視した場合の支持具の設置スペースを極力小さくすることができる。また、支持具をベース部材に取付けるために、ボルト及びナット等の別途の取付部材を用いなくても済む。これにより、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができるとともに、ベース部材において、ボルト及びナット等を取付ける作業を行うための(レンチを回すための)スペースを確保する必要がなくなり、支持具の設置場所や、ベース部材及び支持具の形状に関して比較的融通が利くようになる。従って、ベース部材の比較的狭所にも支持具を設置することも可能となり、また、ベース部材や支持具の形状の簡素化やコンパクト化をも図ることができる。
【0009】
尚、ワーク及びベース部材は金属製であり、支持具は樹脂製であることとしてもよい。また、「被取付部に設けられた開口部」とは、挿入片を挿入可能な空間(の入り口)を意図しており、外縁が一続きに繋がっているような「孔」だけでなく、被取付部を構成する部材(例えば、一対の壁部)間の「間隙」等も含む趣旨である。
【0010】
手段2.前記載置部から上方に突出し、前記載置部に支持されたワークに対して水平方向に当接し得る位置決め部を備えていることを特徴とする手段1に記載の支持具。
【0011】
手段2によれば、位置決め部によって載置部に載置されたワークの水平方向における位置決めを行うことができ、ワークを安定した状態で運搬等することができる。尚、位置決め部は、前記載置部に支持されたワークの外縁部と当接可能な構成でもよいし、ワークに形成された凹部等に挿入されてその内側面に当接可能な構成でもよい。
【0012】
また、「前記載置部と前記位置決め部との境界部に沿って溝部が形成されている」こととしてもよい。この場合、載置部に載置されたワークの角部によって支持具が削られてしまうといった事態を回避することができる。従って、削りカスがワークに付着してしまったり、支持具の意図しない損傷を招いてしまったりするといった不具合を払拭することができる。さらに、位置決め部が平面視略L字状、又は、平面視略コ字状をなしている場合(コーナー部を有する場合)には、内側のコーナー部において上下方向に延在する凹部が形成されていることとしてもよい。この場合、ワークを載置部に載置する際等において、ワークの角部で支持具が削れてしまうといった事態を回避することができる。
【0013】
手段3.前記挿入片は、
先端側において前記係止爪が形成された係止片と、
前記係止爪の形成されていないガイド脚部とを備え、
前記ガイド脚部は、前記係止片よりも下方にまで突出するとともに、前記係止爪の被係止部への係止状態において、ベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の支持具。
【0014】
手段3によれば、ガイド脚部は係止片よりも下方にまで突出しており、支持具を被取付部に取付ける際に、係止片よりも先行して被取付部の開口部に挿入されることとなる。従って、係止片を好適な相対位置で被取付部の開口部に挿入することができ、支持具を正確に取付けることができる上、取付作業性の向上を図ることができる。また、ガイド脚部によって、支持具の取付作業に際して係止片が被取付部の開口部の周縁部に対して不適切な角度で接触することを防止したり、支持具の取付後に、支持具に対して水平方向の外力が作用した場合に、係止片に付加される力を低減又は付加されないように構成したりすることができ、係止片の保護を図ることができる。
【0015】
尚、係止片の両側方にガイド脚部が設けられていることとしてもよい。この場合、支持具の被取付部への取付状態において、支持具に対して水平方向に力を加えたとしても、係止片の両側方のガイド脚部の存在によって係止片が変形するといった事態を防止することができる。従って、支持具の不用意な脱落等を防止することができ、取付状態の安定化を図ることができる。尚、ガイド脚部によって支持具の水平方向における位置ずれが防止されることから、係止爪の被係止部への係止状態において、係止片は、被取付部に対して当接可能に構成されてもよいし、当接しないように構成されてもよい。
【0016】
手段4.前記被支持部及び前記係止爪は、前記本体部を平面視した場合において、前記載置部の外周縁よりも外周側に突出して設けられ、
前記本体部及び前記取付部は射出成型によって一体的に形成されるとともに、
前記係止爪の直上方位置において前記被支持部が存在しないように、前記被支持部には切欠き部が形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の支持具。
【0017】
手段4によれば、係止爪の直上方位置においては被支持部が存在しないため、係止爪の上面(係止面)と被支持部の下面との間がアンダーカット形状になってしまうといった事態を回避することができる。従って、本体部の上面側を成形する上型と、本体部の下面側を形成する下型とによって、別途スライドコアを用意することなく、支持具を成形することができる。
【0018】
また、係止爪の直上方位置に被支持部が存在しないことから、載置部でワークを支持した状態において、被支持部に付加された力が、係止爪を有する挿入片に及んでしまうといった事態を抑制することができ、当該挿入片の損傷等を抑制することができる。尚、載置部と被支持部との間に高低差を設ける場合、一般に本体部を中空状に形成することとなるが、本手段では、被支持部や係止爪を載置部よりも外周側に突出させることによって、被支持部及び係止爪の上面側や載置部の下面側がアンダーカット形状になることを避けることができ、被支持部、係止爪、及び載置部の上面及び下面を、上型及び下型によって確実に成形することができる。
【0019】
手段5.前記係止爪は、前記挿入片の延出方向先端に向けて次第に前記挿入片からの突出長が短くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の支持具。
【0020】
手段5によれば、支持具の被取付部への取付けに際して、係止爪が被取付部の開口部の周縁部に引っ掛かって突っ張ってしまうといった事態を回避することができ、取付部を被取付部の開口部へ比較的スムースに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】支持具の上面側を示す斜視図である。
【図2】支持具の上面側を示す斜視図である。
【図3】支持具の下面側を示す斜視図である。
【図4】支持具の下面側を示す斜視図である。
【図5】ワークを載せたパレットを示す斜視図である。
【図6】パレットの一部を示す斜視図である。
【図7】支持具を取付けたパレットの一部を示す斜視図である。
【図8】図7のJ部を示す拡大図である。
【図9】ワークを載せたパレットの一部を示す斜視図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図9のB−B線断面図である。
【図12】別の実施形態における支持具等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図5に示すように、ワークWの運搬や保管等に使用されるワーク運搬ユニット1は、複数のワークWを載せた状態で、フォークリフト等によって搬送可能なベース部材としてのパレット2と、ワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられることで、ワークWをパレット2から離間させた状態で支持可能な支持具3とを備えている。本実施形態では、ワークW及びパレット2は金属製であり、支持具3は樹脂製となっている。
【0023】
本実施形態のパレット2は、ワークWを設置可能な設置領域11を6つ備えており、最大で6つのワークWを載せて運搬等を行い得る構成となっている。また、図6に示すように、各設置領域11は、相対する一対の直線状の第1辺部13と、相対する一対の直線状の第2辺部14とを具備する四角枠状のフレーム12と、フレーム12の内周側において一対の第1辺部13間を連結するようにして各第2辺部14に沿って延びる連結辺部15とによって構成されている。
【0024】
尚、本実施形態では、第1辺部13及び連結辺部15は、鋼板を四角い筒状に折り曲げ形成することで構成され、第2辺部14は、鋼板を断面略コ字状に折り曲げ形成することで構成されている。さらに、本実施形態のパレット2は、設置領域11単位で構成されたフレーム12同士を溶接等で連結するのではなく、隣接する複数の設置領域11にかけて延びる第1辺部13と第2辺部14とを格子状に組んで(第2辺部14が上側)、第1辺部13と第2辺部14とを溶接固定することで構成されている。但し、連結辺部15に関しては、設置領域11毎に溶接固定される。
【0025】
また、連結辺部15の上辺部の両端部近傍部位には、上下に貫通する四角い枠状の台座枠17が設けられている。本実施形態の台座枠17は、各側壁部の幅が同じに形成されるとともに、隣接する側壁部同士が直角に交わるように(断面正方形の枠状に)構成されている。さらに、台座枠17の内径は、連結辺部15の幅よりも大きく、パレット2を平面視した場合に、連結辺部15の側面と台座枠17の内面との間に(後述する支持具3の係止片33及びガイド脚部32を挿入可能な)隙間が形成されている。本実施形態では、台座枠17によって被取付部が構成され、図7等に示すように、各台座枠17に対してそれぞれ支持具3が取付けられることで、各ワークWの4隅に対応してそれぞれ支持具3が設置される構成となっている。
【0026】
加えて、台座枠17の下辺部は連結辺部15の上面に対して当接状態で溶接固定されている。さらに、パレット2には、各台座枠17の第1辺部13側に隣接して補助アングル19が設けられている。補助アングル19は、連結辺部15の上面及び第2辺部14の内側の側面に対して溶接固定されるとともに、台座枠17の外面とも溶接固定されている。また、補助アングル19の上下の幅は、台座枠17の上下の幅よりも長くなっており、台座枠17よりも上方に突出している。
【0027】
さて、図1〜図4に示すように、支持具3は、パレット2の台座枠17に支持されるとともに、ワークWの下面を支持可能な本体部21と、本体部21から下方に突出する取付部31とを備えている。本実施形態の支持具3は、ポリプロピレンによって構成され、射出成型により一体的に形成されている。
【0028】
本体部21は、上下に延びる略正方形筒状の胴部22と、胴部22よりも一回り小さな正方形板状をなし、胴部22の上方の開口を一部閉塞するようにして胴部22の上辺部の互いに直交する2辺から胴部22の内周側に延出する載置部23と、載置部23のうち胴部22と連接していない2辺と、胴部22の上辺部との間を連結し、載置部23よりも上方に突出する位置決め部24と、胴部22の下辺部から外周側に延出する被支持部としての鍔部25とを備えている。本実施形態では、図8、図11等に示すように、鍔部25の下面が、台座枠17の上辺部に当接することで、支持具3が台座枠17に支持される構成となっている。さらに、図5、図9等に示すように、載置部23の上面にワークWの1つのコーナー部の下面が当接して支持される構成となっている。
【0029】
図2、図8等に示すように、位置決め部24は平面視略L字状をなし、載置部23に支持されたワークWの外周面のコーナー部と当接可能に構成されている(図9等参照)。位置決め部24は、載置部23の外周方向において互いに対向する内壁部24aと外壁部24bとを有し、内壁部24aの下部、及び、外壁部24bはほぼ鉛直方向(載置部23に対して垂直な方向)に延びる一方で、内壁部24aのうち上下方向中央部よりも若干下側の部位から上方の部位に関しては、上方に向けて湾曲しつつ載置部23の外周側に傾斜して延びている(図10等参照)。すなわち、位置決め部24の内壁部24aの上部は、ワークWをパレット2に載せる際にワークWを載置部23へと案内するガイド部として構成されている。その一方で、内壁部24aの下部は載置部23に対して垂直に立設することから、載置部23に載置されたワークWの水平方向への位置ずれをより確実に防止することができる。
【0030】
また、図2、図10等に示すように、載置部23には、位置決め部24との境界部に沿って溝部26が形成されている。このため、載置部23に載置されたワークWが、4つの支持具3の位置決め部24の内周側の範囲で水平方向にスライド変位した場合に、ワークWの角部(下面と側面との境界部)によって、載置部23と位置決め部24との境界部が削れてしまうといった事態を回避することができる。さらに、平面視略L字状をなす位置決め部24の内側(劣角側)のコーナー部には、屈曲部に沿って上下に延びる凹部27が形成されている。このため、ワークWを載置部23に載置する際等において、ワークWの角部(ワークWの外周面のコーナー部の下端部)によって、位置決め部24のコーナー部が削れてしまうといった事態を回避することができる。
【0031】
図10、図11等に示すように、胴部22の外寸は、台座枠17の内寸とほぼ同じであり、鍔部25が胴部22から僅かでも突出すれば、鍔部25の下面が台座枠17の上面に引っ掛かる(当接して支持される)ようになっている。本実施形態では、鍔部25は胴部22の外周面を構成する4面全てから突出しており、鍔部25の胴部22からの突出長は、台座枠17(を構成する壁部)の厚みとほぼ同じとなっている。このため、図11に示すように、台座枠17のうち補助アングル19が隣接した部位に対しても好適に鍔部25を当接支持させることができるようになっている。
【0032】
尚、鍔部25の補強のために、鍔部25の上面と胴部22の側面との間を連結する側面視3角形状の三角リブ28が設けられている。特に、位置決め部24に対応する部位においては、図3に示すように、三角リブ28が位置決め部24の外壁部24bにまで延長形成され、位置決め部24の補強が図られている。
【0033】
図1、図3、図4等に示すように、取付部31は、胴部22の下辺部の各コーナー部からそれぞれ下方に延出する断面略L字状のガイド脚部32と、胴部22の下辺部のうち相対する2辺の各長手方向中間位置からそれぞれ下方に延出する一対の係止片33とを備えている。図8、図10等に示すように、ガイド脚部32及び係止片33は、鍔部25が台座枠17に支持された状態において、台座枠17の内周側の空間に挿入されることとなる。本実施形態では、ガイド脚部32及び係止片33が挿入片を構成する。
【0034】
また、ガイド脚部32は、係止片33よりも下方にまで延出している。このため、取付部31を台座枠17へ取付ける際に、ガイド脚部32は係止片33に先行して台座枠17に挿入されることとなる。さらに、上記のように、胴部22の外寸は、台座枠17の内寸とほぼ同じであるため、胴部22の下辺部から下方に延出するガイド脚部32及び係止片33は、外側面が台座枠17の内側面と略当接するようになっている。これにより、支持具3の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。
【0035】
係止片33は、本体部21の外周方向において弾性変形可能に構成されるとともに、下端部から本体部21の外周側に突出する係止爪34を備えている。図10等に示すように、上下方向における係止爪34の上面(係止面)と鍔部25の下面との間の距離は、台座枠17の上下幅とほぼ同じ(若干大きい)となっており、係止片33が台座枠17に挿通され、鍔部25が台座枠17の上辺部に当接状態とされると、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止されるようになっている。さらに、係止片33は、互いに対向するようにして一対で設けられており、各係止片33の係止爪34が台座枠17の下辺部に係止されることで、支持具3の台座枠17からの抜け方向への変位が規制され、脱落が防止されるようになっている。
【0036】
また、係止爪34は、係止片33の延出方向先端(下方)に向けて次第に係止片33からの突出長が短くなるテーパ状に形成されている。このため、係止爪34の下面、すなわち、係止片33を台座枠17に挿入する際に、台座枠17の上辺部に接触することとなる面が、挿入方向(取付方向)に対して斜めに延在するようになっている。さらに、図4、図10に示すように、係止片33の内面側には、幅方向中央部の付け根部側の部位において上下に延びる補助リブ35が形成されている。加えて、胴部22の下辺部のうち係止片33が設けられていない辺部に対応しては、当該辺部の長手方向において対向するガイド脚部32の上部間を連結するようにして設けられた補強壁部36が設けられている。また、本体部21及び補強壁部36の内側には、対向する壁部間を連結するようにして補強リブ29が設けられている(図4等参照)。
【0037】
さらに、図3等に示すように、係止片33に対応する部位、すなわち、係止爪34の直上方位置においては、上記鍔部25が存在しないように、鍔部25が切り欠かれた切欠き部38が形成されている。このため、当該部位においては、係止片33の外側面と、胴部22の外側面とが連続して延びている(面一となっている)。また、ガイド脚部32や補強壁部36の外面には、支持具3の台座枠17への取付状態において、取付部31の外周面(ガイド脚部32や補強壁部36の外面)と台座枠17の内側面との間の隙間を埋めてガタツキを抑制するための傾斜リブ39が設けられている。傾斜リブ39は、上方に向けてガイド脚部32や補強壁部36からの突出長が次第に大きくなるとともに、上端部が鍔部25の下面の胴部22との突出方向付け根側の部位に連結されている。尚、鍔部25の下面と、取付部31の外周面(ガイド脚部32や補強壁部36の外面)との境界部は、成形の都合上、直角ではなく湾曲状に形成されることとなる。そして、傾斜リブ39の最大突出長は、当該湾曲部位の形成幅と対応しており、傾斜リブ39によって、当該湾曲部位に台座枠17の上辺部が当接するといった事態が防止されるようになっている。
【0038】
尚、本実施形態では、係止爪34が係止される台座枠17の下辺部が、被取付部の被係止部を構成する。また、本実施形態では、係止片33を台座枠17に挿入する際に、係止片33が適宜弾性変形することとなるが、係止爪34が台座枠17の下方に突出すると、自身の弾性力によって真っ直ぐに延びた状態に戻り、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止された状態とされるとともに、係止片33の側面が台座枠17の内側面に略当接した状態とされる。さらに、台座枠17の内側面と連結辺部15の側辺部との間に隙間があることによって、係止片33及びガイド脚部32を台座枠17に挿通させて取付可能に構成されているのであるが、支持具3の取付状態では、ガイド脚部32が連結辺部15の側面にも略当接状態とされ、取付状態の安定化が図られる上、支持具3の取付状態を解除するべく、係止片33をある程度弾性変形させると、係止片33が連結辺部15の側面に当接して係止片33の必要以上の変形が抑止されるため、係止片33の損傷を防止することができる。
【0039】
さらに、上記のように、台座枠17に隣接して補助アングル19が設けられている上、本実施形態では、連結辺部15から側方に張り出して設けられる台座枠17と、第2辺部14の内側面とが近接配置されている。このため、台座枠17に取付けられた支持具3が、設置領域11の外周側に傾こうとした場合でも、位置決め部24の外面側が、補助アングル19や第2辺部14に当接するため、かかる傾倒変位が規制されることとなる。従って、支持具3の損傷を抑制することができる。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態によれば、支持具3をパレット2の台座枠17に取付けるための取付部31が、本体部21から下方(台座枠17への取付方向側)に突設されている。このため、パレット2を平面視した場合の支持具3の設置スペースを極力小さくすることができる。また、支持具3をパレット2に取付けるために、ボルト及びナット等の別途の取付部材を用いなくても済む。これにより、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができるとともに、パレット2において、ボルト及びナット等を取付ける作業を行うための(レンチを回すための)スペースを確保する必要がなくなり、支持具3の設置場所や、パレット2及び支持具3の形状に関して比較的融通が利くようになる。従って、パレット2の比較的狭所に支持具3を設置したり、パレット2や支持具3の形状の簡素化やコンパクト化を図ったりすることが可能となる。
【0041】
また、支持具3は、載置部23から上方に突出し、載置部23に支持されたワークWに対して水平方向に当接し得る位置決め部24を備えている。このため、位置決め部24によって載置部23に載置されたワークWの水平方向における位置決めを行うことができ、ワークWを安定した状態で運搬等することができる。
【0042】
さらに、ガイド脚部32は、係止片33よりも下方にまで突出しており、支持具3を台座枠17に取付ける際に、係止片33よりも先行して台座枠17に挿入されることとなる。従って、係止片33を好適な相対位置で台座枠17に挿入することができ、支持具3を正確に取付けることができる上、取付作業性の向上を図ることができる。また、ガイド脚部32によって、支持具3の取付作業に際して係止片33が台座枠17の上辺部に対して不適切な角度で接触することを防止したり、支持具3の取付後に、支持具3に対して水平方向の外力が作用した場合に、係止片33に付加される力を低減又は付加されないようにしたりすることができ、係止片33の保護を図ることができる。特に、本実施形態では、係止片33の両側方にガイド脚部32が設けられているため、支持具3の台座枠17への取付状態において、支持具3に対して水平方向に力を加えたとしても、係止片33の両側方のガイド脚部32の存在によって係止片33が変形するといった事態を防止することができる。従って、支持具3の不用意な脱落等を防止することができ、取付状態の安定化を図ることができる。
【0043】
また、係止爪34の直上方位置において鍔部25が存在しないように、鍔部25には切欠き部38が形成されている。このため、係止爪34の上面(係止面)と鍔部25の下面との間がアンダーカット形状になってしまうといった事態を回避することができる。従って、本体部21の上面側を成形する上型と、本体部21の下面側を形成する下型とによって、別途スライドコアを用意することなく、支持具3を成形することができる。さらに、係止爪34の直上方位置に鍔部25が存在しないことから、載置部23でワークWを支持した状態において、鍔部25に付加された力が係止片33に及んでしまうといった事態を抑制することができ、係止片33の損傷等を抑制することができる。
【0044】
加えて、係止爪34は、係止片33の延出方向先端側である下方に向けて次第に係止片33からの突出長が短くなるテーパ状に形成されている。このため、支持具3の台座枠17への取付けに際して、係止爪34が台座枠17の上辺部に引っ掛かって突っ張ってしまうといった事態を回避することができ、係止爪34を含む取付部31を台座枠17へ比較的スムースに挿入することができる。
【0045】
また、載置部23には、位置決め部24との境界部に沿って溝部26が形成されている。このため、載置部23に載置されたワークWの角部によって支持具3が削られてしまうといった事態を回避することができる。さらに、位置決め部24の内側のコーナー部において上下方向に延在する凹部27が形成されている。このため、ワークWを載置部23に載置する際に、ワークWの角部で支持具3が削れてしまうといった事態を回避することができる。これらの構成によって、削りカスがワークWに付着してしまったり、支持具3の意図しない損傷を招いてしまったりするといった不具合を払拭することができる。
【0046】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0047】
(a)上記実施形態において、支持具3の形状は特に限定されるものではなく、ワークWを支持する載置部23と、台座枠17に支持される鍔部25とを具備する本体部21と、本体部21から下方に突出して、本体部21の水平方向及び台座枠17からの抜け方向への変位を防止する取付部31とを備えていればよい。
【0048】
例えば、図12に示すように、位置決め部24を省略してもよい。当該位置決め部24のない支持具3は、位置決め部24を備える支持具3と組合わせて使用することで、上記実施形態と同様に、ワークWの水平方向における位置ずれを防止することができる。すなわち、全ての支持具3に位置決め部24がなくても、例えば、対角の支持具3において平面視略L字状の位置決め部24が備わっていれば、それ以外の支持具3に位置決め部24がなくても、ワークWの水平方向における位置ずれを防止することが可能である。
【0049】
(b)上記実施形態では、パレット2に四角筒状の台座枠17を固定することで、支持具3を取付ける被取付部を構成しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、支持具3の水平方向及び抜け方向への移動を規制できるように構成されていればよい。例えば、図12に示すように、台座枠17の一部を切欠いたり、複数のパーツ(図12では断面コ字状のパーツを2つ)によって台座枠17を構成したりしてもよい。また、例えば、連結辺部15に対して上下に貫通する開口部を形成し、当該開口部に支持具3の取付部31を挿入して取付けるよう構成してもよい。さらに、補助アングル19を省略することとしてもよい。尚、上記実施形態では、台座枠17が補助アングル19等に溶接固定されているが、ボルト及びナットを用いて固定することとしてもよい。
【0050】
(c)上記実施形態において、パレット2に載置されるワークWの形状や、1つのパレット2に対して載せることのできるワークWの数は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、支持具3は、載置されるワークWの形状に合わせて、平面視における取付位置や載置部23の高さ位置を変更することとしてもよい。この場合、平面視における取付位置については、被取付部としての台座枠17の位置を変更することとなるが、載置部23の高さ位置を変える場合には、台座枠17の取付位置を変更する他にも、支持具3の本体部21の厚みを変える等して対処することも可能である。
【0051】
(d)また、位置決め部24の形状は特に限定されるものではなく、例えば、載置部23の1つの側辺部、或いは、3つの側辺部に沿って、平面視略I字状、或いは、平面視略コ字状に構成されてもよい。さらに、載置部23の側辺部に沿って壁状に構成されるのではなく、突起状(ピン形状等)に構成されてもよいし、載置部23(ワークWの下面を支持する部位)の外周縁よりも内周側の部位において、ワークWの下面側に形成された凹部(或いは孔部や間隙)に挿入されてその内側面に当接可能に構成されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、台座枠17が連結辺部15と当接しているが、台座枠17を連結辺部15から浮かせた状態で固定してもよい。この場合、平面視I型等の位置決め部24を具備する支持具3の取付け向きを選択することができる。加えて、上記実施形態では、位置決め部24の内壁部24aの上側の部位が上方に向けて載置部23の外周側に傾斜して延び、ワークWのガイドとして機能する構成となっているが、内壁部24aを上から下まで載置部23に対して垂直に延ばしてもよい。
【0053】
(e)上記実施形態では、支持具3がワークWの下面の4隅を支持可能に設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、複数の支持具3を用いることで、ワークWをパレット2に触れないように支持し、水平方向への位置ずれも防止できるように構成されていればよい。例えば、上記(a)に記載の位置決め部24のない支持具3や、上記(d)に記載の平面視略I字状の位置決め部24を備える支持具3を用いて、ワークWの下面の各側辺部の中央部付近を支持可能に構成してもよい。また、ワークWを4つの支持具3で支持するのではなく、例えば、5つ以上の支持具3で支持することとしてもよいし、3つの支持具3(例えば、ワークWの1つのコーナー部と2つの側辺部の中央部とに設置する)で支持することとしてもよい。
【0054】
(f)さらに、上記実施形態では、支持具3は、射出成型で一体的に形成されているが、複数のパーツを組み立てることで構成されることとしてもよい。例えば、位置決め部24を本体部21とは別体として構成する(着脱自在に構成する)こととしてもよい。また、例えば、載置部23の上面にゴム製等の緩衝部材を敷設することとしてもよい。
【0055】
(g)上記実施形態では、支持具3がポリプロピレンにより構成されているが、その他の素材により構成してもよい。例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料で構成してもよい。また、上記実施形態では、ワークW及びパレット2は金属(鉄)により構成されているが、特に構成材料は限定されるものではなく、例えば、パレット2は、樹脂製や木製であってもよいし、樹脂製のワークWの運搬等に使用されることとしてもよい。尚、重くて壊れ易いワークWを運搬するべく、パレット2を金属製として強度を高めた場合に、支持具3が用いられることで、当該支持具3が緩衝材としても機能し、パレット2とワークWとが接触することに起因する不具合を回避することができるため、支持具3を使用することでの作用効果がより一層発揮されることとなる。
【0056】
(h)上記実施形態では、胴部22の下辺部の各コーナー部からそれぞれ下方に延出するようにしてガイド脚部32が設けられているが、ガイド脚部32の数や位置等は特に限定されるものではなく、支持具3の取付状態において台座枠17の内側面に当接可能に構成されていればよい。但し、ガイド効果を向上させるべく、少なくとも相対する位置に一対で設けられることが望ましく、係止片33の保護を図るべく、各係止片33の両側方において設けられることがより望ましい。尚、ガイド脚部32は、均等位置に3つ以上設けられることで、ガイド効果や位置ずれ防止効果がより高まる上、支持具3単体を起立状態で比較的安定して保管しておくこともできる。
【0057】
加えて、全てのガイド脚部32を省略することも可能である。この場合、係止片33によって支持具3の水平方向における位置ずれを防止するべく、支持具3の台座枠17への取付状態において、一対の係止片33がそれぞれ台座枠17の内面に略当接するように構成されることとする。尚、ガイド脚部32が設けられ、ガイド脚部32によって支持具3の水平方向への移動が規制される場合には、係止片33の先端部に設けられた係止爪34が台座枠17に係止可能であれば、係止片33自体は台座枠17に当接しないように構成してもよい。
【0058】
(i)上記実施形態では、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止される構成となっているが、台座枠17に横孔を形成して、当該横孔に係止爪34を挿入させるようにしてその周縁部に係止爪34を係止させるように構成してもよい。尚、支持具3を台座枠17から比較的簡単に取り外せるようにしたり、台座枠17の簡素化を図ったりするといった観点からすると、台座枠17の下辺部に係止爪34が係止される構成の方が好ましい。一方、支持具3を台座枠17から不用意に外れ難くするといった観点からすると、係止爪34に触れ難くするように、上記のように横孔に挿入したり、側方からでは係止爪34を視認できないように凹部に係止させたりする構成の方が好ましい。尚、上記実施形態において、係止片33の横幅と、係止爪34の横幅とが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
(j)上記実施形態では、鍔部25が係止片33の上方位置において途切れているが、胴部22の全周域から延出するように構成してもよい。また、上記実施形態において、係止片33に対応する部位以外にも、鍔部25を途切れさせてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、載置部23と鍔部25との間を所望の高低差とするべく、載置部23と鍔部25との間に胴部22が介在しているが、高低差を設ける必要がない場合には、一枚の板状体によって載置部及び鍔部の両方が構成されるようにしてもよい。但し、当該構成を採用する場合には、鍔部25の上方に補強用のリブ(三角リブ28)を形成することができなくなるため、上記実施形態のように、鍔部25は載置部23よりも一段低い位置に形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1…ワーク運搬ユニット、2…パレット、3…支持具、17…台座枠、21…本体部、23…載置部、24…位置決め部、25…鍔部、26…溝部、27…凹部、31…取付部、32…ガイド脚部、33…係止片、38…切欠き部、W…ワーク。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークの運搬等に使用される支持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パレット等のベース部材にワークを載せて運搬・保管等する場合に、ワークの脱落防止や保護等を図るべく、ベース部材に対して複数の支持具を取付け、支持具によってワークをベース部材から離間させた状態で支持するといった技術がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4091375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の技術では、ボルト及びナットを用いて支持具をベース部材に取付けている。このため、支持具及びベース部材は、単に互いの形状に対応させるだけではなく、それぞれボルト及びナットを取付可能とする形状に構成される必要がある。このような事情の下、支持具及びベース部材の形状や支持具の設置場所に多くの制約が生じてしまうことが懸念され、場合によっては、支持具やベース部材の形状の複雑化を招いたり、支持具の大型化を招いたりするおそれがある。さらには、支持具を取付ける作業に手間がかかる上、コストアップを招くことも懸念される。
【0005】
本発明は上記例示した問題点等を解決するためになされたものであって、その目的は、コンパクト化を図りつつ、取付作業性の向上を図ることのできる支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記目的等を解決するのに適した各手段につき項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果等を付記する。
【0007】
手段1.ベース部材に設けられた被取付部に対して取付けられ、該取付状態において所定のワークをベース部材から離間させた状態で支持可能な支持具であって、
上面側においてワークの下面を支持可能な載置部が形成されるとともに、下面側においてベース部材の被取付部に支持される被支持部が形成されてなる本体部と、
前記本体部から下方に突出する取付部とを備え、
前記取付部は、前記被支持部がベース部材の被取付部に支持された状態において、被取付部に設けられた開口部に挿入される挿入片と、前記挿入片が被取付部の開口部に挿入された状態において、被取付部に設けられた被係止部に係止される係止爪とを備え、
前記挿入片は少なくとも一対で設けられ、前記係止爪の被係止部への係止状態において、少なくとも一対の前記挿入片がベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されるとともに、前記挿入片のうち少なくとも1つは弾性変形可能に構成され、
前記係止爪は、前記挿入片のうち、少なくとも前記弾性変形可能に構成された挿入片の延出方向先端側に設けられていることを特徴とする支持具。
【0008】
手段1によれば、支持具をベース部材の被取付部に取付けるための取付部が、本体部から下方(被取付部への取付方向側)に突設されているため、ベース部材を平面視した場合の支持具の設置スペースを極力小さくすることができる。また、支持具をベース部材に取付けるために、ボルト及びナット等の別途の取付部材を用いなくても済む。これにより、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができるとともに、ベース部材において、ボルト及びナット等を取付ける作業を行うための(レンチを回すための)スペースを確保する必要がなくなり、支持具の設置場所や、ベース部材及び支持具の形状に関して比較的融通が利くようになる。従って、ベース部材の比較的狭所にも支持具を設置することも可能となり、また、ベース部材や支持具の形状の簡素化やコンパクト化をも図ることができる。
【0009】
尚、ワーク及びベース部材は金属製であり、支持具は樹脂製であることとしてもよい。また、「被取付部に設けられた開口部」とは、挿入片を挿入可能な空間(の入り口)を意図しており、外縁が一続きに繋がっているような「孔」だけでなく、被取付部を構成する部材(例えば、一対の壁部)間の「間隙」等も含む趣旨である。
【0010】
手段2.前記載置部から上方に突出し、前記載置部に支持されたワークに対して水平方向に当接し得る位置決め部を備えていることを特徴とする手段1に記載の支持具。
【0011】
手段2によれば、位置決め部によって載置部に載置されたワークの水平方向における位置決めを行うことができ、ワークを安定した状態で運搬等することができる。尚、位置決め部は、前記載置部に支持されたワークの外縁部と当接可能な構成でもよいし、ワークに形成された凹部等に挿入されてその内側面に当接可能な構成でもよい。
【0012】
また、「前記載置部と前記位置決め部との境界部に沿って溝部が形成されている」こととしてもよい。この場合、載置部に載置されたワークの角部によって支持具が削られてしまうといった事態を回避することができる。従って、削りカスがワークに付着してしまったり、支持具の意図しない損傷を招いてしまったりするといった不具合を払拭することができる。さらに、位置決め部が平面視略L字状、又は、平面視略コ字状をなしている場合(コーナー部を有する場合)には、内側のコーナー部において上下方向に延在する凹部が形成されていることとしてもよい。この場合、ワークを載置部に載置する際等において、ワークの角部で支持具が削れてしまうといった事態を回避することができる。
【0013】
手段3.前記挿入片は、
先端側において前記係止爪が形成された係止片と、
前記係止爪の形成されていないガイド脚部とを備え、
前記ガイド脚部は、前記係止片よりも下方にまで突出するとともに、前記係止爪の被係止部への係止状態において、ベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されていることを特徴とする手段1又は2に記載の支持具。
【0014】
手段3によれば、ガイド脚部は係止片よりも下方にまで突出しており、支持具を被取付部に取付ける際に、係止片よりも先行して被取付部の開口部に挿入されることとなる。従って、係止片を好適な相対位置で被取付部の開口部に挿入することができ、支持具を正確に取付けることができる上、取付作業性の向上を図ることができる。また、ガイド脚部によって、支持具の取付作業に際して係止片が被取付部の開口部の周縁部に対して不適切な角度で接触することを防止したり、支持具の取付後に、支持具に対して水平方向の外力が作用した場合に、係止片に付加される力を低減又は付加されないように構成したりすることができ、係止片の保護を図ることができる。
【0015】
尚、係止片の両側方にガイド脚部が設けられていることとしてもよい。この場合、支持具の被取付部への取付状態において、支持具に対して水平方向に力を加えたとしても、係止片の両側方のガイド脚部の存在によって係止片が変形するといった事態を防止することができる。従って、支持具の不用意な脱落等を防止することができ、取付状態の安定化を図ることができる。尚、ガイド脚部によって支持具の水平方向における位置ずれが防止されることから、係止爪の被係止部への係止状態において、係止片は、被取付部に対して当接可能に構成されてもよいし、当接しないように構成されてもよい。
【0016】
手段4.前記被支持部及び前記係止爪は、前記本体部を平面視した場合において、前記載置部の外周縁よりも外周側に突出して設けられ、
前記本体部及び前記取付部は射出成型によって一体的に形成されるとともに、
前記係止爪の直上方位置において前記被支持部が存在しないように、前記被支持部には切欠き部が形成されていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の支持具。
【0017】
手段4によれば、係止爪の直上方位置においては被支持部が存在しないため、係止爪の上面(係止面)と被支持部の下面との間がアンダーカット形状になってしまうといった事態を回避することができる。従って、本体部の上面側を成形する上型と、本体部の下面側を形成する下型とによって、別途スライドコアを用意することなく、支持具を成形することができる。
【0018】
また、係止爪の直上方位置に被支持部が存在しないことから、載置部でワークを支持した状態において、被支持部に付加された力が、係止爪を有する挿入片に及んでしまうといった事態を抑制することができ、当該挿入片の損傷等を抑制することができる。尚、載置部と被支持部との間に高低差を設ける場合、一般に本体部を中空状に形成することとなるが、本手段では、被支持部や係止爪を載置部よりも外周側に突出させることによって、被支持部及び係止爪の上面側や載置部の下面側がアンダーカット形状になることを避けることができ、被支持部、係止爪、及び載置部の上面及び下面を、上型及び下型によって確実に成形することができる。
【0019】
手段5.前記係止爪は、前記挿入片の延出方向先端に向けて次第に前記挿入片からの突出長が短くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の支持具。
【0020】
手段5によれば、支持具の被取付部への取付けに際して、係止爪が被取付部の開口部の周縁部に引っ掛かって突っ張ってしまうといった事態を回避することができ、取付部を被取付部の開口部へ比較的スムースに挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】支持具の上面側を示す斜視図である。
【図2】支持具の上面側を示す斜視図である。
【図3】支持具の下面側を示す斜視図である。
【図4】支持具の下面側を示す斜視図である。
【図5】ワークを載せたパレットを示す斜視図である。
【図6】パレットの一部を示す斜視図である。
【図7】支持具を取付けたパレットの一部を示す斜視図である。
【図8】図7のJ部を示す拡大図である。
【図9】ワークを載せたパレットの一部を示す斜視図である。
【図10】図9のA−A線断面図である。
【図11】図9のB−B線断面図である。
【図12】別の実施形態における支持具等を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、一実施形態について図面を参照して説明する。図5に示すように、ワークWの運搬や保管等に使用されるワーク運搬ユニット1は、複数のワークWを載せた状態で、フォークリフト等によって搬送可能なベース部材としてのパレット2と、ワークWの4隅にそれぞれ対応してパレット2に取付けられることで、ワークWをパレット2から離間させた状態で支持可能な支持具3とを備えている。本実施形態では、ワークW及びパレット2は金属製であり、支持具3は樹脂製となっている。
【0023】
本実施形態のパレット2は、ワークWを設置可能な設置領域11を6つ備えており、最大で6つのワークWを載せて運搬等を行い得る構成となっている。また、図6に示すように、各設置領域11は、相対する一対の直線状の第1辺部13と、相対する一対の直線状の第2辺部14とを具備する四角枠状のフレーム12と、フレーム12の内周側において一対の第1辺部13間を連結するようにして各第2辺部14に沿って延びる連結辺部15とによって構成されている。
【0024】
尚、本実施形態では、第1辺部13及び連結辺部15は、鋼板を四角い筒状に折り曲げ形成することで構成され、第2辺部14は、鋼板を断面略コ字状に折り曲げ形成することで構成されている。さらに、本実施形態のパレット2は、設置領域11単位で構成されたフレーム12同士を溶接等で連結するのではなく、隣接する複数の設置領域11にかけて延びる第1辺部13と第2辺部14とを格子状に組んで(第2辺部14が上側)、第1辺部13と第2辺部14とを溶接固定することで構成されている。但し、連結辺部15に関しては、設置領域11毎に溶接固定される。
【0025】
また、連結辺部15の上辺部の両端部近傍部位には、上下に貫通する四角い枠状の台座枠17が設けられている。本実施形態の台座枠17は、各側壁部の幅が同じに形成されるとともに、隣接する側壁部同士が直角に交わるように(断面正方形の枠状に)構成されている。さらに、台座枠17の内径は、連結辺部15の幅よりも大きく、パレット2を平面視した場合に、連結辺部15の側面と台座枠17の内面との間に(後述する支持具3の係止片33及びガイド脚部32を挿入可能な)隙間が形成されている。本実施形態では、台座枠17によって被取付部が構成され、図7等に示すように、各台座枠17に対してそれぞれ支持具3が取付けられることで、各ワークWの4隅に対応してそれぞれ支持具3が設置される構成となっている。
【0026】
加えて、台座枠17の下辺部は連結辺部15の上面に対して当接状態で溶接固定されている。さらに、パレット2には、各台座枠17の第1辺部13側に隣接して補助アングル19が設けられている。補助アングル19は、連結辺部15の上面及び第2辺部14の内側の側面に対して溶接固定されるとともに、台座枠17の外面とも溶接固定されている。また、補助アングル19の上下の幅は、台座枠17の上下の幅よりも長くなっており、台座枠17よりも上方に突出している。
【0027】
さて、図1〜図4に示すように、支持具3は、パレット2の台座枠17に支持されるとともに、ワークWの下面を支持可能な本体部21と、本体部21から下方に突出する取付部31とを備えている。本実施形態の支持具3は、ポリプロピレンによって構成され、射出成型により一体的に形成されている。
【0028】
本体部21は、上下に延びる略正方形筒状の胴部22と、胴部22よりも一回り小さな正方形板状をなし、胴部22の上方の開口を一部閉塞するようにして胴部22の上辺部の互いに直交する2辺から胴部22の内周側に延出する載置部23と、載置部23のうち胴部22と連接していない2辺と、胴部22の上辺部との間を連結し、載置部23よりも上方に突出する位置決め部24と、胴部22の下辺部から外周側に延出する被支持部としての鍔部25とを備えている。本実施形態では、図8、図11等に示すように、鍔部25の下面が、台座枠17の上辺部に当接することで、支持具3が台座枠17に支持される構成となっている。さらに、図5、図9等に示すように、載置部23の上面にワークWの1つのコーナー部の下面が当接して支持される構成となっている。
【0029】
図2、図8等に示すように、位置決め部24は平面視略L字状をなし、載置部23に支持されたワークWの外周面のコーナー部と当接可能に構成されている(図9等参照)。位置決め部24は、載置部23の外周方向において互いに対向する内壁部24aと外壁部24bとを有し、内壁部24aの下部、及び、外壁部24bはほぼ鉛直方向(載置部23に対して垂直な方向)に延びる一方で、内壁部24aのうち上下方向中央部よりも若干下側の部位から上方の部位に関しては、上方に向けて湾曲しつつ載置部23の外周側に傾斜して延びている(図10等参照)。すなわち、位置決め部24の内壁部24aの上部は、ワークWをパレット2に載せる際にワークWを載置部23へと案内するガイド部として構成されている。その一方で、内壁部24aの下部は載置部23に対して垂直に立設することから、載置部23に載置されたワークWの水平方向への位置ずれをより確実に防止することができる。
【0030】
また、図2、図10等に示すように、載置部23には、位置決め部24との境界部に沿って溝部26が形成されている。このため、載置部23に載置されたワークWが、4つの支持具3の位置決め部24の内周側の範囲で水平方向にスライド変位した場合に、ワークWの角部(下面と側面との境界部)によって、載置部23と位置決め部24との境界部が削れてしまうといった事態を回避することができる。さらに、平面視略L字状をなす位置決め部24の内側(劣角側)のコーナー部には、屈曲部に沿って上下に延びる凹部27が形成されている。このため、ワークWを載置部23に載置する際等において、ワークWの角部(ワークWの外周面のコーナー部の下端部)によって、位置決め部24のコーナー部が削れてしまうといった事態を回避することができる。
【0031】
図10、図11等に示すように、胴部22の外寸は、台座枠17の内寸とほぼ同じであり、鍔部25が胴部22から僅かでも突出すれば、鍔部25の下面が台座枠17の上面に引っ掛かる(当接して支持される)ようになっている。本実施形態では、鍔部25は胴部22の外周面を構成する4面全てから突出しており、鍔部25の胴部22からの突出長は、台座枠17(を構成する壁部)の厚みとほぼ同じとなっている。このため、図11に示すように、台座枠17のうち補助アングル19が隣接した部位に対しても好適に鍔部25を当接支持させることができるようになっている。
【0032】
尚、鍔部25の補強のために、鍔部25の上面と胴部22の側面との間を連結する側面視3角形状の三角リブ28が設けられている。特に、位置決め部24に対応する部位においては、図3に示すように、三角リブ28が位置決め部24の外壁部24bにまで延長形成され、位置決め部24の補強が図られている。
【0033】
図1、図3、図4等に示すように、取付部31は、胴部22の下辺部の各コーナー部からそれぞれ下方に延出する断面略L字状のガイド脚部32と、胴部22の下辺部のうち相対する2辺の各長手方向中間位置からそれぞれ下方に延出する一対の係止片33とを備えている。図8、図10等に示すように、ガイド脚部32及び係止片33は、鍔部25が台座枠17に支持された状態において、台座枠17の内周側の空間に挿入されることとなる。本実施形態では、ガイド脚部32及び係止片33が挿入片を構成する。
【0034】
また、ガイド脚部32は、係止片33よりも下方にまで延出している。このため、取付部31を台座枠17へ取付ける際に、ガイド脚部32は係止片33に先行して台座枠17に挿入されることとなる。さらに、上記のように、胴部22の外寸は、台座枠17の内寸とほぼ同じであるため、胴部22の下辺部から下方に延出するガイド脚部32及び係止片33は、外側面が台座枠17の内側面と略当接するようになっている。これにより、支持具3の水平方向における位置ずれが防止されるようになっている。
【0035】
係止片33は、本体部21の外周方向において弾性変形可能に構成されるとともに、下端部から本体部21の外周側に突出する係止爪34を備えている。図10等に示すように、上下方向における係止爪34の上面(係止面)と鍔部25の下面との間の距離は、台座枠17の上下幅とほぼ同じ(若干大きい)となっており、係止片33が台座枠17に挿通され、鍔部25が台座枠17の上辺部に当接状態とされると、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止されるようになっている。さらに、係止片33は、互いに対向するようにして一対で設けられており、各係止片33の係止爪34が台座枠17の下辺部に係止されることで、支持具3の台座枠17からの抜け方向への変位が規制され、脱落が防止されるようになっている。
【0036】
また、係止爪34は、係止片33の延出方向先端(下方)に向けて次第に係止片33からの突出長が短くなるテーパ状に形成されている。このため、係止爪34の下面、すなわち、係止片33を台座枠17に挿入する際に、台座枠17の上辺部に接触することとなる面が、挿入方向(取付方向)に対して斜めに延在するようになっている。さらに、図4、図10に示すように、係止片33の内面側には、幅方向中央部の付け根部側の部位において上下に延びる補助リブ35が形成されている。加えて、胴部22の下辺部のうち係止片33が設けられていない辺部に対応しては、当該辺部の長手方向において対向するガイド脚部32の上部間を連結するようにして設けられた補強壁部36が設けられている。また、本体部21及び補強壁部36の内側には、対向する壁部間を連結するようにして補強リブ29が設けられている(図4等参照)。
【0037】
さらに、図3等に示すように、係止片33に対応する部位、すなわち、係止爪34の直上方位置においては、上記鍔部25が存在しないように、鍔部25が切り欠かれた切欠き部38が形成されている。このため、当該部位においては、係止片33の外側面と、胴部22の外側面とが連続して延びている(面一となっている)。また、ガイド脚部32や補強壁部36の外面には、支持具3の台座枠17への取付状態において、取付部31の外周面(ガイド脚部32や補強壁部36の外面)と台座枠17の内側面との間の隙間を埋めてガタツキを抑制するための傾斜リブ39が設けられている。傾斜リブ39は、上方に向けてガイド脚部32や補強壁部36からの突出長が次第に大きくなるとともに、上端部が鍔部25の下面の胴部22との突出方向付け根側の部位に連結されている。尚、鍔部25の下面と、取付部31の外周面(ガイド脚部32や補強壁部36の外面)との境界部は、成形の都合上、直角ではなく湾曲状に形成されることとなる。そして、傾斜リブ39の最大突出長は、当該湾曲部位の形成幅と対応しており、傾斜リブ39によって、当該湾曲部位に台座枠17の上辺部が当接するといった事態が防止されるようになっている。
【0038】
尚、本実施形態では、係止爪34が係止される台座枠17の下辺部が、被取付部の被係止部を構成する。また、本実施形態では、係止片33を台座枠17に挿入する際に、係止片33が適宜弾性変形することとなるが、係止爪34が台座枠17の下方に突出すると、自身の弾性力によって真っ直ぐに延びた状態に戻り、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止された状態とされるとともに、係止片33の側面が台座枠17の内側面に略当接した状態とされる。さらに、台座枠17の内側面と連結辺部15の側辺部との間に隙間があることによって、係止片33及びガイド脚部32を台座枠17に挿通させて取付可能に構成されているのであるが、支持具3の取付状態では、ガイド脚部32が連結辺部15の側面にも略当接状態とされ、取付状態の安定化が図られる上、支持具3の取付状態を解除するべく、係止片33をある程度弾性変形させると、係止片33が連結辺部15の側面に当接して係止片33の必要以上の変形が抑止されるため、係止片33の損傷を防止することができる。
【0039】
さらに、上記のように、台座枠17に隣接して補助アングル19が設けられている上、本実施形態では、連結辺部15から側方に張り出して設けられる台座枠17と、第2辺部14の内側面とが近接配置されている。このため、台座枠17に取付けられた支持具3が、設置領域11の外周側に傾こうとした場合でも、位置決め部24の外面側が、補助アングル19や第2辺部14に当接するため、かかる傾倒変位が規制されることとなる。従って、支持具3の損傷を抑制することができる。
【0040】
以上詳述したように、本実施形態によれば、支持具3をパレット2の台座枠17に取付けるための取付部31が、本体部21から下方(台座枠17への取付方向側)に突設されている。このため、パレット2を平面視した場合の支持具3の設置スペースを極力小さくすることができる。また、支持具3をパレット2に取付けるために、ボルト及びナット等の別途の取付部材を用いなくても済む。これにより、取付作業性の向上、コストの削減等を図ることができるとともに、パレット2において、ボルト及びナット等を取付ける作業を行うための(レンチを回すための)スペースを確保する必要がなくなり、支持具3の設置場所や、パレット2及び支持具3の形状に関して比較的融通が利くようになる。従って、パレット2の比較的狭所に支持具3を設置したり、パレット2や支持具3の形状の簡素化やコンパクト化を図ったりすることが可能となる。
【0041】
また、支持具3は、載置部23から上方に突出し、載置部23に支持されたワークWに対して水平方向に当接し得る位置決め部24を備えている。このため、位置決め部24によって載置部23に載置されたワークWの水平方向における位置決めを行うことができ、ワークWを安定した状態で運搬等することができる。
【0042】
さらに、ガイド脚部32は、係止片33よりも下方にまで突出しており、支持具3を台座枠17に取付ける際に、係止片33よりも先行して台座枠17に挿入されることとなる。従って、係止片33を好適な相対位置で台座枠17に挿入することができ、支持具3を正確に取付けることができる上、取付作業性の向上を図ることができる。また、ガイド脚部32によって、支持具3の取付作業に際して係止片33が台座枠17の上辺部に対して不適切な角度で接触することを防止したり、支持具3の取付後に、支持具3に対して水平方向の外力が作用した場合に、係止片33に付加される力を低減又は付加されないようにしたりすることができ、係止片33の保護を図ることができる。特に、本実施形態では、係止片33の両側方にガイド脚部32が設けられているため、支持具3の台座枠17への取付状態において、支持具3に対して水平方向に力を加えたとしても、係止片33の両側方のガイド脚部32の存在によって係止片33が変形するといった事態を防止することができる。従って、支持具3の不用意な脱落等を防止することができ、取付状態の安定化を図ることができる。
【0043】
また、係止爪34の直上方位置において鍔部25が存在しないように、鍔部25には切欠き部38が形成されている。このため、係止爪34の上面(係止面)と鍔部25の下面との間がアンダーカット形状になってしまうといった事態を回避することができる。従って、本体部21の上面側を成形する上型と、本体部21の下面側を形成する下型とによって、別途スライドコアを用意することなく、支持具3を成形することができる。さらに、係止爪34の直上方位置に鍔部25が存在しないことから、載置部23でワークWを支持した状態において、鍔部25に付加された力が係止片33に及んでしまうといった事態を抑制することができ、係止片33の損傷等を抑制することができる。
【0044】
加えて、係止爪34は、係止片33の延出方向先端側である下方に向けて次第に係止片33からの突出長が短くなるテーパ状に形成されている。このため、支持具3の台座枠17への取付けに際して、係止爪34が台座枠17の上辺部に引っ掛かって突っ張ってしまうといった事態を回避することができ、係止爪34を含む取付部31を台座枠17へ比較的スムースに挿入することができる。
【0045】
また、載置部23には、位置決め部24との境界部に沿って溝部26が形成されている。このため、載置部23に載置されたワークWの角部によって支持具3が削られてしまうといった事態を回避することができる。さらに、位置決め部24の内側のコーナー部において上下方向に延在する凹部27が形成されている。このため、ワークWを載置部23に載置する際に、ワークWの角部で支持具3が削れてしまうといった事態を回避することができる。これらの構成によって、削りカスがワークWに付着してしまったり、支持具3の意図しない損傷を招いてしまったりするといった不具合を払拭することができる。
【0046】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0047】
(a)上記実施形態において、支持具3の形状は特に限定されるものではなく、ワークWを支持する載置部23と、台座枠17に支持される鍔部25とを具備する本体部21と、本体部21から下方に突出して、本体部21の水平方向及び台座枠17からの抜け方向への変位を防止する取付部31とを備えていればよい。
【0048】
例えば、図12に示すように、位置決め部24を省略してもよい。当該位置決め部24のない支持具3は、位置決め部24を備える支持具3と組合わせて使用することで、上記実施形態と同様に、ワークWの水平方向における位置ずれを防止することができる。すなわち、全ての支持具3に位置決め部24がなくても、例えば、対角の支持具3において平面視略L字状の位置決め部24が備わっていれば、それ以外の支持具3に位置決め部24がなくても、ワークWの水平方向における位置ずれを防止することが可能である。
【0049】
(b)上記実施形態では、パレット2に四角筒状の台座枠17を固定することで、支持具3を取付ける被取付部を構成しているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、支持具3の水平方向及び抜け方向への移動を規制できるように構成されていればよい。例えば、図12に示すように、台座枠17の一部を切欠いたり、複数のパーツ(図12では断面コ字状のパーツを2つ)によって台座枠17を構成したりしてもよい。また、例えば、連結辺部15に対して上下に貫通する開口部を形成し、当該開口部に支持具3の取付部31を挿入して取付けるよう構成してもよい。さらに、補助アングル19を省略することとしてもよい。尚、上記実施形態では、台座枠17が補助アングル19等に溶接固定されているが、ボルト及びナットを用いて固定することとしてもよい。
【0050】
(c)上記実施形態において、パレット2に載置されるワークWの形状や、1つのパレット2に対して載せることのできるワークWの数は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、支持具3は、載置されるワークWの形状に合わせて、平面視における取付位置や載置部23の高さ位置を変更することとしてもよい。この場合、平面視における取付位置については、被取付部としての台座枠17の位置を変更することとなるが、載置部23の高さ位置を変える場合には、台座枠17の取付位置を変更する他にも、支持具3の本体部21の厚みを変える等して対処することも可能である。
【0051】
(d)また、位置決め部24の形状は特に限定されるものではなく、例えば、載置部23の1つの側辺部、或いは、3つの側辺部に沿って、平面視略I字状、或いは、平面視略コ字状に構成されてもよい。さらに、載置部23の側辺部に沿って壁状に構成されるのではなく、突起状(ピン形状等)に構成されてもよいし、載置部23(ワークWの下面を支持する部位)の外周縁よりも内周側の部位において、ワークWの下面側に形成された凹部(或いは孔部や間隙)に挿入されてその内側面に当接可能に構成されてもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、台座枠17が連結辺部15と当接しているが、台座枠17を連結辺部15から浮かせた状態で固定してもよい。この場合、平面視I型等の位置決め部24を具備する支持具3の取付け向きを選択することができる。加えて、上記実施形態では、位置決め部24の内壁部24aの上側の部位が上方に向けて載置部23の外周側に傾斜して延び、ワークWのガイドとして機能する構成となっているが、内壁部24aを上から下まで載置部23に対して垂直に延ばしてもよい。
【0053】
(e)上記実施形態では、支持具3がワークWの下面の4隅を支持可能に設けられているが、特にこのような構成に限定されるものではなく、複数の支持具3を用いることで、ワークWをパレット2に触れないように支持し、水平方向への位置ずれも防止できるように構成されていればよい。例えば、上記(a)に記載の位置決め部24のない支持具3や、上記(d)に記載の平面視略I字状の位置決め部24を備える支持具3を用いて、ワークWの下面の各側辺部の中央部付近を支持可能に構成してもよい。また、ワークWを4つの支持具3で支持するのではなく、例えば、5つ以上の支持具3で支持することとしてもよいし、3つの支持具3(例えば、ワークWの1つのコーナー部と2つの側辺部の中央部とに設置する)で支持することとしてもよい。
【0054】
(f)さらに、上記実施形態では、支持具3は、射出成型で一体的に形成されているが、複数のパーツを組み立てることで構成されることとしてもよい。例えば、位置決め部24を本体部21とは別体として構成する(着脱自在に構成する)こととしてもよい。また、例えば、載置部23の上面にゴム製等の緩衝部材を敷設することとしてもよい。
【0055】
(g)上記実施形態では、支持具3がポリプロピレンにより構成されているが、その他の素材により構成してもよい。例えば、ポリエチレン、PET、ポリアミド等その他の樹脂材料で構成してもよい。また、上記実施形態では、ワークW及びパレット2は金属(鉄)により構成されているが、特に構成材料は限定されるものではなく、例えば、パレット2は、樹脂製や木製であってもよいし、樹脂製のワークWの運搬等に使用されることとしてもよい。尚、重くて壊れ易いワークWを運搬するべく、パレット2を金属製として強度を高めた場合に、支持具3が用いられることで、当該支持具3が緩衝材としても機能し、パレット2とワークWとが接触することに起因する不具合を回避することができるため、支持具3を使用することでの作用効果がより一層発揮されることとなる。
【0056】
(h)上記実施形態では、胴部22の下辺部の各コーナー部からそれぞれ下方に延出するようにしてガイド脚部32が設けられているが、ガイド脚部32の数や位置等は特に限定されるものではなく、支持具3の取付状態において台座枠17の内側面に当接可能に構成されていればよい。但し、ガイド効果を向上させるべく、少なくとも相対する位置に一対で設けられることが望ましく、係止片33の保護を図るべく、各係止片33の両側方において設けられることがより望ましい。尚、ガイド脚部32は、均等位置に3つ以上設けられることで、ガイド効果や位置ずれ防止効果がより高まる上、支持具3単体を起立状態で比較的安定して保管しておくこともできる。
【0057】
加えて、全てのガイド脚部32を省略することも可能である。この場合、係止片33によって支持具3の水平方向における位置ずれを防止するべく、支持具3の台座枠17への取付状態において、一対の係止片33がそれぞれ台座枠17の内面に略当接するように構成されることとする。尚、ガイド脚部32が設けられ、ガイド脚部32によって支持具3の水平方向への移動が規制される場合には、係止片33の先端部に設けられた係止爪34が台座枠17に係止可能であれば、係止片33自体は台座枠17に当接しないように構成してもよい。
【0058】
(i)上記実施形態では、係止爪34が台座枠17の下辺部に係止される構成となっているが、台座枠17に横孔を形成して、当該横孔に係止爪34を挿入させるようにしてその周縁部に係止爪34を係止させるように構成してもよい。尚、支持具3を台座枠17から比較的簡単に取り外せるようにしたり、台座枠17の簡素化を図ったりするといった観点からすると、台座枠17の下辺部に係止爪34が係止される構成の方が好ましい。一方、支持具3を台座枠17から不用意に外れ難くするといった観点からすると、係止爪34に触れ難くするように、上記のように横孔に挿入したり、側方からでは係止爪34を視認できないように凹部に係止させたりする構成の方が好ましい。尚、上記実施形態において、係止片33の横幅と、係止爪34の横幅とが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0059】
(j)上記実施形態では、鍔部25が係止片33の上方位置において途切れているが、胴部22の全周域から延出するように構成してもよい。また、上記実施形態において、係止片33に対応する部位以外にも、鍔部25を途切れさせてもよい。
【0060】
さらに、上記実施形態では、載置部23と鍔部25との間を所望の高低差とするべく、載置部23と鍔部25との間に胴部22が介在しているが、高低差を設ける必要がない場合には、一枚の板状体によって載置部及び鍔部の両方が構成されるようにしてもよい。但し、当該構成を採用する場合には、鍔部25の上方に補強用のリブ(三角リブ28)を形成することができなくなるため、上記実施形態のように、鍔部25は載置部23よりも一段低い位置に形成することが望ましい。
【符号の説明】
【0061】
1…ワーク運搬ユニット、2…パレット、3…支持具、17…台座枠、21…本体部、23…載置部、24…位置決め部、25…鍔部、26…溝部、27…凹部、31…取付部、32…ガイド脚部、33…係止片、38…切欠き部、W…ワーク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材に設けられた被取付部に対して取付けられ、該取付状態において所定のワークをベース部材から離間させた状態で支持可能な支持具であって、
上面側においてワークの下面を支持可能な載置部が形成されるとともに、下面側においてベース部材の被取付部に支持される被支持部が形成されてなる本体部と、
前記本体部から下方に突出する取付部とを備え、
前記取付部は、前記被支持部がベース部材の被取付部に支持された状態において、被取付部に設けられた開口部に挿入される挿入片と、前記挿入片が被取付部の開口部に挿入された状態において、被取付部に設けられた被係止部に係止される係止爪とを備え、
前記挿入片は少なくとも一対で設けられ、前記係止爪の被係止部への係止状態において、少なくとも一対の前記挿入片がベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されるとともに、前記挿入片のうち少なくとも1つは弾性変形可能に構成され、
前記係止爪は、前記挿入片のうち、少なくとも前記弾性変形可能に構成された挿入片の延出方向先端側に設けられていることを特徴とする支持具。
【請求項2】
前記載置部から上方に突出し、前記載置部に支持されたワークに対して水平方向に当接し得る位置決め部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記挿入片は、
先端側において前記係止爪が形成された係止片と、
前記係止爪の形成されていないガイド脚部とを備え、
前記ガイド脚部は、前記係止片よりも下方にまで突出するとともに、前記係止爪の被係止部への係止状態において、ベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持具。
【請求項4】
前記被支持部及び前記係止爪は、前記本体部を平面視した場合において、前記載置部の外周縁よりも外周側に突出して設けられ、
前記本体部及び前記取付部は射出成型によって一体的に形成されるとともに、
前記係止爪の直上方位置において前記被支持部が存在しないように、前記被支持部には切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支持具。
【請求項5】
前記係止爪は、前記挿入片の延出方向先端に向けて次第に前記挿入片からの突出長が短くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の支持具。
【請求項1】
ベース部材に設けられた被取付部に対して取付けられ、該取付状態において所定のワークをベース部材から離間させた状態で支持可能な支持具であって、
上面側においてワークの下面を支持可能な載置部が形成されるとともに、下面側においてベース部材の被取付部に支持される被支持部が形成されてなる本体部と、
前記本体部から下方に突出する取付部とを備え、
前記取付部は、前記被支持部がベース部材の被取付部に支持された状態において、被取付部に設けられた開口部に挿入される挿入片と、前記挿入片が被取付部の開口部に挿入された状態において、被取付部に設けられた被係止部に係止される係止爪とを備え、
前記挿入片は少なくとも一対で設けられ、前記係止爪の被係止部への係止状態において、少なくとも一対の前記挿入片がベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されるとともに、前記挿入片のうち少なくとも1つは弾性変形可能に構成され、
前記係止爪は、前記挿入片のうち、少なくとも前記弾性変形可能に構成された挿入片の延出方向先端側に設けられていることを特徴とする支持具。
【請求項2】
前記載置部から上方に突出し、前記載置部に支持されたワークに対して水平方向に当接し得る位置決め部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
前記挿入片は、
先端側において前記係止爪が形成された係止片と、
前記係止爪の形成されていないガイド脚部とを備え、
前記ガイド脚部は、前記係止片よりも下方にまで突出するとともに、前記係止爪の被係止部への係止状態において、ベース部材の被取付部に対して水平方向に当接可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の支持具。
【請求項4】
前記被支持部及び前記係止爪は、前記本体部を平面視した場合において、前記載置部の外周縁よりも外周側に突出して設けられ、
前記本体部及び前記取付部は射出成型によって一体的に形成されるとともに、
前記係止爪の直上方位置において前記被支持部が存在しないように、前記被支持部には切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の支持具。
【請求項5】
前記係止爪は、前記挿入片の延出方向先端に向けて次第に前記挿入片からの突出長が短くなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の支持具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−35565(P2013−35565A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172755(P2011−172755)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(591006944)三甲株式会社 (380)
【Fターム(参考)】
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