説明

支持柱及びその設置方法

【課題】建物屋上の床面にコンクリート基礎を設けたり、床面上にアンカーを設置することが不要な支持柱を提供すること。
【解決手段】支持柱1の土台を形成するベースフレーム3と、前記ベースフレーム3上に設けた連結金具5、6と、前記ベースフレーム3上の中心付近に直立したポール15と、ポール15を支持する支線9とを有する支持柱1であり、前記ベースフレーム3の辺に対向した屋上の外周に突設したパラペット27の壁面に固定金具28を固定し、屋上の床面26に載置された前記ベースフレーム3上の連結金具5、6と前記パラペット27の固定金具28とを連結部材10で固定して、支線9によりポール15を垂直に調整して支線9をベースフレーム3上の支線アンカー8に固定し、前記ポール15の上部に搭載品20を取り付け、支持柱のベースフレームを床面に固定せずに支持柱を屋上の床面上に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既存の建物の屋上における通信用のアンテナ等の支持柱及びその設置方法に関し、特に、屋上床面の基礎工事が不要なアンテナ等の支持柱及びその設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話、無線LAN、無線標識等の通信用のアンテナ等の支持柱は、既存のビルの屋上等に設置される。図12は、アンテナ用支持柱を固定するためのコンクリート基礎部を屋上のコンクリートスラブ上に新設して、ビルの屋上にアンテナの支持柱を設置した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は、一部断面図を含む正面図である。図12(a),(b)に示すように、ビルの屋上でのアンテナ20を搭載した支持柱50の設置では、RC造(鉄筋コンクリート構造)建物の屋上の床面のコンクリートスラブ53(図12(b)に示す)上に、アンテナの支持柱50をアンカーボルト58(図12(b)に示す)で固定するためのコンクリート基礎部54aを設けるようにする。尚、図12(a),(b)に示す支持柱50は、屋上のパラペット27のコーナー付近に設置したものである。コンクリート基礎部の新設は、屋上の仕上げ材、保護材、防水層60(図12(b)に示す)などを除去して施工する必要がある。更に、支持柱50を補強するステー57を設置するためのコンクリート基礎部54bも屋上の床面に設ける必要がある。
【0003】
また、アンテナ設置の他の工法として、屋上のコンクリートスラブに、アンテナの支持柱のアンカーボルトをコンクリートスラブ等に直接取り付ける後施工アンカー工法が知られている。尚、後施工アンカー工法でのアンカーボルトをコンクリートスラブ等に直接取り付ける際には、屋上の仕上げ材などを除去してアンカーボルトを設けるようにする。
【0004】
また、特許文献1には、既存防水層上にアンテナ、ポールその他の設置物を固定掛止するための支点ないしは拠点を既存防水層を通して打ち込んだアンカーボルトに連結固定して、防水性能を損なうことなく必要に応じた所望の位置に設置することができる引張装置の取り付け構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−219822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、RC造建物の屋上にアンテナ等の支持柱を建設する場合には、屋上の仕上げ材、保護材、防水層などを除去した後に、コンクリート基礎部を施工するようにしている。このため、アンテナ等の支持柱の施工は、屋上での防水層等を除去する必要があり、工事期間中の降雨などによる漏水を防止しながら進める必要がある。また、基礎部分にコンクリートを使用するため、コンクリートが所定の強度を有するのに時間が必要となり施工期間が長くなる。また、コンクリート基礎部の施工は床面に対して行うため、後に床面のひび割れ等が発生し防水性が損なわれる懸念もある。
【0007】
さらに、屋上の床面は、雨水の排水を確保するために勾配を設けているため、屋上の仕上げ材、保護材、防水層などの除去時、コンクリート基礎部の施工時に水平面を確保する必要があり、作業が煩雑となる懸念もある。
【0008】
そこで本発明は、屋上の床面に載置され、支持柱の土台を形成する略三角形の構造を有するベースフレームに対向する屋上のパラペットに設けた固定金具とベースフレームとを連結部材を介して固定し、ベースフレームの中心付近にポールを固定し、ポールを少なくとも3本の支線でベースフレームに固定するようにして、建物屋上の床面にコンクリート基礎を設けたり、床面上にアンカーを設置することが不要な、さらには、屋上の勾配の影響を受けない支持柱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目標達成のため、本発明の支持柱は、建物の屋上に設置する支持柱であって、前記支持柱は、屋上の床面に載置される支持柱の土台を形成するベースフレームと、前記ベースフレームの辺に対向した屋上の外周に突設したパラペットの壁面に設けた固定金具と前記ベースフレームとを連結部材を介して結合するためのベースフレーム上に設けた連結金具と、前記ベースフレーム上の中心付近に直立し、前記ベースフレーム上に底部を軸支したポールと、ポールを支持する支線と、ポールの上部に取り付けた搭載品とを有し、前記ベースフレームは、前記パラペットに対向した2辺を有し、前記パラペットのコーナーに対向する位置に前記ベースフレームの1つの頂点が位置するように屋上の床面に載置されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の支持柱における前記ベースフレームは、前記連結部材によって前記パラペットの壁面のみに固定され、前記固定金具及び前記連結金具はピン接合を成し、前記固定金具と前記連結金具とを結合する連結部材により、立体トラス構造を構成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の支持柱のポールを支持する支線は、少なくとも3本以上を有し、前記ポールの長手方向の中心付近から放射状に張設されており、ポールの底部を中心として等角度でベースフレーム上に設けられた支線アンカーに結合されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の支持柱における前記ポールの垂直度は、各支線の張りの長さを調節して行うことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の支持柱の設置方法は、土台を形成するベースフレームと、前記ベースフレーム上に設けた連結金具と、前記ベースフレーム上の中心付近に直立し、前記ベースフレーム上に底部を軸支されたポールと、ポールを支持する支線とを有する支持柱の設置方法であって、前記ベースフレームの辺に対向した屋上の外周に突設したパラペットの壁面に、アンカーボルトを取り付け、前記アンカーボルトを介して前記パラペットの壁面に固定金具を固定し、屋上の床面に載置された前記ベースフレーム上の連結金具と前記パラペットの固定金具とを連結部材で固定して、前記ポールを支持する支線を調整してポールを起立するように調整して支線をベースフレーム上の支線アンカーに固定し、前記ポールの上部に搭載品を取り付けるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、支持柱の土台を形成する略三角形の構造を有するベースフレームに対向する屋上のパラペットに設けた固定金具と、ベースフレームの連結金具とを連結部材を介して固定し、また、ベースフレームの中心付近にポールの底部を軸支し、少なくとも3本の支線でポールをベースフレームに固定して、支持柱のベースフレームを床面に固定せずに支持柱を屋上の床面に載置するようにしたことにより、屋上の床面にポールを固定するためのコンクリート基礎及びアンカーを設ける必要がないため、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層に損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0015】
また、屋上の床面は、雨水の排水を確保するために勾配を設けているが、本発明によれば、支持柱のベースフレームは床面に直置きが可能であり、支持柱の設置時におけるポールの垂直度の調整は、ポールとベースフレームとの支線の張りを調整することにより可能であるため、屋上の排水勾配の影響を受けない。
【0016】
また、本発明の支持柱は、立体トラス構造のため曲げモーメントによる応力が発生しないため、支持柱を構成する部材を軽量化できる。
【0017】
また、本発明の支持柱は、部品点数も少なく、構造が複雑な部品を使用しないため、安価に製作することができる。
【0018】
また、本発明の支持柱は、ポール上部の搭載品として通信用のアンテナ以外にも、照明灯、受信アンテナ、スピーカ、カメラ、旗等の搭載に使用することができる。
【0019】
また、本発明の支持柱の設置方法によれば、設置場所での支持柱の組立も可能であり、かつ、屋上の床面にポールを固定するためのコンクリート基礎工事も必要がないため、施工期間が短く、作業効率が良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】建物の屋上に支持柱を設置した状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部拡大図を含む平面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部断面図及び一部拡大図を含む正面図である。
【図5】固定金具に連結固定金具を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】ワイヤを固定金具の孔に挿通し、ワイヤを折り曲げて、クリップでワイヤの端付近を固定した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部拡大図を含む平面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部断面図及び一部拡大図を含む正面図である。
【図10】本発明の第3の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部拡大図を含む平面図である。
【図12】アンテナ用支持柱を固定するためのコンクリート基礎部を屋上のコンクリートスラブ上に新設して、ビルの屋上にアンテナの支持柱を設置した状態を示す図であり、(a)は平面図、(b)は、一部断面図を含む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下図面を参照して、本発明による支持柱及びその設置方法を実施するための形態について説明する。尚、本発明の支持柱は、略三角の形状を有するベースフレームの外枠フレームに対向する屋上のパラペットに設けた固定金具にベースフレームを水平及び斜め方向から連結部材で固定し、ベースフレームの中心フレームの中心付近にポールの底部を軸支し、ポールを支線を用いてベースフレームに固定するようにして、支持柱のベースフレームを床面に固定せずに支持柱を屋上の床面上に配置するようにしたものである。また、立体トラス構造により、曲げモーメントによる応力の影響を受けないようにしたものである。
【0022】
図1は、建物の屋上に支持柱を設置した状態を示す斜視図である。図1に示すように、建物25の屋上の外周には、外壁に沿ってパラペット27が設けられており、パラペット27は、屋上の床面26から突出しており、屋上の防水層の端部でもある。パラペット27は、そのコーナーが直角又は直角に近い角度からなり、支持柱1は、パラペット27のコーナー付近の床面に設置されている。図1に示す支持柱1は、携帯電話の基地局における通信用のアンテナ20を搭載したものである。
【0023】
[支持柱の第1の実施形態]
以下に、本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成について図2乃至図4を参照して説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図、図3は、本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部拡大図を含む平面図、図4は、本発明の第1の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部断面図及び一部拡大図を含む正面図である。
【0024】
図2乃至図4に示すように、支持柱1は、設置面である屋上の床面26に接し、支持柱1の土台を形成するベースフレーム3と、上部に搭載品としてのアンテナ20を取り付け、ベースフレーム3の中心付近に底部を有するポール15と、ポール15の中間付近に、ポール15を支持する支線9とを有し、ベースフレーム3は、ベースフレーム3に対向する屋上のパラペット27に設けた固定金具28に連結部材10で固定されている。
【0025】
図3に示すように、支持柱1のベースフレーム3は、外周を略三角形の形状を成す外枠フレーム3aと、パラペット27のコーナーに対向して位置する外枠フレーム3aの三角形の頂点から三角形の底辺に対して垂直に配された中心フレーム3bとを有する。ベースフレーム3は、鋼鉄等の部材から成り、内部が中空の四角柱で構成されている。外枠フレーム3aのパラペット27に対向する2辺には、連結部材10を介してパラペット27の固定金具28と連結してベースフレーム3を固定するための鋼管柱4が設けられている。鋼管柱4は、外枠フレーム3aの各辺の長手方向のほぼ両端部付近の位置に垂直方向に設けられている。図2及び図4に示すように、鋼管柱4の下部にはフレキシブルジョイントからなる第1の連結金具5a及び第3の連結金具5cが設けられており、鋼管柱4の上部にはフレキシブルジョイントからなる第2の連結金具5b及び第4の連結金具5dが設けられている。尚、第1の連結金具5a、第2の連結金具5b、第3の連結金具5c及び第4の連結金具5dを総称して連結金具5と記す。鋼管柱4の第1の連結金具5a及び第3の連結金具5cは、パラペット27の固定金具28の床面からの高さとほぼ同一となる位置に取り付けられている。立体トラス構造形成のため、鋼管柱4の第2の連結金具5b及び第4の連結金具5dは、床面からの高さがパラペット27の固定金具28よりも高い位置に設けられている。
【0026】
第1の連結金具5a及び第3の連結金具5cは、連結部材10がパラペット27に取り付けられている固定金具28の連結固定金具29と結合した際に、連結部材10が床面とほぼ水平を成す位置及び方向に配置されている。また、第2の連結金具5b及び第4の連結金具5dは、連結部材10がパラペット27に取り付けられている固定金具28の連結固定金具29と結合した際に、連結部材10が床面に対して傾斜を成す位置及び方向に配置されている。尚、鋼管柱4に設けられている第1の連結金具5a乃至第4の連結金具5dは、揺動運動が可能なフレキシブルジョイントからなり、連結部材10の支点としてピン接合を成すようになっている。尚、フレキシブルジョイントとしてロッドエンドが好適である。
【0027】
また、ベースフレーム3上には、ポール15を支持する支線9を固定する支線アンカー8が設けられている。支線アンカー8は、中心フレーム3b上に位置するポール15の底部を中心とした仮想の円(図3に示す一点鎖線の円)と交わる3個所(図3に示すa,b,c)の位置に設けられており、各支線アンカー8は、ポール15を中心とした仮想の円上で、本実施の形態においては120度毎に配設されている。
【0028】
尚、ベースフレーム3を構成する部材は、鋼鉄に限らず他の部材であってもよい。また、ベースフレーム3の断面形状は、内部が中空の四角柱に限らず、例えばコの字の形状であってもよい。また、ベースフレームの形状は、略三角形の形状に限らず、パラペットに対向した2辺を有し、パラペットのコーナーに対向する位置にベースフレームの1つの頂点が位置することが可能な形状でもよく、例えば、四角形であってもよい。
【0029】
図2に示すように、ポール15は、その上部に取付金具21を介してアンテナ20等が設けられており、その底部は、ベースフレーム3の中心フレーム3b上にポール受台17に軸支されている。そのため、ポール受台17は、傾斜、回転等が可能なフレキシブルジョイントからなり、ポール15の支点として機能するものである。
【0030】
ポール15の中間付近には、支線9を結合するためのポール固定金具16が設けられている。ポール固定金具16は、ポール15に固着されており、その外周の内側には、ポール固定金具16の中心から、本実施の形態では120度毎に、支線9を固定するための金具が設けられている。尚、ポール固定金具16は、支線9が放射状に均一に張設されるように、ベースフレーム3上の支線アンカー8と、対応するポール固定金具16の金具とが対置するようにポール15に取り付けられている。
【0031】
ポール15は、大きな曲げ応力に対する耐性を有するもので、且つ、軽量な部材を使用する。ポール15の部材としては、FRP(fiber−reinforced plastics、繊維強化プラスチック)が好適である。FRPは、カーボン繊維やガラス繊維を強化剤として、不飽和ポリエステル系の熱硬化性樹脂からなる複合材料であり、FRPから成るポール15は、その内部が中空の円筒状に形成されている。尚、ポール15は、FRP以外の部材であってもよい。
【0032】
支持柱1に使用するポール15の長さは、4メートルから6メートル程であり、支持柱1の高さは、ポール15の長さとほぼ同等である。
【0033】
支線9は、その先端がポール固定金具16に固定されており、ポール固定金具16から延設された支線9は、ベースフレーム3上に設けられた支線アンカー8に固定される。ポール固定金具16からの3本の支線9は、支線アンカー8までの長さがほぼ同一であり、放射状に張設されている。支線9は、引張強度を有し、張力に対して延びない部材を使用するようにする。支線9は、例えば、化学繊維を使用したロープ、金属線、化学繊維及び金属線を併用したワイヤロープのいずれかであってもよい。
【0034】
尚、ベースフレーム3上の支線アンカー8及びポール固定金具16の金具の数を増やして、支線9を3本以上設けるようにしてもよく、支線9は、少なくとも3本以上を設けるようにする。
【0035】
このように、支持柱は支線により立体トラス構造を成しているため、風などによりアンテナを搭載したポールに力が加わっても、ポールが変位したり、傾いたりすることがない。
【0036】
尚、ポールの搭載品として通信用のアンテナ以外にも、照明灯、受信アンテナ、スピーカ、カメラ、旗等のいずれかであってもよい。
【0037】
[ベースフレームとパラペットの固定]
次に、支持柱のベースフレームを建物のパラペットに固定するためのパラペットに設けられる固定金具について述べる。建物の外壁のコーナーにおけるパラペットは、直角又は直角に近い角度で設けられており、支持柱は、パラペットのコーナーに対向する位置に設置するようにする。図3及び図4に示すように、ベースフレーム3の2辺に対向するパラペット27の壁面に、アンカーボルト33を設けて、アンカーボルト33を介して固定金具28を固定する。固定金具28は、ベースフレーム3における鋼管柱4の第1の連結金具5a及び第3の連結金具5cの屋上の床面26からの高さとほぼ同じ高さの位置になるように取り付ける。尚、床面に溜まった雨水に触れないように、屋上の床面26から垂直方向に離して固定金具28を取り付けるようにする。
【0038】
図3及び図4の拡大図で示すように、固定金具28は、ベースフレーム3上の鋼管柱4に設けられた第1の連結金具5aからの床面と水平を成す連結部材10と連結するためのフレキシブルジョイントを有する第1の連結固定金具29a(図4の拡大図に示す)と、鋼管柱4に設けられた第2の連結金具5bからの床面に対して角度を有するように張られる連結部材10と連結するためのフレキシブルジョイントを有する第2の連結固定金具29bとを有している。また、固定金具28は、鋼管柱4に設けられた第3の連結金具5cからの床面と水平を成す連結部材10と連結するためのフレキシブルジョイントを有する第3の連結固定金具29cと、鋼管柱4に設けられた第4の連結金具5dからの床面に対して角度を有するように張られる連結部材10と連結するためのフレキシブルジョイントを有する第4の連結固定金具29dとを有している。尚、第1の連結固定金具29a、第2の連結固定金具29b、第3の連結固定金具29c及び第4の連結固定金具29dを総称して連結固定金具29と記す。
【0039】
図5は、固定金具に連結固定金具を取り付けた状態を示す斜視図である(概念図)。固定金具28には孔が設けられており、図5に示すように、連結固定金具29は、フレキシブルジョイントの先端に設けられている孔にボルト35を挿入して固定金具28の孔にナットで固定したものである。また、連結固定金具29は、連結部材10の先端に設けられたネジと結合してナット36で連結部材10を固定している。連結部材10の先端に設けられたネジにより回転可能であるため、連結部材10の長さの調節が可能である。パラペット27に設けられている固定金具28の連結固定金具29は、揺動運動が可能なフレキシブルジョイントからなり、連結部材10の支点としてピン接合を成すようになっている。尚、フレキシブルジョイントとしてロッドエンドが好適である。
【0040】
支持柱1を床面に固定するためのパラペット27への固定金具28の取付は、パラペット27の壁面にアンカーボルト33の取付用の穴を設けて、アンカーボルト33を打ち込んで固定し、アンカーボルト33の先端に固定金具28を取り付けるようにする。また、必要により、アンカーボルト33をパラペット27に打ち込む際に、防水及び補強用の補強材を介してアンカーボルト33を取り付けるようにしてもよい。
【0041】
ベースフレーム3をパラペット27に固定する連結部材10は、引張強度を有し、張力に対して延びない部材を使用するようにする。そのため、連結部材10は、例えば、金属製のロッド、ワイヤ(化学繊維を使用したロープ、金属線、化学繊維及び金属線を併用したワイヤロープ)のいずれかであってもよい。
【0042】
図2乃至図4に示すように、ベースフレーム3の1辺に対向するパラペット27には、2組の固定金具28が、ベースフレーム3の一辺に設けられた2組の鋼管柱4とそれぞれが対向するように設けられている。ベースフレーム3における1組の鋼管柱4から4個の連結部材10がパラペット27の固定金具28との間で張設されている。即ち、一辺のベースフレーム3の鋼管柱4の第1の連結金具5aと、その鋼管柱4と対向していない固定金具28に設けた第1の連結固定金具29aとが連結部材10によって結合され、鋼管柱4の第2の連結金具5bと、その鋼管柱4と対向していない固定金具28に設けた第2の連結固定金具29bとが連結部材10によって結合されている。また、鋼管柱4の第3の連結金具5cと、その鋼管柱4と対向する固定金具28に設けた第3の連結固定金具29cとが連結部材10によって結合され、鋼管柱4の第4の連結金具5dと、その鋼管柱4と対向する固定金具28に設けた第4の連結固定金具29dとが連結部材10によって結合されている。
【0043】
このように、連結部材10は、ベースフレーム3の一辺に設けられた2組の鋼管柱4の連結金具5と、ベースフレーム3の1辺に対向するパラペット27に設けられた2組の固定金具28の各連結固定金具との間で8個の連結部材10うち4個が交差するように張設されている。また、第1の連結金具5aと第1の連結固定金具29aとを結合する連結部材10及び第3の連結金具5cと第3の連結固定金具29cとを結合する連結部材10は、床面とほぼ水平を成すように張設され、第2の連結金具5bと第2の連結固定金具29b及び第4の連結金具5dと第4の連結固定金具29dとを結合する連結部材10は、床面に対して傾斜を成すように張設されている。
【0044】
また、連結部材に折り曲げが可能な部材を使用して、フレキシブルジョイントを構成することも可能である。図6は、ワイヤを固定金具の孔に挿通し、ワイヤを折り曲げて、クリップでワイヤの端付近を固定した状態を示す斜視図である(概念図)。フレキシブルジョイントとして、図6に示すように、固定金具28に設けられている孔を用いて、連結部材10に折り曲げが可能な部材、例えば、ワイヤを用いて、ワイヤをパラペット27壁面に設けた固定金具の孔に挿通し、ワイヤを折り曲げて、クリップ38等で折り曲げたワイヤの端付近と張設されたワイヤを固定するようにしてもよい。ワイヤの長さは、ワイヤの折り曲げ位置で調整可能である。尚、固定金具の孔付近のワイヤを補強部材34で補強しておくようにする。また、ベースフレーム3の鋼管柱4に孔を有する金具を取り付けて、固定金具28と同様にワイヤを使用してクリップ38等でワイヤの端付近を固定するようにする。これにより、ロッドエンド等を用いることなしに、固定金具、連結金具及びワイヤによりピン接合と同等の作用が得られる。
【0045】
建物の屋上に設置した支持柱は、風などの外力によりポール15を支持する支線9が引っ張られてベースフレーム3に力が作用して、連結部材10に引張力が働くが、連結部材が延びることがなく、また、固定金具及び連結金具はピン接合を成し、固定金具と連結金具とを結合する連結部材により、立体トラス構造を構成しているため、ベースフレーム3に曲げモーメントによる応力が発生しない。これにより、ベースフレーム3は常に床面上の定位置に固定されている。また、支持柱にベースフレーム3を傾けて浮かせる力が作用しても、ベースフレーム3の鋼管柱4の第2の連結金具5bとパラペット27の第2の連結固定金具29b間に張られた連結部材10及び第4の連結金具5dとパラペット27の第4の連結固定金具29d間に張られた連結部材10によって、ベースフレーム3は、常に床面上の定位置に固定される。
【0046】
本発明の支持柱は、ベースフレームを連結部材でパラペットに固定し、支持柱のベースフレームを床面に固定せずに載置しているため、従来のように、床面にコンクリート基礎、アンカーボルト等の設置を必要としない。
【0047】
このように、本発明の支持柱は、床面の工事が不要であるため、従来のように、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層に損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0048】
[支持柱の施工]
以下に、建物の屋上に支持柱を設置する際の施工の手順について説明する。尚、本説明において、建物の屋上に設置する支持柱は、図2に示す支持柱と同一のものとする。最初に、建物の屋上に支持柱を設置する位置を決定する。支持柱を設置する位置は、建物の直角又は直角に近い角度を有するパラペット27のコーナーに対向する位置に設置することが望ましい。支持柱の設置位置の決定後、支持柱のベースフレーム3の大きさ、形状を決める。ベースフレーム3の大きさは、ポール15の高さ、ポール15の上部に取り付けるアンテナ20等の大きさ重量等を考慮して決める。また、ベースフレーム3の形状は、パラペット27のコーナーが直角である場合には、パラペット27のコーナー側を頂点とする二等辺三角形が好適である。
【0049】
図2に示すベースフレーム3を製作し、ベースフレーム3上に、支線アンカー8、鋼管柱4等を取り付け、また、ポール固定金具16を取り付けたポール15を準備する。準備したベースフレーム3、ポール及び支線等の部材を、屋上に搬入する。
【0050】
次に、鋼管柱4を備えたベースフレーム3の2辺に対向するそれぞれのパラペット27の壁面にアンカーボルト33を介して固定金具28を取り付ける。固定金具28は、ベースフレーム3の1辺に取り付けられた鋼管柱4に対して対向するように2組取り付けるようにする。また、固定金具28は、鋼管柱4の第1の連結金具5a及び第3の連結金具5cの床面からの高さとほぼ同一となる位置に設けるようにする。
【0051】
図2及び図3に示すように、支持柱のベースフレーム3を床面に配置して、一辺のベースフレーム3の鋼管柱4の第1の連結金具5aと、その鋼管柱4と対向していない固定金具28に設けた第1の連結固定金具29aとを連結部材10によって結合する。また、鋼管柱4の第2の連結金具5bと、その鋼管柱4と対向していない固定金具28に設けた第2の連結固定金具29bとを連結部材10によって結合する。このように、連結部材10は、ベースフレーム3の鋼管柱4の連結金具とその鋼管柱4と対向していない固定金具28の連結固定金具29との間で交差するように張設される。更に、一辺のベースフレーム3の鋼管柱4の第3の連結金具5cと、その鋼管柱4と対向する固定金具28に設けた第3の連結固定金具29cとを連結部材10によって結合する。また、鋼管柱4の第4の連結金具5dと、その鋼管柱4と対向する固定金具28に設けた第4の連結固定金具29dとを連結部材10によって結合する。これにより、第1の連結金具5aと第1の連結固定金具29a及び第3の連結金具5cと第3の連結固定金具29cとをそれぞれ結合する連結部材10は、床面とほぼ水平を成すように張設され、第2の連結金具5bと第2の連結固定金具29b及び第4の連結金具5dと第4の連結固定金具29dとを結合するそれぞれ連結部材10は、床面に対して傾斜を成すように張設されている。
【0052】
ベースフレーム3をパラペット27に固定後、ベースフレーム3の中心フレーム3b上にポール15を立てて、中心フレーム3bのポール受台17で軸支する。尚、前もって、ポール15にポール固定金具16を固定し、ポール固定金具16に支線9を取り付けた状態にしておく。ポール15をベースフレーム3上に立てた状態で、ポール固定金具16からの支線9をベースフレーム3の支線アンカー8に係留し、ポール15が垂直になるように、支線9を長さを調節して、支線9を支線アンカー8に固定するようにする。このとき各支線9が弛むことなく、均等に張るようにする。
【0053】
その後、ポール15の上部にアンテナ20を金具によって固定するようにする。アンテナ20をポール15に取付後、必要により、再度支線9の張りを調整するようにする。
【0054】
このように、本発明の支持柱の設置方法は、屋上の床面にポールを固定するための基礎及びアンカーを設ける必要がないため、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層の損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0055】
また、本発明の支持柱の設置方法によれば、設置場所での組立も可能であり、また、施工期間が短いため、作業効率が良い。
【0056】
また、本発明の支持柱は、ベースフレームとパラペット間の連結部材を取り外すのみで、屋上から撤去することが可能であり、短時間で撤去作業が終了する。また、パラペットに設けたアンカーを取り外して、その部分を修復するのみであるため、原状回復が容易である。
【0057】
[支持柱の第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る支持柱について図7乃至図9を参照して説明する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図、図8は、本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部拡大図を含む平面図、図9は、本発明の第2の実施形態に係る支持柱の構成を示す一部断面図及び一部拡大図を含む正面図である。尚、図2と同一のものに関しては、同一の符号を用いる。図7乃至図9に示すように、支持柱1は、設置面である屋上の床面26に接し、支持柱1の土台を形成するベースフレーム3と、上部に搭載品としてのアンテナ20を取り付け、ベースフレーム3の中心付近に底部を有するポール15と、ポール15の中間付近に、ポール15を支持する支線9とを有し、ベースフレーム3は、ベースフレーム3に対向する屋上のパラペット27に設けた固定金具28に連結部材10で固定されている。尚、図7乃至図9に示す支持柱のベースフレーム3、ポール15及びポール15を支持する支線9等は、図2乃至図4に示す支持柱と同一であるため、構成に関する詳細な説明は省略する。
【0058】
図7乃至図9に示すように、ベースフレーム3の鋼管柱4は、パラペット27に対向するベースフレーム3の各辺の長手方向のほぼ両端部付近の位置に垂直方向に設けられている。また、鋼管柱4の下部の外周両端付近にはフレキシブルジョイントからなる第5の連結金具5eが2個設けられており、上部の外周両端付近にはフレキシブルジョイントからなる第6の連結金具5fが2個設けられている。
【0059】
ベースフレーム3の2辺に対向するそれぞれのパラペット27の壁面には、4個の固定金具28が設けられている。固定金具28は、ベースフレーム3における鋼管柱4の第5の連結金具5eの屋上の床面26からの高さとほぼ同じ高さの位置にするように取り付ける。尚、床面に溜まった雨水に触れないように、屋上の床面26から垂直方向に離して固定金具28を取り付けるようにする。
【0060】
各固定金具28は、フレキシブルジョイントを有する第5の連結固定金具29eとフレキシブルジョイントを有する第6の連結固定金具29fとを有しており、ベースフレーム3の1個の鋼管柱4及び2個の固定金具28により、それぞれを頂点とする二等辺三角形又は正三角形の形状を有している。連結部材10は、ベースフレーム3の鋼管柱4を中心として、鋼管柱4の連結金具とパラペット27に設けられた左右の固定金具28間を連結するようにする。即ち、鋼管柱4の一方の第5の連結金具5eとパラペット27の一方の第5の連結固定金具29eとを連結部材10で連結し、鋼管柱4の他方の第5の連結金具5eとパラペット27の他方の第5の連結固定金具29eとを連結部材10で連結する。また、鋼管柱4の一方の第6の連結金具5fとパラペット27の一方の第6の連結固定金具29fとを連結部材10で連結し、鋼管柱4の他方の第6の連結金具5fとパラペット27の他方の第6の連結固定金具29fとを連結部材10で連結する。これにより、第5の連結金具5eと第5の連結固定金具29eとを結合する連結部材10は、床面とほぼ水平を成すように張設され、第6の連結金具5fと第6の連結固定金具29fとを結合する連結部材10は、床面に対して傾斜を成すように張設されている。
【0061】
尚、図7では、固定金具28の第5の連結固定金具29e及び第6の連結固定金具29fの符号を一部の固定金具28にのみ付しているが、他の固定金具28も同様の構成となっている。また、鋼管柱4の第5の連結金具5e及び第6の連結金具5fの符号を1部の鋼管柱4にのみ付しているが、他の鋼管柱4も同様の構成となっている。
【0062】
また、フレキシブルジョイントからなる連結金具及び連結固定金具は、図5に示すロットエンド又は図6に示すワイヤからなる。
【0063】
このように、図7乃至図9に示す支持柱は、ベースフレーム3のそれぞれの端部付近に位置する1個の鋼管柱4に対して、鋼管柱4の左右に位置する2個の固定金具28を連結部材で結合して、ベースフレーム3をパラペット27に固定する形態を成している。
【0064】
これにより、屋上の床面にポールを固定するためのコンクリート基礎及びアンカーを設ける必要がないため、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層に損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0065】
また、建物の屋上に設置した支持柱は、風などの外力によりポール15を支持する支線9が引っ張られてベースフレーム3に力が作用して、連結部材10に引張力が働くが、連結部材が延びることがなく、また、固定金具及び連結金具はピン接合を成し、固定金具と連結金具とを結合する連結部材により、立体トラス構造を構成しているため、ベースフレーム3に曲げモーメントによる応力が発生しない。
【0066】
尚、固定金具28は、2つ一組で機能し、トラス構造を構成する三角形の一辺を当該2つの固定金具28に挟まれた部分のパラペット27とともに構成する。この2つの固定金具28同士を伸縮不能の連結ステーで連結固定することや、又は2つの固定金具28を1つの部材で構成することも可能である。それにより、トラス構造の一辺として固定金具28及びアンカーボルト33からパラペット27にかかる圧力を削減及び分散させることが可能である。即ち、例えば、図7における抜出部(抜出した円の内部)は、2つの固定金具28を連結ステー28aを介して一体化させたものであって、連結ステー28aは伸縮不能の部材によって構成され、連結ステー上に固定金具28が固定されることから、連結ステー28a自体がトラス構造の一辺として機能するため、パラペット27に係る圧力を削減及び分散させることが可能である。この点は、支持柱の第1の実施形態でも同様である。
【0067】
[支持柱の第3の実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る支持柱について図10及び図11を参照して説明する。図10は、本発明の第3の実施形態に係る支持柱の構成を示す斜視図、図11は、本発明の第3の実施形態に係る支持柱の構成を示す平面図である。尚、図2と同一のものに関しては、同一の符号を用いる。図10及び図11に示すように、支持柱1は、設置面である屋上の床面26に接し、支持柱1の土台を形成するベースフレーム3と、上部に搭載品としてのアンテナ20を取り付け、ベースフレーム3の中心付近に底部を有するポール15と、ポール15の中間付近に、ポール15を支持する支線9とを有し、ベースフレーム3は、ベースフレーム3に対向する屋上のパラペット27に設けた固定金具28に連結部材10で固定されている。尚、図10及び図11に示す支持柱のベースフレーム3、ポール15及びポール15を支持する支線9等は、図2乃至図4に示す支持柱と同一であるため、これらの構成に関する詳細な説明は省略し、以下に第1の実施形態及び第2の実施形態に示す支持柱との相違点について説明する。
【0068】
図10に示すように、ベースフレーム3の鋼管柱4は、パラペット27に対向するベースフレーム3の各辺の長手方向のほぼ両端部付近の位置に垂直方向に設けられている。また、鋼管柱4の下部の外周両端付近にはフレキシブルジョイントからなる第7の連結金具5gが設けられており、上部の外周両端付近にはフレキシブルジョイントからなる第8の連結金具5hが設けられている。
【0069】
また、図10及び図11に示すように、ベースフレーム3に対向するそれぞれのパラペット27の壁面には、固定金具28が設けられている。固定金具28は、ベースフレーム3における鋼管柱4の第7の連結金具5gの屋上の床面26からの高さとほぼ同じ高さの位置にするように取り付けられている。尚、床面に溜まった雨水に触れないように、屋上の床面26から垂直方向に離して固定金具28を取り付けるようにする。また、固定金具28は、パラペット27の壁面に対して正面視において、パラペット27の壁面に対向するベースフレーム3のほぼ両端部付近に位置する鋼管柱4間の中間に位置するように設けられている。各固定金具28は、フレキシブルジョイントを有する第7の連結固定金具29gと、フレキシブルジョイントを有する第8の連結固定金具29hと、フレキシブルジョイントを有する第9の連結固定金具29iと、フレキシブルジョイントを有する第10の連結固定金具29jとを有している。
【0070】
尚、フレキシブルジョイントからなる連結金具及び連結固定金具は、図5に示すロットエンド又は図6に示すワイヤからなる。
【0071】
パラペット27に対向するベースフレーム3の1辺の一方の鋼管柱4の第7の連結金具5gと固定金具28の第7の連結固定金具29gとが連結部材10を介して結合されており、第8の連結金具5hと固定金具28の第8の連結固定金具29hとが連結部材10を介して結合されている。また、ベースフレーム3の1辺の他方の鋼管柱4の第7の連結金具5gと固定金具28の第9の連結固定金具29iとが連結部材10を介して結合されており、第8の連結金具5hと固定金具28の第10の連結固定金具29jとが連結部材10を介して結合されている。
【0072】
このように、パラペット27に対向する一辺のベースフレーム3の両端に位置する鋼管柱4及びパラペット27に設けられた固定金具28により、それぞれを頂点とする二等辺三角形又は正三角形の形状を有している。
【0073】
これにより、第7の連結金具5gと第7の連結固定金具29g(第9の連結固定金具29i)とを結合する連結部材10は、床面とほぼ水平を成すように張設され、第8の連結金具5hと第8の連結固定金具29h(第10の連結固定金具29j)を結合する連結部材10は、床面に対して傾斜を成すように張設されている。
【0074】
このように、図10に示す支持柱は、ベースフレーム3のそれぞれの端部付近に位置する鋼管柱4に対して、鋼管柱4間の中心に位置する固定金具28を連結部材10で結合して、ベースフレーム3をパラペット27に固定する形態を成している。これにより、屋上の床面にポールを固定するためのコンクリート基礎及びアンカーを設ける必要がないため、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層の損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0075】
また、建物の屋上に設置した支持柱は、風などの外力によりポール15を支持する支線9が引っ張られてベースフレーム3に力が作用して、連結部材10に引張力が働くが、連結部材が延びることがなく、また、固定金具及び連結金具はピン接合を成し、固定金具と連結金具とを結合する連結部材により、立体トラス構造を構成しているため、ベースフレーム3に曲げモーメントによる応力が発生しない。
【0076】
以上述べたように、本発明によれば、支持柱の土台を形成する略三角形の構造を有するベースフレームに対向する屋上のパラペットに設けた固定金具と、ベースフレームの連結金具とを連結部材を介して固定し、また、ベースフレームの中心付近にポールの底部を軸支し、少なくとも3本の支線でポールをベースフレームに固定して、支持柱のベースフレームを床面に固定せずに支持柱を屋上の床面に載置するようにしたことにより、屋上の床面にポールを固定するためのコンクリート基礎及びアンカーを設ける必要がないため、屋上の床面に用いられている仕上げ材、防水層に損傷を与えることがなく、敷設工事により既存の床面にひび割れ等が発生することがなく防水性が損なわれることがない。
【0077】
また、屋上の床面は、雨水の排水を確保するために勾配を設けているが、本発明によれば、支持柱のベースフレームは床面に直置きが可能であり、支持柱の設置時におけるポールの垂直度の調整は、ポールとベースフレームとの支線の張りを調整することにより可能であるため、屋上の排水勾配の影響を受けない。
【0078】
また、本発明の支持柱は、立体トラス構造のため曲げモーメントによる応力が発生しないため、支持柱を構成する部材を軽量化できる。
【0079】
また、本発明の支持柱は、部品点数も少なく、構造が複雑な部品を使用しないため、安価に製作することができる。
また、本発明の支持柱は、ポール上部の搭載品として通信用のアンテナ以外にも、照明灯、受信アンテナ、スピーカ、カメラ、旗等の搭載に使用することができる。
【0080】
また、本発明の支持柱の設置方法によれば、設置場所での支持柱の組立も可能であり、また、施工期間が短いため、作業効率が良い。
【0081】
この発明は、その本質的特性から逸脱することなく数多くの形式のものとして具体化することができる。よって、上述した実施形態は専ら説明上のものであり、本発明を制限するものではないことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0082】
1、50 支持柱
3 ベースフレーム
3a 外枠フレーム
3b 中心フレーム
4 鋼管柱
5 連結金具
5a 第1の連結金具
5b 第2の連結金具
5c 第3の連結金具
5d 第4の連結金具
5e 第5の連結金具
5f 第6の連結金具
5g 第7の連結金具
5h 第8の連結金具
8 支線アンカー
9 支線
10 連結部材
15 ポール
16 ポール固定金具
17 ポール受台
20 アンテナ(搭載品)
21 取付金具
25 建物
26 屋上の床面
27 パラペット
28 固定金具
28a 連結ステー
29 連結固定金具
29a 第1の連結固定金具
29b 第2の連結固定金具
29c 第3の連結固定金具
29d 第4の連結固定金具
29e 第5の連結固定金具
29f 第6の連結固定金具
29g 第7の連結固定金具
29h 第8の連結固定金具
29i 第9の連結固定金具
29j 第10の連結固定金具
33、58 アンカーボルト
34 補強部材
35 ボルト
36 ナット
38 クリップ
53 コンクリートスラブ
54a コンクリート基礎部(支持柱用)
54b コンクリート基礎部(ステー用)
57 ステー
60 防水層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋上に設置する支持柱であって、
前記支持柱は、屋上の床面に載置される支持柱の土台を形成するベースフレームと、前記ベースフレームの辺に対向した屋上の外周に突設したパラペットの壁面に設けた固定金具と前記ベースフレームとを連結部材を介して結合するためのベースフレーム上に設けた連結金具と、前記ベースフレーム上の中心付近に直立し、前記ベースフレーム上に底部を軸支したポールと、ポールを支持する支線と、ポールの上部に取り付けた搭載品とを有し、
前記ベースフレームは、前記パラペットに対向した2辺を有し、前記パラペットのコーナーに対向する位置に前記ベースフレームの1つの頂点が位置するように屋上の床面に載置されることを特徴とする支持柱。
【請求項2】
前記ベースフレームは、前記連結部材によって前記パラペットの壁面のみに固定され、前記固定金具及び前記連結金具はピン接合を成し、前記固定金具と前記連結金具とを結合する連結部材により、立体トラス構造を構成することを特徴とする請求項1に記載の支持柱。
【請求項3】
ポールを支持する支線は、少なくとも3本以上を有し、前記ポールの長手方向の中心付近から放射状に張設されており、ポールの底部を中心として等角度でベースフレーム上に設けられた支線アンカーに結合されていることを特徴とする請求項1に記載の支持柱。
【請求項4】
前記ポールの垂直度は、各支線の張りの長さを調節して行うことを特徴とする請求項1に記載の支持柱。
【請求項5】
支持柱の土台を形成するベースフレームと、前記ベースフレーム上に設けた連結金具と、前記ベースフレーム上の中心付近に直立し、前記ベースフレーム上に底部を軸支されたポールと、ポールを支持する支線とを有する支持柱の設置方法であって、
前記ベースフレームの辺に対向した屋上の外周に突設したパラペットの壁面に、アンカーボルトを取り付け、前記アンカーボルトを介して前記パラペットの壁面に固定金具を固定し、屋上の床面に載置された前記ベースフレーム上の連結金具と前記パラペットの固定金具とを連結部材で固定して、前記ポールを支持する支線を調整してポールを起立するように調整して支線をベースフレーム上の支線アンカーに固定し、前記ポールの上部に搭載品を取り付けるようにしたことを特徴とする支持柱の設置方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−202016(P2012−202016A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64271(P2011−64271)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(390001454)NECネッツエスアイ株式会社 (36)