説明

改善されたナノ粒子造影剤を使用する造影方法

本発明は、また、例えば被験体における血流又は炎症を撮像し、そして評価すするための方法及び組成物を提供する。前記の評価は、動脈瘤、及び外傷後の出血の拡散等と関連する血液の漏れを評価することだけでなく、狭心症、心臓発作、脳卒中、癌及びアテローム性動脈硬化症等と関連する器官の損傷を評価することを含む、多くの臨床における診断において重要である。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願
本出願は、引用により本明細書に援用されている、2007年7月26日に出願された米国仮出願第60/962,117号の優先権を主張する。
【0002】
本発明の背景
造影剤は、静脈及び動脈の血流を造影するために患者の血管系に注射される。従来の造影に使用される前記の造影剤の多くは水溶性である。これらの造影剤は、前記の血管の管腔におけるコントラストを与えるので、前記の管腔のポジティブ画像が形成されることができ、そして血管中の血流の進路が検出される得る。前記の造影剤が前記の管腔から取り除かれる前に、前記の画像は、投与後まもなく形成される。前記の方法を使用して形成された画像は、例えば血管の閉塞、動脈瘤、新生血管形成及び血流に関する情報を提供する。
【0003】
異なる画像が、ナノ粒子造影剤を使用することにより形成される得る。これらの造影剤のいくらかは、食細胞に吸収される得るので、例えば、食作用性の細胞が蓄積するサイトのような炎症サイトを画像化するのに有用である。例えば、前記の造影剤は、血管性のプラークを画像化するために使用することができる。これらの造影剤は、血管壁の食細胞を画像化するので、それらは、「脆弱性プラーク」、すなわち「活性なプラーク」を画像化する場合に有用である(それは、しばしば閉塞性ではないので標準的な造影法を使用すると可視化できない。)脆弱性プラークは、緩んだ場合に前記の血管から離脱する傾向があり、そして血管系を通って移動し、冠動脈アタックを引き起こし、前記の脳に達した場合には脳卒中を引き起こし、又は脚に達した場合には血管の閉塞を起こす。狭窄の厳しさよりもむしろプラークの性状により、プラークの破裂及び冠動脈疾患の急性の合併症のリスクが正確に予測されることが示された。
【0004】
静脈注射用の造影の溶媒の改良を使用する既存の造影及び検出が利用できるようになっているが、これらの方法及び溶媒は、溶媒の種類、使用量、濃度、注射技術、カテーテルのサイズ及び使用した部位、造影法、心拍出量及び組織の性状を含む多くの複雑な要因に依存している。放射線科医がこれらの要因のいくらかを制御できるだけである(例えば、Bae,
K.T., Heikin, J.P. and Brink, J.A. (1998) Radiology
207:647-655 and Bae, K.T., Heikin, J.P. and Brink, J.A. (1998) Radiology 207:657-662を参照されたい。)例えば、混じりあった人工的な要因又は一続きの人工的な要因は、前記の腹部のコンピュータ断層撮影(CT)に悪影響を及ぼし得る。これらの人工的な要因は、血管の強化における静脈注射の造影剤の最初の通過の効果(動脈フェーズ)に主として関連している(例えば、Silverman,
P.M. et al. (1995) Radiographics
15:25-36 and Herts, B.R., Einstein, D.M. and Paushter, D.M. (1993) J. Roentgenol. 161:1185-1190を参照されたい。)。血管スペース以外への造影剤の溶媒の拡散は、病巣を目立って劣化させるだけでなく、画像が、注射後2分間以内に形成されることを必要である。前記の腎臓を経由しての非常に速やかな排除は、前記のイメージングウインドウが、実用に耐えるコントラストを得るために非常に短いので、これらの物質を前記の血管系の造影には不適当であるとしてしまう。これら困難な点のすべては、様々な血管ベッドにおける血管の血液プールの一定のコントラストの増強を必要とするという指示に蓄積されている。
【0005】
N1177と称される血管プラークの造影に使用された一つのナノ粒子造影剤は、局所のリンパを評価するために皮下注射に投与された場合に、食作用性の細胞に取り込まれるように設計されている。しかしながら、前記の組成物は静脈内投与用として最適化されていなかった。加えて、前記の組成物は、脈管内の炎症の評価用として最適化されていなかった。血管の造影用の改良された造影剤ならば、大きな利点があるであろう。
【0006】
本発明の概要
本発明は、静脈内投与用として最適化された、血管の造影のための組成物及び方法を少なくとも部分的に提供する。一つの態様では、前記の組成物は、血管内炎症を造影するために最適化される。本発明より以前では、ナノ粒子造影剤の一つ以上の物理的性状(例えば、サイズ、サイズ分布及び形状)又は化学的性状(例えば、吸収された界面活性剤及び賦形剤)の変化により、静脈内に投与した場合にその造影能力、例えば血管内の炎症を造影する能力を最適化されるかが明らかではなかった。本発明は、重量又は体積あたり約150 nm未満の平均粒子サイズを有するナノ粒子を含む組成物が、血管内の炎症の検出のみならず血管の造影に最適であるという発見に少なくとも部分的に基づいている。前記の粒子を使用することにより、前記の循環器における前記の粒子の半減期が長くなり、そして前記の細網内皮系のマクロファージによる前記の粒子の取り込みが制限される。さらに、一つの態様では、前記の粒子をより低い投与量で使用でき、かつ、依然として、例えば血管炎症に罹った患者の血管壁におけるマクロファージの造影というような、診断を得るのに有用な造影を得ることができる。それゆえに、一つの態様では、本発明は、患者における血管系の状態を造影、検出及び評価する、組成物及び方法に関するものである。一つの態様では、、例えば脈管のプラーク、具体的には脆弱性プラークにおける、例えば脈管内の炎症の部位における、例えば活性化されたマクロファージのような蓄積された食細胞を可視化することにより、炎症が検出される。
【0007】
一つの態様では、本発明は、約100ナノメーターから約150ナノメーターの平均粒子サイズを有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物に関するものである。
【0008】
もう一つの態様では、本発明は、非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field fractionation)により測定される直径が約80ナノメーターから約350ナノメーターの間の粒子サイズ分布を有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物に関するものである。
【0009】
更なるもう一つの態様では、本発明は、フォトン相関分光測定法(photon
correlation spectroscopy(PCS))により測定される直径が約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の粒子サイズ分布を有する、結晶ヨード化されたナノ粒子造影剤を含む組成物に関するものである。
【0010】
もう一つの態様では、本発明は、X-ray disc centrifuge sedimentometry(XDC)により測定される、100%の粒子が約200ナノメーター未満である粒子サイズ分布を有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物に関するものである。
【0011】
一つの態様では、前記の造影剤は、ジアトリゾ酸エステルである。一つの態様では、造影剤はヨウ素を含む。一つの態様では、前記の造影剤は6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエート(6-ethoxy-6-oxohexy-3,5-bis(acetylamino)-2,4,6-triiodobenzoate)である。
【0012】
一つの態様では、本発明は、被験体の血管における蓄積されたマクロファージを撮像するin vivoにおける方法に関するものであって、
a)前記の被験体に約150ナノメーター未満又は同等である平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記の造影剤を検出するステップを含む、方法に関するものである。
【0013】
一つの態様では、本発明は、被験体の血管におけるプラークの蓄積を撮像するin vivoにおける方法に関するものであって、
a)前記の被験体に約150ナノメーターと同等又は未満の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記の造影剤の投与後、前記の被験体に存在する血管プラークのマクロファージにより前記の造影剤が取り込まれるのに十分な時間待つステップ、及び
c)前記の被験体に存在する血管プラークを撮像するために前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤を検出するステップを含む、方法に関するものである。
【0014】
もう一つの態様では、本発明は、被験体の血管の内部において蓄積されたマクロファージを撮像し、ついで評価することにより血管疾患のリスクを予測するin vivoにおける方法に関するものであって、
a)約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を前記の被験体に投与するステップ、
b)前記の造影剤の投与後、前記の被験体に存在する血管プラークのマクロファージにより前記の造影剤が取り込まれるのに十分な時間待つステップ、及び
c)前記の被験体に存在する血管プラークを撮像するために前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤を検出するステップ、
d)前記の形成された画像に基づいて前記の被験体における血管疾患のリスクを予測するステップを含む、方法に関するものである。
【0015】
一つの態様では、前記の予測が、前記の被験体の血管壁における前記のマクロファージへの前記の造影剤の蓄積の定量的な測定に基づいて行なわれる。
【0016】
もう一つの態様では、前記の血管の疾患が、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)、虚血、脳卒中、末梢血管疾患及び静脈血栓塞栓症からなる群から選ばれる。
【0017】
更なるもう一つの態様では、本発明は、ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を診断する方法に関するものであって、
a)血管プラークの存在の有無のための画像を検査するステップであって、前記の画像が、
i.約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤である6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエートを含む組成物の有効量を、血管プラークが発生するリスクのあるヒトに投与するステップ、
ii.前記の造影剤がマクロファージに取り込まれ、そして前記の撮像される血管の管腔における前記の造影剤の量が、前記のヒトに存在する血管プラークにおけるマクロファージが可視化される量まで減少するのに、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
iii.前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤を検出するステップにより得られるステップ、並びに
b)脆弱性プラークが前記の画像に存在するかどうかを決定するステップであって、血管プラークの存在がアテローム性動脈硬化症を示し、それでもってヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を診断するステップを含む、方法に関するものである。
【0018】
一つの態様では、本発明は、血管プラークが発生するリスクのある被験体に存在する可能性のある脆弱性血管プラークを撮像するin vivoにおける方法であって、
a)約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を血管プラークが発生するリスクのある被験体か又は血管プラークが存在することが明らかになっている被験体に投与するステップ、
b)前記の造影剤が前記の被験体に存在する可能性がある脆弱性プラークのマクロファージに取り込まれる、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤の検出により得られたデータから画像を構築し、それでもって前記の患者に存在する可能性がある脆弱性プラークの画像を得るステップを含む、方法に関するものである。
【0019】
もう一つの態様では、本発明は、被験体における血管の血液プールの画像を得る、in vivoにおける方法に関するものであって、
a)前記の被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記の被験体の血管に存在する前記の造影剤を検出し、それでもって被験体の血管の血液プールの画像を得るステップを含む、方法に関するものである。
【0020】
一つの態様では、前記の血管の血液プールが、肝臓の血液プール、すい臓の血液プール、肺の血液プール、心臓の血液プール、脾臓の血液プール及び脳の血液プールからなる群から選ばれる。
【0021】
一つの態様では、前記の血管の血液プールが心臓の血液プールである。一つの態様では、前記の血管の血液プールが脾臓の血液プールである。一つの態様では、前記の血管の血液プールがすい臓の血液プールである。一つの態様では、前記の血管の血液プールが肺の血液プールである。一つの態様では、前記の血管の血液プールが脳の血液プールである。
【0022】
もう一つの態様では、本発明は、被験体の脳における食細胞を撮像する、in vivoにおける方法に関するものであって、
a)前記の被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記の造影剤が、前記の被験体に存在する可能性がある食細胞に取り込まれる、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)食細胞に取り込まれた前記の造影剤を検出して、それでもって前記の被験体の脳に存在する可能性がある食細胞の画像を得るステップを含む、方法に関するものである。
【0023】
一つの態様では、前記の食細胞が神経のプラークと関連している。
【0024】
一つの態様では、本発明は、被験体の関心のある部位に存在する可能性がある腫瘍の存在を検出する、in vivoにおける方法に関するものであって、
a)それが被験体の血管系に存在するとされる被験体に、静脈注射により約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を投与するステップ、及び
b)関心のある部位の血管系に存在する造影剤を検出して、それでもって前記の被験体の関心のある部位に存在する可能性のある腫瘍と関連する前記の血管系の画像を得るステップを含む、方法に関するものである。
【0025】
一つの態様では、前記の画像は、血管の形成が増加した部位又は血管から造影剤が漏出する部位について評価される。
【0026】
もう一つの態様では、本発明は、被験体の関心のある部位における食作用性の細胞の画像を得る、in vivoにおける方法に関するものであって、
a)それが被験体の血管系に存在するとされる被験体に、静脈注射により約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を投与するステップ、及び
b)前記の造影剤が、前記の被験体の関心のある部位に存在する可能性がある食作用性の細胞に取り込まれる、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)食作用性の細胞に取り込まれた前記の造影剤を検出して、それでもって前記の被験体の関心ある部位に存在する可能性がある食作用性の細胞の画像を得るステップを含む、方法に関するものである。
【0027】
一つの態様では、前記の食作用性の細胞が、腫瘍の部位に存在する。
【0028】
一つの態様では、前記の組成物が、前記の造影剤の100%が400ナノメーター以下の粒子サイズを有する粒子サイズ分布
【0029】
一つの態様では、前記の造影剤が約100ナノメーターから150ナノメーターの間の平均粒子サイズを有する。
【0030】
一つの態様では、非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field
fractionation)により測定された約80ナノメーターから約350ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を、前記の造影剤が有する。
【0031】
一つの態様では、フォトン相関分光測定法(photon
correlation spectroscopy(PCS))により測定された約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を、前記の造影剤が有する。
【0032】
一つの態様では、前記の造影剤が、約100ナノメーターから150ナノメーターの平均粒子サイズ、及び非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field
fractionation)で測定された約80ナノメーターから約350ナノメーターのの直径の粒子サイズ分布を有するか、又はフォトン相関分光測定法(photon
correlation spectroscopy(PCS))により測定された約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を有する。
【0033】
一つの態様では、前記の検出方法は、X線造影法(x-ray
imaging)、コンピュータ連動断層撮影(CT)、コンピュータ連動断層血管撮影法(computed tomography angiography)(CTA)、多検出器CT(multi-detector CT)(MDCT)、electron beam (EBT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴血管造影(MRA)及び陽電子放出断層撮影法からなる群から選ばれる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、アテローム性動脈硬化症のプラークにおけるマクロファージの画像を示す。パネルAは、N1177又は前記の非特異的な造影剤の注射後2時間の間及び2時間経過時におけるコンピュータ連動断層撮影によるウサギの大動脈における同じアテローム性動脈硬化症のプラークの垂直方向の形状を示す。挿入した画像は、前記の大動脈を囲む部位の拡大図である。同じウインドウレベル及び幅は、全ての垂直方向の形状に使用された。バーの幅は2cmである。パネルBは、N1177又は従来のヨード化された造影剤の注射後のアテローム性動脈硬化症のウサギ又はコントロールのウサギの大動脈壁におけるCTで測定されたシグナル強度を示す。HUはHounsfield単位を示す。
【図2】図2は、注射後の24時間に亘り得られた血液試料のヨードの経時変化を示す。
【図3】図3は、6mlボーラスの投与後24時間における、大きな粒子サイズ製剤(GLPは、平均粒子サイズが269.3であり、ここでは混合物Aを示す。)、及び小さな粒子サイズ製剤(FIDは、平均粒子サイズが128.5であり、ここでは混合物Bを示す。)について得られた前記の肝臓、脾臓、肺、及び腎臓において検出された造影剤のパーセントである。この結果から、前記のより大きなGLPバッチは、前記のより小さなFIDバッチに比べて、より大きなRESの取り込み(肝臓及び脾臓における注射された投与量%(ID)が顕著に増加したことが観察された。)を有することが示唆された。前記の注射された投与量の4%未満が、試験された両製剤の注射後24時間経過時に前記の腎臓で検出された。前記の心臓では、全くヨードは検出されなかった。前記の大動脈では、前記の注射された投与量の0.039%及び0.044%が、前記の大きなGLPバッチ及び小さなFIDバッチのそれぞれの投与後に検出された。前記のパーセントIDは、前記の組織中に検出されるヨードの量(mg)及び投与された全てのヨード量に基づいて算定された。
【図4】図4は、混合物A及びBの粒子サイズ分布を示す。
【図5】図5は、ウルトラビスト(Ultravist)及びNaClをラットに投与した場合に比較しての混合物Bの静脈注射による投与後における血漿のヒスタミンレベルを示す。
【図6】図6は、混合物A(パネルA)及び混合物B(パネルB)の薬物動態を示す。
【図7】図7は、様々な組織におけるΔHUの測定値を示す。図7Aは、i.v.投与後の肝臓の実質組織における動態であるΔHUの測定を示す。混合物A及び混合物Bは、ウルトラビスト(Ultravist)に比較して前記の肝臓の実質組織における血管混濁化を示す。図7Bは、i.v.投与後の腎臓の皮質における動態であるΔHUの測定を示す。図7Cは、i.v.投与後の大動脈における動態であるΔHUの測定を示す。混合物A及び混合物Bは、ウルトラビスト(Ultravist)に比較して前記の大動脈における血管混濁化を示す。図7Dは、i.v.投与後の大静脈における動態であるΔHUの測定を示す。混合物A及び混合物Bは、ウルトラビスト(Ultravist)に比較して前記の大静脈における血管混濁化を示す。
【図8】図8は、異なる化合物を使用しての腫瘍の灌流のマッピングを示す。図8Aは、ウルトラビスト(Ultravist)の注射後の腫瘍の灌流のマッピングを示す。図8Bは、混合物Bの注射後の腫瘍の灌流のマッピングを示す。
【0035】
本発明の詳細な説明
本発明は、例えば血管の炎症を検出し、そして評価するためのような被験体の血管系を造影し、検出し、そして評価するための、最適化された組成物及び方法を提供する。脈管内の炎症の造影は、例えば、局所的及び全身的な疾患及び障害、並びに/又は器官、組織又は血管の損傷(例えば、虚血性、炎症が発生した、創傷を受けた、感染を受けた、若しくは回復する器官、組織又は血管、血管壁の損傷、及び末梢血管の疾患等)の予測及び/又は診断のためには重要である。本発明は、造影された前記の特定の血管組織、血管ベッド又は器官組織に限定されるものではない。
【0036】
本発明は、また、例えば脆弱性プラークを含む前記のからだの血管内炎症が発生した部位に見られるような、例えば活性化されたマクロファージのような食細胞を造影し、検出し、及び評価するための組成物及び方法に関するものである。脆弱性プラークは、動脈壁に蓄積された、例えば活性化されたマクロファージを含むマクロファージを含む。本発明の造影剤は、例えば活性化されたマクロファージのようなマクロファージに取り込まれる。
【0037】
炎症の部位において前記の造影剤を取り込むマクロファージの可視化は、例えばX線造影法(x-ray
imaging)、超音波検査法、コンピュータ連動断層撮影 (CT)、コンピュータ連動断層血管撮影法(computed tomography angiography) (CTA)、multidetector-row CT
(MDCT)、electron beam (EBT)、磁気共鳴画像法 (MRI)、磁気共鳴血管造影 (MRA)、陽電子放出断層撮影法及びその他の造影法のような決まりきった造影法を使用することで可能である。
好ましくは、潜在的な血管炎症の部位の画像は、前記の造影剤の十分な量を前記の血管のスペースに残存させた後に形成され、血管の管腔のポジティブ画像が形成されるよりもむしろ前記の造影剤を取り込んだマクロファージのポジティブ画像が形成される(例えば、前記の画像は、管腔の造影の後に形成される。)。一つの態様では、前記の造影剤の投与後、前記の造影剤がマクロファージに取り込まれるのに十分な時間、及び撮像される血管の管腔における前記の造影剤の量が、前記の血管壁に存在する可能性があるマクロファージが可視化される量まで減少するのに十分な時間待った後に、血管の画像は形成される。この時間待つことにより、前記の血管の管腔と前記の血管壁の細胞との間のコントラストが十分なものとなる。
【0038】
一つの態様では、多重の画像が、前記の造影剤の投与後造影されるかもしれない。一つの態様では、前記の造影剤が前記の血管の管腔に存在して前記の血管のポジティブ画像が得られる間に画像が得られ、そして前記の血管の管腔の前記の造影剤の量が、前記の被験体の血管壁に存在する可能性があるマクロファージが可視化され、それでもって前記の血管壁に存在する可能性がある食細胞のポジティブ画像を得る量まで減少後に第二の画像が形成される。
【0039】
もう一つの態様では、本発明の改良された造影剤は、血液プールの造影に使用される。一つの態様では、関心のある血管ベッド(腎臓、肝臓、及び脳等)における血管のスキャンが実施されてもよい。
【0040】
特定の部位の造影のみならず、例えばX線造影法(x-ray
imaging)、 超音波検査法、コンピュータ連動断層撮影(CT)、コンピュータ連動断層血管撮影法(computed tomography angiography)(CTA)、電子ビーム断層撮影法 (EBT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴血管造影(MRA)及び陽電子放出断層撮影法のような当業者に知られている造影法により、全身の血管の造影も実施することができる。
【0041】
もう一つの態様では、本発明の改良された造影剤を使用して腫瘍の血管新生をモニターすることができる。本発明は、灌流状態、例えば腫瘍の微小灌流状態、例えば腫瘍の血管新生の測定を造影するための方法を提供する。例えば腫瘍を囲む血管から本発明の造影剤の灌流を可視化することにより、癌性組織を同定するために、本発明の改良された造影剤が使用されてもよい。
【0042】
加えて、インタクトな血管スペースからの本発明の造影剤の極小の灌流により、例えば損傷を受けた組織又は腫瘍の部位における例えば漏れ(血管外漏出)のような血管の疾患又は障害又は血管損傷の部位が、前記の血管内スペースの外部エリアにける前記の造影剤の蓄積のために可視化されることができる。
【0043】
更なるもう一つの態様では、本発明の改良された造影剤は、例えば脳のような中枢神経系のおける血管の造影を実施することに使用されることができる。ナノ粒子は、血液脳関門を通り抜けることができることが以前示されたことから(Kepan
Gao, Xinguo Jiang. 2006.
International journal of pharmaceutics vol. 310, no1-2, pp. 213-219)、例えば血流、脳腫瘍の血管新生、動脈瘤等の前記の脳における構造を造影する場合に、それらが有用であるとされた。本発明の改良された造影剤は、被験体における脳卒中の発生を診断すること、被験体における脳卒中のリスクを決定すること、又は被験体における脳卒中治療の有効性を評価することに使用されてもよい。
【0044】
I.定義
本明細書において使用されているように、「炎症」という用語は、例えば病原体、刺激物又は損傷を受けた細胞に対する組織の複雑な応答を意味する。炎症は、前記の炎症が発生した部位に対する、因子の同化及び、例えば食作用性の細胞のような免疫細胞の動員を含む。炎症は急性又は慢性であってもよい。炎症が発生した部位に存在する前記の細胞のタイプの一つは、前記のマクロファージである。
【0045】
本明細書で使用されているように、「マクロファージ」という用語は、血中単球から誘導される、哺乳動物の組織の比較的長寿命の食作用性の細胞を意味する。マクロファージは、免疫応答のすべての段階に関与している。マクロファージは、前記の免疫システムの他の細胞を刺激する、サイトカイン及び成長因子等の化学物質の放出のみならず、例えば細菌、ウイルス、原生動物、腫瘍細胞及び壊死組織片等のような異物の食作用(消化)において重要な役割を果たしている。マクロファージは、また、組織の修復及び創傷治癒のみならず、抗原提示にも関与している。aveolarマクロファージ、腹腔のマクロファージ、組織マクロファージ(組織球)、前記の肝臓のクッパー細胞、及び前記の骨の破骨細胞を含む、多くの種類のマクロファージがある。これらのマクロファージのすべては、本発明の範囲に含まれる。マクロファージは、また、さらに慢性の炎症病変部の内部において上皮様細胞に分化するか、又は融合して異物巨細胞(例えば、肉芽腫)又はランゲルハンス巨細胞を形成する。
【0046】
「血管系」、「血管」及び「循環器系」という用語は、静脈、動脈、細動脈、細静脈及び毛細血管を含むがこれらに限定されるものではない、血液が循環する血管を含むことを意味する。血管系は、一般に大血管(例えば直径が>0.1 mmである血管)及び小血管(例えば直径が<0.1 mmである血管)に分類される。本明細書で使用されているように、「毛細血管」という用語は、細動脈(例えば、前記の筋肉の動脈及び前記の毛細血管の間に存在する動脈の最も小さい部位)と細静脈(例えば、毛細血管の神経叢から血液を集め、そして合流して静脈を形成する微小血管)を連結し、そして全身の殆どの各部位に亘るネットワークを形成する微小血管のいずれか一つを含む。それらの血管壁は、前記の血管と組織の液体との間で体液を含む様々な物質を交換する半透膜として機能する。毛細血管の平均直径は、通常約7ミクロメーターから9ミクロメーターの間である。それらの長さは、通常約0.25mmから1mmであり、後者は筋肉組織の特徴である。いくらかの例(例えば、副腎皮質、腎髄質)では、毛細血管は50mmの長さでありうる。本明細書で使用されているように、一般に心血管系疾患、冠動脈心疾患(CHD)及び冠動脈疾患(CAD)としても言及される「血管疾患又は障害」という用語は、心臓及び血管を含む血管系を冒す疾患又は障害を意味する。血管疾患又は障害は、例えば動脈の内壁におけるプラークの発生及びそれから発生した疾患又は障害による、血管内狭窄(狭小化)又は閉塞(封鎖)を含む血管の機能不全を特徴とする疾患又は障害を含む。血栓性又は血栓塞栓性のイベントも本発明の範囲に含まれる。「血栓性又は血栓塞栓性のイベント」という用語は、血栓症による動脈又は静脈の封鎖又は部分的な封鎖を含むあらゆる障害を含む。血栓性又は血栓塞栓性のイベントは、例えば脆弱性プラークの破裂後発生する可能性がある血管中に血塊が形成され、そして留まる場合に発症する。血管疾患及び障害としては、アテローム性動脈硬化症、CAD、MI、不安定狭心症、急性冠症候群、肺塞栓症、一過性脳虚血発作、血栓症(深部静脈血栓症、血栓、閉塞症、再閉塞及び末梢血管血栓症)、例えば静脈血栓塞栓症のような血栓塞栓症、虚血、脳卒中、末梢血管疾患及び一過性脳虚血発作が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0047】
本明細書で使用されているように、通例「アテローム」とも称される「血管プラーク」は、前記の血管壁の内部表面に形成される物質で、前記の血管をしばしば狭める物質を意味する。プラークは、CADの共通の原因である。通常、プラークは、線維状の結合組織、脂質(例えば、脂肪)及びコレステロールを含む。しばしば、カルシウム塩及び他の残渣材料の沈着物も存在する。プラークが増加すると、前記の血管壁が糜爛になり、前記の血管の弾力が減少し(例えば、伸びやすさ)、そして最終的に血流を妨げるようになる。血液凝固も前記のプラーク沈着物の周辺に形成され、それゆえ、さらに血流を妨げる。プラークの安定性は、前記のプラークの組成に基づいて二つのカテゴリーに分類される。本明細書に使用されているように、「安定な」又は「不活性な」プラークという用語は、石灰沈着性又は線維状であり、かつ崩壊又は断片化する危険性がないものである。これらのタイプのプラークは、前記の被験体において狭心症に伴う胸痛を引き起こすかもしれないが、滅多に心筋梗塞を引き起こさない。一方、「脆弱性」又は「活性な」プラークという用語は、薄い線維性のキャップで覆われた脂質のたまりを含むものを意味する。前記の薄い線維性のキャップの内部には、平滑筋細胞、マクロファージ及びリンパ細胞の濃い浸潤物が存在する。脆弱性プラークは、動脈を遮断しないかもしれないが、前記の動脈壁に深く染み込んでいるので、それらを検出することができない。それらはまた無症候であるかもしれない。さらに、血管プラークは、崩壊の危険性が高いと考えられている。前記の脆弱性プラークの崩壊は、例えばマクロファージのような前記の細胞からの炎症応答のみならず、例えば血流から発生する生化学的なストレス、血行力学的ストレス及び生体力学的ストレスを含む内因性及び外因性の因子の結果である。
【0048】
本明細書において使用されているように、「被験体」という用語は、ヒト及びヒト以外の動物を含む。いくらかの態様では、前記の被験体は、例えば霊長類、例えばヒトのような哺乳動物である。好ましいヒトは、血管疾患、血栓症、脳卒中又は腫瘍のような癌を患っている、罹りやすい患者である。本発明の「ヒト以外の動物」という用語は、例えばヒト以外の霊長類、ヒツジ、イヌ、雌ウシ、ニワトリ、ウサギ、両生類及び爬虫類等のような、例えば哺乳動物、例えば齧歯類、例えばマウスのようなすべての脊椎動物及び非哺乳動物を含む。
一つの態様では、被験体は、脆弱性血管プラークの破裂の危険性に瀕している。
【0049】
「薬学的に受容される」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で過剰な毒性、刺激作用、アレルギー反応又は他の問題、又は合併症がなく、ヒト及び動物の接触において適しており、妥当な利益/リスク比と釣り合う、本発明のこれらのナノ粒子造影剤、前記の造影剤及び/又は投与剤形を含む組成物を意味するように、本明細書では専ら使用されている。
【0050】
本明細書で使用されているように、「粒子サイズ」という用語は、前記の粒子の直径(又は球体ではない粒子については、前記の粒子の最も大きい長さのサイズ)を意味する。本明細書で使用されている粒子サイズは、特に注記されていなければ体積又は重量の基準(例えば、数加重ではない。)で記載されている。
【0051】
本明細書で使用されているように、「粒子サイズ分布(粒子サイズ密度)」という用語は、混合物に存在する粒子サイズの範囲を意味する。前記の粒子サイズ密度は、定量化されることができ、例えば平均粒子サイズ、最頻数粒子サイズ及び中央値粒子サイズのように、見なされた単一の値である。前記の平均は、粒子サイズ密度カーブの下の部分である。前記のモーダル値は、粒子の大多数が属するサイズである。前記の中間値は、測定されたパラメーターについて前記の粒子の50%が、より大きく、かつ前記の粒子の50%が、より小さい値である。
【0052】
本明細書で使用されているように、「ナノ粒子(nanoparticulate又はnanoparticle)」は、ナノメーター単位で測定されるサイズを有する極微の粒子を意味する。一つの態様では、サブミクロンレベル(1ミクロン、すなわち1000ナノメーター未満)である粒子は、本明細書では「ナノ粒子」と言及される。
【0053】
II.本発明の造影剤
本発明の造影剤は、例えば器官、組織、血管、血液プール又はプラークのような構造に、例えば注射で注射できる物質を含み、及び例えばX線、電波又は音波等の検出媒体の吸収における、前記の造影剤と前記の構造との間の相違のため、本発明の造影剤は、例えばX線撮影又は音波検査による可視化のような検出、可視化又は精度の高い可視化により、例えば器官、組織、血管、血のたまり、又はプラークのような構造の可視化を可能にする。
【0054】
一つの態様では、本発明の造影剤は、超常磁性鉄を含む粒子ではない。好ましくは、本発明の造影剤はナノ粒子結晶である。
【0055】
アクリル酸、メタアクリル酸、メチルメタアクリル酸、シアノアクリル酸、アクリルアミド、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ポリ酸無水物、ポリオルソエステル、ゼラチン、多糖類、アルブミン、ポリスチレン、ポリビニル、ポリアクロレイン、ポリグルタルアルデヒド、及び誘導体、コポリマー及びその誘導体を含む非常に多くの材料からナノ粒子を調製することができる。一つの態様では、金を使用して本発明のナノ粒子造影剤を調製してもよい。連続水性層におけるエマルジョン重合により生分解性ナノ粒子を調製するのに特に適しているモノマー材料は、メチルメタアクリル酸、ポリアルキルシアノアクリル酸、ヒドロキシエチルメタアクリル酸、メタアクリル酸、エチレングリコールジメチルアクリル酸、アクリルアミド、N,N’−ビスメチレンアクリルアミド及び2−ジメチルアミノエチルメタアクリル酸を含む。N,N’−L−リジンジイルテレフタレート、ポリ乳酸、ポリ乳酸−ポリグリコール酸コポリマー及び脱溶媒和された高分子又は炭水化物から、異なる技法により他のナノ粒子を調製することができる。さらに、例えばポリスチレン、ポリ(ビニルピリジン)、ポリアクロレイン及びポリグルタルアルデヒドのような非生分解性材料を使用することができる。本発明の方法の使用に適した他の化合物の例としては、例えば米国特許第5,322,679号、米国特許第5,466,440号、米国特許第,
5,518,187号、米国特許第5,580,579号、米国特許第5,718,388号、米国特許第5,525,328号、米国特許第5260478号、米国特許第5,537,750号、米国特許第5,488,133号、米国特許第及び米国特許第5,466,433号に開示された組成物を挙げることでき、そして当該米国特許の全ての内容は引用により本願に援用されている。
【0056】
ナノ粒子を調製するための代表的な材料及び調製法のサマリーはすでに公表されている。Kreuter,
J. (1991) "Nanoparticles-preparation and applications."を参照されたい。M.
Donbrow (Ed.) "Microcapsules and nanop articles in medicine and
pharmacy." CRC Press, Boca Ranton,
Florida, pp. 125-148を参照されたい。
【0057】
一つの態様では、本発明の方法で使用された前記の造影剤はジアトリゾ酸のエステルである。もう一つの態様では、本発明の方法で使用された前記の造影剤はヨード化されたアロイルオキシエステルである。更なるもう一つの態様では、本発明の方法で使用された前記の造影剤はN1177(WIN67722及びPH50とも称される。)である。N1177は、実験式C19H23I3N2O6を有するヨード化されたアロイルオキシエステルであり、その化学名は、6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエート(6-ethoxy-6-oxohexy-3,5-bis(acetylamino)-2,4,6-triiodobenzoate)である。N1177は結晶として存在し、そして水性条件で粉砕されるとナノ粒子を生成し、例えば水に不溶性のように不溶性である
【0058】
もう一つの態様では、本発明の造影剤は非水溶性である。更なるもう一つの態様では、本発明の造影剤は、放射能でラベルされていてもよい又は放射能でラベルされていなくてもよい、例えばヨウ素又はバリウムのような重元素を含むか又は当該重元素でラベルされることができる。例えば、ヨウ素のような前記の重元素の濃度は、ラベルされる化合物:ヨウ素の比は2:1であってもよい。更なるもう一つの態様では、本発明の造影剤は、被験体の血管における半減期が少なくとも30分間である。更なるもう一つの態様では、前記の造影剤は中性pHを有する。
【0059】
本発明の造影剤は、明確に定められた粒子サイズ分布を有する組成物の状態で存在する。例えば、本発明の組成物は特定の平均粒子サイズ及び/又は粒子サイズの範囲を有する。
【0060】
当業者ならば、粒子サイズ及び粒子サイズ分布測定は、前記のサイズ(例えば、PCS対XDC)を決定するために使用された方法により異なっていてもよく、同じ組成物に関して異なる方法又は異なる測定原理を使用して測定すると異なる結果が与えてもよいことを認識するであろう。例えば、以下の表では、特定の配合物についての測定された粒子サイズは、報告された具体的なパラメーター(すなわち、平均サイズ、体積加重(volume
weighted)、数加重(number weighted)等)により異なることが示されている。
ナノメーター(nm)レベルにおける大きな及び小さな配合剤のサイズ

【0061】
幾らかの態様では、前記の粒子サイズ(例えば、平均粒子サイズ)をPCS法により測定した。他の態様では、XDCを使用して、前記の粒子サイズを測定した。
幾らかの具体的な態様では、前記の数加重(number-weighted)(DN)測定を使用して前記の粒子サイズを測定し、一方他の態様では前記の体積加重(volume-weighted)(DV)測定を使用した。本明細書において粒子サイズを説明する場合、前記の粒子サイズは、特に注記されていないならば体積又は重量(例えば数加重ではない)を基準として表記されている。
【0062】
それゆえ、前記の絶対的なサイズは、使用された測定原理により幾分か異なるが、混合物A及び混合物Bの相対的なサイズは一致しており、そしてより大きな粒子サイズを有する前記の組成物に比べて、より小さい粒子サイズを有する本発明の組成物は改善された性状を備えている。
【0063】
好ましい態様では、本発明の造影剤は、150ナノメーター(nm)未満の平均粒子サイズを有している。好ましい態様では、本発明の造影剤は、100ナノメーター(nm)未満の平均粒子サイズを有している。一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤の平均粒子サイズは、約110nmから140nmの間である。もう一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤の平均粒子サイズは、約130nmである。もう一つの好ましい態様では、前記のナノ粒子造影剤は、約75nmから150nmの間の平均粒子サイズを有する。もう一つの態様では、本発明の造影剤は、約20nmから約150nmの間の平均粒子サイズを有するナノ粒子造影剤を含む組成物である。他の態様では、本発明の造影剤は、約20.0nmから約30nmの間、約30nmから約40nmの間、約40nmから約50nmの間、約50nmから約60nmの間、約60nmから約70nmの間、約70nmから約80nmの間、約80nmから約90nmの間、約90nmから約100nmの間、約100nmから約110nmの間、約110nmから約120nmの間、約120nmから約130nmの間、約130nmから約140nmの間、約140nmから約150nmの間、約150nmから約160nmの間、約160nmから約170nmの間、約170nmから約180nmの間、約180nmから約190nmの間、約190nmから約200nmの間の平均粒子サイズを有している。さらに、いくらかの態様では、本発明の造影剤は、約40nmから約500nmの間の平均粒子サイズを有している。他の態様では、本発明の造影剤は、500nm未満、400nm未満、300nm未満、250nm未満、200nm未満、170nm未満、150nm未満、130nm未満、110nm未満、100nm未満、95nm未満、90nm未満、80nm未満、70nm未満、60nm未満、50nm未満又は40nm未満の平均粒子サイズを有している。
【0064】
一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の50%が100ナノメーター以下の直径であり、及び前記のナノ粒子の90%が200ナノメーター以下の直径である粒子サイズ分布を含む組成物として存在する。
【0065】
もう一つの好ましい態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、ナノ粒子の50%以下が約70nm未満である粒子サイズ分布を有するナノ粒子造影剤を含む組成物として存在する。
一つの態様では、前記のナノ粒子の100%が約400nm未満である。もう一つの態様では、前記のナノ粒子の100%が約350nm未満である。もう一つの態様では、前記のナノ粒子の100%が約300nm未満であり、前記のナノ粒子の100%が約250nm未満である。もう一つの態様では、前記のナノ粒子の100%が約200nm未満である。もう一つの態様では、前記のナノ粒子の100%が約150nm未満である。あるいは、いくらかの態様では、前記のナノ粒子の50%又は100%が50nmより大きいか、75nmより大きいか、90nmより大きいか、100nmより大きいか、125nmより大きいか、150nmより大きいか、又は170nmより大きい。
【0066】
いくらかの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、平均粒子サイズ及び粒子サイズ範囲又は分布の両方で記述されてもよい。本明細書に記述された粒子サイズ分布と矛盾しない、本明細書に記述された平均粒子サイズのいずれも配慮されている。例えば、いくらかの態様では、前記の造影剤は約150nm以下の平均粒子サイズを有し、そして前記のナノ粒子の100%は約400nm未満である。関連した態様では、前記の造影剤は約150nm以下の平均粒子サイズを有し、そして前記のナノ粒子の100%は約300nm以下である。更なる関連した態様では、前記の平均粒子サイズは100nm未満であり、そして前記のナノ粒子の100%は、300nm未満、400nm未満、500nm未満又は600nm未満である。更なる関連した態様では、前記の平均粒子サイズは150nm未満であり、そして前記のナノ粒子の100%は、400nm未満、500nm未満又は600nm未満である。更なる関連した態様では、前記の平均粒子サイズは100nmから150nmの間であり、そして前記のナノ粒子の100%は、300nm未満である。他の態様では、前記の平均粒子サイズは100nmから150nmの間であり、そして前記のナノ粒子の100%は、400nm未満である。他の態様では、前記の平均粒子サイズは100nmから150nmの間であり、そして前記のナノ粒子の100%は、500nm未満又は600nm未満である。他の態様では、前記の平均粒子サイズは100nmから150nmの間であり、そして粒子サイズ分布は、非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field fractionation)により測定された直径が約80ナノメーターから約350ナノメーターであるか又はPCSで測定された直径が約20から約120の間である。
【0067】
本明細書で使用されているように、粒子サイズに関して「約」という用語は、表記された数値から+/-7
nmの差を意味する。本発明の粒子組成物は粒子サイズ分布を含むので、平均粒子サイズ(例えば、平均約140nm、又は100から140nmの間の平均)についての記載は、前記の分布の幅を表す標準偏差を伴ってもよい。前記の標準偏差は、前記の粒子の80%、90%、95%又は99%を包含するサイズの範囲として表記されていていてもよい。幾らかの態様では、前記の標準偏差は10nmである。他の態様では、前記の標準偏差は5nm、15nm、20nm、25nm、30nm、35nm、40nm、45nm又は50nmである。
【0068】
III.造影剤の調製法
本発明の方法における使用に適した典型的な混合物は、公知の方法により合成されてもよい。
【0069】
前記のナノ粒子サイズ範囲にある粒子を調製する方法は公知であり、そして薬学的組成物における前記の粒子のサイズ範囲は厳密に制御されている。例えば、本発明の方法で使用されるナノ粒子造影剤は、目的とする粒子サイズの調製に関しての技術で知られたプロセスによるか、又は例えば米国特許第5,718,388号、米国特許第5,518,187号、米国特許第5,543,133号、米国特許第5,862,999号、米国特許出願第20040169194号又は米国特許出願第20040173696号に記載された方法により調製されてもよい。公知の方法としては、例えば切断又は衝撃による粒子サイズを小さくする他の手段のみならず、高エネルギーメディアミリング(high
energy media milling)、低エネルギーボールミリング(low energy ball
milling)、音響キャビテーション(acoustic cavitation)、流体力学的キャビテーション(hydrodynamic
cavitation)が挙げられる。
【0070】
一つの態様では、本発明の造影剤は前記の目的とするサイズに粉砕される。好ましい態様では、調製される前記の造影剤は、市販されている原料であるジアトリゾ酸ナトリウム(3,5-(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエート)から調製されてもよいN1177である。N1177の典型的な合成は、N,N-ジメチルホルムアミド中で等モルのジアトリゾエートナトリウム及びエチル 6-ブロモヘキサノエートのN,N-ジメチルホルムアミドを撹拌下でスラリーとなし、ついで得られたスラリーを約95℃で、例えば少なくとも4時間加熱することで開始してもよい。析出した沈殿を濾取し、洗浄及び乾燥してもよい。前記の粗製物合成の期待される収率は約90%である。
【0071】
ついで、粗N1177は、N1177をジメチルスルホキシド中でスラリーとなし窒素雰囲気下で加熱撹拌することにより精製されもよい。得られた溶液をカートリッジフィルターにより蒸留水中に濾過してもよい。沈殿した固形物を濾取し、ついで水で洗浄し、ついで約85℃で真空下で乾燥してもよい。乾燥された固形物をエタノールに撹拌下で懸濁させて、そしてほぼ還流レベルに加熱してもよい。ついで、内部の温度を40℃未満にまで下げてもよい。ついで、得られた懸濁液を濾過し、ついでエタノールで洗浄するとN1177の純品が得られ、ついで乾燥させてもよい。前記の結晶化されたN1177が合成されると、得られたN1177を目的とする平均粒子サイズ及び粒子サイズ分布に粉砕してもよい。
【0072】
本発明のナノ粒子造影剤は、その物理的又は薬学的性状を改善するために製剤化されてもよい。一つの態様では、前記のN1177は、生体適合性の界面活性剤に分散された結晶性ヨード化された粒子の懸濁液として調製される。前記の界面活性剤は粒子の凝集を防ぎ、そして粒子サイズを安定化する。一つの好ましい界面活性剤は、N1177に添加されるpoloxamer
338である。ナノ粒子懸濁液は、ミリングメディアの存在下で前記のヨード化アロイルオキシエステル及びをpoloxamer 338を粉砕することにより得られる。好ましい手順では、150mg/ml及び30mg/mlの200ml分散液をYttrium
Stabilized Zirconia (YTZ) 0.5mmミリングメディア2kgを含む1000ml容のボトルに入れる。一つの態様では、前記の試料は1から7日間90 RPMでローラーミル(roller
mill)を使用してボールミルされる。
【0073】
IV.粒子サイズの測定法
本発明の造影剤の粒子サイズは標準的な方法を使用して測定されてもよい。
【0074】
一つの態様では、粒子サイズ分布の測定にはXDC(X-ray disc
centrifuge sedimentometry)が使用される。これは、無機材料に利用される最も正確な方法に一つである。この測定法は、異なるサイズ(及び同一の密度)の粒子は、同じ力(例えば、重力又は遠心力)が掛けられてている場合に二点の間を通過する時間が異なるであろう、すなわち、より大きな粒子は、小さい粒子よりも速く通過するであろうという事実に基づいている。遠心沈降に関するStokes式の誘導は多くの文献に開示されている(Thomas,
J.C., and Fairhurst, D. (1991) Surface
Phenomena and Fine Particles in Water-based Coatings and Paints. Sharma, M.K., and Micale, F.J.
(eds), Plenum Press, New York)。サイズ及び前記の要する時間の関係は、二乗の関数である。したがって、例えば1ミクロンの粒子が一定の距離を通過するのに1秒かかるならば、0.1ミクロンの粒子は100秒かかるであろう。粒子サイズの分布により、前記の粒子は、粒子が排斥力(遠心力)が掛けられた状態を移動するにつれて、前記の粒子は、効率的に分画されるであろう。時間は極端に明確に測定されるので、検出されたサイズを、非常に正確に測定することができる。あらゆる一定のサイズの材料の量を決定するために使用される方法はX線吸収である。多くの無機材料に関しては、X線は、量に比例して吸収される。したがって、前記の粒子サイズは、「量加重(mass-weighted)」である。一定の粒子密度に関しては、量は体積に比例するので、「体積加重(volume-weighted
value)値(Dv)」は、粒子サイズ密度について算定されることができる。前記の粒子が球体であると仮定すると、Dvは、表面積加重値(surface-weighted
value)(Ds)又は数加重値(number-weighted value)(Dn)のいずれかに変換されることができる。後者の数値は、電子顕微鏡による測定により決定されたサイズと比較されることができる。前記のコロイドドメイン(1ミクロン未満)の粒子サイズに関して、球体であるという仮定は、極めて妥当であり、粒子サイズが、サブミクロン(<100nm)範囲及びナノメーター範囲(約10nm)に小さくなるにつれてより適切になる。XDC測定において対応され得るサイズ範囲は、例えば前記の測定はどのくらい長くかかるかというように、前記の粒子サイズ密度の範囲によってのみ差配されることができる。前記のXDC法は、非常に広い範囲の粒子サイズ密度の場合には非常に時間が掛かり得る。
【0075】
もう一つの態様では、レーザー光の分散を、粒子サイズを測定するために使用することができる。これは、最も広く使用されている、粒子サイズ密度測定のために方法であり、この方法には、二つの主な変法、すなわちフォトン相関分光測定法(photon
correlation spectroscopy(PCS))及びフラウンホーファー回折(Fraunhofer
Diffraction(FD))がある。二つの方法の選択は、研究中の前記の粒子サイズ範囲により決定される。PCSは、数ナノメーターから約1ミクロン(1000nm)までのサイズに使用され、FDは、約1ミクロンからミリメーターに使用される。この二つの方法は、「集団平均法(ensemble
averaging methods)」と呼ばれている。このことは、粒子サイズ密度(前記の実際のサイズ及びそのサイズの材料の量)を記述するのに必要とされる、二つの関係のある情報の断片が、分散された光量の単なる測定からデコンボリューション処理されるのに必要であることを意味する。これは、非常に複雑な法則及び同じような複雑なデコンボリューションアルゴリズムの適用を含む(Kerker,
M. (1969) The Scattering of Light and
other Electromagnetic Radiation. Academic Press, New York)。したがって、両方の測定法の変法は本質的に低い解析能力に過ぎない。すなわち、典型的には、成し遂げられ得る最良の方法は二つのクラスサイズを区別できる方法である(Weiner,
B.B. (1984) Modern Methods of Particle
Sizing. Barth,
H. (ed). Wiley-Interscience)。前記の粒子サイズ密度が1ミクロンを超えると技術的な問題が発生する。なぜならば、その場合異なるアルゴリズム/法則を適用することが必要になり、両者を一つに統合することができないからである。そのようにする試みは前記の粒子サイズに人為的な間違いを生ずるので、市販の装置は、たとえ解析能力が低くても前記のデータを扱いやすくしている。光の分散に基づいて測定すると、得られる基本的なデータは“intensity-weighted”
number(Di)である。前記のDi値をDv値に変換するためには、幾らかのチャレンジが必要である。第一に、粒子が球体であるという仮定に加えて、PCS及びFDは前記の強度について重み付けが異なっていることであり、そして第二に、前記の変換は分散及び効率の適用を必要であることである(Weiner,
B.B., Fairhurst, D., and Tscharnuter, W.W. (1991) Particle Size Distribution II - Assessment and Characterization. Provder, T. (ed). ACS
Symposium Series No. 472. American Chemical Society)。前記の修正はMie
theory(Kerker, M. (1969) The Scattering of
Light and other Electromagnetic Radiation. Academic Press, New York)から算定することができるが、それらは粒子サイズに依存し、そして前記の粒子及び粒子の周辺の媒体に関する光学的な特性(complex
refractive index)の知識を必要とする。この結果は、Dv値(及びさらに変換がDs及びDnにまでなされる。)は著しく不正確で有り得ることである。しかしながら、品質の管理のためには、前記の方法は極めて速く、且つ同じ材料についての測定には極めて再現性が高い。
【0076】
レーザ光分散は、またDynamic Light
Scattering (DLS)とも称されてもよく、そして一般的にはPCS techniqueとも称されている。非対称フローフィールドフロー分画(asymmetrical flow field-flow-fractionation)(AF4)は、採用してもよい光分散に基づくより新しい分析法である。A4Fの利点は、前記の方法がDLS analysisに先立ちナノ粒子の混合物を分離することができることである。
【0077】
一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも50%が約15nmから約150nmの間のDvを有している組成物に含まれている。もう一つの態様では、発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも50%が約20nmから約130nmの間のDvを有している組成物に含まれている。もう一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも50%が約25nmから約110nmの間のDvを有している組成物に含まれている。もう一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも50%が約30nmから約100nmの間のDvを有している組成物に含まれている。もう一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも50%が約200nm未満のDnを有している組成物に含まれている。
【0078】
一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも90%が約200nm未満のDnを有している組成物に含まれている。一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも90%が約100nm未満のDnを有している組成物に含まれている。一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも90%が約50nm未満のDnを有している組成物に含まれている。一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも90%が約30nmのDnを有している組成物に含まれている。
【0079】
一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、前記のナノ粒子の少なくとも90%が約200nm未満のDiを有している組成物に含まれている。
【0080】
もう一つの態様では、McFadyen, P., and
Fairhurst, D. (1993) Clay Minerals
28:531-537 or Pecora, R. (1985) Dynamic
Light Scattering - Applications of Photon Correlation Spectroscopy, Plenum
Press. New Yorkに開示された方法を使用して、粒子サイズ分布の測定を行うことができる。
【0081】
V.薬学的に活性な成分への結合
一つの態様では、本発明のナノ粒子造影剤は、薬学的に活性な成分に結合させられる。
【0082】
本明細書で使用されているように、「薬学的に活性な成分」という用語は、例えば抗炎症剤、冠動脈疾患の治療に使用されるもう一つの薬剤又は抗がん剤のような、機能障害に罹っている被験体の疾患又は機能障害の処置、治療法、予防又は診断に使用されるあらゆる薬剤又は化合物のようなあらゆる化学物質を意味する。本発明に含まれる薬学的に活性な成分の形態の例としては、低分子、ペプチド、リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、短干渉RNA(siRNA)、放射性医薬品、むき出しの核酸(naked
nucleic acid)又はウイルスベクターに取り込まれた核酸分子が挙げられるが、これに限定されるものではない。むき出しの核酸(naked
nucleic acid)とは、コートされていない単鎖又は二重螺旋DNA又はRNA分子を意味する。
【0083】
典型的な抗炎症剤としては、例えばフェニルブタゾン、インドメタシン、ナプロキセン、イブプロフェン、フルビプロフェン、ジクロフェナック、デキサメタゾン、プレデニゾン、プレデニゾロン、ヒスタミン、ブラジキニン、カリジン及びそのそれぞれの作動薬及び拮抗薬、免疫調節剤、抗感染症剤、脂質低下剤、サイトカイン調節剤、例えばヘパリン又はヘパリン誘導体のような抗トロンボゲン剤、例えばエノキサプリン(enoxaprin)、アンギオペプチン(angiopeptin)又は例えばポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体のような抗体のような抗増殖剤、ヒルジン(hirudin)又はアセチルサリチル酸(例えば、アスピリン)が挙げられる。好ましくは薬学的に活性な成分は、単に治療手段として使用されるわけではない。
【0084】
典型的な抗がん剤としては、アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、オキザリプラチン(oxaliplatin)、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル)、代謝拮抗剤(例えば、アザチオプリン、メルカプトプリン)、植物アルカロイド及びテルペノイド、ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン(Vinorelbine)、ビンデシン)、ポドフィルトキシン(Podophyllotoxin)、エトポシド、テニポシド、パクリタキセル(タキソール)、ドセタキセル(docetaxel)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン(amsacrine)、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド)、タキサン、ダクチノマイシン、アントラサイクリン、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン、マイトマイシン、抗腫瘍性抗体、抗血管新生薬、並びに本技術分野で知られている他の薬剤が挙げられる。
【0085】
もう一つの態様では、前記の薬学的に活性な成分は水に不溶である。更なるもう一つの態様では、前記の薬剤が、前記の被験体に投与された途端か、又は例えばマクロファージのような単核ファゴサイトに取り込まれた途端において活性な薬剤に代謝により変換されるプロドラッグである。更なる態様では、前記の薬学的に活性な成分は持続性放出薬剤である。
【0086】
例えば、一つの態様では、前記のナノ粒子は、一つ以上の薬学的に活性な成分によりコートされていてもよい。得られた薬学的組成物は、例えばそれは、延長された期間にわたり薬学的に活性な成分の放出を提供するような持続性製剤であってもよい。前記の望ましい薬剤の放出特性に依存して、ナノ粒子は単層のコーティングでコーティングされていもよく、或いは互い違いのコーティングが提供されてもよく、或いは前記の薬学的に活性な成分が実際にコーティング剤の内部に分散されていてもよい。(例えば、米国特許第6,406,745号及びModern
Pharmaceutics, Second Edition, edited by Gilbert S. Banker and Christopher T
Rhodesを参照されたい。なお、これらの内容は全て引用により本願に援用されている。)前記のコーティングに使用される材料は、薬学の分野及び食品工業の分野で一般に使用されている殆どの固体、すなわち前記のエネルギー源により効率的に除去されるあらゆる材料を含む。これらの材料としては、生分解性ポリマー、生体適合性ポリマー、ポリサッカライド及びタンパク質が挙げられるが、これらに限定されるものではない。適切な生分解性ポリマーとしては、他の乳酸ポリマー及びコポリマー、ポリオルソエステル及びポリカプロラクトン等のみならず、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリジオキサノン、ポリカルボネート、ポリヒドロキシブチレート、ポリアルキレンオキザレート、ポリアンハドライド、ポリアミド、ポリエステリアミド、ポリウレタン、ポリアセテート、ポリケタル、ポリオルソカルボネート、ポリホスファゼン、ポリヒドロキシバレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(リンゴ酸)、ポリ(アミノ酸)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール及びそれらの組み合わせが挙げられる。適切な生体適合性ポリマーとしては、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン及びポリビニルアルコール等が挙げられる。適切なポリサッカライドとしては、デキストラン、セルロース、キサンタン(xantham)、キチン及びキトサン等が挙げられる。適切なプロテインとしては、ポリリジン及びその他のポリアミン、コラーゲン、アルブミン等が挙げられる。特にコーティング材料として有用な多くの材料は、米国特許第5,702,716号に開示されている。
【0087】
もう一つの態様では、前記のナノ粒子は、窪んだ球体、半球形、又は、一つ以上の薬学的な活性な成分が、例えば持続性放出のような放出のためにカプセル化されているリポゾームである。
【0088】
更なる一つの態様では、ナノ粒子は、例えば米国特許第6,482,439号に開示されている一つ以上の薬学的に活性な成分に、例えば共有結合的又は非共有結合的に結合されていてもよいか、あるいは公知の方法により結合されていてもよい。例えば、薬学的に活性な成分とナノ粒子が直接結合しているか、又は薬学的に活性な成分とナノ粒子がリンカー基又は架橋剤を経由して結合していることが望ましいかもしれない。一つの態様では、薬学的に活性な成分とナノ粒子との間の相互作用はイオン結合である。一つより多いの薬学的に活性な成分は、多価のナノ粒子と結合していてもよい。
【0089】
薬学的に活性な成分は、また、すでに調製されたナノ粒子に吸着されるか(又は吸収されるか)又は前記の調製プロセスの間に前記のナノ粒子に取り込まれるかのいずれかである。吸着、吸収及び取り込みの方法は、当業者に知られている。
【0090】
一つ以上のオリゴヌクレオチドは、また、本発明のナノ粒子に結合していてもよい。例えば、オリゴヌクレオチドは、前記のナノ粒子に結合することができる官能基を有していてもよい。前記のナノ粒子は、例えば陽電荷を帯びていてもよい。例えば水に溶けない薬剤のような薬学的に活性な成分自体は、例えば公知のナノ粒子の調製方法又は本明細書に記載されたナノ粒子の調製方法により、投与のためにナノ粒子として製剤化されていてもよい。更なる態様では、前記のナノ粒子薬剤放出ビークルは、酵素により分解されてもよい。酵素により分解されるナノ粒子を被験体に投与する場合、前記のナノ粒子組成物は分解されて、薬学的に活性な成分を放出する。
【0091】
VI.使用方法
以下により詳細に述べるように、本発明の組成物は、血管壁又は血管外の部位に存在する食作用細胞検出を促進することにより、血管の内腔を造影するためか又は炎症部位を造影するために使用される。
【0092】
様々な実験により、粒子サイズが前記の血液から造影剤のクリアランスに著しい効果を有することが示された。例えば、いくらかの態様ではより小さい粒子サイズは、より大きな粒子サイズに比べて、より長い血液強化(例えば、より長い半減期及びより遅いクリアランス)を示す。いくらかの態様では、本発明の造影剤は、3時間までのベータ半減期を示す。他の態様では、前記の造影剤は、2.5時間から3時間の間の半減期、2時間から2.5時間の間の半減期、1.5時間から2時間の間の半減期、1時間から1.5時間の間の減期、0.5時間から1時間の間の半減期又は0時間から0.5時間の間の半減期を示す。具体的な態様では、本発明の造影剤は、例えば1.12時間、0.97時間又は1±0.4時間(1.1時間、 0.9時間、1.05時間、0.97時間、及び0.4時間までのあらゆる間隔による1時間についてのすべての前記の和又は差)のような約1時間の半減期を示す。他の態様では、前記の造影剤は、0.3時間から0.5時間の間の半減期、0.4時間から0.5時間の間の半減期、0.5時間から0.6時間の間の半減期、1.4時間から1.5時間の間の半減期又は1.5時間から1.6時間の間の半減期を有する。状況によっては、より短いか又はより長い半減期が望まれるかもしれない。いくらかの態様では、本発明の造影剤は、0.5時間未満の半減期、1時間未満の半減期、1.5時間未満の半減期を有する。他の態様では、本発明の造影剤は、0.2時間超の半減期、0.5時間超の半減期、0.7時間超の半減期、1時間超の半減期、1.5時間超の半減期、2時間超の半減期、2.5時間超の半減期又は3時間超の半減期を有する。
【0093】
一つの態様では、本発明の組成物の投与後血液循環の造影剤の半減期経過時又は前記の半減期よりも長い時間経過時に画像が形成されるので、食作用細胞のポジティブ画像を見ることができる(例えば前記の食作用細胞の画像を、血管の内壁に残存する造影剤に対して見ることができる。)。
【0094】
本発明のもう一つの態様では、前記の造影剤の半減期よりも短い時間経過時又は前記の半減期の経過時に画像が形成されるので、前記の血管の内腔のポジティブ画像を見ることができる(例えば、前記の血管の内腔の前記の造影剤媒体の画像を前記の背景に対して見ることができる。)。一つの態様では、前記の造影剤を静脈内又は動脈内への注射により投与して、血管の造影が、標準的な撮像法を使用して成し遂げられ得る。本発明は、あらゆる公知の撮像法を使用して前記の造影剤の、例えば検出又は画像化のような可視化を提供する。これらの撮像法としては、X線造影法(x-ray
imaging)、超音波検査法(ultrasonagraphy)、コンピュータ連動断層撮影 (CT)、コンピュータ連動断層血管撮影法(computed
tomography angiography) (CTA)、電子ビーム断層撮影法 (EBT)、磁気共鳴画像法 (MRI)、磁気共鳴血管造影 (MRA)及び陽電子放出断層撮影法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。好ましくは、前記の検出法はCTによる検出である。
【0095】
A.マクロファージと血管の炎症の造影
最近の証拠により、例えば冠状動脈のような血管における炎症が、例えば癌、アテローム性動脈硬化症及びその関連する急性冠状動脈症候群のような多くの疾患の進展に本質的に関与する可能性があることが示された。炎症応答の一部として、食作用細胞(例えば、マクロファージ)が炎症部位に移動し、そして炎症部位に蓄積する。したがって、本発明の一つの態様では、前記のマクロファージが前記の造影剤を取り込むのに十分な時間及び血管の内腔から排除されるのに十分な時間待つことにより前記のマクロファージのポジティブ画像を観察できるようにした後前記の血管中の蓄積されたマクロファージの造影剤を検出し、そしてその画像を形成するために、例えばヒトのような哺乳動物のような被験体に、造影剤の有効量を、例えば静脈内に投与することにより、血管の中(例えば冠動脈又は肺動脈のような動脈又は静脈の中)又は組織の中に存在する炎症に関連する蓄積したマクロファージの画像を得るか又は評価する方法を提供される。
【0096】
さらに、本発明は、蓄積されたマクロファージの検出に基づいて、例えば虚血部位、炎症部位、損傷部位、又は感染症に罹った部位における、例えば活性化されたマクロファージのような食細胞の造影及び検出に基づいている本発明の造影剤を使用して、虚血の組織若しくは血管、炎症のある組織若しくは血管、損傷を受けた組織若しくは血管、感染症に罹った組織若しくは血管、及び血管壁の損傷等を検出する方法を含む。もう一つの態様では、血管外の部位における食細胞の蓄積もまた検出されてもよい。本発明の造影剤が、例えば前記の血管壁の漏れ、膿瘍、裂孔又は損傷のために血管外の部位に存在する場合、食細胞の蓄積は、蓄積した食細胞の検出に基づいている虚血、炎症、損傷又は感染症の部位において検出されてもよい。したがって、例えば感染症、リウマチ性関節炎、慢性肺動脈炎症疾患、乾癬、リウマチ様脊椎炎、変形性関節症、通風性関節炎、深静脈血栓症、アレルギー、多発性硬化症、自己免疫性糖尿病、自己免疫疾患若しくは障害、ネフローゼ症候群、癌、アテローム性動脈硬化症のような、これらに限定するものではない、炎症又は炎症性疾患若しくは障害を検出又は診断できる。
【0097】
さらに、組織、血管又は血管外の部位の治癒又は進展もまた、治療、治療後及び治療により炎症の程度が減少したかどうかの決定に先立ち、損傷を受けた部位における食細胞の蓄積を画像化することによる本発明の方法により可視化されてもよい。
【0098】
前記の組成物は、脆弱性アテローム性動脈硬化症プラークの検出において特に価値がある。安定なプラークは石灰化され、そして比較的炎症がないのに対し、脆弱性プラークは多くの食作用細胞を含むがゆえに容易に検出される。本発明の造影剤は、これらのタイプのプラークを囲む内皮細胞層の裂孔を通って、脆弱性プラークの周囲の炎症を起こしている組織の少なくとも一部に入ることが可能である。
【0099】
したがって、本発明の更なるもう一つの態様は、本発明の造影剤の有効量を例えば被験体の静脈内に投与すること、及び例えばプラークの蓄積と関連する炎症を示す食細胞を検出することにより被験体の血管、組織又は器官における、例えば脆弱性プラークのようなプラークの蓄積の画像を撮影又は評価する(例えば、プラークが前記の画像に存在するどうかを決定すること)方法に関するものである。
【0100】
本発明は、また、本発明の造影剤の有効量を投与し、被験体の体内の前記の造影剤を検出し、撮影された画像に基づいて前記の被験体における血管疾患のリスクを予測することにより、被験体の血管の中の蓄積された食細胞の画像を撮影又は評価することにより血管疾患のリスクを予測する造影方法に関するものである。本明細書で使用されているように、「リスクを予測する」及び「予知する」という用語は、例えばアテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)、虚血、脳卒中、末梢血管疾患及び静脈血栓塞栓症、脆弱性血管プラークの破裂、又は本発明の造影剤を投与された被験体から得られる画像の評価により示される関連するか又はそうでないにせよ関連する段階のような、これらに限定されるものではない、血管疾患のような障害を進展させる可能性のある被験体の評価を意味する。アテローム性動脈硬化症の組織のみならず血漿における炎症及び血管の混乱状態の生化学的マーカーに基づいた、最近の実験及び臨床研究から、血管疾患のインジケーターとして生化学的マーカー及び/又は炎症の他のマーカーを使用するための潜在的な役割が示唆されている(例えば、前掲のVan
Lente, F. supra; and Schmidt, M.I. et al.,を参照されたい。)。したがって、当業者によく知られている、例えば年齢、肥満、コレステロールレベル、HDL及びLDLレベル及び喫煙等の他の基準と共に、マクロファージを撮像する本発明の方法から得られる画像データを使用して、当業者ならば、被験体が血管疾患又は障害を発症するか、又は血管疾患又は障害を発症するリスクがあるという可能性を予測することができるであろう。例えば、コレステロール及びLDLレベルが高い上にマクロファージの蓄積が高い被験体は、少しか又はマクロファージの蓄積がなく、そしてLDLレベルが低い被験者よりも非常に高いリスクを有する。本発明の方法により食細胞の蓄積の画像化は、また、他の血管疾患又は関連する障害を予測、診断又は予知することにおいて支援となり得る。前記の他の疾患としては、アテローム性動脈硬化症、CAD、MI、不安定狭心症、急性冠状症候群、急性冠状動脈症候群、肺動脈塞栓症、一過性脳虚血発作、血栓症(例えば、深静脈血栓症、血栓性閉塞、血栓性再閉塞、末梢血管血栓症)、例えば静脈血栓塞栓症のような血栓塞栓症、虚血、脳卒中、末梢血管疾患、及び一過性脳虚血発作が挙げられる。
【0101】
一つの態様では、本発明の造影剤は、被験体における脳卒中の発症の診断又は脳卒中のリスクの決定に使用されてもよい。本発明の造影剤は、迅速な脳卒中の部位の正確な特定及び損傷の程度の決定、脳のあらゆる部分における血流の評価、虚血性脳卒中と出血性脳卒中の区別、損傷の程度の決定、脳における関連する側副(代替)血管の存在の決定、又は頸動脈における遮断の診断に使用されてもよい。血栓性脳卒中は、典型的にはアテローム性動脈硬化性プラークの部位で発生する凝血塊の形成に起因している。前記の凝血塊が剥がれ、そして血管を塞ぐと、前記の血栓性凝血塊は塞栓性脳卒中(すなわち、動脈の遮断)を引き起こす可能性がある。したがって、本発明の造影剤は、さらに被験体における血栓性脳卒中又は塞栓性脳卒中のリスクを決定するために使用されてもよい。
【0102】
もう一つの態様では、例えばN1177のような本発明の造影剤の単回投与後、いくつかの造影手順を実施してもよい。例えば、血管疾患のリスクの評価又は血管疾患の存在の評価は、例えば冠動脈造影法のような前記の血管の解剖学的形態及び構造の造影、組織灌流の造影、又は例えば心臓の空洞(heart cavities)のような空洞の造影及び一つの造影期間における血管の炎症の造影により実施してもよい。さらに、完全な血管のスペースから本発明の造影剤が拡散しないことは、また当業者に知られた通例の造影法を使用して全身のプラークの負荷の造影だけでなく全身の血管の造影を可能にする。
【0103】
B.血管造影法
さらに、本発明は血管造影法又は血液プール造影に関するものであり、さらに詳細には、血管の血液プール(例えば心臓の血液プール、大動脈の血液プール、大静脈の血液プール、肝臓の血液プール等)の造影に関するものである。血管造影法又は動脈造影法は、人体の血管及び器官の内部又は管腔を可視化するために画像が撮影される医学的な造影法である。本発明の組成物は、管壁における食作用性細胞を造影することに特に有用であるが、本発明の組成物は、心臓の静脈、心臓の動脈又は心房における管腔の造影にも有用である。
【0104】
本発明の造影剤は、いくつかの器官における血液プールを造影することに非常に適している。一つの態様では、本発明の造影剤は、例えば心臓ゲートの血液プールの造影のようなのような心臓の血液プールの造影、又はマルチゲート取得(MUGA)スキャン、又は例えば脾臓の血液プールの造影、肝臓の血液プールの造影、肺の血液プールの造影、脳の血液プールの造影、すい臓の血液プールの造影若しくは他の器官若しくは組織の造影のような他の器官の血液プールの造影に使用される。心臓の血液プール造影において、画像は、反復する心臓周期の間、典型的には前記の心臓周期の特定の時期(例えば心電図のシンクロナイザー又はゲーティング・デバイスを使用することにより)に得られる。得られた画像は、定められた時間の間隔に亘り平均化されてもよい。心臓の血液プール画像は、例えば左心室、右心室、左心房又は右心房のような特定の心室にフォーカスされてもよい。
【0105】
一つの態様では、本発明の造影剤は、例えば末梢動脈、冠動脈、又は腎臓動脈のような動脈の遮断を診断する血管造影法に使用されることができる。血管造影法は、前記の遮断の正確な位置を同定でき、そして形成された画像に基づいて前記の遮断の重篤さを評価できる。前記の動脈の遮断のパーセントのみならず、閉塞も検出されてもよい。血管造影法は、動脈瘤の存在を検出してもよく、そして手術に先立ち動脈瘤の位置及び重篤さを評価するために使用されてもよい。
【0106】
C.灌流
本発明は、例えば毛細血管のような最小の血管のレベルにおける器官の灌流状態を評価するために器官及び組織における微小灌流状態を造影するために使用されることができる。例えば腎臓、肝臓、脳及び肺のような器官及び組織について、十分な血液の供給及び血液の灌流(例えば血液プール造影)を観察することができる。この能力を利用することにより、狭心症、心臓発作、脳卒中又は血管損傷に関連する器官の損傷を評価することができるので、これらの能力は、病理学的なイベント(脳卒中及び腫瘍等)を評価するため、血管の漏れ(動脈瘤、及び外傷又は他の病理学的なイベント後の出血の拡散)を評価するため、又はこれらすべての適用症のための治療効果(抗血管新生治療の有効性、外科処置、及びその他の治療法を含む)を観察することを含む腫瘍の微小灌流の状態を決定するために最近利用されているテクネチウム99スキャン又は脳灌流の造影に取ってかわることができる。さらに、血管はプラークの蓄積に起因する閉塞の評価及び、例えばバイパス手術のような外科手術、他の侵襲性の治療法、又は例えばダイエットの変更又は投薬法の変更のようなライフスタイルの変更のような非侵襲性治療法の評価のために血管が造影されてもよい。小さな血管における画像は、これらの組織部位の能動的灌流を示し、そして造影される組織の健全さ及び生存に適した状態に関する重要な結論を可能にする。
【0107】
D.
腫瘍に関連する脈管構造の形成(すなわち、腫瘍血管新生)が、腫瘍の発生初期、局所腫瘍の進行及び転移の拡散における臨界ステップとして発生した。固形癌は、しばしば典型的な炎症の症状を呈し、そして多くの白血球細胞の集合、すなわち、好中球、好酸球、好塩基球、単球/マクロファージ、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞及びリンパ球により浸潤される(Ruegg, C.,
2006. Journal of Leukocyte Biology.
2006;80:682-684)。実際、慢性的な炎症と癌形成との間の因果関係が提案された。興味深いことに、炎症が、発生、進行及び転移といった腫瘍の成長の三つの段階で機能する。一つの態様では、本発明は、被験体における炎症を検出することにより、患者が腫瘍を患う可能性があるか、又は初期段階の腫瘍を検出するという可能性を検出する方法を提供する。もう一つの態様では、本発明は、被験体における炎症を検出することにより、確立された腫瘍を検出する方法を提供する。更なるもう一つの態様では、本発明は、被験体における炎症を検出することにより腫瘍転移を検出する方法を提供する。
【0108】
さらに、本発明は、例えば腫瘍における血管新生の測定のような腫瘍の微小灌流状態のような灌流状態を造影する方法を提供する。臨床的に適切なサイズへの腫瘍の成長は、十分な血液の供給に依存する。この事は、新しい毛細血管の形成が主要な症状である腫瘍間質の発生のプロセスにより成し遂げられる。腫瘍部位への血管の連続的な補充及び発生する新しい脈管構造による腫瘍拡大の相互のサポートは、固形腫瘍の成長を駆り立てるのに役立つ自己永続性のループを生じると考えられている。新しい血管の発達は、また、転移的に競合する腫瘍細胞のための排出ルートを確立し、始原部位からそれらを離れさせ、初期には冒されていない器官にコロニー形成をすることができる。腫瘍状の塊又は生育物の部位又はその内部における内部毛細血管を含む血管の造影は、前記の塊が、例えば嚢胞のような癌ではない腫れに対立するように実際には腫瘍であるかどうかを評価又は診断方法を提供し、そして腫瘍が良性か又は悪性かどうかを決定し、もし悪性である場合前記の塊の血管新生の程度に基づいて悪性の程度を決定する方法を提供する。したがって、一つの態様では、本発明は、本発明の組成物を使用して腫瘍の血管新生を測定することにより腫瘍を検出する方法を提供する。例えば、一つの態様では、本発明の組成物を投与し、そして被験体の部位における脈管構造を造影することにより血管新生の程度が測定される。
【0109】
さらに、腫瘍の微細血管は特に腫瘍に罹っていない、健全でありかつ完全な組織の微細血管に比べて高い透過性を有するので漏出性が高いということが確立されている。それゆえ、本発明の造影剤は、腫瘍の周辺の血管からの本発明の造影剤の拡散、すなわち漏出の可視化に基づいて腫瘍性組織を同定するために使用されてもよい。
【0110】
E.神経系障害
アミロイドプラークは、アルツハイマー病(AD)の初期に現れ、そしてその発達は、活性化された星状細胞及び小グリア細胞と密接に関連している。小グリア細胞は、新しいアルツハイマープラークの形成から一日以内に新しいアルツハイマープラークに引き寄せられるということが示された(Meyer-Luehmann et al. Nature. 2008
Feb 7;451(7179):720-4; Masliah E.Nature. 2008 Feb 7;451(7179):638-9); Fiala et
al. Alzheimers Dis. 2007 Jul;11(4):457-63; Britschgi M, Wyss-Coray T. Nat Med.
2007 Apr;13(4):408-9))。小グリア細胞は、脳内において感染剤、損傷を受けた細胞又はプラークに作用する免疫細胞である。小グリア細胞は、脳内の炎症部位に存在し、そして他の食作用細胞と同じような様式で炎症を誘発する。本発明の造影剤は、前記の神経システムの小グリア細胞により接種されてもよいので、脳及びその他の部位(例えば、アミロイドプラーク)における炎症部位を検出することができる。それゆえ、本発明の造影剤は、被験体におけるアルツハイマープラークの存在の診断、又はアルツハイマー病又は関連する神経疾患に罹っていることが知られた被験体におけるプラーク形成の程度の決定に使用されてもよい。
【0111】
F.治療の有効性の決定
本発明の組成物を使用して形成された画像は、また、例えばアテローム性動脈硬化症又は抗脈管治療(抗血管新生治療)のような炎症の治療の経過、又は例えば炎症又は血管新生における減少が前記の腫瘍治療の有効性を示す、被験体における他の癌療法の経過の観察に使用されてもよい。治療の有効性を評価する方法は、被験体の単一の画像を撮影してもよいが、より好ましくは、例えば治療経過又は治療の完了の前後のような時間経過に伴う被験体の二つ以上の画像を撮影することを含んでもよい。さらに、本発明の造影剤は、術後の炎症又は血管新生の存在又は非存在の評価により成功した外科治療の評価に使用されてもい。
【0112】
VII.本発明の方法に使用される造影法
本明細書で使用されているように、「造影法」又は「臨床的造影法」という用語は、前記の組織により伝達又は吸収されたエネルギーの吸収における差異を測定することにより、in vivo又はex vivoの何れかで、例えば毛細血管、血液プール又はプラークのような血管の構造を可視化するあらゆる造影法の使用を意味する。造影法としては、X線法、例えば超音波検査法(ultrasonagraphy)、コンピュータ連動断層撮影(CT)、多検出器CT(multi-detector CT)(MDCT)、核磁気共鳴(magnetic resonance)(MRI又はNMR)、及び例えば陽電子放出断層撮影法等のような測定法で使用される、例えば123I又は125Iのような放射性ヌクレオチドが挙げられる。
【0113】
CT造影法は、材料の放射線濃度を測定することを含む。放射線濃度は、典型的にはホーンスフィールド単位(Hounsefield
Units (HU))で表される。ホーンスフィールド単位(Hounsefield Units (HU))は、材料によるコンピュータ連動断層撮影法のX線(computed
tomography X-rays)の相対的な吸収の測定値であり、そして電子密度に直接的に比例している。任意に水には、0 HUが与えられ、空気には、-1000
HUが与えられ、そして密な皮質骨には1000 HUが与えられている。従来のCTスキャナーは、前記の被験体を透過するX線の幅の狭いビームを作り出し、そして反対側に設置された一列の検出器で検出される。前記のチューブ及び検出器は、前記の患者の周りを回転するリングの反対側に設置されているが、前記のチューブは連続して回転することができない。各回転後、前記のスキャナーは停止して、そして反対方向に回転しなければならない。各回転により、およそ1回転あたり1秒で厚さ1cmの軸画像が得られる。前記のテーブルは、前記のスキャナーを通って所定の距離だけ前記の患者を移動させる。スピラルCT(螺旋CT)スキャナーは、より短い時間のスキャンが可能であり、そしてより接近した位置に配置されたスキャンが可能である、回転するチューブを含む。血管造影法は、螺旋スキャンが可能である。マルチスライスCTスキャナーは、スーパーチャジド螺旋スキャナーと考えられている。従来のスキャナー及びスパイラルスキャナーは、前記のX線ビームを検出する一列の検出器を使うのに対し、マルチスライススキャナーは、活性な8列までの検出器を有する。マルチスライススキャナーは一定の大きさの組織をより速くスキャンする。臨床で使用されている様々なCT装置は、例えばGarvey, C. and Hanlon, R. (2002) BMJ 324:1077に開示されている。
【0114】
CTAの場合、ヨード化された造影剤が静脈注射され、そして画像が得られる。前記の脈管の高解像の画像は、一般的に軸画像をCTAを使用して再構成して、前記の血管の合成画像を作製することにより得られる。この再構成の過程で、前記の脈管の画像が、可視化される血管における測定された濃度に基づいて最適化される。この造影法を実施するためには、様々なベースライン画像の除去が実施される。
【0115】
本発明で採用されるCT造影法は従来のものであり、そして、例えばComputed
Body Tomography, Lee, J. K. T., Sagel, S. S., and Stanley, R. J., eds., 1983,
Ravens Press, New York, N.Y., especially the first two chapters thereof
entitled "Physical Principles and Instrumentation", Ter-Pogossian, M.
M., and "Techniques", Aronberg, D. J.に開示され、その全ての開示内容は引用により、本明細書に援用されている。
【0116】
一つの態様では、本発明の方法は、以下の手順により実施される。一連のCT画像は、造影剤媒体の投与の直前に開始され、そして造影剤の投与の間(1-30秒、1分、5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分、90分、120分又はそれ以上)継続し、そして前記の投与の後から選択された時間継続し、適切な一時的な解像により得られる。もう一つの態様では、造影は、前記の造影剤の投与後実施される。広範囲の造影期間は、本発明の方法においても使用されることができる。
【0117】
例えば、一つの態様では、選定された期間は、約10秒から約10時間までのポストコントラスト、約30秒から約3時間までのポストコントラスト、好ましくは約50秒から約1時間までのポストコントラスト、又はより好ましくは約1分から約10分までのポストコントラストである。もう一つの態様では、前記の選定された期間は、前記の造影剤の完了時間から、約30秒、40秒、50秒、60秒までのポストコントラスト、約5分、10分、15分、20分、30分、40分、50分、60分までのポストコントラスト、又は1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間又はそれ以上までのポストコントラストである。多重画像又は一連の画像は、例えばN1177のような本発明の造影剤の単回投与後得られてもよい。
【0118】
典型的な連続する画像は、前記の造影剤の投与前及び投与中における各5秒間隔の画像を含み、さらにそれに続く3分間については各10秒間隔に長くした画像、そして最後に前記の一連の完了の10分間までは30秒間隔に遅くした画像を含んでもよい。これの連続する画像は、動的なモデリングに使用される、前記の組織、及び測定された血管の血液からの動的な価値が高められたデータを生み出すことに使用され、そして最後には興味のある組織の内部における血液量及び灌流の算定に使用される。関心ある部位に限定しての前記の動的な画像の獲得の完了後、追加の診断のためのデータを抽出するため、又は同じ部位における遅延された画像のために、他の解剖学的な部位における患者の追加のCT画像を獲得することが選択されてもよい。CTスキャン後、前記の患者は、前記のスキャナー装置から取り外され、そして前記の造影剤の注射に使用された前記の静脈カテーテルを取り外すことができる。前記のCT造影手順から得られたデータは処理されて、前記の必要な情報を提供する。
【0119】
前記のコントラストが高められたCT画像は、例えば、マクロファージの蓄積及びプラークの蓄積のみならず、スキャンされた解剖学的部位の内部における血管構造の位置、直径及び血流の特性を特徴付けるために使用されることができる。さらに、前記の画像は、例えば微細血管の灌流状態のような灌流状態を変えると期待される潜在的な治療剤の効果を観察するために利用されることができる。
【0120】
本明細書で開示された方法は、実質的にあらゆる組織のタイプにも有用である。一つの態様では、前記の組織は、正常な組織、疾患に冒された組織、及びそれらの結合したものからなる組織からなる群から選ばれる組織である。
更なる好ましい態様では、前記の組織は、少なくとも部分的に疾患に冒された組織であり、そして前記の疾患に冒された組織は、腫瘍、虚血、過形成、形成異常、炎症、損傷、梗塞、壊死、感染、癒合及びそれらのが結合したものである組織からなる群から選ばれる組織である。
【0121】
VIII.薬学的組成物
本発明のもう一つの態様は、被験体の血管の内部で、血液プール、血管組織の灌流及び血管からの血液の浸出の造影によりマクロファージを検出すること、又は例えば脆弱性プラークのようなプラークを検出することを可能にする有効な量の、一つ以上の薬学的に受容されるキャリヤーにより製剤化されたナノ粒子造影剤を含む薬学的に受容される組成物を提供する。
【0122】
特定の態様では、前記のナノ粒子造影剤は、例えば、ボーラスか又は長時間に亘る漸次の注入のいすれかによる静脈内注射、腹腔内、筋肉内、腔内、皮下、経皮、経皮的又は直接的により関心のある血管組織へ、例えば、無菌溶液又は懸濁液として、例えば、非経口的投与を含む液状形態での投与に適した薬学的に受容される製剤のような薬学的に受容される製剤を使用して前記の被験体に投与される。一つの態様では、造影剤として使用するために製剤化されたN1177は、N1177 150mg/ml、ポリエチレングリコール1450NF 150mg/ml、ポロキサマー338 30mg/mlを含む。さらに、トロメタミン36mg/ml及び中性pHを維持するために十分なバッファーもまた使用される。一つの態様では、N1177のpHは約7.4であってもよい。
【0123】
前記の高分子賦形剤であるポロキサマー338及びポリエチレングリコール 1450は、粒子の安定化剤ととして役立ち、そして脈管内投与後網内系(RES)により粒子のプラズマクリアランスの速度を遅くするように意図される。ポロキサマー338は、製造プロセスの一部としてダイアフィルトレーションにより精製され、低分子量ポリマーの濃度が減少する。他の適切な賦形剤又は粒子安定化剤もまた使用されてもよい。典型的な製剤は、例えば米国出願第20070141159号に開示されている。
【0124】
本発明のナノ粒子造影剤を含む組成物は、薬学的に受容されるキャリヤーを含んでもよい。本明細書で使用されているように「薬学的に受容されるキャリヤー」という用語は、前記の化学物質を器官又は前記の体の一部から他の器官又は前記の体の一部へ運搬又は輸送する、例えば、液体又は固形の賦形剤、希釈剤、結合剤、溶媒又はカプセル化材料のような薬学的に受容される材料、組成物又はビークルを意味する。各キャリヤーは、前記の製剤の他の成分と共存し、かつ前記の被験体に対して有害でないという意味において「受容され」なければならない。薬学的に受容されるキャリヤーとして役立つ材料のいくらかの例としては、(1)例えば乳糖、グルコース及びショ糖のような糖、(2)例えばトウモロコシデンプン及びバレイショデンプンのようなデンプン、(3)例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース及びセルロースアセテートのようなセルロース又はその誘導体、(4)トラガント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)タルク、(8)例えばポロキサマー338及びポリエチレングリコール1450のような賦形剤、(10)例えばラッカセイ油、綿実油、コウカ油、セサミ油、オリブ油、トウモロコシ油及びダイズ油のようなオイル、(11)例えばグリセリン、ソルビット、マンニトール及びポリエチレングリコールのようなポリオール、(12)例えばオレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル、(13)カンテン(14)例えば水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンを含まない水、(17)等張食塩液、(18)リンゲル液、(19)エチルアルコール、(20)リン酸緩衝液、及び(21)薬学的製剤に採用される他の非毒性適合物質が挙げられる。
【0125】
着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、矯臭剤、香料、保存剤及び抗酸化剤のみならず、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような湿潤剤、乳化剤及び滑沢剤もまた前記の組成物に使用されることができる。
【0126】
薬学的に受容される抗酸化剤としては、(1)例えばアスコルビン酸、システイン塩酸塩、重硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム、及び重亜硫酸ナトリウム等の水溶性の抗酸化剤、(2)例えばアスコルビン酸パルミチン酸エステル、ブチル化ヒドロキシトルエン、(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、及びα−トコフェロール等の油溶性の抗酸化剤、及び(3)例えばクエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸及びリン酸等にような金属キレート化剤が挙げられる。
【0127】
これらの組成物を調製する方法は、ナノ粒子造影剤とキャリヤー及び任意で一つ以上の補助的な成分とを結合させるステップを含む。通常、前記の製剤は、造影剤と液状キャリヤーとを均一かつ密接に結合させることにより調製される。
【0128】
前記の造影剤の経口投与用の液状の剤形としては、薬学的に受容されるエマルジョン、ミクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤が挙げられる。前記の活性成分に加えて、前記の液状剤形は、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、オイル(特に、綿実油、ピーナッツ油(groundnut oil)、トウモロコシ油、胚芽油、オリブ油、ヒマシ油及びセサミ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタン脂肪酸エステル及びそれらの混合物のような、例えば水又は他の溶媒、可溶化剤、及び乳化剤のような、通例本技術分野で使用される不活性な希釈剤を含んでいてもよい。
【0129】
不活性な希釈剤に加えて、前記の経口組成物は、また、例えば湿潤剤、乳化剤、懸濁化剤、甘味剤、矯臭剤、着色剤、香料及び保存剤を含むことができる。
【0130】
前記の活性ナノ粒子造影剤に加えて、懸濁剤は、例えばエトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール及びソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、カンテン、トラガント及びそれらの混合物のような懸濁化剤を含んでもよい。
【0131】
直腸投与又は膣投与のための本発明の薬学的組成物は、一つ以上の造影剤と、例えばカカオ脂、ポリエチレングリコール、坐剤ワックス又はサリチル酸を含む一つ以上の適切な非刺激性の賦形剤又はキャリヤーと混合することにより調製され、そして室温では固体であるが、体温では液体であるがゆえに直腸又は膣腔で溶けそして前記の活性成分を放出する坐剤として提供されてもよい。
【0132】
膣投与に適した本発明の組成物は、また、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、パスタ剤、あわだて剤又は本技術分野で適切であるとされている前記のキャリヤーを含むスプレー製剤を含む。
【0133】
非経口投与に適した本発明の組成物は、一つ以上の薬学的に受容される無菌の、等張の水溶液若しくは非水溶液、分散剤、懸濁剤若しくは乳液、又は用時に無菌注射溶液若しくは分散剤に再構成されてもよく、抗酸化剤、緩衝剤、細菌発育抑制物質、前記の意図された被験体の血液と等張であるように前記の製剤をする溶質、懸濁剤又は濃稠化剤を含んでもよい無菌粉末を配合した一つ以上の造影剤を含む。
【0134】
本発明の薬学的組成物に使用されてもよい、適切な水性及び非水性キャリヤーの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール及びポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物、例えばオリブ油のような植物油、並びにオレイン酸エチルのような注射できる有機エステルが挙げられる。適切な流動性は、レシチンのようなコーティング材料の使用による、分散剤の場合には必要とされる粒子サイズの維持によるか、又はF68又はF108のような界面活性剤の使用により維持されることができる。
【0135】
これらの組成物は、また、例えば保存剤、湿潤剤、乳化剤及び分散剤のような添加剤を含んでいてもよい。微生物の作用の防止は、様々な抗菌性物質および抗真菌性物質、例えば、パラベン、クロロブタノール、及びソルビン酸フェノール(phenol
sorbic acid)等を含めることにより確実にしてもよい。糖及び塩化ナトリウム等のような等張化剤を前記の組成物に配合することも望ましい。さらに、注射用薬学的製剤の持続的吸収が、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンのような吸収を遅らせる成分の配合により達成されてもよい。
【0136】
いくらかの態様では、前記の造影剤の効果を延長するために、皮下注射又は筋肉注射から前記の造影剤の吸収を遅くすることが望ましい。このことは、水に対する溶解度が低い結晶性又は無定形の材料の懸濁液の使用により達成されてもよい。そのとき、前記の造影剤の吸収速度は、順に結晶のサイズ及び結晶形に依存してもよい溶解速度に依存する。あるいは、非経口的に投与された薬剤の形態の遅延された吸収は、オイルビークルに前記の薬剤を溶解又は懸濁することにより成し遂げられる。
【0137】
注射できるデポー剤形は、例えばポリラクチド−ポリグリコリド(polylactide-polyglycolide)のような生分解性ポリマー中にナノ粒子造影剤のミクロカプセルマトリクスを形成することにより調製される。ポリマーに対する薬剤の比率及び使用された特定のポリマーの特性に依存して、薬剤の放出の速度は調節され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルソエステル)及びポリ(アンハライド)が挙げられる。デポー注射製剤は、また、体の組織に適合するリポソーム又はミクロエマルジョン中に前記の薬剤を包括することにより調製される。
【0138】
ナノ粒子造影剤が、医薬としてヒト又は動物に投与する場合、それ自体、又は薬学的受容されるキャリヤーを配合した例えば0.1から99.5%(好ましくは0.5から90%)の活性成分を含む薬学的組成物として、それは与えられることができる。
【0139】
「投与」又は「投与する」という用語は、それらの意図された機能を発揮するために、前記のナノ粒子造影剤を被験体に導入するルートを含むことを意味する。使用されることができる投与ルートの例としては、例えば注射(皮下、静脈、非経口、腹腔内、髄腔内)である。もちろん、前記の薬学的調製物は、各投与ルートに適した剤形により与えられる。例えば、これらの調製物は、例えば注射により投与される。前記の注射は、ボーラス又は持続点滴投与であることができる。投与ルートにより、前記のナノ粒子造影剤は、その意図された機能を発揮するその能力に有害な影響を与える自然の条件からそれを保護する、選択された材料でコーティングされることができるか又は当該材料に配置されることができる。前記のナノ粒子造影剤は、単独、又は前記のもう一つ成分か若しくは薬学的に受容されるキャリヤー若しくは両者のいずれかを配合して投与されることができる。前記のナノ粒子造影剤は、前記の他の薬剤の投与に先立つか、又は前記の薬剤と同時か、又は前記の薬剤の投与後に投与されることができる。さらに、前記のナノ粒子造影剤は、また、in vivoでその活性な代謝物に変換されるか又はより活性な代謝物に変換されるプロフォーム(proform)で投与されることができる。
【0140】
本明細書で使用されているように「非経口投与」及び「非経口的に投与される」という用語は、通常、注射による、腸及び局所以外の投与方法を意味し、そして、静脈内、筋肉内、動脈内、クモ膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊椎内、経皮、皮下、胸骨内の注射及び注入が含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい投与方法は、静脈内である。
【0141】
本明細書で使用されているように「全身性投与」、「全身的に投与される」、「末梢性投与」及び「末梢に投与される」という用語は、ナノ粒子造影剤、薬剤又は他の材料の投与を意味し、それが前記の患者の器官系に入るため、そしてそれゆえ例えば皮下投与のような、代謝及び他のプロセスにより影響下に置かれる。
【0142】
選択された投与ルートに関係なく、適当な水和された形態で使用されてもよいナノ粒子造影剤及び/又は本発明の薬学的組成物は、当業者に知られた従来の方法により薬学的に受容される投与形態に製剤化される。
【0143】
本発明のナノ粒子造影剤を使用するために、前記の造影剤は、診断に有効である投与量で与えられる。「診断上有効な量」又は「本発明のナノ粒子造影剤の有効量」は、典型的には、生理学的に耐性である組成物で投与された場合、被験体の体内で血管部位、マクロファージの蓄積及び/又は脆弱性プラークのようなプラークの検出ができるのに十分である量である。
【0144】
IX.用量
典型的な投与量は、体重を基準として投与されることができ、そして典型的には、約15%体重/容量[w/v]からなる保存溶液約150mg/mLに基づいて、約0.1mL/kgから約8.0mL/kgまで、約2mL/kgから約7.0mL/kgまで、約3mL/kgから約6.0mL/kgまで、 約4
mL/kgから約5.5mL/kgまで、 約5mL/kgから約4.0mL/kgまで、 約6mL/kg から 約3.5mL/kgまで、約7mL/kgから 約3.0mL/kgまで、 約8mL/kgから 約2.5mL/kgまで、約9mL/kgから 約2.0mL/kgまで、又は約1.0mL/kgから 約1.5mL/kgまでの範囲にある。
【0145】
好ましい態様では、前記の投与された投与量は、125mg/kg
から250mg/kgまでの範囲である。もう一つの態様では、前記の投与された投与量は、約125mg/kg以下である。本発明の造影剤の投与は、例えば注入又は単回投与により一定の時間に亘ってもよい。一つの態様では、前記の造影剤の投与速度は、約0.6mL/secから約3mL/secである。
【0146】
前記のナノ粒子造影剤の投与量は、また、ラジオアイソトープの放射能により異なってもよく、そして本発明の造影剤を投与するのに適切な用量を決定する際に考慮されるであろう。例えば、125I及び123Iの両者の平均致死用量が約79+/-9
cGyと算定された(チャイニーズハムスター卵巣細胞の場合には、例えば Makrigiorgos, et al. Radiat. Res. 11:532-544を参照されたし。)。診断のためには、前記の用量は、前記のラジオアイソトープの平均致死用量未満であろう。
【0147】
例えば、よく知られたラジオアイソトープの半減期に関して、1乃至20 mCiの間の用量における123Iの半減期は約13時間であるのに対し、131Iの半減期は、5 mCi未満の用量で約8日間である。123Iでラベルされた造影剤の有益な用量は、1乃至20 mCiであるのに対し、比較的長い半減期を有する131Iは、5 mCi未満(例えば、0.5-5
mCi)で使用されることが期待される。
【0148】
それゆえ、本発明に従った用途のために、より長い半減期を有するラジオアイソトープを含む造影剤の好ましい用量は、より短い半減期を有するラジオアイソトープを含む造影剤の好ましい用量よりも少ないであろう。
【0149】
ナノ粒子造影剤を含む組成物は、例えば単位用量の注射により投与されているように、一般的に静脈内に投与される。本発明のナノ粒子造影剤の言及において使用される「単位用量」という用語は、例えばキャリヤー又はビークルのような必要な希釈剤と関連して求められた効果を発揮するように計算された活性材料の所定量を含む各単位量である、被験体にとって肉体的に単位用量として適切である別の単位を意味する。単一の投与形態を調製するためにキャリヤー材料と配合されうる活性成分の量は、治療される宿主及び特定の投与モードに依存して異なるであろう。単一の投与形態を調製するためにキャリヤー材料と配合されうる活性成分の量は、一般に望みどおりの効果を発揮する化合物の量であろう。一般に、100パーセントのうち、この量は、約1パーセントから約99パーセントの活性成分、好ましくは約5パーセントから約70パーセント、最も好ましくは約10パーセントから約30パーセントである。
【0150】
前記のナノ粒子造影剤は、前記の投与剤形に適合した様式及び有効な量で投与される。投与されるべき量は、被験体、前記の活性成分を利用する被験体の器官系の容量、望ましいコントラストの程度及び造影される構造に依存する。投与されることが必要とされる前記の造影剤の明確な量は、開業医の判断に依存し、そして各個人に特有である。しかしながら、全身的投与のために適切な投与量の範囲は、本明細書に開示され、そして投与ルートに依存する。最初の投与及び例えば最初の造影後のような次の投与のための適切な投与計画は、また、配慮され、そして最初の投与、それに続く注射又は他の投与による一時間以上の間隔をおいて投与が繰り返されることにより特徴付けられる。具体的なin vivoにおける造影ための範囲における血中濃度を維持するために十分な、ボーラス投与、多回投与又は連続的な点滴静注もまた配慮されている。前記の造影剤の点滴は、1分間未満、2分間、3分間、4分間、5分間又はそれ以上かかってもよい。
【0151】
X.キット
本発明の方法及び造影剤が、血管床(例えば、動脈床又は静脈床)、器官組織(心筋組織及びその他の器官組織)、及び例えば腫瘍の血管新生若しくは灌流状態の測定、又は食細胞の蓄積又はプラークの蓄積の造影、検出及び評価のための腫瘍を含むがこれらに限定されるものではない、血管組織からの血液の灌流及び浸出の造影、検出及び評価のための市販用のキット、又は、システムに組み入れられることができることが予測される。さらに、本発明の方法及び造影剤が、治療処置への反応において組織の血液灌流若しくは血液微小灌流、血管新生、血液の浸出、マクロファージの蓄積、又はプラークの蓄積における変化を決定するためのキットに組み入れられることができる。前記のキットは、ナノ粒子及び使用のための指示書を含んでいてもよく、並びに前記の意図された用途ための適切な造影法及び投与条件と連携する、前記のナノ粒子造影剤の投与及び使用に関する指示書をさらに含んでいてもよい。
【0152】
本発明の他の特徴、利点及び態様は、例示を意味し、且つそれゆえあらゆる点で限定するものではないことを意味する、以下の実施例から明らかであろう。
【実施例】
【0153】
実施例1: 造影剤の粉砕
無菌WIN 67722 懸濁液150
mg/mL (ここでは「無菌N1177」、「N1177注射用懸濁液」又は「N1177 薬物製品」と言及する)は非経口用ヨウ化X線造影剤であり、間接的リンパ管撮影に用いられてきた。N1177化合物は、例えば米国特許第5,322,679号、第5,466,440号、第5,518,187号、第5,580,579号、及び第5,718,388号に解説されている。N1177 は実験式C19H23I3N2O6を有し、また化学名 6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエートを有し、X線造影剤ダイアトリゾエート酸のエステル化誘導体である。N1177 は756.1の分子量を有する。N1177 は、エチル6-ブロモヘキサノエートをダイアトリゾエート酸のDMF溶液で縮合させた後、DMSOからその生成物を沈殿させ、エタノールで洗浄することにより、作製することができる。N1177はSigma-Aldrich
Fine Chemicals社から得ることができる。
【0154】
N1177注射用懸濁液中のヨウ素の濃度は76 mg/mLである。N1177注射用懸濁液は白色からオフホワイトの結晶質物質であり、(重量で)50.35%
のヨウ素を含有し、低い水溶性
(<10 μg/mL)を有する。
【0155】
N1177を所望の粒子サイズ分布まで粉砕した。粉砕中の粒子サイズは、XDC及びPCS装置を用いて粒子サイズを定期的に測定することにより、予備研究で観察された。結果を以下に示す:
【0156】
【表1】

【0157】
*DNは、電子顕微鏡で判定されたサイズに比較した場合の好適な「数重量」サイズである。
**DVは、「体積重量」のものである。PCS測定はXDC測定とは異なることを留意されたい。なぜなら両者の技術の操作は異なるからである。XDC測定はより精確だと考えられるが、PCS測定は出るのが早い。
【0158】
この実施例のN1177注射用懸濁液の最終的配合は以下の通りに設定される:
【0159】
【表2】

【0160】
ポリマ製医薬品添加物であるポロキサマ338及びポリエチレングリコール1450は粒子安定化剤として働き、また血管内投与後の網内系(RES)による粒子の血漿除去速度を遅らせることを意図されている。ポロキサマ338はBSF(R)から購入され、製造プロセスの一部としてダイアフィルトレーションにより精製されて低分子量ポリマのレベルを低下させてある。
【0161】
実施例3: 静脈内N1177増強コンピュータ断層撮影法によるウサギのアテローム斑中のマクロファージの検出
大動脈アテローム性硬化症を平均4ヶ月齢及び平均体重3.3kgのオスのニュージーランド白ウサギで誘発する。これは1)ウサギに4ヶ月間、高コレステロール食を与え、大動脈に対して二重バルーン表皮剥落損傷を引き起こすことにより達成される。同じ5匹のウサギを三種類の異なる用量のN1177:
125mg/kg (用量1)、250mg/kg (用量2、1週間後)、及び500mg/kg
(用量3、2回目の用量から1週間後)で研究する。
【0162】
撮像前に、動物を21番ゲージ線で耳の周縁静脈に静脈内到達することにより麻酔下に置く。動物を身体に合わせた温度調節性のプラスチック・ホルダ内に配置することにより、全CTスキャン中、それらを同じ姿勢に保つ。初期定位器により、動物の適切な姿勢を確認する。
【0163】
画像取得及び解析
ある用量の造影剤を投与前及び投与後の両方で、全ての動物を、コンピュータ断層撮影血管撮影法により何度も撮像する。最長2時間、N1177撮像時点前及び後で取得されるであろう。64スライスの、多検出器列コンピュータ断層撮影スキャナなどのスキャナを用いて撮像データを取得してもよい。可能な装置の一つはドイツ、フォルヒハイムのSiemens
Medical Solutions社のセンセーション64 である。CT画像をコンピュータ上で再構築し、保存する。多様なコンピュータ作業端末を用いてよいが、画像処理に適した作業端末の一例はSiemens
Medical Solutions社のレオナルドである。
【0164】
N1177の各用量について、最適な撮像時点を判定する。上述したようにN1177の注射中に取得された軸方向画像上でアテローム斑を特定する。信号定量のためには、各投薬レベルで特定された各動物のアテローム斑中に所見領域(ROI)を描画することにより、画像中の密度を、0.4mm厚の軸方向再構築について適した画像解析ソフトウェアを用いて5mm毎に測定する。用いてもよい画像解析ソフトウェアの一例はTeraRecon
ソフトウェア (米国カリフォルニア州、サンマテオ、TeraRecon
社)である。アテローム斑の平均密度はハウンスフィールド単位で表され、実験結果はN1177注射前及び注射後に取得された画像間の各アテローム斑についてハウンスフィールド単位での増強で表されている。測定は全て、注射状態をブラインドにした二人以上の独立した操作者により行われ、測定の平均を最終的な解析に用いている。
【0165】
アテローム斑の増強測定値を、各投薬量レベルでスチューデントのペアード-t検定を用いて解析して、N1177の注射前及び注射後の動脈壁におけるシグナル強度を比較している。その結果の確率は測定値平均±標準偏差で表した両側のものであり、0.05より小さいp値を統計上有意とみなしている。標準的な統計解析ソフトウェアを用いてこの解析を行っている。この場合、SPSS
12.0を用いているが、同様な性能のソフトウェアを用いてもよい(例えばMATLAB、R、SAS、等々)。
【0166】
組織検査
動物における薬物暴露を調べるために、ウサギ血漿試料も研究中に採取する。これは、いずれかの付加的な毒性学的研究が必要であるかどうかの評価の助けとなる。撮像後、ペントバルビツールナトリウム(120mg/kg)の静脈内注射により、ウサギを安楽死させる。安楽死前に大量のヘパリンを注射して血餅形成を防ぐ。動脈を切り出し、ホルマリンで固定し、動脈の連続切片を5mm間隔で切り出す。腎臓動脈及び試料の位置あわせ、即ち正しいアライメントを、腎動脈及び腸骨の二分岐の位置を利用して行う。選択された動脈標本をパラフィンに包埋し、5μm厚の切片を切り出し、ヘマトキシリン−エオシン又はマッソン三色エラスチンにより染色する。ウサギマクロファージの細胞質のマーカである、RAM-11に対するモノクローナル抗体で免疫染色を行う。免疫染色画像を適したソフトウェアで解析してもよい。この例では、画像をImage
Pro Plus (Media Cybernetics社)で解析する。マクロファージを豊富に含む面積
(RAM-11 陽性) をコンピュータ測面法により各標本上で定量する。管腔面積や、内側及び外側管腔を境界とする二つの面積は内膜及び内側面積及び内膜/内側比を計算するのに役立つ。
【0167】
実施例4: NZWウサギにおける大型(GLP)及び小型(FID)粒子調合物の生体内分布及びpKa
この実施例の実験は、NWZウサギに大型(150 mg
I/ml) 又は小型 (160 mg I/ml)調合物のいずれかを6ml、ボーラス注射した後の大型及び小型N1177調合物の薬物動態及び生体内分布を評価するものである。
【0168】
材料及び方法: 大型 (GLP-バッチ
N1177-2002001-A、150 mg I/ml; 混合物Aと言及する)及び小型 (バッチFID
2470、160 mg I/ml;混合物Bと言及する)をNanoscan社から得た。各バッチの含水粒子サイズを、レーザ光散乱法を用いて判定した。
【0169】
二匹のNZWウサギ
(3.3-3.8 Kg、番号07-467 (混合物A) 及び07-458 (混合物B)) をこの研究で用いた。ウサギをCT画像を用いて撮像した。両者のウサギにつき、プレCTスキャンを得てから、注射のボーラス段階、注射から2分後、及び注射後2時間の間、CT画像を得た。6mlの各調合物をボーラス注射を通じ、0.6ml/秒の速度で、中央耳静脈内に投与した。肝臓及び動脈内のシグナルを、注射後時間の関数として、確立されたプロトコルを用いて評価した。
【0170】
注射後5分乃至15時間の間隔にわたって採血することにより、薬物動態を判定した (n=6 時点)。耳動脈内に配置されたカテーテルを通じ、血液をEDTA血液採取チューブ内に採集した。血液試料はすべて、注射後時間の関数としたヨウ素含有量の判定に向けてICP-MS
に送られた。血中半減期を結果的なヨウ素
(mg/mL) 対時間(p.i.) 曲線に基づいて判定した。これらの曲線から、動力学的パラメータを注射後24時間の標準的非コンパートメント二極指数関数的薬物動態解析を得、ウサギを過剰量のケタミン/キシラジンでと殺した。次にウサギに生理食塩水を潅流し、以下の臓器を切除し、重量を計った:心臓、肝臓、肺、脾臓、腎臓、及び大動脈。これらの臓器をヨウ素含有量の判定に用いた。注射された用量のパーセント (%ID)
は、組織中に存在するヨウ素量(mg)及び、投与されたヨウ素の総量 (混合物Aの場合、900 mg
I、そして混合物Bの場合、900 mg I)に基づいて判定された。
【0171】
結果及び議論: 二種類の調合物について得られた水和化粒子サイズを表1に示す。これらの結果は、FIDバッチが元のGLPバッチよりも著しく小さいことを示す前の研究と合致する。
【0172】
【表3】

【0173】
スキャン間のウサギの移動のために、(ハウンスフィールド単位として;HU)CTシグナルの減衰に精確に到達することはできなかった。しかしながら、適合させることのできた切片上では、混合物Bのバッチの投与後、CTシグナルが25 HU 及び31 HU 間で(プレ・スキャンに比較して)CTシグナルが増加しているようである。肝臓は、6mlの混合物Bのバッチの投与後2時間で、14.6±5.5
HU 分、強調した。
【0174】
図2は、pK結果を要約したものである。表2に示すように、示した曲線から、血中半減期が単一指数及び二指数適合の両者を用いて得られた。
【0175】
【表4】

【0176】
図3は、6mLのボーラスの投与後24時間目に二種類の調合物について得られた肝臓、脾臓、肺及び腎臓中に見られる%IDを示す。結果は、大型Aのバッチは小型混合物Bのバッチに比較してより大きなRES取り込み(肝臓及び脾臓の%IDの著しい増加で観察される)を有することを示している。注射された用量の4%未満が、検査された調合物の両者について、注射後24時間目に腎臓で見られた。心臓には有意なヨウ素は存在しなかった。動脈内では、注射された用量の0.039%
及び0.044%
がそれぞれ大型混合物A及び小型混合物Bのバッチの投与後に得られた。
【0177】
pK及び生体内分布研究は、小型B調合物が、大型Aバッチに比較してゆっくりとした血中クリアランス及び制限されたRES取り込みを有することを強力に示唆している。これらの発見は、酸化鉄粒子がウサギにおいてpK及び生体内分布の両者に大きく影響することを示した他の研究ともよく相関する。更にこれらの結果は、脾臓が大型混合物A粒子にとって重要な除去経路であることも示している。
【0178】
結論: この研究の結果は、粒子サイズの低下は、ヨウ素化粒子の動脈内のCTシグナル減衰を増加させ、血中クリアランスを減少させ(血液半減期を増加させ)、RES取り込みを制限する可能性を強く示唆するものである。
【0179】
実施例5 粒子サイズの測定
準弾性レーザ光散乱としても知られる動的光散乱は、時間による散乱光の輝度の変動を測定するものであり、上述したように、溶液中の小型粒子の水力学的サイズを判定するために用いることのできる技術である。実験中に記録される輝度痕跡の自己相関を利用して、粒子の拡散、ひいては水力学的サイズを得ることができる。
【0180】
測定された試料はすべて、水で1:200に希釈した。水力学的サイズ及び多分散性の具体的な数値は、三重にして行われた5回の個別の測定に基づくものであり、モードCONTINを用いて計算された。
【0181】
粒子サイズは、標準的な方法DLSに加え、ナノ粒子の特徴付けのための新規な方法−アシンメトリカル・フロー・フィールド−フロー−フラクショネイション(AF4)を用いて判定された。AF4を用いる利点は、この方法が、DLS解析(例えばPCS)の前にナノ粒子混合物を分離できることである。AF4 実験は、Postnova
Analytics GmbH 社(ドイツ、ランズベルグ)から購入された装置を用いて行われた。
【0182】
以下の設定を適用した:注射時間:1分;注射流:0.2
mL/分;先端流速:0.70 mL/分;直交流速:0.20 mL/分;検出子流速:0.50
mL/分。水性溶媒、0,2% FL70(R)界面活性剤溶液、を使用前に0.1μm
VacuCap(R) 90 フィルタ単位 (ドイツ、Pall Corporation社)を通してろ過した。
【0183】
チャンネルの長さは27.5 cmであり、チャンネル厚は350 μm
スペーサを用いて調節された。用いられた限外ろ過膜は、10kDaカット-オフ値の再生酢酸セルロースメンブレン (ドイツ、Postnova
Analytics社)。
【0184】
検査された化合物
混合物A: NanoCrystalTMコロイダル、75 mg
I/mL ZKの分散液 150mg/mL:6043014, Lot: GLP-N1177-20020001-A;製造日:14.
June 2002 (一番目のバッチ)混合物B:Nanoscan Imaging LLC、分散液
150mg/mL;CT 造影剤、75 mg I/mL ZKを加えたもの:6043014、Lot:
46-59、製造日:02.10.2007 (二番目のバッチ)
【0185】
結果
【表5】

【0186】
100 nm 乃至600 nmの直径
方法AF4:
注射流:0.2 mL/分
注射時間: 2 分
トランジオン(原語:Transion)時間:2 分
交差流:60 分 0.2
mL/分
検出子流:0.50 mL/分
スペーサ: 350μm
【0187】
AF4法を用い、140 乃至1050
nm の水力学的直径を判定した。
混合物Aの平均直径:229,6
nm
【0188】
【表6】

【0189】
80 nm 乃至350 nmの直径
方法 AF4:
注射流:0.2 mL/分
注射時間:2分
トランジオン時間:2分
交差流:60 分 0.2mL/分
検出子流:0.50 mL/分
スペーサ:350μm
AF4法を用い、110 乃至500 nm
の水力学的直径を判定した。
混合物Bの平均直径:140 nm
【0190】
結論
一回目の調査されたバッチ(混合物A、1177-20020001-A)
は100乃至600 nm
の粒子サイズを含有し、水力学的直径は140 乃至1050
nmだった。混合物Aの分散液中のナノ粒子は 230 nmの平均粒子サイズを示した。
【0191】
二番目の調合物(混合物B、ロット:46-59)は著しく小さく(粒子サイズは80 乃至 350
nm で、水力学的直径は110 乃至 500 nm)、そしてサイズ分布はより近い。ナノ粒子分散混合物Bは140 nmの平均粒子サイズを示した。混合物A及びBの粒子サイズの分布については図4を参照されたい。
【0192】
実施例6: 赤血球の形態に対する影響
いくつかの造影剤でよく知られた悪影響は赤血球の変形性の低下であり、その結果、それらの形態の変化及び引き続くそれらの機能性の消失である。
【0193】
材料及び方法
赤血球に対する影響は、ヒト血液を造影剤に暴露し、変形した赤血球の外観を観察し、暴露直後と、インキュベート1時間後及び2時間後の「損傷指数」(D.I.)を得ることにより、in
vitroで観察することができる。
【0194】
パラメータ:血中赤血球の形態学的変化;
範囲0−5;最大損傷指数(DI)の%による数値;
(DI%による脾細胞IIプラス溶血=100%)
【0195】
検査化合物: 混合物B
インキュベートされた造影剤の濃度:1、2、5 及び10 mg ヨウ素/mL の血液
基準物質:ウルトラビスト(Ultravist) 370、Ch.:
525096 370 mg I /
mL
造影剤を0.9% NaCl- 溶液で希釈した)
【0196】
結果
【表7】

【0197】
すべての濃度において、混合物Bのインキュベート後の損傷指数は基準ウルトラビスト(ULTRAVIST)未満である。混合物Bはこのin
vitroモデルで赤血球の形態に対するほとんど何の損傷的影響も有さない。
【0198】
実施例7: ヒスタミン放出
これらの実験は、CT調査のための造影剤としてのナノ粒子調合物の適切性を調べるものである。
【0199】
材料及び方法
ヒスタミンの放出を300 mg I/kg bwの一回の静脈内注射後に調べた。コントロール群は1
ml/kg の生理食塩水 (0.9% NaCl)を投与された。投薬前、及び静脈注射後10、30、及び60分後に血液試料(ほぼ1 mL)をカテーテルを通じ、頚動脈(氷温にしたEDTA-Monovette(登録商標) チューブを用いて)を採取した。血漿の分離のための遠心分離(1500g、40°C、20 分)後、試料をヒスタミンの放出まで−80℃で凍結させた。血漿試料中のヒスタミンをELISA 系(RE
59221; ドイツ、ハンブルグ、IBL Immuno Biological Laboratories社)を用いて測定した。
混合物B: 72 mg
I /mL
基準:ウルトラビスト(Ultravist) (300
mg I /mL)
種: ラット
(Wistar Han)、オス (n=3) + メス (n=3) 化合物;オス (n=2) + メス(n=2)
基準、209-248 g
適用:静脈内- ボーラス
用量: 300
mg I /kg
【0200】
検査化合物: 混合物B
【0201】
【表8】


混合物B、基準(ウルトラビスト(Ultravist))、及び生理食塩水コントロールを含め、プローブのいずれも、検査されたラットにおいて大きな又は継続的なヒスタミン放出増加を誘導しなかった。数値はすべて、正常な生理学的範囲内だった(文献データ)。適用後、動物は副作用を示さなかった。図5は、ラットにおけるウルトラビスト(Ultravist)及びNaClに比較したときの混合物Bの静脈内注射後の血漿内ヒスタミン・レベルを示す。意識のあるラット・モデルにおいて300 mg
I/kg bw の用量でナノ粒子調合物(混合物B)の注射後にヒスタミンの放出はなかった。
【0202】
実施例8: マウスにおける急性毒性研究 − LD50
LD50は、体質量1キログラム当りの物質のグラム数など、検査対象物の単位質量当りの、投与された物質質量で通常表される。
【0203】
材料及び方法
動物: SPF-マウス、18-22g、f:m =
50:50 (n=6)
CM溶液の濃度:75 mg
I / mL
注射速度:2 mL/分、静脈内
基本となる基準:エクシタス レタリス(原語:exitus
letalis)
観察の時間:7日間
検査された化合物:混合物A及び混合物B
【0204】
結果
ナノ結晶懸濁液混合物AのLD50急性毒性 ほぼ3.75 g
ヨウ素 /kg
ナノ結晶懸濁液混合物BのLD50急性毒性 ほぼ5.5 g ヨウ素 /kg
【0205】
結論
小型の懸濁液である混合物BのLD50は混合物Aに比較して高いが、確立された市販のヨウ素含有造影剤に比較すると著しく低い (ウルトラビスト(Ultravist) >
12 g ヨウ素/kg bw)
【0206】
実施例9: ラットにおける静脈内注射後の血漿動態研究
血液/血漿除去動態をラットで調べた。化合物の注射前及び注射後最高24時間目までの血液試料を採取し、濃度をRFA/
ICPを通じて調べた。薬物動態パラメータ (Vss、Cltot、除去半減期、等)はPCベースのソフトウェア・パッケージを用いて計算された (Win
NonLin)。
【0207】
材料及び方法
動物:Han Wistar ラット、オス、292-307
g、調査された化合物当たりn=3
濃度: 75 mg I /mL
投薬量: 250 mg I /kg 静脈ボーラス
血液試料は:p.i. 1、3、5、10、15、30、60、90、120、240、360及び1440分で採取された。
検査された化合物:混合物A及び混合物B
【0208】
小型の粒子(混合物B)はよりゆっくりと除去され(ベータ半分の時間11.5 対 9.0) 、大型粒子に比較してより長い血液強調を示した(混合物A及びBの血漿動態については図6を参照されたい)。
【0209】
調査されたナノ結晶調合物は、ウルトラビスト(Ultravist)のような現在市販の細胞外X線造影剤に比較して優れた血液プール特徴を示した。
【0210】
実施例10: ラットにおける静脈内注射後の生体内分布及び除去研究
身体からの化合物の全体的除去を評価するために、ラットを用いた。化合物の注射後、動物を代謝ケージ内に配置し、注射後(d.p.i.)最長7日目に尿及び便を、除去された画分の定量(RFA、ICP)用に採取した。観察された期間(7d.p.i.)の最後に動物をと殺し、化合物の総(身体、臓器及び骨組)保持分を調べた(RFA、ICP)。
【0211】
材料及び方法
種: ラット、メス、96-97 g、調査された化合物あたりn=3
適用: 静脈内ボーラス
用量: 300
mg I /kg
除去: 1日目から7日目まで毎日一回の尿及び便、更に(尿のみ)1時間、3時間、6時間p.i。生体内分布: 7日目 p.i.:肝臓、腎臓、胃/腸管(空)及び死体
評価: RFAを用いた、試料中のヨウ素の量。mg I
/mL、μmol I /L 及び % 用量での評価。
検査された化合物: 混合物A及び混合物B
【0212】
結果
【表9】

【0213】

【0214】
ナノ結晶調合物の両者とも、肝臓を通じてほぼ3分の2(53%
vs. 59%) 、そして腎臓を通じて3分の1(22% vs. 26 %)、除去された。この実験では、回収量は総用量のほぼ92%だった。
【0215】
大型粒子調合物(混合物A)の適用後p.i.7日目には、肝臓
(12.4% 用量) 及び死体 (3.9 % 用量) でのより高度のヨウ素濃度取り込みが観察されよう。反対に、小型粒子調合物(混合物B)の適用から7日目の死体では何のヨウ素取り込みも測定されず、肝臓内の取り込みも低かった(5.7 % 用量)。粒子のサイズは生体内分布及び除去に著しい影響を有する。
【0216】
実施例11: 造影剤動態研究: コンピュータ断層撮影法での調査
コンピュータ断層撮影法での比較研究を確立されたCT-造影剤(ウルトラビスト(Ultravist))とナノ結晶調合物との間で行った。目的は現代のCTでのナノ結晶調合物の使用への適切性を調べるためだった。CT -数(ハウンスフィールド単位 (HU))を腎臓、動脈、大静脈及び肝臓の各所見領域(ROI)で判定した。
【0217】
材料及び方法
ハードウェア:CT Siemens Volume
Zoom
撮像パラメータ:シークエンス、テーブル速度 = 0; チューブ電圧: 80
kV; チューブ電流 100 mAs、スキャン時間: 1 s; 再構築カーネル:B40, 4
x 2.5 mm; 間隔: Δt = 3 s (0-300 s); Δt = 10 s (300-1800 s)
造影剤適用及び動物:
Han Wistar ラット、ボーラスを通じて300
mgI/kgBW- 尾の静脈周りの適用
グループ 1: ウルトラビスト(Ultravist) 300
(n = 3)
グループ 2: 混合物A (n =
3)
グループ 2: 混合物B (n = 3)
検査された化合物:混合物A及び混合物B
【0218】
結果
ナノ結晶調合物はウルトラビスト(Ultravist)のようなよく確立されたX線造影剤と比較すると、肝臓、腎臓及び血管拡大における時間経過に関して異なる特性を示した。同じ総注射用量を用いることにより、特に肝臓、動脈及び大静脈でのHU値は著しく高かった(肝臓、腎皮質、大動脈及び大静脈でのHU値については図7を参照されたい)。
【0219】
撮像法の観点から見ると、ナノ結晶調合物は、専用の血液プール剤に期待される通り、長時間の血管混濁化を示した。調査された化合物の肝臓内での取り込み及び胆管での除去は、肝実質の視覚化を可能にする。これらの結果は、概して、本発明の造影剤は、肝実質、大動脈及び大静脈の血液プールを撮像するためにより有効であることを実証している。これは更に、血管をより良好に撮像するための本発明の造影剤の有効性も実証している。
【0220】
実施例12: 腫瘍担持ウサギにおける探索研究:CT-腫瘍潅流撮像
本研究の目的は、腫瘍潅流を視覚化するための様々な造影剤の可能性を探索することである。
材料及び方法
動物モデル:ウサギVX2-腫瘍
CT: 100 kVでの動的測定
(0-80s)、1 画像/s
検査された化合物:混合物B;ウルトラビスト(Ultravist) 300;
用量: 300 mgI/kg b.w.
【0221】
結果
この実験では、腫瘍潅流に対する粒子サイズの影響を観察した。小型分子としてのウルトラビスト(Ultravist) は血管内及び血管外潅流を引き起こした。対照的に、混合物Bは血管内腫瘍潅流のみを示した(図8を参照されたい)。両者の化合物について、血管強調のためのHU値は匹敵する(表9を参照されたい)。
【0222】
【表10】

【0223】
引用による援用
本明細書で引用されたすべての引用文献の内容(引用文献、発効した特許、公開された特許出願及び同時係属特許出願を含む。)は、明確に引用により完全な形で本明細書に援用されている。
【0224】
均等
当業者ならば、本明細書に開示された本発明の具体的な態様の多くの均等物を認識するであろうし、又はたった決まりきった実験を使用して確認することができるであろう。前記の均等物は、以下の請求の範囲に含まれると意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
約100ナノメーターから約150ナノメーターの平均粒子サイズを有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物。
【請求項2】
非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field fractionation)により測定されるように、直径が、約80ナノメーターから約350ナノメーターの間の粒子サイズ分布を有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物。
【請求項3】
フォトン相関分光測定法(photon correlation spectroscopy(PCS))により測定されるように、直径が、約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の粒子サイズ分布を有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物。
【請求項4】
X-ray disc centrifuge sedimentometry(XDC)により測定されるように、100%の粒子が、約200ナノメーター未満である粒子サイズ分布を有する、ヨード化されたナノ粒子造影剤結晶を含む組成物。
【請求項5】
前記造影剤が、ジアトリゾ酸エステルである、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の組成物。
【請求項6】
前記造影剤がヨウ素を含む、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記造影剤が6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエート(6-ethoxy-6-oxohexy-3,5-bis(acetylamino)-2,4,6-triiodobenzoate)である、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
被験体の血管における蓄積されたマクロファージを撮像するin vivoにおける方法であって、
a)前記被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記造影剤を検出するステップを含む、方法。
【請求項9】
被験体血管内におけるプラークの蓄積を撮像するin
vivoにおける方法であって、
a)前記被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記造影剤の投与後、前記被験体に存在する血管プラークのマクロファージにより前記造影剤が取り込まれるのに十分な時間待つステップ、及び
c)前記被験体に存在する血管プラークを撮像するために前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤を検出するステップを含む、方法。
【請求項10】
被験体の血管の内部において蓄積されたマクロファージを撮像し、ついで評価することにより血管疾患のリスクを予測するin vivoにおける方法であって、
a)約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を前記の被験体に投与するステップ、
b)前記造影剤の投与後、前記の被験体に存在する血管プラークのマクロファージにより前記の造影剤が取り込まれるのに十分な時間待つステップ、及び
c)前記被験体に存在する血管プラークを撮像するために前記のマクロファージに取り込まれた前記の造影剤を検出するステップ、
d)前記の形成された画像に基づいて前記の被験体における血管疾患のリスクを予測するステップを含む、方法。
【請求項11】
前記予測が、前記被験体の血管壁における前記のマクロファージへの前記の造影剤の蓄積の定量的な測定に基づいて行なわれる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記血管の疾患が、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患(CAD)、心筋梗塞(MI)、虚血、脳卒中、末梢血管疾患及び静脈血栓塞栓症からなる群から選ばれる、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
ヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を診断する方法であって、
a)血管プラークの存在の有無のための画像を検査するステップであって、前記画像が、
i.約150ナノメーター以下の平均直径を有する、前記ナノ粒子造影剤である6-エトキシ-6-オキソヘキシ-3,5-ビス(アセチルアミノ)-2,4,6-トリヨードベンゾエートを含む組成物の有効量を、血管プラークが発生するリスクのあるヒトに投与するステップ、
ii.前記造影剤がマクロファージに取り込まれ、そして前記撮像される血管の管腔における前記造影剤の量が、前記ヒトに存在する血管プラークにおけるマクロファージが可視化される量まで減少するのに、前記造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
iii.前記のマクロファージに取り込まれた前記造影剤を検出するステップにより得られるステップ、並びに
b)脆弱性プラークが前記画像に存在するかどうかを決定するステップであって、血管プラークの存在がアテローム性動脈硬化症を示し、それでもってヒトにおけるアテローム性動脈硬化症を診断するステップを含む、方法。
【請求項14】
血管プラークが発生するリスクのある被験体に存在する可能性のある脆弱性血管プラークを撮像するin vivoにおける方法であって、
a)約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を血管プラークが発生するリスクのある被験体か又は血管プラークが存在することが明らかになっている被験体に投与するステップ、
b)前記造影剤が前記の被験体に存在する可能性がある脆弱性プラークのマクロファージに取り込まれるのに、前記造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)前記マクロファージに取り込まれた前記造影剤の検出により得られたデータから画像を構築し、それでもって前記患者に存在する可能性がある脆弱性プラークの画像を得るステップを含む、方法。
【請求項15】
被験体における血管の血液プールの画像を得るin vivoにおける方法であって、
a)前記被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記被験体の血管に存在する前記の造影剤を検出し、それでもって被験体の血管の血液プールの画像を得るステップを含む、方法。

【請求項16】
前記血管の血液プールが、肝臓の血液プール、すい臓の血液プール、肺の血液プール、心臓の血液プール、脾臓の血液プール及び脳の血液プールからなる群から選ばれる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記血管の血液プールが心臓の血液プールである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記血管の血液プールが脾臓の血液プールである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記血管の血液プールがすい臓の血液プールである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記血管の血液プールが肺の血液プールである、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記血管の血液プールが脳の血液プールである、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
被験体の脳における食細胞の画像を得るin vivoにおける方法であって、
a)前記被験体に約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子造影剤を含む組成物の有効量を静脈注射により投与するステップ、及び
b)前記造影剤が、前記被験体に存在する可能性がある食細胞に取り込まれるのに、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)食細胞に取り込まれた前記造影剤を検出して、それでもって前記被験体の脳に存在する可能性がある食細胞の画像を得るステップを含む、方法。
【請求項23】
前記食細胞が神経のプラークと関連している、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
被験体の関心のある部位に存在する可能性がある腫瘍の存在を検出するin vivoにおける方法であって、
a)それが被験体の血管系に存在するとされる前記被験体に、静脈注射により約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を投与するステップ、及び
b)関心のある部位の血管系に存在する造影剤を検出して、それでもって前記被験体の関心のある部位に存在する可能性のある腫瘍と関連する前記血管系の画像を得るステップを含む、方法。
【請求項25】
前記画像が、血管の形成が増加した部位又は血管から造影剤が漏出する部位について評価される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
被験体の関心のある部位における食作用性の細胞の画像を得る、in vivoの方法であって、
a)それが被験体の血管系に存在するとされる前記被験体に、静脈注射により約150ナノメーター以下の平均直径を有するナノ粒子を含む組成物の有効量を投与するステップ、及び
b)前記造影剤が、前記被験体の関心のある部位に存在する可能性がある食作用性の細胞に取り込まれるのに、前記の造影剤の投与から十分な時間待つステップ、及び
c)食作用性の細胞に取り込まれた前記造影剤を検出して、それでもって前記の被験体の関心ある部位に存在する可能性がある食作用性の細胞の画像を得るステップを含む、方法。
【請求項27】
前記の食作用性の細胞が腫瘍の部位に存在する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記の組成物が、前記造影剤の100%が400ナノメーター以下の粒子サイズを有する粒子サイズ分布を有する、請求項8、9、10又は13乃至29のいずれか一つに記載の方法。
【請求項29】
前記造影剤が約100ナノメーターから150ナノメーターの間の平均粒子サイズを有する、請求項8、9、10又は13乃至27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項30】
前記造影剤が、非対称フローフィールド分画(asymmetrical flow field fractionation)により測定された約80ナノメーターから約350ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を有する、請求項8、9、10又は13乃至27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項31】
前記造影剤が、フォトン相関分光測定法(photon correlation spectroscopy(PCS))により測定された約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を有する、請求項8、9、10又は13乃至27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項32】
前記造影剤が、約100ナノメーターから150ナノメーターの平均粒子サイズ、及び非対称フローフィールド分画(asymmetrical
flow field fractionation)で測定された約80ナノメーターから約350ナノメーターの直径の粒子サイズ分布を有するか、又はフォトン相関分光測定法(photon
correlation spectroscopy(PCS))により測定された約20ナノメーターから約120ナノメーターの間の直径の粒子サイズ分布を有する、請求項8、9、10又は13乃至27のいずれか一つに記載の方法。
【請求項33】
前記検出方法が、X線造影法(x-ray imaging)、コンピュータ連動断層撮影(CT)、コンピュータ連動断層血管撮影法(computed tomography angiography)(CTA)、多検出器CT(multi-detector CT)(MDCT)、電子ビーム断層撮影法(EBT)、磁気共鳴画像法(MRI)、磁気共鳴血管造影(MRA)及び陽電子放出断層撮影法からなる群から選ばれる、請求項8、9、10又は13乃至21のいずれか一つに記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−534686(P2010−534686A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518439(P2010−518439)
【出願日】平成20年7月28日(2008.7.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/071391
【国際公開番号】WO2009/015397
【国際公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(510023780)ナノスキャン イメージング, エルエルシー (1)
【氏名又は名称原語表記】NANOSCAN IMAGING, LLC
【住所又は居所原語表記】2250 Berks Road, Lansdale, PA19446 (US).
【Fターム(参考)】