説明

改善された汗吸収性を有する汗吸収性中敷き

従って、本発明は、靴および/または長靴のための靴底インサートへの吸収剤(5)としての粒状の無定形珪酸の使用に関する。更に、本発明は、粒状の無定形珪酸を含有する吸収剤を含有する靴底インサートに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改善された汗吸収性を有する汗吸収性靴底インサートに関する。この場合、本発明は、靴底インサート中で汗を吸収するための吸収剤としての粒状の無定形珪酸の使用に関する。
【0002】
ヒトが足を介して年間約100 lの汗、即ち毎日1本の足で約137mlの汗を分泌することは、公知である。ヒトが平日の労働で、または余暇に、例えばスキーをする際に絶え間なく同一の履き物を10時間まで身につけていると考えると、この時間で1本の足で約60mlの汗が履き物に引き渡されている。しかし、これは、ヒトにとって不快であるだけでなく、絶えず足に湿った感覚をもたらす。更に、湿った温暖な気候は、履き物中で細菌類の成長を促し、ならびに不快な臭いの放出を助長する。
【0003】
従って、過去において、いわゆる"汗の影響"に対する記載された問題を除去する方策を見出す努力が不足していたわけではなかった。この場合、殆んど全ての解決の手掛かりは、吸収された汗を有利に吸収し、および貯蔵する靴底インサートに使用される。この目的のために、しばしば多重層系が使用され、この場合足と接触して存在する上側層は、インサート中への汗の輸送を保証し、中間層は、汗を蓄積し、および靴底と接触して存在する下側層は、吸収された汗を引き留める。著量の分泌された汗を克服しうるようにするために、靴底インサートの中間層のための材料は、一般に水性液体を吸収および蓄積しうるために前記材料の能力により選択される。しかし、安価な吸収剤としての活性炭は、比較可能な僅かな蓄積能力を有するにすぎない。これに対して、所謂"超吸収性"ポリマーは、比較的高い蓄積能力を有し、該ポリマーの固有の質量または容積の数倍の液体を吸収および蓄積する状態にある。超吸収性塩は、例えばDE69108004T2によれば、好ましい吸収剤として靴底の中間層の空隙内に使用され、この場合1つの膜は、1つの空隙から別の空隙への湿分の輸送を可能にする。しかし、この場合、ポリマー粒子が強力に膨潤することは、不利であり、このことは、いわゆる"ゲルブロッキング"によりさらなる液体吸収が阻止されることもまねく。
【0004】
DE3516653A1には、靴内部空間を制限する靴成形部材に特にモレキュラーシーブが装備されている履き物が記載されている。実際に、モレキュラーシーブが湿分吸収の際に膨潤する傾向を有しない場合には、極めて均一な細孔構造または通路構造によって、モレキュラーシーブは、一度吸収された液体を困難な条件下でのみ再び放出する。
【0005】
即ち、公知技術水準の靴底インサートは、この靴底インサートが不十分な汗吸収能力だけを有しているかまたは汗吸収の直接の場所で強い膨潤傾向を示すという欠点を有している。しかし、汗が汗吸収の直接の場所から導出され、靴底インサートの表面上に均一に分配されうることは、これまで決して保証されていない。更に、公知技術水準の靴底インサートは、靴底をさらなる使用のために再生するという試みの際に、吸収された汗が不十分にのみ再び脱着され、即ち十分な長さの乾燥時間および/または高い乾燥温度が必要であるという欠点を有する。
【0006】
従って、本発明の課題は、十分な汗吸収能力を使用するが、しかし、汗吸収によって膨潤されず、さらに、吸収された汗吸収性が効果的に全ての靴底容積上に分配され、同様に効果的に再生の際に再び周囲に放出されうることが保証される靴底インサートを提供することであった。
【0007】
更に、意外なことに、粒状の無定形珪酸を含有する靴底インサートが前記の要件を満たすことが見い出された。
【0008】
従って、本発明の対象は、靴および/または長靴のための靴底インサートへの吸収剤としての粒状の無定形珪酸の使用である。
【0009】
本発明の範囲内で粒または粒子は、定義された外形を有する立体の製品を示し、この製品は、粒子の大きさに応じて鏡検法(光学顕微鏡、電子顕微鏡等)により確認されうる。本発明による粒子は、多孔質であってよく、即ち細孔および/または内部空隙を有することができる。
【0010】
本発明の範囲内で全ての市販の粒状の無定形珪酸を使用することができる。無定形珪酸は、特に完全に無定形である。しかし、本発明の範囲内で、前記の無定形珪酸は、小さな結晶性含分を有していてもよく、この結晶性含分は、例えば最大40%、最大35%、最大30%、最大25%、最大20%、最大15%、最大10%または最大5%である。この結晶性含分は、公知方法でX線回折により測定される。適した無定形珪酸は、例えば沈降珪酸および熱分解法珪酸である。本発明によれば、Evonik Degussa GmbH社の市場で入手可能な珪酸が好ましく、この珪酸は、例えばSipernat2200、Sipernat22またはSipernat50の商品名で入手可能である。
【0011】
本発明により使用される珪酸が1g当たり5〜500m2のISO 5794−1Annex Dに記載の比表面積(N2)を有することは、有利であることが証明された。特に有利には、この珪酸は、1g当たり50〜500m2、特に有利に150〜500m2、殊に有利に185〜475m2の比表面積を有する。
【0012】
更に、本発明により使用される珪酸が100g当たり少なくとも180gのDBP吸収量(DIN53601の記載による)を有することは、有利であることが証明された。この珪酸のDBP吸収量は、特に100g当たり180〜600g、特に有利に100g当たり200〜600g、殊に特に有利に100g当たり200〜500g、殊に有利に100g当たり250〜400gの範囲内にある。
【0013】
殊に、DBP吸収量(DIN 53601の記載による)とISO 787/11に記載の突き固め密度との積が少なくとも30000g/100g*g/l、有利に少なくとも40000g/100g*g/l、特に有利に少なくとも50000g/100g*g/l、多くの場合に有利に少なくとも65000g/100g*g/lである珪酸は、適している。
【0014】
更に、珪酸の平均粒度d50が5μm〜500μm、有利に20μm〜450μm、特に有利に30〜400μm、殊に有利に45〜350μmの範囲内にあることは、有利であることが証明された。粒子が小さすぎる場合には、望ましくない滞留形成を生じうる。更に、大きすぎる粒子は、この粒子がしばしば機械的に不安定であり、深すぎる細孔を有し、したがって、吸収速度および脱着速度は、僅かすぎるか、または吸収された汗の一部分がもはや脱着されないという欠点を有する。
【0015】
更に、本発明の対象は、本発明により使用すべき粒状珪酸を含有する吸収剤を含有する靴底インサートである。
【0016】
本発明による靴底インサートは、抗細菌作用物質を含有することができる。抗細菌作用物質は、本発明において微生物、例えば細菌類、酵母類または糸状菌類の成長を阻止する状態にある化合物または天然物質である。抗細菌作用物質として、公知の保存剤、例えば有機酸(ソルビン酸、プロピオン酸、酢酸、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、安息香酸)およびその塩、PHBエステルおよびその塩、亜硫酸ナトリウムおよび相応する塩、ナイシン、ナタマイシン(Natamycin)、蟻酸、ヘキサメチレンテトラミン、ナトリウムテトラボレート、リゾチーム、アルコール、ハロゲン有機化合物、パラベン(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、イソブチルパラベン、イソプロピルパラベン)、イソチアゾロン(ベンズイソチアゾロン、メチルイソチアゾロン、オクチルイソチアゾロン)、フェノール、サリチレート、ニトリル、芳香剤、香料ならびに抗細菌作用を有する別の植物性または合成作用物質を使用することができる。
【0017】
本発明による靴底インサートは、以下に総括的に芳香剤として示されている芳香剤、香料または臭気剤を含有することができる。この種の物質は、一般に公知であり、商業的に入手可能である。この種の物質は、本明細書中で使用されているように、天然(即ち、例えば植物、例えば草花、薬草、葉、根、樹皮、木材、樹木の花等、または動物の産生物の抽出によって取得される物質)、人造(即ち、異なる天然油または油成分の混合物)および合成(即ち、合成により製造された)の香りのよい物質またはこれらの物質の混合物を含む。このような物質は、しばしば他の化合物、例えば固着剤、エキステンダー、安定剤および溶剤と一緒に使用される。前記の助剤または添加剤は、本発明の範囲内で"芳香剤"の概念の意味に含まれる。
【0018】
従って、通常、芳香剤は、数多くの有機化合物の複雑な混合物である。天然の化合物には、易揮発性物質だけが含まれるのではなく、この天然の化合物は、中位の揮発性の物質および程よい揮発性の物質も含む。芳香剤の例示的な一覧は、なかんずく次の化合物を含む:
天然物質、例えばバウムモース アブソリュート(Baummoos absolut)、メボウキ油、柑橘類の果実油(例えば、ベルガモット油、マンダリン油等)、マスチック アブソリュート(Mastix absolut)、ミルテ油、パルマローザ油、パチョリ香油、プチグレイン、殊にパラグアイ産、ニガヨモギ油;アルコール、例えばファルネソール、ゲラニオール、リナロール、ネロール、フェニルエチルアルコール、ロジノール、シナモンアルコール;アルデヒド、例えばシトラール、ヘリオナール、α−ヘキシル桂皮アルデヒド、ヒドロキシシトロネラール、ユリアルデヒド(p−第三ブチル−α−メチルジヒドロ桂皮アルデヒド)、メチルノニルアセトアルデヒド;ケトン、例えばアリルイオノン(1−(2,6,6−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−イル)−1,6−ヘプタジエン−3−オン)、α−イオノン、β−イオノン、イソメチル−α−イオノン、メチルイオノン;エステル、例えばアリルフェノキシアセテート、ベンジルサリチラート、シンナミルプロピオネート、シトロネリルアセテート、シトロネリルエトキソラート、デシルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、ジメチルベンジルカルビニルブチレート、エチルアセトアセテート、エチルアセチルアセテート、ヘキセニルイソブチレート、リナリルアセテート、メチルジヒドロジャスモネート、スチラリルアセテート、ベチベリルアセテート(Vetiverylacetat)等;ラクトン、例えばγ−ウンデカラクトン;しばしば香水の製造に使用される種々の成分、例えばジャコウケトン、インドール、p−メンタン−8−チオール−3−オンおよびメチルオイゲノールおよびアセタールおよびケタール、例えばメチルアセタールおよびエチルアセタールならびにメチルケタールおよびエチルケタール、ならびにフェニルエチル基を含有するベンズアルデヒドを基礎とするアセタールまたはケタール、またはオキソテトラリンおよびオキソインダンのアセタールおよびケタール。
【0019】
更に、次のものがこれに該当する:ゲラニルアセテート、ジヒドロキシミルセニルアセテート(2,6−ジメチル−オクト−7−エン−2−イル−アセテート)、テルピニルアセテート、トリシクロデセニルアセテート、トリシクロデセニルプロピオネート、2−フェニルエチルアセテート、ベンジルアセテート、ベンジルベンゾエート、スチラリルアセテート、アミルサリチラート、フェノキシエチルイソブチレート、ネリルアセテート、トリクロロメチルフェニルカルビニルアセテート、p−第三ブチルシクロヘキシルアセテート、イソノニルアセテート、セドリルアセテート、ベンジルアセテート、テトラヒドロリラロール、シトロネロール、ジメチルベンジルカルビノール、セドリルアセテート、ベンジルアルコール、テトラヒドロリナロール、シトロネロール、ジメチルベンジルカルビノール、ジヒドロミルセノール、トララヒドロミルセノール、テルピネオール、オイゲノール、ベチベロール(Vetiverol)、3−イソカンフィルシクロヘキサノール、2−メチル−3−(p−第三ブチルフェニル)−プロパノール、2−メチル−3−(p−イソプロピルフェニル)−プロパノール、3−(p−第三ブチルフェニル)−プロパノール、α−n−アミル桂皮アルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−カルボアルデヒド、4−(4−メチル−3−ペンテニル)−3−シクロヘキセンカルボアルデヒド、4−アセトキシ−3−ペンチルテトラヒドロピラン、2−n−ヘプチルシクロペタノン、3−メチル−2−ペンチル−シクロペンタノン、n−デカナール、n−ドデカナール、ヒドロキシシトロネラール、フェニルアセトアルデヒド−ジメチルアセタール、フェニルアセトアルデヒドジエチルアセタール、ゲラノニトリル、シロネロニトリル、セドリルメチルエーテル、イソロンギフォラノン(Isolongifolanon)、オーベピン、ヘリオトロピン、クマリン、バニリン、ジフェニルオキシド、イオノン、メチルイオノン、イソメチルイオノン、シス−3−ヘキセノールおよびシス−3−ヘキセノール−エステル、なかんずくインダン構造、テトラリン構造またはイソクロマン構造を有することができるジャコウ化合物、大環状ケトン、マクロラクトン−ジャコウ化合物、エチレンブラシラート、芳香族ニトロジャコウ化合物、ウィンターグリーン油、オレガノ油、月桂樹の葉の油、ペパーミント油、ミント油、丁子油、サルビア油、サッサフラス油、レモン油、オレンジ油、アニス油、ベンズアルデヒド、ビターアーモンド油、樟脳、シーダーの葉の油、マヨラナ油、レモングラス油、ラベンダー油、芥子油、松油、松の葉の油、ローズマリー油、チミアン油(Thymianoel)、肉桂の葉の油ならびにこれらの物質の混合物。前記芳香剤は、単独でかまたは混合物として使用されてよい。
【0020】
抗細菌作用物質および/または芳香剤の割合が全粒子の全質量に対して0.01〜10質量%であることは、有利であることが証明された。理想的な割合は、抗細菌作用物質および芳香剤ならびに珪酸の化学的性質および物理化学的性質に依存し、簡単な試験順序によってそれぞれの材料の組合せに対して定めることができる。珪酸のよりいっそう高い負荷は、もはや十分に汗が細孔内に吸収されえないことを導くことができる。特に有利には、全粒子の全質量に対して抗細菌作用物質および/または芳香剤の割合は、0.01〜5質量%の範囲内、特に有利に0.05〜3質量%の範囲内、殊に有利に0.5〜3質量%の範囲内にある。
【0021】
本発明による珪酸の少なくとも一部分がキャリヤーとして抗細菌作用物質および/または芳香剤に対して存在することは、有利であることが証明された。抗細菌作用物質および/または芳香剤に対してキャリヤーとして存在する珪酸粒子の割合は、全粒子の全質量に対して5〜40質量%、特に有利に5〜30質量%、殊に有利に5〜20質量%である。
【0022】
本発明による靴底インサートは、付加的になお粒状の超吸収性ポリマーを含有することができる。超吸収性ポリマーは、本発明の範囲内で当該超吸収性ポリマーの固有質量の数倍、即ち1000までの液体(多くの場合に水または水溶液)を吸収する状態にあるポリマー(超吸収剤ポリマー、SAP)である。製品は、10〜1000μm(=0.1〜1.0mm)の粒度を有する白色の粗大粒子状粉末として使用される。
【0023】
超吸収性ポリマーとして、殊に(共)重合された親水性モノマーからなるポリマー、適当なグラフト主鎖上の1つ以上の親水性モノマーの(グラフト)ポリマー、例えば架橋されたセルロースまたは澱粉エーテル、架橋されたカルボキシメチルセルロース、部分的に架橋されたポリアルキレンオキシドまたは水性液体中で膨潤可能な天然産生物、例えばグアール誘導体、アルギン酸塩およびカラゲナンが適している。好ましくは、酸基を有するモノエチレン系不飽和モノマーまたはその誘導体、殊に塩、エステルまたは無水物を架橋重合または共重合することによって得られるポリマーである。このような酸基を有するモノマーは、例えばモノエチレン系不飽和C3〜C25カルボン酸、その塩または無水物である。有利に使用されるモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはこれらの酸の混合物である。特に好ましくは、アクリル酸およびメタクリル酸である。性質を最適化するために、酸基を有しないが、しかし、酸基を有するモノマーと重合可能である付加的なモノエチレン系不飽和化合物を使用することができる。これには、例えばモノエチレン系不飽和カルボン酸のアミドおよびニトリルが属する。
【0024】
架橋剤として、少なくとも2個のエチレン系不飽和二重結合を有する化合物が機能しうる。このタイプの化合物の例は、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ポリエチレングリコールジアクリレートおよびポリエチレングリコールメタクリレートである。
【0025】
適当な超吸収性ポリマーは、例えば次の刊行物に記載されている:F.L.Buchholz,A.T.Graham(編者),Modern Superabsorbent Polymer Technology,Wiley−VCH,New York 1998。
【0026】
更に、超吸収性ポリマーは、C2〜C8オレフィンまたはスチレンからなるコポリマーと無水物との組合せで使用されることができ、臭気結合性の性質が改善される。
【0027】
超吸収性ポリマーの粒子が5μm〜300μm、有利に20μm〜150μm、特に有利に50〜150μm、殊に有利に50〜100μmの範囲内の平均粒度d50を有することは、有利であることが証明された。
【0028】
全粒子の割合は、本発明による靴底インサートの全体積に対して有利に少なくとも20体積%、特に有利に少なくとも30体積%、殊に有利に少なくとも35体積%である。
【0029】
1つの好ましい実施態様において、本発明による靴底インサートは、1つの層が水透過性および水蒸気透過性であり、別の層が水非透過性および水蒸気非透過性である少なくとも2つの層を含み、水非透過性層および水蒸気非透過性層は、水透過性層および水蒸気透過性層の方向に向いた側に凹所を有し、これら双方の層は、水透過性層および水蒸気透過性層が水非透過性層および水蒸気非透過性層の方向に向いた側で凹所を覆うように互いに堅固に結合しており、水蒸気非透過性層の凹所は、この水蒸気非透過性層内で開放通路によって互いに結合しており、水非透過性層および水蒸気非透過性層の凹所は、本発明により使用すべき粒状の無定形珪酸を含有している。従って、この実施態様は、好ましく、それというのも、前記インサート構造によって、吸収剤内での汗輸送および環境との汗交換(吸収ならびに放出)は、最適になるように支持されているからである。
【0030】
更に、本発明の対象は、運動靴、作業靴または軍靴、または運動用長靴、作業用長靴または軍用長靴への本発明による靴底インサートの使用である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明による靴底インサートの略図。
【0032】
図1は、少なくとも2つの層1および2を有する本発明による靴底インサートを断面で示し、この場合層1は、水透過性および水蒸気透過性であり、層2は、水非透過性および水蒸気非透過性である。層2は、表面3上に凹所を有する。層1と2は、層1の表面4が層2の表面3上の凹所を覆うように互いに堅固に結合されている。層2の表面3上の凹所は、層2内で開放通路によって互いに結合されている。層2の表面3上の凹所は、本発明により使用すべき吸収剤5を含む。
【0033】
次に、本発明は、実施例につき詳説される。
【実施例】
【0034】
測定法
DBP数の測定:
多孔質材料の吸収能のための基準であるDBP吸収(DBP数)を、規格DIN53601に基づき、次のようにして測定する:0〜10%の含水率を有する粉末状または球状の材料12.50g(場合により、含水率は乾燥キャビネット中で105℃での乾燥によって調節する)を、ブラベンダー社製の吸収率測定器"E"の混練チャンバ(商品番号279061)に入れる(トルクセンサの出力フィルタの減衰なし)。顆粒の場合に、3.15〜1mmの篩画分(Retsch社のステンレス鋼篩)を使用する(顆粒を、3.15mmの細孔幅を有する篩を通じてプラスチックへらで適度に加圧することによって)。絶え間なく混合しつつ(混練羽根の回転速度125回転/分)、25℃で、"Dosimaten Brabender T 90/50"によってDBPを4ml/分の速度で混合物中に滴加する。混入は、少ない所要力のみで行われ、デジタル表示器をもって追跡する。測定の終わりに向かって、混合物はペースト状となり、これは所要力の急激な上昇によって表示される。600ディジットの表示(0.6Nmのトルク)の場合に、電気接点によって混練機もDBP計量供給もスイッチを切る。DBP供給のための同期モータは、デジタルメータと接続されているので、DBPの消費をmlで読み取ることができる。DBP吸収量は、後読点位置(Nachkommastellen)なしに単位[g/100g]で記載され、次式につき計算される:
DBP=(V*D*100)/E*(g/100g)+K
この場合、DBP=g/100gでのDBP吸収量
V=mlでのDBPの消費量
D=g/mlでのDBPの密度(20℃で1.047g/ml)
E=gでの珪酸の秤量分
K=g/100gでの水分補正表による補正値
【0035】
DBP吸収量は、水不含の乾燥された材料に対して定義されている。湿った材料、殊に沈降珪酸またはシリカゲルを使用する場合には、DBP吸収量の計算に対して補正値Kを考慮することができる。この値は、以下の補正表をもとに算出することができる。例えば、前記材料の含水率5.8%は、DBP吸収のために33g/100gの上乗せを意味する。前記材料の含水率は、次に記載された方法"含水率または乾燥減量の測定"に従って算出される。
【0036】
【表1】

【0037】
含水率または乾燥減量の測定
材料の含水率または乾燥減量(TV)をISO 787−2に依拠して105℃で2時間の乾燥後に測定する。この乾燥減量は、主に水分からなる。
【0038】
実施
研磨された蓋(直径8cm、高さ3cm)を備えた乾式秤量瓶中に粉末状、球状または顆粒状の材料を0.1mgに正確に計量して装入する(装入秤量分E)。この試料を、蓋を開いた際に105±2℃で乾燥キャビネット中で乾燥させる。引続き、この秤量瓶を閉鎖し、デシケーターキャビネット中で乾燥剤としてのシリカゲルを用いて25℃に冷却する。この秤量瓶を取出し秤量分Aの測定のために精密天秤上で0.1mgで正確に計量する。次式
TV=(1−A/E)*100
により%で水分(TV)を測定する。
【0039】
この場合、A=gでの取出し秤量分およびE=gでの装入秤量分を意味する。
【0040】
平均粒度d50
珪酸の平均粒度d50の測定は、レーザ回折の原理に従って、レーザ回折計(Horiba社、LA−920)上で行われる。粉末の粒度を測定するために、SiO2約1質量%の質量分を有する分散液を、水中への粉末の攪拌混入によって製造する。分散の直後に、前記分散液の部分試料からレーザ回折計(Horiba LA−920)を用いて粒度分布を測定する。測定のために、1.09の相対屈折率を選択することができる。全ての測定は、25℃で行なう。粒度分布ならびに関連する大きさ、例えば平均粒度d50は、装置によって自動的に算定され、図示される。操作マニュアルにおける指示を遵守すべきである。
【0041】
突き固め密度
突き固め密度または嵩密度をISO 787−11により測定する。
【0042】
SiO2含量
SiO2含量の測定をISO 3262−19により行なう。
【0043】
【表2】

*珪酸No.1:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 22"
珪酸No.2:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 22 LS"
珪酸No.3:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 22 S"
珪酸No.4:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 2200"
珪酸No.5:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 50"
珪酸No.6:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 50S"
珪酸No.7:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 500 LS"
珪酸No.8:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 320"
珪酸No.9:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 350"
珪酸No.10:Evonik Degussa GmbH社の"Sipernat 360"
【0044】
試験順序
前記試験の実施のために、水非透過性および水蒸気非透過性PVC層(層2)からなるインサートを、即ち水透過性および水蒸気透過性層(層1)なしに靴の大きさ46(約30cmの長さ)で使用した。2つの試験順序を実施し、この場合吸収剤として、一方で珪酸No.4(実施例1)を使用し、他方で、珪酸No.4と珪酸No.5を95質量%対5質量%の比(実施例2)で使用した。比較のために、ドイツ連邦共和国特許出願公開第3516653号明細書A1に依拠して靴底インサートをモレキュラーシーブで充填した(実施例3;本発明によらない)。これは、0.5nmの細孔直径および約2mmの平均粒度を有する、Merck KGaA社のモレキュラーシーブである(ナトリウム−アルミニウム−シリケート、注文番号195705)。吸収剤を常に等量(15g)でPVC層の凹所内に入れた。ヒトの汗をシミュレーションするために、水99質量%および食塩1質量%(NaCl)からなる食塩溶液を製造した。この溶液からそれぞれ60mlを吸収剤上に添加した。吸収剤への溶液の添加は、試験の際に一定の速度(0.2ml/分)で行なった。この場合、この溶液をワンポイントで、実際に足先の範囲内で滴加し、この拡散を数時間に亘って測定した。負荷された靴底をさらに目視的に評価した。この場合には、如何にして良好に溶液がそれぞれの吸収剤によって吸収されるのかを評価した。1〜6の評点スケールで評価し、この場合評点1は、完全な吸収を意味し、評点6は、全く吸収なしを意味する。第3表には、結果がまとめられている。
【0045】
【表3】

【0046】
モレキュラーシーブを使用した際の拡散速度(実施例3)と粒状の無定形珪酸を使用した際の拡散速度(実施例1および2)とは、最初に1回比較可能である。しかし、粒状の無定形珪酸を使用した場合には、液体は、殆んど完全に吸収剤によって吸収されたが、これに対して、モレキュラーシーブを使用した場合には、液体は、殆んど大部分が"自由"液体として粒子間に存在した。この判定は、吸収能力(細孔溶液によって測定された)ならびに実際の吸収速度(湿潤特性および細孔の大きさによって測定された)が粒状の無定形珪酸の際にモレキュラーシーブと比較して実際に好ましいことを明らかに示す。
【0047】
付加的に、上記方法で負荷されたインサートが一晩に亘って再生可能であるか、または乾燥可能であるかを試験した。そのために、前記インサートを一晩中、乾燥キャビネット中に50℃の温度で置き(これは、ほぼ伝熱体上での乾燥条件に相当する)、質量の減少を測定した。
【0048】
モレキュラーシーブで負荷されたインサート(実施例3)の場合には、"自由に"存在する溶液にも拘わらず、12時間後に依然として17質量%の明らかな残留湿分が確認された。残留湿分を重量法により測定した。
【0049】
吸収剤としての粒状の無定形珪酸で負荷されたインサート(実施例1および2)は、同一条件下(T=50℃)で既に5時間後に完全に乾燥していた。
【0050】
この結果は、粒状の無定形珪酸を吸収剤として使用した際に汗吸収(汗吸収量、非対称的な汗発生の際の再分配)に関連して、ならびに乾燥(再生可能性)に関連して衛生的な底インサートにおける利点を証明する。
【符号の説明】
【0051】
1,2 層、 3 層2の表面、 4 層1の表面、 5 吸収剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴および/または長靴のための靴底インサートへの吸収剤としての粒状の無定形珪酸の使用。
【請求項2】
粒状の無定形珪酸は、ISO 5794−1補遺Dに記載された、1g当たり5〜500m2の比表面積を有する、請求項1記載の使用。
【請求項3】
粒状の無定形珪酸は、100g当たり少なくとも180gのDIN 53601に記載のDBP吸収量を有する、請求項1から2までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項4】
粒状の無定形珪酸の平均粒度(d50)は、5〜500μmである、請求項1から3までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
粒状の無定形珪酸の場合、DIN 53601に記載のDBP吸収量とISO 787/11に記載の突き固め密度との積は、少なくとも30.000g/100g*g/lである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の使用。
【請求項6】
吸収剤を含む靴底インサートにおいて、この吸収剤が請求項1から5までのいずれか1項に記載の粒状の無定形珪酸を含有することを特徴とする、吸収剤を含む靴底インサート。
【請求項7】
吸収剤が付加的に抗細菌作用物質および/または芳香剤を含有する、請求項6記載の靴底インサート。
【請求項8】
抗細菌作用物質および/または芳香剤の割合が全ての粒子の全質量に対して0.01〜10質量%である、請求項6から7までのいずれか1項に記載の靴底インサート。
【請求項9】
粒状の無定形珪酸の少なくとも一部分が抗細菌作用物質および/または芳香剤のためのキャリヤーとして存在する、請求項7から8までのいずれか1項に記載の靴底インサート。
【請求項10】
抗細菌作用物質および/または芳香剤のためのキャリヤーとして存在する前記珪酸粒子の割合が全ての粒子の全質量に対して5〜40質量%である、請求項9記載の靴底インサート。
【請求項11】
吸収剤が付加的に粒状の超吸収性ポリマーを含有する、請求項6から10までのいずれか1項に記載の靴底インサート。
【請求項12】
粒状の超吸収性ポリマーの平均粒度(d50)が、5〜300μmである、請求項11記載の靴底インサート。
【請求項13】
全ての粒子の割合が靴底インサートの全体積に対して少なくとも20体積%である、請求項6から12までのいずれか1項に記載の靴底インサート。
【請求項14】
靴底インサートが少なくとも2つの層(1)および(2)を含み、この場合層(1)は、水透過性および水蒸気透過性であり、層(2)は、水非透過性および水蒸気非透過性であり、層(2)は、表面(3)上に凹所を含み、層(1)と(2)とは、層(1)の表面(4)が層(2)の表面(3)上の凹所を覆うように互いに堅固に結合しており、層(2)の表面(3)上の凹所は、層(2)内で開放通路によって互いに結合しており、層(2)の表面(3)上の凹所は、請求項1から5までのいずれか1項に記載の粒状の無定形珪酸を含有する、請求項6から13までのいずれか1項に記載の靴底インサート。
【請求項15】
運動靴、作業靴または軍靴、または運動用長靴、作業用長靴または軍用長靴への請求項6から14までのいずれか1項に記載の靴底インサートの使用。

【図1】
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【公表番号】特表2011−527206(P2011−527206A)
【公表日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517063(P2011−517063)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【国際出願番号】PCT/EP2009/057516
【国際公開番号】WO2010/003789
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】