説明

改札システム、人物検知ユニット及び自動改札機

【課題】自動改札機を有する改札システムにおいて、人物検知の精度を向上させることを目的とする
【解決手段】自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段と、前記複数の人物検知手段において取得された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、前記決定手段において決定された人物情報に基づいて、前記自動改札機の扉の開閉を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改札システム、人物検知ユニット及び自動改札機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動改札機には改札通路を通過する人物を検知するために、人物検知装置が設けられている。例えば、特許文献1に記載された自動改札機の人物検知装置は、自動改札機の本体側面であり床面から一定高さに設けられた複数の透過式センサと、透過式センサの上側であり床面から一定高さに設けられた複数の反射式センサとによって構成されている。そして、自動改札機は、これらの透過式センサ及び反射式センサによって検出された結果に基づいて、改札通路を通過する人物に割引運賃が適用されるか否かを判定し、この判定結果に基づいて自動改札機の扉の開閉を制御する。
【0003】
【特許文献1】特開2005−309925号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した人物検知装置では、改札通路を通過する人物が光沢のあるような反射率が高い洋服等を着ている場合等、反射式センサの発光素子から照射された光線が通過する人物の物体に当たったにもかかわらず、物体に当たった反射光が受光素子に戻らず、実際とは異なる検出結果を出力する問題が生じていた。また、上述した人物検知装置では、改札通路に複数の人物が同時に通過しようとして、複数の人物が重なっているような場合、一人の人物であるとする検出結果を出力する問題も生じていた。
【0005】
本発明は上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、人物検知の精度を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の改札システムは、自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段と、前記複数の人物検知手段において取得された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、前記決定手段において決定された人物情報に基づいて、前記自動改札機の扉の開閉を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
係る構成とすることにより、複数の検知情報に基づいて総合的に改札通路を通過する人物の人物情報を決定するので、人物検知の精度を向上させることができる。
【0008】
本発明の人物検知ユニットは、自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段と、前記複数の人物検知手段を管理する管理装置と、を有し、前記管理装置は、前記複数の人物検知手段において取得された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、前記決定手段において決定された人物情報を前記自動改札機に送信する送信手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
係る構成とすることにより、複数の検知情報に基づいて総合的に改札通路を通過する人物の人物情報を決定するので、人物検知の精度を向上させることができる。
【0010】
本発明の自動改札機は、自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段より、複数の検知情報を受信する受信手段前記受信手段において受信された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、前記決定手段において決定された人物情報に基づいて、扉の開閉を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
係る構成とすることにより、複数の検知情報に基づいて総合的に改札通路を通過する人物の人物情報を決定するので、人物検知の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、人物検知の精度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る改札システム100の構成の一例を示す図である。
改札システム100は、人物検知ユニット10と自動改札機11とを含んで構成される。また、人物検知ユニット10は、人物検知手段(人物検知装置)の一例である複数のセンサ12(12a〜12c)と、管理装置13と、を含んで構成される。センサ12と管理装置13とは、ケーブル等の接続手段14を介して接続されている。また、管理装置13と自動改札機11とは、ケーブルや無線通信等の通信手段15を介して接続されている。
【0014】
第1の実施形態では、先ず複数のセンサ12a〜12cが自動改札機11の改札通路16を通過する人物「A」を検知する。次に、管理装置13が、複数のセンサ12a〜12cからの検知情報に基づいて、人物「A」が大人、小人、幼児であるか等の人物情報を決定する。次に、自動改札機11において、管理装置13の人物情報に基づき、扉(ドア)の開閉等の動作を制御する。
【0015】
次に、改札システム100の各構成について詳細に説明する。各センサ12a〜12cは、自動改札機11の上方であって、駅構内の天井等に設けられている。これら複数のセンサ12a〜12cのうちセンサ12bは、自動改札機11の改札通路16の通路幅の略中央であり、改札通路16の通路長さの略中央の上方に位置している。また、複数のセンサ12a〜12cのうちセンサ12a及び12cは、センサ12bを基準にして改札通路16の通路方向に対して直交する側の両方に隣接して設けられている。より詳しく説明すると、センサ12a及びセンサ12cは、センサ12bを基準として改札通路16の通路方向と直交する方向に沿って設けられている。
【0016】
次に、管理装置13のハードウェア構成について図2を参照して説明する。図2は人物検知ユニット10のハードウェア構成の一例を示す図である。人物検知ユニット10は、複数のセンサ12a〜12cと、管理装置13とを含んで構成される。図2に示すように管理装置13は、CPU21、ROM22と、RAM23と、HD24と、通信インタフェース25と、を含んで構成される。CPU21は、管理装置13全体の制御を行い、例えばROM22に格納された人物情報決定プログラムに従って、複数のセンサ12a〜12cによって送信された検知情報に基づいて人物情報を決定する処理等を行う。ROM22は、管理装置13を起動するための起動プログラムや、上述した人物情報決定プログラム等が格納されている。RAM23は、CPU21が上述したプログラムを実行するときの作業用のメモリであり、例えばセンサ12a〜12cによって検出された検知情報が一時的に記憶される。HD24は、記憶装置の一例であり、CPU21が後述するパターンマッチング処理において、検出された検知情報と比較するテンプレートが記憶されている。なお、管理装置13の仕様によっては、HD24に人物情報決定プログラムを記憶させるようにしてもよい。通信インタフェース25は、センサ12a〜12cから検知情報を受信したり、CPU21において決定した人物情報を自動改札機11に送信したりする。
【0017】
次に、自動改札機11のハードウェア構成について図3及び図4を参照して説明する。図3は自動改札機11の外観の一例を示す図である。図3に示す自動改札機11は、入場及び出場の両方の機能を備える、いわゆる両用型の自動改札機である。自動改札機11は、一対の筐体31a、31bと、乗車券投入口32と、乗車券取出口33と、アンテナ部34と、表示画面35と、扉36a〜36dと、通路表示灯37と、を含んで構成される。一対の筐体31aと31bとの間に形成される空間は、利用者が自動改札機11を通過するときの改札通路16となる。筐体31a、31bには、乗車券投入口32から投入された乗車券を乗車券取出口33まで搬送する搬送部や、後述する改札制御装置17等が収容されている。
【0018】
乗車券投入口32は、乗車券を自動改札機11に投入する投入口である。また、乗車券取出口33は、乗車券投入口32から投入された乗車券が搬送部を通って、放出される取出口である。アンテナ部34は、ICカードの情報を読み取ったり、ICカードに対して書き込みを行ったりする機能を有している。表示画面35は、ICカードの残額の表示等をするディスプレイである。扉36a〜36dは、閉めることによって利用者が改札通路16を通過できないようにしたり、開くことによって利用者が改札通路16を通過できるようにしたりする。通路表示灯37は、乗車券投入口32に小児乗車券が投入されたときや、自動改札機11に異常が発生したときに、その旨の点灯を行う。
【0019】
図4は自動改札機11の改札制御装置17及び周辺のハードウェア構成の一例を示す図である。なお、図3と同一の構成については同一符号を付してその説明を省略する。図4に示すように改札制御装置17は、CPU41、ROM42と、RAM43と、HD44と、通信インタフェース45と、を含んで構成される。CPU41は、自動改札機11全体の制御を行い、例えばROM42に格納された起動プログラムを実行したり、HD44に記憶されている扉開閉制御プログラムをRAM43に読み込み、管理装置13によって送信された人物情報等に基づいて、扉36a〜36dの開閉を制御したりする処理等を行う。なお、CPU41は通常処理として乗車券投入口32から投入された乗車券(ICカードを含む)の乗車区間や金額が実際の乗車区間や金額と合っているか否か等を判定して、判定結果に応じて扉36を開閉する制御を行っている。ROM42には、自動改札機11を起動するために、CPU41が実行する上述した起動プログラムが格納されている。RAM43は、CPU41が上述したプログラムを実行するときの作業用のメモリである。RAM43は、例えば管理装置13から送信された人物情報を記憶したり、HD44に記憶されている扉開閉制御プログラム等をCPU41が読み込み、記憶したりするメモリである。HD44は、記憶装置の一例であり、上述した扉開閉制御プログラム等を記憶する。通信インタフェース45は、管理装置13から人物情報を受信したり、扉開閉の制御信号を扉36a〜36dに送信したりする。
【0020】
次に、センサ12a〜12cによって検出(又は取得)された検知情報に基づいて人物情報を決定する処理について説明する。本実施形態では、センサ12a〜12cとして、カメラ(光学センサ)12a〜12cを適用する場合について説明する。ここで、カメラ12a〜12cによって撮影された画像を、ディスプレイ装置に表示すると仮想した場合に表示される画面の一例を図5に示す。図5(a)〜(c)は、それぞれ、図1に示すカメラ12a〜12cによって撮影された画像に対応する画面の一例を示す図である。なお、図5(a)〜(c)に示す画面は、図1に示すように自動改札機11の改札通路16を人物「A」が通過しようとしているときの画像である。
【0021】
ここで、図5(a)に示す画面は、その右側に自動改札機11の一対の筐体31a、31bのうち、左側に位置する筐体31bが表示されている。また、筐体31bの右側には、自動改札機11の改札通路16を通過しようとする人物「A」を斜め上方から撮影した画像が表示されている。次に図5(b)に示す画面は、その中央に自動改札機11の改札通路16を通過しようとする人物「A」が真上から撮影された画像が表示されている。また、人物「A」の両側には、自動改札機11の一対の筐体31a及び31bが表示されている。次に図5(c)に示す画面は、その左側に自動改札機11の一対の筐体31a、31bのうち、右側に位置する筐体31aが表示されている。また、筐体31aの左側には、自動改札機11の改札通路16を通過しようとする人物「A」を斜め上方から撮影した画像が表示されている。上述のように撮影される画像は検知情報として、連続して管理装置13に送信される。ここでは、カメラ12a〜12cによって撮影された画像の検知情報を、以下では画像情報として説明する。
【0022】
次に、管理装置13に送信された画像情報に基づいて人物情報を決定する処理について図6のフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS10において、管理装置13のCPU21は、図5(a)〜(c)に示すような複数の画像情報を、通信インタフェース25を介して連続して受信し、受信した画像情報を比較して、変化があるか否かを判定する。なお、CPU21は、受信した図5(a)〜(c)に示す画像情報の送信元の情報に基づき、カメラ12a〜12cのうち何れのカメラで撮影された画像情報であるかを識別することができる。よって、CPU21は、同一のカメラからの画像情報を比較して、変化があるか否かを判定する。画像に変化があると判定した場合、CPU21はステップS11に処理を進める。画像に変化がないと判定した場合、CPU21はステップS10に処理を戻し、再び画像の変化を判定する。
【0023】
ステップS11において、CPU21は図5(a)〜(c)に示す画像のうち所定のエリアに人物の頭が存在するか否かを判定する。ここで、所定のエリアとは例えば、自動改札機11の改札通路16内の範囲や、改札通路16の前後数メートルを含む範囲等をいう。所定のエリアは、例えばHD24等に記憶されているファイル等に予め設定されているものとする。また、人物の頭が存在するか否かは、CPU21が画像情報から一定サイズ以上の丸形状を検出することにより行う。より具体的に説明すると、CPU21は複数の画像情報のそれぞれについて、濃淡変化の境界を検出する、所謂エッジ検出を行う。CPU21は、検出したエッジが丸形状であり、そのサイズが一定サイズ以上であるか否かを判定する。一定サイズ以上の丸形状が存在する場合、CPU21は人物の頭が存在すると判定してステップS12に処理を進める。一定サイズ以上の丸形状が存在しない場合、CPU21は人物の頭が存在しないとしてステップS10に処理を戻し、再び画像の変化を判定する。
【0024】
このときCPU21は、複数の画像情報に基づいて総合的に丸形状が存在するか否かを判定する。すなわち、図5(b)のように真上から撮影される画像においては、人の頭は丸形状で撮影されるが、図5(a)又は図5(c)のように斜めから撮影する画像においては、人の顔を含めた頭は、楕円形状で撮影される。従って、CPU21は、図5(b)で表示される形状が真円に近い丸形状であり、かつ図5(a)又は図5(c)で表示される形状が楕円形状である場合、人物の頭が存在すると判定する。このように、CPU21が複数の画像情報に基づいて、人物の頭が存在するか否かを判定することで人物検知の精度を向上させることができる。なお、所定のエリアに人物の頭が存在するか否かの判定として、同一カメラの画像の差分をとり、動きのあった領域を抽出し、その領域から人の頭とおぼしき形状を人物の頭と判定するようにしてもよい。このように画像の差分をとることにより、例えば床に丸形状の模様が描かれていたとしても、画像中において静止している物は検出対象から外れるため、誤検出を防止することができる。
【0025】
ステップS12において、CPU21は人物の頭の数を算出する。ここで、人物の頭の数の算出は、CPU21が例えばステップS11において検出した人物の頭に識別番号を付し、その識別番号をカウントすることにより行う。
次にステップS13において、CPU21は算出した人物の頭の数が1つであるか否かを判定する。算出した人物の頭の数が1つである場合、CPU21はステップS14に処理を進める。算出した人物の頭の数が1つでない場合、即ち2つ以上である場合、CPU21はステップS23に処理を進める。
【0026】
ステップS14において、CPU21は人物の頭の高さを測定する。ここで人物の頭の高さは、CPU21が複数(2つ)の画像情報による両眼立体視、いわゆるステレオカメラ法によって測定することができる。CPU21は、図5(a)及び図5(b)に示す画像情報、カメラ12aとカメラ12bとの設置間隔、カメラ12a及びカメラ12bの焦点を用い、人物の頭を測定対象点とした座標をステレオカメラ法により幾何学的に算出する。なお、ここでは人物の頭の高さを測定するために図5(a)及び図5(b)に示す画像情報を用いる場合について説明したが、この場合に限られるものではなく、図5(a)〜(c)のうち任意の2つの画像情報を用いてもよく、図5(a)〜(c)の画像情報から2つを選択する計3種類の組み合わせ、全てについて人物の頭の高さを測定し、平均を算出するようにしてもよい。このように、CPU21が複数の画像情報を用いることにより、人物の高さを測定することができる。
【0027】
なお、カメラの取り付け位置やカメラの撮影方向によっては太陽光等の外乱により撮影される画像が白く飛んでしまうという現象が生じたり、障害物により撮影することができない現象が生じたりする。しかしながら取り付け位置や撮影方向の異なる複数のカメラによって撮影することにより、何れかのカメラの画像情報が異常であっても、他のカメラを用いることで、人物の頭を検出したり、人物の高さの測定を行ったりすることができる。
【0028】
次にステップS15において、CPU21は、測定した人物の頭の高さが所定高さの範囲であるか否かを判定する。ここで人物情報としては、例えば無賃が適用される幼児と、割引運賃が適用される小人と、通常運賃が適用される大人と、等がある。改札システム100では、このような人物情報の区分けの決定は人物の身長、即ち人物の頭の高さによって行っている。そこで、まずステップS15では、CPU21は測定した人物の頭の高さが小人又は大人の高さの範囲であるか否かを判定する。所定高さの範囲であると判定した場合、CPU21はステップS16に処理を進める。所定高さの範囲でないと判定した場合、CPU21はステップS26に処理を進める。
【0029】
ステップS16において、CPU21は人物の頭の高さが閾値より高いかを否かを判定する。このステップS16における判定は、自動改札機11の改札通路16を通過しようとしている人物の頭の高さが大人の高さであるかを判定する。人物の頭の高さが閾値より高い場合、CPU21はステップS17に処理を進める。人物の頭の高さが閾値より高くない場合は、CPU21はステップS20に処理を進める。
【0030】
ステップS17において、CPU21は受信した複数の画像情報と、管理装置13のHD24に記憶されているテンプレートとしての画像情報とが一致又は近似するか否かの判定、即ちパターンマッチング処理を行う。管理装置13のHD24には、人物の頭の高さが閾値より高い場合であっても、自動改札機11の改札通路16を通過しようとしている人物の人物情報を小人であると決定する場合の、画像情報が記憶されている。より具体的に説明すると、HD24には小人が風船を持って改札通路16を通過しようとする画像情報等が記憶されている。例えば、小人が持っている風船が、ちょうど大人の頭の高さに位置するような場合、ステップS16において、CPU21は、人物の頭の高さが閾値より高いと判定し、そのままでは改札通路16を通過しようとしている人物を大人であるとして異なった人物情報を決定してしまう。しかしながら、CPU21が複数の画像情報と、管理装置13のHD24に記憶されているテンプレートとしての画像情報と、を比較してパターンマッチング処理を行い、両者の画像情報が一致又は近似するかを判定することで、異なった人物情報と決定することを防止することができる。一致又は近似する場合、CPU21はステップS18に処理を進める。一致又は近似しない場合、CPU21はステップS19に処理を進める。
【0031】
ステップS18において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を小人であると決定する。
ステップS19において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を大人であると決定する。
このように、改札通路16を通過しようとしている人物が大人であると判定されるような場合であっても、小人が適用される画像情報とパターンマッチング処理を行うことで、より精度の高い人物検知を行うことができる。
【0032】
ステップS20において、CPU21は送信された複数の画像情報と、管理装置13のHD24に記憶されているテンプレートとしての画像情報とが一致又は近似するか否かの判定、即ちパターンマッチング処理を行う。管理装置13のHD24には、人物の頭の高さが閾値より低い場合であっても、自動改札機11の改札通路16を通過しようとしている人物の人物情報を小人ではないと決定する場合の、画像情報が記憶されている。より具体的に説明すると、HD24には大人が改札通路16を屈んで通過しようとする画像情報等が記憶されている。例えば、大人が、小人の頭の高さになるように屈んでいる場合、ステップS16において、CPU21は、人物の頭の高さが閾値より低いと判定し、そのままでは改札通路16を通過しようとしている人物を小人であるとして人物情報を決定してしまう。しかしながら、CPU21が複数の画像情報と、管理装置13のHD24に記憶されているテンプレートとしての画像情報とを比較してパターンマッチング処理を行い、両者の画像情報が一致又は近似するかを判定することで、異なった人物情報と決定することを防止することができる。一致又は近似する場合、CPU21はステップS21に処理を進める。一致又は近似しない場合、CPU21はステップS22に処理を進める。
【0033】
ステップS21において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を不審者と決定する。
ステップS22において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を小人であると決定する。
【0034】
このように、改札通路16を通過しようとしている人物が小人であると判定されるような場合であっても、人物情報として不審者が適用される画像情報とパターンマッチング処理を行うことで、より精度の高い人物検知を行うことができる。なお、HD24には大人が改札通路16を屈んで通過しようとする画像情報等が記憶されている場合について説明したが、例えば車椅子に乗って改札通路16を通過する画像情報が記憶されていてもよい。この場合、CPU21は受信した複数の画像情報と、車椅子に乗って改札通路16を通過する画像情報とを比較するパターンマッチング処理を行う。
【0035】
ステップS13において、CPU21が算出した人物の頭の数が2つ以上である場合、CPU21は、ステップS23に処理を進める。ステップS23において、CPU21は、改札通路16を通過しようとしている人物が大人と幼児との組合せであるか否かを判定する。より具体的に説明すると、CPU21は、ステップS14で説明したように、検出された人物の頭のすべてについて人物の頭の高さを測定する。次に、CPU21は、ステップS15で説明したように、測定したすべての人物の頭の高さについて所定高さの範囲であるか否かを判定する。次に、CPU21は、ステップS16で説明したように、検出された人物の頭のすべてについて人物の頭の高さが閾値より高いかを否かを判定する。
【0036】
閾値より高い高さの人物の頭が1つあり、所定高さの範囲ではない高さの人物の頭が1つ以上ある場合、CPU21は大人と幼児との組み合わせであると判定し、ステップS24に処理を進める。大人と幼児との組合せではないと判定した場合、CPU21はステップS25に処理を進める。
【0037】
ステップS24において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を大人と幼児と決定する。
ステップS25において、CPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を不審者と決定する。
【0038】
ステップS15において、測定した人物の頭の高さが所定高さの範囲でないと判定した場合、ステップS26においてCPU21は改札通路16を通過しようとする人物の人物情報を幼児と決定する。
【0039】
上述したように管理装置13のCPU21は、複数のカメラ12a〜12cにより撮影された画像情報に基づいて、自動改札機11の改札通路16を通過する人物の人物情報を決定する。そして、CPU21は決定した人物情報を、通信インタフェース25を介して自動改札機11の改札制御装置17に送信する。
【0040】
改札制御装置17のCPU41は通信インタフェース45を介して人物情報を受信する。次に、CPU41は受信した人物情報に基づいて自動改札機11の動作を制御する。上述したように、CPU41は通常処理として乗車券の区間等が有効であるか否か等の判定を行い、その判定に結果に応じて扉36の開閉を制御している。以下では、通常処理の判定に加えて、CPU41が受信した人物情報に基づいて扉36の開閉を制御する処理について説明する。なお、以下では乗車券投入口32に乗車券を投入していることを前提とする。
【0041】
まず、改札通路を通過しようとする人物が大人であるとする人物情報を受信した場合、CPU41は投入された乗車券が小人用の乗車券であるか否かを判定し、小人用の乗車券である場合は扉36を閉める制御を行う。大人用の乗車券である場合、CPU41は乗車券の区間等が有効であるか否か等の判定を行い、その判定に結果に応じて扉36の開閉の制御を行う。
次に、改札通路を通過しようとする人物が小人であるとする人物情報を受信した場合、CPU41は乗車券の区間等が有効であるか否か等の判定を行い、その判定に結果に応じて扉36の開閉の制御を行う。
次に、改札通路を通過しようとする人物が不審者であるとする人物情報を受信した場合、CPU41は扉36を閉める制御を行う。
次に、改札通路を通過しようとする人物が幼児であるとする人物情報を受信した場合、CPU41は乗車券投入口32に乗車券を投入されていないとしても、扉36を開く制御を行う。
また、改札通路を通過しようとする複数の人物が大人と幼児との組合せであるとする人物情報を受信した場合、CPU41は投入された乗車券が小人用の乗車券であるか否かを判定し、小人用のである場合、扉36を閉める制御を行う。大人用の乗車券である場合、CPU41は乗車券の区間等が有効であるか否か等の判定を行い、その判定に結果に応じて扉36の開閉の制御を行う。
【0042】
なお、上述したステップS17又はステップS20でのパターンマッチング処理においてCPU21は、複数の画像情報に基づいて総合的にHD24に記憶されているテンプレートと一致又は近似するか否かを判定する。例えば、CPU21が、画像情報と、大人が屈んでいる画像の画像情報と比較するパターンマッチング処理を行うとき、図5(b)のように真上から撮影される画像の画像情報のみの比較では、屈んでいる状態が分かりにくい。従って、CPU41は、図5(a)又は図5(c)のように斜めから撮影する画像の画像情報と、対応するテンプレートと、を比較して総合的に判定することにより、屈んでいる状態をより捉えることができ、一致又は近似するか否かの判定の精度を向上させることができる。
【0043】
このように第1の実施形態によれば、管理装置13のCPU21が、複数のセンサ12a〜12cの検知情報に基づいて人物情報を決定するので、人物情報の判定の精度を向上させることができる。
【0044】
(第2の実施形態)
図7は第2の実施形態に係る改札システム200の構成を示す図である。図7に示すように、第2の実施形態では、改札システム200は、人物検知ユニット10と、複数の自動改札機11a〜11cと、を含んで構成される。そして、人物検知ユニット10は、人物検知手段(人物検知装置)の一例である複数のセンサ12(12a〜12e)と、管理装置13と、を含んで構成される。複数のセンサ12a〜12eのうち、センサ12b、12c、12dはそれぞれ自動改札機11a、11b、11cの改札通路16a、16b、16cの中央の上方に設置されている。また、センサ12a〜12eは、それぞれが自動改札機11a〜11cの改札通路16a〜16cの通路方向に対して直交する側に設けられている。
【0045】
本実施形態において、管理装置13のCPU21は自動改札機11aの改札通路16aを通過しようとする人物Aを複数のセンサ12a、12b、12cによって検知された検知情報に基づいて人物情報を決定する。また、CPU21は自動改札機11bの改札通路16bを通過しようとする人物Bを複数のセンサ12b、12c、12dによって検知された検知情報に基づいて人物情報を決定する。また、CPU21は自動改札機11cの改札通路16cを通過しようとする人物Cを複数のセンサ12c、12d、12eによって検知された検知情報に基づいて人物情報を決定する。このように第2の実施形態によれば、1つのセンサが隣接する複数の自動改札機11(又は改札通路16)を検出範囲とすることで、例えば、N個の自動改札機11に対して、3×N台のセンサを必要とせず、少なくともN+2台のセンサを設ければよく、改札システム200の構成を簡単にすることができる。
【0046】
(第3の実施形態)
図8は第3の実施形態に係る改札システム300の構成を示す図である。第3の実施形態では、人物検知ユニット10が複数のセンサ12a〜12cを含んで構成されており、第1、第2の実施形態における管理装置13が取り除かれている。複数のセンサ12a〜12cによって検知された複数の検知情報は、接続手段14を介して自動改札機11に直接、送信される。自動改札機11のCPU41は、複数の検知情報を、通信インタフェース45を介して受信し、図6のフローチャートに示すような人物情報の決定処理を行う。更に、CPU41は、決定した人物情報に基づいて扉36の開閉制御等を行う。
【0047】
なお、本実施形態においては、パターンマッチング処理を行うときのテンプレートは図4に示す改札制御装置17のHD44に記憶されている。CPU41が、人物情報の決定処理を行う場合、送信された検知情報(画像情報)と、HD44に記憶されている画像情報(テンプレート)と、を比較して、パターンマッチング処理を行う。
このように第3の実施形態によれば、人物情報の決定処理を改札制御装置17によって行うので、管理装置13を取り除くことができ、改札システム300の構成を簡単にすることができる。
【0048】
このように本発明によれば、人物検知の精度を向上させることができる。なお、第1〜第3の実施形態では、複数のセンサ12は改札通路の通路方向と直交する方向に沿って設けられている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、1つのセンサが改札通路の範囲の上方に設けられている場合、他のセンサは改札通路の範囲からずれた位置の上方に設けられていればよい。即ち、他のセンサは改札通路の通路方向と異なる方向に沿って設けられていればよい。
【0049】
また、第1〜第3の実施形態では、複数のセンサ12は天井に取り付けられている場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、複数のセンサ12は、上方に設置された取付ベースの下面等に取り付けられていてもよい。また、センサ12は自動改札機11の改札通路16の通路幅の略中央であり、改札通路16の通路長さの略中央の上方に位置する場合についてのみ説明したが、この場合に限られない。例えば、入場専用型自動改札機や出場専用型自動改札機の場合、センサ12は改札通路16の通路幅の略中央であり、改札通路16の通路長さの中央から何れか一方に離間した上方に取り付けられていてもよい。
【0050】
また、第1〜第3の本実施形態では、人物検知装置としてカメラを例にして説明したが、この場合に限られない。例えば、人物検知装置として、レーザセンサ、赤外線センサ、マクロ波センサ、超音波センサ等を用いてよい。また。1つの人物検知装置を上述したセンサのうちから複数種を組み合わせることにより構成させてもよい。また、隣接する人物検知装置は必ずしも同種なものに限られず、異なる種類のセンサであってもよい。
【0051】
なお、自動改札機11の筐体の側面に透過式センサや反射式センサを設けてもよい。センサ12の検知情報に、透過式センサや反射式センサの検知情報を加えて人物情報を判定することで、より人物情報の決定の精度を向上させることができる。また、決定した人物情報に透過式センサや反射式センサの検知情報を加えて自動改札機11の扉36の開閉の制御を行うことで、より扉開閉の精度を向上させることができる。
【0052】
また、第3の実施形態において、複数のセンサ12a〜12cのそれぞれにCPUを設けるように人物検知ユニット10を構成してもよい。この場合、例えばセンサ12a〜12cの各CPUが、センサ12a〜12cの検知情報(画像情報)から、エッジ検出等の画像処理を行う。改札制御装置17のCPU41は、既にエッジ検出が行われた検知情報(画像情報)に基づいて人物情報を決定すればよく、人物情報の決定処理を効率よく行うことができる。
【0053】
以上、上述した各実施形態によれば、人物検知の精度を向上させることができる。また、その結果、自動改札機におけるドアの開閉に関する誤動作を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施形態に係る改札システムの構成の一例を示す図である。
【図2】人物検知ユニットのハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】自動改札機の外観の一例を示す図である。
【図4】自動改札機の改札制御装置及び周辺のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図5】カメラによって撮影された画像に対応する画面の一例を示す図である。
【図6】人物情報を決定する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態に係る改札システムの構成を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係る改札システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0055】
100、200、300 改札システム
10 人物検知ユニット
11 自動改札機
12 人物検知装置
13 管理装置
14 接続手段
15 通信手段
16 改札通路
17 改札制御装置
21 CPU
22 ROM
23 RAM
24 記憶装置(HD)
25 通信インタフェース
31 筐体
32 乗車券投入口
33 乗車券取出口
34 アンテナ部
35 表示画面
36 扉
37 通路表示灯
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 記憶装置(HD)
45 通信インタフェース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段と、
前記複数の人物検知手段において取得された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、
前記決定手段において決定された人物情報に基づいて、前記自動改札機の扉の開閉を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする改札システム。
【請求項2】
前記人物検知手段は、複数の自動改札機の改札通路を対象とし、前記改札通路を通過する人物に関する複数の検知情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の改札システム。
【請求項3】
前記人物検知手段は、前記改札通路を通過する人物に関する画像情報を検知情報として取得するカメラであり、
前記決定手段は、前記画像情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の改札システム。
【請求項4】
自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段と、
前記複数の人物検知手段を管理する管理装置と、
を有し、
前記管理装置は、
前記複数の人物検知手段において取得された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、
前記決定手段において決定された人物情報を前記自動改札機に送信する送信手段と、
を有することを特徴とする人物検知ユニット。
【請求項5】
自動改札機の上方であり、改札通路の通路方向と異なる方向に設けられ、前記改札通路を通過する人物に関する検知情報を取得する複数の人物検知手段より、複数の検知情報を受信する受信手段と、
前記受信手段において受信された複数の検知情報に基づいて、前記改札通路を通過する人物の人物情報を決定する決定手段と、
前記決定手段において決定された人物情報に基づいて、扉の開閉を制御する制御手段と、を有することを特徴とする自動改札機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−86986(P2009−86986A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−255429(P2007−255429)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(593092482)ジェイアール東日本メカトロニクス株式会社 (85)
【Fターム(参考)】