説明

改良された等温鎖置換増幅

等温DNA増幅のための方法であって、増幅されるDNAに、DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第1のプライマーと、DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第2のプライマーと、DNAポリメラーゼと、鎖置換が可能な酵素と、二本鎖DNA中のキサントシンを認識し、キサントシンの位置またはその近傍で一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取る酵素とを含む増幅混合物を提供する工程;および熱サイクリングを実質的に伴わずにDNAを増幅する工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱サイクリングを実質的に伴わずに核酸分子を増幅するための、改良された方法に関する。
【背景技術】
【0002】
核酸配列集団内から特定の配列を増幅するのに最も広く用いられる方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である(Dieffenbach CおよびDveksler G編、PCR Primer: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor Press、Plainview、NY)。この増幅法では、相補鎖上の、増幅される領域のいずれかの末端の、一般に15〜30ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドが、変性させた一本鎖DNA鋳型上でのDNA合成のプライミングに用いられる。熱安定性DNAポリメラーゼを用いる変性、プライマーハイブリダイゼーション、およびDNA鎖合成の連続的なサイクルにより、プライマー間の配列が指数関数的に増幅される。RNA配列は、cDNAコピーを生成させる逆転写酵素を用いてまずこれをコピーすることにより、増幅することができる。増幅されたDNA断片は、ゲル電気泳動、標識プローブによるハイブリダイゼーション、その後の同定(例えば、酵素結合アッセイによる)を可能とするタグを付したプライマーの使用、標的DNAとハイブリダイズするとシグナルを発生させる、蛍光タグを付したプライマー(例えば、Beaconシステム、およびTaqManシステム)の使用を包含する、各種の手段により検出することができる。
【0003】
PCRの1つの欠点は、増幅混合物を加熱および冷却してDNAを変性させる、サーマルサイクラーを必要とすることである。この増幅は、旧式の施設では実施することができないか、または実験室環境外では容易に操作することができない。
【0004】
PCRに加えて、特定の配列を検出および増幅するための各種の他の技法が開発されている。一例は、リガーゼ連鎖反応(Barany F、Genetic disease detection and DNA amplification using cloned thermostable ligase、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:189-193、1991)である。
【0005】
増幅反応時の標的の熱変性に依存する従来のDNA増幅法に加えて、増幅反応時に鋳型の変性を必要とせず、このため等温増幅技術と呼ばれる多数の方法が記述されている。
【0006】
等温増幅は、1992年に初めて記述され(Walker GT、Little MC、Nadeau JG、およびShank D.、Isothermal in vitro amplification of DNA by a restriction enzyme/DNA polymerase system、PNAS 89: 392-396、1992)、鎖置換増幅(SDA)と名づけられた。それ以来、RNA配列はコピーするが、対応するゲノムDNAはコピーしないRNAポリメラーゼを用いた、転写媒介増幅(TMA)および核酸配列ベースの増幅(NASBA)を包含する、他の多数の等温増幅技術が記述されている(Guatelli JC、Whitfield KM、Kwoh DY、Barringer KJ、Richmann DD、およびGingeras TR、Isothermal, in vitro amplification of nucleic acids by a multienzyme reaction modeled after retroviral replication、PNAS 87: 1874-1878、1990; Kievits T、van Gemen B、van Strijp D、Schukkink R、Dircks M、Adriaanse H、Malek L、Sooknanan R、Lens P、NASBA isothermal enzymatic in vitro nucleic acid amplification optimized for the diagnosis of HIV-1 infection、J Virol Methods、1991年12月、35(3):273-86)。
【0007】
他のDNAベースの等温技法には、DNAポリメラーゼにより、環状鋳型に対するプライマーを伸長させる、ローリングサークル増幅(RCA)(Fire AおよびXu SQ、Rolling replication of short circles、PNAS 92: 4641-4645、1995);標的を検出するのに環状プローブを用いる分枝増幅(Ramification amplification)(RAM)(Zhang W、Cohenford M、Lentrichia B、Isenberg HD、Simson E、Li H、Yi J、Zhang DY、Detection of Chlamydia trachomatis by isothermal ramification amplification method: a feasibility study、J Clin Microbiol. 2002年1月、40(1):128-32);ならびに、より近年では、熱の代わりにヘリカーゼ酵素を用いてDNA鎖を巻き戻す、ヘリカーゼ依存等温DNA増幅(HDA)(Vincent M、Xu Y、Kong H、Helicase-dependent isothermal DNA amplification、EMBO Rep. 2004年8月、5(8):795-800)が含まれる。
【0008】
従来の増幅法は、増幅反応の各サイクルにおける標的分子の変性と再生のサイクルを継続することに依存する。DNAの熱処理は、DNA分子に対してある程度のせん断を結果としてもたらし、したがって、発生中の胚盤胞細胞の少数の細胞からDNAを単離する場合、または、特に、DNAが、組織切片、パラフィンブロック、および古代DNA試料中など、既に断片形態にある場合など、DNAが限定される場合、この加熱冷却サイクルによって、DNAがさらに損傷を受け、その結果、増幅シグナルがさらに失われる可能性がある。等温法は、一本鎖分子を生成させて、さらなる増幅のための鋳型として用いるために鋳型DNAの変性を継続することには依存せず、一定温度で、特定の制限エンドヌクレアーゼによりDNA分子を酵素的にニッキングすることに依存する。
【0009】
鎖置換増幅(SDA)と呼ばれる技法は、特定の制限酵素の、半修飾(hemi-modified)DNAの非修飾鎖にニックを入れる能力と、5’−3’エクソヌクレアーゼ欠損ポリメラーゼが下流の鎖を伸長および置換する能力とに依存する。次いで、センス反応の置換鎖を、アンチセンス反応の鋳型として用いて、センス反応とアンチセンス反応とを組み合わせることにより、指数関数的増幅が達成される(Walker GT、1992)。このような技法は、Mycobacterium tuberculosis(Walker GT、1992)、HIV−1、C型肝炎、およびHPV−16(Nuovo G J、2000)、Chlamydia trachomatis(Spears PA、Linn P、Woodard DL、およびWalker GT、Simultaneous Strand Displacement Amplification and Fluorescence Polarization Detection of Chlamydia trachomatis、Anal. Biochem. 247: 130-137、1997)に用いられ、増幅に成功している。
【0010】
SDAの使用はこれまで、半ホスホロチオエートDNA二重鎖を作製するために、修飾鎖上では酵素切断に耐性であり、その結果、消化ではなく酵素によるニッキングをもたらして置換反応を起こさせる、修飾ホスホロチオエートヌクレオチドに依存してきた。しかし、近年では、いくつかの「ニッカーゼ」酵素が遺伝子工学的に作製されている。これらの酵素は、従来のようにDNAを切断せず、DNA鎖の一方にニックを入れる。「ニッカーゼ」酵素には、N.Alw1(Xu Y、Lunnen KD、およびKong H、Engineering a nicking endonuclease N.Alw1 by domain swapping、PNAS 98: 12990-12995、2001)、N.BstNB1(Morgan RD、Calvet C、Demeter M、Agra R、Kong H、Characterization of the specific DNA nicking activity of restriction endonuclease N.BstNBI、Biol Chem.、2000年11月、381(11):1123-5)、およびMly1(Besnier CE、Kong H、Converting MlyI endonuclease into a nicking enzyme by changing its oligomerization state、EMBO Rep.、2001年9月、2(9):782-6、電子版2001年8月23日)が含まれる。
【0011】
さらに、SDAは、熱安定性制限酵素(Ava1)と、熱安定性exo−ポリメラーゼ(Bstポリメラーゼ)との組合せを用いることにより改良された。この組合せは、反応の増幅効率を、10倍の増幅から1010倍の増幅へと増大させることが示され、この技法を用いて、固有の単一コピー分子を増幅することが可能となる。熱安定性ポリメラーゼ/酵素の組合せを用いる結果としてもたらされる増幅倍数は、ほぼ10倍程度である(Milla M. A.、Spears P. A、Pearson R E、およびWalker G T、Use of the Restriction Enzyme Ava1 and Exo-Bst Polymerase in Strand Displacement Amplification Biotechniques、24:392-396、1997)。
【0012】
現在のところ、すべての等温DNA増幅法は、増幅を開始する前に、変性させる最初の二本鎖鋳型DNA分子を必要とする。加えて、各プライミング事象から増幅は1回しか開始されない。
【0013】
イノシン、デオキシイノシン、8デオキシグアニン、ヒドロキシウラシル、5−メチル−dC、5−ヒドロキシウリジン、Cを伴う5−ブロモ−dUイノシン、リボヌクレオチド、およびウラシルなどの非正規DNA塩基は、等温増幅において有用であることが判明している(国際公開2006/125267号(Human Genetic Signatures株式会社))。
【0014】
ここで、本発明者らにより、好ましい先行技術の非正規塩基であるイノシンより、等温増幅において、10〜1000倍良好な成果をもたらす、新規の非正規塩基が見出された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明者らは、非正規塩基、酵素、およびプライマーを用いる改良された増幅法であって、温度サイクリングの反復を必要としない方法を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1の態様において、本発明は、等温DNA増幅のための方法であって、
増幅されるDNAに、
DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第1のプライマーと、
DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第2のプライマーと、
DNAポリメラーゼと、
鎖置換が可能な酵素と、
二本鎖DNA中のキサントシンを認識し、キサントシンの位置またはその近傍で一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取る酵素と
を含む増幅混合物を提供する工程;および
熱サイクリングを実質的に伴わずにDNAを増幅する工程
を含む方法を提供する。
【0017】
場合により、DNAは、増幅混合物を添加する前、添加する間、または添加した後に変性されることができる。
【0018】
好ましくは、第1のプライマーは、DNAの第1の鎖の領域に少なくとも部分的に相補的であり、第2のプライマーは、DNAの第2の鎖のDNAの領域に少なくとも部分的に相補的である。
【化1】

【0019】
第1および第2のプライマーは、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、またはキメラ性のオリゴヌクレオチド、例えば、PNA/オリゴヌクレオチドもしくはINA/オリゴヌクレオチドであってよい。好ましくは、前記プライマーはデオキシオリゴヌクレオチドである。
【0020】
好ましくは、オリゴヌクレオチド類似体は、挿入(intercalating)核酸(INA)、ペプチド核酸(PNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、MNA、アルトリトール核酸(ANA)、ロックト核酸(LNA)、シクロヘキサニル核酸(CAN)、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、核酸ベースのコンジュゲート、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リクソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA、α−L−RNA、β−D−RNA、これらの混合物およびこれらのハイブリッド、ならびにこれらのリン原子修飾型(例えば、限定的ではないが、ホスホロチオエート、メチルホスホレート、ホスホラミダイト、ホスホロジチエート、ホスホロセレノエート、ホスホトリエステルおよびホスホボラノエート)からなる群から選択される。さらに、ヌクレオチドを連結するために、非リン含有化合物(例えば、限定的ではないが、メチルイミノメチル、ホルムアセテート、チオホルムアセテートおよび連結基含有アミド)を、用い得る。特に、核酸および核酸類似体は、1または複数の挿入剤(intercalator)シュードヌクレオチドを含有し得る。
【0021】
INAとは、参照により本明細書に組み込まれる、国際公開03/051901号、国際公開03/052132号、国際公開03/052133号および国際公開03/052134号(Unest A/S、Human Genentic Signatures株式会社に譲渡)の教示による挿入核酸を意味する。INAは、1または複数の挿入剤シュードヌクレオチド(IPN)分子を含有するオリゴヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド類似体である。
【0022】
キサントシンを有するプライマーがDNAに結合すると、酵素によって認識される部位を形成する。
【0023】
プライマーは、1または複数のキサントシンを有してよい。ある状況では、2または複数のキサントシンが増幅プロセスを改善することができる。キサントシンは、近接して、または少なくとも数個の正規塩基により隔てられて、位置することができる。
【0024】
DNAポリメラーゼは、TaqポリメラーゼStoffel断片、Taqポリメラーゼ、Advantage DNAポリメラーゼ、AmpliTaq、Amplitaq Gold、Titanium Taqポリメラーゼ、KlenTaq DNAポリメラーゼ、Platinum Taqポリメラーゼ、Accuprime Taqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼターボ、Ventポリメラーゼ、Vent exo−ポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、9°N DNAポリメラーゼ、Therminator、Pfx DNAポリメラーゼ、Expand DNAポリメラーゼ、rTth DNAポリメラーゼ、DyNAzyme(商標)EXTポリメラーゼ(DyNAzymeII DNAポリメラーゼとプルーフリーディング酵素の最適化混合物。DyNAzymeII DNAポリメラーゼは、Thermus brockianus由来のクローンDyNAzyme DNAポリメラーゼ遺伝子を発現するE.coli株から単離精製される(New England Biolabs Inc, USA))、クレノウ断片、DNAポリメラーゼ1、DNAポリメラーゼ、T7ポリメラーゼ、Sequenase(商標)(ポリメラーゼ活性を保持し、3’−5’エクソヌクレアーゼ活性を事実上伴わない、T7DNAポリメラーゼの遺伝子操作型(Affymetrix Inc, USA))、Tfiポリメラーゼ、T4 DNAポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Bcaポリメラーゼ、phi−29DNAポリメラーゼおよびDNAポリメラーゼベータまたはこれらの改変バージョンなど、任意の適切なポリメラーゼであってよい。
【0025】
鎖置換酵素は、鎖置換可能なヘリカーゼ、APエンドヌクレアーゼ、ミスマッチ修復酵素、または鎖置換可能な遺伝子組み換えによる(もしくは他の様式での)修飾酵素など、任意の適切な酵素であってよい。
【0026】
好ましい形態において、DNAポリメラーゼは、鎖置換能も有する。DNAポリメラーゼは、鎖置換能を有する任意の適切なポリメラーゼであってよい。例には、限定的ではないが、クレノウ exo−(New England Biolabs (NEB)カタログ番号M0212S)、Bst DNAポリメラーゼ大型断片(NEBカタログ番号M0275S)、Vent exo−(NEBカタログ番号M0257S)、Deep Vent exo−(NEBカタログ番号M0259S)、M−MuLV逆転写酵素(NEBカタログ番号M0253S)、9Nm DNAポリメラーゼ(NEBカタログ番号M0260S)およびPhi29DNAポリメラーゼ(NEBカタログ番号M0269S)、ThermoPhi(商標)(Prokaria ehf)、Tfiポリメラーゼ(Invitrogen)およびBCaポリメラーゼ(Takara)が含まれる。好ましくは、DNAポリメラーゼは、クレノウ Eo−またはBstポリメラーゼのいずれかである。
【0027】
好ましくは、DNAポリメラーゼは、エクソヌクレアーゼ欠損である。
【0028】
酵素は、二本鎖DNA中のキサントシンを認識可能であり、キサントシンの位置またはその近傍で一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取ることができる、任意の適切な酵素であってよい。
【0029】
好ましくは、酵素は、エンドヌクレアーゼV、hOGG1またはFpgである。特に好ましい態様において、酵素はエンドヌクレアーゼVである。他の好ましい態様において、酵素はFpgである。
【0030】
本発明の方法において、二本鎖DNA中のキサントシンを認識し、ニックを入れるか、または塩基を切り取ることにより要求に応じて作用する、他の適切な酵素を、作成するか、または獲得することができることが、理解されるであろう。
【0031】
DNA増幅に必要とされる添加剤は、ヌクレオチド、バッファーまたは希釈剤、例えばマグネシウムイオンもしくはマンガンイオン、補因子等、技術分野で既知のものを包含する。
【0032】
増幅混合物は、ヌクレオチド、バッファーまたは希釈剤、例えばマグネシウムイオンもしくはマンガンイオン、補因子および適切な添加剤、例えば一本鎖結合タンパク質(例えば、T4gp32、RecA、またはSSB)も含むことができる。
【0033】
酵素が所望の活性を有する場合、増幅は、任意の適切な温度で実施することができる。典型的には、温度は、約20℃〜約75℃、約25℃〜60℃とすることができる。本研究で用いられる酵素の場合、とりわけ、中温性のクレノウ exo−酵素を用いる場合は約42℃、熱安定性Bstポリメラーゼを用いる場合は60℃が特に適切であることが分かっている。より高温または低温の他の温度もまた用いることができ、周囲温度または室温も含まれることが理解されるであろう。本発明は、核酸を増幅するのに熱サイクリングを必要としないことが重要である。
【0034】
好ましい実施形態では、増幅混合物が、増幅反応を改善する目的で、塩(NaCl)をさらに包含する。熱安定性Bstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼVによる酵素組合せの場合、約100mMまでのNaClが、増幅を改善することが判明した。約50mMのNaClが好ましいことが判明した。
【0035】
好ましい一形態では、一本鎖修飾DNAを形成する条件下で、シトシン塩基は修飾するが、5’−メチル−シトシン塩基は修飾しない修飾剤により、DNAを前処理する。重亜硫酸、酢酸、またはクエン酸から修飾剤を選択し、処理の結果として、DNAが実質的に断片化しないことが好ましい。修飾剤は、水の存在下で、シトシンをウラシルへと修飾する試薬である、重亜硫酸ナトリウムであることがより好ましい。
【0036】
重亜硫酸ナトリウム(NaHSO)は、シトシンの5,6位二重結合と容易に反応して、スルホン化シトシン反応の中間体を形成するが、この中間体は、脱アミノ化を受けやすく、水の存在下で亜硫酸ウラシルをもたらす。必要な場合は、穏やかなアルカリ性条件下で亜硫酸基を除去し、その結果として、ウラシルを形成させることができる。したがって、潜在的にすべてのシトシンは、ウラシルへと変換される。しかし、メチル化したシトシンは、メチル化による保護のため、修飾剤により変換させることができない。
【0037】
核酸を重亜硫酸処理するのに好ましい方法は、参照により本明細書に組み込まれる、Human Genetic Signatures株式会社(オーストラリア)の国際公開2004/096825号において見出すことができる。
【0038】
処理されたDNAの両方の鎖を同じ増幅反応において増幅する必要がある場合は、4つのプライマー(すなわち、修飾されたDNA鎖の各々につき、2つずつのプライマー)を用いることができる。
【0039】
第2の態様では、本発明は、少なくとも1つの内部キサントシンを含有し、DNAの領域に結合すると、キサントシンの位置またはその近傍で、一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取ることが可能な酵素により認識される部位を形成する、等温DNA増幅のためのプライマーを提供する。
【0040】
第3の態様では、本発明は、熱サイクリングを実質的に伴わないDNA増幅のための、本発明の第2の態様によるプライマーの使用を提供する。
【0041】
本発明の増幅法は、PCRまたは他の既知のDNA増幅工程に対する代替法として用いることができる。使用には、疾患の検出、DNAまたはRNAの所望の遺伝子または断片の増幅、SNPの検出、リアルタイムにおける増幅手順、重亜硫酸処理したDNAの増幅、全ゲノム増幅法、クローニング法の補助手順(adjunct);切片または塗抹標本中の微生物の検出、食物汚染における微生物の検出など、細胞学的標本におけるin situのDNA増幅;各種の癌におけるBCR−ABL転座など、染色体中の切断点の増幅;HPV断片の挿入など、発癌性の可能性があり、疾患の進行を予測しうる、染色体内に挿入された配列の増幅;癌性細胞に対する正常細胞における、また、胚盤胞発生の正常性についてのIVF検査におけるメチル化の変化についてのin situ検査における、非メチル化配列に対するメチル化配列の検出;ならびに感染作用物質の増幅および検出が含まれるがこれらに限定されない。
【0042】
本発明の顕著な利点は、二本鎖DNAにおいて直接実施することができるということである。本発明はまた、等温増幅の前に、RNAの逆転写を実施することにより、RNAにも用いることができる。さらに、本発明は、増幅のための加熱または冷却を必要としない。本発明による方法は、実験室設備の装備を必要とすることなく、「現場で」、すなわち、室温または周囲温度で実施することができる。
【0043】
本明細書の全体において、文脈により別段に必要とされない限り、「含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」または「含む(comprising)」などの変化形は、言及された要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の包含を含意するが、他の任意の要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群の除外は含意しないことが理解される。
【0044】
本明細書に包含されている文書、行為、材料、装置、製品などについての任意の議論は、本発明に対する関連を示すことだけを目的とする。この議論は、これらの内容のうちのいずれかまたはすべてが、本発明の開発より前に存在した、先行技術基準の一部をなすか、または、本発明に関連する分野における一般的な共通知識であったことの自認として理解されるべきではない。
【0045】
本発明がより明確に理解されうるように、以下の図面および実施例を参照して、好ましい実施形態を記述する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明による核酸増幅法の概略を示す図である。
【図2】イノシン含有プライマーに最適化された条件を用いる、イノシン含有オリゴヌクレオチドと、キサントシン含有オリゴヌクレオチドとの直接的な比較を示す図である。A.イノシン含有オリゴヌクレオチドに最適化された条件を用いる標的鋳型の増幅を示す。B.キサントシンに、より高度に最適化された条件を用いる標的鋳型の増幅を示す。
【図3】Bstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼ系を用いる等温増幅の結果を示す図である。
【図4】NaClを添加した、Bstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼ系を用いる等温増幅の結果を示す図である。A.イノシン含有オリゴヌクレオチド対照。B.キサントシン含有オリゴヌクレオチド+50mM NaCl。C.キサントシン含有オリゴヌクレオチド+100mM NaCl。
【図5】キサントシン含有増幅プライマーおよびイノシン含有増幅プライマーのリアルタイム比較の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
材料および方法
プライマー
任意の市販のDNA合成サービスまたは自家用DNA合成機を用いて、プライマーを合成することができる。標準的なホスホルアミダイト合成法を用いて、プライマーの任意の位置にキサントシンを組み込むことができる。
【0048】
酵素
二本鎖DNA内のキサントシンを認識し、キサントシンの位置またはその近傍で一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取る酵素は、エンドヌクレアーゼV(デオキシイノシン3’エンドヌクレアーゼ)(NEB社カタログ番号M0305S)またはT.maritimaに由来するエンドヌクレアーゼVの熱安定形(TMAエンドヌクレアーゼV)(Fermentas社カタログ番号EN0141)であることが好ましい。しかし、エンドヌクレアーゼVの修飾形もしくは変化形、またはエンドヌクレアーゼVの機能的特徴を有する酵素もまた適することが理解される。
【0049】
鎖置換が可能な酵素には、クレノウexo−、Bst DNAポリメラーゼ大型断片、Bcaポリメラーゼ、Vent exo−、Deep Vent exo−、M−MuLV逆転写酵素、9Nm DNAポリメラーゼ、およびPhi29 DNAポリメラーゼが含まれる。
【0050】
DNAポリメラーゼは、鎖置換能を有する任意の適切なポリメラーゼであってよい。例には、クレノウ(exo-)(New England Biolabs(NEB)社カタログ番号M0212S)、Bst DNAポリメラーゼ大型断片(NEB社カタログ番号M0275S)、Vent(exo-)(NEB社カタログ番号M0257S)、Deep Vent(exo-)(NEB社カタログ番号M0259S)、M−MuLV逆転写酵素(NEB社カタログ番号M0253S)、9Nm DNAポリメラーゼ(NEB社カタログ番号M0260S)、およびPhi29 DNAポリメラーゼ(NEB社カタログ番号M0269S)、ならびにThermoPhi(商標)(Prokaria ehf社製)、Tfiポリメラーゼ(Invitrogen社製)、およびBcaポリメラーゼ(Takara社製)が含まれるがこれらに限定されない。DNAポリメラーゼは、クレノウ(exo-)またはBstポリメラーゼであることが好ましい。
【0051】
増幅
本発明による増幅は、以下の方法:
第1のプライマーを、DNAの1つの鎖に結合させ(A)、
DNAポリメラーゼが、第1のプライマーを伸長させて、X個のキサントシンを含有する、第1の新規合成鎖を有する二本鎖分子を形成し(B)、
ニッキング酵素により、伸長したDNAのキサントシンの位置またはその近傍で、ニックを入れるか、または塩基を切り取り(C)、
鎖置換酵素、または鎖置換可能なDNAポリメラーゼにより、第1の新規合成鎖を置換し(D)、
第2のプライマーを、置換した第1の新規合成鎖に結合させ(E)、
DNAポリメラーゼが、第2のプライマーを伸長させて、キサントシンを含有する、第2の新規合成鎖を有する二本鎖分子を形成し(F)、
ニッキング酵素により、伸長したDNAのキサントシンの位置またはその近傍に、ニックを入れるか、または塩基を切り取り(G)、
鎖置換酵素、または鎖置換可能なDNAポリメラーゼにより、第2の新規合成鎖を置換し(H)、
第1のプライマーを、置換した第2の新規合成鎖に結合させ(I)、
工程を継続して、DNAの新規合成鎖を繰り返し形成する(J)
で行われる(図1を参照されたい)。
【0052】
ポリメラーゼが5’−3’方向で第1のプライマーをコピーしなければ、ニック部位が失われてさらなる増幅が阻止されることにより、第3の増幅サイクルの後に反応が停止してしまうため、このコピーは必須である。次いで、上記の反応は、ニッキング、伸長、および置換のラウンドを繰り返しながら、サイクリングを継続する。プライマーは通常、ポリメラーゼにより再生されて、連続的な増幅ラウンドを可能とする。
【0053】
結果
イノシン含有プライマーに最適化された条件を用いる、イノシン含有オリゴヌクレオチドと、キサントシン含有オリゴヌクレオチドとの直接的な比較
【化2】

【化3】

【化4】

【0054】
A クレノウ/エンドヌクレアーゼV反応条件
イノシン含有オリゴヌクレオチドのための最適化条件
【0055】
X10 Stoffelバッファー 1μl
10mM dNTP 0.5μl
100ng/μl プライマー1 0.5μl
100ng/μl プライマー2 0.5μl
エンドヌクレアーゼV 0.05μl
クレノウ exo− 0.4μl
25mM MgSO 0.4μl
水 5.55 μl
【0056】
各反応に、1μlの段階希釈した標的DNAを添加し、42℃で4時間にわたり試料をインキュベートした。
【0057】
B イノシン含有オリゴヌクレオチドでのキサントシン条件についての条件最適化
【0058】
混合物A
X10 Stoffelバッファー 0.5μl
10mM dNTP 0.5μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
25mM MgCl 0.5μl
水 3.4μl
【0059】
混合物B
X10 Stoffelバッファー 0.5μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
エンドヌクレアーゼV 0.05μl
クレノウ exo− 0.4μl
T4gp32 0.5μl
水 3.42 μl
【0060】
混合物Aに、1μlの段階希釈した標的DNAを添加し、2分間94℃試料を加熱し、次いで、42℃へと冷却し、混合物Bを添加し、次いで、42℃で4時間試料をインキュベートした。
【0061】
図2Aは、イノシン含有オリゴヌクレオチドに最適化された条件を用いる、標的鋳型の等温増幅を示す。結果から見ることができる通り、キサントシン含有オリゴヌクレオチドを用いると、1ngの標的鋳型を検出することができるが、イノシンオリゴヌクレオチドではこれを検出することができず、これにより、キサントシン修飾は、等温増幅反応において、イノシン修飾と比較して、より有効に作用することが裏付けられる。
【0062】
図2Bは、キサントシン含有オリゴヌクレオチドに、より高度に最適化された条件を示し、この条件では、イノシンプライマーによる1ngと比較して、10pgという微量の出発鋳型でもシグナルを検出することができる。これは、キサントシン修飾プライマーを用いる場合、増幅が100倍に増大することを表わす。おそらくは、キサントシンオリゴヌクレオチドは、イノシン修飾と比較して、ニッキングに対する耐性が大きいために、プライマー濃度を低下させなければならなかった。
【0063】
Bstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼ系を用いる等温増幅
【0064】
混合物A
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
10mM dNTP 0.25μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
T4gp32 0.5μl
100mM DTT 0.5μl
水 3.12μl
【0065】
混合物B
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
TMAエンドヌクレアーゼV 0.1μl
Bstポリメラーゼ 0.5μl
水 3.8μl
【0066】
混合物Aに、1μlの段階希釈した標的DNAを添加し、2分間94℃で試料を加熱し、次いで、2分間45℃で冷却し、次いで、2分間60℃で加熱し、混合物Bを添加し、次いで、60℃で45分間試料をインキュベートした。
【0067】
図3は、キサントシン含有オリゴヌクレオチドに最適化された条件を用い、熱安定性Bstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼV増幅コンビネーションを用いる、標的鋳型の等温増幅を示す。結果から見ることができる通り、キサントシン含有オリゴヌクレオチドを用いると、10pgの標的鋳型を容易に検出することができるが、イノシンオリゴヌクレオチドではこれを検出することができない。さらに、この反応は、クレノウ exo−/エンドヌクレアーゼV系を用いると4時間のインキュベーション時間が必要であるのと比べ、45分間という短い時間で実施することができる。
【0068】
NaCl添加を伴うBstポリメラーゼ/TMAエンドヌクレアーゼ系を用いる等温増幅
【0069】
混合物A
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
10mM dNTP 0.25μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
1M NaCl 0.5/1μl
100mM DTT 0.5μl
水 3.12/2.63μl
【0070】
混合物B
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
100ng/μl プライマー2 0.125μl
TMAエンドヌクレアーゼV 0.1μl
Bstポリメラーゼ 0.5μl
水 3.8μl
【0071】
混合物Aに、1μlの段階希釈した標的DNAを添加し、2分間94℃で試料を加熱し、次いで、2分間45℃で冷却し、次いで、2分間60℃で加熱し、混合物Bを添加し、次いで、60℃で45分間試料をインキュベートした。
【0072】
図4は、塩の添加が、キサントシン含有オリゴヌクレオチドを用いた増幅効率を改善することができることを示す。しかし、結果から、最終反応における塩濃度を50mM超に増加すると、シグナルの消失につながり得るようである。この系を用いると、イノシンで修飾したプライマーと比較して、キサントシン含有オリゴヌクレオチドを用いて1000倍の感度増加が示された。
【0073】
キサントシン含有増幅プライマーとイノシン含有増幅プライマーのリアルタイム比較
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【0074】
反応混合物
混合物A
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
10mM dNTP 0.25μl
100ng/μl プライマーR 0.25μl
5M ベタイン 1.0μl
水 2.75μl
【0075】
混合物B
X10 Thermopolバッファー 0.5μl
100ng/μl プライマーF 0.25μl
TMAエンドヌクレアーゼV 0.1μl
Bstポリメラーゼ 1.0μl
水 2.65μl
20μM プローブ 0.5μl
【0076】
メチル化標的オリゴを1/1000〜1/10,000,000に段階希釈し、試験する各試料について、混合物Aに、1μlの材料を添加した。チューブを1分間95℃で加熱し、1分間45℃で冷却し、次いで、5分間60℃で加熱し、次いで、混合物Bを各試料に添加した。
【0077】
次いで、試料を、60℃で5分間、45℃で10秒間サイクルした(Famチャンネルでプレートを読んだ)。20サイクル実施した。
【0078】
【表1】

【0079】
図5は、イノシン含有オリゴヌクレオチドおよびキサントシン含有オリゴヌクレオチドの両方を用いる、リアルタイムの等温増幅プロットを示す。イノシンと比較した場合、キサントシンが、エンドヌクレアーゼV反応にとってはるかに改良された基質であることを、データは明確に示す。キサントシンの増幅シグナルが、被験最低レベル(100fg)で見られるのに対し、イノシンシグナルを用いると、10pgのレベルで検出されるに過ぎない。加えて、キサントシンを用いて生成される蛍光シグナルは、イノシンによる場合より3倍超強い。
【0080】
広く記述された本発明の精神または範囲から逸脱することなく、特定の実施形態において示された本発明に対して、多くの変更および/または改変を行いうることを、当業者は理解するであろう。したがって、本明細書における実施形態は、すべての点において、例示的なものとして考えるべきであり、限定的なものとして考えるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
等温DNA増幅のための方法であって、
増幅されるDNAに、
DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第1のプライマーと、
DNAの領域に少なくとも部分的に相補的であり、キサントシンを含有する第2のプライマーと、
DNAポリメラーゼと、
鎖置換が可能な酵素と、
二本鎖DNA中のキサントシンを認識し、キサントシンの位置またはその近傍で一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取る酵素と
を含む増幅混合物を提供する工程;および
熱サイクリングを実質的に伴わずにDNAを増幅する工程
を含む方法。
【請求項2】
DNAが、増幅混合物を添加する前、添加する間、または添加した後に変性される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1のプライマーが、DNAの第1の鎖の領域に少なくとも部分的に相補的であり、第2のプライマーが、DNAの第2の鎖のDNAの領域に少なくとも部分的に相補的である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
第1および第2のプライマーが、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体、またはキメラ性のオリゴヌクレオチドである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
プライマーが、デオキシオリゴヌクレオチドである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
プライマーが、挿入核酸(INA)、ペプチド核酸(PNA)、ヘキシトール核酸(HNA)、MNA、アルトリトール核酸(ANA)、ロックト核酸(LNA)、シクロヘキサニル核酸(CAN)、CeNA、TNA、(2’−NH)−TNA、核酸ベースのコンジュゲート、(3’−NH)−TNA、α−L−リボ−LNA、α−L−キシロ−LNA、β−D−キシロ−LNA、α−D−リボ−LNA、[3.2.1]−LNA、ビシクロ−DNA、6−アミノ−ビシクロ−DNA、5−エピ−ビシクロ−DNA、α−ビシクロ−DNA、トリシクロ−DNA、ビシクロ[4.3.0]−DNA、ビシクロ[3.2.1]−DNA、ビシクロ[4.3.0]アミド−DNA、β−D−リボピラノシル−NA、α−L−リクソピラノシル−NA、2’−R−RNA、2’−OR−RNA、α−L−RNA、β−D−RNA、これらの混合物およびこれらのハイブリッド、ならびにこれらのリン原子修飾型からなる群から選択されるオリゴヌクレオチド類似体である、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
プライマーが、1または複数の挿入剤シュードヌクレオチドを含有する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
プライマーが、近接して位置した、または少なくとも数個の正規塩基により隔てられた、2または複数のキサントシンを有することができる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
DNAポリメラーゼが、TaqポリメラーゼStoffel断片、Taqポリメラーゼ、Advantage DNAポリメラーゼ、AmpliTaq、Amplitaq Gold、Titanium Taqポリメラーゼ、KlenTaq DNAポリメラーゼ、Platinum Taqポリメラーゼ、Accuprime Taqポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼ、Pfuポリメラーゼターボ、Ventポリメラーゼ、Vent exo−ポリメラーゼ、Pwoポリメラーゼ、9°N DNAポリメラーゼ、Therminator、Pfx DNAポリメラーゼ、Expand DNAポリメラーゼ、rTth DNAポリメラーゼ、DyNAzyme(商標)EXTポリメラーゼ、クレノウ断片、DNAポリメラーゼ1、DNAポリメラーゼ、T7ポリメラーゼ、Sequenase(商標)、T4 DNAポリメラーゼ、Bstポリメラーゼ、Bcaポリメラーゼ、Tfiポリメラーゼ、phi−29DNAポリメラーゼ、DNAポリメラーゼベータ、およびこれらの改変バージョンからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
鎖置換酵素が、鎖置換可能なヘリカーゼ、APエンドヌクレアーゼ、およびミスマッチ修復酵素、または鎖置換可能な修飾酵素からなる群から選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
DNAポリメラーゼが、鎖置換能も有し、クレノウ exo−、Bst DNAポリメラーゼ大型断片、Bcaポリメラーゼ、Vent exo−、Deep Vent exo−、M−MuLV逆転写酵素、9Nm DNAポリメラーゼ、およびPhi29DNAポリメラーゼからなる群から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
DNAポリメラーゼが、クレノウ Exo−またはBstポリメラーゼである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
DNAポリメラーゼが、エクソヌクレアーゼ欠損である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
二本鎖DNA中のキサントシンを認識することが可能な酵素が、エンドヌクレアーゼV、hOGG1、またはFpgである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
増幅混合物が、ヌクレオチド、バッファー、希釈剤、マグネシウムイオンまたはマンガンイオン、一本鎖結合タンパク質、および補因子を包含する、DNA増幅に必要とされる添加剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
一本鎖結合タンパク質が、T4gp32、RecA、またはSSBである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
増幅が、20℃〜約75℃の温度で実施される、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
温度が、約42℃または60℃である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
増幅が、NaClの存在下で実施される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
NaCl濃度が、約100mMまでである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つの内部キサントシンを含有し、DNAの領域に結合すると、キサントシンの位置またはその近傍で、一方のDNA鎖においてニックを入れるか、または1塩基を切り取ることが可能な酵素により認識される部位を形成する、等温DNA増幅のためのプライマー。
【請求項22】
熱サイクリングを実質的に伴わないDNA増幅のための、請求項21に記載のプライマーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−515528(P2012−515528A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545597(P2011−545597)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/AU2010/000055
【国際公開番号】WO2010/083561
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(505188906)ヒューマン ジェネティック シグネチャーズ ピーティーワイ リミテッド (15)
【Fターム(参考)】