説明

放射性核種の除染のための複合動電気除染装置

【課題】洗浄除染方式と動電気除染方式とを複合させて放射性核種に汚染された土壌の除染効率を向上させることのできる複合動電気除染装置を提供する。
【解決手段】複合動電気除染装置は、電解液を供給する電解液供給ユニットと、前記電解液供給ユニットから前記電解液が供給されるように前記電解液供給ユニットに連結された入口部が一側に形成され、前記汚染土壌が収容される収容部が内部に形成され、前記汚染土壌を通過した廃電解液が外部に排出されるように出口部を他側に形成する動電気ユニットと、前記収容部に収容された前記汚染土壌の互いに異なる部位に陽極電源と陰極電源を提供するように前記動電気ユニットに備えられる電極ユニットと、前記動電気ユニットに備えられ、前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位のpHを調整するために前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位にpH調整溶液を供給するpH調整ユニットとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合動電気除染装置に関し、より詳しくは、放射性核種(radionuclide)に汚染された土壌(soil)を高い除染(decontamination)効率で処理することができ、除染処理の過程において廃液の発生量を著しく減少させることのできる複合動電気除染装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、原子力施設の稼動および解体の際には多量の放射性土壌が発生する。特に、管理怠慢および自然災害のような多様な理由によって原子力施設には予想のできない事故が発生した場合、原子力施設から放出される放射性核種によって周辺の土壌が汚染してしまう恐れがある。
【0003】
したがって、最近では放射性廃棄物の発生量を減少させたり、放射性核種に汚染された土壌を短期間に復旧させるため、自主的に放射性土壌を処分する土壌除染技術が開発されている。
【0004】
土壌除染技術は土壌の放射性濃度を低くするための技術として、従来には土壌洗浄方式の除染技術を用いた。このような従来における除染技術は除染効率が低いだけではなく、廃液発生量が多いという問題があった。
【0005】
したがって、放射性核種に汚染された土壌に対する除染効率の向上のみならず、除染時に発生する廃液の発生量を著しく減らすことのできる除染技術が切実に要求されている実状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施形態における目的は、洗浄除染方式と動電気除染方式とを複合させて放射性核種に汚染された土壌の除染効率を向上させることのできる複合動電気除染装置を提供することにある。
【0007】
また、本発明の実施形態における目的は、汚染土壌の除染時に発生する廃液をリサイクルして廃液の排出量を著しく減少させることのできる複合動電気除染装置を提供することにある。
【0008】
また、本発明の実施形態における目的は、汚染土壌を除染する条件を最適の状態に自動調整して作動安定性および性能の信頼性を確保することのできる複合動電気除染装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は汚染土壌から放射性核種を除去する複合動電気除染装置に関する。
【0010】
本発明の一実施形態によると、電解液を供給する電解液供給ユニット、前記電解液供給ユニットから前記電解液が供給されるように前記電解液供給ユニットに連結された入口部が一側に形成され、前記汚染土壌が収容される収容部が内部に形成され、前記汚染土壌を通過した廃電解液が外部に排出されるように出口部が他側に形成される動電気ユニットと、前記収容部に収容された前記汚染土壌の互いに異なる部位に陽極電源と陰極電源を提供するよう前記動電気ユニットに備えられた電極ユニットと、前記動電気ユニットに備えられて前記陽極電源および前記陰極電源が提供される部位のpHを調整するために前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位にpH調整溶液を供給するpH調整ユニットとを備える複合動電気除染装置を提供する。
【0011】
前記複合動電気除染装置は、前記電解液供給ユニットが供給する電解液によって前記汚染土壌の放射性核種が洗浄除染方式に基づいて除去されてもよく、それと同時に前記電極ユニットが提供する陽極電源と陰極電源によって前記汚染土壌の放射性核種が動電気除染方式に基づいて除去されてもよい。したがって、前記汚染土壌の除染効率が向上され、前記汚染土壌の除染時間も短縮される。
【0012】
このような複合動電気除染装置は、前記汚染土壌からセシウム、ウラニウム、コバルトを除去してもよい。
【0013】
それだけではなく、前記複合動電気除染装置は、前記pH調整ユニットが供給するpH調整溶液によって前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位のpHが最適のpHに調整および維持されることができる。上記のように陽極電源と陰極電源の部位が最適のpHに調整および維持されると、動電気除染の過程時に発生される金属酸化物の量を減少させることができ、廃液の発生量も減少される。
【0014】
前記pH調整ユニットは、前記陽極電源が提供される部位に前記pH調整溶液を供給して前記陽極電源が提供される部位のpHを第1設定値に調整する陽極pH調整部と、前記陰極電源が提供される部位に前記pH調整溶液を供給して前記陰極電源が提供される部位のpHを第2設定値に調整する陰極pH調整部とを備えてもよい。すなわち、前記陽極pH調整部と前記陰極pH調整部が前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位のpHを独立的に調整することができる。
【0015】
ここで、前記第1設定値は、汚染土壌の特性に応じて0.5〜1.5pHであってもよく、前記第2設定値も0.5〜1.5pHであってもよい。そして、前記pH調整溶液は硝酸溶液であってもよい。
【0016】
前記動電気ユニットの収容部は、前記汚染土壌が収容される収容室、前記収容室と前記入口部との間に形成される陽極室と、前記収容室と前記出口部との間に形成される陰極室とを備えてもよい。
【0017】
前記電極ユニットは、前記陽極室に備えられた陽電極部と、前記陰極室に備えられた陰電極部と、前記陽電極部と前記陰電極部に陽極電源と陰極電源を供給する電源供給部とを備えてもよい。
【0018】
前記pH調整ユニットは、前記陽極室に前記pH調整溶液を供給して前記陽極室のpHを第1設定値に調整する陽極pH調整部と、前記陰極室に前記pH調整溶液を供給して前記陰極室のpHを第2設定値に調整する陰極pH調整部とを備えてもよい。
【0019】
ここで、前記陽極pH調整部は、前記陽極室の内部に備えられた陽極室pHセンサ、および前記陽極室pHセンサの検出値に応じて前記陽極室の内部に前記pH調整溶液を供給する陽極室溶液供給器を備えてもよい。
【0020】
そして、前記陰極pH調整部は、前記陰極室の内部に備えられた陰極室pHセンサ、および前記陰極室pHセンサの検出値に応じて前記陰極室の内部に前記pH調整溶液を供給する陰極室溶液供給器を備えてもよい。
【0021】
または、前記と異なって、前記pH調整ユニットは、前記陽極室の内部に備えられた陽極室pHセンサと、前記陰極室の内部に備えられた陰極室pHセンサと、前記陽極室pHセンサと前記陰極室pHセンサの検出値に応じて前記陽極室または前記陰極室の少なくともいずれか1つに前記pH調整溶液を供給する溶液供給器とを備えてもよい。すなわち、前記溶液供給器を単数個だけ用いて前記陽極室と前記陰極室のpHを選択的に調整してもよい。
【0022】
一方、本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置は、前記動電気ユニットの出口部に連結され、前記出口部から排出される廃電解液を処理して前記動電気ユニット内の前記陰極電源部位で発生される金属酸化物粒子を除去する廃液処理ユニットをさらに備えてもよい。すなわち、前記廃液処理ユニットが前記動電気ユニットから排出される廃電解液を処理するため、複合動電気除染装置の外部に排出される廃液の排出量を減らすことができる。
【0023】
前記廃液処理ユニットは、前記動電気ユニットの前記出口部と前記電解液供給ユニットとの間に形成され、前記出口部から排出される前記廃電解液を前記電解液供給ユニットに循環させる廃液循環器と、前記廃液循環器によって循環される前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を除去するよう前記廃液循環器上に連通するように連絡された金属酸化物分離器を備えてもよい。すなわち、前記金属酸化物分離器が前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を除去して前記廃電解液を前記電解液に再生することができ、前記廃液循環器が前記金属酸化物分離器によって再生した前記電解液を前記電解液供給ユニットに回収してもよい。したがって、前記複合動電気除染装置で発生する廃液が全て再生される構造であるため、廃液の発生による問題を解消できる。
【0024】
ここで、前記廃液循環器は、前記陰極室と前記電解液供給ユニットに連通するように連結された廃液循環流路、および前記廃液循環流路上に備えられた廃液循環ポンプを備えてもよい。
【0025】
そして、前記金属酸化物分離器には前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を濾過させるフィルタ部材が分離自在に備えられてもよい。
【0026】
一方、本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置は、前記出口部から排出される前記廃電解液を格納するように前記動電気ユニットの出口部に連結された廃液格納ユニットと、前記廃液格納ユニットに連結されて前記廃液格納ユニットから供給される前記廃電解液によって前記動電気ユニットに供給される汚染土壌内の放射性核種の含有量を減少させる土壌洗浄ユニットと、前記土壌洗浄ユニットに連結されて前記土壌洗浄ユニットで排出される廃洗浄液を沈殿物と上層液に沈殿分離する沈殿分離ユニットと、前記沈殿分離ユニットに連結されて前記沈殿分離ユニットに分離された沈殿物を処理する廃液処理ユニットとをさらに備えてよい。
【0027】
すなわち、前記土壌洗浄ユニットを用いて前記汚染土壌を洗浄除染方式に基づいて前処理するため、前記動電気ユニットにおける除染負荷量を著しく減少させることができ、前記汚染土壌の除染効率も向上させることができる。実際に、前記土壌洗浄ユニットの前処理工程によって前記汚染土壌に含まれた放射性核種の70%〜80%が除去され、前記動電気ユニットと前記電極ユニットの動電気除染処理によって前記土壌洗浄ユニットによって前処理された汚染土壌の放射性核種の95%以上が除去される。
【0028】
また、前記沈殿分離ユニットおよび前記廃液処理ユニットを用いて前記廃洗浄液から前記金属酸化物粒子を効果的に除去するため、前記廃洗浄液を前記電解液に円滑に再生することができ、前記電解液をリサイクルして廃液の発生による問題を解消することができる。
【0029】
前記廃電解液および前記廃洗浄液は前記動電気ユニット内の前記陰極電源部位で発生する金属酸化物粒子を含有してもよい。前記沈殿物は、前記沈殿分離ユニットの下部に沈殿される前記金属酸化物粒子であってもよい。前記上層液は、前記沈殿分離ユニットの上部で前記金属酸化物粒子と分離された電解液であってもよい。
【0030】
前記沈殿分離ユニットは、前記上層液を前記電解液供給ユニットに循環させてもよく、前記沈殿物を含有した廃洗浄液を前記廃液処理ユニットに排出してもよい。
【0031】
前記沈殿分離ユニットと前記廃液処理ユニットとの間には前記沈殿分離ユニットから排出される前記廃電解液を濃縮させる濃縮ユニットを備えてもよい。
【0032】
前記廃液処理ユニットには前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を濾過させるフィルタ部材が分離自在に備えられてもよい。そして、前記廃液処理ユニットは前記フィルタ部材によって前記金属酸化物粒子が除去された電解液を前記電解液供給ユニットに循環させてもよい。
【0033】
一方、前記電解液供給ユニットは、前記電解液の水頭差によって前記電解液が前記収容部に自動に供給されるよう前記動電気ユニットの入口部よりも上段に配置されてもよい。前記動電気ユニットには前記収容部内の前記電解液の水位を自動的に一定に維持するため、前記電解液の供給量を調整する電解液供給量調整部を備えてもよい。
【0034】
前記電解液供給量調整部は、前記収容部内の前記電解液の水位を検出するように前記動電気ユニットの内部に備えられた程度検出センサと、前記程度検出センサの検出値に応じて前記入口部を選択的に開閉させるよう、前記入口部に開閉自在に備えられた開閉バルブを備えてもよい。
【0035】
また、前記動電気ユニットと前記電極ユニットは複数備えられてもよい。前記電解液供給ユニットまたは前記pH調整ユニットの少なくとも1つは、前記動電気ユニットに並列に連結されてもよい。したがって、前記動電気ユニットと前記電極ユニットの数を増加させることによって、前記複合動電気除染装置の処理容量を簡単に増加させることができる。
【0036】
また、前記動電気ユニットと前記電極ユニットは複数備えられてもよい。前記電解液供給ユニットまたは前記pH調整ユニットの少なくとも1つは前記動電気ユニットに並列に連結されてもよい。したがって、前記動電気ユニットと前記電極ユニットの数を増加させることによって、前記複合動電気除染装置の処理容量を簡単に増加させることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明の複合動電気除染装置によると、電解液を用いた洗浄除染方式および電極ユニットを用いた動電気除染方式が複合した構造であるため、汚染土壌から放射性核種を効果的に除染することができる。したがって、複合動電気除染装置の除染効率を極大化させることができる。
【0038】
また、本発明の複合動電気除染装置によると、沈殿分離ユニットと廃液処理ユニットのうち少なくとも1つを用いて廃電解液から金属酸化物粒子を除去するため、汚染土壌の除染時に発生する廃液を電解液に再生させて除染過程にリサイクルすることができる。したがって、複合動電気除染装置の除染時に外部へ排出される廃液の発生量を著しく減少させることができる。
【0039】
また、本発明の複合動電気除染装置によると、pH調整ユニットを用いて電極ユニットによって提供される陰極電源部位および陽極電源部位のpHを設定値に一定に調整するため、汚染土壌の除染時に金属酸化物粒子の発生量を減少させることができ、金属酸化物粒子の増加による発熱現象および詰まることを未然に防止することができる。
【0040】
また、本発明の複合動電気除染装置によると、電解液供給量調整部を用いて動電気ユニット内の電解液を水位に応じて電解液の供給量を自動的に調整するため、動電気ユニット内の電解液の水位を一定に維持することができ、動電気ユニット内における電解液の不足現象も防止することができる。
【0041】
また、本発明の複合動電気除染装置によると、土壌洗浄ユニットを3、000L規模の大容量に製造することができ、動電気ユニットと電極ユニットおよびpH調整ユニットを520L規模の大容量に製造することができる。すなわち、複合動電気除染装置の大型化および大容量化の実現が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置を概略的に示す構成図である。
【図2】図1に示す複合動電気除染装置の主要部を示す斜視図である。
【図3】図2に示された動電気ユニットの内部を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置の制御構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置を概略的に示す構成図である。
【図6】図5に示された複合動電気除染装置を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本発明に係る実施形態を添付する図面を参照しながら詳説する。しかし、本発明が実施形態によって制限されたり限定されることはない。各図面に提示する同一の参照符号は同一の部材を示す。
【0044】
図1は本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置100を概略的に示す構成図であり、図2は図1に示された複合動電気除染装置100の主要部を示す斜視図であり、図3は図2に示された動電気ユニット120の内部を示す断面図である。そして、図4は、本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置100の制御構成を示すブロック図である。
【0045】
図1〜図4を参照すると、本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置100は、電解液供給ユニット110、動電気ユニット120、電極ユニット130、pH調整ユニット140、および制御部150を備える。
【0046】
電解液供給ユニット110は、動電気ユニット120に電解液(E)を供給する装置である。電解液(E)は電流の流れを媒介する物質であるが、放射性核種に汚染された土壌(S)を洗浄する役割も行なう。以下、本実施形態では電解液(E)が0.6〜1.0モール(mole)の濃度を有する硝酸であると説明するが、これに限定されることなく、複合動電気除染装置100の設計条件および状況に応じて多様な種類の電解液(E)を用いてもよい。
【0047】
図1〜図4を参照すると、動電気ユニット120は、電解液(E)による汚染土壌(S)の洗浄除染および電極ユニット130による汚染土壌(S)の動電気除染を同時に行う装置である。
【0048】
動電気ユニット120の一側には電解液(E)が流入される入口部121を形成してもよく、動電気ユニット120の他側には動電気ユニット120の内部で除染に用いられた廃電解液(WE)が排出される出口部122を形成してもよい。このような入口部121は、電解液供給ユニット110と連通可能に連結されてもよい。したがって、電解液供給ユニット110内の電解液(E)は入口部121を介して動電気ユニット120の内部に流入され、動電気ユニット120内の廃電解液(WE)は出口部122を介して外部に排出される。
【0049】
動電気ユニット120の内部には汚染土壌(S)が収容される収容部123を形成する。汚染土壌(S)は、メッシュタイプの包装部材128に包装された状態で収容部123の内部に収容されてもよい。包装部材128は、土壌の透過は不可能であり、電解液の透過は可能なメッシュ形状に形成されてもよい。例えば、包装部材128は不織布素材のようなものに形成される。
【0050】
上記のような収容部123は、汚染土壌(S)が収容される収容室124、収容室124と入口部121との間に形成される陽極室125、および収容室124と出口部122との間に形成される陰極室126に区切られる。収容部123の内部には動電気ユニット120の内部空間を収容室124、陽極室125、および陰極室126に区画する隔壁127を備えてもよい。隔壁127は電解液(E)が通過する構造になり得る。
【0051】
一方、電解液供給ユニット110は、動電気ユニット120の入口部よりも上段に配置してもよい。したがって、電解液供給ユニット110内の電解液(E)は、電解液(E)の水頭差によって動電気ユニット120の収容部123に自動的に供給され、電解液供給ユニット110から動電気ユニット120に電解液(E)を強制的に供給するポンプのような構成を省略することができる。
【0052】
動電気ユニット120の内部には電解液供給ユニット110から流入される電解液(E)の供給量を調整する電解液供給量調整部129を備えてもよい。すなわち、電解液供給量調整部129は、収容部123内の電解液(E)の水位に応じて電解液(E)の供給量を自動的に調整して電解液(E)の水位を一定に維持することができる。
【0053】
上記のような電解液供給量調整部129は、水位検出センサ129aおよび開閉バルブ129bを備えてもよい。水位検出センサ129aは、収容部123内の電解液(E)の水位を検出するように動電気ユニット120の内部に備えられてもよい。開閉バルブ129bは、水位検出センサ129aの検出値に応じて入口部121を選択的に開閉するように入口部121に開閉自在に備えられてもよい。
【0054】
例えば、水位検出センサ129aは電解液(E)の水面に位置する浮遊センサから構成されてもよく、開閉バルブ129bは浮遊センサの検出値に応じて制御部150によって電子的に調整されるソレノイドバルブから構成されてもよい。しかし、電解液供給量調整部129の構成は特別に限定されるものではなく、複合動電気除染装置100の設計条件および状況に応じて多様な種類のセンサおよびバルブなどに構成してもよい。
【0055】
図1〜図3を参照すると、電極ユニット130は、動電気ユニット120の収容部123に収容された汚染土壌(S)の互いに異なる部位に陽極電源と陰極電源を提供して汚染土壌(S)の動電気除染を実施する装置である。電極ユニット130は動電気ユニット120に備えられてもよい。
【0056】
例えば、電極ユニット130は、陽極室125に備えられる陽電極部132、陰極室126に備えられる陰電極部134、および陽電極部132と陰電極部134に陽極電源と陰極電源をそれぞれ供給する電源供給部136を備えてもよい。陽電極部132と陰電極部134は、陽極室125と陰極室126内の電解液(E)に沈まれるように配置されてもよく、電源供給部136は動電気ユニット120の外部に配置されてもよい。
【0057】
したがって、本実施形態では電源供給部136の電源を陽電極部132と陰電極部134に伝達する電源供給端子138が動電気ユニット120に貫通するように形成されるものと説明する。すなわち、電源供給部136の陽極電源は、陽極電源供給端子138を介して陽電極部132に供給されてもよく、電源供給部136の陰極電源は陰極電源供給端子138を介して陰電極部134に供給されてもよい。しかし、これに限定されず、複合動電気除染装置100の設計条件および状況に応じて多様に変形され得る。
【0058】
図1〜図4を参照すると、pH調整ユニット140は、動電気ユニット120の陽極電源および陰極電源が提供される部位のpHを調整する装置である。pH調整ユニット140は動電気ユニット120に備えられるが、陽極電源および陰極電源が提供される部位にpH調整溶液を供給する構造に形成してもよい。具体的に説明すると、pH調整ユニット140は、特定pHのpH調整溶液を陽極室125と陰極室126に供給し、陽極室125と陰極室126の電解液(E)のpHを設定値に調整することができる。
【0059】
例えば、pH調整ユニット140は、陽極室125にpH調整溶液を供給して陽極室125のpHを第1設定値に調整する陽極pH調整部140a、および陰極室126にpH調整溶液を供給して陰極室126のpHを第2設定値に調整する陰極pH調整部140bを備えてもよい。
【0060】
陽極pH調整部140aは、陽極室125の内部に備えられる陽極室pHセンサ142、および陽極室pHセンサ142の検出値に応じて陽極室125の内部にpH調整溶液を供給する陽極室溶液供給器144を備えてもよい。陰極pH調整部140bは、陰極室126の内部に備えられる陰極室pHセンサ146、および陰極室pHセンサ146の検出値に応じて陰極室126の内部にpH調整溶液を供給する陰極室溶液供給器148を備えてもよい。したがって、陽極室125と陰極室126のpHは陽極pH調整部140aと陰極pH調整部140bによって独立的に調整されることができる。
【0061】
ここで、第1設定値は0.5〜1.5pHであってもよく、第2設定値は0.5〜1.5pHであってもよい。上記のように第1設定値と第2設定値が設定されると、陰極室126で生成される金属酸化物粒子の量が減少する。しかし、第1設定値と第2設定値は汚染土壌の状態に応じて変更されてもよい。
【0062】
また、pH調整溶液は酸性の硝酸溶液であってもよい。pH調整溶液が電解液(E)と同一の硝酸溶液から形成されると、pH調整溶液および電解液(E)が動電気ユニット120の内部で混合されても不要な化学反応を防止することができる。それだけでなく、動電気ユニット120の内部に投入されたpH調整溶液が電解液(E)に用いられてもよく、硝酸溶液のみを取り扱うために複合動電気除染装置100の設計条件が簡単になる。
【0063】
上記とは異なって、pH調整ユニット140は、陽極室125の内部に備えられる陽極室pHセンサ、陰極室126の内部に備えられる陰極室pHセンサ、および陽極室pHセンサと陰極室pHセンサの検出値に応じて陽極室または陰極室のうち少なくとも1つにpH調整溶液を供給する溶液供給器を備えてもよい。すなわち、単数個の溶液供給器を用いて陽極室125と陰極室126のpHを選択的に調整することができる。
【0064】
以下、本実施形態では説明の便宜のためにpH調整ユニット140が陽極pH調整部140aと陰極pH調整部140bに構成されたものと説明するが、これに限定されずに、複合動電気除染装置100の設計条件および状況に応じて多様に変形され得る。
【0065】
図2〜図4を参照すると、制御部150は複合動電気除染装置100の駆動を制御する装置である。特に、制御部150はpH調整ユニット140と電解液供給量調整部129の作動を制御してもよい。
【0066】
具体的に説明すると、制御部150は、陽極室pHセンサ142および陰極室pHセンサ146から送信される検出値に応じて、陽極pH調整部140aと陰極pH調整部140bの作動を制御してもよい。また、制御部150は、水位検出センサ129aから送信される検出値に応じて開閉バルブ129bの作動を制御してもよい。
【0067】
一方、動電気ユニット120および電極ユニット130は、汚染土壌(S)の処理量を増加させることによって設置数を増加させてもよい。すなわち、動電気ユニット120および電極ユニット130を高い容量で製造することも可能であるが、動電気ユニット120および電極ユニット130の容量を増大させることは限界がある。したがって、動電気ユニット120および電極ユニット130の設置数を増加させる方法として、複合動電気除染装置100の処理容量を増加させることができる。実際に、動電気ユニット120および電極ユニット130の実際な規模は520Lの大きさに拡大することができ、それによって年間50ドラム程度の処理が可能である。
【0068】
上記のように動電気ユニット120および電極ユニット130が複数個に増加する場合、電解液供給ユニット110またはpH調整ユニット140のうち少なくとも1つは動電気ユニット120に並列に接続されてもよい。したがって、電解液供給ユニット110またはpH調整ユニット140は、動電気ユニット120および電極ユニット130の個数の増加に比例して設置個数を増加させる必要がない。すなわち、複合動電気除染装置100の処理容量を簡単に増加させることができる。
【0069】
図1〜図3を参照すると、本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置100は廃液処理ユニット160をさらに備えてもよい。廃液処理ユニット160は、出口部122から排出される廃電解液(WE)を処理して金属酸化物粒子を除去する装置である。廃液処理ユニット160は、動電気ユニット120の出口部122に連通するよう連結されてもよい。したがって、廃液処理ユニット160が動電気ユニット120から排出される廃電解液(WE)を処理するため、複合動電気除染装置100の外部に排出される廃液の排出量を減少することができる。
【0070】
例えば、廃液処理ユニット160は、廃液循環器162および金属酸化物分離器164を備えてもよい。廃液循環器162は、出口部122から排出された廃電解液(WE)を電解液供給ユニットに循環させる装置であって、出口部122と電解液供給ユニット110との間に形成される。金属酸化物分離器164は、廃液循環器162によって循環する廃電解液(WE)から金属酸化物粒子を除去する装置であって、廃液循環器162上に連通するように連結されてもよく、加圧濾過方式に基づいて金属酸化物粒子を濾過させる構造に形成される。
【0071】
したがって、金属酸化物分離器164は、廃液循環器162に沿って循環する廃電解液(WE)から金属酸化物粒子を除去して廃電解液(WE)を電解液(E)に再生することができる。また、廃液循環器162は、廃電解液(WE)から再生した電解液(E)を電解液供給ユニット110に循環供給して電解液(E)を繰り返しリサイクルすることができる。すなわち、複合動電気除染装置100では動電気ユニット120から排出される廃電解液が全てリサイクルされ得る構造であるため、複合動電気除染装置100の外部に廃液が排出されない。
【0072】
例えば、廃液循環器162は、陰極室126と電解液供給ユニット110に連通するように連結された廃液循環流路162a、および廃液循環流路162a上に備えられる廃液循環ポンプ162bを備えてもよい。また、金属酸化物分離器164は、廃電解液(WE)から金属酸化物粒子を濾過させるフィルタ部材166を備えてもよい。このようなフィルタ部材166は、金属酸化物分離器164の内部に分離自在に装着されてもよい。したがって、フィルタ部材166は一定時間の間に用いられた後交替され、金属酸化物分離器164から分離したフィルタ部材166は放射性廃棄物と共に処理され得る。
【0073】
上記のように構成された本発明の一実施形態に係る複合動電気除染装置100の作動を説明すると次の通りである。
【0074】
まず、放射性核種によって汚染された土壌(S)を動電気ユニット120の収容部123に収容し、汚染土壌(S)の除染に用いられる電解液(E)を電解液供給ユニット110に充填する。このとき、汚染土壌(S)は、包装部材128に入れられた状態で収容部123の収容室124に配置される。
【0075】
複合動電気除染装置100を作動させると、電解液(E)は電解液供給ユニット110と動電気ユニット120との間の水頭差によって動電気ユニット120の内部へ自動的に供給される。すなわち、電解液供給ユニット110の電解液(E)は入口部121を介して動電気ユニット120の内部に流入された後、動電気ユニット120の収容部123に沿って出口部122に流動される。この過程において、汚染土壌(S)に含まれた放射性核種は動電気ユニット120内の電解液(E)によって洗浄され得る。
【0076】
一方、動電気ユニット120内の電解液(E)の水位は、電解液供給量調整部129によって設定水位に自動的に維持されることができる。すなわち、電解液供給量調整部129は、水位検出センサ129aの水位検出値を用いて開閉バルブ129bの開閉動作を適切に調整することができる。したがって、動電気ユニット120内の電解液(E)の水位を別にチェックしなくても電解液(E)の水位を最適の水位に維持することができ、電解液(E)の不足によって発生する問題が解消される。
【0077】
その後、電極ユニット130の電源供給部136が電源供給端子138を介して陽電極部132と陰電極部134に陽極電源と陰極電源をそれぞれ供給する。したがって、汚染土壌(S)内の放射性核種は、陽電極部132と陰電極部134との間の電位差によって動電気除染される。このとき、陰極室126ではFe、Mg、Alなどが金属酸化物の粒子状態に排出される。
【0078】
上記のような複合動電気除染装置100は、電解液供給ユニット110が供給する電解液(E)により汚染土壌(S)の放射性核種が洗浄除染方式に基づいて除去されてもよく、それと同時に、電極ユニット130が提供する陽極電源と陰極電源により汚染土壌(S)の放射性核種が動電気除染方式に基づいて除去されてもよい。すなわち、複合動電気除染装置100の洗浄除染および動電気除染によって汚染土壌(S)からセシウム、ウラニウム、コバルトが除去され得る。
【0079】
したがって、洗浄除染方式および動電気除染方式を複合させて放射性核種に汚染された汚染土壌(S)の除染効率を向上させることができ、汚染土壌(S)の除染期間も短縮できる。このとき、汚染土壌(S)の除染時に発生する廃液は廃液処理ユニット160にて処理できる。
【0080】
一方、陰極室126で発生する金属酸化物粒子は放射性核種の除染時に電解液の流動を妨害したり、または動電気ユニット120内の発熱を引き起こす原因になる。これは金属酸化物粒子が大きくて多く生成するほど増大する。したがって、本実施形態において、pH調整ユニット140が陽極室125と陰極室126のpHを適切に調整して金属酸化物粒子の大きさおよび発生量を減少させることができる。
【0081】
すなわち、陽極pH調整部140aは、陽極室pHセンサ142に検出される陽極室125のpHに応じて陽極室溶液供給器144によって供給されるpH調整溶液の量を調整し、陰極pH調整部140bは陰極室pHセンサ146に検出される陰極室126のpHに応じて陰極室溶液供給器148によって供給されるpH調整溶液の量を調整する。したがって、硝酸溶液から形成されるpH調整溶液によって陽極室125と陰極室126のpHが調整されることができる。
【0082】
具体的に、陽極室125と陰極室126のpHは0.5〜1.5pHに調整されてもよい。上記のように陽極室125および陰極室126のpHが調整されれば、陰極室126で生成される金属酸化物粒子の発生量および大きさが減少される。
【0083】
一方、陰極室126に発生される金属酸化物粒子は廃電解液(WE)と共に出口部122を介して動電気ユニット120の外部に排出される。このように動電気ユニット120の外部に排出された廃電解液(WE)は廃液処理ユニット160によって処理された後リサイクルされる。
【0084】
すなわち、廃液処理ユニット160の金属酸化物分離器164は廃電解液(WE)から金属酸化物粒子を除去して廃電解液(WE)を電解液(E)に再生することができる。また、廃液処理ユニット160の廃液循環器162は、再生した電解液(E)を電解液供給ユニット110にガイドして電解液(E)の循環を実現することができる。上記のように廃電解液(WE)は、廃液循環器162によって電解液供給ユニット110に循環されるが、循環過程において金属酸化物分離器164によって金属酸化物を除去することができる。
【0085】
廃液処理ユニット160によって再生された電解液(E)は、電解液供給ユニット110の内部に回収されてもよく、電解液供給ユニット110によって動電気ユニット120に再び供給されてもよい。
【0086】
したがって、汚染土壌(S)の除染時に発生する廃液が廃液処理ユニット160によって処理された後リサイクルされるため、複合動電気除染装置100の作動時に発生する廃液量はほとんどない。
【0087】
図5は本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置200を概略的に示す構成図であり、図6は図5に示された複合動電気除染装置を示す斜視図である。
【0088】
図5および図6において、図1〜図4に示す参照符号と同一の参照符号は同一の部材を示す。以下は図1〜図4に示す複合動電気除染装置100と異なることを中心に説明する。
【0089】
図5および図6を参照すると、本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置200が図1〜図4に示す複合動電気除染装置100と異なる点は、動電気ユニット120に供給される汚染土壌を前処理する構成および動電気ユニット120から排出された廃電解液(WE)を処理してリサイクルする構成にある。
【0090】
本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置200は、電解液供給ユニット110、動電気ユニット120、電極ユニット130、pH調整ユニット140、制御部150、廃液格納ユニット210、土壌洗浄ユニット220、沈殿分離ユニット230、廃液処理ユニット240を備える。
【0091】
ここで、電解液供給ユニット110、動電気ユニット120、電極ユニット130、pH調整ユニット140、および制御部150は図1〜図4に示す電解液供給ユニット110、動電気ユニット120、電極ユニット130、pH調整ユニット140、および制御部150と同一に構成される。以下、本実施形態では電解液供給ユニット110、動電気ユニット120、電極ユニット130、pH調整ユニット140、および制御部150に対する詳説を省略し、参照番号も図1〜図4と同一に表示することにする。
【0092】
廃液格納ユニット210は、出口部122に排出される廃電解液(WE)を一時的に格納する装置である。廃液格納ユニット210は動電気ユニット120の出口部122に連通するように連結されてもよい。
【0093】
土壌洗浄ユニット220は、動電気ユニット120に供給される汚染土壌(S)を予め処理して汚染土壌(S)内の放射性核種の含有量を減少させる装置である。土壌洗浄ユニット220は、廃液格納ユニット210内の廃電解液(WE)を用いて汚染土壌(S)を洗浄したり、汚染土壌(S)の洗浄性能をより向上させるために廃電解液(WE)と共に1〜2モールの濃度を有する硝酸を用いて汚染土壌(S)を洗浄する。したがって、土壌洗浄ユニット220は廃液格納ユニット210と連通するように連結されてもよい。しかし、これに限定されずに、土壌洗浄ユニット220は設計条件および状況に応じて多様な方式で汚染土壌(S)を前処理することができる。
【0094】
上記のように土壌洗浄ユニット220を使用すると、動電気ユニット120から排出された廃電解液(WE)を汚染土壌(S)の洗浄に更に一回用いることができるため、電解液(E)の活用性が高められる。それだけでなく、土壌洗浄ユニット220によって汚染土壌(S)が前処理されるため、複合動電気除染装置200の除染性能をより向上させることができ、動電気ユニット120の除染負荷量を減少させることができる。加えて、土壌洗浄ユニット220は、汚染土壌(S)の洗浄性能を向上させるために攪拌、回転、または振動してもよい。
【0095】
実際に、汚染土壌(S)内の放射性核種は土壌洗浄ユニット220の土壌前処理工程において80%〜85%が除去され、前処理された汚染土壌(S)内に残留される放射性核種は動電気ユニット120および電極ユニット130の除染工程において95%以上が除去される。それだけでなく、本実施形態の土壌洗浄ユニット220は3、000L規模の大容量に製造可能であり、このとき、土壌(kg)と洗浄溶液(L)は1:2.5の混合率で2回の洗浄を行う。
【0096】
一方、土壌洗浄ユニット220と動電気ユニット120との間には遠心分離機を加えて配置してもよい。遠心分離機は、土壌洗浄ユニット220によって洗浄された土壌を遠心分離して土壌内の廃液を除去することができる。したがって、動電気ユニット120で発生する廃液のスラッジ(sludge)を最小化することができる。
【0097】
沈殿分離ユニット230は、沈殿方式を用いて土壌洗浄ユニット220から排出される廃洗浄液(WW)を沈殿物232と上層液234とに分離する装置である。沈殿分離ユニット230は土壌洗浄ユニット220に連通するように連結されてもよい。
【0098】
ここで、沈殿物232は金属酸化物粒子または土壌粒子などのような粒子性物質であり、上層液234は粒子性物質と分離した電解液(E)である。このような上層液234は電解液供給ユニット110に再び供給される。したがって、沈殿分離ユニット230は電解液供給ユニット110と連通するように連結されてもよい。しかし、沈殿分離ユニット230は、上層液234を電解液供給ユニット110へ直接伝達することなく、別途の格納容器に集めて上層液234を伝達することも可能である。
【0099】
廃液処理ユニット240は沈殿分離ユニット230から伝達された沈殿物232の含まれた廃洗浄液(WW)を処理する装置である。すなわち、廃液処理ユニット240は、沈殿分離ユニット230から伝達される多量の沈殿物232が含まれた廃洗浄液(WW)を処理する。したがって、廃液処理ユニット240は、沈殿分離ユニット230から廃洗浄液(WW)が伝達されるように沈殿分離ユニット230と連通するように連結されてもよい。
【0100】
また、廃液処理ユニット240は、金属化合物粒子のような粒子性物質を濾過させる構造に形成されてもよい。すなわち、廃液処理ユニット240の内部には廃洗浄液(WW)から沈殿物232を濾過させるフィルタ部材242を備えてもよい。このようなフィルタ部材242は、図1に示す廃液処理ユニット160のフィルタ部材166と同一の構造に形成されてもよい。
【0101】
上記のように廃液処理ユニット240は、沈殿分離ユニット230から伝達された廃洗浄液(WW)を電解液(E)と沈殿物232とに分離し、再び再生した電解液(E)は電解液供給ユニット110の内部に回収される。ここで、廃液処理ユニット240は電解液供給ユニット110と連通するように連結されてもよい。
【0102】
一方、沈殿分離ユニット230と廃液処理ユニット240との間には沈殿分離ユニット230から排出される廃洗浄液(WW)を濃縮させる濃縮ユニット250を備えてもよい。これによって、廃液処理ユニット240で処理される廃洗浄液(WW)の量を減らすことができる。
【0103】
また、廃液処理ユニット240のフィルタ部材242は装着または分離自在に形成してもよく、一定時間の間に用いられた後交替する。このようなフィルタ部材242は乾燥ユニット260によって乾燥された後放射性廃棄物と共に処理される。
【0104】
上述したように本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置200は、動電気ユニット120から排出される廃電解液(WE)を用いて汚染土壌(S)を洗浄する前処理工程を行なってもよい。また、沈殿分離ユニット230と廃液処理ユニット240における沈殿工程および濾過工程によって汚染土壌(S)の前処理に用いられた廃洗浄液(WW)を2重に処理した後電解液(E)にリサイクルすることができる。
【0105】
一方、本発明の他の実施形態に係る複合動電気除染装置200は、土壌の放射能の濃度に応じて処理方式を異なって変更してもよい。すなわち、放射能の濃度が高い土壌は、前述したように土壌洗浄ユニット220、動電気ユニット120、沈殿分離ユニット230、および廃液処理ユニット240を複合して処理してもよい。一方、放射能の濃度が低い土壌は、土壌洗浄ユニット220、沈殿分離ユニット230、および廃液処理ユニット240のみを複合して処理してもよい。
【0106】
上述したように、本発明を限定された実施形態と図面によって説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明が属する分野における通常の知識を有する者であれば、このような実施形態から多様な修正及び変形が可能である。
【0107】
したがって、本発明の範囲は、開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲だけではなく特許請求の範囲と均等なものなどによって定められるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染土壌から放射性核種を除去する複合動電気除染装置において、
電解液を供給する電解液供給ユニットと、
前記電解液供給ユニットから前記電解液が供給されるように前記電解液供給ユニットに連結された入口部が一側に形成され、前記汚染土壌が収容される収容部が内部に形成され、前記汚染土壌を通過した廃電解液が外部に排出されるように出口部を他側に形成する動電気ユニットと、
前記収容部に収容された前記汚染土壌の互いに異なる部位に陽極電源と陰極電源を提供するように前記動電気ユニットに備えられる電極ユニットと、
前記動電気ユニットに備えられ、前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位のpHを調整するために前記陽極電源と前記陰極電源が提供される部位にpH調整溶液を供給するpH調整ユニットと
を備えることを特徴とする複合動電気除染装置。
【請求項2】
前記pH調整ユニットは、
前記陽極電源が提供される部位に前記pH調整溶液を供給して前記陽極電源が提供される部位のpHを第1設定値に調整する陽極pH調整部と、
前記陰極電源が提供される部位に前記pH調整溶液を供給して前記陰極電源が提供される部位のpHを第2設定値に調整する陰極pH調整部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。
【請求項3】
前記第1設定値と前記第2設定値は0.5〜1.5pHであることを特徴とする請求項2に記載の複合動電気除染装置。
【請求項4】
前記pH調整溶液は硝酸溶液であることを特徴とする請求項2に記載の複合動電気除染装置。
【請求項5】
前記動電気ユニットの収容部は、
前記汚染土壌が収容される収容室と、
前記収容室と前記入口部との間に形成される陽極室と、
前記収容室と前記出口部との間に形成される陰極室と
を備え、
前記電極ユニットは、
前記陽極室に備えられる陽電極部と、
前記陰極室に備えられる陰電極部と、
前記陽電極部と前記陰電極部に陽極電源および陰極電源を供給する電源供給部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。
【請求項6】
前記pH調整ユニットは、
前記陽極室に前記pH調整溶液を供給して前記陽極室のpHを第1設定値に調整する陽極pH調整部と、
前記陰極室に前記pH調整溶液を供給して前記陰極室のpHを第2設定値に調整する陰極pH調整部と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の複合動電気除染装置。
【請求項7】
前記陽極pH調整部は、
前記陽極室の内部に備えられる陽極室pHセンサと、
前記陽極室pHセンサの検出値に応じて前記陽極室の内部に前記pH調整溶液を供給する陽極室溶液供給器とを備え、
前記陰極pH調整部は、
前記陰極室の内部に備えられる陰極室pHセンサと、
前記陰極室pHセンサの検出値に応じて前記陰極室の内部に前記pH調整溶液を供給する陰極室溶液供給器と
を備えることを特徴とする請求項6に記載の複合動電気除染装置。
【請求項8】
前記pH調整ユニットは、
前記陽極室の内部に備えられる陽極室pHセンサと、
前記陰極室の内部に備えられる陰極室pHセンサと、
前記陽極室pHセンサと前記陰極室pHセンサの検出値に応じて前記陽極室または前記陰極室のうち少なくとも1つに前記pH調整溶液を供給する溶液供給器と
を備えることを特徴とする請求項5に記載の複合動電気除染装置。
【請求項9】
前記動電気ユニットの出口部に連結されて前記出口部に排出される廃電解液を処理し、前記動電気ユニット内の前記陰極電源部位で発生する金属酸化物粒子を除去する廃液処理ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。
【請求項10】
前記廃液処理ユニットは、
前記動電気ユニットの前記出口部と前記電解液供給ユニットとの間に形成され、前記出口部から排出される前記廃電解液を前記電解液供給ユニットに循環させる廃液循環器と、
前記廃液循環器によって循環する前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を除去するように前記廃液循環器上に連通するように連結された金属酸化物分離器と
を備えることを特徴とする請求項9に記載の複合動電気除染装置。
【請求項11】
前記動電気ユニットの収容部は、
前記汚染土壌が収容される収容室と、
前記収容室と前記入口部との間に形成される陽極室と、
前記収容室と前記出口部との間に形成される陰極室とを備え、
前記電極ユニットは、
前記陽極室に備えられる陽電極部と、
前記陰極室に備えられる陰電極部と、
前記陽電極部と前記陰電極部に陽極電源と陰極電源を供給する電源供給部と、を備え、
前記廃液循環器は、
前記陰極室と前記電解液供給ユニットに連通するように連結された廃液循環流路と、
前記廃液循環流路上に備えられる廃液循環ポンプと
を備えることを特徴とする請求項10に記載の複合動電気除染装置。
【請求項12】
前記金属酸化物分離器には前記廃電解液から前記金属酸化物粒子を濾過させるフィルタ部材が分離自在に備えられることを特徴とする請求項10に記載の複合動電気除染装置。
【請求項13】
前記出口部から排出される前記廃電解液を格納するように前記動電気ユニットの出口部に連結された廃液格納ユニットと、
前記廃液格納ユニットに連結され、前記廃液格納ユニットから供給される前記廃電解液によって前記動電気ユニットに供給される汚染土壌内の放射性核種の含有量を減少させる土壌洗浄ユニットと、
前記土壌洗浄ユニットに連結され、前記土壌洗浄ユニットから排出される廃洗浄液を沈殿物と上層液とに沈殿分離する沈殿分離ユニットと、
前記沈殿分離ユニットに連結され、前記沈殿分離ユニットで分離された沈殿物を処理する廃液処理ユニットと
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。
【請求項14】
前記廃電解液および前記廃洗浄液は、前記動電気ユニット内の前記陰極電源部位で発生する金属酸化物粒子を含有し、前記沈殿物は前記沈殿分離ユニットの下部に沈殿する前記金属酸化物粒子であり、前記上層液は前記沈殿分離ユニットの上部で前記金属酸化物粒子と分離された電解液であり、
前記沈殿分離ユニットは、前記上層液を前記電解液供給ユニットに循環させ、前記沈殿物を含有した廃洗浄液を前記廃液処理ユニットに排出することを特徴とする請求項13に記載の複合動電気除染装置。
【請求項15】
前記沈殿分離ユニットと前記廃液処理ユニットとの間には前記沈殿分離ユニットから排出される前記廃洗浄液を濃縮させる濃縮ユニットが備えられることを特徴とする請求項14に記載の複合動電気除染装置。
【請求項16】
前記廃液処理ユニットには前記廃洗浄液から前記金属酸化物粒子を濾過させるフィルタ部材が分離自在に備えられ、
前記廃液処理ユニットは、前記フィルタ部材によって前記金属酸化物粒子が除去された電解液を前記電解液供給ユニットに循環させることを特徴とする請求項14に記載の複合動電気除染装置。
【請求項17】
前記電解液供給ユニットは、前記電解液の水頭差によって前記電解液が前記収容部に自動に供給されるよう前記動電気ユニットの入口部よりも上段に配置され、
前記動電気ユニットには、前記収容部内の前記電解液の水位を自動的に一定に維持するため、前記電解液の供給量を調整する電解液供給量調整部が備えられることを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。
【請求項18】
前記電解液供給量調整部は、
前記収容部内の前記電解液の水位を検出するように前記動電気ユニットの内部に備えられる水位検出センサと、
前記水位検出センサの検出値に応じて前記入口部を選択的に開閉させるように前記入口部に開閉自在に備えられる開閉バルブと
を備えることを特徴とする請求項17に記載の複合動電気除染装置。
【請求項19】
前記動電気ユニットおよび前記電極ユニットは複数備えられ、
前記電解液供給ユニットまたは前記pH調整ユニットのうち少なくとも1つは、前記動電気ユニットに並列に連結されたことを特徴とする請求項1に記載の複合動電気除染装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−3137(P2013−3137A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−282018(P2011−282018)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【出願人】(500002490)コリア アトミック エナジー リサーチ インスティチュート (20)