放射温度計
【課題】 使用者が測定箇所および測定タイミングを知ることができる放射温度計を提供する。
【解決手段】 ヘッド部100Aは測定対象物WまたはベルトコンベアBRから放射される赤外線を受光し、測定温度値を算出する。本体部100Bには外部信号が入力される。外部信号のオン/オフ状態の切り替わりは、ベルトコンベアBRによる測定対象物Wの搬送に同期しており、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置しないタイミングでオフ状態となる。本体部100Bは、外部信号がオン状態になると、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。本体部100Bは、外部信号がオフ状態になると、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の消灯を指令する。
【解決手段】 ヘッド部100Aは測定対象物WまたはベルトコンベアBRから放射される赤外線を受光し、測定温度値を算出する。本体部100Bには外部信号が入力される。外部信号のオン/オフ状態の切り替わりは、ベルトコンベアBRによる測定対象物Wの搬送に同期しており、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置しないタイミングでオフ状態となる。本体部100Bは、外部信号がオン状態になると、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。本体部100Bは、外部信号がオフ状態になると、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の消灯を指令する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することによりその物体の温度を測定する放射温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出し、その赤外線エネルギーを測定対象物の放射率で補正することにより測定対象物の実際の温度を測定し、その温度値を表示する放射温度計がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような放射温度計において、測定対象物から放射される赤外線エネルギーは目に見えないため、使用者は測定対象物のどの箇所を測定しているのかを認識することができない。
【0004】
そこで、使用者が測定箇所を認識できるように、レーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)等の光源を用いて測定箇所を指示できる放射温度計が開発されている。
【特許文献1】特開平7−324981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような測定箇所を指示できる放射温度計においては、電源がオン状態である間、測定箇所が光源により常に指示されるので、使用者はどのようなタイミングで光源により指示された箇所の温度が測定されているのかを認識することができない。したがって、使用者は光源により指示された箇所の温度が正確に測定されているか否かを知ることはできなかった。
【0006】
ところで、測定対象物の温度の異常を判定する放射温度計も開発されている。この放射温度計においては、測定対象物の温度が所定の温度よりも高いまたは低い場合に、判定結果として温度の正常/異常が表示される。
【0007】
このような機能を有するとともに測定箇所を指示できる放射温度計において、測定箇所と放射温度計とは一般に離れた箇所に存在する。この場合、使用者は光源の指示により測定箇所を認識できるが、測定箇所と放射温度計に表示される判定結果とを同時に見ることができない。その結果、使用者は、判定結果の確認後に測定箇所を確認したり、測定箇所の確認後に判定結果の確認を行うと、実際の測定箇所の判定結果を正確に知ることができない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、使用者が測定箇所および測定タイミングを知ることができる放射温度計を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、使用者が測定対象物の温度の判定結果および実際の測定箇所を正確に知ることができる放射温度計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、赤外線検出手段の出力信号に基づいて測定対象物の温度を算出する演算手段と、測定対象物へ光を出射する光源と、測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたものである。
【0011】
その放射温度計においては、赤外線検出手段により測定対象物からの赤外線エネルギーが検出され、演算手段により測定対象物の温度が算出される。ここで、制御手段は測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて光源の点灯状態を制御する。これにより、測定対象物の温度が算出されるタイミングで光源から測定対象物へ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物の測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0012】
演算手段により算出された温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果を出力する出力手段とをさらに備えてもよい。この場合、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが判定手段により判定され、その判定結果が出力手段により出力される。それにより、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0013】
第2の発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、赤外線検出手段の出力信号に基づいて測定対象物の温度を算出する演算手段と、測定対象物へ光を出射する光源と、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたものである。
【0014】
その放射温度計においては、赤外線検出手段により測定対象物からの赤外線エネルギーが検出され、演算手段により測定対象物の温度が算出される。そして、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが判定手段により判定される。そこで、制御手段は判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を制御する。これにより、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かに応じて光源の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所の光源による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0015】
判定手段は、演算手段により算出された測定対象物の温度および予め設定された温度のしきい値に基づいて、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合、算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが、しきい値に基づいて判定手段により判定される。これにより、使用者は測定対象物の温度の所定の条件をしきい値により容易に設定することができる。
【0016】
しきい値は、互いに異なる複数のしきい値を含み、判定手段は、複数のしきい値に基づいて演算手段により算出された測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かを判定し、制御手段は、判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を複数の態様で制御してもよい。
【0017】
この場合、演算手段により算出された測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かが、複数のしきい値に基づいて判定手段により判定される。これにより、使用者は測定対象物の温度の複数の条件を複数のしきい値により容易に設定することができる。
【0018】
また、制御手段により判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態が複数の態様で制御されるので、使用者は、光源の点灯状態の態様に基づいて、測定対象物の温度が複数の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0019】
判定手段の判定結果を出力する出力手段をさらに備えてもよい。この場合、判定結果が出力手段により出力される。それにより、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る放射温度計によれば、測定対象物の温度が算出されるタイミングで光源から測定対象物へ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物の測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0021】
また、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かに応じて光源の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所の光源による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態に係る放射温度計について図1〜図16に基づき説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の一実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る放射温度計100は、ヘッド部100Aおよび本体部100Bを備える。
【0024】
ヘッド部100Aおよび本体部100Bは互いにケーブル80により接続されている。また、本体部100Bはケーブル81,82を介して図示しない外部装置に接続される。
【0025】
図2は、図1のヘッド部100Aのブロック図であり、図3は図1の本体部100Bのブロック図である。
【0026】
図1に示すように、ヘッド部100Aは、サーモパイル10、プリアンプ基板20、メイン基板30、電源基板40および2つのレーザダイオード60,70を備える。
【0027】
サーモパイル10は、赤外線受光部11およびサーミスタ12を備える。プリアンプ基板20には、第1の信号増幅部21および第2の信号増幅部22が実装される。メイン基板30には、第3の信号増幅部31、アナログデジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する。)32,33、CPU(中央演算処理装置)34、記憶部35、表示灯36およびレーザ駆動回路37が実装される。
【0028】
電源基板40には、電源回路41、通信回路42およびレーザ駆動回路43が実装される。電源基板40には、電源線および信号線を含むケーブル80が接続されている。
【0029】
サーモパイル10において、赤外線受光部11は測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出する。サーミスタ12はサーモパイル10の内部温度を検出する。
【0030】
プリアンプ基板20において、第1の信号増幅部21は赤外線受光部11の出力信号を増幅する。第2の信号増幅部22はサーミスタ12の出力信号を増幅する。
【0031】
メイン基板30において、第3の信号増幅部31は第1の信号増幅部21の出力信号を増幅する。AD変換回路32は、第3の信号増幅部31の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を測定対象物の検出温度値としてCPU34へ与える。
【0032】
AD変換回路33は、第2の信号増幅部22の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をサーモパイル10の内部温度値としてCPU34へ与える。
【0033】
記憶部35には、サーモパイル10に関する情報およびCPU34が測定対象物の温度を算出するための演算式等が記憶されている。サーモパイル10に関する情報とは、例えば、赤外線受光部11のゲインおよびオフセット値、サーミスタ12のゲインおよびオフセット値、ならびにサーモパイルの測定温度範囲等である。
【0034】
CPU34には、本体部100Bからケーブル80および通信回路42を通じて、測定対象物の放射率、後述の判定信号およびレーザ指令信号が与えられる。CPU34は、AD変換回路32から与えられる検出温度値、AD変換回路33から与えられる内部温度値、本体部100Bから与えられた放射率、ならびに記憶部35に記憶された種々の情報および演算式に基づいて測定対象物の実際の温度値(以下、測定温度値と呼ぶ。)を算出する。そして、CPU34は測定温度値を通信回路42およびケーブル80を通じて本体部100Bに与える。
【0035】
また、CPU34は、AD変換回路32の出力信号のレベルに基づいて第3の信号増幅部31のゲインをフィードバック制御する。
【0036】
さらに、CPU34は、表示灯36、レーザ駆動回路37および電源基板40のレーザ駆動回路43の動作を制御する。表示灯36は、CPU34の制御により後述の判定信号のオン状態またはオフ状態を点灯または消灯により表示する。レーザ駆動回路37は、CPU34の制御によりレーザダイオード60を駆動する。
【0037】
電源基板40において、電源回路41は本体部100Bからケーブル80を通じて与えられる電力をヘッド部100Aの各構成部に供給する。
【0038】
通信回路42およびレーザ駆動回路43は、メイン基板30のCPU34と接続されている。
【0039】
通信回路42は、上述のように、ケーブル80を介してCPU34と本体部100Bとの間で通信を行う。レーザ駆動回路43は、CPU34の制御によりレーザダイオード70を駆動する。レーザダイオード60,70から出射されるレーザ光は測定対象物の測定箇所に照射される。
【0040】
図3に示すように、本体部100Bは、電源回路91、通信回路92、CPU93、表示部94、記憶部95、操作設定部96、外部出力回路97、アナログ出力回路98および外部入力回路99を備える。
【0041】
電源回路91および通信回路92にはケーブル80が接続されている。電源回路91は、電池等の電力供給源を備え、その電力を本体部100Bの各構成部およびヘッド部100Aに供給する。通信回路92は、ケーブル80を介してCPU93とヘッド部100Aとの間で通信を行う。
【0042】
記憶部95は、測定対象物の放射率、演算式および判定のためのしきい値等を記憶する。使用者は、操作設定部96を操作することにより測定対象物の放射率およびしきい値等を設定することができる。設定された放射率およびしきい値等は記憶部95に記憶される。
【0043】
CPU93は、本体部100Bの各構成部の動作を制御する。また、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値と記憶部95に記憶されるしきい値との大小関係を判定し、判定結果に基づく判定信号を生成し、外部出力回路97を介してケーブル81に出力する。また、CPU93は、判定信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。
【0044】
判定信号は、例えば、測定温度値がしきい値よりも高い場合にオン状態(例えば、ハイレベル)となり、測定温度値がしきい値以下の場合にオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0045】
さらに、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値を外部出力回路97を介してケーブル81に出力するとともに、測定温度値に対応するアナログ信号をアナログ出力回路98を介してケーブル81に出力する。
【0046】
外部入力回路99は、CPU93に接続されるとともに、ケーブル82を介して図示しない外部装置に接続されている。外部入力回路99には、外部装置から外部信号が入力される。この、外部信号は、ヘッド部100Aのレーザダイオード60,70の駆動を制御するための信号である。
【0047】
外部入力回路99は、入力された外部信号をCPU93に与える。CPU93は、外部信号のオン状態(例えば、ハイレベル)またはオフ状態(例えば、ローレベル)に基づいて、レーザダイオード60,70の点灯および消灯を指令するレーザ指令信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。
【0048】
本実施の形態においては、レーザダイオード60,70の点灯が指令される場合にレーザ指令信号がオン状態(例えば、ハイレベル)となる。また、レーザダイオード60,70の消灯が指令される場合にレーザ指令信号がオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0049】
これにより、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、外部信号に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0050】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0051】
図4は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。
【0052】
図4の例では、ベルトコンベアBRの上方の所定位置にヘッド部100Aを設置し、ベルトコンベアBRにより搬送される測定対象物Wの温度を測定する。
【0053】
図4(a)および図4(b)に示すように、ベルトコンベアBR上では複数の測定対象物Wが互いに所定の間隔を保ちつつ矢印Tの方向に搬送されている。
【0054】
本例において、ヘッド部100Aはその直下に位置する測定対象物WまたはベルトコンベアBRから放射される赤外線を受光し、測定温度値を算出する。ベルトコンベアBRにより測定対象物Wが搬送されると、ヘッド部100Aには測定対象物Wから放射される赤外線Rと、ベルトコンベアBRから放射される赤外線Rとが交互に入射される。
【0055】
ここで、図4(a)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wがその直下に位置するときのみレーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射する(レーザダイオード60,70の点灯)。一方、図4(b)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wがその直下に位置しない場合、レーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射しない(レーザダイオード60,70の消灯)。
【0056】
上述のように、レーザダイオード60,70の点灯および消灯の切替は、本体部100Bに入力される外部信号により制御される。外部信号のオン/オフ状態の切り替わりはベルトコンベアBRによる測定対象物Wの搬送に同期している。本例において、外部信号はヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置しないタイミングでオフ状態となる。
【0057】
本体部100BのCPU93(図3)は、外部信号がオン状態になると、レーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0058】
一方、本体部100BのCPU93は、外部信号がオフ状態になると、レーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100AのCPU34へ出力する。そこで、CPU34はオフ状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を消灯させる。
【0059】
これにより、使用者は、測定対象物Wの測定温度値が算出されるタイミングでレーザダイオード60,70により測定箇所が指示されるので、測定対象物Wの測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0060】
図5は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の他の適用例を説明するための図である。図5の適用例は、以下の点で図4の適用例と異なる。
【0061】
図5の例では、測定対象物Wが球形状を有する。本例において、外部信号はヘッド部100Aの直下に測定対象物Wの中央部が位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wの中央部が位置しないタイミングでオフ状態となる。
【0062】
それにより、図5(a)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wの中央部がその直下に位置するときのみレーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射する(レーザダイオード60,70の点灯)。一方、図5(b)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wの中央部がその直下に位置しない場合、レーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射しない(レーザダイオード60,70の消灯)。
【0063】
一般に、測定対象物Wの放射率は赤外線の放射方向に応じて変化する。したがって、複数の測定対象物Wの測定温度値を正確に得たい場合、測定温度値は各測定対象物Wから垂直方向に放射される赤外線により算出することが好ましい。
【0064】
上記のように、測定対象物Wの中央部の測定温度値を算出するときのみレーザダイオード60,70が点灯し、測定箇所が指示されることにより、使用者は、測定対象物Wの測定箇所を正確に知ることができるとともに、その測定タイミングを容易に知ることができる。それにより、正確に測定対象物Wの温度測定が行われているか否かを容易に認識することができる。
【0065】
図6に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図6は、第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0066】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物Wの赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS11)。
【0067】
続いて、CPU34は、本体部100Bからレーザ指令信号を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0068】
CPU34は、レーザ指令信号を受信した場合、レーザ指令信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS13)。
【0069】
CPU34は、レーザ指令信号がオン状態である場合、レーザ駆動回路37,43(図2)を制御することによりレーザダイオード60,70を点灯させる(ステップS14)。
【0070】
一方、CPU34は、レーザ指令信号がオフ状態である場合、レーザ駆動回路37,43を制御することによりレーザダイオード60,70を消灯させる(ステップS15)。
【0071】
図7に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図7は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0072】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信するとともに、ケーブル82を介して接続された外部装置(図示せず)から外部信号を受信する(ステップS21)。そこで、CPU93は、外部信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS22)。
【0073】
CPU93は、外部信号がオン状態である場合、オン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点灯を指令する(ステップS23)。一方、CPU93は、外部信号がオン状態でない場合(オフ状態である場合)、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS24)。
【0074】
続いて、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS25)。この判定処理とは、受信した測定温度値が記憶部95に記憶されるしきい値よりも高いか否かを判定することにより、オン状態またはオフ状態の判定信号を生成する処理をいう。
【0075】
そこで、CPU93は、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS26)。
【0076】
上記のように、第1の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定対象物Wの温度が算出されるタイミングでレーザダイオード60,70から測定対象物Wへレーザ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物Wの測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0077】
また、測定温度値が所定の条件を満たすか否かがCPU93により判定され、その判定結果が出力されるので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0078】
第1の実施の形態に係る放射温度計100において、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、外部信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、外部信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0079】
本実施の形態に係る放射温度計100において、外部信号を本体部100Bに入力する外部装置は、例えば、測定対象物Wを検出するセンサであってもよい。この場合、センサが測定対象物Wを検出することにより、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりを測定対象物Wの搬送に同期させることが容易となる。
【0080】
また、外部装置は、ベルトコンベアBRの搬送速度を制御する制御装置であってもよい。この場合においても、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりを測定対象物Wの搬送に同期させることが容易となる。
【0081】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第1の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0082】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93(図3)は、判定信号のオン/オフ状態に基づいてレーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0083】
これにより、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、判定信号のオン/オフ状態に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0084】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0085】
図8は、第2の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。本例では、複数の放射温度計100を用いる。図8(a)は複数の放射温度計100による測定対象物Wの温度測定状況を示す。図8(b)、(c)は測定対象物Wの上面図を示す。
【0086】
図8の例では、長手形状を有する測定対象物Wの上方における所定位置に複数のヘッド部100Aを設置し、測定対象物Wの複数箇所の温度を測定する。図8(a)によれば、5つのヘッド部100Aが、測定対象物Wの長手方向に沿って等間隔に配置されている。これにより、測定対象物Wの5箇所の温度が測定される(測定箇所p1〜p5参照)。
【0087】
ここで、図8(b)に示すように、測定対象物Wの特定部分e1の温度が他の部分に比べて高い場合を想定する。すなわち、特定部分e1の温度が図3の記憶部95に記憶されたしきい値よりも高く、他の部分の温度がしきい値以下である場合を想定する。
【0088】
この場合、測定箇所p4の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値がしきい値よりも高いことにより判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93はレーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0089】
一方、測定箇所p1,p2,p3,p5の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値がしきい値以下であることにより判定信号がオフ状態となる。これにより、本体部100BのCPU93はレーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100AのCPU34へ出力する。そこで、CPU34はオフ状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を消灯させる。
【0090】
その結果、図8(c)に示すように、複数の放射温度計100のうち、測定箇所p4の温度を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が点灯し、測定箇所p4がレーザ光により指示される。
【0091】
これにより、使用者は、異常な温度である箇所をレーザ光の指示により容易に知ることができる。換言すれば、使用者は、測定対象物Wの温度の判定結果および実際の測定箇所を正確に知ることができる。
【0092】
第2の実施の形態において、放射温度計100のヘッド部100Aの動作は、第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作と同じである。
【0093】
図9に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図9は、第2の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0094】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS31)。そこで、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS32)。この判定処理は、第1の実施の形態と同様である。
【0095】
次に、CPU93は、判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS33)。
【0096】
CPU93は、判定信号がオン状態である場合、オン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点灯を指令する(ステップS34)。一方、CPU93は判定信号がオン状態でない場合(オフ状態である場合)、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS35)。
【0097】
CPU93は、上記のステップS34,S35の動作の後、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS36)。
【0098】
上記のように、第2の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定温度値が所定の条件を満たすか否かに応じてレーザダイオード60,70の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所のレーザ光による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0099】
また、測定温度値が所定の条件を満たすか否かが、しきい値に基づいてCPU93により判定される。これにより、使用者は測定対象物Wの温度の所定の条件をしきい値により容易に設定することができる。
【0100】
さらに、測定温度値が所定の条件を満たすか否かがCPU93により判定され、その判定結果が出力されるので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0101】
第2の実施の形態に係る放射温度計100において、判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、判定信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、判定信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0102】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第2の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0103】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93(図3)は、電源のオン/オフ状態ならびに判定信号のオン/オフ状態に基づいて、レーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0104】
本実施の形態において、レーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えは、例えば次のように行われる。
【0105】
初めに、CPU93は電源がオン状態となることによりレーザ指令信号をオン状態とする。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点灯する。
【0106】
ここで、CPU93は、判定信号がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを繰り返す。この切り替えは所定の周期で行われる。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点滅する。
【0107】
一方、CPU93は、判定信号がオフ状態である場合にレーザ指令信号をオン状態とする。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点灯する。
【0108】
このように、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、電源のオン/オフ状態ならびに判定信号のオン/オフ状態に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0109】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0110】
図10は、第3の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。図10(a)は放射温度計100による測定対象物W1〜W4の温度測定状況を示す。図10(b)、(c)はベルトコンベアBRにより搬送される複数の測定対象物W1〜W4の上面図を示す。
【0111】
図10の例では、ベルトコンベアBRの上方の所定位置にヘッド部100Aを設置し、ベルトコンベアBRにより搬送される測定対象物W1〜W4の温度を測定する。
【0112】
なお、以下の説明において、測定対象物W3の温度は他の測定対象物W1,W2,W4の温度に比べて高い温度を有するものとする。すなわち、測定対象物W3の温度は本体部100Bの記憶部95(図3)に記憶されたしきい値よりも高い温度を有し、他の測定対象物W1,W2,W4の温度はしきい値以下の温度を有するものとする。
【0113】
図10(a)に示すように、ベルトコンベアBR上では複数の測定対象物W1〜W4が互いに所定の間隔を保ちつつ矢印Tの方向に搬送されている。
【0114】
本例において、ヘッド部100Aはその直下に位置する測定対象物W1〜W4またはベルトコンベアBRから放射される赤外線Rを受光し、測定温度値を算出する。ベルトコンベアBRにより測定対象物W1〜W4が搬送されると、ヘッド部100Aには測定対象物W1〜W4から放射される赤外線Rと、ベルトコンベアBRから放射される赤外線Rとが交互に入射される。
【0115】
本体部100BのCPU93は、放射温度計100の電源がオン状態となると、レーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0116】
ここで、図10(b)に示すように、本体部100BのCPU93は、測定対象物W1,W2,W4の温度測定時においては、それぞれの温度がしきい値以下であることにより判定信号をオフ状態とする。この場合、CPU93は、上述のようにレーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0117】
一方、図10(c)に示すように、本体部100BのCPU93は、測定対象物W3の温度測定時においては、その温度がしきい値よりも高いことにより判定信号をオン状態とする。この場合、CPU93は、上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を所定の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60,70を点滅させる。
【0118】
これにより、使用者は、測定対象物W1〜W4の測定温度値がしきい値よりも高い場合にレーザダイオード60,70の点灯状態が変化するので、異常な温度である測定対象物W3をレーザ光の点滅により容易に知ることができる。換言すれば、使用者は、測定対象物W1〜W4の温度の判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0119】
図11に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図11は、第3の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0120】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、本体部100Bからオン状態のレーザ指令信号を受信し、レーザ駆動回路37,43(図2)を制御することによりレーザダイオード60,70を点灯させる(ステップS41)。
【0121】
次に、CPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物W1〜W4の赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS42)。
【0122】
ここで、CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けたか否かを判別する(ステップS43)。CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を点滅させる(ステップS44)。一方、CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の点灯状態を維持する(ステップS45)。
【0123】
図12に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図12は、第3の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0124】
初めに、本体部100BのCPU93は、電源のオンに応答してオン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する(ステップS51)。次に、CPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS52)。そして、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS53)。この判定処理は、第1の実施の形態における判定処理と同じである。
【0125】
続いて、CPU93は、生成した判定信号がオン状態であるかオフ状態であるかを判別する(ステップS54)。
【0126】
CPU93は、判定信号がオン状態である場合、所定の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点滅を指令する(ステップS55)。そして、CPU93は、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS56)。
【0127】
上記ステップS54において、判定信号がオフ状態である場合、CPU93はレーザダイオード60,70の点滅を指令することなく上記ステップS56の動作を行う。
【0128】
第3の実施の形態に係る放射温度計100においても、判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、判定信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、判定信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0129】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第2の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0130】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100Bの記憶部95(図3)には第1のしきい値および第1のしきい値よりも高い第2のしきい値が記憶されている。それにより、本体部100BのCPU93(図3)は、第1のしきい値に基づいて第1の判定処理を行い、第1の判定結果として第1の判定信号を生成する。また、本体部100BのCPU93は、第2のしきい値に基づいて第2の判定処理を行い、第2の判定結果として第2の判定信号を生成する。
【0131】
CPU93は、生成した第1および第2の判定信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。また、CPU93は、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態に応じて第1のレーザ指令信号、第2のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0132】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93は、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態に基づいてレーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0133】
本実施の形態において、レーザ指令信号のオン/オフの切り替えは、例えば次のように行われる。
【0134】
CPU93は、第1および第2の判定信号がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを第1の周期で繰り返す。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第1の周期での点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が第1の周期で点滅する。
【0135】
一方、CPU93は、第1および第2の判定信号のいずれか一方がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを第2の周期で繰り返す。この第2の周期は上述の第1の周期よりも長い。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第2の周期での点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が第2の周期で点滅する。
【0136】
このように、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0137】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0138】
図13は、第4の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。本例では、複数の放射温度計100を用いる。図13(a)は複数の放射温度計100による測定対象物Wの温度測定状況を示す。図13(b)、(c)は測定対象物Wの上面図を示す。
【0139】
図13の例では、長手形状を有する測定対象物Wの上方の所定位置に複数のヘッド部100Aを設置し、測定対象物Wの複数箇所の温度を測定する。図13(a)によれば、5つのヘッド部100Aが、測定対象物Wの長手方向に沿って等間隔に配置されている。これにより、測定対象物Wの5箇所の温度が測定される(測定箇所p1〜p5参照)。
【0140】
ここで、図13(b)に示すように、測定対象物Wの第1の部分e2の温度が他の部分に比べて極めて高く、測定対象物Wの第2の部分e3の温度が他の部分に比べてやや高い場合を想定する。すなわち、第1の部分f1の温度が第1および第2のしきい値よりも高く、第2の部分f2の温度が第1のしきい値よりも高く第2のしきい値以下である場合を想定する。
【0141】
この場合、測定箇所p5の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1および第2のしきい値よりも高いことにより第1および第2の判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を第1の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第1の周期での点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を第1の周期で点滅させる。
【0142】
一方、測定箇所p3,p4の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1のしきい値よりも高く、第2のしきい値以下であることにより第1の判定信号がオフ状態となり、第2の判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を第2の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第2の周期での点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を第1の周期よりも長い第2の周期でゆっくりと点滅させる。
【0143】
他方、測定箇所p1,p2の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1および第2のしきい値以下であることにより第1および第2の判定信号がオフ状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の消灯を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を消灯させる。
【0144】
これにより、図13(c)に示すように、測定箇所p5を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が第1の周期で点滅し、測定箇所p5が指示される。また、測定箇所p3,p4を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が第2の周期で点滅し、測定箇所p3,p4が指示される。
【0145】
その結果、使用者は、異常な温度である箇所をレーザ光の指示により容易に知ることができるとともに、異常な温度の度合いを測定箇所の点滅状態により判別できるので、実際の測定箇所の温度値を容易かつ正確に知ることができる。
【0146】
図14に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図14は、第4の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0147】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物Wの赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS61)。
【0148】
続いて、CPU34は、本体部100Bからレーザ指令信号を受信したか否かを判別する(ステップS62)。
【0149】
CPU34は、レーザ指令信号を受信した場合、レーザダイオード60,70の消灯の指令を受けたか否かを判別する(ステップS63)。CPU34は、60,70の消灯の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を消灯させる(ステップS64)。
【0150】
上記ステップS63において、CPU34は、レーザダイオード60,70の消灯の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けたか否かを判別する(ステップS65)。
【0151】
CPU34は、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を第1の周期で点滅させる(ステップS66)。CPU34は、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅の指令を受ける。それにより、CPU34はレーザダイオード60,70を第2の周期で点滅させる(ステップS67)。
【0152】
図15に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図15は、第4の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0153】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS71)。そこで、CPU93は、受信した測定温度値に関する第1の判定処理を行い(ステップS72)、第1の判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS73)。
【0154】
CPU93は、第1の判定信号がオン状態である場合、第2の判定処理を行い(ステップS74)、第2の判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS75)。
【0155】
CPU93は、第2の判定信号がオン状態である場合、第1の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅を指令する(ステップS76)。そして、CPU93は、生成した第1および第2の判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS77)。
【0156】
一方、CPU93は、第2の判定信号がオフ状態である場合、第2の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅を指令する(ステップS76)。その後、CPU93は上記ステップS77と同様の動作を行う。
【0157】
上記ステップS73において、CPU93は、第1の判定信号がオフ状態である場合、第2の判定処理を行い(ステップS84)、第2の判定信号がオン状態であるかオフ状態であるか否かを判別する(ステップS85)。
【0158】
CPU93は、第2の判定信号がオン状態である場合、第2の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅を指令する(ステップS86)。その後、CPU93は上記ステップS77と同様の動作を行う。
【0159】
一方、CPU93は、第2の判定信号がオフ状態である場合、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS88)。その後、CPU93はステップS77と同様の動作を行う。
【0160】
上記のように、第3の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定温度値が複数の条件の各々を満たすか否かが、複数のしきい値に基づいてCPU93により判定される。これにより、使用者は測定対象物Wの温度の複数の条件を複数のしきい値により容易に設定することができる。
【0161】
また、使用者は、レーザダイオード60,70の点灯状態の態様に基づいて、測定温度値が複数の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0162】
第4の実施の形態に係る放射温度計100において、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。
【0163】
例えば、第1および第2の判定信号がともにオン状態またはオフ状態である場合、ならびに、第1および第2の判定手段のいずれか一方がオン状態であり、他方がオフ状態である場合にレーザダイオード60,70をそれぞれ異なる色で点灯させてもよい。
【0164】
以上、第1〜第4の実施の形態に係る放射温度計100において、サーモパイル10および赤外線受光部11は赤外線検出手段に相当し、ヘッド部100AのCPU34は演算手段に相当し、レーザダイオード60,70は光源に相当し、ヘッド部100AのCPU34および本体部100BのCPU93は制御手段に相当し、本体部100BのCPU93は判定手段に相当し、ヘッド部100Aの表示灯36ならびに本体部100Bの外部出力回路97およびアナログ出力回路98は出力手段に相当する。
【0165】
(レーザダイオードによる測定箇所の指示形態について)
上記の第1〜第4の実施の形態において、図2のレーザダイオード60,70による測定箇所の指示形態について説明する。
【0166】
図16は、図2のレーザダイオード60,70による測定箇所の指示形態を示す図である。以下の説明において、ヘッド部100Aのレーザダイオード60,70からはそれぞれの点灯時および点滅時にレーザ光L1,L2が出射される。
【0167】
例えば、図16(a)に示すように、測定箇所SPに対してレーザ光L1により測定箇所SPの上端を指示し、レーザ光L2により測定箇所SPの下端を指示する。この場合、使用者は測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0168】
また、図16(b)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定する。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができる。
【0169】
さらに、図16(c)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定するとともに、レーザ光L1,L2を所定の広がり角で出射させる。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができるとともに、測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0170】
図16(d)に示すように、測定箇所SPの中心でリング状のレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定するとともに、レーザ光L1,L2を所定の広がり角で出射させる。この場合においても、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができるとともに、測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。なお、測定箇所SPの指示方法は、図16(a)、(b)、(c)、(d)の例に特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】第1の一実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。
【図2】図1のヘッド部のブロック図である。
【図3】図1の本体部のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射温度計の他の適用例を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図11】第3の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】第4の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図14】第4の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】第4の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】図2のレーザダイオードによる測定箇所の指示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0173】
10 サーモパイル
11 赤外線受光部
34,93 CPU
36 表示灯
60,70 レーザダイオード
97 外部出力回路
98 アナログ出力回路
100 放射温度計
100A ヘッド部
100B 本体部
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することによりその物体の温度を測定する放射温度計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出し、その赤外線エネルギーを測定対象物の放射率で補正することにより測定対象物の実際の温度を測定し、その温度値を表示する放射温度計がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような放射温度計において、測定対象物から放射される赤外線エネルギーは目に見えないため、使用者は測定対象物のどの箇所を測定しているのかを認識することができない。
【0004】
そこで、使用者が測定箇所を認識できるように、レーザダイオード(LD)または発光ダイオード(LED)等の光源を用いて測定箇所を指示できる放射温度計が開発されている。
【特許文献1】特開平7−324981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような測定箇所を指示できる放射温度計においては、電源がオン状態である間、測定箇所が光源により常に指示されるので、使用者はどのようなタイミングで光源により指示された箇所の温度が測定されているのかを認識することができない。したがって、使用者は光源により指示された箇所の温度が正確に測定されているか否かを知ることはできなかった。
【0006】
ところで、測定対象物の温度の異常を判定する放射温度計も開発されている。この放射温度計においては、測定対象物の温度が所定の温度よりも高いまたは低い場合に、判定結果として温度の正常/異常が表示される。
【0007】
このような機能を有するとともに測定箇所を指示できる放射温度計において、測定箇所と放射温度計とは一般に離れた箇所に存在する。この場合、使用者は光源の指示により測定箇所を認識できるが、測定箇所と放射温度計に表示される判定結果とを同時に見ることができない。その結果、使用者は、判定結果の確認後に測定箇所を確認したり、測定箇所の確認後に判定結果の確認を行うと、実際の測定箇所の判定結果を正確に知ることができない場合がある。
【0008】
本発明の目的は、使用者が測定箇所および測定タイミングを知ることができる放射温度計を提供することである。
【0009】
本発明の他の目的は、使用者が測定対象物の温度の判定結果および実際の測定箇所を正確に知ることができる放射温度計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、赤外線検出手段の出力信号に基づいて測定対象物の温度を算出する演算手段と、測定対象物へ光を出射する光源と、測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたものである。
【0011】
その放射温度計においては、赤外線検出手段により測定対象物からの赤外線エネルギーが検出され、演算手段により測定対象物の温度が算出される。ここで、制御手段は測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて光源の点灯状態を制御する。これにより、測定対象物の温度が算出されるタイミングで光源から測定対象物へ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物の測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0012】
演算手段により算出された温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果を出力する出力手段とをさらに備えてもよい。この場合、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが判定手段により判定され、その判定結果が出力手段により出力される。それにより、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0013】
第2の発明に係る放射温度計は、測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、赤外線検出手段の出力信号に基づいて測定対象物の温度を算出する演算手段と、測定対象物へ光を出射する光源と、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたものである。
【0014】
その放射温度計においては、赤外線検出手段により測定対象物からの赤外線エネルギーが検出され、演算手段により測定対象物の温度が算出される。そして、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが判定手段により判定される。そこで、制御手段は判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を制御する。これにより、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かに応じて光源の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所の光源による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0015】
判定手段は、演算手段により算出された測定対象物の温度および予め設定された温度のしきい値に基づいて、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定してもよい。この場合、算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かが、しきい値に基づいて判定手段により判定される。これにより、使用者は測定対象物の温度の所定の条件をしきい値により容易に設定することができる。
【0016】
しきい値は、互いに異なる複数のしきい値を含み、判定手段は、複数のしきい値に基づいて演算手段により算出された測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かを判定し、制御手段は、判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態を複数の態様で制御してもよい。
【0017】
この場合、演算手段により算出された測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かが、複数のしきい値に基づいて判定手段により判定される。これにより、使用者は測定対象物の温度の複数の条件を複数のしきい値により容易に設定することができる。
【0018】
また、制御手段により判定手段の判定結果に基づいて光源の点灯状態が複数の態様で制御されるので、使用者は、光源の点灯状態の態様に基づいて、測定対象物の温度が複数の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0019】
判定手段の判定結果を出力する出力手段をさらに備えてもよい。この場合、判定結果が出力手段により出力される。それにより、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る放射温度計によれば、測定対象物の温度が算出されるタイミングで光源から測定対象物へ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物の測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0021】
また、演算手段により算出された測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かに応じて光源の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所の光源による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態に係る放射温度計について図1〜図16に基づき説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の一実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。図1に示すように、本実施の形態に係る放射温度計100は、ヘッド部100Aおよび本体部100Bを備える。
【0024】
ヘッド部100Aおよび本体部100Bは互いにケーブル80により接続されている。また、本体部100Bはケーブル81,82を介して図示しない外部装置に接続される。
【0025】
図2は、図1のヘッド部100Aのブロック図であり、図3は図1の本体部100Bのブロック図である。
【0026】
図1に示すように、ヘッド部100Aは、サーモパイル10、プリアンプ基板20、メイン基板30、電源基板40および2つのレーザダイオード60,70を備える。
【0027】
サーモパイル10は、赤外線受光部11およびサーミスタ12を備える。プリアンプ基板20には、第1の信号増幅部21および第2の信号増幅部22が実装される。メイン基板30には、第3の信号増幅部31、アナログデジタル変換回路(以下、AD変換回路と略記する。)32,33、CPU(中央演算処理装置)34、記憶部35、表示灯36およびレーザ駆動回路37が実装される。
【0028】
電源基板40には、電源回路41、通信回路42およびレーザ駆動回路43が実装される。電源基板40には、電源線および信号線を含むケーブル80が接続されている。
【0029】
サーモパイル10において、赤外線受光部11は測定対象物から放射される赤外線エネルギーを検出する。サーミスタ12はサーモパイル10の内部温度を検出する。
【0030】
プリアンプ基板20において、第1の信号増幅部21は赤外線受光部11の出力信号を増幅する。第2の信号増幅部22はサーミスタ12の出力信号を増幅する。
【0031】
メイン基板30において、第3の信号増幅部31は第1の信号増幅部21の出力信号を増幅する。AD変換回路32は、第3の信号増幅部31の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号を測定対象物の検出温度値としてCPU34へ与える。
【0032】
AD変換回路33は、第2の信号増幅部22の出力信号をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号をサーモパイル10の内部温度値としてCPU34へ与える。
【0033】
記憶部35には、サーモパイル10に関する情報およびCPU34が測定対象物の温度を算出するための演算式等が記憶されている。サーモパイル10に関する情報とは、例えば、赤外線受光部11のゲインおよびオフセット値、サーミスタ12のゲインおよびオフセット値、ならびにサーモパイルの測定温度範囲等である。
【0034】
CPU34には、本体部100Bからケーブル80および通信回路42を通じて、測定対象物の放射率、後述の判定信号およびレーザ指令信号が与えられる。CPU34は、AD変換回路32から与えられる検出温度値、AD変換回路33から与えられる内部温度値、本体部100Bから与えられた放射率、ならびに記憶部35に記憶された種々の情報および演算式に基づいて測定対象物の実際の温度値(以下、測定温度値と呼ぶ。)を算出する。そして、CPU34は測定温度値を通信回路42およびケーブル80を通じて本体部100Bに与える。
【0035】
また、CPU34は、AD変換回路32の出力信号のレベルに基づいて第3の信号増幅部31のゲインをフィードバック制御する。
【0036】
さらに、CPU34は、表示灯36、レーザ駆動回路37および電源基板40のレーザ駆動回路43の動作を制御する。表示灯36は、CPU34の制御により後述の判定信号のオン状態またはオフ状態を点灯または消灯により表示する。レーザ駆動回路37は、CPU34の制御によりレーザダイオード60を駆動する。
【0037】
電源基板40において、電源回路41は本体部100Bからケーブル80を通じて与えられる電力をヘッド部100Aの各構成部に供給する。
【0038】
通信回路42およびレーザ駆動回路43は、メイン基板30のCPU34と接続されている。
【0039】
通信回路42は、上述のように、ケーブル80を介してCPU34と本体部100Bとの間で通信を行う。レーザ駆動回路43は、CPU34の制御によりレーザダイオード70を駆動する。レーザダイオード60,70から出射されるレーザ光は測定対象物の測定箇所に照射される。
【0040】
図3に示すように、本体部100Bは、電源回路91、通信回路92、CPU93、表示部94、記憶部95、操作設定部96、外部出力回路97、アナログ出力回路98および外部入力回路99を備える。
【0041】
電源回路91および通信回路92にはケーブル80が接続されている。電源回路91は、電池等の電力供給源を備え、その電力を本体部100Bの各構成部およびヘッド部100Aに供給する。通信回路92は、ケーブル80を介してCPU93とヘッド部100Aとの間で通信を行う。
【0042】
記憶部95は、測定対象物の放射率、演算式および判定のためのしきい値等を記憶する。使用者は、操作設定部96を操作することにより測定対象物の放射率およびしきい値等を設定することができる。設定された放射率およびしきい値等は記憶部95に記憶される。
【0043】
CPU93は、本体部100Bの各構成部の動作を制御する。また、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値と記憶部95に記憶されるしきい値との大小関係を判定し、判定結果に基づく判定信号を生成し、外部出力回路97を介してケーブル81に出力する。また、CPU93は、判定信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。
【0044】
判定信号は、例えば、測定温度値がしきい値よりも高い場合にオン状態(例えば、ハイレベル)となり、測定温度値がしきい値以下の場合にオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0045】
さらに、CPU93は、ヘッド部100Aから与えられる測定温度値を外部出力回路97を介してケーブル81に出力するとともに、測定温度値に対応するアナログ信号をアナログ出力回路98を介してケーブル81に出力する。
【0046】
外部入力回路99は、CPU93に接続されるとともに、ケーブル82を介して図示しない外部装置に接続されている。外部入力回路99には、外部装置から外部信号が入力される。この、外部信号は、ヘッド部100Aのレーザダイオード60,70の駆動を制御するための信号である。
【0047】
外部入力回路99は、入力された外部信号をCPU93に与える。CPU93は、外部信号のオン状態(例えば、ハイレベル)またはオフ状態(例えば、ローレベル)に基づいて、レーザダイオード60,70の点灯および消灯を指令するレーザ指令信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。
【0048】
本実施の形態においては、レーザダイオード60,70の点灯が指令される場合にレーザ指令信号がオン状態(例えば、ハイレベル)となる。また、レーザダイオード60,70の消灯が指令される場合にレーザ指令信号がオフ状態(例えば、ローレベル)となる。
【0049】
これにより、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、外部信号に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0050】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0051】
図4は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。
【0052】
図4の例では、ベルトコンベアBRの上方の所定位置にヘッド部100Aを設置し、ベルトコンベアBRにより搬送される測定対象物Wの温度を測定する。
【0053】
図4(a)および図4(b)に示すように、ベルトコンベアBR上では複数の測定対象物Wが互いに所定の間隔を保ちつつ矢印Tの方向に搬送されている。
【0054】
本例において、ヘッド部100Aはその直下に位置する測定対象物WまたはベルトコンベアBRから放射される赤外線を受光し、測定温度値を算出する。ベルトコンベアBRにより測定対象物Wが搬送されると、ヘッド部100Aには測定対象物Wから放射される赤外線Rと、ベルトコンベアBRから放射される赤外線Rとが交互に入射される。
【0055】
ここで、図4(a)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wがその直下に位置するときのみレーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射する(レーザダイオード60,70の点灯)。一方、図4(b)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wがその直下に位置しない場合、レーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射しない(レーザダイオード60,70の消灯)。
【0056】
上述のように、レーザダイオード60,70の点灯および消灯の切替は、本体部100Bに入力される外部信号により制御される。外部信号のオン/オフ状態の切り替わりはベルトコンベアBRによる測定対象物Wの搬送に同期している。本例において、外部信号はヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wが位置しないタイミングでオフ状態となる。
【0057】
本体部100BのCPU93(図3)は、外部信号がオン状態になると、レーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0058】
一方、本体部100BのCPU93は、外部信号がオフ状態になると、レーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100AのCPU34へ出力する。そこで、CPU34はオフ状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を消灯させる。
【0059】
これにより、使用者は、測定対象物Wの測定温度値が算出されるタイミングでレーザダイオード60,70により測定箇所が指示されるので、測定対象物Wの測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0060】
図5は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の他の適用例を説明するための図である。図5の適用例は、以下の点で図4の適用例と異なる。
【0061】
図5の例では、測定対象物Wが球形状を有する。本例において、外部信号はヘッド部100Aの直下に測定対象物Wの中央部が位置するタイミングでオン状態となり、ヘッド部100Aの直下に測定対象物Wの中央部が位置しないタイミングでオフ状態となる。
【0062】
それにより、図5(a)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wの中央部がその直下に位置するときのみレーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射する(レーザダイオード60,70の点灯)。一方、図5(b)に示すように、ヘッド部100Aは測定対象物Wの中央部がその直下に位置しない場合、レーザダイオード60,70からレーザ光Lを出射しない(レーザダイオード60,70の消灯)。
【0063】
一般に、測定対象物Wの放射率は赤外線の放射方向に応じて変化する。したがって、複数の測定対象物Wの測定温度値を正確に得たい場合、測定温度値は各測定対象物Wから垂直方向に放射される赤外線により算出することが好ましい。
【0064】
上記のように、測定対象物Wの中央部の測定温度値を算出するときのみレーザダイオード60,70が点灯し、測定箇所が指示されることにより、使用者は、測定対象物Wの測定箇所を正確に知ることができるとともに、その測定タイミングを容易に知ることができる。それにより、正確に測定対象物Wの温度測定が行われているか否かを容易に認識することができる。
【0065】
図6に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図6は、第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0066】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物Wの赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS11)。
【0067】
続いて、CPU34は、本体部100Bからレーザ指令信号を受信したか否かを判定する(ステップS12)。
【0068】
CPU34は、レーザ指令信号を受信した場合、レーザ指令信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS13)。
【0069】
CPU34は、レーザ指令信号がオン状態である場合、レーザ駆動回路37,43(図2)を制御することによりレーザダイオード60,70を点灯させる(ステップS14)。
【0070】
一方、CPU34は、レーザ指令信号がオフ状態である場合、レーザ駆動回路37,43を制御することによりレーザダイオード60,70を消灯させる(ステップS15)。
【0071】
図7に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図7は、第1の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0072】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信するとともに、ケーブル82を介して接続された外部装置(図示せず)から外部信号を受信する(ステップS21)。そこで、CPU93は、外部信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS22)。
【0073】
CPU93は、外部信号がオン状態である場合、オン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点灯を指令する(ステップS23)。一方、CPU93は、外部信号がオン状態でない場合(オフ状態である場合)、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS24)。
【0074】
続いて、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS25)。この判定処理とは、受信した測定温度値が記憶部95に記憶されるしきい値よりも高いか否かを判定することにより、オン状態またはオフ状態の判定信号を生成する処理をいう。
【0075】
そこで、CPU93は、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS26)。
【0076】
上記のように、第1の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定対象物Wの温度が算出されるタイミングでレーザダイオード60,70から測定対象物Wへレーザ光が出射され、測定箇所が指示される。それにより、使用者は、測定対象物Wの測定箇所および測定タイミングを容易に知ることができる。
【0077】
また、測定温度値が所定の条件を満たすか否かがCPU93により判定され、その判定結果が出力されるので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0078】
第1の実施の形態に係る放射温度計100において、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、外部信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、外部信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0079】
本実施の形態に係る放射温度計100において、外部信号を本体部100Bに入力する外部装置は、例えば、測定対象物Wを検出するセンサであってもよい。この場合、センサが測定対象物Wを検出することにより、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりを測定対象物Wの搬送に同期させることが容易となる。
【0080】
また、外部装置は、ベルトコンベアBRの搬送速度を制御する制御装置であってもよい。この場合においても、外部信号のオン/オフ状態の切り替わりを測定対象物Wの搬送に同期させることが容易となる。
【0081】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第1の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0082】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93(図3)は、判定信号のオン/オフ状態に基づいてレーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0083】
これにより、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、判定信号のオン/オフ状態に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0084】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0085】
図8は、第2の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。本例では、複数の放射温度計100を用いる。図8(a)は複数の放射温度計100による測定対象物Wの温度測定状況を示す。図8(b)、(c)は測定対象物Wの上面図を示す。
【0086】
図8の例では、長手形状を有する測定対象物Wの上方における所定位置に複数のヘッド部100Aを設置し、測定対象物Wの複数箇所の温度を測定する。図8(a)によれば、5つのヘッド部100Aが、測定対象物Wの長手方向に沿って等間隔に配置されている。これにより、測定対象物Wの5箇所の温度が測定される(測定箇所p1〜p5参照)。
【0087】
ここで、図8(b)に示すように、測定対象物Wの特定部分e1の温度が他の部分に比べて高い場合を想定する。すなわち、特定部分e1の温度が図3の記憶部95に記憶されたしきい値よりも高く、他の部分の温度がしきい値以下である場合を想定する。
【0088】
この場合、測定箇所p4の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値がしきい値よりも高いことにより判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93はレーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0089】
一方、測定箇所p1,p2,p3,p5の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値がしきい値以下であることにより判定信号がオフ状態となる。これにより、本体部100BのCPU93はレーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100AのCPU34へ出力する。そこで、CPU34はオフ状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を消灯させる。
【0090】
その結果、図8(c)に示すように、複数の放射温度計100のうち、測定箇所p4の温度を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が点灯し、測定箇所p4がレーザ光により指示される。
【0091】
これにより、使用者は、異常な温度である箇所をレーザ光の指示により容易に知ることができる。換言すれば、使用者は、測定対象物Wの温度の判定結果および実際の測定箇所を正確に知ることができる。
【0092】
第2の実施の形態において、放射温度計100のヘッド部100Aの動作は、第1の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作と同じである。
【0093】
図9に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図9は、第2の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0094】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS31)。そこで、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS32)。この判定処理は、第1の実施の形態と同様である。
【0095】
次に、CPU93は、判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS33)。
【0096】
CPU93は、判定信号がオン状態である場合、オン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点灯を指令する(ステップS34)。一方、CPU93は判定信号がオン状態でない場合(オフ状態である場合)、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS35)。
【0097】
CPU93は、上記のステップS34,S35の動作の後、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS36)。
【0098】
上記のように、第2の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定温度値が所定の条件を満たすか否かに応じてレーザダイオード60,70の点灯状態が変化する。それにより、測定箇所のレーザ光による指示状態が変化するので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0099】
また、測定温度値が所定の条件を満たすか否かが、しきい値に基づいてCPU93により判定される。これにより、使用者は測定対象物Wの温度の所定の条件をしきい値により容易に設定することができる。
【0100】
さらに、測定温度値が所定の条件を満たすか否かがCPU93により判定され、その判定結果が出力されるので、使用者は、測定対象物Wの温度が所定の条件を満たすか否かを容易に知ることができる。
【0101】
第2の実施の形態に係る放射温度計100において、判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、判定信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、判定信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0102】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第2の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0103】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93(図3)は、電源のオン/オフ状態ならびに判定信号のオン/オフ状態に基づいて、レーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0104】
本実施の形態において、レーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えは、例えば次のように行われる。
【0105】
初めに、CPU93は電源がオン状態となることによりレーザ指令信号をオン状態とする。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点灯する。
【0106】
ここで、CPU93は、判定信号がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを繰り返す。この切り替えは所定の周期で行われる。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点滅する。
【0107】
一方、CPU93は、判定信号がオフ状態である場合にレーザ指令信号をオン状態とする。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が点灯する。
【0108】
このように、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、電源のオン/オフ状態ならびに判定信号のオン/オフ状態に基づくレーザ指令信号によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0109】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0110】
図10は、第3の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。図10(a)は放射温度計100による測定対象物W1〜W4の温度測定状況を示す。図10(b)、(c)はベルトコンベアBRにより搬送される複数の測定対象物W1〜W4の上面図を示す。
【0111】
図10の例では、ベルトコンベアBRの上方の所定位置にヘッド部100Aを設置し、ベルトコンベアBRにより搬送される測定対象物W1〜W4の温度を測定する。
【0112】
なお、以下の説明において、測定対象物W3の温度は他の測定対象物W1,W2,W4の温度に比べて高い温度を有するものとする。すなわち、測定対象物W3の温度は本体部100Bの記憶部95(図3)に記憶されたしきい値よりも高い温度を有し、他の測定対象物W1,W2,W4の温度はしきい値以下の温度を有するものとする。
【0113】
図10(a)に示すように、ベルトコンベアBR上では複数の測定対象物W1〜W4が互いに所定の間隔を保ちつつ矢印Tの方向に搬送されている。
【0114】
本例において、ヘッド部100Aはその直下に位置する測定対象物W1〜W4またはベルトコンベアBRから放射される赤外線Rを受光し、測定温度値を算出する。ベルトコンベアBRにより測定対象物W1〜W4が搬送されると、ヘッド部100Aには測定対象物W1〜W4から放射される赤外線Rと、ベルトコンベアBRから放射される赤外線Rとが交互に入射される。
【0115】
本体部100BのCPU93は、放射温度計100の電源がオン状態となると、レーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100AのCPU34(図2)へ出力する。そこで、CPU34はオン状態のレーザ指令信号に応答してレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0116】
ここで、図10(b)に示すように、本体部100BのCPU93は、測定対象物W1,W2,W4の温度測定時においては、それぞれの温度がしきい値以下であることにより判定信号をオフ状態とする。この場合、CPU93は、上述のようにレーザ指令信号をオン状態とし、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点灯を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60,70を点灯させる。
【0117】
一方、図10(c)に示すように、本体部100BのCPU93は、測定対象物W3の温度測定時においては、その温度がしきい値よりも高いことにより判定信号をオン状態とする。この場合、CPU93は、上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を所定の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60,70を点滅させる。
【0118】
これにより、使用者は、測定対象物W1〜W4の測定温度値がしきい値よりも高い場合にレーザダイオード60,70の点灯状態が変化するので、異常な温度である測定対象物W3をレーザ光の点滅により容易に知ることができる。換言すれば、使用者は、測定対象物W1〜W4の温度の判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0119】
図11に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図11は、第3の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0120】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、本体部100Bからオン状態のレーザ指令信号を受信し、レーザ駆動回路37,43(図2)を制御することによりレーザダイオード60,70を点灯させる(ステップS41)。
【0121】
次に、CPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物W1〜W4の赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS42)。
【0122】
ここで、CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けたか否かを判別する(ステップS43)。CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を点滅させる(ステップS44)。一方、CPU34は、レーザダイオード60,70の点滅の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の点灯状態を維持する(ステップS45)。
【0123】
図12に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図12は、第3の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0124】
初めに、本体部100BのCPU93は、電源のオンに応答してオン状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する(ステップS51)。次に、CPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS52)。そして、CPU93は、受信した測定温度値に関する判定処理を行う(ステップS53)。この判定処理は、第1の実施の形態における判定処理と同じである。
【0125】
続いて、CPU93は、生成した判定信号がオン状態であるかオフ状態であるかを判別する(ステップS54)。
【0126】
CPU93は、判定信号がオン状態である場合、所定の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の点滅を指令する(ステップS55)。そして、CPU93は、生成した判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS56)。
【0127】
上記ステップS54において、判定信号がオフ状態である場合、CPU93はレーザダイオード60,70の点滅を指令することなく上記ステップS56の動作を行う。
【0128】
第3の実施の形態に係る放射温度計100においても、判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。例えば、判定信号のオン時またはオフ時にレーザダイオード60,70を点滅させてもよく、判定信号のオン時とオフ時とでレーザダイオード60,70を異なる色で点灯させてもよい。
【0129】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態に係る放射温度計は以下の点を除き、第2の実施の形態に係る放射温度計100と同じ構成および動作を有する。
【0130】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100Bの記憶部95(図3)には第1のしきい値および第1のしきい値よりも高い第2のしきい値が記憶されている。それにより、本体部100BのCPU93(図3)は、第1のしきい値に基づいて第1の判定処理を行い、第1の判定結果として第1の判定信号を生成する。また、本体部100BのCPU93は、第2のしきい値に基づいて第2の判定処理を行い、第2の判定結果として第2の判定信号を生成する。
【0131】
CPU93は、生成した第1および第2の判定信号を通信回路92を介してケーブル80に出力する。また、CPU93は、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態に応じて第1のレーザ指令信号、第2のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0132】
本実施の形態に係る放射温度計100において、本体部100BのCPU93は、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態に基づいてレーザ指令信号のオン/オフ状態を切り替えるとともに、そのレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信する。
【0133】
本実施の形態において、レーザ指令信号のオン/オフの切り替えは、例えば次のように行われる。
【0134】
CPU93は、第1および第2の判定信号がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを第1の周期で繰り返す。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第1の周期での点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が第1の周期で点滅する。
【0135】
一方、CPU93は、第1および第2の判定信号のいずれか一方がオン状態である場合にレーザ指令信号のオン/オフ状態の切り替えを第2の周期で繰り返す。この第2の周期は上述の第1の周期よりも長い。これにより、CPU93はヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第2の周期での点滅を指令する。それにより、レーザダイオード60,70が第2の周期で点滅する。
【0136】
このように、本実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aにおいては、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態によりレーザダイオード60,70の点灯状態が制御される。
【0137】
本実施の形態に係る放射温度計100は、例えば以下のように用いられる。
【0138】
図13は、第4の実施の形態に係る放射温度計100の一適用例を説明するための図である。本例では、複数の放射温度計100を用いる。図13(a)は複数の放射温度計100による測定対象物Wの温度測定状況を示す。図13(b)、(c)は測定対象物Wの上面図を示す。
【0139】
図13の例では、長手形状を有する測定対象物Wの上方の所定位置に複数のヘッド部100Aを設置し、測定対象物Wの複数箇所の温度を測定する。図13(a)によれば、5つのヘッド部100Aが、測定対象物Wの長手方向に沿って等間隔に配置されている。これにより、測定対象物Wの5箇所の温度が測定される(測定箇所p1〜p5参照)。
【0140】
ここで、図13(b)に示すように、測定対象物Wの第1の部分e2の温度が他の部分に比べて極めて高く、測定対象物Wの第2の部分e3の温度が他の部分に比べてやや高い場合を想定する。すなわち、第1の部分f1の温度が第1および第2のしきい値よりも高く、第2の部分f2の温度が第1のしきい値よりも高く第2のしきい値以下である場合を想定する。
【0141】
この場合、測定箇所p5の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1および第2のしきい値よりも高いことにより第1および第2の判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を第1の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第1の周期での点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を第1の周期で点滅させる。
【0142】
一方、測定箇所p3,p4の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1のしきい値よりも高く、第2のしきい値以下であることにより第1の判定信号がオフ状態となり、第2の判定信号がオン状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号のオン/オフ状態を第2の周期で切り替え、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の第2の周期での点滅を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を第1の周期よりも長い第2の周期でゆっくりと点滅させる。
【0143】
他方、測定箇所p1,p2の温度を測定する放射温度計100においては、測定温度値が第1および第2のしきい値以下であることにより第1および第2の判定信号がオフ状態となる。これにより、本体部100BのCPU93は上述のようにレーザ指令信号をオフ状態とし、ヘッド部100Aにレーザダイオード60,70の消灯を指令する。それにより、CPU93はレーザダイオード60およびレーザダイオード70を消灯させる。
【0144】
これにより、図13(c)に示すように、測定箇所p5を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が第1の周期で点滅し、測定箇所p5が指示される。また、測定箇所p3,p4を測定するヘッド部100Aのレーザダイオード60,70が第2の周期で点滅し、測定箇所p3,p4が指示される。
【0145】
その結果、使用者は、異常な温度である箇所をレーザ光の指示により容易に知ることができるとともに、異常な温度の度合いを測定箇所の点滅状態により判別できるので、実際の測定箇所の温度値を容易かつ正確に知ることができる。
【0146】
図14に基づいて、放射温度計100のヘッド部100Aの動作について説明する。図14は、第4の実施の形態に係る放射温度計100のヘッド部100Aの動作を説明するためのフローチャートである。
【0147】
初めに、ヘッド部100AのCPU34は、赤外線受光部11(図2)により検出された測定対象物Wの赤外線エネルギーに基づいて測定温度値を算出し、測定温度値を本体部100Bへ送信する(ステップS61)。
【0148】
続いて、CPU34は、本体部100Bからレーザ指令信号を受信したか否かを判別する(ステップS62)。
【0149】
CPU34は、レーザ指令信号を受信した場合、レーザダイオード60,70の消灯の指令を受けたか否かを判別する(ステップS63)。CPU34は、60,70の消灯の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を消灯させる(ステップS64)。
【0150】
上記ステップS63において、CPU34は、レーザダイオード60,70の消灯の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けたか否かを判別する(ステップS65)。
【0151】
CPU34は、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けた場合、レーザダイオード60,70を第1の周期で点滅させる(ステップS66)。CPU34は、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅の指令を受けない場合、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅の指令を受ける。それにより、CPU34はレーザダイオード60,70を第2の周期で点滅させる(ステップS67)。
【0152】
図15に基づいて、放射温度計100の本体部100Bの動作について説明する。図15は、第4の実施の形態に係る放射温度計100の本体部100Bの動作を説明するためのフローチャートである。
【0153】
初めに、本体部100BのCPU93は、ヘッド部100Aから測定温度値を受信する(ステップS71)。そこで、CPU93は、受信した測定温度値に関する第1の判定処理を行い(ステップS72)、第1の判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS73)。
【0154】
CPU93は、第1の判定信号がオン状態である場合、第2の判定処理を行い(ステップS74)、第2の判定信号がオン状態であるか否かを判別する(ステップS75)。
【0155】
CPU93は、第2の判定信号がオン状態である場合、第1の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第1の周期の点滅を指令する(ステップS76)。そして、CPU93は、生成した第1および第2の判定信号をヘッド部100Aへ送信するとともに、ケーブル81を介して接続された外部装置(図示せず)へ送信する(ステップS77)。
【0156】
一方、CPU93は、第2の判定信号がオフ状態である場合、第2の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅を指令する(ステップS76)。その後、CPU93は上記ステップS77と同様の動作を行う。
【0157】
上記ステップS73において、CPU93は、第1の判定信号がオフ状態である場合、第2の判定処理を行い(ステップS84)、第2の判定信号がオン状態であるかオフ状態であるか否かを判別する(ステップS85)。
【0158】
CPU93は、第2の判定信号がオン状態である場合、第2の周期でオン/オフ状態が切り替わるレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の第2の周期の点滅を指令する(ステップS86)。その後、CPU93は上記ステップS77と同様の動作を行う。
【0159】
一方、CPU93は、第2の判定信号がオフ状態である場合、オフ状態のレーザ指令信号をヘッド部100Aへ送信し、レーザダイオード60,70の消灯を指令する(ステップS88)。その後、CPU93はステップS77と同様の動作を行う。
【0160】
上記のように、第3の実施の形態に係る放射温度計100によれば、測定温度値が複数の条件の各々を満たすか否かが、複数のしきい値に基づいてCPU93により判定される。これにより、使用者は測定対象物Wの温度の複数の条件を複数のしきい値により容易に設定することができる。
【0161】
また、使用者は、レーザダイオード60,70の点灯状態の態様に基づいて、測定温度値が複数の条件を満たすか否かの判定結果および実際の測定箇所を容易かつ正確に知ることができる。
【0162】
第4の実施の形態に係る放射温度計100において、第1および第2の判定信号のオン/オフ状態の切り替わりに基づくレーザダイオード60,70の点灯状態の態様は任意に設定可能である。
【0163】
例えば、第1および第2の判定信号がともにオン状態またはオフ状態である場合、ならびに、第1および第2の判定手段のいずれか一方がオン状態であり、他方がオフ状態である場合にレーザダイオード60,70をそれぞれ異なる色で点灯させてもよい。
【0164】
以上、第1〜第4の実施の形態に係る放射温度計100において、サーモパイル10および赤外線受光部11は赤外線検出手段に相当し、ヘッド部100AのCPU34は演算手段に相当し、レーザダイオード60,70は光源に相当し、ヘッド部100AのCPU34および本体部100BのCPU93は制御手段に相当し、本体部100BのCPU93は判定手段に相当し、ヘッド部100Aの表示灯36ならびに本体部100Bの外部出力回路97およびアナログ出力回路98は出力手段に相当する。
【0165】
(レーザダイオードによる測定箇所の指示形態について)
上記の第1〜第4の実施の形態において、図2のレーザダイオード60,70による測定箇所の指示形態について説明する。
【0166】
図16は、図2のレーザダイオード60,70による測定箇所の指示形態を示す図である。以下の説明において、ヘッド部100Aのレーザダイオード60,70からはそれぞれの点灯時および点滅時にレーザ光L1,L2が出射される。
【0167】
例えば、図16(a)に示すように、測定箇所SPに対してレーザ光L1により測定箇所SPの上端を指示し、レーザ光L2により測定箇所SPの下端を指示する。この場合、使用者は測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0168】
また、図16(b)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定する。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができる。
【0169】
さらに、図16(c)に示すように、測定箇所SPの中心でレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定するとともに、レーザ光L1,L2を所定の広がり角で出射させる。この場合、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができるとともに、測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。
【0170】
図16(d)に示すように、測定箇所SPの中心でリング状のレーザ光L1およびレーザ光L2が交差するようにレーザダイオード60およびレーザダイオード70の出射角度を設定するとともに、レーザ光L1,L2を所定の広がり角で出射させる。この場合においても、使用者はヘッド部100Aおよび測定対象個所SP間の距離Qが適正であるかを容易に知ることができるとともに、測定箇所SPの範囲を容易に知ることができる。なお、測定箇所SPの指示方法は、図16(a)、(b)、(c)、(d)の例に特に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本発明は、物体から放射される赤外線エネルギーを検出することに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0172】
【図1】第1の一実施の形態に係る放射温度計のブロック図である。
【図2】図1のヘッド部のブロック図である。
【図3】図1の本体部のブロック図である。
【図4】第1の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態に係る放射温度計の他の適用例を説明するための図である。
【図6】第1の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図7】第1の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第2の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図9】第2の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図10】第3の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図11】第3の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図13】第4の実施の形態に係る放射温度計の一適用例を説明するための図である。
【図14】第4の実施の形態に係る放射温度計のヘッド部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図15】第4の実施の形態に係る放射温度計の本体部の動作を説明するためのフローチャートである。
【図16】図2のレーザダイオードによる測定箇所の指示形態を示す図である。
【符号の説明】
【0173】
10 サーモパイル
11 赤外線受光部
34,93 CPU
36 表示灯
60,70 レーザダイオード
97 外部出力回路
98 アナログ出力回路
100 放射温度計
100A ヘッド部
100B 本体部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
前記測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記赤外線検出手段の出力信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出する演算手段と、
前記測定対象物へ光を出射する光源と、
前記測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて前記光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする放射温度計。
【請求項2】
前記演算手段により算出された温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の放射温度計。
【請求項3】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
前記測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記赤外線検出手段の出力信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出する演算手段と、
前記測定対象物へ光を出射する光源と、
前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする放射温度計。
【請求項4】
前記判定手段は、前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度および予め設定された温度のしきい値に基づいて、前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項3記載の放射温度計。
【請求項5】
前記しきい値は、互いに異なる複数のしきい値を含み、
前記判定手段は、前記複数のしきい値に基づいて前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて前記光源の点灯状態を複数の態様で制御することを特徴とする請求項4記載の放射温度計。
【請求項6】
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の放射温度計。
【請求項1】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
前記測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記赤外線検出手段の出力信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出する演算手段と、
前記測定対象物へ光を出射する光源と、
前記測定対象物の測定タイミングを示す外部信号に基づいて前記光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする放射温度計。
【請求項2】
前記演算手段により算出された温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段とをさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の放射温度計。
【請求項3】
測定対象物の温度を測定する放射温度計であって、
前記測定対象物からの赤外線エネルギーを検出する赤外線検出手段と、
前記赤外線検出手段の出力信号に基づいて前記測定対象物の温度を算出する演算手段と、
前記測定対象物へ光を出射する光源と、
前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に基づいて前記光源の点灯状態を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする放射温度計。
【請求項4】
前記判定手段は、前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度および予め設定された温度のしきい値に基づいて、前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が所定の条件を満たすか否かを判定することを特徴とする請求項3記載の放射温度計。
【請求項5】
前記しきい値は、互いに異なる複数のしきい値を含み、
前記判定手段は、前記複数のしきい値に基づいて前記演算手段により算出された前記測定対象物の温度が複数の条件の各々を満たすか否かを判定し、
前記制御手段は、前記判定手段の判定結果に基づいて前記光源の点灯状態を複数の態様で制御することを特徴とする請求項4記載の放射温度計。
【請求項6】
前記判定手段の判定結果を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の放射温度計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−226781(P2006−226781A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39516(P2005−39516)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000129253)株式会社キーエンス (681)
【Fターム(参考)】
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