説明

放射状多分岐高分子及びこれを用いた多孔性膜

本発明は、新規構造の放射状多分岐高分子に関し、より詳しくは、中心分子に側枝が3箇所以上結合された平均分子量500〜100,000の範囲の多分岐高分子であって、ポリアルキレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの誘導体を側枝としてもっている放射状多分岐ポロゲンに関し、これを低誘電絶縁膜の製造に適用すれば、微細気孔の調節が容易な低誘電絶縁膜が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規構造の放射状多分岐高分子に関し、より詳しくは、中心分子(A)に側枝(B)が3箇所以上結合された平均分子量500〜100,000の範囲の多分岐高分子であって、下記一般式(I)で示されるポリアルキレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、またはそれらの誘導体を側枝としてもっている放射状多分岐ポロゲン(porogen)に関する。
ABi(I)
前記式中、中心分子(A)は、
【0002】
【化1】

からなる群より選ばれ(ここで、Xは、HまたはCHから選ばれる)、側枝(B)は、−Rまたは
【0003】
【化2】

であり、ここで、Rは、下記のR〜Rからなる群より選ばれ、
は、(OCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZから選ばれ、
は、OCOC(CH(CHCQ(COZ))Wであり、
は、(O(CHCO)OZであり、
は、(NH(CHCO)NZであり、
ここで、n、m、kは、0〜200の定数であり、
Qは、H、CH、CHCH、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Wは、Br、I、Hから選ばれ、
Zは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、vinyl(−CH=CH)、−CCH、プロパルギル、アリル、ベンジル、アセチル(COCH)、プロピオニル、イソブチリル、ネオペンチリル、CHCHCHSi(OMe)、CHCHCHSi(OEt)、CHCHCHSiMe(OMe)、CHCHCHSiMe(OEt)、CHCHCHSi(OMe)Me、CHCHCHSi(OEt)Me、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Yは、中心分子と側枝とを連結する基であり、OまたはOCHから選ばれ、
iは、3以上の自然数である。
【背景技術】
【0004】
最近、ナノサイズの球状構造を有する高分子物質に関する関心が高まっており、これに関連して、電子、バイオ、機能性高分子及び添加剤等の応用分野も拡大しつつある。
【0005】
最近、半導体素子の高集積化に伴い金属配線ピッチが狭まりつつあり、この結果、伝搬遅延、クロストーク、ワット損(power dissipation)のような問題点が生じ得る。これを解決するために、RC遅延(RC delay)を小さくする方法が優先的に考えられるが、金属配線材料の抵抗を下げ、各金属配線間のコンダクタンスを下げる方法が用いられている。このために、伝導度のよいCuを金属配線の材料として使用したり、金属配線間に絶縁性のよい材料を使用することが一般的な方法として知られている。現在に使用されている絶縁物質の大半は、誘電定数が4.0のシリコンオキサイド系であって、この誘電定数を2.2または2.0以下に下げることが究極的な目標とされている。
【0006】
誘電定数が2.2またはそれ以下の絶縁薄膜を得るべく絶縁膜内に気孔を導入する方法が工夫されているが、かかる気孔の生成に使用される物質をポロゲン(porogen、pore generator;気孔形成有機高分子)と呼んでおり、主に焼成による方法にて気孔を形成している。なお、気孔形成物質としては、直鎖状高分子のポリカプロラクトンまたはポリアクリレート及び側枝が多数個付いている分岐ポリエステル等が使用されていたが、適合ではなく、これを改善する必要がある。
【0007】
気孔の形成に使用した分岐またはデンドリマーの場合、分子量、分子量の分布、微細構造等の調節が難しく、均一なサイズの微細気孔の形成が困難である。また、架橋ナノ粒子高分子を用いてナノ気孔を形成した例もあるが、これもまた、均一なサイズのナノ粒子の製造が容易ではなく、熱分解の時に残留物が存在する可能性がある。
【特許文献1】日本国特開平1995−242722号公報
【特許文献2】韓国特許出願第2002−80196号明細書
【特許文献3】韓国出願第2002−80196号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、前記した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、合成し易く且つ分子量の分布が狭く、また微細ナノ構造の制御が容易な新規の放射状多分岐構造を有する高分子;及び前記新規の放射状多分岐高分子を用いて製造した絶縁膜を提供することをその目的とする。
【0009】
一方、本発明者らは、相分離が抑えられ、気孔の大きさが小さく、均一な分布の気孔を有し、また、絶縁膜の強度及び/または誘電率をよくするために、従来の気孔形成物質が直鎖状または棒状構造をもつのに対し、できる限り球状構造をもつ気孔形成物質を提供しようとした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
気孔形成物質を中心分子と側枝とから構成し、側枝を付ける時における優れた反応性により、均一な分子量の分布のみならず、生産性の向上、及び大量生産が容易になり、回転自在な(free roration)中心分子としてベンジル基を選択し側枝をなるべく対称的に連結することにより、球状構造の気孔形成物質を提供しようとし、その一例が、本発明の一般式1で示される放射状多分岐高分子である。
【0011】
本発明は、中心分子(A)に側枝(B)が3箇所以上結合された多分岐高分子であって、下記一般式1で示されるポリアルキレンオキサイド、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミドまたはそれらの誘導体を側枝として有している放射状多分岐高分子及びこれをポロゲンとして利用して製造した低誘電絶縁膜を提供する。
ABi (式1)
前記式中、中心分子(A)は、
【0012】
【化3】

からなる群より選ばれ(ここで、Xは、HまたはCHから選ばれる)、
側枝(B)は、−Rまたは
【0013】
【化4】

であり、ここで、Rは、下記のR〜Rからなる群より選ばれる。
は、(OCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZから選ばれ、
は、OCOC(CH(CHCQ(COZ))Wであり、
は、(O(CHCO)OZであり、
は、(NH(CHCO)NZであり、
ここで、n、m、kは、0〜200の定数であり、
Qは、H、CH、CHCH、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Wは、Br、I、Hから選ばれ、
Zは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ビニル(−CH=CH)、−CCH、プロパルギル、アリル、ベンジル、アセチル(COCH)、プロピオニル、イソブチリル、ネオペンチリル、CHCHCHSi(OMe)、CHCHCHSi(OEt)、CHCHCHSiMe(OMe)、CHCHCHSiMe(OEt)、CHCHCHSi(OMe)Me、CHCHCHSi(OEt)Me、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Yは、中心分子と側枝とを連結する基であり、OまたはOCHから選ばれ、
iは、3以上の自然数である。
【0014】
有機溶媒に有機ポリシロキサンとポロゲンを一緒に溶け込ませて溶液を調製するに際し、有機ポリシロキサンとポロゲンとがよく混ざり合う必要があり、このために最も重要なことは、両者間の相互作用が起こらなければならないということであり、このためには、R、R、R、R、Q、W、Z等の位置に前記のようにヘテロ原子を適宜使用しなければならない。
【0015】
本発明の放射状高分子の平均分子量は、500〜100,000の範囲が適当であり、好ましくは、500〜50,000の範囲である。分子量が500未満であれば、効率よい気孔の形成を行うことができず、また100,000を超えれば、マトリックス樹脂との相容性が低下し、非常に小さい微細気孔の形成が困難である。
【0016】
シミュレーションの結果、分子量が10,000以上であれば、放射状高分子の立体形状が球状から楕円状に変わる。従って、より好ましくは、球状の立体構造を有する分子量は、500〜10,000の範囲である。
【0017】
一方、分子量の小さい側枝を使用すれば小さい分子量のポロゲンを調製することができ、逆に、分子量の大きい側枝を使用すれば大きい分子量のポロゲンを得ることができる。一例として、分子量が340程度である側枝から3500程度の6分岐ポロゲンを調製することができ、分子量が1,000である側枝から10,000程度の分子量を有するポロゲンを調製することができる。3、4、5分岐ポロゲンに対しても同法で分子量の調節ができ、分子量に応じて各種のサイズの気孔を形成することができる。一例として3500程度の分子量を有する前記一般式1の6分岐ポロゲンでは、略2nmサイズの気孔を形成することができる。
【0018】
また、放射状多分岐高分子の枝の数は、3以上であればよく、好ましくは、4以上、より好ましくは、6以上である。放射状多分岐高分子は、側枝が対称的に連結されるのが球状の放射状多分岐高分子を提供する上で好ましく、枝の数が多い程球状構造を有し、また、高分子分岐の挙動が制限されることで相分離現象を抑え、小サイズの均一な分布を有する微細多孔性絶縁膜の製造に適する。分子構造を計算してみたところ、6分岐の場合、球状の三次元構造を有することが分かった。
【0019】
本発明に係る前記一般式1で示される放射状多分岐高分子ポロゲンは、下記反応式1または反応式2の求核置換反応;反応式3の求核置換反応に続くCoCOのような金属触媒下でのベンゼン環化反応;または反応式4または反応式5のエステル化反応のような公知の合成経路を通じて合成すればよい。
【0020】
【化5】

【0021】
前記反応式1で示される求核置換反応による製造方法の一実施例によれば、ヘキサキスブロモメチルベンゼン(L=Rr)とポリアルキレンオキサイドモノアルキルエーテル(R=H−(OCHCH−OZ)またはエステル類を塩基下で反応させ、一般式1の放射状6分岐(V)高分子を調製することができる。
この時、ヘキサキスブロモメチルベンゼンに代えて、トリスブロモメチルベンゼン、テトラキスブロモメチルベンゼン、またはペンタキスブロモメチルベンゼンを使用する場合、それぞれ一般式1の放射状3分岐(II)、4分岐(III)及び5分岐(IV)高分子を調製することができる。
【0022】
【化6】

【0023】
前記反応式2で示される求核置換反応による製造方法の一実施例によれば、ヘキサキスヒドロキシメチルベンゼンとポリアルキレンオキサイドモノアルキルエーテルまたはエステルにメシル酸、トシル酸、またはハライドを有する側枝を塩基下で反応させ、一般式1の放射状6分岐(V)高分子を調製することができる。反応式1と同様に、ヘキサキスブロモメチルベンゼンに代えて、トリスヒドロキシメチルベンゼン、テトラキスヒドロキシメチルベンゼン、またはペンタキスヒドロキシメチルベンゼンを使用する場合、それぞれ一般式1の放射状3分岐(II)、4分岐(III)及び5分岐(IV)高分子を調製することができる。
【0024】
【化7】

【0025】
前記反応式3で示されるベンゼン環化反応による製造方法の一実施例によれば、2−Butyne−1,4−diether類を少量のCoCOのような触媒を用いて反応させて一般式1の放射状高分子を調製することができる。
【0026】
前記反応式1乃至3により放射状多分岐ポリアルキレンオキサイド(R)ポロゲン、ポリエステル(R)ポロゲンまたはポリアミド(R)ポロゲンを合成することができる。また、前記放射状多分岐ポリアルキレンオキサイドポロゲン、ポリエステルポロゲンまたはポリアミドポロゲンのジブロック、トリブロックの側枝を有するポロゲンも反応式1乃至3と類似の合成経路を通じて合成すればよい。
【0027】
放射状多分岐ポリアクリレートポロゲンは、反応式4の求核置換反応または反応式5のエステル化反応後の原子移動ラジカル重合(Atom Transfer Radical Polymerization:ATRP)に続く還元反応で合成すればよい。
【0028】
【化8】

【0029】
前記反応式4で示される放射状多分岐ポリアクリレートの製造方法における求核置換反応に続くATRP及び還元反応による一実施例によれば、ヘキサキスブロモメチルベンゼンにブロモイソブチル酸(W=Br)を塩基下で反応させてヘキサキスブロモイソブチルカルボニルオキシメチルベンゼンを形成するステップと;ヘキサキスブロモイソブチルカルボニルオキシメチルベンゼンにアクリレートまたはメタクリレート類を銅等の触媒を使用して放射状6分岐高分子を形成するステップ;及び選択的に末端基のブロムをシランとラジカル開始剤を用いて水素に置換するステップを含む製造方法により一般式1の放射状高分子を調製することができる。
この時、ヘキサキスブロモメチルベンゼンに代えて、トリスブロモメチルベンゼン、テトラキスブロモメチルベンゼン、またはペンタキスブロモメチルベンゼンを使用する場合、それぞれ一般式1の放射状3分岐(II)、4分岐(III)及び5分岐(IV)形態の高分子を調製することができる。
【0030】
【化9】

【0031】
前記反応式5で示される放射状多分岐ポリアクリレートの製造方法は、反応式4の求核置換反応に取って代わってエステル化反応を進めさせたものである。同様に、トリスヒドロキシメチルベンゼン、テトラキスヒドロキシメチルベンゼン、ペンタキスヒドロキシメチルベンゼンまたはヘキサキスヒドロキシメチルベンゼンをそれぞれ使用する場合、一般式1の放射状3分岐(II)、4分岐(III)、5分岐(IV)、及び6分岐(V)形態の高分子をそれぞれ調製することができる。
また、2分岐のポリアルキレンオキサイド側枝分子は、下記反応式6または反応式7のようにジハロゲンアセトン類化合物の置換反応の後に還元反応;またはジハロゲンアセトン類の置換反応、Wittig反応及びジ脱メチル反応に続く還元反応から合成すればよい。
【0032】
【化10】

【0033】
前記反応式6で示される2分岐ポリアルキレンオキサイド側枝分子の製造方法による一実施例によれば、1,3−ジクロロケトン(L=Cl)にポリアルキレンオキサイドモノエーテル(R=H−(OCHCHOZ))またはモノエステル類を塩基下で反応させ、ポリアルキレンオキサイドモノエーテルまたはモノエステル類が置換されたケトンを生成し、生成されたケトンに水素化アルミニウムや水素化ボロンを使用して前記反応式6の2級アルコールを調製することができる。
【0034】
【化11】

【0035】
前記反応式7で示される2分岐ポリアルキレンオキサイド側枝分子の製造方法による一実施例によれば、トリフェニルホスフィノメトキシメタンにt−ブトキシドでイリドを生成し、ここに前記反応式6で調製したケトンを反応させてWittig反応を起こさせ、トリブロモボロンを使用して脱メチル化反応を行い、生成したアルデヒドを水素化ボロンで還元し、前記反応式7の1級アルコールを調製することができる。
【0036】
同様に、2分岐のポリエステル側枝分子または2分岐のポリアミド側枝分子は、前記反応式6または前記反応式7と類似の合成反応から合成すればよい。
【0037】
本発明で製造された放射状多分岐高分子は、絶縁膜の密度を下げるための気孔形成物質として使用することができる。
【0038】
多分岐有機高分子を半導体絶縁材の気孔形成物質として使用する時は、多分岐有機分子内にH、C、N、Oを除く他のヘテロ原子(hetero atom)を含まないことが好ましく、より好ましくは、H、CとOからなるものが、熱分解後における残留物が少なくて適している。また、多分岐有機高分子は、不活性条件下において200〜400℃の範囲で熱分解されることが好ましく、本発明で製造された一般式1の放射状多分岐高分子は、前記温度で熱分解し易い。
【0039】
多孔性絶縁膜を形成するために、マトリクスが形成できる樹脂と気孔形成物質である本発明の放射状多分岐高分子を用いて多孔性膜を製造する。
【0040】
マトリクス形成樹脂としては、特に制限はなく、放射状多分岐高分子の熱分解温度で熱的に安定であり、成膜過程において相容性を保持し相分離現象が起こらないものであればよい。特に、半導体用絶縁材として使われる場合には、400℃以上で熱的に安定しているポリイミド系樹脂、ポリアリーレンエーテル系樹脂、ポリフェニレン系樹脂及びこれらの誘導体等の高耐熱高分子樹脂と有機ポリシロキサン樹脂が好ましい。
マトリクス形成樹脂にポロゲンを100:2〜50:50の重量比[マトリクス形成樹脂:ポロゲン]で使用することが適当であり、好ましくは、100:2〜60:40の重量比でポロゲンを使用することが絶縁膜の強度の側面で適当である。
【0041】
絶縁膜を形成する方法としては、スピン・コート法、浸漬法、ロール・コート法等を用いればよく、これらの方法を用いて一定の厚さの膜を形成することが可能である。そのうちでも半導体装置の多層回路層間絶縁膜の製造が目的である場合には、スピン・コート法が適合である。
【0042】
一般に、前記放射状多分岐高分子を用いて多孔性絶縁膜を製造する方法は、高耐熱性樹脂と放射状多分岐高分子を含有した組成物をコーティング、乾燥工程の後に硬化させ、高温で放射状多分岐高分子を熱分解して多孔性絶縁膜を製造する。
【0043】
このようにして得られた多孔性膜は、電子素子用層間絶縁膜、電子素子の表面保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁防止膜、低屈折膜、ガスバリア膜、バイオ及び触媒の含浸用多孔性膜等の用途として使用するに適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の理解を助けるために好適な実施例を提示するが、下記の実施例は、本発明を例示するものであるに過ぎず、本発明の範囲が下記の実施例に限定されるものではない。
【0045】
「実施例1〜6」.放射状多分岐高分子及びこれを含む絶縁膜の製造
実施例1.求核置換反応を用いた放射状6分岐ポリエチレンオキサイドポロゲンの合成(反応式1)
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 228mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量350のポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル3.3gを入れた後、1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここにヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン1.0gを入れてから80℃で加熱しながら10時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、ジクロロメタンと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体3.5gを得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)の結果、重量平均分子量は2670であり、数平均分子量は2450であった。TGAの結果、200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzH‐NMR,CDCl,δ(ppm):3.28(s,3H,OCH),3.44〜3.72(OCHCHO),4.59(s,2H,OCHPh))。
【0046】
実施例2.求核置換反応を用いた放射状6分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲンの合成(i)(反応式1)
2−1.放射状6分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲン
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 228mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量340のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテル3.2gを入れた後、1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここにヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン1.0gを入れてから80℃で加熱しながら10時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、エチルアセテートと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体3.3gを得た。GPCの結果、重量平均分子量は3480であり、数平均分子量は3010であった。TGAの結果、200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzH−NMR,CDCl,δ(ppm):0.91(t,3H),1.11〜1.23(OCHCHCHO),1.35(m,2H),1.55(m,2H),3.31〜3.69(OCHCHCHO),4.55(br,1H,OCHPh),4.75(br,1H,OCHPh)。
【0047】
2−2.絶縁膜の製造
有機溶媒にメチルトリメトキシシランとテトラメトキシシランを100:60モル比で混合し、シラン化合物に対し硝酸0.005モル、加水分解性官能基に対し2モル比で水を加え、加水分解縮合反応で有機ポリシロキサンを製造し、ポロゲン(pore generator;気孔形成有機高分子)として前記実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドを使用し、スピンコーティングの後に420℃まで10℃/分で昇温し1時間放置した。製造した絶縁膜は、誘電率2.247及び強度4.85GPaを示した。
【0048】
実施例3.求核置換反応を用いた放射状6分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲンの合成(ii)(反応式1)
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 228mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量1000のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテル9.4gを入れてから1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここにヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン1.0gを入れてから90℃で加熱しながら24時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、エチルアセテートと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体9.3gを高い歩留まりで得ることができた。GPCの結果、重量平均分子量は10200であり、数平均分子量は8500であったし、TGAの結果、同じく200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzH−NMR,CDCl,δ(ppm):0.91(t,3H),1.11〜1.20(OCHCHCHO),1.34(m,2H),1.58(m,2H),3.35〜3.65(OCHCHCHO),4.58(br,1H,OCHPh),4.72(br,1H,OCHPh)。
【0049】
実施例4.金属を用いたベンゼン環反応(反応式3)
窒素雰囲気下において2−ブチン−1,4−ジエーテル(Mn=340のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテルから合成された化合物)10.0gを酸素が除去されたトルエン(30ml)に溶解させた後、これにCoCO 5mol%を入れ、48時間にわたって100℃で加熱した。常温まで温度を下げてからトルエンを加圧蒸留しCHClに溶け込ませた後、シリカゲルパッドを通過させて精製した。9.8gの生成物が得られ、前記実施例2と同じNMRデータが得られた。
【0050】
実施例5.親核置換反応を用いた放射状5分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲンの合成及び物性の測定
5−1.放射状5分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲン
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 230mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量340のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテル3.14gを入れた後、1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここに日本国特開平1995−242722号公報で開示された方法で合成されたペンタキス(ブロモメチル)ベンゼン(C1111Br)1.0gを入れてから80℃で加熱しながら10時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、エチルアセテートと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体3.2gを得た。GPCの結果、重量平均分子量は3120であり、数平均分子量は2910であったし、TGAの結果、同じく200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzH−NMR,CDCl,δ(ppm):0.93(t,3H),1.13〜1.25(OCHCHCHO),1.35(m,2H),1.57(m,2H),3.31〜3.70(OCHCHCHO),4.55(br,1H,OCHPh),4.75(br,1H,OCHPh)),7.43(s,1H)。
【0051】
5−2.絶縁膜の製造
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに取って代わって、前記実施例5−1で製造した5分岐ポリプロピレンオキサイドを使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で絶縁膜を製造した。製造した絶縁膜は、誘電率2.25及び強度4.70GPaを示した。
【0052】
実施例6.求核置換反応を用いた放射状4分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲンの合成及び物性の測定
6−1.放射状4分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲン
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 220mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量340のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテル3.04gを入れてから1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここに1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン(C1010Br)1.0gを入れてから80℃で加熱しながら10時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、エチルアセテートと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体3.0gを得た。GPCの結果、重量平均分子量は2450であり、数平均分子量は2290であったし、TGAの結果、同じく200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzH−NMR,CDCl,δ(ppm):0.90(t,3H),1.10〜1.25(OCHCHCHO),1.33(m,2H),1.57(m,2H),3.30〜3.70(OCHCHCHO),4.57(br,1H,OCHPh),4.77(br,1H,OCHPh)),7.39(s,2H)。
【0053】
6−2.絶縁膜の製造
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに代えて、前記実施例6−1で製造した4分岐ポリプロピレンオキサイドを使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で絶縁膜を製造した。製造した絶縁膜は、誘電率2.27及び強度4.55GPaを示した。
【0054】
実施例7.求核置換反応を用いた放射状3分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲンの合成及び物性の測定
7−1.3分岐ポリプロピレンオキサイドポロゲン
常温、窒素雰囲気下においてミネラルオイルを除去したNaH 210mgを水分が除去された1,4−ジオキサン50mlに懸濁させた後、平均分子量340のポリプロピレンオキサイドモノブチルエーテル2.86gを入れてから1時間程度攪拌しながらオキサイドアニオンを生成させた。ここに1,3,5−トリス(ブロモメチル)ベンゼン(CBr)1.0gを入れてから80℃で加熱しながら10時間程度攪拌した。常温まで温度を下げてから10%塩酸溶液で反応を終了させ、エチルアセテートと蒸留水を入れ振って有機層を分離した後、シリカゲルカラムを通過させて精製した。有機溶媒を回転蒸発器により除去した後、最終の薄い色の液体2.8gを得た。GPCの結果、重量平均分子量は1800であり、数平均分子量は1670であったし、TGAの結果、同じく200〜400℃で除去され易いことを確認した。
400MHzHNMR,CDCl,δ(ppm):0.91(t,3H),1.11〜1.23(OCHCHCHO),1.35(m,2H),1.55(m,2H),3.31〜3.69(OCHCHCHO),4.55(br,1H,OCHPh),4.75(br,1H,OCHPh)),7.40(s,3H)。
【0055】
7−2.絶縁膜の製造
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに代えて、前記実施例7−1で製造した3分岐ポリプロピレンオキサイドを使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で絶縁膜を製造した。製造した絶縁膜は、誘電率2.28及び強度4.40GPaを示した。
【0056】
実施例8.ATRPを用いた放射状6分岐ポリアクリレート系のポロゲン(反応式4)の合成及び物性の測定
8−1.6分岐ポリアクリレート系ポロゲン
DMSO溶媒30mlにヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼン2gを溶解させ、2−ブロモイソ酪酸3.2gとKCO 3.0gを入れて100℃で40時間程度加熱した後、10%HCl水溶液とエーテルを用いて有機層を分離してからカラムクロマトグラフィー法で生成物を分離した結果、3.4gの白色固体が得られた。(400MHzH−NMR,CDCl,δ(ppm):1.91(s,6H),5.23(s,2H)。
この白色固体1gとメチルメタクリレート9gをトルエン溶液30mlに溶け込ませた後、CuBr 130mgと2−ピリジンカルボキシアルデヒド n−ブチルイミン1gを入れ、90℃で20時間加熱した。温度を常温まで下げてからセライト(celite)でCu化合物を除去し、10%HCl水溶液とエチルアセテートで有機層を分離した後、加圧蒸留して薄緑色の固体を得た。CHClに溶け込ませた後、カラムクロマトグラフィで精製した結果、9g程度の薄い色の固体が得られた。薄い色の固体9gを酸素のないベンゼンに溶解させた後、トリス(トリメチルシリル)シラン3gとAIBN200mgを入れて70℃で20時間反応させた後、ベンゼンを加圧蒸留して除去してからエーテルを入れ再結晶した結果、8.4g程度の白色固体が得られた。GPCの結果、Mw=22000、PDI=1.41の高分子が得られ、TGAの結果、350〜400℃の範囲で除去された。
400MHz1H−NMR,CDCl3,δ(ppm):0.85(s,3H),1.02(s,3H),1.64〜2.10(m,2H),3.58(s,3H),5.20(s,2H)。
【0057】
8−2.絶縁膜の製造
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに代えて、前記実施例8−1で製造した6分岐ポリアクリレートポロゲンを使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で絶縁膜を製造した。製造した絶縁膜は、誘電率2.26及び強度4.74GPaを示した。
【0058】
「比較例1〜3.絶縁膜の製造」
[比較例1]
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに代えて、前記分子量3500の直鎖状ポリプロピレングリコールジブチルエーテルを使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で絶縁膜を製造した。
【0059】
[比較例2〜3]
ポロゲンとして実施例2−1で製造した6分岐ポリプロピレンオキサイドに代えて、下記表1に表すように韓国特許出願第2002−80196号明細書の実施例57で製造した4分岐2,3,5,6−ポリエチレンオキサイドエチレン及び実施例58で製造した4分岐2,3,5,6−ポリエチレンオキサイドエチレンをそれぞれ使用することを除いては、前記実施例2−2と同様な方法で比較例2及び比較例3の絶縁膜を製造した(表1参照)。
【0060】
【表1】

【0061】
実験例1.絶縁膜の評価
本発明に係る放射状多分岐高分子ポロゲンを用いた絶縁膜の物性を測定するために、下記のような機械的強度及び誘電率の実験を行った。
6分岐ポリプロピレンオキサイドを用いて製造した実施例2の絶縁膜を使用し、この硬化した絶縁膜の状態を光学顕微鏡と電子顕微鏡で観察し、塗膜の誘電特性は、MIS(metal/insulator/semiconductor)方式で誘電定数を測定した。
電子顕微鏡で膜中を観察した結果、5nm以上の気孔は見つからず、非常に小サイズの気孔が形成されたことが分かる(図1参照)。下記の表2は、シロキサンの組成とポロゲンの含量による機械的強度及び誘電定数の傾向を示すものであって、下記の表2に表すように、放射状多分岐高分子の含量に比例して効果的に誘電定数が減少することが確認できた。
【0062】
【表2】

【0063】
実験例2.直鎖状及び放射状ポロゲンを含む絶縁膜の評価
直鎖状及び放射状多分岐高分子ポロゲンをそれぞれ用いて製造した絶縁膜の物性を比較するために、下記のような実験を行った。
本発明の実施例2、5、6、7及び8で製造した各放射状多分岐高分子ポロゲンを用いて製造した絶縁膜を使用し、対照群として直鎖状ポロゲン及び韓国出願第2002−80196号明細書にしたがって製造した4分岐ポロゲンをそれぞれ用いて製造した比較例1乃至3の絶縁膜を使用した。各硬化した絶縁膜の状態を光学顕微鏡と電子顕微鏡で観察し、塗膜の誘電特性は、MIS(metal/insulator/semiconductor)方式で誘電定数を測定した。
分子量3500の直鎖状ポリプロピレングリコールジブチルエーテルをポロゲンとして使用した比較例1の硬化膜は、若干の櫛の歯状模様があり、部分的に相分離が起こり、完全に透明な膜が得られなかった。また、比較例2の4分岐ポロゲンを使用した硬化膜も若干の櫛の歯状模様があり、部分的に相分離が起こり、完全に透明な膜が得られず、比較例3の4分岐ポロゲンを使用した硬化膜は、櫛の歯状模様が著しくみられ、完全な相分離が発生した(図2参照)。これに比べて、本発明の全ての実施例で製造したポロゲンを用いて製造した硬化膜は、コーティング性が良好であり、相分離のない透明膜であった(図1参照)。
【0064】
また、下記の表3に表すように、球状の放射状ポリプロピレングリコールエーテルがポロゲンとして使用された実施例2の硬化膜は、類似の分子量を有する比較例1の直鎖状ポリプロピレングリコールエーテルに比べて膜のコーティング性と相分離の側面で優れており、類似の誘電率を具現した時に強度に優れている絶縁膜が製造可能であることを確認することができた。更には、4分岐ポロゲンを使用して製造した実施例6及び比較例2の硬化膜を比較してみた結果、前記と同様に類似の誘電率を実現した時に高強度を有する絶縁膜が製造可能であることを確認することができた。参考までに、4分岐ポロゲンを使用して製造した比較例3の硬化膜は、完全な相分離が発生し、誘電率及び強度の測定が不可能であった。
【0065】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る放射状多分岐高分子は、3分岐以上の多分岐高分子の合成が容易であり、分子量の調節が容易で、且つ均一な分子量の分布を有し、これを多孔性絶縁膜の製造に使用するポロゲンとして使用する場合、微細気孔の調節が容易な低誘電絶縁膜を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、実施例2で製造した放射状6分岐ポロゲン30重量%を使用して製造した多孔性膜を透過型電子顕微鏡(TEM;Transmission Electron Microscope)でみた写真図である。
【図2】図2は、比較例3で4分岐ポロゲンを使用して製造した多孔性膜を光学顕微鏡でみた写真図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で示され、中心分子(A)に側枝(B)が3箇所以上(i≧3)結合された多分岐高分子。
ABi (式I)
前記式中、中心分子(A)は、
【化1】

からなる群より選ばれ(ここで、Xは、HまたはCHから選ばれる)、
側枝(B)は、−Rまたは
【化2】

であり、ここで、Rは、下記のR〜Rからなる群より選ばれ、
は、(OCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCH(OCHCHCH(OCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZ、(OCHCHCH(OCHCH(OCHCHCHOZから選ばれ、
は、OCOC(CH(CHCQ(COZ))Wであり、
は、(O(CHCO)OZであり、
は、(NH(CHCO)NZであり、
ここで、n、m、kは、0〜200の定数であり、
Qは、H、CH、CHCH、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Wは、Br、I、Hから選ばれ、
Zは、H、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ビニル(−CH=CH)、−CCH、プロパルギル、アリル、ベンジル、アセチル(COCH)、プロピオニル、イソブチリル、ネオペンチリル、CHCHCHSi(OMe)、CHCHCHSi(OEt)、CHCHCHSiMe(OMe)、CHCHCHSiMe(OEt)、CHCHCHSi(OMe)Me、CHCHCHSi(OEt)Me、CHCHOH、CHCHNHから選ばれ、
Yは、中心分子と側枝とを連結する基であり、OまたはOCHから選ばれ、
iは、3以上の自然数である。
【請求項2】
平均分子量が500乃至100,000である請求項1に記載の放射状多分岐高分子。
【請求項3】
平均分子量が500乃至10,000である請求項2に記載の放射状多分岐高分子。
【請求項4】
iは6であることを特徴とする請求項1に記載の放射状多分岐高分子。
【請求項5】
気孔形成物質(ポロゲン)、及び高耐熱性樹脂を含有した溶液をコーティング及び熱処理を施してなる多孔性絶縁膜において、
前記気孔形成物質として請求項1乃至4のいずれか一項に記載の放射状多分岐高分子を使用してなる多孔性絶縁膜。
【請求項6】
前記溶液は、高耐熱性樹脂にポロゲンを100:2〜50:50の重量比で使用したことを特徴とする請求項5に記載の多孔性絶縁膜。
【請求項7】
前記膜が、電子素子の層間絶縁膜、電子素子の表面保護膜、多層配線基板の層間絶縁膜、液晶表示素子用の保護膜や絶縁防止膜、低屈折膜、ガスバリア膜、バイオ及び触媒の含浸用多孔性膜から選ばれることを特徴とする請求項5に記載の多孔性絶縁膜。
【請求項8】
下記反応式1による求核置換反応を施してなることを特徴とする多分岐高分子の製造方法。
【化3】

(前記反応式1中、R及びXは、請求項1における定義と同一であり、Lは、ハロゲン原子である。)
【請求項9】
下記反応式2による求核置換反応を施してなることを特徴とする多分岐高分子の製造方法。
【化4】

(前記反応式2中、R及びXは、請求項1における定義と同一であり、Lは、ハロゲン原子である。)
【請求項10】
下記反応式3によるベンゼン環化反応を施してなることを特徴とする多分岐高分子の製造方法。
【化5】

(前記反応式3中、Rは、請求項1における定義と同一である。)
【請求項11】
下記反応式4による求核置換反応、ATRP(Atom Transfer Radical Polymerization:原子移動ラジカル重合)反応、及び還元反応を施してなることを特徴とする多分岐高分子の製造方法。
【化6】

(前記反応式4中、R、W、Xは、請求項1における定義と同一であり、Lは、ハロゲン原子である。)
【請求項12】
下記反応式5によるエステル化反応、ATRP反応、及び還元反応を施してなることを特徴とする多分岐高分子の製造方法。
【化7】

(前記反応式5中、R、W、Xは、請求項1における定義と同一であり、Lは、ハロゲン原子である。)
【請求項13】
反応式1中のH−Rに代えて、
【化8】

または
【化9】

を使用することを特徴とする請求項8に記載の多分岐高分子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−505966(P2007−505966A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526841(P2006−526841)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002568
【国際公開番号】WO2005/033175
【国際公開日】平成17年4月14日(2005.4.14)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】