説明

放射線像の読み取り装置

【課題】放射線像の読み取りの感度が向上する放射線像の読み取り装置を提供する。
【解決手段】放射線像の読み取り装置は、イメージングプレートから放射線像を読み取る。読み取り装置は、イメージングプレートを平坦に保持する保持体と、励起光を放射する光源と、保持体に保持されたイメージングプレートの放射線像形成面を含む走査面に垂直で光源から離れた回転軸の周りに前記光源から放射された励起光の光路を回転させ、光源から放射された励起光が照射される照射点を走査面において円運動させる走査機構と、回転軸上に設けられ照射点から放射される輝尽光を検出する光検出器と、保持体と走査機構とを回転軸に垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輝尽性蛍光体からなる放射線像形成面を持つ媒体から放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
イメージングプレートから放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置は、光源から放射された励起光をイメージングプレートの放射線像形成面に照射し、励起光の照射点から放射された輝尽光を光検出器で検出する。放射線像形成面は、励起光の照射点により走査される。照射点による放射線像形成面の走査には、複数の方式がある。
【0003】
特許文献1の放射線像の読み取り装置では、搬送機構が平面に支持されたイメージングプレートを直線運動させ、励起光光学系がイメージングプレートの直線運動の方向とは垂直な方向に照射点を直線運動させる。特許文献1の放射線像の読み取り装置では、光源から照射点までの距離が一定に保たれず放射線像形成面への励起光の入射角度が一定に保たれないので、放射線像が均一に読み取られない。
【0004】
特許文献2の図2の放射線像の読み取り装置では、搬送機構が円筒面に支持されたイメージングプレートを軸方向に直線運動させ、回転機構が励起光光学系を軸の周りに回転させる。特許文献2の放射線像の読み取り装置には、イメージングプレートが湾曲されるので、イメージングプレートの損傷がおきやすいという問題がある。また、特許文献2の放射線像の読み取り装置では、イメージングプレートの装着に手間がかかり、多数のイメージングプレートから連続して放射線像を読み取ることが難しい。なお、励起光光学系を回転させることに代えて、円筒面を回転させる放射線像の読み取り装置も知られている。
【0005】
特許文献3の放射線像の読み取り装置では、回転機構が平面に支持されたイメージングプレートを回転させ、搬送機構が励起光光学系を径方向に直線運動させる。特許文献3の放射線像の読み取り装置では、イメージングプレートの装着に手間がかかり、多数のイメージングプレートから連続して放射線像を読み取ることが難しい。
【0006】
特許文献4の放射線像の読み取り装置では、搬送機構が平面に支持されたイメージングプレートを直線運動させ、励起光光学系がイメージングプレートの放射線像形成面が走行する走行面において照射点を円運動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61−267451号公報
【特許文献2】特開平6−160998号公報
【特許文献3】特公平6−97328号公報
【特許文献4】特許第2580183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献4の放射線像の読み取り装置によれば、上述の問題が解決されるが、輝尽光を反射して光検出器へ導くミラーに孔が形成されているため、輝尽光が照射点から光検出器へ効率よく導かれず、放射線像の読み取りの感度が不十分である。
【0009】
本発明は、この問題を解決するためになされたもので、放射線像の読み取りの感度が向上する放射線像の読み取り装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段を以下に示す。
【0011】
第1の発明は、輝尽性蛍光体からなる放射線像形成面を持つ媒体から放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置であって、媒体を平坦に保持する保持体と、励起光を放射する光源と、前記保持体に保持された媒体の放射線像形成面を含む走査面に垂直で前記光源から離れた回転軸の周りに前記光源から放射された励起光の光路を回転させ、前記光源から放射された励起光が照射される照射点を前記走査面において円運動させる走査機構と、前記回転軸上に設けられ前記照射点から放射される輝尽光を検出する光検出器と、前記保持体を前記走査機構に対して前記回転軸に垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構と、を備える。
【0012】
第2の発明は、第1の発明の放射線像の読み取り装置において、前記走査機構は、前記回転軸から離れた照射点へ励起光を導く励起光光学系と、前記回転軸の周りに前記励起光光学系の少なくとも一部を回転させる回転機構と、を備え、前記励起光光学系は、前記回転軸上に設けられ前記回転軸が延在する方向から到達した前記励起光を前記回転軸に対して傾斜した方向へ屈曲する第1の屈曲光学素子、を備え、前記回転機構は、前記回転軸の周りに前記第1の屈曲光学素子を回転させる。
【0013】
第3の発明は、第2の発明の放射線像の読み取り装置において、前記励起光光学系は、前記回転軸上に前記回転機構から分離して固定され前記回転軸に対して傾斜した方向から到達した励起光を前記回転軸が延在する方向へ屈曲して前記第1の屈曲光学素子へ導く第2の屈曲光学素子、をさらに備える。
【0014】
第4の発明は、第2又は第3の発明の放射線像の読み取り装置において、照射点から放射された輝尽光を前記光検出器へ導く輝尽光光学系、をさらに備える。
【0015】
第5の発明は、第4の発明の放射線像の読み取り装置において、励起光光学系の光路の一部と輝尽光光学系の光路の一部が共通の導光部を経由する。
【0016】
第6の発明は、第5の発明の放射線像の読み取り装置において、前記輝尽光光学系は、前記光検出器と前記走査面との間に設けられた構造体の一部であり、前記構造体には、前記走査面と対向する面に輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する面に輝尽光の出射口を有する導光部が形成され、前記励起光光学系は、前記導光部を経由して前記光源から前記走行面まで励起光を導く。
【0017】
第7の発明は、第6の発明の放射線像の読み取り装置において、前記輝尽光光学系の光軸は、照射点を通る。
【0018】
第8の発明は、第5の発明の放射線像の読み取り装置において、前記輝尽光光学系は、前記光検出器と前記走査面との間に設けられた構造体の一部であり、前記回転機構は、前記回転軸の周りに前記構造体を回転させる。
【0019】
第9の発明は、第8の発明の放射線像の読み取り装置において、前記構造体は、前記走査面と対向する輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する輝尽光の出射口を有し輝尽光の反射面を内面に有する空洞の導光部が形成された中空体である。
【0020】
第10の発明は、第8の発明の放射線像の読み取り装置において、前記構造体は、前記走査面と対向する輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する輝尽光の出射口を有する中実体の導光部を備える。
【0021】
第11の発明は、第9又は第10の発明の放射線像の読み取り装置において、前記導光部は、楕円球状、円柱状または円錐状をなす。
【0022】
第12の発明は、第9ないし第11のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記構造体は、前記入射口に設けられ前記導光部の内部へ輝尽光を導くレンズ、を備える。
【0023】
第13の発明は、第9ないし第12のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記入射口は、前記回転軸から離して形成され、前記出射口は、前記回転軸上に形成される。
【0024】
第14の発明は、第4の発明の放射線像の読み取り装置において、前記輝尽光光学系は、前記光検出器と前記走査面との間に前記回転機構から分離して固定された構造体の一部であり、前記構造体には、前記走査面と対向する面に輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する面に輝尽光の出射口を有する導光部が形成され、前記導光部の表面が前記回転軸についての回転対称性を有し前記入射口から入射した輝尽光を前記出射口へ集光する凹面反射鏡である。
【0025】
第15の発明は、第8ないし第14のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記走査面へ向かってエアを導く送風機構、をさらに備える。
【0026】
第16の発明は、第9ないし第15のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記光検出器と前記構造体との間に挿入され励起光の波長における透過率よりも輝尽光の波長における透過率が高い光学フィルタ、をさらに備える。
【0027】
第17の発明は、第1ないし第16のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記光源、前記走査機構及び前記光検出器を収容する筐体と、前記筐体の内部のホコリを集塵する集塵機構と、を備える。
【0028】
第18の発明は、第1ないし第17のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記相対移動機構が前記走査機構に対して前記媒体を直線的に相対移動させる。
【0029】
第19の発明は、第1ないし第18のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記走査機構が固定され、前記相対移動機構は、前記保持体を移動させる。
【0030】
第20の発明は、第1ないし第18のいずれかの発明の放射線像の読み取り装置において、前記保持体が固定され、前記相対移動機構は、前記走査機構を移動させる。
【0031】
第21の発明は、第20の発明の放射線像の読み取り装置において、前記相対移動機構は、前記走査機構と一体的に前記光源を移動させる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、放射線像形成面への励起光の入射角度が一定に保たれるので、放射線像が均一に読み取られる。また、媒体が湾曲されないので、媒体の損傷が抑制される。さらに、光検出器への輝尽光の入射が妨げられないので、放射線像の読み取りの感度が向上する。加えて、光源が回転軸から離れるので光源への給電が容易になる。
【0033】
請求項2の発明によれば、光源を回転させる必要がないので、光源への給電が容易になる。
【0034】
請求項3の発明によれば、光源を回転軸から離すことが容易になるので、放射線像の読み取り装置の構造の自由度が増す。
【0035】
請求項4の発明によれば、照射点から放射された輝尽光が効率よく光検出器へ導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0036】
請求項5の発明によれば、励起光光学系と輝尽光光学系の少なくとも一部とが同期して回転するので、照射点から放射された輝尽光が効率よく光検出器へ導かれ、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0037】
請求項6の発明によれば、励起光の光路及び輝尽光の光路が導光体の内部に共存するので、放射線像の読み取り装置が小型になる。
【0038】
請求項7の発明によれば、照射点から放射された輝尽光が効率よく光検出器へ導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0039】
請求項8の発明によれば、構造体は回転させることが容易な構造にすることができるので、輝尽光光学系を回転させることが容易になる。
【0040】
請求項9ないし請求項12の発明によれば、入射口から出射口に輝尽光が効率よく導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0041】
請求項13の発明によれば、回転軸上に形成された出射口に輝尽光が導かれるので、光検出器を回転軸上に設けることが容易になり、輝尽光光学系が簡略化される。
【0042】
請求項14の発明によれば、構造体が固定されるので、放射線像の読み取り装置が簡略化される。
【0043】
請求項15の発明によれば、保持体に媒体が押し付けられるので、媒体の位置ずれが抑制される。
【0044】
請求項16の発明によれば、励起光が光検出器に与える影響が減少するので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0045】
請求項17の発明によれば、筐体の内部のホコリが減少するので、媒体へのホコリの付着が抑制され、放射線像の読み取りの精度が向上する。
【0046】
請求項18の発明によれば、搬送機構が簡略化される。
【0047】
請求項19の発明によれば、多数の媒体を連続して読み取ることが容易になる。また、光源から照射点までの長さが一定に保たれるので、放射線像が均一に読み取られる。
【0048】
請求項20の発明によれば、多数の媒体を読み取る場合でもフットプリントが極端に広くならない。
【0049】
請求項21の発明によれば、光源から照射点までの長さが一定に保たれるので、放射線像が均一に読み取られる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】第1実施形態の読み取り装置の断面図である。
【図2】第1実施形態の読み取り装置の内部機構の斜視図である。
【図3】走査面における照射点の軌跡及び放射線像形成面を示す上面図である。
【図4】第2実施形態の回転構造体の断面図である。
【図5】第3実施形態の回転構造体の断面図である。
【図6】第3実施形態の回転構造体の断面図である。
【図7】第4実施形態の回転構造体の断面図である。
【図8】第5実施形態の回転構造体の断面図である。
【図9】第6実施形態の回転機構及び回転構造体の断面図である。
【図10】第6実施形態の回転機構及び回転構造体の断面図である。
【図11】第7実施形態の回転機構及び回転構造体の断面図である。
【図12】第8実施形態の読み取り機構の断面図である。
【図13】第8実施形態の固定構造体の下面図である。
【図14】第9実施形態の搬送機構の断面図である。
【図15】第9実施形態の搬送機構の下面図である。
【図16】第10実施形態の搬送機構の断面図である。
【図17】第11実施形態のイメージングプレートの配列を示す上面図である。
【図18】第12実施形態の読み取り装置の断面図である。
【図19】第12実施形態の読み取り装置の斜視図である。
【図20】第13実施形態の読み取り装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
(1 第1実施形態)
第1実施形態は、イメージングプレートIPの放射線像形成面Sから放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置1002に関する。
【0052】
(イメージングプレートIP)
イメージングプレートIPは、輝尽性蛍光体からなる放射線像形成面Sを持つ媒体である。放射線像形成面Sには、X線等の放射線が照射されると、放射線像が潜像として描画される。読み取り装置1002は、放射線像形成面Sから放射線像を読み取り、放射線像の画像データを生成する。
【0053】
(読み取り装置1002の概略)
図1は、読み取り装置1002の模式図である。図1は、読み取り装置1002の断面図である。図2は、読み取り装置1002の内部機構1004の模式図である。図2は、内部機構1004の斜視図である。
【0054】
図1及び図2に示すように、読み取り装置1002は、放射線像形成面Sから放射線像を読み取る読み取り機構1007と、イメージングプレートIPを保持するベルト1080と、ベルト1080を周回させるベルト駆動機構1082と、読み取り装置1002を制御するコントローラ1030と、ホコリを集塵する集塵機構1032と、消去光を放射する消去光光源1024と、構成物を支持するフレーム1026と、これらを収容する筐体1028とを備える。
【0055】
筐体1028に形成された入口1094に挿入され読み取り装置1002の内部へ搬入されたイメージングプレートIPは、ベルト1008の往路部分に保持される。ベルト1008の往路部分に保持されたイメージングプレートIPは、方向Aへ搬送され、読み取り機構1007の下方を通過する。読み取り機構1007は、下方を通過するイメージングプレートIPの放射線像形成面Sに描画された放射線像を読み取る。
【0056】
(読み取り機構1007の概略)
読み取り機構1007は、励起光ELを放射する励起光光源1008と、輝尽光PLを検出する光検出器1010と、光検出器1010への励起光ELの入射を抑制する光学フィルタ1012と、水平方向から到達した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ反射して導光する固定ミラー1014と、回転軸RAが延在する方向から到達した励起光ELを回転軸RAに対して傾斜した方向へ反射して導光する回転ミラー1016と、照射点Pから放射された輝尽光PLを光検出器1010へ導く回転構造体1018と、回転構造体1018を支持する軸受け1020と、回転構造体1018を回転軸RAの周りに回転させる回転機構1022と、を備える。
【0057】
励起光光源1008は励起光ELを固定ミラー1014に照射するので、励起光光源1008から離れた場所に回転軸RAが位置する。
【0058】
固定ミラー1014、回転ミラー1016による励起光ELの導光は光の屈曲、具体的には反射によって行われる。
【0059】
本出願では反射、屈折、反射と屈折の双方などで光の進行方向を変えることを屈曲で表現する。
【0060】
(回転軸RAと走査面SPとの関係)
回転軸RAは、ベルト1008に保持されるイメージングプレートIPの放射線像形成面Sを含む走査面SPと垂直をなす。イメージングプレートIPは、回転軸RAと垂直な方向へ搬送され、放射線像形成面Sは、走査面SPを移動する。
【0061】
(照射点Pの軌跡TRと放射線像形成面Sの移動との関係)
図3は、走査面SPにおける照射点Pの軌跡TR及び放射線像形成面Sを示す上面図である。
【0062】
図1、そして特に図3に示すように、読み取り機構1007は、励起光光源1008から放射された励起光ELが照射される照射点Pを走査面SPにおいて円運動させる。読み取り装置1002は、照射点Pの軌跡TRの一部を占める円弧A1,A2の位置を放射線像形成面Sに順次通過させる。これにより、円弧A1,A2上を移動する照射点Pで放射線像形成面Sが繰り返し走査される。読み取り機構1007は、放射線像形成面Sを走査する照射点Pから放射される輝尽光PLを検出する。
【0063】
(走査機構1036)
読み取り機構1007の一部であって照射点Pを円運動させる走査機構1036は、固定ミラー1014及び回転ミラー1016を備え回転軸RAから離れた照射点Pへ励起光ELを導く励起光光学系1034と、励起光光学系1034の一部を構成する回転ミラー1016を回転構造体1018とともに回転軸RAの周りに回転させる回転機構1022と、を備える。走査機構1036により、励起光光源1008から照射点Pまでの光路の長さが一定に保たれ放射線像形成面Sへの励起光ELの入射角度が一定に保たれるので、放射線像が均一に読み取られる。
【0064】
(励起光光学系1034)
励起光光学系1034は、固定ミラー1014及び回転ミラー1016以外の光学素子を備えていてもよい。例えば、励起光光学系1034が、励起光ELをさらに屈曲して導光するミラー、励起光ELを集光ないし収束するレンズ等を備えていてもよい。励起光ELを屈曲して導光する屈曲光学素子として、プリズム等を用いてもよい。
【0065】
プリズムを用いた場合は、励起光ELの導光が反射、屈折などで行われる。
【0066】
図1に示す例では、励起光ELのイメージングプレートIPまでの導光を行う励起光光学系1034が光を屈曲させる導光部からなっている。
【0067】
本出願では光を屈曲させて導光する光学素子を屈曲光学素子の用語で表現する。
【0068】
固定ミラー1014及び回転ミラー1016は屈曲光学素子の一例である。
【0069】
屈曲光学素子は光を屈曲させる導光部を構成する要素の一例である。
【0070】
本出願で採用する光を屈曲させる導光部の構成要素としては、屈曲光学素子、反射光学系、屈折光学系、反射屈折光学系、反射鏡などが考えられ、いずれを用いてもよい。
【0071】
例えば、励起光光源1008から照射した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ導光するのに、固定ミラー1014を用いる代わりに図示しない湾曲ないし屈曲した中空導波路や石英ファイバなどの光ファイバを配置して用いてもよく、回転軸RAが延在する方向から到達した励起光ELを回転軸RAに対して傾斜した方向へ導光するのに、回転ミラー1016を用いる代わりに図示しない湾曲ないし屈曲した中空導波路や石英ファイバなどの光ファイバを配置して用いてもよい。
【0072】
以下の記述において、光の屈曲に反射の用語を使う場合が多いが、反射に限定しなくとも、適宜光の屈曲ができる要素を用いることができる。
【0073】
(回転ミラー1016)
回転ミラー1016は、回転軸RAが延在する方向から到達した励起光ELを回転軸RAに対して傾斜した方向へ屈曲する。固定ミラー1014により屈曲された励起光ELは、回転軸RAから離れた照射点Pへ導かれる。
【0074】
回転ミラー1016は、回転軸RA上に設けられる。回転ミラー1016は、回転構造体1018の内部において回転構造体1018に固定される。回転ミラー1016により、回転ミラー1016に到達するまで励起光ELの光路を回転させる必要がないので、励起光光源1008を動かす必要がなくなり、図示のように励起光光源1008を回転機構1022、回転構造体1018から分離してフレーム1026に固定配置することができ、励起光光源1008への給電が容易になる。
【0075】
回転構造体1018と一体化された回転ミラー1016は、回転構造体1018と同期して回転軸RAの周りに回転するので、回転ミラー1016から走査面SPへ至る励起光ELの光路は回転軸RAの周りに回転し、照射点Pは走査面SPにおいて円運動する。回転構造体1018と回転ミラー1016とを同期して回転させることで、後述する導光部1046において輝尽光PLを取得する位置を一定にすることができ、これにより、照射点Pから放射された輝尽光PLが効率よく光検出器1010へ導かれ、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0076】
回転ミラー1016の反射面の水平方向からの傾きは、回転軸RAと照射点Pとの距離、すなわち、照射点Pの軌跡TRの直径2r(図3参照)を左右する。回転ミラー1016の反射面は、少なくとも放射線像形成面Sの幅w(図3参照)よりも軌跡TRの直径2rが大きくなるように水平方向から傾けられる。これにより、放射線像形成面Sの全面が照射点Pで走査される。「放射線像形成面Sの幅w」とは、イメージングプレートIPの搬送方向に垂直な方向の放射線像形成面Sの寸法である。
【0077】
回転ミラー1016は、回転軸RA上にあるので、回転軸RAの周りに回転しても移動しない。また、回転ミラー1016の反射面は、回転軸RAを通って到来した励起光ELを反射すればよい。このため、回転ミラー1018の反射面は、励起光ELのビーム断面よりも少し大きければ十分である。
【0078】
(固定ミラー1014)
固定ミラー1014は、水平方向から到達した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ屈曲し、回転ミラー1016へ導く。固定ミラー1014へ到達する励起光ELの方向は、水平方向である必要はなく、回転軸RAが延在する方向から傾斜した方向であればよい。固定ミラー1014により、励起光光源1008が回転軸RAから離されるので、励起光光源1008への給電が容易になり、読み取り装置1002の構造の自由度が増す。
【0079】
固定ミラー1014は、回転軸RA上に設けられる。固定ミラー1014は、回転構造体1018の外部において回転機構1022から分離してフレーム1026に固定される。固定ミラー1014を回転構造体1018の外部に設けることにより、回転構造体1018に妨げられることなく固定ミラー1014へ励起光ELが導かれる。
【0080】
固定ミラー1014は、回転構造体1018の下面1042と走査面SPとの間に設けられる。これにより、光検出器1010と固定ミラー1014とが回転構造体1018で隔てられ、励起光ELの迷光が光検出器1010に入射することが抑制される。また、イメージングプレートIPにより励起光ELが遮蔽されない。
【0081】
固定ミラー1014の反射面の水平方向からの傾きは、励起光ELが到来する方向に左右される。固定ミラー1014の反射面は、到来した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ屈曲するように図示の例では水平方向から傾けられる。
【0082】
(励起光光源1008)
励起光光源1008が放射する励起光ELの波長は、具体的にはイメージングプレートIPが効果的に励起される光の波長がどのようなものかで決まる。例えば市場に広く出回っているイメージングプレートIPに対しては波長500〜800nmの光が使用できることが多く、この波長帯の光を発する光源であれば励起光光源1008として使用可能である。
【0083】
励起光光源1008は、レーザ光源であることが望ましい。これにより、励起光ELのビームが細くなり、照射点Pが小さくなるので、放射線像の読み取りの精度が向上する。また、励起光光源1008は、半導体レーザ光源であることが望ましい。これにより、読み取り装置1002が小型化される。
【0084】
読み取り装置1002では、励起光光源1008を回転する必要はないので、励起光光源1008は、回転機構1022から分離され、フレーム1026に固定される。これにより、励起光光源1008への給電が容易になる。また、励起光光源1008は、固定ミラー1014があるため、回転軸RAから離される。これにより、励起光光源1008への給電が容易になる。
【0085】
(光検出器1010)
光検出器1010は、照射点Pから放射され回転構造体1018を経由して到達した輝尽光PLを検出する。光検出器1010は、検出した輝尽光PLの強度に応じた信号を発生する。
【0086】
光検出器1010は、フォトマルチプライヤー、フォトダイオード等であることが望ましい。
【0087】
輝尽光PLは、波長350〜450nmの光であることが多く、この波長帯の光を検出するものが光検出器1010として好適に用いられるが、イメージングプレートIPが発する輝尽光の波長によって適宜選択すればよい。
【0088】
読み取り装置1002では、光検出器1010を回転する必要はないので、光検出器1010は、回転機構1022から分離されフレーム1026に固定される。これにより、光検出器1010への給電及び光検出器1010からの信号の取得が容易になる。光検出器1010は、光学フィルタ1012を挟んで回転構造体1018の出射口1050と対向する。
【0089】
光検出器1010は、回転軸RA上に設けられる。これは、励起光光源1008を回転軸RAから離すとともに回転構造体1018によって光検出器1010から隔てたことにより可能になった。これにより、励起光ELを照射点Pへ導く励起光光学系1034が光検出器1010への輝尽光PLの入射を妨げないので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0090】
(光学フィルタ1012)
光学フィルタ1012は、励起光ELの波長における透過率よりも輝尽光PLの波長における透過率が高い。これにより、励起光ELが光検出器1010に与える影響が減少するので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0091】
光学フィルタ1012の透過率の波長依存性は、使用する輝尽性蛍光体の種類によって決まる。ユウロピウムを付活剤として含むバリウムフッ化ハライドを輝尽性蛍光体として使用し、赤色の励起光ELを照射し、近紫外の輝尽光PLを検出する場合、例えば、青色フィルタが光学フィルタ1012として使用される。
【0092】
光学フィルタ1012は、板形状を有する。
【0093】
光学フィルタ1012は、光検出器1010と回転構造体1018の出射口1050との間に挿入される。光学フィルタ1012は、フレーム1026に固定される。光学フィルタ1012を回転構造体1018の上面1044に貼りつけ、回転構造体1018の出射口1050を光学フィルタ1012で覆ってもよい。光学フィルタ1012を光検出器1010の下面に貼り付け、光検出器1010の受光部を光学フィルタ1012で覆ってもよい。
【0094】
(輝尽光光学系1040)
走査面SP上の照射点Pから放射された輝尽光PLを光検出器1010へ導く輝尽光光学系1040は、回転構造体1018の一部である。回転構造体1018は回転させることが容易な構造にすることができるので、輝尽系光学系1040を回転構造体1018の一部とすることにより、輝尽光光学系1040を回転させることが容易になる。
【0095】
(回転構造体1018)
回転構造体1018の外径形状は、略円柱形状である。回転構造体1018の円柱軸は回転軸RAと同じ位置にある。
【0096】
回転構造体1018は、光検出器1010と走査面SPとの間に設けられる。回転構造体1018の下面1042は、走査面SPと対向し、走査面SPと平行になっている。回転構造体1018の上面1044は、光検出器1010と対向する。
【0097】
(導光部1046)
回転構造体1018は、照射点Pから光検出器1010へ輝尽光PLを導く空洞の導光部1046が内部に形成された中空体である。導光部1046は、回転構造体1018の走査面SPと対向する下面1042に同じく走査面SPと対向する輝尽光PLの入射口1048を有し、回転構造体1018の光検出器1010と対向する上面1044に同じく光検出器1010と対向する輝尽光PLの出射口1050を有する。導光部1046の表面(第1実施形態の回転構造体1018では、空洞の内面を意味する)1052は楕円球面をなす。すなわち、導光部1046は楕円球状である。導光部1046の表面1052は、輝尽光PLを効率よく反射するため、鏡面加工される。導光部1046の表面1052に輝尽光PLを反射する反射膜を形成してもよい。鏡面加工、反射膜の形成のいずれにしても、表面1052は反射面となる。入射口1048から入射した輝尽光PLは、導光部1046の表面1052に反射され、出射口1050を経由して光検出器1010へ導かれる。導光部1046により、入射口1048から出射口1050へ輝尽光PLが効率よく導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0098】
輝尽光光学系1040となる導光部1046の光軸は、照射点Pを通ることが望ましい。これにより、照射点Pから放射された輝尽光PLが効率よく光検出器1010へ導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。導光部1046の表面1052が楕円球面をなす場合、導光部1046の光軸は当該楕円球面を有する楕円球の長軸に一致する。したがって、導光部1046の表面1052は、光軸についての回転対称性を有する。
【0099】
入射口1048は回転軸RAから離され、出射口1050は回転軸RA上に形成される。これにより、光検出器1010が回転軸RA上に回転機構1022、回転構造体1018から分離して配置されるので、光検出器1010への給電や光検出器1010からの信号の取得が容易になる。また、輝尽光光学系1040が簡略化される。
【0100】
(導光部1054)
回転構造体1018には、固定ミラー1014から回転ミラー1016へ励起光ELを導く空洞の導光部1054も形成される。導光部1054は、回転構造体1018の下面1042に励起光ELの入射口1056を有し、導光部1046の表面1052に導光部1046に合流する合流口1058を有する。導光部1054は、回転軸RA上にある。導光部1054は、回転軸RAの方向に延在する。回転ミラー1016は、合流口1058に設けられる。入射口1056から入射した励起光ELは、導光部1054を通って回転ミラー1016に到達した後、回転ミラー1016に反射され、導光部1046を通って入射口1048を経由して走査面SPへ導かれる。これにより、励起光光学系1034は、導光部1046を経由して励起光光源1008から走査面SPまで励起光ELを導く。つまり、励起光光学系1034の光路の一部と輝尽光光学系1040の光路の一部が共通の導光部1054を経由している。このことは、励起光ELの光路及び輝尽光PLの光路を回転構造体1018の内部に共存させ、読み取り装置1002を小型化することに寄与する。
【0101】
導光部1054は、空洞でもよいが、中実体で形成してもよく、アクリル樹脂等の樹脂や、ガラス等、透過効率のよいものを適宜用いてよい。導光部1054は単一の材料からなる中実体で構成してもよいし、複数の光ファイバを集めて形成した光ファイバなど、複数の材料からなる中実体で構成してもよい。
【0102】
(回転構造体1018のその他の事項)
回転構造体1018の側面1060には、回転機構1022のベルト1068が架けられるベルト溝1062が形成される。ベルト溝1062の幅はベルト1068の幅よりも少し広い。ベルト溝1062は、回転構造体1018の周方向に延在する。回転構造体1018の側面1060にベルト溝1062を形成することに代えて、回転構造体1018の側面1060にプーリを取り付けてもよい。
【0103】
また、回転構造体1018の側面1060には、軸受け1020の内輪1076が固定される軸受け溝1078が形成される。
【0104】
回転構造体1018の材質は、特に制限されないが、成型が容易な樹脂であることが望ましい。
【0105】
(回転機構1022)
回転機構1022は、回転の駆動力を発生するモータ1064と、回転比を調整するプーリ1066と、モータ1064の駆動力を回転構造体1018へ伝達するベルト1068と、を備える。モータ1064のハウジング1070は、フレーム1026に固定される。プーリ1066は、モータ1064のシャフト1072に固定される。ベルト1068は、プーリ1066及びベルト溝1062に架けられる。
【0106】
(軸受け1020)
軸受け1020は、回転構造体1018を回転軸RAの周りに回転することができる状態で支持する。軸受け1020の外輪1074は、フレーム1026に固定され、軸受け1020の内輪1076は、回転構造体1018の軸受け溝1078に固定される。
【0107】
図1には、軸受け1020が転がり軸受けである場合が示されているが、すべり軸受け、流体軸受け等で回転構造体1018を支持してもよい。
【0108】
(搬送機構1006)
搬送機構1006は、イメージングプレートIPを平坦に保持するベルト1080と、ベルト1080を周回させるベルト駆動機構1082と、を備える。
【0109】
ベルト1080は、イメージングプレートIPよりも幅が広い柔軟な無端物である。
【0110】
ベルト駆動機構1082は、ローラ1084,1086,1088,1090を備える。ベルト駆動機構1082の一端にあるローラ1084は、照射点Pの軌跡TRよりも搬送方向上流側にあり、ベルト駆動機構1082の他端にあるローラ1090は、照射点Pの軌跡TRよりも搬送方向下流側にある。ローラ1084とローラ1090との間にあるローラの数を増減してもよい。
【0111】
ローラ1084,1086,1088,1090の各々は、走査面SPに平行で搬送方向に垂直な方向に延在する回転軸の周りに回転自在である。ローラ1084又はローラ1090には、回転の駆動力が与えられる。
【0112】
ベルト1080は、ローラ1084,1086,1088,1090に架けられ、周回運動させられる。ローラ1084からローラ1090へ向かって走行し回転構造体1018の下面1042と対向するベルト1080の往路部分の上面は、放射線像形成面Sを上方に向けたイメージングプレートIPが載置される保持面1092となる。
【0113】
保持面1092は、イメージングプレートIPを搬送する搬送機構1006の構成要素であるベルト1080の一部であると共に、イメージングプレートIPを保持する保持体でもある。
【0114】
ベルト1080の往路部分は、イメージングプレートIPを平坦に保持し、固定された読み取り機構1007に対してベルト駆動機構1082により直線的に相対移動させられる。これにより、保持面1092は走査機構1036に対し、回転軸RAに垂直な方向へ移動し、保持面1092上に載置されたイメージングプレートIPは、固定された走査機構1036に対し、回転軸RAに垂直な方向へ直線搬送される。イメージングプレートIPは走査機構1036に対して直線的に相対移動される。イメージングプレートIPを平坦に保持することにより、イメージングプレートIPが湾曲しないので、イメージングプレートIPの損傷が抑制される。また、イメージングプレートIPを直線搬送することにより、搬送機構1006が簡略化される。
【0115】
搬送機構1006は、保持面1092からなる保持体を走査機構1036に対して回転軸RAに垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構の一例である。
【0116】
相対移動機構においては、保持体が走査機構に対して移動しても、走査機構が保持体に対して移動しても、保持体と走査機構の双方が移動してもよく、いずれにしても保持体を走査機構に対して相対的に移動している。
【0117】
(集塵機構1032)
集塵機構1032は、筐体1028の内部のホコリを集塵する。これにより、筐体1028の内部のホコリが減少するので、イメージングプレートIPへのホコリの付着が抑制され、放射線像の読み取りの精度が向上する。
【0118】
集塵機構1032は、例えば、集塵フィルタが取り付けられた排気ファンを筐体1028の排気口に装着することにより実現される。
【0119】
(消去光光源1024)
消去光光源1024は、放射線像が読み取られた後のイメージングプレートIPに放射線像を消去する消去光を照射する。
【0120】
消去光光源1024は、照射点Pの軌跡TRよりも搬送方向下流側であって、走査面SPの上方に設けられる。消去光光源1024は、走査面SPに向かって消去光を照射する。これにより、放射線像の読み取りから放射線像の消去までが読み取り装置1002の内部で完結する。
【0121】
(コントローラ1030)
コントローラ1030は、励起光光源1008及び消去光光源1024に電力を給電し、励起光光源1008及び消去光光源1024の点灯を制御する。
【0122】
また、コントローラ1030は、搬送機構1006に電力を給電し、搬送機構1006によるイメージングプレートIPの搬送を制御する。
【0123】
さらに、コントローラ1030は、光検出器1010に電力を給電し、光検出器1010を制御するとともに、光検出器1010から発生した信号を取得し、画像データを生成する。画像データの生成を筐体1028の外部の装置において行ってもよい。
【0124】
(2 第2実施形態)
第2実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018に代えて採用される回転構造体2018に関する。
【0125】
図4は、第2実施形態の回転構造体2018の模式図である。図4は、回転構造体2018の断面図である。
【0126】
回転構造体2018の外径形状は、第1実施形態の回転構造体1018と同様に、略円柱形状である。回転構造体2018の円柱軸は回転軸RAと一致する。
【0127】
回転構造体2018は、光検出器1010と走査面SPとの間に設けられる。回転構造体2018の下面2042は、走査面SPと対向し、走査面SPと平行になっている。回転構造体2018の上面2044は、光検出器1010と対向する。
【0128】
(導光部2046)
回転構造体2018は、第1実施形態の空洞の導光部1046に代えて、透光体の導光部2046が透光体収容部形成体2100の内部に設けられた中実体からなる。導光部2046は、回転構造体2018の下面2042に走査面SPと対向する輝尽光PLの入射口2048を有し、回転構造体2018の上面2044に光検出器1010と対向する輝尽光PLの出射口2050を有する。
【0129】
導光部2046の表面(第2実施形態の回転構造体2018では、透光体の外面を意味する)2052は楕円球面をなす。すなわち、導光部2046は楕円球状である。導光部2046の屈折率は、導光部2046の表面2052、すなわち、導光部2046とその外側との界面が導光部2046の内部から見て輝尽光PLの全反射面となるように決定される。導光部2046の表面2052に輝尽光PLを反射する反射膜を形成してもよい。入射口2048から入射した輝尽光PLは、導光部2046の表面2052に反射され、出射口2050を経由して光検出器1010へ導かれる。導光部2046により、入射口2048から出射口2050へ輝尽光PLが効率よく導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0130】
導光部2046の光軸は、照射点Pを通ることが望ましい。これにより、照射点Pから放射された輝尽光PLが効率よく光検出器1010へ導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。導光部2046の表面2052が楕円球面をなす場合、導光部2046の光軸は当該楕円球面を有する楕円球の長軸に一致する。したがって、導光部2046の表面2052は、光軸についての回転対称性を有する。
【0131】
入射口2048は回転軸RAから離され、出射口2050は回転軸RA上に形成される。これにより、光検出器1010が回転軸RA上に回転機構1022、回転構造体1018から分離して配置されるので、光検出器1010への給電や光検出器1010からの信号の取得が容易になる。また、輝尽光光学系2040が簡略化される。
【0132】
(導光部2054)
回転構造体2018には、固定ミラー1014から回転ミラー1016へ励起光ELを導く透光体の導光部2054も形成される。導光部2054は、回転構造体2018の下面2042に励起光ELの入射口2056を有し、導光部2046の表面2052に導光部2046に合流する合流口2058を有する。導光部2054は、回転軸RAの方向に延在する。導光部2054は、回転軸RA上にある。回転ミラー1016は、合流口2058に設けられる。入射口2056から入射した励起光ELは、導光部2054を通って回転ミラー1016に到達した後、回転ミラー1016に反射され、導光部2046を通って入射口2048を経由して走査面SPへ導かれる。
【0133】
導光部2054と導光部2046を、全て一体の、透光体の中実体で形成してもよいが、その一部を一体の、透光体の中実体で形成してもよい。
【0134】
(回転構造体2018のその他の事項)
回転構造体2018の側面2060には、第1実施形態のベルト溝1062及び軸受け溝1078と同様のベルト溝2062及び軸受け溝2078が形成される。
【0135】
支持が難しくなるが、導光部2046,2054で埋められる透光体収容部形成体2100を省略した回転構造体も採用しうる。
【0136】
回転構造体2018の材質は、制限されないが、成型が容易な樹脂であることが望ましい。特に、導光部2046の材質は、アクリル樹脂等であることが望ましいが、ガラス等、透過効率のよいものを適宜用いてよい。導光部2046は単一の材料からなる中実体で構成してもよいし、複数の光ファイバを集めて形成した光ファイバなど、複数の材料からなる中実体で構成してもよい。
【0137】
導光部2054を空洞で形成しても中実体で形成してもよい点については第1実施形態の導光部1054と同様である。
【0138】
(3 第3実施形態)
第3実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018に代えて採用される回転構造体3018に関する。
【0139】
図5は、第3実施形態の回転構造体3018の模式図である。図5は、回転構造体3018の断面図である。
【0140】
回転構造体3018の外径形状は、略円柱形状である。回転構造体3018の円柱軸は回転軸RAと同じ位置にある。
【0141】
回転構造体3018は、光検出器1010と走査面SPとの間に設けられる。回転構造体3018の下面3042は、走査面SPと対向し、走査面SPと平行になっている。回転構造体3018の上面3044は、光検出器1010と対向する。
【0142】
図5に示すように、回転構造体3018は、空洞形成体3100と、導光部3046の内部へ輝尽光PLを導くレンズ3200とを備える。
【0143】
(導光部3046)
空洞形成体3100は、照射点Pから光検出器1010へ輝尽光PLを導く空洞の導光部3046が形成された中空体である。第2実施形態の回転構造体2018のように、空洞の導光部3046に代えて透光体かつ中実体の導光部を形成してもよい。中実体の導光部とする場合、材質は、アクリル樹脂等であることが望ましいが、ガラス等、透過効率のよいものを適宜用いてよい。単一の材料からなる中実体で構成してもよいし、複数の光ファイバを集めて形成した光ファイバなど、複数の材料からなる中実体で構成してもよい。
セルフォックレンズを用いることもできる。中実体の導光部とする場合、レンズ3200は省略できる。
【0144】
導光部3054を空洞で形成しても中実体で形成してもよい点については第1実施形態の導光部1054と同様である。
【0145】
導光部3054と導光部3046を、全て一体の、透光体の中実体で形成してもよいが、その一部を一体の、透光体の中実体で形成してもよい。
【0146】
導光部3046は、回転構造体3018の下面3042に走査面SPと対向する輝尽光PLの入射口3048を有し、回転構造体3018の上面3044に光検出器1010と対向する輝尽光PLの出射口3050を有する。導光部3046の表面(第3実施形態の回転構造体3018では、空洞の内面を意味する)3052は円柱の形状をなす。すなわち、導光部3046は円柱状である。また、この場合の円柱は、厳密には円柱の頂部と底部を斜めに切除したような形状である。
【0147】
導光部3046の表面3052が第1実施形態の回転構造体1018のように楕円球面をなしてもよい。入射口3048から入射した輝尽光PLは、レンズ3200により集光され、出射口3050を経由して光検出器1010へ導かれる。導光部3046により、入射口3048から出射口3050へ輝尽光PLが効率よく導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0148】
入射口3048は回転軸RAから離され、出射口3050は回転軸RA上に形成される。これにより、光検出器1010が回転軸RA上に回転機構1022、回転構造体1018から分離して配置されるので、光検出器1010への給電や光検出器1010からの信号の取得が容易になる。また、輝尽光光学系3040が簡略化される。
【0149】
(導光部3054)
回転構造体3018には、固定ミラー1014から回転ミラー1016へ励起光ELを導く空洞の導光部3054も形成される。導光部3054は、回転構造体3018の下面3042に励起光ELの入射口3056を有し、導光部3046の内面3052に導光部3046に合流する合流口3058を有する。導光部3054は、回転軸RAの方向に延在する。導光部3054は、回転軸RA上にある。回転ミラー1016は、合流口3058に設けられる。入射口3056から入射した励起光ELは、導光部3054を通って回転ミラー1016に到達した後、回転ミラー1016に反射され、導光部3046を通って入射口3048を経由して走査面SPへ導かれる。
【0150】
図5に示す例では、導光部3046の表面は3052は略円柱の円柱面、厳密にはその内側の円柱内面であり、合流口3058近傍で回転ミラー1016が配置され、励起光ELの経路が加わるために、特に断面形状が大きなものとなっているが、入射口3048から出射口3050の間で、長手軸が直線で、断面形状が均一な、好適には真円の円形である円柱の円柱内面をなすようにしてもよい。この場合、穿孔による加工が簡易な構成となる。
【0151】
さらに、円柱の一部に楕円球面の部分を付加した形状としてもよく、適宜導光効率のよい形状が選択できる。
【0152】
導光部3046の長手軸は直線でもよいが、光の進行を妨げない程度に曲折していてもよい。
【0153】
輝尽光光学系3040を構成するレンズ3200は、回転構造体3018の入射口3048に固定される。レンズ3200の光軸は、照射点Pを通る。これにより、照射点Pから放射された輝尽光PLが効率よく光検出器1010へ導かれるので、放射線像の読み取りの感度が向上する。
【0154】
(回転構造体3018のその他の事項)
回転構造体3018の側面3060には、第1実施形態のベルト溝1062及び軸受け溝1078と同様のベルト溝3062及び軸受け溝3078が形成される。
【0155】
図6は、図5に示した第3実施形態の回転構造体3018の変形例である回転構造体3018aの模式図である。図6は、回転構造体3018aの断面図である。
【0156】
回転構造体3018aの基本的構造は回転構造体3018と同様であるので、特徴的部分を述べる。
【0157】
図5の回転構造体3018においては、導光部3054と導光部3046が合流口3058で合流し、導光部3054を通過して回転ミラー1016で反射された励起光ELが導光部3046を通って走査面SPへ導かれるようになっているが、図6の回転構造体3018aにおいては、回転ミラー1016で反射された励起光ELを走査面SPに向けて通過させる、励起光EL通過用導光部3054aがさらに備えられ、図5の回転構造体3018の導光部3046に代えて図1に示す照射点Pから光検出器1010へ輝尽光PLを導く、輝尽光PL通過用導光部3046aが備えられる点が特徴である。
【0158】
導光部3046aの表面3052aは、輝尽光PLを効率よく反射するため、鏡面加工される。
【0159】
導光部3046aは空洞であるが、第2実施形態の回転構造体2018のように、空洞の導光部3046aに代えて透光体かつ中実体の導光部を形成してもよい。これは、図5の回転構造体3018の導光部3046と同様である。
【0160】
空洞の導光部3046aの一部に中実体の導光部を埋設するようにしてもよい。
【0161】
励起光ELは、固定ミラー1014で反射されて導光部3054を通過し、回転ミラー1016で反射されて導光部3054aを通過し、走査面SPへ導かれる。
【0162】
照射点Pからの輝尽光PLは、入射口3048aを経て導光部3046aを通過し、出射口3050aを経て光検出器1010へ導かれる。
【0163】
導光部3046aの表面(第3実施形態の回転構造体3018aでは、空洞の内面を意味する)3052aは長手軸が直線で、断面形状が均一な、好適には真円の円形である円柱の円柱面、厳密にはその内側の円柱内面をなす。すなわち、導光部3046aは円柱状である。また、この場合の円柱は、厳密には円柱の頂部と底部を斜めに切除したような形状である。
【0164】
空洞の導光部3046aに代えて中実体の導光部を形成する場合、回転構造体3018aの下面と入射口3048aが必ずしも同一の面を形成するようにしなくともよく、回転構造体3018aの上面と出射口3050aが必ずしも同一の面を形成するようにしなくともよい。例えば、頂部と底部を斜めに切除しない真の円柱の形状の中実体を空洞の導光部3046aに代えて、あるいは空洞の導光部3046aの一部に埋設するように用いることで、加工をさらに簡易にすることもできる。
【0165】
導光部3054aと導光部3046aを、全て一体の、透光体の中実体で形成してもよいが、その一部を一体の、透光体の中実体で形成してもよい。
【0166】
導光部3054aの表面(空洞の内面)3054bも、長手軸が直線で、断面形状が均一な、好適には真円の円形である円柱の円柱面、厳密にはその内側の円柱内面をなす。
【0167】
導光部3046a、導光部3054aの長手軸は直線でもよいが、光の進行を妨げない程度に曲折していてもよい。
【0168】
導光部3046aと導光部3054aとは回転構造体3018a内部で図示のように途中で合流してもよいが、合流せずにそれぞれ独立の経路を有してもよい。
【0169】
導光部3046aの内部で、輝尽光PLが入射口3048aを通過した後に輝尽光PLを集光するレンズは略されるが、円柱内面3052aがなす円柱の断面が光検出器1010の検出面とほぼ同等から2倍程度の面積に設定されており、効率的に導光できる。
【0170】
導光部3046aの表面3052aを、入射口3048aにおける断面形状が出射口3050aにおける断面形状よりも広い円錐形状この場合、導光部3046aは円錐状である。この場合の円錐は、厳密には円錐の頂部と底部を斜めに切除したような形状である。
【0171】
(4 第4実施形態)
第4実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018に代えて採用される回転構造体4018に関する。
【0172】
図7は、第4実施形態の回転構造体4018の模式図である。図7は、回転構造体4018の断面図である。
【0173】
図7に示すように、回転構造体4018は、第1実施形態の回転構造体1018と類似の構造を有する。ただし、回転構造体4018には、走査面SPへ向かってエアを導く送風機構としてエア流通孔4200が形成される。エア流通孔4200は、回転構造体4018の下面4042に吹き出し口4204を有し、回転構造体4018の上面4044に吸い込み口4202を有する。吸い込み口4202よりも吹き出し口4204の方が回転軸RAから離れている。これにより、回転構造体4018が回転すると、吸い込み口4202からエアが吸い込まれ、エア流通孔4200を通ってエアが吹き出し口4204から吹き出される。その結果、保持面1092にイメージングプレートIPが押し付けられるので、イメージングプレートIPの位置ずれが抑制される。
【0174】
なお、第2実施形態の回転構造体2018又は第3実施形態の回転構造体3018にエア流通孔4200と同様のエア流通孔を形成してもよい。
【0175】
(5 第5実施形態)
第5実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018に代えて採用される回転構造体5018に関する。
【0176】
図8は、第5実施形態の回転構造体5018の模式図である。図8は、回転構造体5018の断面図である。
【0177】
図8に示すように、回転構造体5018は、第1実施形態の回転構造体1018と類似の構造を有する。ただし、回転構造体5018には、走査面SPへ向かってエアを導く送風機構としてファン羽根5200が形成される。これにより、回転構造体5018が回転すると、ファン羽根5200によりエアが走査面SPへ向かって送られ、保持面1092にイメージングプレートIPが押し付けられるので、イメージングプレートIPの位置ずれが抑制される。
【0178】
なお、第2実施形態の回転構造体2018、第3実施形態の回転構造体3018、第4実施形態の回転構造体4018にファン羽根5200と同様のファン羽根を形成してもよく、ファン羽根を形成した第2実施形態の回転構造体2018、ファン羽根を形成した第3実施形態の回転構造体3018のいずれにおいても、さらに第4実施形態のエア流通孔4200と同様のエア流通孔を形成してもよい。
【0179】
(6 第6実施形態)
第6実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018及び回転機構1022に代えて採用される回転構造体6018及び回転機構6022、回転構造体6018a及び回転機構6022aに関する。
【0180】
図9は、第6実施形態の回転機構6022及び回転構造体6018の模式図である。図9は、回転機構6022及び回転構造体6018の断面図である。
【0181】
図9に示すように、回転構造体6018は、第1実施形態の回転構造体1018と類似の構造を有する。ただし、回転構造体6018には、ベルト溝1062に代えて、回転機構6022の中空ロータ6302が固定されるロータ溝6062が形成される。ロータ溝6062の幅は中空ロータ6302よりも少し広い。ロータ溝6062は回転構造体6018の周方向に延在する。
【0182】
回転機構6022は、モータ6300を備える。モータ6300は、中空ロータ6302とステータ6304とを備える。
【0183】
中空ロータ6302は、回転軸RAに垂直な断面における回転構造体6018の断面形状と略同一の形状の軸孔が形成された環形状を有する。中空ロータ6302の軸孔には回転構造体6018が挿入され、中空ロータ6302は回転構造体6018のロータ溝6062に固定される。中空ロータ6302は、永久磁石6302mを備え、界磁磁束を発生する。
【0184】
ステータ6304は、フレーム6026に固定される。ステータ6304は、回転磁界を発生する巻線6304cを備える。
【0185】
ステータ6304の回転磁界を発生する回転磁界発生面と、中空ロータ6302の界磁磁束を発生する界磁磁束発生面とは、間隙を挟んで対向させられる。
【0186】
ステータ6304に固定された軸受け6300bが中空ロータ6302を回転可能に軸支している。
【0187】
第1実施形態の回転機構1022では、モータ1064が回転構造体1018に直結されていないので、モータ1064の駆動力を回転構造体1018へ伝達するベルト1068等の駆動力伝達機構が必要である。これに対して、第6実施形態の回転機構6022では、モータ6300が回転構造体6018に直結されているので、モータ6300の駆動力を回転構造体6018へ伝達する駆動力伝達機構は省略される。
【0188】
中空ロータ6302が界磁磁束を発生しステータ6304が回転磁界を発生する回転界磁型のモータ6300ではなく、ステータ6304が界磁磁束を発生し中空ロータ6302が回転磁界を発生する回転電機子型のモータを採用してもよい。ただし、回転界磁型のモータ6300には、回転構造体6018に固定された中空ロータ6302に給電する必要がないので、読み取り装置1002が簡略化されるという利点がある。
【0189】
図10は、第6実施形態の回転機構6022a及び回転構造体6018aの模式図である。図10は、回転機構6022a及び回転構造体6018aの断面図である。
【0190】
基本的構造は図9の回転機構6022及び回転構造体6018と同様であるので、特徴的な部分を述べる。
【0191】
図10に示すように、回転構造体6018aは、図9の回転構造体6018と類似の構造を有する。ただし、回転構造体6018aには、ロータ6500が固定され、ロータ6500が回転すると回転構造体6018aも回転するようになっている。
【0192】
回転機構6022aは、モータ6300aを備える。モータ6300aは、中空ロータ6302aとステータ6304aとを備える。
【0193】
中空ロータ6302aの軸孔にはロータ6500が挿入されて固定されている。中空ロータ6302aは永久磁石6302bを備え、界磁磁束を発生する。
【0194】
ステータ6304aは、フレーム6026aに固定される。ステータ6304aは、回転磁界を発生する巻線6304bを備える。
【0195】
ステータ6304aの回転磁界を発生する回転磁界発生面と、中空ロータ6302aの界磁磁束を発生する界磁磁束発生面とは、間隙を挟んで対向させられ、ステータ6304aに固定された軸受け6300cが中空ロータ6302aを回転可能に軸支している。
【0196】
モータ6300aの駆動でロータ6500、回転構造体6018aが一体的に回転される。
【0197】
中空ロータ6302aに永久磁石6302bが、ステータ6304aに巻線6304bが備えられたモータ6300aの代わりに、中空ロータ6302aに巻線が、ステータ6304aに永久磁石が備えられたモータを用いてもよい。
【0198】
フレーム6026aの上部には、回転構造体6018aの頂部に面する面に間隙を介して光検出器6010aを支持する光検出器支持フレーム6026bが固定され、光検出器6010aは光検出器支持フレーム6026bに固定されて光学フィルタ6012aを挟んで回転構造体6018aの頂部中央部分と対面し、輝尽光PLを受光する。
【0199】
フレーム6026aには第1実施例の軸受け1020に相当する軸受け6020aが固定され、回転構造体6018aの側面を支持することで回転構造体6018aを回転可能に軸支しているが、軸受け6300cが中空ロータ6302aを回転可能に軸支しているので、省略することもできる。
【0200】
図10の実施形態ではロータ6500の外径を回転構造体6018aの外径よりも小さくでき、そのために中空ロータ6302aの内径を小さくでき、図9の実施形態に比べてより高い回転数でモータ6300aの駆動をすることが可能である。
【0201】
(7 第7実施形態)
第7実施形態は、第1実施形態の回転構造体1018及び回転機構1022に代えて採用される回転構造体7018及び回転機構7022に関する。
【0202】
図11は、第7実施形態の回転構造体7018及び回転機構7022の模式図である。図11は、回転構造体7018及び回転機構022の断面図である。
【0203】
図11に示すように、回転構造体7018は、第1実施形態の回転構造体1018と類似の構造を有する。ただし、回転構造体7018には、ベルト溝1062に代えて、ギア溝7062が形成されている。ギア溝7062は、回転機構7022のギア7402よりも幅が若干広く回転構造体7018の周方向に延在する。
【0204】
回転機構7022は、回転の駆動力を発生するモータ7064と、回転比を調整しモータ7064の駆動力を回転構造体7018へ伝達するギア7400,7402と、を備える。
【0205】
モータ7064のハウジング7070は、フレーム7026に固定される。ギア7400は、モータ7064のシャフト7072に固定される。ギア7402は、回転軸RAに垂直な断面における回転構造体7018の断面形状と略同一の形状の軸孔が形成された環形状を有する。ギア7402の軸孔には、回転構造体7018が挿入され、ギア7402は、回転構造体7018のギア溝7062に固定される。ギア7400とギア7402とは、かみ合わされる。回転構造体7018の側面7060が磨耗しにくい場合は、回転構造体7018の側面7060にギア7402を取り付けることに代えて、回転構造体7018の側面7060の一部をギア形状としてもよい。ギア7400に代えてローラをモータ7064のシャフト7072に固定し、ローラ面を回転構造体7018の側面7060に当接してもよい。
【0206】
(8 第8実施形態)
第8実施形態は、第1実施形態の読み取り機構1007に代えて採用される読み取り機構8007に関する。
【0207】
図12は、第8実施形態の読み取り機構8007の模式図である。図12は、読み取り機構8007の断面図である。
【0208】
図12に示すように、読み取り機構8007は、励起光ELを放射する励起光光源8008と、輝尽光PLを検出する光検出器8010と、光検出器8010への励起光ELの入射を抑制する光学フィルタ8012と、水平方向から到達した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ屈曲する固定ミラー8014と、回転軸RAが延在する方向から到達した励起光ELを回転軸RAに対して傾斜した方向へ屈曲する回転ミラー8016と、照射点Pから放射された輝尽光PLを光検出器8010へ導く固定構造体8018と、回転ミラー8016を回転軸RAの周りに回転させる回転機構8022と、を備える。
【0209】
(走査機構8036)
読み取り機構8007の一部であって照射点Pを円運動させる走査機構8036は、固定ミラー8014及び回転ミラー8016を備え回転軸RAから離れた照射点Pへ励起光ELを導く励起光光学系8034と、励起光光学系8034の一部を構成する回転ミラー8016を回転軸RAの周りに回転させる回転機構8022と、を備える。走査機構8036により、励起光光源8008から照射点Pまでの距離が一定に保たれ放射線像形成面Sへの励起光ELの入射角度が一定に保たれるので、放射線像が均一に読み取られる。
【0210】
(励起光光学系8034)
励起光光学系8034は、固定ミラー8014及び回転ミラー8016以外の光学素子を備えていてもよい。例えば、励起光光学系8034が、励起光ELをさらに屈曲するミラー、励起光ELを収束するレンズ等を備えていてもよい。励起光ELを屈曲する屈曲光学素子としてミラーに代えてプリズム等を用いてもよい。
【0211】
(回転ミラー8016)
回転ミラー8016は、回転軸RAが延在する方向から到達した励起光ELを回転軸RAに対して傾斜した方向へ屈曲する。回転ミラー8016により屈曲された励起光ELは、回転軸RAから離れた照射点Pへ導かれる。
【0212】
回転ミラー8016は、回転軸RA上に設けられる。回転ミラー8016は、固定構造体8018の内部において回転機構8022の回転管体8500の上端に固定される。回転ミラー8016により、回転ミラー8016に到達するまで励起光ELの光路を回転させる必要がなくなるので、励起光光源8008を動かす必要がなくなり、励起光光源8008への給電が容易になる。
【0213】
回転管体8500に固定された回転ミラー8016は、回転軸RAの周りに回転するので、回転ミラー8016から走査面SPへ至る励起光ELの光路は回転軸RAの周りに回転し、照射点Pは走査面SPにおいて円運動する。
【0214】
回転ミラー8016の反射面は、第1実施形態の回転ミラー1016と同様に水平方向から傾けられる。
【0215】
(固定ミラー8014)
固定ミラー8014は、水平方向から到達した励起光ELを回転軸RAが延在する方向へ屈曲し、回転ミラー8016へ導く。固定ミラー8014へ到達する励起光ELの方向は水平方向である必要はなく、回転軸RAが延在する方向から傾いた方向であればよい。固定ミラー8014により、励起光光源8008が回転軸RAから離されるので、励起光光源8008への給電が容易になり、読み取り機構8007の構造の自由度が増す。
【0216】
固定ミラー8014は、回転軸RA上に設けられる。固定ミラー8014は、固定構造体8018の外部において回転機構8022から分離してフレーム8026に固定される。これにより、固定構造体8018に妨げられることなく固定ミラー8014へ励起光ELが導かれる。
【0217】
固定ミラー8014が固定される位置は、固定構造体8018の下面8042と走査面SPとの間であることが望ましい。これにより、光検出器8010と固定ミラー8014とが固定構造体8018で隔てられ、励起光ELの迷光が光検出器8010に入射することが抑制される。また、イメージングプレートIPにより励起光ELが遮蔽されることがなくなる。
【0218】
固定ミラー8014の反射面は、第1実施形態の固定ミラー1014と同様に水平方向から傾けられる。
【0219】
(励起光光源8008、光検出器8010及び光学フィルタ8012)
励起光光源8008、光検出器8010及び光学フィルタ8012としては、第1実施形態の励起光光源1008、光検出器1010及び光学フィルタ1012と同様のものが採用される。
【0220】
(輝尽光光学系8040)
走査面SP上の照射点Pから放射された輝尽光PLを光検出器8010へ導く輝尽光光学系8040は、固定構造体8018の一部である。
【0221】
(固定構造体8018)
固定構造体8018の外径形状は、略円柱形状である。固定構造体8018の円柱軸は回転軸RAと同じ位置にある。
【0222】
固定構造体8018は、光検出器8010と走査面SPとの間に設けられる。回転構造体8018の下面8042は、走査面SPと対向し、走査面SPと平行になっている。回転構造体8018の上面8044は、光検出器8010と対向する。固定構造体8018は、回転機構8022から分離されフレーム8026に固定される。
【0223】
固定構造体8018は、照射点Pから光検出器8010へ輝尽光PLを導く空洞の導光部8046が形成された中空体である。導光部8046は、固定構造体8018の走査面SPと対向する下面8042に輝尽光PLの入射口8048を有し、固定構造体8018の光検出器8010と対向する上面8044に輝尽光PLの出射口8050を有する。導光部8046は、固定構造体8018の上面8044から下面8042へ向かって回転軸RAから表面(第8実施形態の固定構造体8018では空洞の内面を意味する)8052までの距離が長くなるつりがね形状を有する。導光部8046の表面8052は、回転軸RAについての回転対称性を有する。これにより、固定構造体8018を回転させなくても、円運動する照射点Pから放射された輝尽光PLが光検出器8010へ導かれる。導光部8046の表面8052は、入射口8048から入射した輝尽光PLを出射口8050へ集光する凹面反射鏡となっている。
【0224】
図13は、固定構造体8018の下面図である。
【0225】
図13に示すように、固定構造体8018の下面8042には、二ヶ所で途切れた不完全円環状の入射口8048が形成される。二ヶ所の途切れは、放射線像形成面S上を走査するときの励起光ELの光路を遮蔽しない場所に設けられる。
【0226】
(回転機構8022)
回転機構8022は、回転の駆動力を発生するモータ8508と、回転比を調整しモータ8508の駆動力を回転管体8500へ伝達するギア8502,8504と、回転管体8500を支持する軸受け8506と、回転ミラー8016を支持する回転管体8500と、を備える。
【0227】
モータ8508のハウジング8510は、フレーム8026に固定される。ギア8502は、モータ8508のシャフト8512に固定される。ギア8504には、回転軸RAに垂直な断面における回転管体8500の断面形状と略同一の形状の軸孔が形成される。ギア8504の軸孔には、回転管体8500が挿入され、ギア8504と回転管体8500とは結合される。ギア8502とギア8504とはかみ合わされる。
【0228】
軸受け8506は、回転管体8500を回転軸RAの周りに回転することができる状態で支持する。軸受け8506の外輪8516は、固定構造体8018の導光部8046の内底面に固定され、軸受け8506の内輪8514は、回転管体8500に固定される。
【0229】
図12には、軸受け8506が転がり軸受けである場合が示されているが、すべり軸受け又は流体軸受けで回転管体8500を支持してもよい。
【0230】
回転機構8022により回転管体8500は回転軸RAの周りに回転させられる。
【0231】
回転管体8500は、回転軸RAの方向に延在する。回転管体8500は、回転軸RA上にある。
【0232】
(励起光ELの光路)
励起光光源8008から放射された励起光ELは、固定ミラー8014に反射され、回転管体8500の下端に入射する。回転管体8500の下端に入射した励起光ELは、回転管体8500の上端から出射し、回転ミラー8016に反射され、走査面SPへ導かれる。
【0233】
(送風機構8530及び防塵フィルタ8532)
第8実施形態の読み取り機構8007を採用する場合、望ましくは、エア流を生成する送風機構8530と、エア流からホコリを除去する防塵フィルタ8532とが設けられる。送風機構8530により生成されたエア流は、防塵フィルタ8532を経由して導光部8046に流入し、導かれて、最終的に入射口8048から走査面SPへ向かって吹き出される。これにより、保持面1092にイメージングプレートIPが押し付けられるので、イメージングプレートIPの位置ずれが抑制される。
【0234】
(9 第9実施形態)
第9実施形態は、第1実施形態の搬送機構1006に代えて採用される搬送機構9006に関する。
【0235】
図14及び図15は、第9実施形態の搬送機構9006の模式図である。図14は、搬送機構9006の断面図、図15は、搬送機構9006の上面図である。
【0236】
図14及び図15に示すように、搬送機構9006は、イメージングプレートIPを平坦に保持するステージ(保持部)9602と、ステージ9602を往復させるステージ駆動機構9603と、を備える。ステージ駆動機構9603は、ステージ9602を搬送方向へ案内するガイドロッド9604と、ステージ9602を搬送方向へ送るボールネジ9606と、ボールネジ9606を回転させるモータ9608と、これらを支持するフレーム9610と、を備える。
【0237】
ステージ9602は、イメージングプレートIPよりも大きく平坦な保持面9612を有する。
【0238】
ステージ9602には、搬送方向に垂直な断面におけるガイドロッド9604の断面形状よりわずかに径大の孔形状を有するガイドロッド孔9614が形成される。ガイドロッド穴9614には、ガイドロッド9604が挿入される。ステージ9602は、ガイドロッド9604に対して摺動する。これにより、ステージ9602は、搬送方向に案内される。
【0239】
ステージ9602には、ボールネジ9606のネジ形状に対応するネジ孔9616が形成される。ネジ孔9616には、ボールネジ9606が螺合される。
【0240】
ガイドロッド9604及びボールネジ9606は、搬送方向に延在する。ガイドロッド9604の両端は、フレーム9610に固定される。ボールネジ9606の一端は、フレーム9610に回転可能な状態で支持され、ボールネジ9606の他端は、モータ9608のロータに結合される。モータ9608のハウジングは、フレーム9610に固定される。
【0241】
モータ9608がボールネジ9606を回転させると、ステージ9602は、固定された走査機構1036に対して直線的に相対移動する。これにより、イメージングプレートIPは、回転軸RAに垂直な方向へ搬送される。
【0242】
搬送機構9006は、保持面9612からなる保持体を走査機構に対して回転軸RAに垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構の一例である。
【0243】
(10 第10実施形態)
第10実施形態は、第1実施形態の搬送機構1006に代えて採用される搬送機構10006に関する。
【0244】
図16は、第10実施形態の搬送機構10006の模式図である。図16は、搬送機構10006の断面図である。
【0245】
図16に示すように、搬送機構10006は、イメージングプレートIPを平坦に保持するステージ(保持部)10602と、ステージ10602を往復させるステージ駆動機構10603と、を備える。ステージ駆動機構10603は、ステージ10602を搬送方向へ案内するガイドロッド10604と、ステージ10602を搬送方向へ送るラック10700及びピニオン10702と、ピニオン10702を回転させるモータ10704と、これらを支持するフレーム10610と、を備える。
【0246】
ステージ10602は、イメージングプレートIPよりも大きく平坦な保持面10612を有する。
【0247】
ガイドロッド10604及びラック10700は、搬送方向に延在する。ガイドロッド10604及びラック10700の両端は、フレーム10610に固定される。ピニオン10702は、モータ10704のシャフトに結合される。モータ10704のハウジングは、ステージ10602の下面に固定される。ラック10700及びピニオン10702は、かみあわされる。モータ10704がピニオン10702を回転させると、ステージ10602は、固定された走査機構1036に対して直線的に相対移動する。これにより、イメージングプレートIPは、回転軸RAと垂直な方向へ直線搬送される。
【0248】
ラック10700を省略し、ピニオン10702に代えてローラ面がフレーム10610の底部上面等に当接するローラをモータ10704のシャフトに結合しても、同様にステージ10602が固定された走査機構1036に対して相対移動し、イメージングプレートIPが回転軸RAに垂直な搬送方向へ直線搬送される。
【0249】
ステージ駆動機構10603は、ステージ10602からなる保持体を走査機構に対して回転軸RAに垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構の一例である。
【0250】
(11 第11実施形態)
第11実施形態は、第1実施形態のイメージングプレートIPの配列に代えて採用されるイメージングプレートIP1〜IP4の搬送に関する。
【0251】
図17は、第11実施形態のイメージングプレートIP1〜IP4の配列を示す模式図である。図17は、搬送の際のイメージングプレートIP1〜IP4の配列を示す上面図である。
【0252】
図17に示すように、ベルト1080の保持面1092には、パノラマ撮影用の大型のイメージングプレートIP1が載置されるとともに、3個の口内撮影用の小型のイメージングプレートIP2〜IP3が搬送方向に垂直な方向に配列して載置される。このように、異なる大きさのイメージングプレートIP1〜IP4を混載すること、複数のイメージングプレートIP1〜IP4を搬送方向及び搬送方向に垂直な方向に配列することも許容される。
【0253】
なお、搬送方向に垂直な方向に複数のイメージングプレートIP2〜IP3を配列する場合は、配列された複数のイメージングプレートIP2〜IP3の全部の放射線像形成面の全体が走査されるように軌跡TRの直径が決められる。
【0254】
(12 第12実施形態)
第12実施形態は、イメージングプレートIPの放射線像形成面Sから放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置12002に関する。第1実施形態の読み取り装置1002と第12実施形態の放射線像の読み取り装置12002との主な違いは、第1実施形態の読み取り装置1002は、固定された読み取り機構1007に対して保持体(ベルト1080)を相対移動させるのに対して、第12実施形態の読み取り装置12002は、固定された保持体(トレイ12080)に対して読み取り機構12007を相対移動させる点にある。以下では、この違いに特に着目して、第12実施形態の読み取り装置12002について説明する。
【0255】
図18及び図19は、読み取り装置の模式図である。図18は、読み取り装置の断面図、図19は、読み取り装置の斜視図である。
【0256】
図18及び図19に示すように、読み取り装置12002は、放射線像形成面Sから放射線像を読み取る読み取り機構12007と、イメージングプレートIPを保持するトレイ12080と、消去光を放射する消去光光源12024と、読み取り機構12007及び消去光光源12024を収容するフレーム12026と、読み取り機構12007及び消去光光源12024をフレーム12026ごと往復させるフレーム駆動機構12802と、トレイ12080を往復させるトレイ駆動機構12804と、これらを収容する筐体12028を備える。
【0257】
トレイ12080及びトレイ駆動機構12804を備える搬入搬出機構12806により読み取り装置12002の内部へ搬入されたイメージングプレートIPは、トレイ12080に平坦に保持される。トレイ12080はイメージングプレートIPを保持する保持体である。読み取り機構12007は、方向BまたはBAへ搬送され、トレイ12080に保持されたイメージングプレートIPの上方を通過し、放射線像形成面Sに描画された放射線像を読み取る。
【0258】
読み取り機構12007は、第1実施形態の読み取り機構1007において移動しないフレーム1026に固定されていた構成物に相当する構成物が移動するフレーム12026に固定されることを除いては、第1実施形態の読み取り機構1007と同様の機構であり、照射点Pを円運動させる走査機構を含む。
【0259】
フレーム駆動機構12802は、フレーム12026を支持する支持片12808,12810,12812,12814と、支持片12808,12810を駆動方向へ案内するガイドロッド12816と、支持片12812,12814を駆動方向へ送るボールネジ12818と、ボールネジ12818を回転させるモータ12820と、を備える。
【0260】
支持片12808,12810には、駆動方向に垂直な断面におけるガイドロッド12816の断面形状と略同一の孔形状を有するガイドロッド孔が形成される。ガイドロッド孔には、ガイドロッド12816が挿入される。支持片12808,12810は、フレーム12026に固定され、ガイドロッド12816に対して摺動する。これにより、フレーム12026及びフレーム12026に固定された読み取り機構12007及び消去光光源12040は、駆動方向に案内される。
【0261】
支持片12812,12814には、ボールネジ12818のネジ形状に対応するネジ孔が形成される。ネジ孔には、ボールネジ12818が螺合される。
【0262】
ガイドロッド12816及びボールネジ12818は、駆動方向に延在する。ガイドロッド12816の両端は、筐体12028に固定される。具体的な支持構造は図示を略すが、ボールネジ12818の一端は、筐体12028に回転可能な状態で支持され、ボールネジ12818の他端は、モータ12820のロータに結合される。モータ12820のハウジングは、筐体12028に固定される。
【0263】
モータ12820がボールネジ12818を回転させると、フレーム12026及びフレーム12026に固定された読み取り機構12007及び消去光光源12040は、固定されたトレイ12080に対して直線的に相対移動する。これにより、読み取り機構12007及び消去光光源12040は、回転軸RAに垂直な方向へ直線的に搬送される。
【0264】
トレイ駆動機構12804は、トレイ12080を駆動方向に送るローラ12822と、ローラ12822を回転させるモータ12820と、を備える。
【0265】
ローラ12822のローラ面は、トレイ12080の底面に当接する。ローラ12822は、モータ12820のシャフトに結合される。モータ12820のハウジングは、筐体12028に固定される。
【0266】
モータ12820がローラ12822を回転させると、トレイ12080は、筐体12028から引き出されたイジェクト位置と筐体12028へ押し入れられたロード位置との間で移動する。トレイ12080がイジェクト位置にあるときに、トレイ12080の保持面12824にイメージングプレートIPが載置され、トレイ12080の保持面12824に載置されたイメージングプレートIPが回収される。トレイ12080がロード位置にあるときに、トレイ12080の保持面12824に載置されたイメージングプレートIPの放射線像形成面Sに描画された放射線像が読み取り機構12007により読み取られる。
【0267】
消去光光源12040は、フレーム12026に固定され、読み取り機構12007と共にフレーム駆動機構112802の駆動により駆動方向に沿って移動し、消去を行う。
【0268】
トレイ12080がロード位置にあり、イメージングプレートIPが読み取り装置12002の内部へ搬入された状態で、トレイ12080とイメージングプレートIPとは筐体12028と読み取り装置12002本体に対して固定状態にある。
【0269】
第1実施例の走査機構1036に相当する走査機構も読み取り機構12007の一部であるので、読み取り機構12007を構成する走査機構も、ロード位置において筐体12028と読み取り装置12002本体に対して固定のトレイ12080に対して相対移動される。励起光光源も読み取り機構12007の一部であり、読み取り機構12007を構成する走査機構と励起光光源は一体的に移動される。
【0270】
フレーム駆動機構12802は、トレイ12080からなる保持体を読み取り機構12007を構成する走査機構に対して回転軸RAに垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構の一例である。
【0271】
(13 第13実施形態)
第13実施形態は、イメージングプレートIPの放射線像形成面Sから放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置13002に関する。第1実施形態の読み取り装置1002と第13実施形態の放射線像の読み取り装置13002との主な違いは、第1実施形態の読み取り装置1002は、固定された読み取り機構1007に対して保持体(ベルト1080)を相対移動させるのに対して、第13実施形態の読み取り装置13002は、保持体(ベルト13080)及び読み取り機構13007の両方を移動させる点にある。以下では、この違いに特に着目して、第13実施形態の読み取り装置13002について説明する。
【0272】
図20は、読み取り装置13002の模式図である。図20は、読み取り装置13002の断面図である。
【0273】
図20に示すように、読み取り装置13002は、放射線像形成面Sから放射線像を読み取る読み取り機構13007と、イメージングプレートIPを保持するベルト13080と、ベルト13080を周回させるベルト駆動機構13082と、消去光を放射する消去光光源13024と、読み取り機構13007を収容するフレーム13026と、読み取り機構13007をフレーム13026ごと往復させるフレーム駆動機構13802と、これらを収容する筐体13028と、を備える。ベルト13080及びベルト駆動機構13082を備える第13実施形態の搬送機構13006は、第1実施形態の搬送機構1006と同様の機構であり、照射点Pを円運動させる走査機構を含む。
【0274】
筐体1028に形成された入口13094に挿入され読み取り装置12002の内部へ搬入されたイメージングプレートIPは、ベルト13008の往路部分に保持される。ベルト13008の往路部分に保持されたイメージングプレートIPは、方向Aへ搬送される。読み取り機構13007は、方向Bへ搬送される。ベルト13080に保持されたイメージングプレートIP及び読み取り機構13007は、読み取り装置13002の内部ですれちがい、読み取り機構13007は、放射線像形成面Sに描画された放射線像を読み取る。
【0275】
(読み取り機構13007の概略)
読み取り機構13007は、第1実施形態の読み取り機構1007において移動しないフレーム1026に固定されていた構成物に相当する構成物が移動するフレーム13026に固定されることを除いては、第1実施形態の読み取り機構1007と同様の機構である。
【0276】
第13実施形態のフレーム駆動機構13802は、第12実施形態のフレーム駆動機構12802と同様の機構である。
【0277】
ベルト13080の一部であるイメージングプレートIPの保持面は、イメージングプレートIPを搬送する搬送機構13006の構成要素であると共に、イメージングプレートIPを保持する保持体でもある。
【0278】
ベルト13080の保持面は読み取り機構13007の走査機構に対し、回転軸RAに垂直な方向へ移動し、保持面上に載置されたイメージングプレートIPは、読み取り機構13007の走査機構に対し、回転軸RAに垂直な方向へ直線搬送される。イメージングプレートIPは読み取り機構13007の走査機構に対して直線的に相対移動される。
【0279】
フレーム駆動機構13802の駆動により、読み取り機構13007は、ベルト13080に対して直線的に相対移動する。これにより、読み取り機構13007は、回転軸RAに垂直な方向へ直線的に搬送される。
【0280】
第1実施例の走査機構1036に相当する走査機構も読み取り機構13007の一部であるので、読み取り機構13007を構成する走査機構もベルト13080の保持面に対して相対移動される。
【0281】
フレーム駆動機構13802の駆動による読み取り機構13007の移動方向と搬送機構13006の駆動によるベルト13080の保持面の移動は互いに反対方向である。
【0282】
搬送機構13006とフレーム駆動機構13802とは、ベルト13080の保持面からなる保持体を読み取り機構13007の走査機構に対して回転軸RAに垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構の一例である。
【0283】
固定された読み取り機構1007に対して保持体(ベルト1080)を相対移動させる第1実施形態の読み取り装置1002によれば、仮にイメージングプレートIPをベルト1080に載置してから走査のための読み取り機構1007の搬送を始め、走査が済んだイメージングプレートIPがベルト1080に載置された状態のまま送出されるような構造にした場合、読み取り機構1007の前後にイメージングプレートIP載置のためのスペースが必要になり、ベルト1080のサイズがその分前後に大きくなる。これに対して、固定された保持体(トレー12080)に対して読み取り機構12007を相対移動させる第12実施形態の読み取り装置12002の構成を応用した本実施形態の読み取り装置13002によれば、読み取り機構13007も移動するので、予め読み取り機構13007を退避させておいてベルト13080上にイメージングプレートIPを載置することができ、ベルト13080と読み取り機構13007の双方を移動させて走査できるので、その分、ベルト13080側のスペースが小さく済む。つまり、フットプリントが極端に広くならない。保持体(ベルト13080)及び読み取り機構13007の両方を移動させる第13実施形態の読み取り装置13002は、これらの両方の利点を有し、フットプリントを特に小さくすることができる。
【0284】
(14 その他)
この発明は詳細に説明されたが、上述の説明は全ての局面において例示であって、この発明は上述の説明に限定されない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定される。特に、第1実施形態〜第13実施形態において説明した事項を組み合わせることは当然に予定されている。第12実施形態の読み取り装置12002又は第13実施形態の読み取り装置13002において、第2実施形態から第10実施形態までの変形された実施形態を採用することも予定されている。
【符号の説明】
【0285】
1002,12002,13002 読み取り装置
1006,9006,10006,13006 搬送機構
1008,8008 励起光光源
1010,6010a,8010 光検出器
1012,6012a,8012 光学フィルタ
1014,8014 固定ミラー
1016,8016 回転ミラー
1018,2018,3018,3018a,4018,5018,6018,6018a,7018 回転構造体
1022,6022,6022a,7022,8022 回転機構
1028,12028,13028 筐体
1032 集塵機構
1034,8034 励起光光学系
1036,8036 走査機構
1046,2046,3046,3046a,8046 導光部
1048,2048,3048,3048a,8048 入射口
1050,2050,3050,3050a,8050 出射口
1080,13080 ベルト
1082,13082 ベルト駆動機構
3200 レンズ
4200 エア流通孔
5200 ファン羽根
1007,8007 読み取り機構
8018 固定構造体
9602,10602 ステージ
9603,10603 ステージ駆動機構
フレーム駆動機構12802
IP,IP1〜IP4 イメージングプレート
EL 励起光
PL 輝尽光
S 放射線像形成面
RA 回転軸
SP 走査面
P 照射点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝尽性蛍光体からなる放射線像形成面を持つ媒体から放射線像を読み取る放射線像の読み取り装置であって、
媒体を平坦に保持する保持体と、
励起光を放射する光源と、
前記保持体に保持された媒体の放射線像形成面を含む走査面に垂直で前記光源から離れた回転軸の周りに前記光源から放射された励起光の光路を回転させ、前記光源から放射された励起光が照射される照射点を前記走査面において円運動させる走査機構と、
前記回転軸上に設けられ前記照射点から放射される輝尽光を検出する光検出器と、
前記保持体を前記走査機構に対して前記回転軸に垂直な方向へ相対的に移動させる相対移動機構と、
を備える放射線像の読み取り装置。
【請求項2】
請求項1の放射線像の読み取り装置において、
前記走査機構は、
前記回転軸から離れた照射点へ励起光を導く励起光光学系と、
前記回転軸の周りに前記励起光光学系の少なくとも一部を回転させる回転機構と、
を備え、
前記励起光光学系は、
前記回転軸上に設けられ前記回転軸が延在する方向から到達した前記励起光を前記回転軸に対して傾斜した方向へ屈曲する第1の屈曲光学素子、
を備え、
前記回転機構は、
前記回転軸の周りに前記第1の屈曲光学素子を回転させる、
放射線像の読み取り装置。
【請求項3】
請求項2の放射線像の読み取り装置において、
前記励起光光学系は、
前記回転軸上に前記回転機構から分離して固定され前記回転軸に対して傾斜した方向から到達した励起光を前記回転軸が延在する方向へ屈曲して前記第1の屈曲光学素子へ導く第2の屈曲光学素子、
をさらに備える放射線像の読み取り装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3の放射線像の読み取り装置において、
照射点から放射された輝尽光を前記光検出器へ導く輝尽光光学系、
をさらに備える放射線像の読み取り装置。
【請求項5】
請求項4の放射線像の読み取り装置において、
励起光光学系の光路の一部と輝尽光光学系の光路の一部が共通の導光部を経由する、
放射線像の読み取り装置。
【請求項6】
請求項5の放射線像の読み取り装置において、
前記輝尽光光学系は、前記光検出器と前記走査面との間に設けられた構造体の一部であり、
前記構造体には、前記走査面と対向する面に輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する面に輝尽光の出射口を有する導光部が形成され、
前記励起光光学系は、前記導光部を経由して前記光源から前記走行面まで励起光を導く、
放射線像の読み取り装置。
【請求項7】
請求項6の放射線像の読み取り装置において、
前記輝尽光光学系の光軸は、照射点を通る、
放射線像の読み取り装置。
【請求項8】
請求項5の放射線像の読み取り装置において、
前記輝尽光光学系は、前記光検出器と前記走査面との間に設けられた構造体の一部であり、
前記回転機構は、前記回転軸の周りに前記構造体を回転させる、
放射線像の読み取り装置。
【請求項9】
請求項8の放射線像の読み取り装置において、
前記構造体は、前記走査面と対向する輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する輝尽光の出射口を有し輝尽光の反射面を内面に有する空洞の導光部が形成された中空体である、
放射線像の読み取り装置。
【請求項10】
請求項8の放射線像の読み取り装置において、
前記構造体は、前記走査面と対向する輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する輝尽光の出射口を有する中実体の導光部を備える、
放射線像の読み取り装置。
【請求項11】
請求項9又は請求項10の放射線像の読み取り装置において、
前記導光部は、楕円球状、円柱状または円錐状をなす、
放射線像の読み取り装置。
【請求項12】
請求項9ないし請求項11のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記構造体は、前記入射口に設けられ前記導光部の内部へ輝尽光を導くレンズ、
を備える放射線像の読み取り装置。
【請求項13】
請求項9ないし請求項12のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記入射口は、前記回転軸から離して形成され、
前記出射口は、前記回転軸上に形成される、
放射線像の読み取り装置。
【請求項14】
請求項4の放射線像の読み取り装置において、
前記輝尽光光学系は、
前記光検出器と前記走査面との間に前記回転機構から分離して固定された構造体の一部であり、
前記構造体には、
前記走査面と対向する面に輝尽光の入射口を有し前記光検出器と対向する面に輝尽光の出射口を有する導光部が形成され、
前記導光部の表面が前記回転軸についての回転対称性を有し前記入射口から入射した輝尽光を前記出射口へ集光する凹面反射鏡である、
放射線像の読み取り装置。
【請求項15】
請求項8ないし請求項14のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記走査面へ向かってエアを導く送風機構、
をさらに備える放射線像の読み取り装置。
【請求項16】
請求項9ないし請求項15のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記光検出器と前記構造体との間に挿入され励起光の波長における透過率よりも輝尽光の波長における透過率が高い光学フィルタ、
をさらに備える放射線像の読み取り装置。
【請求項17】
請求項1ないし請求項16のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記光源、前記走査機構及び前記光検出器を収容する筐体と、
前記筐体の内部のホコリを集塵する集塵機構と、
を備える放射線像の読み取り装置。
【請求項18】
請求項1ないし請求項17のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記相対移動機構が前記走査機構に対して前記媒体を直線的に相対移動させる、
放射線像の読み取り装置。
【請求項19】
請求項1ないし請求項18のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記走査機構が固定され、
前記相対移動機構は、
前記保持体を移動させる、
放射線像の読み取り装置。
【請求項20】
請求項1ないし請求項18のいずれかの放射線像の読み取り装置において、
前記保持体が固定され、
前記相対移動機構は、
前記走査機構を移動させる、
放射線像の読み取り装置。
【請求項21】
請求項20の放射線像の読み取り装置において、
前記相対移動機構は、
前記走査機構と一体的に前記光源を移動させる、
放射線像の読み取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−53459(P2011−53459A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202567(P2009−202567)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.セルフォック
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】