説明

放射線検出器モジュール

【課題】半導体素子へのノイズの影響を低減する放射線検出器モジュールを提供する。
【解決手段】本発明に係る放射線検出器モジュール5は、放射線100の入射に応じてアナログ信号を出力する半導体素子10を有する放射線検出器カード1と、放射線検出器カード1の両端を含む部分で放射線検出器カード1を支持する一対の支持体2と、アナログ信号用のアナログ用グランドを支持体側に含み、一対の支持体2が固定されるマザーボード2eとを有する放射線検出器立て3と、一対の支持体2の一方の支持体2と他方の支持体2とに固定され、アナログ用グランドに電気的に接続する板金部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器モジュールに関する。特に、本発明は、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、棒状に形成された第1の電極、第1電極の周囲を取り囲んで第1電極と接触し、放射線が入射される半導体素子、及び半導体素子の外面に設けられる第2の電極を有する複数の放射線検出素子と、放射線検出素子から出力される信号を処理する集積回路を備える放射線検出器が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−151089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に係る放射線検出器は、放射線検出素子と集積回路とを含めた部品が遮光シールドケースによって覆われているので、集積回路からのノイズが放射線検出素子に侵入する場合がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、半導体素子へのノイズの影響を低減する放射線検出器モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、放射線の入射に応じてアナログ信号を出力する半導体素子を有する放射線検出器カードと、放射線検出器カードの両端を含む部分で放射線検出器カードを支持する一対の支持体と、アナログ信号用のアナログ用グランドを支持体側に含み、一対の支持体が固定されるマザーボードとを有する放射線検出器立てと、一対の支持体の一方の支持体と他方の支持体とに固定され、アナログ用グランドに電気的に接続する板金部とを備える放射線検出器モジュールが提供される。
【0007】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、マザーボードが、アナログ信号をデジタル信号に変換する電子部品と、デジタル信号用のデジタル用グランドとを放射線検出器カードを支持する側の反対側に有し、板金部が、アナログ用グランドとデジタル用グランドの境を含む領域、及び放射線検出器カードの一部を含む領域を囲むことができる。
【0008】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、マザーボートの一対の支持体に接触する面が、一対の支持体に電気的に接続することができる。
【0009】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、放射線検出器カードが、半導体素子が搭載される基板と、半導体素子の端から離れた位置にて基板を支持する支持部材とを有し、一方の支持体が、複数の放射線検出器カードが並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カードが挿入される複数の第1の溝を有し、他方の支持体が、予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の放射線検出器カードが挿入される複数の第2の溝を有し、一方の支持体に平行に配置されることもできる。
【0010】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、導電性の表面を有し、外部からの力により圧縮されるガスケットを側面に更に備え、ガスケットが、アナログ用グランドとデジタル用グランドとの境に対応する側面を含む領域に取り付けられてもよい。
【0011】
また、上記放射線検出器モジュールにおいて、板金部が、放射線検出器立ての周囲に巻かれ、放射線検出器立てに固定されることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る放射線検出器モジュールによれば、半導体素子へのノイズの影響を低減する放射線検出器モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図である。
【図1B】放射線検出器カードの斜視図である。
【図1C】放射線検出器立ての斜視図である。
【図1D】放射線検出器立ての上面図において、マザーボードと支持体との接触の状態を示す概要図である。
【図1E】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールにおけるアナログ信号を扱う領域とデジタル信号を扱う領域との概念図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールが備える放射線検出器立て及び板金部の斜視図である。
【図3】第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールにおけるアナログ信号を扱う領域とデジタル信号を扱う領域とを示す概念図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る複数の放射線検出器モジュールを配列した場合における側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
(放射線検出器モジュール5の構成の概要)
図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールの斜視図の一例を示す。
【0015】
第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、カード型の形状を呈し、γ線、X線等の放射線100を検出する複数の放射線検出器カード1と、複数の放射線検出器カード1を支持する放射線検出器立て3と、放射線検出器立て3の周囲の一部を囲む板金部6とを備える。具体的に、放射線検出器モジュール5は、放射線100の入射に応じてアナログ信号を出力する半導体素子10を有する放射線検出器カード1と、放射線検出器カード1の両端を含む部分で放射線検出器カード1を支持する一対の支持体2と、アナログ信号用のアナログ用グランドを支持体2側に含み、一対の支持体2が固定されるマザーボード2eとを有する放射線検出器立て3と、放射線検出器立て3の周囲を囲む板金部6とを備える。
【0016】
(放射線検出器カード1の構成)
図1Bは、放射線検出器カードの斜視図の一例を示す。
【0017】
放射線100は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線100は、放射線検出器カード1の半導体素子10からカードホルダ30及びカードホルダ31に向かう方向に沿って伝搬して放射線検出器カード1に入射する。そして、放射線検出器カード1は、半導体素子10の側面(つまり、図1Bの上方に面している面)に放射線100が入射する。したがって、半導体素子10の側面が放射線100の入射面になっている。このように、半導体素子10の側面を放射線100の入射面とする放射線検出器カードを、本実施の形態ではエッジオン型の放射線検出器カードと称する。
【0018】
具体的に、放射線検出器カード1は、放射線100を検出可能な一対の半導体素子10と、複数の半導体素子10及び複数の半導体素子10からのアナログ信号が供給される抵抗、コンデンサ等のチップ部品を搭載する薄い基板20と、一対の半導体素子10の端のそれぞれから離れた位置にて基板20を挟み込むことにより基板20を支持する一対の支持部材としてのカードホルダ30及びカードホルダ31とを備える。そして、一例として、一対の半導体素子10が4組、基板20を挟み込む位置において基板20に固定される。すなわち、各組の一対の半導体素子10は、基板20の一方の面と他方の面とのそれぞれに基板20を対称面として対称の位置に固定される。
【0019】
基板20はカードホルダ30とカードホルダ31とに挟み込まれて支持される。具体的には、カードホルダ30とカードホルダ31とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ30が有する溝付穴34にカードホルダ31が有する突起部36が嵌め合うと共に、カードホルダ31が有する溝付穴(図示しない)にカードホルダ30が有する突起部(図示しない)が嵌め合うことにより基板20が支持される。
【0020】
また、基板20は、半導体素子10を搭載する側の辺の対辺に、後述する放射線検出器立て3が有するコネクタ4に挿入されるカードエッジ部を有する(なお、図1Bではカードエッジ部は、カードホルダ30及びカードホルダ31に覆われており図示されていない。)。カードエッジ部は、コネクタ4に電気的に接続する複数のエッジパターンを含む。そして、板ばね等の弾性部材32は、複数の放射線検出器カード1を支持する放射線検出器立て3に放射線検出器カード1が挿入された場合に、放射線検出器カード1を放射線検出器立て3に押し付けて固定する。この場合に、カードエッジ部がコネクタ4に挿入され、カードエッジ部の表面に形成されているエッジパターンとコネクタ4とが電気的に接続されることにより放射線検出器カード1は、外部の電気回路としての制御回路、外部からの電源線、グランド線等に電気的に接続される。
【0021】
また、放射線検出器カード1は、一対の半導体素子10の基板20の反対側に、各半導体素子10の電極と基板20に設けられている複数の基板端子22とのそれぞれを電気的に接続する配線パターン(半導体素子10の基板20の反対側の素子表面の電極、及びフレキシブル基板40の半導体素子10側の配線パターン等は図示しない)を有するフレキシブル基板40を更に備える。
【0022】
フレキシブル基板40は、一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側、及び他方の半導体素子10側の双方に設けられる(本実施の形態においては、4組の一対の半導体素子10の一方の半導体素子10側のそれぞれと、他方の半導体素子10側のそれぞれとの双方に、フレキシブル基板40がそれぞれ設けられる)。そして、フレキシブル基板40の複数の配線パターンの一方の端がそれぞれ、半導体素子10の基板20の反対側の表面に設けられる電極に電気的に接続し、フレキシブル基板40の複数の配線パターンの他方の端がそれぞれ、基板端子22に電気的に接続する。
【0023】
(半導体素子10の詳細)
半導体素子10は、略直方体状に形成される(つまり、正面視にて略四角状に形成され)。また、半導体素子10は、基板20側の表面と、当該表面の反対側の表面とのそれぞれに電極を有する。放射線100は各半導体素子10の端部から入射して、カードエッジ部側に向かって半導体素子10中を走行する。この場合に、半導体素子10から基板20に搭載されている抵抗、コンデンサ等のチップ部品に放射線100の入射に応じたアナログ信号が供給される。そして、チップ部品は、マザーボード2eの放射線検出器カード1を支持している側の反対側の面に設けられている電子部品250にアナログ信号を供給する。
【0024】
なお、半導体素子10を構成する材料としては、例えば、CdTeを用いることができる。また、γ線等の放射線を検出できる限り、半導体素子10はCdTe素子に限られない。例えば、半導体素子10として、CdZnTe(CZT)素子、HgI素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0025】
(基板20の詳細)
基板20は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料からなる絶縁層で挟んで形成される。また、基板20は、半導体素子10の電極に電気的に接続する素子接続部を有する。半導体素子10の電極は銀ペースト等の導電性接着材を介して素子接続部に電気的に接続する。
【0026】
また、基板20に形成された配線により、素子接続部は基板20上のチップ部品、及び/又はカードエッジ部のエッジパターンに電気的に接続される。これにより、基板20において、半導体素子10の基板20側の面の電極は、基板20の配線によりチップ部品、及び/又はカードエッジ部のパターンに電気的に接続される。また、半導体素子10の基板20側の反対側の面の電極は、フレキシブル基板40の配線パターンと、基板端子22と、基板20の配線とを経由してカードエッジ部のパターンに電気的に接続される。ここで、例えば、半導体素子10の基板20側の電極をアノード電極、半導体素子10の基板20側の反対側の面の電極をカソード電極とする。この場合、アノード電極からの信号とカソード電極からの信号とはそれぞれ、カードエッジ部のパターンに導かれ、パターンを介し、外部の電気回路へ出力される。
【0027】
(カードホルダ30及びカードホルダ31の詳細)
カードホルダ30とカードホルダ31とは略同一形状を有するので、以下、カードホルダ30について主として説明する。
【0028】
カードホルダ30は、カードホルダ30の長手方向における両端部に設けられる板ばね等の弾性部材32と、カードホルダ30の対となるカードホルダ31の突起部36が嵌る溝付穴34と、基板20に設けられる基板端子22が貫通する複数の端子用穴38とを有する。そして、カードホルダ30が基板20の一方の面側から基板20に接し、カードホルダ31が基板20の他方の面側から基板20に接することによりカードホルダ30とカードホルダ31とで基板20を挟み込む。これにより、カードホルダ30及びカードホルダ31とにより基板20が支持される。
【0029】
(放射線検出器立て3の構成)
図1Cは、放射線検出器立ての斜視図の一例を示す。また、図1Dは、放射線検出器立ての上面図において、マザーボードと支持体との接触の状態の概要を示す。なお、図1Cにおいては、説明の便宜上、コネクタの図示を省略した。また、図1Dにおいては、説明の便宜上、コネクタを図示せず、一方の支持体2の図示を省略した。
【0030】
放射線検出器立て3は、マザーボード2eと、マザーボード2e上に並べられ、放射線検出器カード1が挿入される複数の溝2bを有する一対の支持体2と、一対の支持体2の間に複数の放射線検出器カード1のそれぞれが挿入される複数のコネクタ4とを備える。一対の支持体2は、放射線検出器カード1の幅に応じた間隔をおいて互いに平行に並べられる。また、複数の溝2bは、放射線検出器カード1が並べられる間隔に対応する予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、マザーボード2eの表面の法線方向に沿って形成される。更に、マザーボード2eは、放射線検出器カード1を支持する側の反対側の面に、基板20上のチップ部品からのアナログ信号をデジタル信号に変換する機能を含む電子部品250と、デジタル信号用のデジタル用グランドとを有する。電子部品250としては、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を用いることができる。
【0031】
放射線検出器カード1は、マザーボード2eの表面に垂直な方向に沿って一対の支持体2に実装される。そして、放射線検出器カード1は、支持体2の溝2bにその両端部が挿入され固定される。すなわち、放射線検出器カード1は、一方の端部が一方の支持体2の第1の溝としての溝2bに挿入されると共に、他方の端部が一方の支持体2に平行に配置される他方の支持体2の第2の溝としての溝2bに挿入され、放射線検出器立て3に固定される。
【0032】
ここで、放射線検出器カード1は、その両端部がそれぞれ壁部2aに沿って溝2bに挿入され、カードホルダ30及びカードホルダ31が溝2bにて放射線検出器立て3の支持体2に固定されると共に、カードエッジ部がコネクタ4に挿入される。この場合において、放射線検出器カード1の弾性部材32は、溝2bのくぼみ部2cに嵌ることにより放射線検出器カード1を支持体2に固定する。また、弾性部材32は、くぼみ部2cに嵌った状態で、放射線検出器カード1を平坦面2d側に向けて押し付ける。
【0033】
(板金部6の詳細)
板金部6は、一対の支持体2のそれぞれに電気的に接続する複数の接続部6aを有する。接続部6aは、正面視及び側面視において、例えば、板金部6の両端部の一部の領域に設けられる。ここで、一方の支持体2と他方の支持体2とにわたって設けられる板金部6の接続部6aにおいては、一方の支持体2と他方の支持体2との間の距離を一定の距離に保つことを目的として、一対の支持体2のそれぞれに強固に固定される。すなわち、一対の支持体2にわたって設けられる部分の板金部6の接続部6aは、一方の支持体2又は他方の支持体2の側面を覆って設けられる部分の板金部6の接続部6aに比べ、支持体2に強固に固定される。
【0034】
具体的に、板金部6は、少なくとも一対の支持体2の一方の支持体2と他方の支持体2とに固定され、各支持体2のアナログ用グランドに電気的に接続する。したがって、アナログ用グランドの電位と板金部6の電位とは同電位になる。また、板金部6が放射線検出器立て3の周囲に巻かれる場合、例えば、放射線検出器立て3の周囲を一枚の板金で覆い、当該板金の一方の端と他方の端とをかしめ止めすることができる。これにより、板金部6は、放射線検出器立て3に固定される。また、一方の支持体2と他方の支持体2との間の距離を一定に保つことを目的として、機械的強度の高い金属材料、例えば、アルミニウムより硬い材料を用いて板金部6を形成することができる。一例として板金部6は、SUS、リン青銅、又はコンスタンチン等の金属材料を用いて形成することができる。
【0035】
図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュールにおけるアナログ信号を扱う領域とデジタル信号を扱う領域とを概念的に示す。
【0036】
まず、図1Dを参照すると、一対の支持体2は、マザーボード2eにネジ7により固定される。具体的に、一対の支持体2はそれぞれ、マザーボード2eの一の辺近傍と、当該一の辺の対辺近傍とに、マザーボード2eのネジ穴2gを通るネジ7によってマザーボード2eに固定される。この場合において、一対の支持体2に接触するマザーボード2eの面は、当該面の絶縁層が剥がされている。この絶縁層が剥がされた面が、支持体2に接触する接触領域2fになる。これにより、マザーボード2eと一対の支持体2とは、接触領域2fにおいて電気的に接続する。
【0037】
したがって、放射線検出器カード1のアナログ用グランドは、カードエッジ部、マザーボード2eのコネクタ4、マザーボード2e、そして一対の支持体2を経由する経路を有することになる。すなわち、図1Eに示すように、マザーボード2eの放射線検出器カード1が設けられている領域(すなわち、図1Eの線200の上の領域)がアナログ信号が扱われる領域になり、マザーボード2eの放射線検出器カード1が設けられている領域の反対側の領域(すなわち、図1Eの線200の下の領域)がデジタル信号が扱われる領域になる。つまり、マザーボード2eにより、アナログ信号が扱われる領域とデジタル信号が扱われる領域とが分断されている。
【0038】
マザーボード2eは、その内層に、具体的には図1Eの線200の位置近傍に、アナログ用グランドに電気的に接続されたグランド層を備えている。グランド層を挟んだマザーボード2eの上側の面と下側の面とは、スルーホールにより電気的に接続される。グランド層の存在により、デジタル信号を扱う領域からアナログ信号を扱う領域へのノイズの入り込みが抑制される。
【0039】
本実施の形態では、マザーボード2eの一方の面と他方の面とでアナログ用グランドとデジタル用グランドとが分けられている。そして、板金部6は、アナログ用グランドとデジタル用グランドとの境(すなわち、図2の線200)を含む領域、及び放射線検出器カード1の一部を含む領域を囲む位置に設けられる。つまり、板金部6は、アナログ信号が扱われる領域を囲むことになる。なお、放射線検出器カード1の一部とは、半導体素子10が設けられている部分を除く放射線検出器カード1の部分である。
【0040】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、マザーボード2eの放射線検出器カード1が設けられる側においてアナログ信号を扱い、マザーボード2eの放射線検出器カード1が設けられる側の反対側においてデジタル信号を扱うので、放射線検出器カード1側のアナログ信号にデジタル信号がノイズとして入り込みにくい。これにより、本実施の形態に係る放射線検出器モジュール5においては、デジタル信号のノイズによる放射線検出の特性の劣化を抑制できる。
【0041】
また、第1の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5は、放射線検出器立て3の周囲を板金部6で囲んでいるので、放射線検出器モジュール5の周囲からのノイズ、及びマザーボード2eの電子部品250のデジタル信号からのノイズが放射線検出器カード1側に侵入することを防止することができる。更に、板金部6は、一方の支持体2と他方の支持体2とを固定するので、一方の支持体2と他方の支持体2との間が拡がることも抑制できる。
【0042】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールが備える放射線検出器立て及び板金部の斜視図を示す。また、図3は、第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュールにおけるアナログ信号を扱う領域とデジタル信号を扱う領域とを概念的に示す。なお、図2においては、説明の便宜上、放射線検出器カード1及びコネクタ4の図示は省略する。
【0043】
第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5aの放射線検出器立て3aは、第1の実施の形態に係る放射線検出器立て3とは、ガスケット50を更に有する点を除き、放射線検出器立て3と略同一の構成及び機能を有する。したがって、相違点を除き、詳細な説明は省略する。
【0044】
具体的に、第2の実施の形態に係る放射線検出器モジュール5aは、4つの側面のそれぞれにガスケット50を更に備える。そして、第2の実施の形態においては、ガスケット50が設けられる部分の支持体2に溝50aが形成され、導電性を有する両面テープ等の粘着部材を用いてガスケット50が溝50aに接着される。
【0045】
なお、第2の実施の形態における板金部8は、第1の実施の形態における板金部6とは異なり、ガスケット50が設けられる領域を除く放射線検出器立て3aの部分を囲む。例えば、板金部8の幅は、第1の実施の形態における板金部6の幅より狭く形成される。そして、板金部8とガスケット50とで、板金部6が囲んでいた部分と略同一の放射線検出器立て3aの領域を囲む。また、板金部8は、一対の支持体2のそれぞれに電気的に接続する複数の接続部8aを有する。接続部8aは、正面視及び側面視において、例えば、板金部8の両端部の一部の領域に設けられる。
【0046】
ガスケット50は、導電性の表面を有して形成される。また、ガスケット50は、外部からの力により圧縮されるスポンジ等の材料を用いて形成される。すなわち、ガスケット50は、外部の力により圧縮される材料を用いて形成される中心部材と、中心部材の表面を被覆し、電気導電性を有する材料を用いて形成される表面層とを有する。
【0047】
ここで、ガスケット50は、アナログ用グランドとデジタル用グランドとの境に対応する放射線検出器モジュール5aの側面を含む領域に取り付けられる。すなわち、図3を参照すると、アナログ信号が扱われる領域とデジタル信号が扱われる領域とを分断するマザーボード2eの仮想の線200が通る領域を含む放射線検出器モジュール5aの側面にガスケット50は設けられる。なお、ガスケット50は、アナログ用グランドに電気的に接続されている。
【0048】
なお、放射線検出器モジュール5aの一の側面に設けられる一のガスケット50と一のガスケット50の反対側のガスケット50とを一方の一対のガスケット50と規定する。そして、一の側面に垂直な他の側面に設けられる他のガスケット50と他のガスケット50の反対側のガスケット50とを他方の一対のガスケット50と規定する。この場合に、一方の一対のガスケット50の垂直方向における位置と、他方の一対のガスケット50の垂直方向における位置とは、一方の一対のガスケット50及び他方の一対のガスケット50がアナログ信号が扱われる領域とデジタル信号が扱われる領域とを分断する領域を含む位置に設けられる限り、一致させることを要さない。
【0049】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る複数の放射線検出器モジュールを配列した場合における側面図の概要を示す。
【0050】
複数の放射線検出器モジュール5aを配列した場合、各放射線検出器モジュール5aのガスケット50同士が接触する。ガスケット50を介して放射線検出器モジュール5aの間でアナログ用グランドが電気的に接続される。これにより、放射線検出器モジュール5a間の隙間から、アナログ信号が扱われる領域にデジタル信号が入り込むことを抑制できる。なお、複数の放射線検出器モジュール5aを配列した場合、各放射線検出器モジュール5aのガスケット50同士を接触させ、各ガスケット50がつぶれる方向に放射線検出器モジュール5a同士を押し付けることにより、複数の放射線検出器モジュール5a間の隙間は減少する。
【0051】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0052】
1 放射線検出器カード
2 支持体
2a 壁部
2b 溝
2c くぼみ部
2d 平坦面
2e マザーボード
2f 接触領域
2g ネジ穴
3、3a 放射線検出器立て
4 コネクタ
5 放射線検出器モジュール
6 板金部
6a 接続部
7 ネジ
8 板金部
8a 接続部
10 半導体素子
20 基板
22 基板端子
30、31 カードホルダ
32 弾性部材
34 溝付穴
36 突起部
38 端子用穴
40 フレキシブル基板
50 ガスケット
50a、52a 溝
100 放射線
200 線
250 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線の入射に応じてアナログ信号を出力する半導体素子を有する放射線検出器カードと、
前記放射線検出器カードの両端を含む部分で前記放射線検出器カードを支持する一対の支持体と、アナログ信号用のアナログ用グランドを前記支持体側に含み、前記一対の支持体が固定されるマザーボードとを有する放射線検出器立てと、
前記一対の支持体の一方の支持体と他方の支持体とに固定され、前記アナログ用グランドに電気的に接続する板金部と
を備える放射線検出器モジュール。
【請求項2】
前記マザーボードが、前記アナログ信号をデジタル信号に変換する電子部品と、前記デジタル信号用のデジタル用グランドとを前記放射線検出器カードを支持する側の反対側に有し、
前記板金部が、前記アナログ用グランドと前記デジタル用グランドの境を含む領域、及び前記放射線検出器カードの一部を含む領域を囲む請求項1に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項3】
前記マザーボートの前記一対の支持体に接触する面が、前記一対の支持体に電気的に接続する請求項2に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項4】
前記放射線検出器カードが、前記半導体素子が搭載される基板と、前記半導体素子の端から離れた位置にて前記基板を支持する支持部材とを有し、
前記一方の支持体が、複数の前記放射線検出器カードが並べられる間隔に対応した予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の前記放射線検出器カードが挿入される複数の第1の溝を有し、
前記他方の支持体が、前記予め定められた間隔をおいて並ぶと共に、複数の前記放射線検出器カードが挿入される複数の第2の溝を有し、前記一方の支持体に平行に配置される請求項3に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項5】
導電性の表面を有し、外部からの力により圧縮されるガスケットを側面に更に備え、
前記ガスケットが、前記アナログ用グランドと前記デジタル用グランドとの境に対応する前記側面を含む領域に取り付けられる請求項4に記載の放射線検出器モジュール。
【請求項6】
前記板金部が、前記放射線検出器立ての周囲に巻かれ、前記放射線検出器立てに固定される請求項5に記載の放射線検出器モジュール。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37348(P2012−37348A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−176958(P2010−176958)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】