説明

放射線検出器

【課題】エネルギー分解能の劣化を抑制することのできる放射線検出器を提供する。
【解決手段】本発明に係る放射線検出器1は、放射線を検出可能な半導体素子10を搭載する素子搭載領域28と、素子搭載領域28の対辺側に設けられ、外部の電気回路に接続可能なカードエッジ部29と、半導体素子10からの信号を素子搭載領域28からカードエッジ部29に向けて伝達する信号線23及び信号線24とを有する基板20と、素子搭載領域の端28aからカードエッジ部29側に離れた位置の基板20の表面、及びカードエッジ部の端29aから素子搭載領域28側に離れた位置の基板20の表面に接して基板20を支持する支持部材とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器に関する。特に、本発明は、γ線、X線等の放射線を検出する放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子と、半導体素子の一方の面に取り付けられたアノード電極と、半導体素子の他方の面に取り付けられたカソード電極と、一端側がアノード電極及びカソード電極のうち少なくとも一方の電極に接続され、他端側が電極からストレートに延びて当該電極からの信号を出力する信号線とを備える半導体放射線検出器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−109269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係る半導体放射線検出器を含め、半導体素子を用いた放射線検出器においては、半導体素子からの信号を所定の電子部品等に供給する信号線に寄生する容量があると、エネルギー分解能が劣化する場合がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、エネルギー分解能の劣化を抑制することのできる放射線検出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するため、放射線を検出可能な半導体素子を搭載する素子搭載領域と、素子搭載領域の対辺側に設けられ、外部の電気回路に接続可能なカードエッジ部と、半導体素子からの信号を素子搭載領域からカードエッジ部に向けて伝達する信号線とを有する基板と、素子搭載領域の端からカードエッジ部側に離れた位置の基板の表面、及びカードエッジ部の端から素子搭載領域側に離れた位置の基板の表面に接して基板を支持する支持部材とを備える放射線検出器が提供される。
【0007】
また、上記放射線検出器において、信号線が、素子搭載領域のカードエッジ部側の基板の表面と、カードエッジ部の素子搭載領域側の基板の表面とを含む領域に配置されてもよい。
【0008】
また、上記放射線検出器において、支持部材が、素子搭載領域のカードエッジ部側の端に沿って表面の一部に接する第1の支持部と、カードエッジ部の素子搭載領域側の端に沿って表面の一部に接する第2の支持部とを有することもできる。
【0009】
また、上記放射線検出器において、第1の支持部が、素子搭載領域のカードエッジ部側であって、基板の長手方向の辺の中心付近の領域に接し、第2の支持部が、カードエッジ部の端から距離をおいた領域であって、カードエッジ部の長手方向に沿った複数の領域に接してもよい。
【0010】
また、上記放射線検出器において、第1の支持部及び第2の支持部のそれぞれが、信号線が設けられていない基板の表面に接してもよい。
【0011】
また、上記放射線検出器において、支持部材が、基板を挟み込むことにより基板を支持する第1の支持部材と第2の支持部材とを有して構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る放射線検出器によれば、エネルギー分解能の劣化を抑制することのできる放射線検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器の斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る基板の正面図である。
【図3A】本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの正面図である。
【図3B】本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの裏面の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの第1の支持部乃至第3の支持部が基板に接触する領域の概要図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るカードホルダの概要図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るカードホルダの第1の支持部乃至第3の支持部が基板に接触する領域の概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器の斜視図の一例を示す。
【0015】
(放射線検出器1の構成の概要)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器1は、カード型の形状を呈し、γ線、X線等の放射線を検出可能な半導体素子10を備える放射線検出器である。例えば、放射線検出器1は、ガンマカメラ、SPECT、PET等の核医学診断装置において放射線を検出することを目的として用いられる。
【0016】
図1において放射線100は、紙面の上方から下方に沿って入射してくる。すなわち、放射線100は、放射線検出器1の半導体素子10から支持部材としてのカードホルダ30及びカードホルダ31に向かう方向に沿って入射して放射線検出器1に到達する。そして、半導体素子10の側面(つまり、図1の上方に面している面)に放射線100が入射する。したがって、半導体素子10の側面が放射線100の入射面になっている。このように、半導体素子10の側面を放射線100の入射面とする放射線検出器を、本実施の形態ではエッジオン型の放射線検出器と称する。なお、放射線検出器1は、特定の方向(例えば、放射線検出器1に向かう方向)に沿って入射してくる放射線100が通過する複数の開口を有するコリメータを介して放射線100を検出する複数の放射線検出器1が並べられて構成される放射線検出装置用の放射線検出器1として用いることができる。
【0017】
放射線検出器1は、放射線100を検出可能な一対の半導体素子10と、薄い基板20と、一対の半導体素子10の端から離れた位置にて基板20を挟み込むことにより基板20を支持するカードホルダ30及びカードホルダ31とを備える。そして、一例として、一対の半導体素子10が4組、基板20を挟み込む位置において基板20に固定される。すなわち、各組の一対の半導体素子10は、基板20の一方の面と他方の面とのそれぞれに基板20を対称面として対称の位置に固定される。
【0018】
また、基板20はカードホルダ30とカードホルダ31とに挟み込まれて支持される。カードホルダ30とカードホルダ31とはそれぞれ同一形状を有して形成され、カードホルダ30が有する溝付穴34にカードホルダ31が有する突起部36が嵌め合うと共に、カードホルダ31が有する溝付穴(図示しない)にカードホルダ30が有する突起部(図示しない)が嵌め合うことにより基板20を支持する。
【0019】
また、弾性部材実装部32aは、複数の放射線検出器1を支持する放射線検出器立てに放射線検出器1が挿入された場合に、放射線検出器1を放射線検出器立てに押し付けて固定する板ばね等の弾性部材32が設けられる部分である。なお、放射線検出器立てはカードエッジ部29が挿入されるコネクタを有しており、放射線検出器1は、カードエッジ部29がコネクタに挿入され、コネクタとパターン29aとが電気的に接続することにより外部の電気回路としての制御回路、外部からの電源線、グランド線等に電気的に接続される。
【0020】
なお、放射線検出器1は、各半導体素子10が基板20の反対側に有する電極と基板20に設けられる複数の基板端子22とのそれぞれを電気的に接続する配線パターン(半導体素子10の基板20の反対側の素子表面の電極、及びフレキシブル基板等は図示しない)を有するフレキシブル基板を、一対の半導体素子10の基板20の反対側に更に備えることができる。
【0021】
(半導体素子10の詳細)
半導体素子10は、化合物半導体から主として構成される。そして、半導体素子10は、略直方体状若しくは平板状に形成される。また、半導体素子10の放射線が入射する面に垂直な一の表面である素子表面に、複数の溝10aが設けられる。溝10aは、例えば、断面視にて凹形状又はV字形状を有して形成される。半導体素子10は、溝10aが設けられている面を基板20側に向け、基板20に固定される。
【0022】
また、放射線が入射する半導体素子10の面であって、各溝10aから、溝10aが設けられている面の反対側の面への仮想的な垂線により区切られる領域、及び当該仮想的な垂線と半導体素子10の短辺の端部とで区切られる領域をピクセル領域と称する。半導体素子10が、(n−1)個の溝10aを有することによりn個のピクセル領域が構成される。また、複数の溝10a間の平坦な領域である複数の素子表面それぞれに表面電極が設けられ、表面電極が設けられている面の反対側の素子表面に裏面電極が設けられる。なお、複数のピクセル領域それぞれが、放射線を検出する1つの画素(ピクセル)に対応する。これにより、一の半導体素子10は、複数の画素を有することになる。
【0023】
一例として、1つの放射線検出器1が8つの半導体素子10(4組の一対の半導体素子10)を備え、1つの半導体素子10がそれぞれ8つのピクセル領域を有する場合、1つの放射線検出器1は、64ピクセルの解像度を有することになる。溝10aの数を増減させることにより、一の半導体素子10のピクセル数を増減させることができる。なお、一例として、半導体素子10の幅は1.2mm程度、長さは11.2mm程度、高さは5mm程度である。
【0024】
半導体素子10を構成する化合物半導体としては、例えば、CdTeを用いることができる。また、γ線等の放射線を検出できる限り、半導体素子10はCdTe素子に限られない。例えば、半導体素子10として、CdZnTe(CZT)素子、HgI素子等の化合物半導体素子を用いることもできる。
【0025】
(基板20の詳細)
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る基板の正面の概要を示す。
【0026】
基板20は、半導体素子10を搭載する素子搭載領域28と、素子搭載領域28の対辺側に設けられ、外部の電気回路に接続可能なカードエッジ部29と、半導体素子10からの信号を素子搭載領域28からカードエッジ部29に向けて伝達する信号線23及び信号線24とを有する。また、基板20は、素子搭載領域28とカードエッジ部29との間に、半導体素子10からの信号が入力される抵抗、コンデンサ等の電子部品(図示しない)を搭載する電子部品搭載部25と、電子部品搭載部25の素子搭載領域28側に、基板20から突き出た形状(例えば、円柱状)を有する複数の基板端子22とを更に有する。
【0027】
素子搭載領域28は、半導体素子10が搭載される領域ごとに設定するか、あるいは複数の半導体素子10が搭載される領域に設定することができる。図2の例では、複数の半導体素子10ごとに正面視にて長方形状の素子搭載領域28を設定した例を示す。複数の素子搭載領域28を設定した場合、複数の素子搭載領域28はそれぞれ、それぞれの短辺同士が隣接されて設けられる。
【0028】
そして、素子搭載領域28には、半導体素子10の複数の電極のそれぞれに電気的に接続する複数の素子接続部26が設けられる。素子接続部26は、一例として、正面視にて長方形状を有する。そして、複数の素子接続部26は、予め定められた間隔をおいて素子搭載領域28の長手方向に沿って配列される。この場合において、複数の素子接続部26はそれぞれ、素子接続部26の長辺を素子搭載領域28の長手方向に垂直な方向に向けて配列される。なお、当該予め定められた間隔は、半導体素子10の基板20側に設けられる複数の表面電極の間隔に対応する。
【0029】
複数の素子接続部26のカードエッジ部29側の端部はそれぞれ、複数の信号線23のそれぞれに電気的に接続される。そして、複数の信号線23はそれぞれ、電子部品搭載部25に搭載されている電子部品に電気的に接続される。ここで、複数の信号線23は、素子搭載領域28と電子部品搭載部25との間に設けられ、素子搭載領域28のカードエッジ部29側の基板20の表面を含む領域に配置される。一例として、複数の信号線23の主要部分は、素子搭載領域28の長手方向に略平行な方向に延びて形成される。
【0030】
また、カードエッジ部29は、素子搭載領域28が設けられている辺の対辺側に、カードエッジ部29の長手方向に沿って配列される複数のパターン29aを含んで設けられる。複数のパターン29aはそれぞれ、正面視にて長方形状を有する。そして、複数のパターン29aのそれぞれは、長手方向をカードエッジ部29の長手方向に垂直な方向に向けて配列される。また、複数のパターン29aの素子搭載領域28側の端部はそれぞれ、複数の信号線24のそれぞれに電気的に接続される。そして、複数の信号線24はそれぞれ、電子部品搭載部25に搭載されている電子部品に電気的に接続される。信号線24は、例えば、カードエッジ部29の素子搭載領域28側の基板20の表面を含む領域に配置される。
【0031】
基板20は、金属導体等の導電性材料からなる導電性薄膜(例えば、銅箔)が表面に形成された薄肉基板(例えば、FR4等のガラスエポキシ基板)を、ソルダーレジスト等の絶縁材料からなる絶縁層で挟んで形成される。基板20は、一例として、0.2mm以下の厚さを有して形成される。また、複数の素子接続部26の表面には導電性を有する銀ペースト等の導電性接着材が設けられ、半導体素子10の電極が当該銀ペーストを介して素子接続部26に電気的に接続されると共に、機械的に固定される。なお、貫通孔27は、カードホルダ30及びカードホルダ31がそれぞれ有する突起部36が通る孔である。
【0032】
(カードホルダ30の詳細)
図3Aは、本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの正面の概要を示し、図3Bは、本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの裏面の斜視図の概要を示す。
【0033】
本実施の形態に係るカードホルダ30とカードホルダ31とは略同一形状を有するので、以下、カードホルダ30について主として説明する。なお、カードホルダ30及びカードホルダ31はそれぞれ、絶縁性の樹脂材料、例えば、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)等から形成される。
【0034】
図3Aを参照すると、カードホルダ30は、弾性部材32が固定される弾性部材実装部32aと、カードホルダ30の対となるカードホルダ31の突起部36が嵌め合う複数の溝付穴34と、基板20に設けられる基板端子22が貫通する複数の端子用穴38とを有して形成される。また、カードホルダ30は、放射線検出器1の複数の半導体素子10が設けられる側を上側とした場合に、下側の両端部に突起部30bを有する。
【0035】
また、図3Bを参照すると、カードホルダ30はその裏面において、カードホルダ31が有する溝付穴34に嵌め合う複数の突起部36を有する。また、カードホルダ30は、基板20の電子部品搭載部25に対応する位置にくぼみ部39を有する。このくぼみ部39により、基板20の電子部品搭載部25上に搭載された電子部品はカードホルダ30又はカードホルダ31によって覆われる。
【0036】
ここで、第1の支持部材としてのカードホルダ30が基板20の一方の面側から基板20に接し、第2の支持部材としてのカードホルダ31が基板20の他方の面側から基板20に接することによりカードホルダ30とカードホルダ31とで基板20を挟み込む。これにより、カードホルダ30及びカードホルダ31とで基板20が支持される。
【0037】
そして、図3Bに示すように、カードホルダ30は、基板20に接触する領域である第1の支持部33及び第2の支持部35を有する。第1の支持部33は、カードホルダ30の長手方向の辺に沿って設けられる。そして、第2の支持部35は、カードホルダ30の長手方向であって、第1の支持部33が設けられる辺の対辺側に設けられる。また、カードホルダ30は、第1の支持部33及び第2の支持部35の長手方向の垂直方向に、第3の支持部37を有する。第3の支持部37は、カードホルダ30の短辺側の両端近傍に設けられる。
【0038】
第1の実施の形態において、第1の支持部33は、素子搭載領域28の端からカードエッジ部29側に離れた位置の基板20の表面に接する。また、第2の支持部35は、カードエッジ部29の端から素子搭載領域28側に離れた位置の基板20の表面に接する。更に、第3の支持部37は、カードホルダ30の両端の基板20の表面に接する。カードホルダ30は、第1の支持部33、第2の支持部35、及び第3の支持部37が基板20に接触することにより基板20を支持する。なお、カードホルダ31についても同様である。
【0039】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係るカードホルダの第1の支持部乃至第3の支持部が基板に接触する領域の概要を示す。なお、図4に図示されている各接触領域の幅は、説明を簡単にするために図示したに過ぎず、第1の支持部乃至第3の支持部の幅に対応させているわけではない。また、図4においては、説明の便宜上、信号線23及び信号線24の図示は省略した。
【0040】
第1の支持部33は、図4の接触領域200aに接触する。具体的に接触領域200aは、素子搭載領域28のカードエッジ部29側、すなわち、素子搭載領域の端28aから距離をおいた領域であって、素子搭載領域28の長手方向に沿った方向に伸びた領域である。また、第2の支持部35は、接触領域200cに接触する。接触領域200cは、カードエッジ部29の素子搭載領域28側、すなわち、カードエッジ部の端29bから距離をおいた領域であって、カードエッジ部29の長手方向に沿った方向に伸びた領域である。第1の実施の形態では、素子搭載領域28の長手方向の幅がカードエッジ部29の長手方向の幅より広いので、接触領域200aの長さの方が接触領域200cの長さより長い。更に、第3の支持部37は、基板20の短手部分、すなわち、基板20の両端近傍であって、素子搭載領域28とカードエッジ部29との間の一部の領域の接触領域200bにおいて基板20に接触する。
【0041】
カードホルダ30の第1の支持部33乃至第3の支持部37とカードホルダ31の第1の支持部33乃至第3の支持部37とが基板20の表裏面から基板20を挟み込むことにより、基板20はカードホルダ30及びカードホルダ31により支持される。なお、カードホルダ30及びカードホルダ31に基板20を強固に支持させることを目的として、第3の支持部37が接触する基板20の表面の絶縁層を取り除くことができる。
【0042】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係る放射線検出器1は、基板20の信号線23及び信号線24と誘電率が高い材料からなるカードホルダ30及びカードホルダ31とが接触する領域を、第1の支持部33及び第2の支持部35を設けることにより低減できる。これにより、放射線検出器1は、信号線23及び信号線24とカードホルダ30及びカードホルダ31とが接触することにより発生する寄生容量を抑制することができるので、エネルギー分解能の劣化を抑制することができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態に係るカードホルダの概要を示す。
【0044】
第2の実施の形態に係る放射線検出器は、第1の実施の形態に係る放射線検出器とはカードホルダの形状が異なる点を除き、第1の実施の形態に係る放射線検出器と略同一の構成及び機能を備える。すなわち、第2の実施の形態に係るカードホルダ30aは、第1の実施の形態に係るカードホルダ30及びカードホルダ31と基板20側の形態が異なる点を除き、カードホルダ30及びカードホルダ31と略同一の構成及び機能を有する。したがって、相違点を除き詳細な説明は省略する。
【0045】
第2の実施の形態に係るカードホルダ30aは、素子搭載領域28のカードエッジ部29側の端に沿って基板20の表面の一部に接する第1の支持部33aと、カードエッジ部29の素子搭載領域28側の端に沿って基板20の表面の一部に接する複数の第2の支持部35aとを有して構成される。
【0046】
具体的に、図5を参照すると、カードホルダ30aはその裏面(すなわち、基板20に向く側の面)において、基板20に接触する領域である第1の支持部33a及び複数の第2の支持部35aを有する。第1の支持部33aは、カードホルダ30の長手方向の辺に沿った一部の領域であって当該辺側に基板20側に向けて凸状を有して設けられる。そして、複数の第2の支持部35aは、カードホルダ30aの長手方向であって、第1の支持部33aが設けられる辺の対辺側にカードホルダ30aの長手方向に間隔をおいて設けられる。複数の第2の支持部35aも第1の支持部33aと同様に、基板20側に向けて凸状を有して設けられる。また、カードホルダ30aは、第1の支持部33a及び複数の第2の支持部35aの長手方向の垂直方向に、第3の支持部37を有する。第3の支持部37は、カードホルダ30aの短辺側の両端近傍に設けられる。
【0047】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るカードホルダの第1の支持部乃至第3の支持部が基板に接触する領域の概要を示す。なお、図6に図示されている各接触領域の幅は、説明を簡単にするために図示したに過ぎず、第1の支持部乃至第3の支持部の幅に対応させているわけではない。また、図6においては、説明の便宜上、信号線23及び信号線24の図示は省略した。
【0048】
第1の支持部33aは、図6の接触領域202aに接触する。具体的に接触領域202aは、素子搭載領域28のカードエッジ部29側、すなわち、素子搭載領域の端28aから距離をおいた領域であって、素子搭載領域28の長手方向に沿った領域の一部の領域である。接触領域202aは、例えば、素子搭載領域28のカードエッジ部29側であって、基板20の長手方向の辺の中心付近に対応する領域である。
【0049】
また、複数の第2の支持部35aはそれぞれ、接触領域202c又は接触領域202dに接触する。複数の接触領域202dは、カードエッジ部29の素子搭載領域28側、すなわち、カードエッジ部の端29bから距離を置いた領域であって、カードエッジ部29の長手方向に沿った領域の一部の領域である。また、接触領域202cは、複数の接触領域202dを挟む位置に対応する領域である。そして、複数の接触領域202d及び接触領域202cは、複数の第2の支持部35aが並ぶ間隔に応じた間隔をおいて並んでいる。更に、第3の支持部37は、基板20の短手部分、すなわち、基板20の両端近傍であって、素子搭載領域28とカードエッジ部29との間の一部の領域の接触領域202bにおいて基板20に接触する。
【0050】
第2の実施の形態において、第1の支持部33aは、カードホルダ31aの素子接続部26側の辺の中心近傍の一部の領域に設けられる。そして、第1の支持部33aは、例えば、素子搭載領域28のカードエッジ部29側であって、基板20の長手方向の辺の中心付近の一部の領域である接触領域202aに接する。また、第2の支持部35aは、カードホルダ31aのカードエッジ部29側の辺に沿って間隔をおいて複数個所に設けられる。そして、複数の第2の支持部35aは、カードエッジ部の端29bから距離をおいた領域であって、カードエッジ部29の長手方向に沿って互いに離れた複数の領域である接触領域202c及び接触領域202dに接する。これにより、第2の実施の形態においては、第1の実施の形態と異なり、カードホルダと基板20の表面に設けられている信号線とが接触する領域が減少している。したがって、第1の実施の形態に比べ第2の実施の形態に係る放射線検出器は、寄生容量を更に低減させることができる。
【0051】
(第2の実施の形態の変形例)
第2の実施の形態の変形例においては、カードホルダに設けられる第1の支持部及び第2の支持部のそれぞれが、信号線23及び信号線24が設けられていない基板20の表面に接触する。例えば、基板20の信号線23の直上に位置する第1の支持部の領域、及び信号線24の直上に位置する第2の支持部の領域のそれぞれに溝を設けることにより、カードホルダと信号線とが接触することを防止できる。これにより、第2の実施の形態に比べ、更に寄生容量を低減できる。
【0052】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 放射線検出器
10 半導体素子
10a 溝
20 基板
22 基板端子
23、24 信号線
25 電子部品搭載部
26 素子接続部
27 貫通孔
28 素子搭載領域
28a 素子搭載領域の端
29 カードエッジ部
29a パターン
29b カードエッジ部の端
30、31 カードホルダ
30a カードホルダ
32 弾性部材
32a 弾性部材実装部
33、33a 第1の支持部
34 溝付穴
35、35a 第2の支持部
36 突起部
37 第3の支持部
38 端子用穴
39 くぼみ部
100 放射線
200a、200b、200c 接触領域
202a、202b、202c、202d 接触領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線を検出可能な半導体素子を搭載する素子搭載領域と、前記素子搭載領域の対辺側に設けられ、外部の電気回路に接続可能なカードエッジ部と、前記半導体素子からの信号を前記素子搭載領域から前記カードエッジ部に向けて伝達する信号線とを有する基板と、
前記素子搭載領域の端から前記カードエッジ部側に離れた位置の前記基板の表面、及び前記カードエッジ部の端から前記素子搭載領域側に離れた位置の前記基板の表面に接して前記基板を支持する支持部材と
を備える放射線検出器。
【請求項2】
前記信号線が、前記素子搭載領域の前記カードエッジ部側の前記基板の表面と、前記カードエッジ部の前記素子搭載領域側の前記基板の表面とを含む領域に配置される請求項1に記載の放射線検出器。
【請求項3】
前記支持部材が、前記素子搭載領域の前記カードエッジ部側の端に沿って前記表面の一部に接する第1の支持部と、前記カードエッジ部の前記素子搭載領域側の端に沿って前記表面の一部に接する第2の支持部とを有する請求項2に記載の放射線検出器。
【請求項4】
前記第1の支持部が、前記素子搭載領域の前記カードエッジ部側であって、前記基板の長手方向の辺の中心付近の領域に接し、
前記第2の支持部が、前記カードエッジ部の端から距離をおいた領域であって、前記カードエッジ部の長手方向に沿った複数の領域に接する請求項3に記載の放射線検出器。
【請求項5】
前記第1の支持部及び前記第2の支持部のそれぞれが、前記信号線が設けられていない前記基板の表面に接する請求項4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記支持部材が、前記基板を挟み込むことにより前記基板を支持する第1の支持部材と第2の支持部材とを有して構成される請求項5に記載の放射線検出器。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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