説明

放電ランプ

【課題】 始動性に優れた放電ランプを提供する。
【解決手段】
本発明の放電ランプは、発光部11およびシール部12a、12bを有する内管1、シール部12a、12b内に封着された金属箔3a1、3b1、一端は金属箔3a1、3b1に接続され、他端は管軸に沿って内管11の外側に導出されたリード線3a4、3b4、発光部11を覆うように設けられた外管5を備えたバーナーBNと、バーナーBNを保持するソケット6とを具備する放電ランプにおいて、ソケット6はバーナーBNに電力を供給する金属端子として底部端子8bを備え、底部端子8bはリード線3b4と電気的に接続されており、内管1と外管5との間に形成された空間52にはガスが封入されているとともに、金属箔3b2の後端と底部端子8bにおけるリード線3b4との溶接点8b1との距離L1が34mm以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の前照灯などに使用される放電ランプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の前照灯などに使用される放電ランプは、特許文献1〜特許文献3で知られているように、内管と外管とを具備する二重管構造となっている。この内管は、発光部とその両端に形成されたシール部とで構成されており、発光部内には希ガスや金属ハロゲン化物が封入され、シール部には電極や金属箔が封着されてなる。
【0003】
この種の放電ランプ、特に水銀を含まないタイプの放電ランプは、希ガスの圧力が高い、電極間距離が長いなどのために、始動が困難であることが知られている。具体的には、ランプを始動させるためには、数十kVの電圧が必要となる。そこで、特許文献4や特許文献5に記載のように、内管と外管とで構成された空間にガスを封入する発明などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−108489号公報
【特許文献2】特開2007−184130号公報
【特許文献3】国際公開第2009/130654号
【特許文献4】特許第3596812号公報
【特許文献5】特開2009−266767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献に記載のような発明を採用することにより、ランプの始動性を改善することが可能となる。しかしながら、水銀入りの放電ランプと比較すると、現行の水銀を含まない放電ランプは始動性が十分でなく、安定して始動が開始されない場合がある。また、ランプの始動性がよくなると、始動のための高電圧を生成する回路の小型軽量化、低コスト化が可能になるため、ランプの始動性はさらに改善されることが望まれている。
【0006】
本発明の目的は、始動性に優れた放電ランプを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の放電ランプは、発光部およびシール部を有する内管、前記シール部内に封着された金属箔、一端は前記金属箔に接続され、他端は管軸に沿って前記内管の外側に導出されたリード線、前記発光部を覆うように設けられた外管を備えたバーナーと、前記バーナーを保持するソケットとを具備する放電ランプにおいて、前記ソケットは前記バーナーに電力を供給する金属端子を備え、前記金属端子は前記リード線と電気的に接続されており、前記内管と前記外管との間に形成された空間にはガスが封入されているとともに、前記金属箔の前記ソケット側端と前記金属端子における前記リード線との溶接点との距離L1が34mm以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、始動性に優れた放電ランプを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態の放電ランプについて説明するための図。
【図2】図1の放電ランプの断面について説明するための図。
【図3】金属箔−溶接部間の距離L1を変化させたときの一発点灯確率について説明するための図。
【図4】金属箔−溶接部間の距離L1を変化させたときの電圧損失について説明するための図。
【図5】金属箔−金属バンド間の距離L3を変化させたときの誘電体バリア放電発生率について説明するための図。
【図6】本発明の第2の実施の形態の放電ランプについて説明するための図。
【図7】導電性被膜−金属箔間の距離L4を変化させたときの始動電圧について説明するための図。
【図8】距離L3および距離L4を変化させたときの始動電圧について説明するための図。
【図9】ソケットの他の例について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の放電ランプについて、図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態の放電ランプについて説明するための図、図2は図1の放電ランプの断面について説明するための図である。なお、便宜上、図1のX方向、すなわちランプの先端方向を前端側や前端方向と称し、その反対方向を後端側や後端方向と称して説明する。
【0011】
図1の放電ランプは自動車前照灯用に設計された放電ランプであり、主要部としてバーナーBNを備えている。バーナーBNは二重管構造であり、その内部には内管1が配置されている。
【0012】
内管1は細長い形状であり、その中央付近には点灯中に発光する部分となる発光部11が形成されている。発光部11は略楕円状を呈しており、その両端には板状のシール部12a、12b、そのさらに両端には境界部13a、13bと円筒部14a、14bが連続形成されている。この内管1を構成する材料としては、石英ガラスなどの耐熱性と透光性を具備した材料を使用するのが望ましい。
【0013】
この発光部11の内部には、中央が略円柱状、両端がテーパ状の放電空間111が形成されている。この放電空間111の容積は、自動車前照灯用の場合には、10mm〜30mm、さらには15mm〜25mmであるのが好適である。放電空間111には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、金属ハロゲン化物2と希ガスとで構成されている。
【0014】
金属ハロゲン化物2は、ナトリウム、スカンジウム、亜鉛、インジウムなどのハロゲン化物で構成されている。それらの金属ハロゲン化物に結合されるハロゲンとしてはヨウ素が最適であるが、臭素や塩素などを組み合わせてもよい。また、金属ハロゲン化物の組み合わせもこれに限らず、例えばスズやセシウムのハロゲン化物を追加するなどしてもよい。
【0015】
希ガスは、キセノンで構成されている。希ガスは、目的によってその封入圧力を調整することができる。例えば、全光束等の特性を高めるためには、封入圧力を常温(25℃)において10atm以上、望ましくは13atm以上にするのが望ましい。ただし、上限は製造上、現状で20atm程度である。この希ガスの圧力は、水中で発光部11とシール部12の境界を破壊して放電空間111内部のガスを収集、測量し、その後に放電空間111の容積を測定することにより、算出することができる。なお、希ガスとしては、キセノンの他に、ネオン、アルゴン、クリプトンなどを使用したり、それらを組み合わせて使用したりすることもできる。
【0016】
ここで、放電媒体は、水銀を実質的に含んでいない。この「水銀を実質的に含んでいない」とは、水銀の封入量が0mgであるのが最適であるが、従来の水銀入りの放電ランプと比較してもほとんど封入されていないに等しい程度の量、例えば1mlあたり2mg未満、好ましくは1mg以下の水銀量を封入していても許容するという意味である。
【0017】
シール部12a、12bには、電極マウント3a、3bが封着されている。電極マウント3a、3bは、金属箔3a1、3b1、電極3a2、3b2、コイル3a3、3b3およびリード線3a4、3b4により構成されている。
【0018】
金属箔3a1、3b1は、例えば、モリブデンからなる薄い金属板であり、その板状の面がシール部12a、12bの板状の面と平行するように配置されている。
【0019】
電極3a2、3b2は、例えば、タングステンに酸化トリウムを0.1〜0.5重量%ドープした、いわゆるトリエーテッドタングステンからなる電極である。その一端は金属箔31の発光部11側の端部に重ね合わせ接続されており、他端は放電空間111内で所定の電極間距離を保って、互いの先端同士が対向するように配置されている。その電極間距離としては、自動車前照灯用の場合には、外観上における距離で3.5mm〜4.5mmであるのが望ましい。なお、電極形状は、直棒状に限らず、先端の直径が大きい非直棒状の形状や直流点灯タイプのように一対の電極の大きさが異なる形状であってもよい。また、電極材料は、純タングステンやドープタングステン、レニウムタングステンなどであってもよい。
【0020】
コイル3a3、3b3は、例えば、ドープタングステンからなる金属線であって、シール部12a、12nに封着される電極3a2、3b2の軸部の軸周りに螺旋状に巻装されている。このコイル設計としては、コイル線径は30μm〜100μm、コイルピッチは600%以下であるのが好適である。
【0021】
リード線3a4、3b4は、例えば、モリブデンからなる金属線である。その一端は、金属箔3a1、3b1の発光部11に対して反対側の端部に重ね合わせ接続されており、他端は管軸に沿って内管1の外部に延出されている。そのうち、前端側に延出するリード線3a4には、例えば、ニッケルからなるL字状のサポートワイヤ35の一端がレーザー溶接により接続されている。このサポートワイヤ35には、内管1と平行する部分に、例えば、セラミックからなるスリーブ4が装着されている。
【0022】
上記で構成された内管1の外側には、筒状の外管5が発光部11を覆うように設けられている。これら内外管の接続は、内管1の円筒部14a、14bの付近に外管5の両端を溶着することにより行なわれ、その結果、バーナーBNの両端には溶着部51a、51bが形成されている。そのため、内管1と外管5との間に形成された空間52は気密に保たれている。その空間52にはガスが封入されている。このガスには、誘電体バリア放電可能なガス、例えばネオン、アルゴン、キセノン、窒素から選択された一種のガスまたは混合ガスを使用することができる。ガスの圧力は0.3atm以下、さらには0.1atm以下であるのが望ましい。なお、外管5としては、チタン、セリウム、アルミニウム等の酸化物を添加した石英ガラスなど、内管1に熱膨張係数が近く、かつ紫外線遮断性を有する材料を使用するのが望ましい。
【0023】
これらで構成されたバーナーBNの後端側には、ソケット6が配置されている。ソケット6の前端側には、フランジ部61が設けられているとともに、収容空間62が設けられている。フランジ部61は、ソケット6の本体部分よりも直径が大きな円盤であり、その前端側は寸法を測定する際の基点となる部分となる。例えば、放電ランプにおける規格であるLCL(Light Center Length)は、フランジ部61の前端側の部分から電極間の中心までの距離により規定され、本実施の形態ではLCLは、例えば18mmに設定されている。収容空間62は、一端が開口した空間であり、溶着部51bなど、すなわちバーナーBNの一部が収容される。バーナーBNは、その後端側が収容空間62に収容された状態でソケット6に保持される。このソケット6によるバーナーBNの保持は、バーナーBNの後端側の外周面に、例えばステンレスからなる金属バンド71を装着し、その金属バンド71をソケット6から前端方向に突出形成させた4片の金属舌片72で挟持することで行なっている。
【0024】
ソケット6の後端側には、金属端子として側部端子8aと底部端子8bが形成されている。この側部端子8aにはサポートワイヤ35、底部端子8bにはリード線3b4がそれぞれ接続され、側部端子8aと底部端子8bは点灯回路(図示なし)と接続される。そうして、放電ランプは、底部端子8bは高圧側、側部端子8aは低圧側に設定され、管軸が略水平に配置された状態で、例えば、安定時は約25W、始動時は安定時電力に対して2倍以上である約55Wに設定されて点灯される。
【0025】
ここで、本実施の形態では、金属箔3b1の後端(ソケット側端)と底部端子8bにおけるリード線3b4との溶接点8b1との距離L1を、従来のランプよりも短くなるように構成している。具体的には、本実施の形態では溶着部51bを従来よりも短くし、その分、バーナーBN全体をソケット6に深く収容させるようにしたことで、距離L1を従来よりも短い34mm以下としている。これによって、始動時に溶接点8b1に印加される高圧パルスの金属箔3b1における電圧損失を少なくすることが可能となる。本実施の形態のランプは、空間52にガスを封入し、始動時に底部端子8bに高圧パルス印加することにより、金属箔3b1を封着しているシール部12bの表面とそれに近接する外管5の内表面との間の空間52において誘電体バリア放電させて始動を補助させるランプである。そのため、金属箔3b1における始動高圧パルスの電圧損失を少なくすることで、上記放電を発生させやすくなり、よって始動性を向上させることができる。なお、上記のような高圧パルスの電圧損失は、リード線3b4の表面と溶着部51bの内表面との間隔Dが近い場合に発生しやすいため、上記構成は距離Lが1.1mm以下であるようなランプの場合に特に有効である。なお、距離Lが場所によって不均一の場合は、最も遠い部分の距離を距離Lとする。
【0026】
また、本実施の形態では、空間52の後端と溶接点8b1との距離L2を、従来のランプの距離L2よりも短い24mm以下としている。さらに、金属箔3b1の後端と金属バンド71の前端の距離L3を、従来のランプの距離L3よりも短い2.0mm以下している。距離L2、距離L3を短くすると、上記同様、始動時に空間52において放電しやすくなるので、さらに始動性を向上させることができる。
【0027】
また、本実施の形態では、溶接部51bの全てをソケット6内に収容したため、溶着部51bが外的衝撃から保護され、溶着部51bの破損による空間52内のガスのリークを防止することができる。なお、この構成は、特に破損・リークが発生しやすくなる溶着部51bの長さが10mm以下であるような場合に有効である。
【0028】
本発明の放電ランプの実施例の一仕様を下記に示す。
(実施例)
発光部11;石英ガラス製、放電空間111の内容積=18mm、最大内径=2.2mm、最大外径=5.2mm、長手方向の球体長=7.8mm、
シール部12a、12b;肉厚=2.4mm、幅=4.1mm、
金属ハロゲン化物2;ScI、NaI、ZnI、InBr(=1:1.5:0.4:0.01)、合計=0.2mg、
希ガス;キセノン、ガス圧=13.5atm、
水銀;0mg、
金属箔3a1、3b1;モリブデン製、長さ×幅=6.5mm×1.5mm、厚さ=0.02mm、
電極3a2、3b2;0.5重量%の酸化トリウムを添加したトリエーテッドタングステン製、直径=0.28mm、外観上の電極間距離=3.9mm、
コイル3a3、3b3;ドープタングステン製、線径=60μm、ピッチ=250%、
リード線3a4、3b4;モリブデン製、直径=0.4mm、
外管5;内径=7.0mm、肉厚=1.0mm、
空間52中のガス;窒素、ガス圧=0.1atm、
金属バンド71;ステンレス製、幅=5.0mm、厚み=0.3mm、
距離L1=27.5mm、距離L2=16.5mm、距離L3=0.5mm、間隔D=1.0mm。
【0029】
この実施例のランプと従来のランプ(L1=36.4mm、L2=25.5mm、L3=5.5mm)について、始動高圧パルス電圧=23kV、ライズタイム=250nsecである電圧波形を連続出力する点灯回路を使用し、始動試験を行った。その結果、実施例のランプでは従来例のランプよりも始動確率が高く、したがって始動性に優れることがわかった。
【0030】
次に、金属箔3b2と溶接点8b1の距離L1を変化させた100本のランプについて、一発点灯確率の試験を行った。その結果を図3に示す。
【0031】
この図から、距離L1が長くなるほど一発点灯確率は低下していくことがわかる。これは、距離L1と電圧損失の関係を示した図4から明らかなように、距離L1が長くなるほど、金属箔3b1における電圧の損失が大きくなるためである。例えば、距離L1=40mmのランプでは、溶接点8b1の電圧が20kVであったとしても、金属箔3b1では18kVにまで低下することになる。そのため、空間52で誘電体バリア放電が発生しにくくなり、始動性が低下したと考えられる。したがって、距離L1は短い方が望ましく、図3より距離L1は34mm以下であれば始動性に優れ、特に30mm以下であれば、ほぼ確実に始動可能なランプを実現することができる。
【0032】
また、空間52の後端と溶接点8b1との距離L2について試験したところ、図3と同様に距離L2が長いほど一発点灯確率が低いことが確認された。その結果によれば、距離L2は24mm以下であれば始動性に優れ、特に20mm以下であれば、ほぼ確実に始動可能なランプを実現することができる。
【0033】
次に、金属バンド71と金属箔3b1との距離L3を変化させた50本のランプについて誘電体バリア放電発生率の試験を行った。その結果を図5に示す。
【0034】
この図から、距離L3が短くなるほど誘電体バリア放電の発生率が高くなることがわかる。これは、距離L3が短くなると誘電体バリア放電の発生距離が短くなるためと考えられる。この試験の結果によれば、距離L3を2mm以下、特に距離L3を0mm以下、すなわち金属箔3b1と金属バンド71の少なくとも一部同士が重なるような状態にすることで高い効果を得ることができる。
【0035】
したがって、本実施の形態では、内管1と外管5との間に形成された空間52にはガスを封入し、金属箔3b1の後端と底部端子8bにおけるリード線3b4との溶接点8b1との距離L1を34mm以下に設定したことにより、金属箔3b1における始動高圧パルスの電圧損失が少なくなるため、始動性を向上させることができる。当該構成は、バーナーBNの後端側に、内管1と外管5の溶着によりなり、内部にリード線3b4を配置する円筒状の溶着部51bを形成し、溶着部51bの内表面とリード線3b4の外表面との距離L3を1.1mm以下に設定した放電ランプの場合に特に有効である。
【0036】
また、空間52の後端と溶接点8b1との距離L2を24mm以下としたり、バーナーBNの外周面を保持するように設けられた金属バンド71の前端と金属箔の後端との距離L3を2.0mm以下としたりすることで、さらに始動性を向上させることができる。
【0037】
(第2の実施の形態)
図6は、本発明の第2の実施の形態の放電ランプについて説明するための図である。以降の実施の形態の各部は、第1の実施の形態の放電ランプの各部と同一部分は同一符号で示し、その説明を省略する。
【0038】
本実施の形態では、金属箔3b1が封着されているシール部12bの表面に酸化スズからなる膜厚が100nm程度の円形状の導電性被膜9を、導電性被膜9の後端と金属バンド71の前端との距離L4が3.5mm以下(例えば、距離L4=3.0mm)となるように形成している。これにより、始動に必要な電圧を低くすることができるため、始動性を向上させることができる。導電性被膜9と金属バンド71との距離L4を変化させたときの始動電圧を試験した結果である図7によれば、距離L4は2.0mm以下にするとさらに始動性を向上させることができる。
【0039】
また、金属箔31と金属バンド71の距離L3と、導電性被膜9と金属バンド71の距離L4の両方を好適な位置にするとさらに高い効果を望める。すなわち、距離L3と距離L4を変化させたときの始動電圧を試験した結果である図8に示すとおり、距離L4を短くするだけでも始動性は低下するが、距離L3も短くするとさらに始動性を低下させ、かつ始動電圧のバラツキを低減することができる。このようなことから、金属箔31と金属バンド71の距離L3は2.0mm以下、かつ導電性被膜9と金属バンド71の距離L4は3.5mm以下とするのが望ましい。
【0040】
なお、導電性被膜9は、導電性を有し、酸素などと反応しにくい材料であればよく、酸化スズ以外にも、金、インジウムの酸化物、亜鉛の酸化物、インジウムとスズの酸化物であるITO、酸化亜鉛に酸化アルミニウムをドープしたAZO、酸化亜鉛に酸化ガリウムをドープしたGZO等、およびこれらにフッ素、ガリウム、アンチモン等をドープしたものを用いることができる。また、被膜部分の抵抗が約10Ω/cm以下、望ましくは50〜100kΩ(抵抗値は、厚みが150nmである膜の表面を、端子間を1.5mmに設定したテスターで測定したときの値とする。)となるように材料を選定するのが好ましい。
【0041】
また、導電性被膜9は、真円状に限らず、楕円状や多角形状であってもよいし、それらの形状を組み合わせたり、互いに繋げたような形状であってもよい。また、導電性被膜9を形成する場所は、少なくとも一部が金属箔3b1と重なるようにシール部3b1に形成するのが望ましい。
【0042】
したがって、本実施の形態では、金属箔3b1が封着されているシール部12bの表面に導電性被膜9を形成し、その導電性被膜9の後端と金属バンド71の前端との距離L4を3.5mm以下としたことで、始動性を向上させることができる。その際、金属箔31と金属バンド71の距離L3を2.0mm以下とすることで、さらに高い効果を得ることができる。
【0043】
以上、実施の形態をいくつか説明したが、本発明は上記に限られるわけではなく、例えば次のように変更してもよい。
【0044】
ソケット6は、図9のように、金属端子8a、8bを備える回路構成部品であってもよい。要は、ソケット6はバーナーBNを機械的・電気的に接続する器具であればよい。
【0045】
距離L1は、金属箔3b1の全長を変化させることにより調整するようにしてもよい。距離L2は、溶接点8b1の位置を変更することにより調整するようにしてもよい。距離L3や距離L4は、金属バンド71の装着位置により調整するようにしてもよい。すなわち、距離L1〜L4は、実施の形態に限られるものではなく、さまざまな方法により調整が可能である。
【符号の説明】
【0046】
BN バーナー
1 内管
11 発光部
12a、12b シール部
3a1、3b1 金属箔
3a2、3b2 電極
3a4、3b4 リード線
5 外管
51a、51b 溶着部
52 空間
6 ソケット
71 金属バンド
8b 底部端子
8b1 溶接点
9 導電性被膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部およびシール部を有する内管、前記シール部内に封着された金属箔、一端は前記金属箔に接続され、他端は管軸に沿って前記内管の外側に導出されたリード線、前記発光部を覆うように設けられた外管を備えたバーナーと、前記バーナーを保持するソケットとを具備する放電ランプにおいて、
前記ソケットは前記バーナーに電力を供給する金属端子を備え、前記金属端子は前記リード線と電気的に接続されており、
前記内管と前記外管との間に形成された空間にはガスが封入されているとともに、前記金属箔の後端と前記金属端子における前記リード線との溶接点との距離L1が34mm以下であることを特徴とする放電ランプ。
【請求項2】
前記空間の後端と前記溶接点との距離L2が24mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の放電ランプ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2011−258432(P2011−258432A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132528(P2010−132528)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】